JP6241398B2 - グラフェン積層体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、六方晶窒化ホウ素(h−BN)よりなる窒化ホウ素層上にグラフェンを積層してなるグラフェン積層体の製造方法に関する。
グラフェンは、単層グラファイト構造を有し、優れた電気的および熱的性質を持つものであり、新しい電子材料として注目が集まっている。このグラフェンが形成される下地基板としては、一般にSiOが用いられているが、SiOは平坦性等の問題があることから、近年、下地基板として、六方晶窒化ホウ素(hexagonal−boron nitride、通常、h−BNと略称される)よりなる窒化ホウ素層を用いることが提案されている(特許文献1参照)。
この特許文献1においては、標準的な転写技術を用いて、窒化ホウ素層の一面上にグラフェンを積層する構造を形成している。具体的には、グラフェンと窒化ホウ素層とを目視で位置あわせして、貼り合わせる手作業によって、積層構造を形成するものであり、煩雑なうえに工業化が困難であるのが現状である。
特表2014−515181号公報
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、h−BNよりなる窒化ホウ素層上にグラフェンを積層してなるグラフェン積層体を製造するにあたって、転写を用いることなく、窒化ホウ素層上にグラフェンを形成できるようにすることを目的とする。
請求項1に記載の発明は、基板(10)と、基板の一面(11)上に形成され、六方晶窒化ホウ素よりなる層状の窒化ホウ素層(20)と、窒化ホウ素層の一面(21)上に積層されたグラフェン(30)と、を備えるグラフェン積層体の製造方法であって、次の各特徴を備えたものである。
基板として、基板の一面上に窒化ホウ素層が形成されたもの、を用意する基板用意工程と、基板の一面上にて、炭素を含むFeよりなるFeC膜(50)を、窒化ホウ素層の一面上から当該一面に隣接する基板の一面上まで連続するように形成することにより、窒化ホウ素層の一面をFeC膜で被覆するFeC膜形成工程と、FeC膜を熱処理することにより窒化ホウ素層の一面上に、グラフェンを形成するとともに、FeC膜中のFeを凝集させて窒化ホウ素層の一面上から窒化ホウ素層の周囲の基板の一面上に移動させるグラフェン形成工程と、を備えること。
FeC膜形成工程では、FeC膜の膜厚をT(単位:nm)としたとき、FeC膜中の炭素濃度Cc(単位:原子%)が、下記の数式(2)を満足する範囲となり、
(数2)
118/(2.62×T+0.27)≦Cc≦{118/(2.62×T+0.27)}×5
且つ、FeC膜の膜厚が窒化ホウ素層の厚さの1.5倍以上となるように、FeC膜の形成を行うこと。請求項1の製造方法は、これらの点を特徴としている。
それによれば、h−BNよりなる窒化ホウ素層の一面上にグラフェンが自己整合的に形成されるため、転写を用いることなく工業化に適した方法により、窒化ホウ素層上にグラフェンを形成することができる。
なお、特許請求の範囲およびこの欄で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
本発明の実施形態にかかるグラフェン積層体を示す概略断面図である。 図1に示されるグラフェン積層体の製造方法における基板用意工程を断面的に示す工程図である。 図1に示されるグラフェン積層体の製造方法におけるFeC膜形成工程と、これに続くグラフェン形成工程とを断面的に示す工程図である。 (a)実施例1におけるグラフェン形成の様子を示す電子顕微鏡による写真であり、(b)は(a)を模式的に示す図である。 実施例1のサンプルをエネルギー分散型X線分光法により分析した結果から予想される図4(b)中のA−A断面の模式図である。 実施例1におけるグラフェン形成部分をラマン分光分析した結果を示す図である。 (a)比較例1におけるグラフェン形成の様子を示す電子顕微鏡による写真であり、(b)は(a)を模式的に示す図である。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各図相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
本発明の実施形態にかかるグラフェン積層体S1について、図1を参照して述べる。このグラフェン積層体S1は、たとえばトランジスタなどの電子装置を構成する要素として適用されるものである。
本実施形態のグラフェン積層体S1は、大きくは、基板10と、基板10の一面11上に形成され、h−BN(六方晶窒化ホウ素)よりなる層状の窒化ホウ素層20と、窒化ホウ素層20の一面21上に積層されたグラフェン30と、を備える。
基板10は、窒化ホウ素層20が形成できる一面(図1中の基板10の上面に相当)11を有するものであればよい。たとえば、基板10としては、一面11がシリコン酸化膜よりなるシリコン基板等が挙げられる。
窒化ホウ素層20は、基板10の一面11よりも層面の面積が小さいものであり、限定しないが、その厚さ(層厚)は、たとえば10nm〜20nmである。窒化ホウ素層20と基板10の一面11とは、ファンデルワールス力により固定されている。
グラフェン30は、1層のものであり、炭素原子が六角形に結合されて平面方向に拡がる層構造、いわゆる単層グラファイト構造を有する。グラフェン30は、窒化ホウ素層20の一面21に直接接触しており、グラフェン30と窒化ホウ素層20の一面(図1中の窒化ホウ素層20の上面に相当)21とは、ファンデルワールス力により固定されている。
ここで、基板10の一面11のうち窒化ホウ素層20の外側に位置する領域には、Fe(鉄)よりなる金属膜としてのFe膜(鉄膜)40が設けられている。このFe膜40は、後述する炭素(C)を含有するFeよりなる炭素含有金属膜としてのFeC膜50(炭素含有鉄膜、図3(b)参照)ではなく、炭素を含まずに実質的にFeのみよりなるものであり、窒化ホウ素層20よりも厚いものとされる。
なお、後述するグラフェン30の形成メカニズムで述べるように、Fe膜40の表面の少なくとも一部には、図示しないグラフェンが形成されていてもよい。このFe膜40は、たとえば電子装置における電極として用いられるが、不要となる場合には、グラフェン30の形成後に、エッチング等により除去してもよい。
次に、このような本実施形態のグラフェン積層体S1を製造する製造方法について、図2、図3を参照して述べる。
まず、図2に示されるように、基板10として、基板10の一面11上に窒化ホウ素層20が形成されたもの、を用意する基板用意工程を行う。この工程は、市販のh−BN粉末と粘着テープとを用いた標準的な転写方法により行われる。
具体的には、h−BN粉末を一方の粘着テープに付着させ、他方の粘着テープの粘着面を、一方の粘着テープのh−BN粉末に対向させて、両粘着テープの貼り付けおよび剥がしを複数回繰り返すことにより、h−BN粉末を薄層化する。
そして、図2(a)、(b)に示されるように、薄層化されたh−BN粉末20aが付着している方の粘着テープ100を基板10の一面11に貼り付けた後、剥がすことによって、薄層化されたh−BN粉末20aを基板10の一面11に転写する。これにより、薄層化されたh−BN粉末20aよりなる窒化ホウ素層20が、基板10の一面11上に形成される。
このとき、窒化ホウ素層20の厚さは、上記した粘着テープの貼り付けおよび剥がしの繰り返し回数により調整することができる。たとえば、窒化ホウ素層20の厚さは、10nm程度とされるが、この厚さについては、基板10の一面11にて、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope、略称はAFM)を用いた段差測定を行うことにより求められる。
次に、図3(a)、(b)に示されるFeC膜形成工程を行う。この工程では、基板10の一面11上にて、炭素を含むFeよりなるFeC膜50を、窒化ホウ素層20の一面21上から窒化ホウ素層20の一面21に隣接する基板10の一面11上まで連続するように形成する。これにより、窒化ホウ素層20の一面21をFeC膜50で被覆する。
つまり、このFeC膜形成工程では、FeC膜50は、窒化ホウ素層20の一面21だけでなく、窒化ホウ素層20の一面21からはみ出して、当該一面21の周囲に位置する基板10の一面11上まで連続する膜として形成される。
このFeC膜50は、典型的には、スパッタ、蒸着等の物理気相堆積法(Physical Vapor Deposition)により形成される。具体的なスパッタ方法としては、炭素を含むガス中で、FeC膜のFe成分をスパッタすることにより、FeC膜50を形成する方法が挙げられる。
この炭素を含むガスとしては、例えば、炭化水素(例えば、メタン、エタン、エチレン等)を含むガスが挙げられる。この方法によれば、スパッタガスに由来する炭素と、スパッタターゲットに由来するFe成分とを含むFeC膜を形成することができる。
また、別のスパッタ方法としては、スパッタ装置に、Fe成分のターゲットとともに、炭素(例えばグラファイト)のターゲットも取り付け、同時スパッタを行う方法が挙げられる。さらに、別のスパッタ方法としては、炭素をFe成分に加えたものをターゲットとして、スパッタを行う方法もある。
このFeC膜形成工程の後、図3(c)に示されるグラフェン形成工程を行う。この工程では、FeC膜50を熱処理することにより窒化ホウ素層20の一面21上に、FeC膜50中の炭素によりグラフェン30を形成する。それとともに、FeC膜50中のFeを凝集させて窒化ホウ素層20の一面21上から窒化ホウ素層20の周囲の基板10の一面11上に移動させる。
これにより窒化ホウ素層20の一面21上にはグラフェン30が形成され、FeC膜50中のFeは、窒化ホウ素層20の一面21の外側へ移動して当該一面21上から除去される。ここで、熱処理は、オーブン等により行う。
このグラフェン形成のメカニズムは、本発明者の実験検討によれば、次のようなものであると推定される。熱処理により、FeC膜50中の炭素(C)が、FeC膜50の表面に析出してグラフェン30を形成する。つまり、FeC膜50は、表面のグラフェン30と、その下のFe部分と、に分かれる。そして、グラフェン30の下のFe部分は、熱により凝集するが、h−BNに対する濡れ性の違いによって、当該凝集したFeは窒化ホウ素層20の一面21上から外側へ移動して除かれ、窒化ホウ素層20の一面21上にはグラフェン30が残る。
これにより、上記図1および図3(c)に示されるように、窒化ホウ素層20の一面21上にグラフェン30が積層された状態が実現されるとともに、窒化ホウ素層20の一面21上の周囲の基板10の一面11上に、凝集したFeによる上記Fe膜40が形成されるのである。
グラフェン形成工程における熱処理の温度は、FeC膜50中のFeの融点以下で、当該Feが凝集可能な温度が好ましい。限定するものではないが、熱処理の温度は、たとえば600℃以上850℃以下とすることができる。また、熱処理は、高真空下で行ってもよいし、不活性ガス雰囲気(常圧または減圧)下で行ってもよい。
本実施形態の製造方法は、上記したグラフェン形成工程をもって実質完了するが、本実施形態では、さらに、FeC膜形成工程において次のような点を満足することが必要である。本実施形態のFeC膜形成工程では、下記の(a)点および(b)点を共に満足するようにFeC膜50の形成を行う。
(a):FeC膜50の膜厚をT(単位:nm)としたとき、FeC膜50中の炭素濃度Cc(単位:at%(原子%))が、下記の数式(3)を満足する範囲となること。
(数3)
118/(2.62×T+0.27)≦Cc≦{118/(2.62×T+0.27)}×5
(b):FeC膜50の膜厚が窒化ホウ素層20の厚さの1.5倍以上となるようにすること。FeC膜形成工程では、これら(a)点、且つ、(b)点を満足するように、FeC膜50の形成を行う。
ここで、FeC膜50の形成にあたって、炭素濃度Ccの調整は、たとえば上記したFeC膜50のスパッタ形成において、炭素を含むガス中の炭素濃度、より具体的には、当該ガス中の炭化水素の濃度を調整してやればよい。
また、上記数式(3)に示されるように、炭素濃度Ccの下限値および上限値には、FeC膜50の膜厚T(nm)が因子として含まれているが、FeC膜50の形成にあたって、このFeC膜50の膜厚は、スパッタ時間の調整等により制御すればよい。
ここで、上記(a)点について、上記数式(3)における炭素濃度Ccの下限値は、下記の計算により求めたものである。この計算は、FeC膜50中の炭素がグラフェン30の形成のために100%消費されるものとして、単層のグラフェン30を形成するために必要な炭素濃度を、当該下限値として求めたもので、当業者において公知の計算手法である。
まず、FeC膜50の単位面積(nm)あたりの炭素数Nを求めると、次の数式(4)のようになる。この数式(4)において、Ccは炭素濃度(at%)、TはFeC膜50の膜厚(nm)、VFeはFeの1原子の体積(mL)、Vは炭素の1原子の体積(mL)である。
(数4)
=T×[Cc/{VFe×(1−Cc)+V×Cc}]
一方で、グラフェン30の1層の単位面積(nm)あたりの炭素数Nを求めると、グラフェン30が単層グラファイト構造であることから、この炭素数Nは38.2となる。そして、炭素数Nを炭素数Nで割ると、形成されるグラフェン30の層数Lが出ることから、この層数Lを1とすると、次の数式(5)となる。
(数5)
1=L=N/N=[T/N]×[Cc/{VFe×(1−Cc)+V×Cc}]
そして、この数式(5)におけるN、VFe、Vに具体的数値を代入すれば、次の数式(6)に示されるように、炭素濃度Cc(at%)の下限値が求められる。
(数6)
Cc=118/(2.62×T+0.27)
そして、この炭素濃度Ccの下限値は、実験によっても確認している。つまり、SEM観察やXPS分析等によれば、炭素濃度Ccがこの下限値未満であると、窒化ホウ素層20の一面21上におけるグラフェン30の形成に必要な炭素が不足し、窒化ホウ素層20の一面21上にて島状に点在したグラフェン30となってしまう。そのため、所望の面積のグラフェン30を形成することはできない。
また、上記した炭素濃度Ccの下限値の計算のように、FeC膜50中の炭素がグラフェン形成のために100%消費されるならば、問題無いが、多少のマージンが必要となる場合がある。上記数式(3)における炭素濃度Ccの上限値(下限値の5倍)は、そのようなマージンを見込んで、実験検討した結果、規定されたものである。
具体的に、SEM観察やXPS分析等によれば、炭素濃度Ccがこの上限値よりも大きいと、窒化ホウ素層20の一面21上においてグラフェン30とともに非晶質の炭素が析出してしまうことになることがわかった。つまり、窒化ホウ素層20の一面21上においてグラフェン30と非晶質の炭素とが混在した層が形成されてしまう。
このように、本発明者の計算および実験検討によれば、単層から数層のグラフェン30を窒化ホウ素層20の一面21上に形成するためには、上記数式(3)の範囲となるように炭素濃度Ccを規定することが必要となることがわかった。たとえば、窒化ホウ素層20の厚さを10nmとし、FeC膜50の膜厚は20nmとしたとき、このとき、炭素濃度Ccは、上記数式(3)によれば、約2.2at%以上、約11at%以下の範囲とされる。
上記(b)点について、FeC膜50の膜厚が窒化ホウ素層20の厚さの1.5倍以上とすることについては、本発明者の実験検討の結果、わかったものである。SEM観察等によれば、FeC膜50の膜厚が窒化ホウ素層20の厚さの1.5倍未満と薄い場合には、窒化ホウ素層20の一面21上においてグラフェン30が形成されるものの、凝集したFeが窒化ホウ素層20の一面21上に残留してしまうことがわかった。
これは、次のようなことが原因であると推定される。窒化ホウ素層20の端部では、窒化ホウ素層20自身の厚さの分、基板10の一面11上に突出する段差が存在する。この状態でFeC膜50を薄く形成した場合、この段差部分にてFeC膜50が途切れて不連続な状態となる。つまり、FeC膜50は、窒化ホウ素層20の端部にて段差切れを起こし、窒化ホウ素層20の一面21上の部分と、その外側の基板10の一面11上の部分とに分離してしまう。
この状態で、熱処理を行うと、窒化ホウ素層20の一面21上にてFeが凝集したとしても、凝集したFeは、窒化ホウ素層20の一面21上から当該段差部分を越えて基板10の一面11上に移動しにくくなる。そのため、凝集したFeが窒化ホウ素層20の一面21上に残留してしまうと考えられる。
また、FeC膜50の膜厚が窒化ホウ素層20の厚さの1.5倍以上であれば、窒化ホウ素層20の一面21上にてグラフェン30が形成されるが、好ましくは、グラフェン形成工程における熱処理によるFeの凝集が可能な膜厚以下となるように、FeC膜50の形成を行うことが望ましい。
SEM観察等の実験によれば、FeC膜50が、当該Feの凝集ができないほど厚く形成された場合には、グラフェン形成時の熱処理によって、Feが凝集できずに、Feが窒化ホウ素層20の一面21上に残留してしまう可能性が大きい。たとえば、この窒化ホウ素層20におけるFeの凝集が可能な膜厚とは、50nm程度である。つまり、標準的には、FeC膜50の膜厚は、窒化ホウ素層20の厚さの1.5倍以上であって、且つ、50nm以下とされる。
ところで、本実施形態によれば、h−BNよりなる窒化ホウ素層20の一面21上にグラフェン30が自己整合的に形成される。つまり、窒化ホウ素層20の一面21上に直接接触した状態でグラフェン30が形成される。そのため、従来のような転写を用いることなく工業化に適した方法により、窒化ホウ素層20上にグラフェン30を形成することができる。
次に、実施例1および比較例1を参照して、上記実施形態にて述べた内容について、より具体的に述べる。
(実施例1)
市販のh−BN粉末(例えば(株)高純度化学研究所製のh−BNパウダー)を用意し、一方の粘着テープ上に付着させた後、もう一方の粘着テープを用いて、両テープの粘着面側同士について貼り付けと剥がしを10回程度繰り返して、h−BN粉末を薄層化した。
基板10としては、一面11がシリコン酸化膜よりなる酸化膜付きのシリコン基板を用いた。そして、薄層化されたh−BN粉末20aが付着している粘着テープを、基板10の一面11に貼り付けて剥がすことで、h−BN粉末20aを基板10の一面11に転写し、窒化ホウ素層20を形成した。
こうして、本例における基板用意工程が完了し、一面11上に窒化ホウ素層20が形成された基板10が用意される。AFMを用いた測定によれば、本例の窒化ホウ素層20の厚さは約10nmであった。
次に、本例のFeC膜形成工程として、基板10の一面11上へ、FeC膜50をスパッタにより、20nmの膜厚で形成した。スパッタガスにはメタンを3%添加したアルゴンガスを用いた。X線光電子分光(略称:XPS)測定より、本例のFeC膜50中の炭素濃度は7at%であった。
このようにして形成したものに対して、本例のグラフェン形成工程として、真空中、800℃で30分、熱処理を行った。これにより、窒化ホウ素層20の一面21上に自己整合的にグラフェン30が積層されたサンプル、すなわち上記実施形態のグラフェン積層体としての本例のサンプルを得ることができた。
ここで、本例では、窒化ホウ素層20の厚さは10nmであり、FeC膜50の膜厚は20nmであり、上記(b)点を満足している。また、本例の膜厚の関係によれば、炭素濃度は、上記数式(3)によれば、約2.2at%以上、約11at%以下の範囲とされるが、本例では、FeC膜50中の炭素濃度は7at%であり、上記(a)点を満足している。
この本例のサンプルについて、電子顕微鏡(SEM)による観察、エネルギー分散型X線分光法(略称:EDX)による分析、ラマン分光分析よる分析を行った。SEM観察の結果は、図4に示される。図4において、(b)は(a)の写真画像をわかりやすく、模式化したものである。なお、図4(b)では、表面のグラフェン30を斜線ハッチングで示し、下地の窒化ホウ素層20の外形を破線で示している。この模式化の図示方法は、後述する図7(b)も同様である。
そして、図4(b)中のA−A断面の構造については、EDXの分析結果、および、図6に示されるラマン分光分析の結果に基づいて推定することができる。図6に示されるように、窒化ホウ素層20の一面21上をラマン分光分析したところ、グラフェン30を同定する2個のピークP1およびピークP2が検出され、窒化ホウ素層20の一面21上にグラフェン30が形成されていることが確認された。
これらEDX分析の結果、および、ラマン分光分析の結果に基づいて推定した図4(b)中のA−A断面の構造が、図5に示される。図5に示されるように、基板10の一面11はシリコン酸化膜(SiO膜)11aよりなり、このシリコン酸化膜11aの上に窒化ホウ素層20が形成されている。
そして、上記したグラフェン積層体S1と同様に、窒化ホウ素層20の一面21上にグラフェン30が形成されており、窒化ホウ素層20の周囲にFe膜40が形成されている。なお、窒化ホウ素層20の一面21の周辺部の一部には、Fe膜40が残っているが、実質的には、本例のサンプルは、上記図1と同様のものであるといえる。
以上の結果に示されるように、本例によれば、窒化ホウ素層20の一面21上にグラフェン30を自己整合的に積層することができる。
(比較例1)
本例は、窒化ホウ素層20の厚さを100nmとし、FeC膜50の膜厚を50nmとしたこと以外は、上記実施例1と同様に行われたものである。つまり、本例は、上記(b)点を満足せず、FeC膜50の膜厚が窒化ホウ素層20の厚さの1.5倍未満と薄い場合である。
その結果、図7に示されるように、窒化ホウ素層20の一面21上にグラフェン30は形成されるものの、グラフェン30と混在する形で、Feが窒化ホウ素層20の一面21上に残留してしまった。
(他の実施形態)
なお、窒化ホウ素層20の一面21上にグラフェン30を複数層、積層する場合には、上記実施形態における数式(3)の関係を応用して、炭素濃度Ccを大きくしてやればよいことは、明らかである。
また、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記実施形態において、構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。
10 基板
11 基板の一面
20 窒化ホウ素層
21 窒化ホウ素層の一面
30 グラフェン
50 FeC膜

Claims (2)

  1. 基板(10)と、前記基板の一面(11)上に形成され、六方晶窒化ホウ素よりなる層状の窒化ホウ素層(20)と、前記窒化ホウ素層の一面(21)上に積層されたグラフェン(30)と、を備えるグラフェン積層体の製造方法であって、
    前記基板として、前記基板の一面上に前記窒化ホウ素層が形成されたもの、を用意する基板用意工程と、
    前記基板の一面上にて、炭素を含むFeよりなるFeC膜(50)を、前記窒化ホウ素層の一面上から当該一面に隣接する前記基板の一面上まで連続するように形成することにより、前記窒化ホウ素層の一面を前記FeC膜で被覆するFeC膜形成工程と、
    前記FeC膜を熱処理することにより前記窒化ホウ素層の一面上に、前記グラフェンを形成するとともに、前記FeC膜中のFeを凝集させて前記窒化ホウ素層の一面上から前記窒化ホウ素層の周囲の前記基板の一面上に移動させるグラフェン形成工程と、を備え、
    前記FeC膜形成工程では、前記FeC膜の膜厚をT(単位:nm)としたとき、前記FeC膜中の炭素濃度Cc(単位:原子%)が、下記の数式(1)を満足する範囲となり、
    (数1)
    118/(2.62×T+0.27)≦Cc≦{118/(2.62×T+0.27)}×5
    且つ、前記FeC膜の膜厚が前記窒化ホウ素層の厚さの1.5倍以上となるように、前記FeC膜の形成を行うことを特徴とするグラフェン積層体の製造方法。
  2. 前記FeC膜形成工程では、前記FeC膜の膜厚が前記窒化ホウ素層の厚さの1.5倍以上であって、前記グラフェン形成工程における前記Feの凝集が可能な膜厚以下となるように前記FeC膜の形成を行うことを特徴とする請求項1に記載のグラフェン積層体の製造方法。
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