JPH06239351A - 吸水性トレー - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ドリップが浸出しがちな食品をトレーに収納
し、小分けするにあたり、浸出したドリップを食品から
分離して保存する。 【構成】 底に落とし込みを有するプラスチック製のト
レーにおいて、吸水性シート状素材を敷設し、上記落と
し込みを、多数の穿孔を有し、各穿孔の周囲に下方に向
かって延出した円環状の突出物を有するプラスチックフ
ィルムで被覆し、プラスチックフィルムの周囲を融着す
る。 【効果】 トレーに収納されたドリップを浸出しがちな
食品において、食品をドリップから分離収納することが
可能になり、食品をより衛生的に保存することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は食品、特に生鮮食品の小
売りに使用されるトレーに関し、より詳しくはトレーに
収納後浸出してくるドリップを吸収し、食品がドリップ
に接触して汚染されることを防止する吸水性トレーに関
する。

【０００２】

【従来の技術】従来、肉類、魚類或いはこれらの冷凍
品、加工品、加工冷凍品などの小売りに際しては、一
旦、冷凍保存したものを解凍し、或いは半解凍の状態で
トレーに小分けしている。これら食品は時間の経過と共
に内部の組織液が分離し、肉汁などのドリップが浸出し
てくる。また、冷凍食品でなくとも生鮮食品類はドリッ
プを浸出する傾向がある。ドリップと食品が共存する状
態は外観が悪いのみならず、ドリップ内で細菌が繁殖し
がちであって不衛生であると共に、食品自体の味を低下
させる傾向があり、食品をドリップと分離するためにト
レーの底にポリウレタン発泡体、セルロースを穿孔を有
するフィルムからなる袋に収納して周囲をシールした吸
収体などの吸水性素材を敷設する方法が採用されてい
た。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、吸水性
素材を単に敷設しても、これら素材の吸水能力に限界が
あり、吸水能力を越えるドリップが浸出した場合には食
品はドリップに浸漬された状態になる。吸水性素材を厚
くして吸水力の増加を図っても、水平なトレーの底に敷
設するため吸水性素材が突出し、ドリップを吸収した素
材の上に食品を載置した状態になり、食品をドリップか
ら分離する効果が充分に得られていなかった。更に、ト
レーの底に吸水性素材を敷設する作業は小売店において
は煩雑であり、単にトレーに食品を並べるのみの簡易な
作業を求めている。そこで、食品をドリップから完全に
分離することが可能であって、小売店において吸水性素
材を敷設せずにそのまま使用することができる吸水性ト
レーが求められていた。

【０００４】

【課題解決の手段】本発明は、上記課題を解決すること
を目的とし、その構成は、底面に落とし込みを有するプ
ラスチック製のトレーであって、該落とし込み内に、吸
水性シートが敷設され、上記落とし込みが、周囲に下方
に向かって延出した微細な円環状突出物を有する多数の
穿孔が穿設されたプラスチックフィルムで被覆され、該
プラスチックフィルムの周囲がトレー底面と融着されて
いることを特徴とする。

【０００５】本発明における食品とは、食品組織から時
間の経過と共に分離、浸出してくる液状物（以下、ドリ
ップとする）が浸出しがちな食品であって、例えば生
肉、生鮮魚介類、辛子明太子などの魚卵加工品、かに爪
のような加工魚介類或いはこれらの冷凍品、半解凍品な
どが挙げられる。

【０００６】本発明に使用するトレーの素材としては、
一般にトレーに使用されている素材はすべて使用でき
る。例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピ
レンなどのプラスチック発泡体、或いはスチレン−ブタ
ジエン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの
無発泡プラスチックを例示することができる。一般には
不透明なプラスチック発泡体が好ましい。これらトレー
は既成の発泡、無発泡のプラスチックシートを所定の形
状に深絞り成型することにより容易に得られる。

【０００７】本発明のトレーは底面に落とし込みを有す
ることに特徴がある。落とし込みとはトレーの底に設け
られた更に深い窪みである。落とし込みはトレーの本来
の底面積の１／３以上、好ましくは１／２以上であり、
好ましくはトレーの底面の中央部に設ける。落とし込み
の深さは吸水性素材をトレー底面から突出することなく
載置できる深さを要し、トレーの大きさによっても異な
るが一般には２mm以上、好ましくは３〜７mmである。

【０００８】落とし込みの底面外側はトレーを載置する
上で水平であることが好ましい。トレー底面は落とし込
みとの間には段差が生じる。トレー陳列の都合上、落と
し込みが、一方の面で段差を設けずにそのまま一方の脇
面に移行している形状であっても本発明の目的は達成さ
れる。更に、図４に示すように、落とし込みの内面に複
数の突起を設け、突起と突起との間に吸水性素材からド
リップが溢れた場合でも吸収できる窪みを設けることも
できる。

【０００９】吸水性シートは繊維素材をシート状に圧縮
したもの、ポリエチレン、ポリウレタンなどの連続気泡
性プラスチック発泡体やスポンジをシート状に切断した
ものなどが使用できる。繊維素材としてはパルプ、セル
ロースなどの天然繊維、レーヨン、キュプラなどの半合
成繊維、ポリプロピレン、ポリエステルなどの合成繊維
などが挙げられる。更に特に吸水性の高いポリアクリル
酸系吸水性素材を使用することもできる。これらの１種
をシート状にして用いてもよいが、特に吸水性の高い素
材を下にし、上面を吸水性天然素材で被覆するなど２種
以上の素材を複合して用いることもできる。

【００１０】吸水性シートは落とし込みからはみ出さな
い大きさである。はみ出した場合には折りたたむか、或
いは切断して２層以上に重ねて用いる。また、上面を抗
菌剤を施した通水性のシートで被覆することもできる。

【００１１】本発明においては、吸水性シートを敷設し
た落とし込みの上をプラスチックフィルムで被覆し、そ
の周囲をトレー本体に熱融着する。すなわち、落とし込
みによって生じた段差の外周をプラスチックフィルムと
熱融着する。当然に、プラスチックフィルムは落とし込
みを完全に覆い、且つ熱融着部を残すことができる大き
さである。フィルムを熱融着するにあたっては、必ずし
もフィルムの周囲全体を融着する必要はなく、間歇的に
融着しても、或いは落とし込みの形状が長方形の場合に
は、縦、横いずれかの辺の対のみを融着し、他方の辺の
対が非融着状態で残っても差支えない。要するに、落と
し込み内の吸水性シートを確実に覆っているならば本発
明の目的は達成される。

【００１２】プラスチックフィルムには全面に微小な穿
孔を散在させる。穿孔の径はドリップが落とし込みに落
下できると共に、一旦落下したドリップがプラスチック
フィルム上に戻り難い大きさであり、直径０.1５〜０.3
mm程度である。また、穿孔は平均１.5〜６mm間隔、好ま
しくは２〜４mm間隔で設ける。

【００１３】穿孔の周囲にはフィルム素材が円環状に突
出していることが好ましい。この円環状突出物を下面に
して用いると、上面から下面へのドリップの移動は円滑
に行われるが、下面から上面へのドリップの移動は円環
状突出物に妨害され、ドリップの逆流を防止することが
できる。このような突出物を設けるには種々の方法があ
るが、例えば、フィルムを多数の熱針を設けたローラー
間を通過させることによっても得られる。多数の穿孔が
散在するプラスチックフィルムは不透明素材であること
が好ましい。

【００１４】

【作用】本発明は、トレーの底に充分な深さと広さを有
する落とし込みを設け、この落とし込み内にシート状の
吸水性素材を収納し、更にこの上を多数の穿孔を有する
プラスチックフィルムで被覆したものである。その結
果、トレー内に収納されたシートからドリップが浸出し
ても、このドリップはプラスチックフィルムの穿孔から
吸水性素材に吸収され、食品は常にプラスチックフィル
ムを介してドリップと隔離された状態にある。トレーの
底に設けた落とし込みは、充分な広さを有するため、吸
水性素材の吸収力を増強する効果を有する。更にプラス
チックフィルムに設けた穿孔の周囲の円環状突出物はド
リップの下から食品収納面への逆流を防止する効果を有
し、食品を衛生的環境下に置くことができる。

【００１５】

【実施例】図１は本発明の１実施例の斜視図、図２は図
１の断面図、図３は図２の破線部分の拡大断面図、図４
は他の実施例の断面図である。

【００１６】１は発泡ポリスチレン製のトレーであり、
２は底面、３は脇面である。底面の中央部に深さ３.5mm
の落とし込み４を設けた。落とし込みの深さは図２にお
けるａである。落とし込み４を設けた面積は底面の面積
の約１／２であった。落とし込み４の中には落とし込み
４内の広さと同一大きさの吸水性シート５を収納した。
吸水性シート５としては、本実施例においては１００％
バージンパルプを局所的に圧縮したシート状素材を用い
た。９は繊維をシート状に成型、固定するための圧縮部
である。６は落とし込み４を覆うプラスチックフィルム
であり、径約０.3mmの穿孔７を１cmに約４個の割合で穿
設した。穿孔７の周囲には図３に示すような下方、すな
わち、吸水性シート面に向かって突出した円環状突出物
８を設けた。プラスチックフィルム６はトレー底面の落
とし込み４の周囲に熱融着して固定した。

【００１７】図４には他の実施例を示した。本実施例に
おいては落とし込み４の底面内部に間歇的に小突起１０
を設けた。小突起１０と小突起１０の間には窪み１１が
生じ、吸水性シートが大量のドリップを吸収した場合に
も、この窪み内にドリップを貯えることができ、食品を
ドリップからより確実に隔離することができる。

【００１８】図１及び図２に示した実施例において、ト
レー内に半解凍状態の生肉を収納した。常温で６時間放
置したところ、肉は完全に解凍し、ドリップが浸出して
いたが、ドリップのすべてが吸水性シートに吸収され、
生肉はドリップと分離した状態にあった。したがって、
ドリップは雑菌が繁殖しがちであるが、生肉は雑菌によ
る汚染を免れていた。

【００１９】

【発明の効果】本発明により、ドリップが浸出しがちな
食品をトレーに収納するにあたり、ドリップを容器の食
品が接触する部位から隔離された底面の吸水性素材に吸
収させ、食品をドリップから完全に分離することが可能
になった。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本発明の１実施例の斜視図である。

【図２】図２は図１の断面図である。

【図３】図３は図２の破線部分の拡大断面図である。

【図４】図４は他の実施例の断面図である。

【符号の説明】

１ トレー ２ 底面 ３ 脇面 ４ 落とし込み ５ 吸水性シート ６ プラスチックフィルム ７ 穿孔 ８ 円環状突起物 ９ 圧縮部 １０ 小突起 １１ 窪み

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 底面に落とし込みを有するプラスチック
   製のトレーであって、該落とし込み内に、吸水性シート
   が敷設され、上記落とし込みが多数の穿孔を有するプラ
   スチックフィルムで被覆され、該プラスチックフィルム
   の周囲がトレー底面と融着されていることを特徴とする
   吸水性トレー。
2. 【請求項２】 多数の穿孔を有するプラスチックフィル
   ムの各穿孔が、周囲に下方に向かって延出した微細な円
   環状突出物を有することを特徴とする請求項第１項記載
   の吸水性トレー。