JP6237207B2 - 食品包装容器 - Google Patents
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Description
このような殺菌処理の条件としては、包装食品の原料を十分に殺菌できる条件を選択する必要があるが、一方で、殺菌処理後にその食品の品質が劣化しないように処理することが重要である。
レトルト食品は、鳥獣類や魚介類を含む動物性の食品など幅広い食品を対象に提供されている。特に、魚介類の中でもエビは、種々の食品に利用されるものであり、そのレトルト食品も提案されている(特許文献1,2)。
エビは2分〜8分間程度の煮沸(ボイル)を行うと、筋肉タンパク質が変性して、その食感が非加熱のものよりも一層良好となる。しかし、レトルト殺菌処理のように過度の加熱を行う場合、エビの筋肉組織は脆弱化して、エビに特有の弾力性のある食感(プリプリ感)がなくなり、噛むとボロボロと崩れるような脆い食感(ボソボソ感)を呈するようになる。また、食感だけでなく、外観(色調)、香り、味、及びテクスチャーなども劣化するという問題があった。
例えば、煮魚等のようないわゆる煮汁付き加工食品を包装するための容器として、固形物(煮魚)と煮汁とを分離して煮汁が固形物に過度に浸透して味覚や風味が低下することを防ぐために、非溶着部を有する熱溶着ラインによって、主収納部と副収納部とに区画した包装用袋が提案されている(特許文献4)。
また、商品と商品から出たドリップが共存することによる見た目や日持ちの悪さを回避するために、仕切り部によって製品収納部とドリップ受入れ部が形成された袋が提案されている(特許文献5)。
一方で、バナメイエビは、ウシエビに比べて小さく、肉質が比較的柔らかいため、バナメイエビをレトルト食品にする場合は、優れた食感を得ることが難しいという問題があった。
すなわち、本発明は、加熱殺菌後も良好な食感を有する食品を供給できる食品包装容器の提供を目的とする。
(包装容器)
図1、2において、本発明の食品包装容器に用いる包装容器1は、ドリップ51を生じる食品(本実施形態では、例えばエビ5)の包装容器であって、図1は本実施形態の食品包装容器10の前段階の状態、すなわち、エビ5が充填密封される前の状態を示している。
この包装容器1は、ほぼ矩形状の一対のフィルム材11からなり、フィルム材11は、例えば内層にポリプロピレン、外層にポリエステル(PET)等の合成樹脂や、アルミ箔を中間層として積層した多層フィルム材等からなるパウチである。また、対向して重ねられた一対のフィルム材11は、右側、左側及び下側の縁部が熱溶着されており、これにより、包装容器1は、溶着部12を有している。
また、包装容器1としては、高温で加熱殺菌するため耐熱性を有し、常温流通ができる態様であり、酸素ガス、光を遮断するバリア性を有し、密封性と実用強度がある前述した多層フィルム材等からなる袋状のレトルトパウチ等を用いることができる。
この境界部4は、四つのシール部41と、上記流路となる五つの未シール部42で形成されている。シール部41は、ほぼ細長い矩形状としてあり、包装容器1の下部と平行に配設してある。また、未シール部42は、溶着部12とシール部41との間、及び、隣り合うシール部41どうしの間に形成され、ドリップ51の流路となる。
なお、シール部41及び未シール部42の数量、形状及び位置等は、上記に限定されるものではない。
さらに、食品が包装された容器1を容易に開封するための切欠14が容器1の上部に形成されていても良い。
次に、この包装食品の製造方法などについて説明する。
食品包装容器10を製造可能な包装食品の製造方法は、食品(例えばエビ5)を食品包装容器10の収容部2に充填して密封する充填密封工程と、前記充填密封した食品を加熱殺菌するとともに、前記食品から生じるドリップ51を分離して貯留部3に貯留する加熱殺菌工程と、食品包装容器10を冷却する冷却工程と、貯留部3に貯留されたドリップ51の前記食品への接触を阻止する遮断部を形成する遮断部形成工程と、を有する方法としてある。
すなわち、このような食品の食感には、表皮膜を噛み破る際などに生じる特有の弾力性があるが、この食品を水分存在下でレトルト殺菌のような高温で過度に加熱すると、食品中に含まれるコラーゲンは同じく食品中に含有される水分の存在により可溶化され、その弾力性が失われて脆い食感を呈するようになり、食感が大きく劣化するという問題がある。
本実施形態の食品包装容器10によれば、加熱殺菌時に食品から生じるドリップを食品から分離し、食品が水分存在下で過加熱されることを防止してコラーゲンが可溶化することを抑制するため、このような食品の弾力性低下を抑制することが可能になる。
次に、食品が包装された本実施形態の食品包装容器10について、図面を参照して説明する。
図2において、食品包装容器10は、充填密封工程によって、食品としてのエビ5が充填され、上部に密封用シール部15が形成されることにより、エビ5を密封している。
これにより、収容部2のエビ5が、水分に接触した状態で過加熱されることを防止することができる。その結果、エビ5に含まれるコラーゲンが分解されるのを抑制でき、エビ5の食感が劣化するのを抑制することが可能になる。
この冷却工程においても、食品包装容器10を、収容部2が上方に位置し、貯留部3が下方に位置するように配置する。これにより、収容部2にドリップ51が残存している場合に、これを貯留部3へ移動させることができる。
このようにすると、収容部2と貯留部3が水平方向になるように食品包装容器10を配置しても、貯留部3に分離されたドリップ51は、収容部2内の食品に接触できない。したがって、この遮断部形成工程によって、エビ5にドリップ51が接触することによる品質の劣化の防止が可能となる。
図3において、第一応用例の食品包装容器10aは、上述した食品包装容器10と比べると、遮断部16aが、収容部2の境界部4側の位置に設けられている点等が相違する。なお、本応用例の他の構成は、食品包装容器10とほぼ同様としてある。
したがって、図3において、図2と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
なお、遮断部16aは、図3において、シール部41より数mmだけ上方に形成されているが、これに限定されるものではない。例えば、図示してないが、吊り下げ孔13のある箇所を、密封用シール部15の位置で切断し、食品が収容された収容部2のみとすることができる。例えば他には、エビ5を上方に移動させ、ヘッドスペース17の上部が密封用シール部15に接する、あるいは、接近する状態とし、ヘッドスペース17の下部の近傍に遮断部16aを形成しても良い。このようにすると、エビ5に対して、切断した食品包装容器10aが大き過ぎるといった不具合を回避でき、また、包装食品10aの下部に境界部4のシール部41及び未シール部42の後が残らないため、製品として提供する際の外観を向上させることができる。
図4において、第二応用例の食品包装容器10bは、上述した食品包装容器10と比べると、遮断部16bが、貯留部3の境界部4側の位置に設けられている点等が相違する。なお、本応用例の他の構成は、食品包装容器10とほぼ同様としてある。
したがって、図4において、図2と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
このように、本応用例の食品包装容器10bは、実施形態の食品包装容器10とほぼ同様の効果を奏することができ、さらに、品質や生産性などをも向上させることができる。
図5において、第三応用例の食品包装容器10cは、上述した食品包装容器10と比べると、遮断部16cの下方を切断して、エビ5を充填密封した収容部2と、ドリップ51を貯留する貯留部3とする点等が相違する。なお、本応用例の他の構成は、食品包装容器10とほぼ同様としてある。
したがって、図5において、図2と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
このようにすると、エビ5の加工工場において、食品入り包装容器101cの形態で出荷することができる。また、ドリップ入り包装容器102cは、上部が開口しているので、ドリップ51を別の容器に容易に回収することができる。なお、回収したドリップ51は、調味料の原料等として利用することができる。
図6において、本応用例の食品包装容器10dは、上述した食品包装容器10と比べると、遮断部16dを切断して、エビ5を充填密封した収容部2と、ドリップ51を貯留密封した貯留部3とする点等が相違する。なお、本応用例の他の構成は、食品包装容器10とほぼ同様としてある。
したがって、図6において、図2と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
このようにすると、エビ5の加工工場において、食品入り包装容器101dと調味料の原料等に使用されるドリップ入り包装容器102dの形態としてそれぞれ出荷することができる。
なお、遮断部16dは、シール部41のほぼ二倍の幅を有し、未シール部42及びシール部41を覆うように形成してある。これにより、遮断部16dは、遮断部16の約2倍の幅を有しており、切断されても密封性が低下しない構造としてある。
例えば、実施形態ではエビ5を用いているが、肉が表皮膜により被覆されてなるその他の食品、例えば甲殻類、貝類、魚類、肉類、ソーセージのような羊腸で覆われた加工肉のような食品を用いて、加熱殺菌による食感の劣化を抑制させるなど適宜変更することが可能である。
また、境界部4は、本実施形態においてはシール部41及び未シール部42の形態としたが、ドリップ51の流路を形成できる形態であれば特に限定はなく、株式会社クラレのマジロック(登録商標)のようなジッパー形状でジッパーの間を水が通る形態のものや、フィルター状のろ紙のような役割を担う形態のものを用いても良い。
また、遮断部16を切断工程で切断せず、遮断部16に沿ってミシン目、スリット、スコア等、あるいは上記記遮断部16、遮断部16の下方、又は遮断部16の上方の側部の溶着部12にミシン目、スリット、スコア、切欠等からなる易切断部を設けて、食品入り包装容器とドリップ入り包装容器を一つの形態とした商品とすることもできる。この場合、消費者は易開封部によって各容器を手で容易に切り離すことができ、ドリップ51を調味料等として利用したい消費者にとっては、商品としての付加価値を大幅に向上させることができる。
更には、本発明においては、図1に示すようにパウチに予めシール部41と未シール部42からなる境界部4を形成してパウチ上部を収容部2としていたが、通常一般的に用いられる境界部4が形成されていないパウチを用い、パウチ下部に食品を充填した後、食品の上方にヒートシーラー等で境界部4を設けて収容部と貯留部を作成し、真空密着を行った後に収容部に気体を注入して貯留部上端を密封し、パウチの上下を逆にして加熱殺菌工程に供しても良い。
2 収容部
3 貯留部
4 境界部
5 エビ
10、10a、10b、10c、10d 食品包装容器
11 フィルム材
12 溶着部
13 吊り下げ孔
14 切欠
15 密封用シール部
16、16a、16b、16c、16d 遮断部
17 ヘッドスペース
41 シール部
42 未シール部
51 ドリップ
101c、101d 食品入り包装容器
102c、102d ドリップ入り包装容器
Claims (7)
- 食品包装容器であって、
前記食品を充填する収容部と、前記食品から生じたドリップを貯留する貯留部とを有し、
前記収容部と前記貯留部の間に、前記ドリップの流路を有する境界部を形成し、
前記貯留部に貯留された前記ドリップの前記食品への接触を阻止する遮断部を形成した
ことを特徴とする食品包装容器。 - 前記境界部が、シール部及び流路となる未シール部からなることを特徴とする請求項1に記載の食品包装容器。
- 前記遮断部が、少なくとも、前記境界部の流路が形成された位置に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の食品包装容器。
- 前記遮断部が、前記収容部の境界部側の位置又は前記貯留部の境界部側の位置に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の食品包装容器。
- 前記遮断部の下方を切断して、前記食品を充填密封した収容部と、前記ドリップを貯留する貯留部とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の食品包装容器。
- 前記遮断部を切断して、前記食品を充填密封した収容部と、前記ドリップを貯留密封した貯留部とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の食品包装容器。
- 前記遮断部に、易切断部を設けたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の食品包装容器。
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