JP6241059B2 - 透明バリアフィルム - Google Patents
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Description
これら、無機薄膜を利用した透明バリアフィルムは、酸素等のバリア特性を種々の使用条件下で向上するという点では改良された。しかし、原子、分子サイズの小さなガス(ヘリウム、水素)に対しては、従来の無機薄膜ではバリア性が不十分であった。
(PtHe/PfHe)/(PtAr/PfAr)≦1.1 ・・・ [式1]
(PtHe/PfHe)/(PtAr/PfAr)≦1.1 ・・・ [式1]
また、玩具や宣伝用に利用されるバルーンの材料として利用できる。バルーン素材に透明バリアフィルム利用することにより従来のゴム製あるいはアルミニウム蒸着フィルム製に比べて意匠性に自由度が増したバルーンが得られることが期待できる。
(PtHe/PfHe)/(PtAr/PfAr)≦1.1 ・・・・ [式1]
ここで、透明バリアフィルムのヘリウムの透過度をPtHe、アルゴンの透過度をPtArとし、基材であるプラスチックフィルムのヘリウムの透過度をPfHe、アルゴンの透過度をPfArとする。
構造的な欠陥のサイズは小さく希ガス原子レベルで、比較的大きなアルゴンと小さなヘリウムでは透過に差があることを見出した。
アルゴンガスは無機薄膜層の構造的な欠陥であってもほとんど透過できないが、割れなどの大きな欠陥は透過できる。
したがって、アルゴンガスの基材フィルムの透過度と無機薄膜層を積層した透明蒸着フィルムの透過度との比(PtAr/PfAr)をとることは、無機薄膜層の割れ等による欠陥の面積が無機薄膜層の割れ等による欠陥が無い場合の無機薄膜層の面積、すなわちフィルム表面積に比べてどの程度あるのかを表すことになる。
それに対して、ヘリウムガスは無機薄膜層の割れなどの大きな欠陥はもちろんのこと、無機薄膜層の構造的な欠陥も透過できる。
したがって、無機薄膜層の構造的な欠陥が少なければ少ないほど、ヘリウムガスの透過は無機薄膜層の割れ等による欠陥からのものになり、ヘリウムガスの基材フィルムの透過度と無機薄膜層を積層した透明蒸着フィルムの透過度との比(PtHe/PfHe)はアルゴンガスの基材フィルムの透過度と無機薄膜層を積層した透明蒸着フィルムの透過度との比(PtAr/PfAr)と同程度の値になる。 また、式1の下限は0.8であればよい。
本発明のプラスチックフィルムは、本発明の目的を損なわない限りにおいて、薄膜層を積層するに先行して、該フィルムをコロナ放電処理、グロー放電処理、その他の表面粗面化処理を施してもよく、また、公知のアンカーコート処理、印刷、装飾が施されていてもよい。
酸化アルミニウムの比率が75質量%を超えると、柔軟性が乏しくなる傾向があるためハンドリングによる割れが生じ易く、安定したバリア性が得られ難くなる場合がある。一方、酸化アルミニウムの比率が30質量%未満であるとバリア性がよくなくなる。
この処理を行うことにより無機薄膜層が緻密化されよりヘリウム、水素等が透過低減されると推測される。
水蒸気ガスは、蒸気圧が比較的低いので、その温度により処理圧力は大きく依存される。また、ある程度40℃より低い温度での処理は可能かと考えられるが、処理時間が伸びると推定される。
なお、各実施例で得られたフィルム特性は以下の方法により測定、評価した。
透過度の測定はツクバリカセイキ株式会社製 K−315N−01 気体透過率測定装置を使用して測定を行った。
透過度の測定面積は直径100mmの円で約7854mm2である。高圧側の圧力は1気圧で1013hPaある。測定温度は25℃としサンプルは無機薄膜層側を高圧側にセットした。
低圧側の圧力はMKS社のバラトロン 615A01TRCの隔膜式圧力計を使用して測定した。
使用ガスは、超高純度ヘリウムガス(99.9998%)、超高純度アルゴンガス(99.9995%)ネオンガス(99.99%)である。
高圧側の容量は約1000ml、低圧側の容量は24.42mlである。
サンプルを測定セルに装着後ターボ分子ポンプで高圧側セル、低圧側セルともに約24時間真空引きをおこない0.5Pa以下にする。
真空ポンプと切り離し高圧側ガスを導入して、低圧側の圧力上昇が一定の傾きなるまで測定し透過度を測定した。
検量線は、以下の手順に沿って作成したものを使用した。酸化アルミニウムと酸化ケイ素からなる無機薄膜の場合を例に説明する。
酸化アルミニウムと酸化ケイ素とからなる無機化合物薄膜を持つフィルムを作成し、誘導結合プラズマ発光法(ICP法)で酸化アルミニウムと酸化ケイ素それぞれの付着量を求めた。求めた酸化アルミニウムと酸化ケイ素との付着量より、作成した無機酸化物薄膜の組成を算出した。
膜厚は、無機酸化薄膜の密度がバルク密度の8割であるとし、かつ 酸化アルミニウムと酸化ケイ素とが混合された状態であってもそれぞれ体積を保つとして算出した。
酸化アルミニウムの膜中の含有率wa(%)、酸化ケイ素の膜中の含有量ws(%)は、酸化アルミニウムの単位面積当たりの付着量をMa(g/cm2)、酸化ケイ素の単位面積当たりの付着量をMm(g/cm2)とすると、各々下記式(1)、(2)で求められる。
wa=100×[Ma/(Ma+Mm)] (1)
ws=100−wa (2)
酸化アルミニウムの単位面積当たりの付着量をMa(g/cm2)、そのバルクの密度をρa(3.97g/cm3)とし、酸化ケイ素の単位面積当たりの付着量をMs(g/cm2)、そのバルクの密度をρs(2.65g/cm3)とすると、膜厚t(nm)は下記式(3)で求められる。
t=((Ma/(ρa×0.8)+Ms/(ρs×0.8))×10−7・・・式(3)
膜厚、組成を規定した無機酸化薄膜を数種類作成し、蛍光X線装置で測定することにより検量線を作成した。
蛍光X線分析装置((株)リガク製「ZSX100e」)を用いて、予め作成した検量線により膜厚組成を測定した。なお、励起X線管の条件として50kV、70mAとした。
酸化アルミニウムと酸化マグネシウムからなる無機薄膜の場合も同様に行なうが、酸化マグネシウムのバルクの密度をρmは3.65g/cm3とする。
蒸着源として、3〜5mm程度の大きさの粒子状のAl2O3(純度99.5%)とSiO2(純度99.9%)を用い、電子ビーム蒸着法で、12μm厚のPETフィルム(東洋紡績(株):E5100)上に酸化アルミニウム・酸化硅素系薄膜の形成を行った。蒸着材料は、混合せずに、ハース内をカーボン板で2つに仕切り、加熱源として一台の電子銃を用い、Al2O3とSiO2 のそれぞれを時分割で加熱した。その時の電子銃のエミッション電流は1.1A 加速電圧は30KV、Al2O3とSiO2とへの加熱比は90:30、フィルム送り速度 130m/min及び蒸着時の真空圧は1.1×10−1Pa、チルロールの冷却温度は、−10℃で行った。
このときの膜厚は24nm、酸化アルミニウム含有率は43%であった。この値は蛍光X線分析装置を使い検量線法で測定した。検量線はあらかじめICPおよびTEMを使って組成および膜厚を測定した既知のサンプルを使い作成している。
得られたサンプルを2300Pa、50℃の水蒸気ガス環境に72時間保持したのちガス透過度の測定を行った。結果を表1に示す。
実施例1−1において電子銃のエミッション電流を1.1Aとし、Al2O3 とSiO2とへの加熱比を105:15、フィルム送り速度 80m/min及とした以外は同じとした。蒸着時の真空圧は1.2×10−1Paであった。
このときの膜厚は23nm、酸化アルミニウムの含有率は70%であった。得られたサンプルのガス透過度を測定した。結果を表1に示す。
実施例1−2において得られたサンプルを蒸着直後でなく、2300Pa、50℃の水蒸気ガス環境に95時間保持したのちガス透過度の測定を行った。結果を表1に示す。
実施例1−2においてフィルム速度120m/minに上げた以外は同じとして蒸着した。蒸着時の真空圧は1.3×10−1Paであった。得られたサンプルの膜厚は14nm、酸化アルミニウムの含有率は72%であった。このサンプルを2300Pa、50℃の水蒸気ガス環境に85時間保持したのちガス透過度の測定を行った。結果を表1に示す。
実施例1−1においてSiO2の代わりにMgO(純度99.0%)を用い、電子銃のエミッション電流は1.2A 加速電圧は30KV、Al2O3とMgOとへの加熱比は95:25、フィルム送り速度30m/min及び蒸着時の真空圧は1.1×10−1Pa、チルロールの温度は、25℃で行った。
このときの膜厚は22nm、マグネシア含有率は40%であった。ガス透過度の測定を行った。結果を表1に示す。
参考例2−1においてAl2O3とMgOとへの加熱比を104:16に変更しフィルム速度を60m/minに上げた以外は同じ条件で行った。蒸着時の真空圧は1.0×10−1Paであった。結果を表1に示す。
参考例2−1においてAl2O3とMgOとへの加熱比を72:48に変更しフィルム速度を90m/minに上げた以外は同じ条件で行った。蒸着時の真空圧は0.4×10−1Paであった。結果を表1に示す。
実施例1−1において蒸着直後にガス透過度を測定した。結果を表1に示す。
実施例1−1において電子銃のエミッション電流を1.0Aとし、Al2O3とSiO2とへの加熱比を80:40、フィルム送り速度 120m/min及とした以外は同じとした。蒸着時の真空圧は1.5×10−1Paであった。
このときの膜厚は25nm、アルミナ含有率は27%であった。得られたサンプルのガス透過度を測定した。結果を表1に示す。
比較例1−2において得られたサンプルを蒸着直後でなく、2300Pa、50℃の水蒸気ガス環境に83時間保持したのちガス透過度の測定を行った。結果を表1に示す。
実施例1−4において得られたサンプルを2300Pa、50℃の水蒸気ガス環境に保持しないでガス透過度の測定を行った。結果を表1に示す。
比較例1−2においてフィルム速度を160m/minに上げた以外は同じとして蒸着した。蒸着時の真空圧は1.6×10−1Paであった。このサンプルを2300Pa、50℃の水蒸気ガス環境に保持しないでガス透過度の測定を行った。結果を表1に示す。
比較例1−5において得られたサンプルを蒸着直後でなく、2300Pa、50℃の水蒸気ガス環境に88時間保持したのちガス透過度の測定を行った。結果を表1に示す。
比較例1−1においてフィルム速度を180m/minに上げた以外は同じとして蒸着した。このサンプルを2300Pa、50℃の水蒸気ガス環境に保持しないでガス透過度の測定を行った。結果を表1に示す。
(比較例1−8)
比較例1−7において得られたサンプルを蒸着直後でなく、2300Pa 50℃の水蒸気ガス環境に93時間保持したのちガス透過度の測定を行った。結果を表1に示す。
Claims (2)
- 少なくともプラスチックフィルムの片面に無機薄膜層を有したフィルムの製造方法であって、該無機薄膜層は酸化アルミニウムと酸化ケイ素を蒸着して作成した複合酸化物からなり、酸化アルミニウムの含有率が43質量%〜72質量%であり、該無機薄膜層を40℃より60℃の温度の1000より3000Paの水蒸気ガス中で50時間以上処理する工程を含み、該フィルムのヘリウムガス透過度をその基材であるプラスチックフィルムの透過度で除した比率と同じく該フィルムのアルゴンガス透過度と基材フィルムのアルゴン透過度との比率で除した関係が下記[式1]を満たすことを特徴とする透明バリアフィルムの製造方法。
(PtHe/PfHe)/(PtAr/PfAr)≦1.1 ・・・ [式1] - 請求項1の透明バリアフィルムの製造方法においてヘリウムガス透過度が1500mL(stp)/m2・24hr・MPa以下であることを特徴とした透明バリアフィルムの製造方法。
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