JP6238050B2 - 炊飯装置 - Google Patents

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Description

本開示は、被炊飯米を炊飯する炊飯装置、および炊飯方法に関し、特に、一人分程度の少量の被炊飯米を短時間で炊飯することができる炊飯装置、および炊飯方法に関する。
近年、炊飯器は、内鍋の周囲に配置された温度センサにより検出された内鍋温度に基づいて、加熱手段であるIHコイルやヒータへの通電電流をマイクロコンピュータ(マイコン)によって制御し、吸水工程、昇温工程、炊き上げ工程(沸騰工程)、追い炊き工程、蒸らし工程という炊飯工程それぞれにおいて内鍋の温度を細かく調整することで、炊飯量や環境温度の変化に左右されずにおいしいお米を炊くことができるようになっている。また、通常の炊飯に限られず、おかゆや炊き込みご飯などの各種の炊飯メニューを備えたものも実用化されている。このような、いわば高級志向の炊飯器が開発されて大きな市場を形成している一方で、世帯人数の減少傾向に伴って3合程度以下の小容量炊飯器の販売比率が増加する傾向にあり、炊飯器の2極化が進んでいる。
また、スーパーやコンビニエンスストアなどにおいて、炊飯米などのパック食品、レトルト食品や、総菜などの調理済み食品の売り上げが増加するなど、食事の形態としての中食が大きな割合を占めるようになっている。この背景には、婚姻率の低下や高齢化社会の進展という日本社会の変化に伴って、食事を一人で食べる個食化が進展していることが指摘されている。
このような中食化、個食化の進展に伴って、一人分に相当する0.5合から1合程度の少量の米を、例えば、10分以下の短時間で、しかもなるべく簡易に炊飯できることに対する潜在的な需要はかなり大きいと推定される。小容量のご飯を短時間で炊くことができる炊飯方法として、電磁誘導で発熱する材料からなる釜敷を電磁調理器上に載置し、蓄熱板上に炊飯釜を載せて炊飯する方法が提案されている(特許文献1参照)。
登録実用新案第3041830号公報
上記従来の炊飯方法では、炊飯する米の容量に対応した炊飯釜を使用することで、少量の米を炊飯することができる。しかし、特許文献1に記載の方法では、従来の炊飯器に採用されているような炊飯プログラムによる炊飯工程の制御は行われないため、使用者が炊飯釜内のお米や水の量に基づいて、適宜加熱量の調整をする必要がある。
一方、炊飯工程を制御する制御部を備えた自動炊飯が可能な炊飯器でも、例えば1合などの少量炊飯を行うことができるように、少量炊飯のプログラムを備えているものも多い。しかし、これら従来の自動炊飯可能な炊飯器では、設定されている炊飯プログラムが3合、5.5合といった最大炊飯量のご飯を炊くことにも対応したものであるため、少量米の早炊き炊飯プログラムという最も短時間で炊飯が完了する炊飯プログラムを利用した場合でも、約20分程度以上の炊飯時間を要してしまう。また、炊飯器として一定の大きさを有しているため炊飯器の配置場所の問題が生じ、さらに、炊飯後のお手入れも少量炊飯の場合に簡素化できるわけではないなど、ユーザの手間がかかってしまうという問題がある。このように従来の炊飯器は、少量炊飯に求められる手軽さという観点からユーザの要望に十分に応えたものとは言えない。
本開示は、このような従来の炊飯器における課題を解決するものであり、一人分程度の少量の炊飯を、短時間で、しかも、手軽に行うことができる炊飯装置、および炊飯方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本開示の炊飯装置は、給水タンクと、被炊飯米が収容された炊飯容器を収容する炊飯容器収容部と、前記給水タンクから供給された水を加熱して蒸気を生成する加熱手段と、前記加熱手段で生成された蒸気と湯とを用いた炊飯工程を制御する制御部とを備え、前記加熱手段で生成された蒸気と湯とを同一の経路を介して前記炊飯容器の上方から前記炊飯容器内に供給して前記被炊飯米を炊飯する炊飯装置であって、前記加熱手段において前記水から生成された湯を、前記炊飯工程における吸水工程で、前記蒸気とともに前記炊飯容器内に供給することを特徴とする。

本開示の炊飯装置は、制御部が、給水タンクの水を加熱手段で加熱して生成した蒸気を、炊飯容器内に収容された被炊飯米に供給して炊飯するものである。このため、ユーザは、給水タンク内の水と炊飯容器内の被炊飯米を用意すればよく、所定量のご飯を簡易に、かつ、短時間で炊飯することができる。
また、本開示の炊飯方法は、加熱手段で生成した湯と蒸気とを用いて、炊飯容器内の被炊飯米を炊飯するものである。このため、特に小容量の炊飯に適した、短時間で炊飯可能な炊飯方法を実現するものである。
本実施形態にかかる炊飯装置の全体構成例を示す断面図である。 本実施形態にかかる炊飯装置に用いられる炊飯容器の構成例を示す断面図である。 本実施形態にかかる炊飯装置での炊飯方法を説明する断面図である。 本実施形態にかかる炊飯方法の炊飯工程の流れを説明するフローチャートである。 本実施形態にかかる炊飯装置の他の構成例を説明する断面図である。
本開示の炊飯装置は、給水タンクと、被炊飯米が収容された炊飯容器を収容する炊飯容器収容部と、前記給水タンクから供給された水を加熱して蒸気を生成する加熱手段と、前記加熱手段で生成された蒸気を用いた炊飯工程を制御する制御部とを備え、前記加熱手段で生成された蒸気を前記炊飯容器内に供給して前記被炊飯米を炊飯する。
上記構成を備えることで本開示の炊飯装置は、給水タンクから供給された水を加熱装置で加熱して生成した蒸気によって、炊飯容器内の被炊飯米が自動的に炊飯される。このためユーザが、所定量の水と所定量の被炊飯米を用意することで、容易にかつ短時間で、所定量のご飯を炊くことができる。
上記本開示の炊飯装置において、前記加熱装置において前記水から生成された湯を、前記蒸気とともに前記炊飯容器内に供給することが好ましい。このようにすることで、高温の湯を用いて炊飯工程における給水工程を実行することができ、より短時間での炊飯を可能とすることができる。
また、所定量の被炊飯米が予め収容されたカートリッジ方式の炊飯容器を前記炊飯容器として前記炊飯容器収容部内に収容可能であるようにすることが好ましい。このようにすることで、ユーザは、被炊飯米が収容されたカートリッジ方式の炊飯容器を購入し、この炊飯容器をそのまま炊飯装置の炊飯容器収容部に装着することで、所望の種類かつ所望量のご飯を炊飯することができる。
また、本開示の炊飯方法は、給水タンク内の水を加熱手段で加熱して湯と蒸気とを生成し、生成した前記湯と前記蒸気とを炊飯容器内に収容された被炊飯米に供給して前記被炊飯米を炊飯するものである。
このようにすることで、本開示の炊飯方法によれば、給水タンク内の所定量の水を用いて、炊飯容器内の被炊飯米を高温の湯と蒸気とを用いて炊飯することができる。このため、小容量の米を、短時間で、かつ、簡易に炊飯することができる炊飯方法を提供することができる。
本開示の炊飯方法において、前記加熱手段で生成され前記被炊飯米に供給される湯と蒸気の温度を制御して、給水工程、炊き上げ工程、蒸らし工程を経て前記被炊飯米を炊飯することが好ましい。このようにすることで、湯と蒸気とを用いた炊飯プログラムにしたがった炊飯を行うことができる。
また、前記炊飯容器が、予め所定量の被炊飯米が収容されたカートリッジ方式の炊飯容器であり、前記カートリッジ方式の炊飯容器を炊飯装置の炊飯容器収容部に装着して前記被炊飯米を炊飯することが好ましい。このようにすることで、ユーザが所望の種類かつ所望量の被炊飯米が収容された炊飯容器を選択することで、所望するご飯を炊飯することができる炊飯方法を実現することができる。
以下、本開示にかかる炊飯装置および炊飯方法について、具体的な実施形態を用いて説明する。
図1は、本実施形態にかかる炊飯装置の概略構成を示す断面図である。
本実施形態の炊飯装置は、本体上部1および本体下部2と、本実施形態の炊飯装置では着脱可能に配置された給水タンク3とを有している。また、本体上部1と本体下部2との間には、被炊飯米となるお米を入れた炊飯容器5(図2参照)を収納することができる炊飯容器収容部4が形成されている。
本実施形態にかかる炊飯装置では、第1の構成として、本体上部1が、図1では図示しないヒンジ機構などによって本体下部2の上面に回動可能に取り付けられ、従来の炊飯器における蓋部のように、炊飯容器収納部4を開閉可能に覆うようにすることができる。また、本実施形態にかかる炊飯装置の第2の構成として、本体上部1と本体下部2とが一体に形成されていて、本体下部2の側面の炊飯容器収容部4の側方に相当する位置に設けられた図示しない開口部から、炊飯容器5を略水平方向に移動させて炊飯容器収納部4内に挿入/取り出し可能であるようにすることができる。
本体上部1には、本体下部2の下部吸入管25に繋がる上部吸入管11と、上部吸入管11内部を通過する湯や蒸気を加熱する加熱手段の一部としての第2加熱手段であるヒータ12が配置されている。なお、上部吸入管11のヒータ12の入口側と出口側に図示しない温度センサが配置されていて、上部吸入管11内部を通過する湯や蒸気の温度を図示しない制御部が把握できるようになっている。
上部吸入管11の終端部はノズル13に接続されていて、上部吸入管11を通過した湯や蒸気はノズル13から炊飯容器収容部4へと放出される。本実施形態の炊飯装置では、本体上部1の下面側に、炊飯容器収容部4の上面を覆うように多数の開口14aが形成された内蓋14が配置されている。また、内蓋14の周囲には、炊飯容器収容部4に炊飯容器5が収容された際に、炊飯容器5の上部周辺部分と当接して炊飯容器5内に供給される湯や蒸気の漏れを低減するための環状パッキン材15が配置されている。
また、本体上部1には、本体下部2に配置された下部排気管27に当接して上部排気管16が形成されていて、上部排気管16は本体上部1の上面に形成された蒸気排気口17に接続されている。この下部排気管27、上部排気管16、蒸気排気口17は、炊飯容器収容部4内に供給された蒸気の余剰分を炊飯装置の外部へと排出する余剰蒸気排出経路となる。本実施形態の炊飯装置では、上部排気管16から蒸気排気口17への排気の効率を向上させるとともに、上部吸入管11からノズル13を介して炊飯容器収容部4へと供給される湯や蒸気量の制御を可能とするために、本体上部1内部に上部排気管16内の蒸気を蒸気排気口17側へと送り出す送風ファン18が設けられている。なお、この送風ファン18は、本開示の炊飯装置において必須の部材ではなく、炊飯容器収容部4への湯や蒸気の供給と、余剰蒸気の炊飯装置外部への排出が十分に制御可能な限りにおいて、送風ファン18は不要である。
本体下部2には、本実施形態の炊飯装置では着脱自在のカートリッジ形式である給水タンク3に接続される給水管21、給水タンク3から所定量の水を吸入するポンプ22、ポンプ22から送出された水を加熱手段の一部である第1加熱手段であるボイラ24へと送る送水管23、ボイラ24で加熱された湯および/または蒸気を、本体上部1側へ送る下部吸入管25が配置されている。
本体下部2には、炊飯容器収容部4が設けられていて、上述したように、本体上部1を蓋のように開閉することで、または、本体下部2の側面に形成された図示しない開口部から略水平方向に移動させることで、米が収容された炊飯容器5が炊飯容器収容部4内に配置可能となっている。なお、本実施形態の炊飯装置において、炊飯容器収容部4は、平面視円形に構成されていて、略円筒形状の炊飯容器5が内部に収容されるようになっている。
炊飯容器収容部4の上端部分には、外側に向かって一定の幅を有する炊飯容器受け部26が形成されている。この炊飯容器受け部26に、炊飯容器5に形成された外側へ向かって伸延する鍔部5b(図2参照)が載置されることで、炊飯容器5が炊飯容器収容部4内に、その下面を炊飯容器収容部4の底面4aから離間させた状態で配置可能としている。
炊飯容器収容部4の側壁4bの上部側には開口4cが形成されていて、開口4cには、本体上部1のノズル13から炊飯容器収容部4内に供給されて、炊飯容器5を通過した蒸気を排出するための下部排気管27が接続されている。下部排気管27は、上述のように本体上部1の上部排気管16に接続されている。
本実施形態の炊飯装置では、炊飯容器収容部4の底面4aの外面に接して、保温ヒータ28が配置されている。保温ヒータ28は、炊飯容器収容部4内に配置された炊飯容器5内の炊飯完了後のご飯を所定時間保温することができる。
給水タンク3は、内部に必要量の水31を収容可能な容器であり、本実施形態の炊飯装置では給水タンク3が着脱可能なカートリッジ方式となっている。このためユーザは、炊飯時に必要な量の水31を炊飯装置から取り外した給水タンク3内に収容して、炊飯開始時に給水タンク3ごと炊飯装置に装着することができる。なお、図示は省略するが、ユーザが必要な量の水31を給水タンク内に供給できるように、給水タンク3に図示しない水量確認窓を形成するなど少なくともその一部を透明にして、内部の水量を確認できるようにすることが好ましい。
なお、給水タンク3は、あらかじめ必要な量の水が封入されたパック形式となっていて、ユーザが例えば同様にパック形式となっている内部に所定量のお米が収容されている炊飯容器5とともに購入できるようにすることができる。このようにすることで、ユーザは、炊飯対象となる被炊飯米の分量に応じた量の水31を、給水タンク3ごと購入することができ、給水タンク3内に必要量の水を調整して供給する必要が無くなる。また、給水タンク3は着脱可能とする必要は無く、炊飯装置に不可分な状態で形成されていて、ユーザが給水タンク3の上面などに適宜設けられた図示しない蓋部を開けて、給水タンク3内に必要量の水31を投入できるようにしてもよい。さらに、給水タンク3から必要以上の水がポンプ22やボイラ24へと供給されることを防止するために、給水タンク3からの経路に流量計を設けて、給水タンクから供給される水量を監視するようにすることができる。また、流量計によってポンプ22の動作を制御する方法の他に、流量計と併せて給水タンク3からの水の供給を制御可能な電磁式などによる給水弁を備えることで、給水タンク3からボイラ24へと供給される水の量をより正確に制御することができる。
図2は、本実施形態の炊飯装置で炊飯時に使用される炊飯容器の構成を説明する断面図である。
図2に示すように、本実施形態の炊飯装置で炊飯時に使用される炊飯容器5は、有底の円筒形状を有していて、側面5aの上端部には環状に外側へと延出する鍔部5bが形成されている。また、本実施形態の炊飯装置で炊飯時に使用される炊飯容器5の底面5c中央部には、上方へと突出して形成された凹部5dが形成されていて、凹部5dの中心部分には炊飯容器5内部を通過する蒸気の通過孔である蒸気孔5eが形成されている。蒸気孔5eは、炊飯容器5内に収容される被炊飯米である生米51が通過して落下してしまわない大きさとなっている。
本実施形態の炊飯装置では、後に詳述するように炊飯容器内部に湯と高温の蒸気を供給することで内部に収容された生米51を炊飯するものであるため、炊飯容器5としては、熱伝導性の低いポリプロピレン(PP)などの樹脂製であることが好ましい。本実施形態の炊飯装置に用いられる炊飯容器5として、通常の炊飯器の内鍋のような金属製のものを用いることは可能であるが、炊飯容器5の熱伝導性が高いと炊飯容器5に熱が伝わってしまい炊飯完了までの時間が長引くおそれがある。このため、短時間での炊飯完了を目的とする本開示の炊飯装置においては、金属製の炊飯容器を使用する場合はなるべく熱伝導性が低い材料を用い、かつ、肉厚を薄く形成するなどの配慮が必要となる。なお、本実施形態の炊飯装置では、後述するように100℃を超える高温の蒸気が炊飯容器5に供給されるものであるため、炊飯容器5として耐熱温度が120℃程度以上の材料を用いることが必要となる。
本開示の炊飯装置に用いられる炊飯容器の形態としては、炊飯装置の付属品としての炊飯容器に、ユーザが使用の度に所定量の生米を投入して繰り返して使用するものが考えられる。この場合、所定量の生米をパック化して販売し、ユーザが、必要量の生米パックを購入可能とする形態とすることで、少なくとも炊飯容器への生米の投入時に被炊飯米の分量を量って所定量に調整する手間を省くことができる。また、いわゆる雑穀米や餅米などの白米以外の米をパック化することで、ユーザが食べたい種類のお米を被炊飯米として容易に選択可能とすることができる。
さらに、生米を入れた炊飯容器をカートリッジとして販売する形態も考えられる。この場合には、販売時には、図2に示した炊飯容器の上面と下面の少なくとも凹部部分とをそれぞれ塞ぐ取り外し可能なシール部材を配置しておき、炊飯開始直前にユーザがこの上下のシール部材を炊飯容器から剥がした後に炊飯容器を炊飯容器収容部に装着するようにする。このようにすることで、カートリッジ方式の炊飯容器を容易に販売経路に載せることができる。また、カートリッジ方式の炊飯容器として、内部に収容されているお米の量や種類を異ならせた各種の炊飯容器パッケージを作成することで、ユーザは、手軽に食べたいご飯の種類と量とを選択することかできるようになる。
なお、カートリッジ方式の炊飯容器をパッケージ化する場合には、炊飯容器の上部の開口部分を覆うメッシュ状の部材を配置することで、上部の開口を覆うシール部材を安定して固着することができる。なお、メッシュ状部材の開口の大きさやその密度は、炊飯容器が炊飯容器収容部内に配置された際に、上方の内蓋14に形成された開口14aを通過して炊飯容器内の生米に供給される湯や蒸気を妨げないものとすることが必要である。さらにまた、メッシュ状部材は、炊飯完了後には炊飯容器内部の炊きあがったご飯をユーザが取り出す際に容易に除去できる構成とすることが必要である。また、メッシュ状部材は、供給される湯や蒸気がもれなく炊飯容器内に供給されるように、炊飯装置の炊飯容器収容部4に装着された状態で、炊飯容器の内蓋14の形状に沿うように変形可能な材料で形成することが好ましい。
さらに、カートリッジ方式の炊飯容器をパッケージ化する場合には、上記した炊飯容器の底面に蒸気孔を形成して流通過程ではこれを覆うシール部材を配置し、ユーザが炊飯容器を炊飯装置に収容する際にこのシール部材を取り除く方法以外に、炊飯容器の底面に蒸気を通す膜を設けておく方法が考えられる。流通過程において炊飯容器全体がパッキングされていることなどによって、この蒸気を透過する膜にゴミなどの異物や汚れが付着するおそれがない場合には、この膜をシール部材等で覆う必要が無くなるため、ユーザに対してシール部材を剥がす手間を掛けずに、炊飯容器を炊飯装置の炊飯容器収容部に載置してもらうことができる。
以下、本開示にかかる炊飯方法について、本実施形態の炊飯装置を用いて炊飯を行う場合を例示して説明する。
図3は、本実施形態の炊飯方法を説明するための図であり、図1を用いて説明した本実施形態の炊飯装置の炊飯容器収容部に、図2を用いて説明した炊飯容器を装着した状態を示す断面図である。また、図4は、本実施形態にかかる炊飯方法における炊飯工程を説明するフローチャートである。
図3は、本実施形態の炊飯装置において、給水タンク3内に必要量の水31が収容され、炊飯容器収容部4内に所定量の生米51が収容された状態の炊飯容器5が配置された状態を示している。
この状態が、本実施形態の炊飯方法における炊飯開始時の炊飯装置の状態であり、図4のフローチャートにおけるステップS101である、水と被炊飯米とがセッティングされた状態を示している。
次に、ユーザが炊飯開始を指示する(ステップS102)。
炊飯開始の指示は、炊飯装置に配置されている図示しない操作ボタンをユーザが操作すること等により行われる。なお、炊飯開始の指示と同時に、炊飯対象の生米の種類や何合または何人分の炊飯かの炊飯量の指示をユーザが行うようにすることができる。また、上述したカートリッジ方式の炊飯容器5を用いる場合には、炊飯容器5の内部に収容されている米の種類や量が外部から判別できるような機構を設けておいて、炊飯装置にカートリッジ方式の炊飯容器5をセットすると同時にその内容を炊飯装置の制御部が自動的に検知するようにすることができきる。このようにすることで、ユーザが炊飯するお米の種類や量の指示を行う手間を解消すると共に、ユーザによる誤入力で正しい炊飯プログラムが起動しないというトラブルを回避することができる。
また、給水タンク3内の水31の量を検知するセンサを備えることで、水31の量に過不足がある場合には警告を発してユーザに是正を促すことができるようにすることができる。さらに、上述したように、予め炊飯容器内部の被炊飯米に対応した量の水が収容されているカートリッジ式の給水タンク3を用いる場合には、給水タンク3と炊飯容器5とが正しく対応したものであるか否かを制御部が判断して、正しくない場合には、炊飯を開始せずにユーザに警告を与えるなどの処置を執らせることができる。
以降は、図示しない制御部が、所定のプログラムにしたがって、炊飯装置のポンプ22、ボイラ24、ヒータ12、送風ファン18等を適切なタイミングで制御して、被炊飯米に対応した炊飯工程を自動的に行う。なお、制御部は、従来の炊飯器に搭載されているような、いわゆるマイクロコンピュータや所定の演算処理を行うCPUと記憶媒体であるメモリとの組み合わせで構成することができる。
また、従来の炊飯器が備える表示部を操作部に配置することで、上記した各種の警告表示や、炊飯工程の進行状況、炊飯完了までの所要時間を適宜表示することができる。さらに、近年炊飯器にも搭載されているような、携帯電話やスマートフォン、タブレット型パソコンとの連携機能によって、ユーザからの炊飯開始に関する指示や炊飯装置からの警告表示などが、炊飯装置から離れた状態で行われるような構成を採用することもできる。
以下の炊飯工程において炊飯容器5へと供給される湯や蒸気の流れを、図3中に矢印として示している。
ユーザによって炊飯開始が指示されると、制御部は、所定の炊飯プログラムにしたがって、炊飯装置のポンプ22が所定量の水31をボイラ24に送り、ボイラ24内で水31を加熱する(ステップS103)。ボイラ24によって加熱された水31から、所定温度の湯と所定温度の蒸気が生成される。
所定の温度となった湯は、図1で示した吸水管を通ってヒータ12を介し、必要な温度にさらに調整されてノズル13で拡散されて炊飯容器5内に注入される。また、所定温度の蒸気も、吸水管を通ってヒータ12によって必要に応じた温度調整が行われて、ノズル13によって拡散されて炊飯容器5内部に供給される。このように、一例として80〜95℃の湯と、100℃以下の蒸気が炊飯容器5内に供給されて、炊飯工程の最初である給水工程が行われる(ステップS104)。
なお、本実施形態の炊飯装置では、炊飯工程において湯を炊飯容器5内に注入する場合に、給水タンク3から水31をボイラ24に供給したポンプ22を用いて、ボイラ内の所定温度の湯を機器上部のヒータ12やノズル13へと送り出している。このとき給水タンク3内に加熱されていない状態の水31が残っていないようにすること、または、ボイラ24内で所定温度となっている湯と後から給水された水31とが混ざらないようにすることに配慮して、炊飯容器内へ供給する湯の温度が不所望に下がらないようにする必要がある。また炊飯装置を、ボイラ24内の所定温度となった湯を炊飯容器5まで送出することができる、第2のポンプなどの給水手段を備えた構成とすることも考えられる。
本実施形態の炊飯装置による炊飯方法では、給水工程(ステップS104)において蒸気と共に湯が炊飯容器5内に供給される。図2を用いて説明したように、本実施形態の炊飯装置に用いられる炊飯容器5の底面5cの中央部に、上方に凸の凹部5dが形成されていて、凹部5dの中央部分、すなわち、炊飯容器5の底面5cよりも少し高い位置に蒸気孔5eが形成されているため、炊飯容器5内部に供給された湯は炊飯容器5内部に留まることができる。このため、加熱された湯によって、効果的な給水工程を実行することができる。
また、炊飯容器5内部の米51を通過して、炊飯容器5底面の蒸気孔5eから炊飯容器収容部5内へと排出された蒸気は、送風ファン18によって、排気管から蒸気排気口17へと送られて炊飯装置の外部に排出される。このように、余剰の蒸気が炊飯装置の外部へと排出される流れが形成されることにより、炊飯容器5内への湯と蒸気の供給を安定して行うことができる。
次に、炊き上げ工程(ステップS105)において、ボイラ24またはヒータ12によってさらに高温に制御された蒸気が炊飯容器内に供給される。炊き上げ工程で供給される蒸気温度は、例えば約100℃とすることができる。なお、炊き上げ工程においても、蒸気と共に蒸気と略同様な温度(一例として約100℃)となった湯を炊飯容器5内に供給することもできる。給水工程(ステップS104)と炊き上げ工程(ステップS105)で炊飯容器5内に供給された湯は、炊き上げ工程の完了時点では炊飯容器5内の米51に吸収、もしくは、高温の蒸気によって蒸散されているように制御されることが好ましい。
その後、さらに高温(一例として105℃等100℃以上の温度)に制御された蒸気が、炊飯容器5内に供給される蒸らし工程(ステップS106)となる。このとき、炊飯容器5内部の米51は、水分を吸って膨張して、投入時の量を示す図3における実線Aのラインから、図3における点線Bのラインに達している。例えば、1合の白米を炊飯する場合であって、炊飯容器5の直径が65mmφである場合には、ラインAの高さが32mm、ラインBの高さが76.8mmとなる。
この蒸らし工程(ステップS106)においては、炊飯容器5内に湯が供給されるとしても、その量は極めて少ない量に制御される。
蒸らし工程(ステップS106)が終了すると、炊飯が完了する(ステップS107)。
炊飯装置は、音声やランプの点灯/消灯などの既知の手段によって、炊飯完了をユーザに知らせるようにすることができる。
本実施形態の炊飯装置は、図1を用いて説明したように、炊飯容器収容部4の底面外側に保温ヒータ28を備えているため、炊飯完了後はユーザの予めの指示によって、もしくは、自動的に、保温モード(ステップS108)へと移行する。なお、本実施形態の炊飯装置では、少量の米を短時間で炊飯するものであるため、炊飯開始後にユーザが炊飯装置から長時間離れることは想定しにくいため、保温機能は必須のものではない。
なお、上記実施形態では、炊飯容器に収容される被炊飯米として、生米を用いる例について説明したが、本開示の炊飯装置に用いられる炊飯容器内に収容される被炊飯米としては、生米に限らず、所定量の給水を行わせた加工米を用いることもできる。給水処理が行われた加工米を被炊飯米として用いることで、炊飯工程における給水工程を簡略化することができるため、炊飯完了までの時間をさらに短くすることができる。
以上説明したように、本実施形態の炊飯装置を用いた炊飯方法では、0.5〜3合以下程度の少量の米を、高温の湯や蒸気を用いて短時間に炊飯するものである。発明者らの試算では、上記本実施形態にかかる炊飯方法によれば、1合の生米を炊飯するために約10分程度、本実施形態の炊飯方法に対応した給水を予め行った加工米の場合には約5分程度で、炊飯を完了することができる。また、炊飯容器の形状や供給する湯、蒸気の温度、量を最適化することにより、1合の生米を5分程度で炊飯することが可能となると想定している。
このように、本実施形態の炊飯装置、および、炊飯方法によれば、従来の炊飯器における炊飯プログラムの範囲で最短の炊飯プログラムである「1合、早炊き」を選択した場合に約20分程度必要としていた炊飯時間を、5〜10分程度へと大幅に短縮することができる。
また、炊飯に必要な水、生米もしくは加工米を、給水タンクや炊飯容器内に投入し、炊飯開始の指示を行うだけの極めて簡単な操作で、少量のご飯を短時間で炊飯することができる。特に、生米を炊飯容器内に予め収容したカートリッジ形式の炊飯容器を用いることで、ユーザが所望の種類と量のカートリッジを選択するだけで、これらの米を炊飯することができるため、内食化の進展と世帯人数の減少による個食化の進展という現在の社会情勢に適合した炊飯を行うことができる。
図5は、本実施形態にかかる炊飯装置の他の構成例を示す断面図である。なお、図5では、炊飯容器が炊飯装置内に収容された状態を示している。
図5に示す炊飯装置では、図1に示した炊飯装置と異なり、炊飯容器内に炊飯容器の下方から蒸気が供給される。
図5に示す他の構成である変形例の炊飯装置では、炊飯装置の本体上部101には、炊飯容器の本体下部102内に形成された炊飯容器収容部104に収容された炊飯容器105内を通過した余剰蒸気の排出経路となる蒸気排出管117と蒸気排出口118が配置されているのみであって、図1に示した炊飯装置とは異なり、蒸気の温度を最終的に調整する第2の加熱装置であるヒータ115は本体下部102内に配置されている。
このため、図5に示す変形例の炊飯装置では、給水タンク103内の水131は、本体下部102のポンプ111によって、吸水管112を経て第1の加熱装置であるボイラ113で加熱された後、吸水管114を経て本体下部102内の第2の加熱装置であるヒータ115に供給される。ヒータ115で所定の温度に調整された蒸気は、炊飯容器収容部104の下方に配置されたノズル116から炊飯容器105の底面105aに形成された開口105bを介して炊飯容器105内部の米151に供給される。なお、図5に示す炊飯容器105では、炊飯容器105の底面が2重の構成となっていて、底面105aのさらに上方にもう一つの内側底面105cが形成されている。このようにすることで、内側底面105cに形成されている開口の大きさを被炊飯米が落下しない大きさとすることで、外側に位置する底面105aに形成された開口105bの大きさを大きくすることができ、下方のノズル116から供給される蒸気の流れを十分に拡散して、効率よく炊飯容器105内へと蒸気を導入することができる。
図5に示す変形例の炊飯装置において、炊飯容器105の上面は、本体上部101に形成された排気管117と対向していて、炊飯容器105内の被炊飯米151を通過した蒸気は、蒸気排出口118から外部に放出される。
なお、図5に示した変形例の炊飯装置の場合も、炊飯容器105の上端部には環状に外側に延出する鍔部105dが形成されていて、炊飯容器収容部104内で炊飯容器105の底面105aが炊飯容器収容部104の底面に配置されたノズル116から離間した状態で保持されるようになっている。
図5に示した変形例の炊飯装置では、炊飯容器105の下方から炊飯容器105内の米151に蒸気を供給する形式であるため、ヒータ115などの加熱手段や蒸気を供給する吸入管114、ノズル116などの部材を、全て本体下部102内に配置することができる。このため、本体上部101の構成を簡略化でき、その結果として、本体上部101と本体下部102との間で吸水管や排気管の接合部分を形成する必要が無くなる。このため、本体上部101を図示しないヒンジ機構により、炊飯容器収容部104を開閉可能に覆う蓋部材とすることができる。この結果、ユーザが炊飯装置内に炊飯容器105を収容する動作を、従来の炊飯器での動作のように炊飯装置の蓋を開ける動作によって容易に行うことができる。
なお、図5に示す構成では、炊飯容器105内に湯を供給することは困難となる。このため、図5に示した変形例の炊飯装置では、炊飯容器105に収容される被炊飯米151として、予め給水処理を行った加工米を投入するようにするなどの調整が必要である。また、図示は省略するが、図5に示した変形例の炊飯装置において、炊飯容器105の上部側方から炊飯容器105内にボイラ113で加熱された湯を蒸気とは別の経路で供給する吸水管を別途配置して、給水タンク103からボイラ113へと水131を供給するポンプ111、もしくは、湯を供給するために別途設けた吸水用の第2のポンプを用いて、炊飯容器105内に加熱された湯を供給することができるようにすることも考えられる。
以上、本開示にかかる炊飯装置と炊飯方法についての実施形態として、炊飯容器として平面視が円形の円筒形状のものを用いて説明したが、炊飯容器は円筒形状のものに限らない。ただし、例えば平面視を多角形の形状とする場合には、辺の数をなるべく多くするか各辺を円弧部で接続するなどして、内部に収容された被炊飯米の全体に湯または蒸気が供給される形状とすることが好ましいことは言うまでもない。
また、上記実施形態では、給水タンク内の水を加熱する加熱手段として、水から高温の湯と蒸気とを生成するボイラと、ボイラで生成された湯や蒸気の温度を調整して所望の温度として炊飯容器内へと供給するヒータとの2つの加熱手段を用いたものを説明した。しかし、本開示の炊飯装置において、加熱手段は2つには限られず、ボイラのみの1つの加熱手段を有する構成や、さらに第2のボイラもしくは第2のヒータを加えた3つ以上の加熱手段を用いる構成などを採用することができる。
また、ボイラやヒータ以外の加熱手段として、マイクロ波により水分を加熱する方法や、容器内に収容されている水の中に投げ込み方式のヒータを配置する方法など、所定量の水を所定の温度に加熱することができる各種の手段を加熱手段として用いることができる。
さらに、図1に示す炊飯装置において、保温のためのヒータを炊飯容器収容部の下面にのみ配置した例を示したが、保温ヒータは、炊飯容器収容部の側面にも配置することができる。また、炊飯容器収容部の周囲に配置されるヒータによって、炊飯後の保温だけではなく、炊飯工程中の加熱を行わせる構成も採用することができる。
上記実施形態では、給水タンク内の水を加熱手段や炊飯容器へと供給する供給手段として、ポンプを用いるものを例示した。本開示の炊飯装置として用いられる給水手段としては、ポンプ以外に、給水タンク内に配置された加圧手段によって給水タンク内の水を送り出す方法など、所定の水量を供給することができる既知の各種手段を用いることができる。
本開示の炊飯装置、および炊飯方法は、少量の被炊飯米を短時間で自動的に炊飯することができる。このため、ユーザが所望する種類と量のご飯を短時間で炊飯することができる手軽な炊飯装置、炊飯方法として、中食化、個食化が進展する現代において極めて有用である。
3 給水タンク
4 炊飯容器収容部
5 炊飯容器
12 ヒータ(加熱手段)
24 ボイラ(加熱手段)
31 水
51 被炊飯米

Claims (2)

  1. 給水タンクと、
    被炊飯米が収容された炊飯容器を収容する炊飯容器収容部と、
    前記給水タンクから供給された水を加熱して蒸気と湯とを生成する加熱手段と、
    前記加熱手段で生成された蒸気と湯とを用いた炊飯工程を制御する制御部とを備え、
    前記加熱手段で生成された蒸気と湯とを同一の経路を介して前記炊飯容器の上方から前記炊飯容器内に供給して前記被炊飯米を炊飯する炊飯装置であって、
    前記加熱手段において前記水から生成された湯を、前記炊飯工程における吸水工程で、前記蒸気とともに前記炊飯容器内に供給することを特徴とする炊飯装置。
  2. 所定量の被炊飯米が予め収容されたカートリッジ方式の炊飯容器を前記炊飯容器として前記炊飯容器収容部内に収容可能である請求項に記載の炊飯装置。
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