JP6357951B2 - グラファイト薄膜構造体の製造方法 - Google Patents

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本発明は、グラファイト薄膜構造体及びその製造方法に関する。
近年、新しい電子材料としてグラフェン、及びその積層体であるグラファイト薄膜に注目が集まっている。グラファイト薄膜の形成方法としては、以下の(1)、(2)の方法が提案されている(特許文献1参照)。
(1)基板上にグラフェンを形成するための金属触媒を用意し、加熱した金属触媒へ炭素を含むガスを供給し、金属触媒上で反応させて炭素を析出させる方法。
(2)基板上にグラフェンを形成するための金属触媒を用意し、加熱した金属触媒へ炭素を含むガスを供給し、金属触媒中に炭素を固溶させ、金属触媒を冷却する過程で金属触媒表面に炭素を析出させる方法。
特開2009−107921号公報
グラファイト薄膜を電気的に利用しようとする場合、グラファイト薄膜と電気的に接続した電極を設ける必要がある。一般的に、電極は純粋な金属から成るため、グラファイト薄膜と電気的に接続した電極を設けると、グラファイト薄膜に含まれるグラフェンが電極中に固溶し、グラファイト薄膜に欠陥が生じるおそれがある。
本発明は以上の点に鑑みなされたものであり、グラファイト薄膜に欠陥が生じにくいグラファイト薄膜構造体及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明のグラファイト薄膜構造体は、グラフェンを含むグラファイト薄膜と、グラファイト薄膜における少なくとも一部に接する電極とを備え、電極は、金属A及び炭素を含むことを特徴とする。
本発明のグラファイト薄膜構造体において、電極は炭素を含む。そのため、グラファイト薄膜に含まれるグラフェンが電極に固溶しにくい。その結果、グラファイト薄膜の欠陥を抑制できる。
本発明のグラファイト薄膜構造体の製造方法は、金属A及び炭素を含む炭素含有金属膜を形成し、炭素含有金属膜の一部を局所的に熱処理してグラファイト薄膜を形成し、炭素含有金属膜のうち、前記一部以外の少なくとも一部を電極とすることを特徴とする。
本発明の製造方法によれば、グラファイト薄膜を必ずしも転写しなくてもよいため、グラファイト薄膜の欠陥を抑制できる。また、本発明の製造方法によれば、グラファイト薄膜の形成に用いる炭素含有金属膜を電極とすることができるので、電極を別途設ける工程が必須ではなく、グラファイト薄膜の形成後に炭素含有金属膜を除去する工程が必須ではない。よって、グラファイト薄膜構造体の製造が容易である。
グラファイト薄膜構造体100の製造方法を表す説明図である。 グラファイト薄膜構造体100の製造方法を表す説明図である。 グラファイト薄膜の一部を除去する工程を含む、グラファイト薄膜構造体100の製造方法を表す説明図である。 電極13上に金属Bの層15が存在するタイプのグラファイト薄膜構造体100の製造方法を表す説明図である。 実施例1で製造したグラファイト薄膜構造体におけるレーザ照射部及びその周囲を表す顕微鏡写真である。 実施例2で製造したグラファイト薄膜構造体におけるレーザ掃引部及びその周囲を表す顕微鏡写真である。 実施例6で製造したグラファイト薄膜構造体における電子ビーム走査部及びその周囲を表す共焦点レーザ顕微鏡写真である。 実施例6において電子ビームを走査した場所におけるラマン分光測定の結果を表すチャートである。 参考例3における電子ビーム照射部及びその周囲を表す共焦点レーザ顕微鏡写真である。
本発明の実施形態を説明する。グラファイト薄膜は、グラフェンから成る薄膜(例えばグラフェンの積層体)であってもよいし、グラフェンと、その他の炭素成分とを含む薄膜であってもよい。
電極は、金属A及び炭素を含む。電極は、金属A及び炭素から成るものであってもよいし、その他の成分を含んでいてもよい。金属Aとしては、例えば、鉄、ニッケル、コバルト、又はそれらの2種以上の合金が挙げられる。
電極における炭素の含有率は、0.1〜10at%であることが好ましい。この範囲内であることにより、グラファイト薄膜の欠陥を一層抑制することができる。また、この範囲内であることにより、後述する方法でグラファイト薄膜を形成することが一層容易となる。
電極は、例えば、その表面に、金属Aよりも抵抗率が小さい金属Bの層を備えることができる。この場合、電極の抵抗が一層小さくなる。前記表面は、電極のどちらの面であってもよい。例えば、基板上に電極を形成する場合、金属Bの層は、電極の表面のうち、基板側の表面であってもよいし、基板とは反対側の表面であってもよい。金属Bとしては、例えば、金、白金、銀、又はそれらの合金が挙げられる。金属Bは、電極の表面の全体を覆っていてもよいし、その一部を覆っていてもよい。
グラファイト薄膜構造体は、例えば、基板を備え、その基板の表面に、グラファイト薄膜及び電極を備えることができる。電極は、例えば、互いに分離した複数の領域に分かれていてもよい。その電極の領域同士は、電気的に分離していてもよいし、グラファイト薄膜を介して電気的に接続していてもよい。
グラファイト薄膜構造体は、例えば、以下のP1、P2の工程を有する製造方法により製造できる。
(P1)前記金属A及び炭素を含む炭素含有金属膜を形成する。
(P2)前記炭素含有金属膜の一部を局所的に熱処理して前記グラファイト薄膜を形成し、前記炭素含有金属膜のうち、前記一部以外の少なくとも一部を前記電極とする。
この製造方法の具体例を図1、及び図2に基き説明する。まず、図1(1)〜(3)、図2(3)に示すように、基板1上に炭素含有金属膜3を形成する。この工程では、図1(2)に示すように、基板1の上に、物理気相堆積法により、炭素原子5、金属原子7を堆積し、炭素含有金属膜3を形成する。この工程は上記(P1)に該当する。
次に、図1(4)、図2(4)に示すように、炭素含有金属膜3の一部3Aをレーザ光により局所的に熱処理する。熱処理後、図1(5)、図2(5)に示すように、3Aの部分では、グラフェンを含むグラファイト薄膜9が基板1上に析出する。また、グラファイト薄膜9上には、部分的に、金属の層11が残存している。炭素含有金属膜3のうち、3A以外の部分は、そのまま維持され、電極13となる。この工程は上記(P2)に該当する。以上の製造方法により、グラファイト薄膜構造体100が完成する。なお、炭素含有金属膜3における3A以外の部分のうち、一部を電極とし、残りは電極としない(例えば除去する)ようにしてもよい。
炭素含有金属膜を形成する方法としては、例えば、物理気相堆積法(Physical Vapor Deposition)が挙げられる。物理気相堆積法としては、例えば、スパッタ、蒸着等が挙げられる。物理気相堆積法により形成された炭素含有金属膜は、例えば、熱的に非平衡な状態とすることができる。
炭素含有金属膜を物理気相堆積法により形成する方法としては、例えば、炭素を含むガス中で、金属Aをスパッタする方法が挙げられる。この炭素を含むガスとしては、例えば、炭化水素(例えば、メタン、エタン、エチレン等)を含むガスが挙げられる。この方法によれば、スパッタガスに由来する炭素と、スパッタターゲットに由来する金属Aとを含む炭素含有金属膜を形成することができる。
また、炭素含有金属膜を物理気相堆積法により形成する別の方法としては、スパッタ装置に、金属Aのターゲットとともに、炭素(例えばグラファイト)のターゲットも取り付け、同時スパッタにより、金属A及び炭素を含む炭素含有金属膜を形成する方法がある。また、炭素を金属Aに加えたものをターゲットとして、金属A及び炭素を含む炭素含有金属膜を形成してもよい。
炭素含有金属膜の一部を局所的に熱処理する方法は特に限定されず、例えば、レーザ光、電子線、LEDの光、ハロゲンランプの光等を局所的に照射する方法を用いることができる。炭素含有金属膜のうち熱処理する部分は、例えば、スポット状であってもよいし、直線又は曲線状の部分であってもよい。直線又は曲線状の場合は、レーザ光等を掃引(スキャン)する方法で熱処理を行うことができる。
熱処理における熱処理温度は、金属Aの融点より低いことが好ましい。このことは、例えば基板と金属Aとの不要な反応を抑制する点で有利である。熱処理は、高真空下で行ってもよいし、不活性ガス雰囲気(常圧又は減圧)下で行ってもよい。
熱処理後、熱処理した部分に生じている金属Aの領域は、そのまま残してもよいし、除去してもよい。除去する場合は、例えば、熱処理後、金属Aを可溶な液体と接触させることで、金属Aを除去することができる。金属Aを可溶な液体は特に限定されず、例えば、無機酸(硫酸、硝酸、塩酸等)を用いることができる。
前記(P−2)の工程の後、さらに、グラファイト薄膜の一部を除去してもよい。グラファイト薄膜の一部を除去することで、電極(炭素含有金属膜)を、例えば、互いに電気的に分離した複数の領域に分けることができる。
グラファイト薄膜を除去する方法としては、例えば、酸素を含む雰囲気中で、グラファイト薄膜を局所的に熱処理する方法が挙げられる。この方法によれば、グラファイト薄膜が酸素と反応し、除去される。熱処理の条件は、雰囲気ガス以外の点では、炭素含有金属膜を熱処理してグラファイト薄膜を形成するときと同様の条件とすることができる。酸素を含む雰囲気における酸素濃度は、0.1〜100atm%とすることができる。
グラファイト薄膜の一部を除去する製造方法の具体例を図3に基き説明する。まず、図3(1)に示すように、基板1上に炭素含有金属膜3を形成し、次に、図3(2)に示すように、炭素含有金属膜3の一部3Aに対し、真空中でレーザ照射し、レーザ照射部にグラファイト薄膜9を形成する。このとき、レーザ照射されなかった炭素含有金属膜3は、4つの電極13A、13B、13C、13Dとなる。電極13A、13B、13C、13Dのそれぞれは、他の電極からグラファイト薄膜9により隔てられている。ただし、グラファイト薄膜9は導電性を有するので、電極13A、13B、13C、13Dは電気的には相互に接続している。
次に、図3(3)に示すように、グラファイト薄膜9の一部9Aに対し、酸素含有雰囲気中でレーザ照射し、その部分のグラファイト薄膜9を除去する。グラファイト薄膜9を除去した部分では、基板1が露出する。一方、グラファイト薄膜9のうち、9A以外の部分はそのまま残存する。以上の工程により、グラファイト薄膜構造体100が完成する。
グラファイト薄膜9の除去後、電極13Aと電極13Cとは、残存したグラファイト薄膜9を介して電気的に接続している。一方、電極13B、13Dは、他の電極から、電気的に分離されている。
電極の表面に、金属Aよりも抵抗率が小さい金属Bの層を備える場合、グラファイト薄膜構造体は、例えば、以下のP1、P1‘、P2の工程を有する製造方法により製造できる。
(P1)前記金属A及び炭素を含む炭素含有金属膜を形成する。
(P1‘)炭素含有金属膜の上に、金属Bの層を形成する。
(P2)前記炭素含有金属膜の一部を局所的に熱処理して前記グラファイト薄膜を形成し、前記炭素含有金属膜のうち、前記一部以外の少なくとも一部を前記電極とする。
この製造方法の具体例を図4に基き説明する。まず、図4(1)〜(3)に示すように、基板1上に炭素含有金属膜3を形成する。この工程では、図4(2)に示すように、基板1の上に、物理気相堆積法により、炭素原子5、金属原子7を堆積し、炭素含有金属膜3を形成する。この工程は上記(P1)に該当する。
次に、図4(3‘)に示すように、炭素含有金属膜3の上に、物理気相堆積法により、金属Bの層15を形成する。この工程は、上記(P1’)に該当する。
次に、図4(4)に示すように、炭素含有金属膜3の一部3Aをレーザ光により局所的に熱処理する。熱処理後、図4(5)に示すように、3Aの部分では、グラフェンを含むグラファイト薄膜9が基板1上に析出する。また、グラファイト薄膜9上には、部分的に、金属A、金属Bの層11が残存している。
一方、炭素含有金属膜3のうち、3A以外の部分は、そのまま残存し、電極13となる。電極13の表面には、金属Bの層が形成されている。この工程は上記(P2)に該当する。なお、炭素含有金属膜3における3A以外の部分のうち、一部を電極とし、残りは電極としない(例えば除去する)ようにしてもよい。
以上の製造方法により、グラファイト薄膜構造体100が完成する。なお、上記(P2)の工程の後、さらに、上述した方法で、グラファイト薄膜9の一部を除去してもよい。
また、最初に、金属Bの層15を基板1上に形成し、次に、炭素含有金属膜3を形成してもよい。この場合も、レーザ光による熱処理を行うと、その熱処理を行った部分において、グラフェンを含むグラファイト薄膜9が基板1上に析出する。また、熱処理を行わなかった部分では、金属Bの層15及びグラファイト薄膜9がそのまま残存し、電極となる。
(実施例1)
酸化膜付きのシリコン基板上に、鉄と炭素とを含む炭素含有金属膜を、スパッタにより30nmの厚みで形成した。スパッタガスにはメタンが3vol%添加されたアルゴンガスを用い、このスパッタガス中で鉄をスパッタした。形成した炭素含有金属膜に対してXPS測定を行ったところ、炭素含有金属膜中の炭素濃度は5vol%であった。
次に、真空中で、炭素含有金属膜の一部に対し、レーザ光を照射した。このレーザ光の照射は、局所的な熱処理の一実施形態である。レーザ光の照射条件は以下のとおりとした。
レーザ:IPG社製のファイバーレーザ
レーザ照射のスポットサイズ:200μmΦ
周波数:40kHz
Duty比:78%
照射時間:10sec
その結果、図5に示すように、レーザ照射部には基板の構造色が現れた。図5において枠で囲む領域のラマン分光測定を行ったところ、レーザ照射部には鉄膜が凝集して基板のシリコンが見えており、その領域にグラフェン由来のG、D、及び2Dそれぞれのピークが分布していた。
この結果から、グラフェンを含むグラファイト薄膜がレーザ照射部に自己整合的に形成され、グラファイト薄膜と電極(炭素含有金属膜のうち、レーザ光を照射されていない部分)とを備えたグラファイト薄膜構造体が製造されたことが確認できた。
本実施例で製造したグラファイト薄膜構造体において、電極は炭素を含む。そのため、グラファイト薄膜に含まれるグラフェンが電極に固溶しにくい。その結果、グラファイト薄膜の欠陥を抑制できる。
また、本実施例においては、グラファイト薄膜の形成に用いる炭素含有金属膜を電極とすることができるので、電極を別途設ける工程が必須ではなく、グラファイト薄膜の形成後に炭素含有金属膜を除去する工程が必須ではない。よって、グラファイト薄膜構造体の製造が容易である。
(実施例2)
酸化膜付きのシリコン基板上に、鉄と炭素とを含む炭素含有金属膜を、スパッタにより20nmの厚さで形成した。スパッタガスにはメタンが5vol%添加されたアルゴンガスを用い、このスパッタガス中で鉄をスパッタした。炭素含有金属膜の形状は、ステンシルマスクを用いて、短冊状とした。
次に、図6に示すとおり、炭素含有金属膜の短冊状の領域をレーザ光が横断するように、真空中でレーザ光を照射しながら掃引(スキャン)した。このレーザ光の掃引は、局所的な熱処理の一実施形態である。レーザ掃引の条件は以下のとおりとした。
レーザ:IPG社製のファイバーレーザ
レーザ光のスポットサイズ:200μmΦ
周波数:40kHz
Duty比:80%
スキャン速度:0.3mm/sec
その結果、図6に示すように、掃引部分(レーザ掃引部)には基板の色が現れた。掃引部分に対しラマン分光測定を行ったところ、実施例1と同様に、グラフェン由来のG、D、及び2Dそれぞれのピークが分布していた。
この結果から、グラフェンを含むグラファイト薄膜がレーザ掃引部に自己整合的に形成され、グラファイト薄膜と電極(炭素含有金属膜のうち、レーザ光を掃引されていない部分)とを備えたグラファイト薄膜構造体が製造されたことが確認できた。
また、図6において、掃引部分の左右に位置する電極間の電気抵抗は、レーザ掃引前よりも約100倍高くなった。このことは、両電極は金属を介しては接続されておらず、グラファイト薄膜のみを介して電気的に接続されていることを示している。
本実施例のグラファイト薄膜構造体及びその製造方法は、前記実施例1と略同様の効果を奏することができる。
(実施例3)
実施例2の工程後、さらに、レーザ掃引部に対し、酸素を20at%含んだ窒素中でレーザ光を再度掃引した。その掃引の条件は以下のとおりとした。
レーザ:IPG社製のファイバーレーザ
スポットサイズ:200μmΦ
周波数:40kHz
Duty比:80%
スキャン速度:0.3mm/sec
レーザ光を再度掃引した部分に対しラマン分光測定を行ったところ、G、D、及び2Dそれぞれのラマンピークは消失した。また、左右の電極間の電気抵抗は10MΩ以上となり、左右の電極は電気的に分離されていた。このことは、再度のレーザ掃引によりグラファイト薄膜が消失したことを示している。
(実施例4)
実施例2と同様に、酸化膜付きのシリコン基板上に、鉄と炭素とを含む炭素含有金属膜を厚さ15nmで形成した。次に、その炭素含有金属膜の上に、金の層を厚さ10nmで形成した。
その後、前記実施例2と同様に、炭素含有金属膜の短冊状の領域をレーザ光が横断するように、真空中でレーザ光を照射しながら掃引した。
その結果、掃引部分(レーザ掃引部)には基板の色が現れた。掃引部分に対しラマン分光測定を行ったところ、グラフェン由来のG、D、及び2Dそれぞれのピークが分布していた。この結果から、グラフェンを含むグラファイト薄膜がレーザ掃引部に自己整合的に形成され、グラファイト薄膜と電極(炭素含有金属膜のうち、レーザ光を掃引されていない部分)とを備えたグラファイト薄膜構造体が製造されたことが確認できた。
また、掃引部分の左右に位置する電極間の電気抵抗は、レーザ掃引前よりも約200倍高くなった。このことは、両電極は金属を介しては接続されておらず、グラファイト薄膜のみを介して電気的に接続されていることを示している。
本実施例のグラファイト薄膜構造体及びその製造方法は、前記実施例1と略同様の効果を奏することができる。また、本実施例では、電極の表面に金の層を備えているので、電極の抵抗が一層低い。
(参考例1)
炭素含有金属膜を形成するときに用いるスパッタガスにおけるメタンの量を10vol%とした点以外は前記実施例1と同様にして、グラファイト薄膜と電極とを形成した。
炭素含有金属膜中の炭素濃度は、XPS測定の結果、10at%であった。レーザ照射後、レーザ照射部をラマン分光測定したところ、炭素析出は起きているものの、グラフェンに混ざって不定形のカーボンが多く析出していることが分かった。
(参考例2)
炭素含有金属膜の厚みを200nmとした点以外は実施例2と同様にして、グラファイト薄膜と電極とを形成した。レーザ掃引後、レーザ掃引部をラマン分光測定したところ、グラファイトの形成は確認できたが、十分に鉄が凝集せず、電極間は鉄膜により導通状態にあった。
(実施例5)
酸化膜付きのシリコン基板上に、銀の層を厚さ10nmで形成した。次に、その銀の層の上に、鉄と炭素とを含む炭素含有金属膜を、スパッタにより15nmの厚みで形成した。スパッタガスにはメタンが3vol%添加されたアルゴンガスを用い、このスパッタガス中で鉄をスパッタした。形成した炭素含有金属膜に対してXPS測定を行ったところ、炭素含有金属膜中の炭素濃度は5vol%であった。
次に、前記実施例2と同様に、炭素含有金属膜の領域をレーザ光が横断するように、真空中でレーザ光を照射しながら掃引(スキャン)した。
掃引部分に対しラマン分光測定を行ったところ、前記実施例2の場合と同様なラマンピークが観察された。また、掃引部分の左右に位置する電極間の電気抵抗は、レーザ照射前よりも約20倍高くなった。このことは、掃引部分の左右に位置する電極が分離され、それらの間を、金属を介さず、グラフェンを通して電流が流れていることを示している。
この結果から、グラフェンを含むグラファイト薄膜がレーザ照射部に自己整合的に形成され、グラファイト薄膜と電極(炭素含有金属膜のうち、レーザ光を照射されていない部分)とを備えたグラファイト薄膜構造体が製造されたことが確認できた。本実施例のグラファイト薄膜構造体は、前記実施例1と同様の効果を奏する。
(実施例6)
熱酸化したシリコンウェハ上に、鉄と炭素とを含む炭素含有金属膜を、スパッタにより20nmの厚みで形成した。スパッタガスにはメタンが5vol%添加されたアルゴンガスを用い、このスパッタガス中で鉄をスパッタした。形成した炭素含有金属膜に対してXPS測定を行ったところ、炭素含有金属膜中の炭素濃度は10at%であった。
次に、炭素含有金属膜上で電子ビーム(電子線)を走査し、ライン状の加工(熱処理)を行った。電子ビームの走査条件は以下のとおりとした。
加速電圧:30kev
電子ビーム径:10μmΦ、
電子ビーム走査速度:10mm/min
ビーム電流:70μA
電子ビームを走査した場所は、底が平坦な溝となった。図7は、その場所の共焦点レーザ顕微鏡写真である。図7の右側に、電子ビームを走査した場所付近における高低差の測定結果を示す。また、電子ビームを走査した場所に対しラマン分光測定を行ったところ、グラフェンの存在を示すスペクトルを得た(図8参照)。
この結果から、グラフェンを含むグラファイト薄膜が電子ビーム走査部に自己整合的に形成され、グラファイト薄膜と電極(炭素含有金属膜のうち、電子ビームを走査していない部分)とを備えたグラファイト薄膜構造体が製造されたことが確認できた。本実施例のグラファイト薄膜構造体は、前記実施例1と同様の効果を奏する。
(実施例7)
前記実施例6と同様に、熱酸化したシリコンウェハ上に、鉄と炭素とを含む炭素含有金属膜を形成した。
次に、基本的には前記実施例6と同様に、炭素含有金属膜上で電子ビーム(電子線)を走査し、ライン状の加工(熱処理)を行った。ただし、電子ビームのビーム電流は65μAとした。
その結果、電子ビームを走査した場所は、前記実施例6と同様の溝となった。また、電子ビームを走査した場所では、前記実施例6と同様のラマンスペクトルが得られた。
この結果から、グラフェンを含むグラファイト薄膜が電子ビーム走査部に自己整合的に形成され、グラファイト薄膜と電極(炭素含有金属膜のうち、電子ビームを走査していない部分)とを備えたグラファイト薄膜構造体が製造されたことが確認できた。本実施例のグラファイト薄膜構造体は、前記実施例1と同様の効果を奏する。
(参考例3)
前記実施例6と同様に、熱酸化したシリコンウェハ上に、鉄と炭素とを含む炭素含有金属膜を形成した。
次に、基本的には前記実施例6と同様に、炭素含有金属膜上で電子ビーム(電子線)を走査し、ライン状の加工(熱処理)を行った。ただし、電子ビーム走査速度を1mm/minとした。
その結果、電子ビームを走査した場所は、深い溝となった。図9は、その場所の共焦点レーザ顕微鏡写真である。図9の右側に、電子ビームを走査した場所付近における高低差の測定結果を示す。また、電子ビームを走査した場所では、グラフェンを示すスペクトルは得られなかった。電子ビームを走査した場所に対し、共焦点レーザ顕微鏡による高さ測定を行った。その測定結果から、電子ビームにより、シリコンウェハが溶融したことを確認した。
(参考例4)
前記実施例6と同様に、熱酸化したシリコンウェハ上に、鉄と炭素とを含む炭素含有金属膜を形成した。
次に、基本的には前記参考例3と同様に、炭素含有金属膜上で電子ビーム(電子線)を走査し、ライン状の加工(熱処理)を行った。ただし、電子ビームのビーム電流は65μAとした。
その結果、電子ビームを走査した場所は、深い溝となった。また、電子ビームを走査した場所では、グラフェンを示すスペクトルは得られなかった。電子ビームを走査した場所に対し、共焦点レーザ顕微鏡による高さ測定を行った。その測定結果から、電子ビームにより、シリコンウェハが溶融したことを確認した。
尚、本発明は前記実施の形態になんら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
例えば、炭素含有金属膜中の形成は、公知の方法(例えば特開2013−79178号公報記載の方法)を用いて行うことができる。
また、前記実施例1〜7において、スパッタ装置のターゲットは、鉄、ニッケル、コバルト、又はそれらの2種以上の合金としてもよい。この場合でも、前記実施例1〜7と同様に、炭素含有金属膜を形成することができる。
また、前記実施例1〜7において、スパッタ装置に、金属のターゲットとともに、炭素(例えばグラファイト)のターゲットも取り付け、同時スパッタにより、金属と炭素とを含む炭素含有金属膜を形成してもよい。この場合でも、前記実施例1〜7と同様に、炭素含有金属膜を形成することができる。なお、上記の場合におけるスパッタガスは、アルゴンのみであってもよいし、アルゴンと炭化水素との混合ガスであってもよい。
また、前記実施例1〜7において、スパッタガスに含まれる炭化水素は、エタン、エチレン等であってもよい。
また、前記実施例1〜7において、レーザ照射(掃引)又は電子ビーム走査は、大気圧不活性ガス中で行ってもよい。この場合でも、前記実施例1〜7と同様に、グラファイト薄膜を基板上に形成することができる。
また、前記実施例1〜7において、グラファイト薄膜の形成後、炭素含有金属膜の一部を除去してもよい。
また、前記実施例1〜7において、炭素含有金属膜から成る電極に加えて、他の電極を設けてもよい。
1…基板、3…炭素含有金属膜、5…炭素原子、7…金属原子、9…グラファイト薄膜、11…金属の層、13、13A、13B、13C、13D…電極、15…金属Bの層、100…グラファイト薄膜構造体

Claims (2)

  1. グラファイト薄膜構造体の製造方法であって、
    前記グラファイト薄膜構造体は、グラフェンを含むグラファイト薄膜と、前記グラファイト薄膜における少なくとも一部に接する電極と、を備え、
    前記電極は、物理気相堆積法により堆積された炭素原子及び金属Aの原子を含む膜であり、
    前記金属A及び炭素を含む炭素含有金属膜を形成し、
    前記炭素含有金属膜の一部を局所的に熱処理して前記グラファイト薄膜を形成し、
    前記炭素含有金属膜のうち、前記一部以外の少なくとも一部を前記電極とすることを特徴とするラファイト薄膜構造体の製造方法。
  2. 前記熱処理は、前記一部に電子線を照射する処理であることを特徴とする請求項に記載のグラファイト薄膜構造体の製造方法。
JP2014154986A 2013-08-12 2014-07-30 グラファイト薄膜構造体の製造方法 Active JP6357951B2 (ja)

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