JP2016090153A - 電気炉のメンテナンス方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】炉体16を中心軸線回りに回転させる回転装置を備えた電気炉で、炉体16に備えてある機能部であってメンテナンスを必要とする、周方向に離れた位置の複数個所のメンテナンス対象部としての出湯口27,開閉装置72のそれぞれを、回転装置による炉体16の回転とともに周方向に位置移動させることで、予め設定してあるスライドデッキ65の位置まで持ち来たし、メンテナンス作業する。
【選択図】 図10
Description
この種電気炉において、出湯口が詰まってしまうことがある。そうなると溶湯が出湯口から出てこなくなってしまうので、出湯口を酸素で洗ったりして詰りを解消し、出湯口を開放するなどの処置が必要である。このような処置或いは他の処置を含めて、出湯口に対してはこれを正常に機能させるためのメンテナンスを行う必要がある。
その足場としては、出湯口直下の位置と退避位置との間で水平方向に直進移動するスライドデッキや、旋回移動によって退避位置と出湯口直下の位置との間で移動するデッキ等が設けられていることが多い。
これらの装置は、炉体からの熱を受けて故障したり壊れたりし易く、この場合、故障を直したり部品交換や装置全体の取替えをしたりなどのメンテナンスを行う必要がある。
しかしながら高所作業車や新たな足場の設置は準備に時間がかかるため、大きな生産ロスにつながる。加えて高所作業車を用いての高所作業は、不安定な場所や姿勢であるいは狭い場所で行わなければならず、作業性や安全性に問題がある。
炉内メンテナンスのために炉内に入るパターンとしては、炉体上端の大きな解放部(直径が例えば7メートル位の大きさ)である材料の装入口から梯子を降ろし、これを伝って降りて行くパターンと、他に、出滓口から炉内に進入するパターンとがある。
装入口は出滓口に比べて高所(炉体の高さは4〜5メートル位ある)であることから、出滓口からの炉内への進入がより安全且つ作業負担が少ないパターンと言える。
前述したように作業フロア,プラットフォーム,上記の足場の何れもが高所であり、固定の作業フロアとプラットフォーム若しくは出滓口との間の開口部を足場板を伝って出滓口まで通過し、そこから炉内に出入りする作業は危険な作業となる。また、足場設置のための作業負荷も生じる。
この回転装置を備えた電気炉では、溶解中に炉体を電極に対し回転させ、当初コールドスポットにあった金属材料をホットスポットに、またホットスポットに位置していた金属材料をコールドスポットに位置移動させることでホットスポットとコールドスポットとで溶解の不均一の生じていた問題を解決することが可能である(ここでは炉体を電極に対して周方向に約60度相対回転させることで、当初ホットスポットの周方向の中心部に位置していた電極を隣接するコールドスポットの周方向中心部に位置させるようにしている)。
但しこれらの特許文献には本発明の解決手段について開示するところはなく、本発明とは別異のものである。
また他の目的として、出滓口を進入口として炉内メンテナンスを行う際のメンテナンス作業を安全に且つ容易に行うことを可能とするメンテナンス方法を提供することを目的としてなされたものである。
この場合、デッキ自体が出湯口用としてもともと用意されているものであるため、敢えて新規にメンテナンス足場を設置しなくても済む利点が得られる。
但し出湯口用のメンテナンス用の足場としてデッキ以外の足場が設けられている場合には、それを足場として使うことができるし、あるいはまた、出湯口用のメンテナンス用足場とは別途に他の足場を設けて、その足場の位置まで出湯口以外の複数個所のメンテナンス対象部を炉体の回転により持ち来し、メンテナンス作業するといったことも可能である。
このようにすることで、高所での開口部を有さない安全な進入スペースを確保したうえで炉内に侵入してメンテナンス作業をすることができる。
そのような状況で炉内メンテナンスのために作業者が、架け渡した足場板を通って出滓口から炉内に出入りするのは危険を伴うが、請求項2の方法では、炉体の回転により出滓口を周方向に回動させ、位置移動させることで、安全性高く出滓口を通じて炉内メンテナンス作業等を行うことが可能となる。
勿論プラットフォーム以外に他のメンテナンス用足場を設定しておいて、そこに出滓口を持ち来すことも可能である。
図1及び図2は本実施形態で用いる電気炉の構成を示した図である。
図1において、10は電気炉で、円筒状の周壁部12及び炉底部14を備えた炉体16と、炉体16の上端の装入口18を開閉可能に閉鎖する炉蓋20と、炉蓋20を挿通して炉体16内に下向きに挿入される3本の電極22とを備えている。
炉体16内の金属材料の溶湯(溶鋼)は、炉体16全体を傾動させることで、出湯口27から取鍋23(図1)に向けて出湯される。
本例では炉体16全体を上記出湯時とは反対の方向に傾動させることで、溶解操業の際に生じるスラグを出滓口29より外部に排出することができる。
図1において、34は炉体16を支持したまま傾動し、炉体16を傾動させる傾動体で、地面に設けられた炉台36により傾動自在に支持されている。
傾動体34を支持する炉台36の上面及びこれに接する傾動体34の下向きに凸曲形状をなす脚部37の下面にはそれぞれ係合歯が形成されており、傾動の際これら係合歯の係合により炉台36に対する傾動体34のずれが防止されている。
傾動体34は炉体16を支持するための傾動床35を有し、炉体16は後述する回転装置32を介して、傾動体34の傾動床35で支持されている。
即ち回転装置は、イ)炉体を回転可能に傾動体上に支持する支持手段と、ロ)炉体と傾動体との間に設けられ、炉体をその中心軸線周りに回転案内するガイドレールと、ハ)炉体の側に設けられた、回転駆動力を受ける被駆動部と、ニ)傾動体側に設けられ、被駆動部と係合して、回転駆動力を被駆動部に伝える駆動部材と、ホ)傾動体側に設けられ、駆動力を発生させる駆動源と、を備えて構成し、傾動体と一体に傾動する形態で設けておくことができる。
先ずは傾動機構について説明する。
図2に示すように、傾動体34の図中右端には駆動シリンダ38の一端側が回転可能に連結されている。駆動シリンダ38の他端は地面側に回転可能に連結されており、この駆動シリンダ38を伸長させることで傾動体34は炉体16とともに図中左側が下向き、右側が上向きになる様に傾動する。これにより炉体16内の溶鋼が出湯口27から取鍋23に向けて出湯される。
回転装置32は多数の立壁を備えた円形リング状の支持フレーム40を有しており、この支持フレーム40の上面に炉体16が載置固定されている。
リング状の支持フレーム40の下面の内周部にはリング状歯車体42が設けられ、その内周の円周面に沿って歯形が形成されている。
内輪部46を包むようにコ字形断面の外輪部48が配設されており、外輪部48の凹面と内輪部46の凸面即ち上下面及び外周端面との間には、コロ軸受49が介設されている。
歯車体53は傾動床35側に立設された軸体54に回転可能に支持された歯車体55に噛合しており、この歯車体55が上記リング状歯車体42の歯形に噛合している。
この実施形態では、支持フレーム40,歯車体42,ベアリング部材44が支持手段を構成し、そのうちベアリング部材44における内輪部46,外輪部48がガイドレールを兼ねて構成されている。
また歯車体42の歯形が被駆動部を、歯車体55,53が駆動部を、更に油圧モータ52が駆動源を構成している。
一方、傾動床35側の架台58上に駆動シリンダ59によって内外方向へ直線進退させられる栓部材60が設けられている。栓部材60は外方側に位置する先端部が先端方向へ漸次縮径する円柱体となっており、栓部材60の後端は駆動シリンダ59のロッド61に連結されている。
通常、スクラップ等の金属材料は複数回に分けて炉内に装入される。本例では金属材料を2回に分けて炉内に装入するものとする。
先ず、炉蓋20を旋回回避させ炉体16の装入口18を開放状態とし、金属材料を保持するスクラップバケットをクレーンにて装入口18の上方にまで移動させ、スクラップバケット内の金属材料を炉内に装入する。
ボーリングが完了し電極22が炉底部近くに到ったところで、電極22周囲の材料を溶解させていく(図7(B))。
これにより電極22の周りに未溶解金属が無くなると、炉体16を電極22に対して相対回転させることが可能となる。尚、図中炉内を網点で示した部分が未溶解金属材料、白地で示した部分が溶解金属材料である。この段階ではいまだ極端な溶解の不均一は生じていない。
具体的には炉蓋20を旋回回避させ、炉体16を原位置から図中反時計方向に60°回転させて、その後に金属材料を追装する(図7(C))。その後炉蓋20及び電極22を炉体16上部に載置し、再びボーリング工程を含むアーク放電による金属材料の溶解を行うと、炉体16の周方向に三箇所ずつのホットスポットとコールドスポットが生じて金属材料が不均一に溶解される(図7(D))。
本図及び図1で示すように炉体16の下方図中左右両側にはそれぞれ炉台36が配置され、これら炉台36及び傾動体34によって炉体16が地面から上方に設置されている。そして高所にある出湯口27の直下には、取鍋23の配置空間が形成されている。取鍋23は、通常時はその空間、即ち出湯口27の下に待機させられている。
取鍋23は台車66上に載置されており、図8中上下方向に延びるレール67上を図中上下方向に移動可能とされている。
図示されたスライドデッキ65は退避位置に位置しているが、出湯口27のメンテナンスを行う際には、図中の2点鎖線で示すように直進して出湯口27直下の位置に移動し、メンテナンスするための足場としての役割を果たす。
その一例として、図8に出湯口27の図中右側に取り付けられた出湯口蓋開閉装置72が示されている。
このため炉体16を原位置に位置固定した状態では、スライドデッキ65を炉体16に対して接近移動させても、これを出湯口蓋開閉装置72のメンテナンス用の足場として利用することができない。
炉体16を原位置より反時計方向に約60°回転させると、出湯口27に替わって出湯口蓋開閉装置72がスライドデッキ65上に位置するため、出湯口蓋開閉装置72のメンテナンス、例えば駆動シリンダの交換その他所要作業を別途に他の足場を設けることなく、スライドデッキ65を共通の足場として容易に行うことができる。
尚、出湯口蓋開閉装置72はメンテナンス対象部の一例であり、出湯口27から周方向に離れた位置に取り付けられたその他の装置についても同様の方法で、スライドデッキ65を共通の足場として容易にメンテナンスを行うことができる。
炉体16の周りには図1及び図2にも示すように炉体16と一体に傾動する傾動体34に備えられたプラットフォーム25が設けられており、更にそのプラットフォーム25の周りには、固定の(傾動しない)作業フロア80が設けられている。
プラットフォーム25には、図示を省略した電気炉10の附帯設備が設置されており、炉体16とともにプラットフォーム25が傾動する際、これら電気炉10の附帯設備が作業フロア80の開口端部と干渉しないよう、更には出滓口を下向きに傾動させて、スラグ排出動作を支障なく行えるように、出滓口側(図中下方向)では、プラットフォーム25と固定の作業フロア80との間に大きな開口部81が設けられている。
このようにすることで、作業者は大きな開口部に架け渡した足場板を通ることなく、作業フロア80からプラットフォーム25を経由して出滓口29に進入し、メンテナンス作業を行うことができる。
12 周壁部
14 炉底部
16 炉体
18 装入口
20 炉蓋
22 電極
27 出湯口
29 出滓口
32 回転装置
65 スライドデッキ
72 開閉装置
80 作業フロア
Claims (3)
- (a)円筒状の周壁部及び炉底部を備えた炉体と、
(b)炉蓋の側に設けられた複数の電極と、
(c)前記炉体を中心軸線回りに回転させる回転装置と、
を備え、前記電極と該炉体内に装入された金属材料との間に発生させたアークの熱で該金属材料を溶解する電気炉のメンテナンス方法であって、
前記炉体に備えてある機能部であってメンテナンスを必要とする、周方向に離れた位置の複数個所のメンテナンス対象部のそれぞれを、前記回転装置による前記炉体の回転とともに周方向に位置移動させることで、予め設定してある共通のメンテナンス用足場の位置まで持ち来たし、メンテナンス作業することを特徴とする電気炉のメンテナンス方法。 - (a)円筒状の周壁部及び炉底部を備えた炉体と、
(b)炉蓋の側に設けられた複数の電極と、
(c)前記炉体を中心軸線回りに回転させる回転装置と、
を備え、前記電極と該炉体内に装入された金属材料との間に発生させたアークの熱で該金属材料を溶解する電気炉のメンテナンス方法であって、
炉内メンテナンスの際の進入口となる出滓口を、前記回転装置による前記炉体の回転とともに周方向に位置移動させ、メンテナンス作業することを特徴とする電気炉のメンテナンス方法。 - 請求項1,2の何れかにおいて、前記電気炉が、溶解時に前記回転装置により炉体を電極に対して回転させることで、金属材料に対する電極による加熱位置を周方向に相対的に変化させるものであることを特徴とする電気炉のメンテナンス方法。
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