JP2015119639A - 加工食品 - Google Patents

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Abstract

【課題】 加熱殺菌後に良好な食感を有するバナメイエビを提供する。【解決手段】 容器に充填、密封して加熱殺菌処理が行われたバナメイエビ(Litopenaeus Vannamei)であって、バナメイエビに圧縮荷重を連続付与して圧縮破断強度を測定し、測定で得られた破断強度曲線が少なくとも一つのピークを有し、かつ最初のピーク以降の破断強度が歪率70%までにおいて2N以上である物性を示すことを特徴とする加工食品。【選択図】 図1

Description

本発明は、加工食品に関し、特に、食品を容器に充填密封した後に、加熱殺菌処理を行って製造されるバナメイエビからなる加工食品に関する。
従来から、加工食品には、食品を容器に充填密封した後、加熱殺菌処理を行って製造されるものがある。例えば、レトルト食品では、食品を容器に充填密封した後に加圧して、110〜130℃程度の温度で数分〜数十分間、熱水や蒸気等による加熱殺菌処理が行われる。
このような殺菌処理の条件としては、加工食品の原料を十分に殺菌できる条件を選択する必要があるが、一方で、殺菌後にその食品の品質が劣化しないように処理することが重要である。
特に、レトルト殺菌は高温高圧で行われるため、原料に与える影響は無視できず、原料の種類によっては硬化するものや、あるいは脆い食感を呈するものがあった。
レトルト食品は、鳥獣類や魚介類を含む動物性の食品など幅広い食品を対象に提供されている。特に、魚介類の中でもエビは、種々の食品に利用されるものであり、そのレトルト食品も提案されている(特許文献1,2)。
エビは2分〜8分間程度の煮沸(ボイル)を行うと、筋肉タンパク質が変性して、その食感が非加熱のものよりも一層良好となる。しかし、レトルト殺菌のように過度の加熱を行う場合、エビの筋肉組織は脆弱化して、エビに特有の弾力性のある食感(プリプリ感)がなくなり、噛むとボロボロと崩れるような脆い食感(ボソボソ感)を呈するようになる。また、食感だけでなく、外観(色調)、香り、味、及びテクスチャーなども劣化するという問題があった。
そこで、本出願人は、このような問題を解消するべく研究を行い、エビなどの食品を、ヘッドスペースを設けて容器に密封した後に、レトルト殺菌を行い、これによって食品から生じるドリップを容器内に分散させることで、優れた食感を有し、その外観、香り及び味なども良好なレトルト食品を製造することに成功し、このレトルト食品の製造方法に係る発明について、既に特許出願を行っている(特許文献3)。
特開2009−240210号公報 特開2009−50173号公報 特願2012−106930号公報
ところで、従来、食用のエビとして、ウシエビ(Penaeus monodon)などの大型のものが多く消費されているが、近年、養殖効率の高いバナメイエビ(Litopenaeus vannamei)の養殖量が東南アジアにおいて急増している。バナメイエビは、ウシエビに比べて寒さに強く、ウシエビが地を歩くのに対して、バナメイエビには泳ぐ習性があるため、単位容積あたりの飼育量を増やせるという利点がある。
一方で、バナメイエビは、ウシエビに比べて小さく、肉質が比較的柔らかいため、バナメイエビをレトルト食品にする場合は、優れた食感を得ることが難しいという問題があった。
そこで、本出願人は、上述したレトルト食品の製造方法を、さらに改良するために鋭意研究し、食品の加熱殺菌処理時に食品から生じるドリップを、容器内において分離することで、比較的柔らかい原料を用いた場合でも、加熱殺菌処理による食感の劣化を抑制することに成功し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、加熱殺菌処理後も良好な食感を有する加工食品の提供を目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の加工食品は、容器に充填、密封して加熱殺菌処理が行われたバナメイエビ(Litopenaeus Vannamei)であって、前記バナメイエビに圧縮荷重を連続付与して圧縮破断強度を測定し、前記測定で得られた破断強度曲線が少なくとも一つのピークを有し、かつ最初のピーク以降の破断強度が歪率70%までにおいて2N以上である物性を示す構成としてある。
本発明によれば、加熱殺菌処理後も良好な食感を有するバナメイエビからなる加工食品の提供が可能となる。
本発明の実施形態に係る加工食品のバナメイエビの破断強度曲線を示す図である。 本発明の実施形態に係る加工食品の原料を充填密封し、加熱殺菌処理を行う包装容器(食品が包装される前の状態)の概略正面図である。 本発明の実施形態に係る加工食品の概略正面図である。 本発明の実施形態に係る加工食品の製造工程を示す図である。 2分間ボイルのみ、並びに、2分間ボイル及び従来の包装容器を用いたレトルト殺菌を、それぞれ行った加工食品のバナメイエビについての破断強度曲線を示す図である。 2分間ボイルのみ(参考例1)、6分間ボイル及び本発明の実施形態に係る加工食品を充填密封し、加熱殺菌処理を行う包装容器を用いたレトルト殺菌(実施例1)、並びに、2分間ボイル及び従来の包装容器を用いたレトルト殺菌(比較例1)を、それぞれ行ったバナメイエビについての破断強度曲線を示す図である。 2分間ボイルのみ(参考例1)、6分間ボイル及び本発明の実施形態に係る加工食品を充填密封し、加熱殺菌処理を行う包装容器を用いたレトルト殺菌(実施例1,ボイル前に食品添加物処理及び酸処理あり)、並びに、6分間ボイル及び本発明の実施形態に係る加工食品を充填密封し、加熱殺菌処理を行う包装容器を用いたレトルト殺菌(実施例2,ボイル前に食品添加物処理及び酸処理なし)を、それぞれ行ったバナメイエビについての製造日の翌日における官能評価結果を示す図である。 6分間ボイル及び本発明の実施形態に係る加工食品を充填密封し、加熱殺菌処理を行う包装容器を用いたレトルト殺菌(ボイル前に食品添加物処理及び酸処理あり)を行ったバナメイエビについての製造日から1週間後、2ヶ月後、及び4ヶ月後の破断強度曲線を示す図である。 6分間ボイル及び本発明の実施形態に係る加工食品を充填密封し、加熱殺菌処理を行う包装容器を用いたレトルト殺菌(ボイル前に食品添加物処理及び酸処理あり)を行ったバナメイエビについての製造日の翌日、及び製造日から4ヶ月後における官能評価結果を示す図である。
(加工食品)
本発明の加工食品の一実施形態について、図1を参照して説明する。
本実施形態の加工食品は、容器に充填密封して加熱殺菌処理が行われたバナメイエビであり、図1は、このバナメイエビに、圧縮荷重を連続付与し、圧縮破断強度を測定して作成された破断強度曲線を示している。
同図に示すように、本実施形態の加工食品のバナメイエビは、上記の破断強度曲線において、少なくとも一つのピーク(極大値)を有し、かつ最初のピーク以降の破断強度が歪率70%までにおいて2N以上である物性を示すことを特徴とする。
本実施形態の加工食品のバナメイエビは、このような物性を示すことにより、加熱殺菌処理を行った後であるにも拘わらず、エビに特有の弾力性のある優れた食感が得られるものとなっている。
エビに特有の弾力性のある食感は、エビの腹部にある筋肉束を噛み切る際に生じ得ると考えられる。
しかしながら、後述するように、従来の方法で容器に充填密封して加熱殺菌処理を行ったエビでは、筋肉組織が脆弱化して、弾力感のある食感は得ることができない。
本実施形態の加工食品のバナメイエビは、加熱殺菌処理を行った後であるにも拘わらず、エビに特有の弾力性のある優れた食感が得られるものとなっている。
また、図1の圧縮破断強度の測定には、レオメータ(株式会社山電製、REII―33005、ロードセル2kgf用)を使用でき、得られた圧縮破断強度にもとづき破断強度曲線を作成することができる。
具体的には、レオメータは、移動可能な試料台と3mm径の円柱型プランジャーを備え、試料台にエビを固定し、プランジャーをエビの腹部の第二節目の中心部に対して左側面から右側面に向けて押し当てる。そして、試料台を移動速度1mm/秒でプランジャーに向けて移動させて、エビへのプランジャー進入率が99%となるまで圧縮荷重を連続付加する。実施例において後述するように、図1は、容器に充填密封して加熱殺菌処理が行われたバナメイエビを用いて測定された圧縮破断強度にもとづき作成した破断強度曲線である。同図において、歪率(%)はプランジャー進入率を示し、荷重(N)はエビに加えられた力の大きさを示している。
なお、プランジャー進入率が99%に近づく程、荷重は、試料台の壁からの反作用により上昇して有効な値を示さないため、本明細書において破断強度曲線は、プランジャー進入率(=歪率)0〜70%の範囲を有効な範囲とする。
図1において、歪率40%付近に比較的大きなピークが存在しており、このピーク以降は、歪率70%までにおいて2N以上の荷重が維持されている。また、ピークの位置において、プランジャーに4N程度の大きな圧縮荷重が付加され、その後圧縮荷重が急激に減少しているため、この位置でエビの表皮膜が破断されたと考えられる。
このように、本実施形態の加工食品によれば、加熱殺菌処理と弾力性のある優れた食感を両立することが可能となっている。
また、本実施形態の加工食品のバナメイエビは、上記の破断強度曲線において、最大のピークの破断強度が3N以上であることが好ましい。
このように最大のピークの破断強度が3N以上であれば、バナメイエビの表皮膜を破断する際に良好な食感を得ることができる。
さらに、本実施形態の加工食品のバナメイエビは、上記の破断強度曲線の歪率0〜70%の範囲において、次の(式1)で表される減少率が、3%以上のピークを1つ以上含むことが好ましい。
減少率=((ピークの最大破断強度−ピークの最大破断強度の次の変曲点の破断強度)/ピークの最大破断強度)×100 … (式1)
減少率が大きいほど、バナメイエビの表皮膜を破断する際の食感が強く感じられ、このように減少率が3%以上であれば、比較的良好な食感を得ることができる。
このように、本実施形態の加工食品のバナメイエビは、加熱殺菌処理が行われた後の状態であるにも拘わらず、上記の好適な特性を備え、エビ特有の優れた食感が得られるものとなっている。
(包装容器)
次に、本実施形態の加工食品のバナメイエビの原料を充填密封し、加熱殺菌処理を行うために用いる包装容器について、図2を参照して説明する。
図2において、包装容器1は、バナメイエビなどの食品を充填密封し、加熱殺菌処理を行うために好適に使用できる容器であり、食品が包装される前の状態が示されている。
この包装容器1は、ほぼ矩形状の一対のフィルム材11からなり、フィルム材11は、例えば内層がポリプロピレン、外層がポリエステル(PET)等の合成樹脂や、アルミ箔を中間層として積層加工した多層フィルム材等からなるパウチである。また、対向して重ねられた一対のフィルム材11は、右側、左側及び下側の縁部が熱溶着されており、これにより、包装容器1は、溶着部12を有している。
また、包装容器1としては、高温で加熱殺菌処理するため耐熱性を有し、常温流通ができる態様であり、酸素ガス、光を遮断するバリア性を有し、密封性と実用強度がある前述した多層フィルム材等からなる袋状のレトルトパウチ等を用いることができる。
包装容器1は、上側にバナメイエビなどの食品を充填する収容部2を有し、また、下側に食品から生じたドリップを貯留する貯留部3を有している。そして、収容部2と貯留部3の間に、ドリップの流路を有する境界部4を形成してある。
この境界部4は、四つのシール部41と、上記流路となる五つの未シール部42で形成されている。シール部41は、ほぼ細長い矩形状としてあり、包装容器1の下部と平行に配設してある。また、未シール部42は、溶着部12とシール部41との間、及び、隣り合うシール部41どうしの間に、形成され、後述するように食品からのドリップの流路となる。
なお、シール部41及び未シール部42の数量、形状及び位置等は、上記に限定されるものではない。
さらに、境界部4は、図2においてはシール部41及び未シール部42の形態としたが、ドリップの流路を形成できる形態であれば特に限定はなく、株式会社クラレのマジロック(登録商標)のようなジッパー形状でジッパーの間を水が通る形態のものや、フィルター状のろ紙のような役割を担う形態のものを用いても良い。
また、包装容器1は、上部に、加熱殺菌処理を行う際、包装容器1を吊り下げるための一対の吊り下げ孔13が形成されていても良い。このようにすると、加熱殺菌処理を行う際の作業性等を向上させることができる。
さらに、食品が包装された包装容器1を容易に開封するための切欠14が包装容器1の上部に形成されていても良い。
本実施形態の加工食品のバナメイエビは、このような包装容器1を用いて加熱殺菌処理を行うことで、バナメイエビから生じるドリップを貯留部3に分離でき、バナメイエビが水分存在下で過加熱されることを防止でき、バナメイエビの食感の劣化が防止できる。
(加工食品の原料及び食品の食感)
本実施形態の加工食品の原料のバナメイエビは、コラーゲンを含む肉が表皮膜によって被覆されている食品であるため、一般的なレトルトパウチなどの容器に入れて加熱殺菌処理を行うと食感が大きく劣化する。
すなわち、バナメイエビのような食品の食感には、表皮膜を噛み破る際などに生じる特有の弾力性があるが、このような食品を水分存在下で過度に加熱すると、その弾力性が失われて脆い食感を呈するようになり、食感が大きく劣化するという問題がある。
そこで、本実施形態のバナメイエビは、上述した包装容器1を用いて加熱殺菌処理を行うことで、加熱殺菌処理時にバナメイエビから生じるドリップを分離して、バナメイエビの弾力性が失われるのを抑制したものとしてある。
ここで、エビ類のようにコラーゲンを含む肉が表皮膜によって被覆されている食品を、一般的なレトルトパウチなどの容器に入れて加熱殺菌処理を行うと、食感が大きく劣化する理由について、さらに詳細に説明する。
なお、表皮膜は、生体組織を被覆する生体成分からなる膜であり、エビ類の場合、体全体が表皮膜により覆われている。
一般に、エビ類に含まれるタンパク質として、筋基質タンパク質、筋原繊維タンパク質、及び筋形成タンパク質の3種類が知られている。
筋基質タンパク質は、筋原繊維タンパク質を束ねる膜を形成し、筋原繊維タンパク質同士を束ねる役割を果たしている。この筋基質タンパク質の主成分はコラーゲンであるため、コラーゲンが分解すると、筋肉組織の強度が低下して筋肉が軟らかくなり、エビ類の弾力性が低下する。また、筋原繊維タンパク質は、筋繊維を構成するタンパク質であり、筋収縮に関わる成分である。筋原繊維タンパク質は保水性を有しており、この筋原繊維タンパク質に保持された水分が減少すると、エビ類は堅くなる。なお、筋形成タンパク質は、筋原繊維タンパク質間を埋めるゾル状のタンパク質であり、保水性は有していない。
コラーゲンは、水に対して不溶性を示す物質であるが、水分存在下で過加熱することにより、水に可溶化(ゼラチン化)する性質を有している。
ところで、包装容器に充填密封したエビ類を加熱殺菌処理する場合、エビ類からドリップが生じ、エビ類が水分存在下で過加熱されてしまう場合がある。特に、加熱殺菌処理として、レトルト殺菌が行われる場合、エビ類は高温高圧下で過剰に加熱されるため、その肉質に与える影響は大きい。
すなわち、レトルト殺菌では、110〜130℃の温度で、数分〜数十分程度の加熱処理が行われるため、エビ類に含まれるコラーゲンは、分解して水に可溶化する。
このため、筋基質タンパク質を含む原料であるエビ類は、レトルト殺菌すると、脆い食感を呈するようになり、食感が劣化する。
したがって、加工食品のバナメイエビを、レトルト殺菌した後においても良好な食感を得るためには、筋基質タンパク質の構造が、維持される必要がある。
そこで、本実施形態の加工食品は、後述するように、加熱殺菌処理によって生じるドリップをバナメイエビから分離することによって、バナメイエビが水分存在下で過加熱されることを防止し、バナメイエビに含まれるコラーゲンが可溶化することを抑制して、筋基質タンパク質の構造を維持可能にしている。
これにより、本実施形態の加工食品のバナメイエビによれば、加熱殺菌処理後においても良好な食感を得ることが可能になっている。
本実施形態の加工食品の原料のバナメイエビとしては、実質的に加熱処理がされていないものを用いることが好ましく、例えば、生のバナメイエビ、又は凍結品の生バナメイエビを解凍したものを用いることが好ましい。解凍は、常法により行うことができ、例えば溜め水や流水中に冷凍エビを浸漬して行う方法や、水を使用せずに常温や低温で放置する方法により行うことができる。バナメイエビの大きさは、特に制限されないが、取り扱いの容易さや流通量に鑑みて、数cm程度のものが好適に用いられる。
(加工食品の製造方法)
次に、本実施形態の加工食品の製造方法ついて、図2〜図4を参照して説明する。
本実施形態の加工食品は、図4に示すように、食品添加物処理工程、酸処理工程、ボイル工程、充填密封工程、加熱殺菌工程、冷却工程、及び遮断部形成工程を行うことにより製造することができる。すなわち、これらの工程により、図2に示す包装容器1を用いて、図3に示す本実施形態の加工食品が充填密封された食品包装容器が製造される。
(1)食品添加物処理工程
食品添加物処理工程は、バナメイエビなどの食品を、炭酸アルカリ溶液に浸漬する工程である。
このようにバナメイエビを、炭酸アルカリ溶液に浸漬することで、バナメイエビの保水性を向上させることができる。
上述したように、加熱殺菌処理に際しては、コラーゲンに水分が接触することを防止する必要がある。一方で、バナメイエビに含まれる筋原繊維から水分がなくなると、バナメイエビは堅くなり食感が悪くなる。このため、筋原繊維中の水分は、適切に保持する必要がある。そこで、本実施形態では、食品添加物処理工程によって、バナメイエビの保水性を向上させている。
バナメイエビを浸漬する炭酸アルカリ溶液としては、例えば炭酸塩溶液等を用いることができ、特に炭酸カリウム溶液を好適に用いることができる。
また、炭酸カリウム溶液を用いる場合、炭酸カリウムの濃度は、0.1〜5重量%とすることが好ましく、0.5〜3重量%とすることがより好ましく、1重量%とすることが特に好ましい。このとき、浸漬時間は、5分〜3時間とすることが好ましく、10分〜2時間とすることがより好ましく、30分〜1時間とすることがさらに好ましい。これら炭酸アルカリ溶液の濃度と浸漬時間は、濃度が低すぎる又は浸漬時間が短すぎると効果を発揮せず、濃度が高すぎる又は浸漬時間が長すぎるとバナメイエビの肉質が脆弱化し、表皮膜を破断する際の良好な食感が得られない。このため、製造工程時間やコスト等も考慮した上で、上記濃度及び浸漬時間範囲から適宜選択すれば良い。
また、炭酸カリウム溶液の温度は、バナメイエビの品質が劣化しないよう低温にすることが好ましく、例えば3℃で行うことが好ましい。
(2)酸処理工程
酸処理工程は、バナメイエビなどの食品を、酸性の水溶液に浸漬する工程である。
このようにバナメイエビを酸性の水溶液に浸漬することで、加熱殺菌処理後にバナメイエビから硫化臭やアミン臭が発生することを防止することが可能となる。
上述した通り、食品添加物処理工程において、バナメイエビを炭酸アルカリ溶液に浸漬しているが、バナメイエビをアルカリ性にしたままで加熱殺菌処理すると、バナメイエビから硫化臭やアミン臭が発生する。そこで、酸処理工程によってバナメイエビを中和した後に加熱殺菌処理を行うことで、バナメイエビの香りが劣化することを防止可能にしている。
バナメイエビなどの食品を浸漬する酸性の水溶液としては、例えばクエン酸を溶解した食塩水などを好適に用いることができる。
クエン酸の濃度は、食品添加物処理工程によって得られたバナメイエビを中和するために適した濃度であれば良く、例えば0.1〜5重量%とすることができ、0.8〜1.5重量%とすることが好ましく、1.2重量%とすることが特に好ましい。このとき、浸漬時間は、5分〜3時間とすることができ、10分〜2時間とすることが好ましく、20分〜1時間とすることがさらに好ましい。これらクエン酸の濃度と浸漬時間は、濃度が低すぎる又は浸漬時間が短すぎると効果を発揮せず、濃度が高すぎる又は浸漬時間が長すぎると原料のバナメイエビの透明性が無くなり、また、表皮膜が白色化してしまう。このため、製造工程時間やコスト等も考慮した上で、上記濃度及び浸漬時間範囲から適宜選択すれば良い。
また、食塩水の温度は、バナメイエビの品質が劣化しないよう低温にすることが好ましく、例えば3℃で行うことが好ましい。さらに、食塩水における食塩の濃度は、浸透圧調節及び塩味付けを目的として、例えば0.5〜4重量%とすることができ、2重量%とすることが特に好ましい。
このように、本実施形態の加工食品の製造方法において、食品添加物処理工程及び酸処理工程を行うことにより、製造される加工食品のバナメイエビの外観、香り、味、及びテクスチャーを向上させることが可能となる。
(3)ボイル工程
ボイル工程は、バナメイエビなどの食品を、塩水ボイルする工程である。
エビ類は2分〜8分間程度の煮沸(ボイル)を行うと、筋肉タンパク質が変性して、非加熱のものよりも食感が一層良好となる。すなわち、この程度の加熱であれば、コラーゲンの分解は進行せず、筋基質タンパク質の構造が維持されて、優れた食感が得られる。
ボイル方法は、特に限定されず、ボイルするバナメイエビの量などに応じて適切な条件を設定すれば良いが、例えば食塩の濃度が3〜4重量%の食塩水を沸騰させて、これにバナメイエビを浸漬して2分〜8分間煮沸することにより行うことができる。
(4)充填密封工程
充填密封工程は、ボイルされたバナメイエビ5などの食品を、図2に示す包装容器1の収容部2に充填して密封する工程である。
充填密封工程において、包装容器1の収容部2に原料のバナメイエビ5を充填すると共に、気体を注入して食品の周囲にヘッドスペース17を形成し、包装容器1を密封することが好ましい。ヘッドスペースとは、容器内に形成される空間を意味し、缶詰などにおいては上方の空間を示し、パウチなどの可撓性容器においては、包装容器1に形成された内部空間を示す。
包装容器1の収容部2内の原料のバナメイエビ5の周囲にヘッドスペース17を形成することにより、加熱殺菌工程においてバナメイエビ5から生じたドリップを、ヘッドスペースを介して、包装容器1の貯留部3に分離することができる。このとき、ヘッドスペースの存在により、バナメイエビ5から生じたドリップが、包装容器1の貯留部3へ移動しやすくなる。
したがって、ヘッドスペース17を形成することにより、加熱工程においてバナメイエビ5から生じたドリップを、包装容器1の貯留部3へ迅速に分離することが可能となる。
ヘッドスペースの形成は、原料のバナメイエビ5を包装容器1の収容部2に入れて真空密着を行い、次いで気体を注入してから包装容器1を密封することにより行うことができる。また、バナメイエビ5を包装容器1の収容部2に入れて真空密着した後に一旦密封し、次いで気体をシリンジなどで注入してから再度密封することにより行うこともできる。
このとき、注入する気体の量は、少なくともバナメイエビ5の体積1mlあたり0.4ml以上とすることが好ましく、これによって、バナメイエビ5の周囲に0.4ml以上のヘッドスペース17を形成することが好ましい。一方、注入する気体の量が容器容量の5割以上になると、容器内は膨満な状態に近づき、例えば輸送中に容器に衝撃が与えられると容器が破損するおそれがあるため、容器容量の5割未満のヘッドスペースを形成することが好ましい。
ヘッドスペース17の形成のために包装容器1に注入する気体は、空気、窒素ガスなどの不活性ガスであれば良い。このような気体を、例えば気体供給装置により、シリンジなどを介して包装容器1に注入することができる。
包装容器1の密封は、バキュームシーラーを用いるなど、定法により行うことができる。
なお、原料のバナメイエビ5を包装容器1に充填する際に、粉末調味料や乾燥食品等を同時に添加しても良い。
(5)加熱殺菌工程
加熱殺菌工程は、包装容器1の収容部2に充填密封したバナメイエビ5などの食品を加熱殺菌処理するとともに、食品から生じるドリップを分離して、包装容器1の貯留部3に貯留する工程である。
加熱殺菌工程において、包装容器1は、収容部2が上方に位置し、貯留部3が下方に位置するように配置される。配置方法は特に限定されず、例えば図2に示した吊り下げ孔13にフック(図示せず)が掛けられて容器を上から吊り下げたり、あるいは縦方向や斜めに立てかけたりすることができる。
本実施形態に係るバナメイエビの原料を充填密封し、加熱殺菌処理を行う包装容器1は、上述した図2のように、流路(未シール部42)を形成した境界部4を介して収容部2と貯留部3を備えている。このため、加熱殺菌処理によってバナメイエビ5から生じたドリップ51は、この境界部4に形成された流路42を経由して、収容部2から貯留部3へ移動する。
これにより、収容部2におけるバナメイエビ5が、水分に接触した状態で過加熱されることを防止することができる。その結果、バナメイエビ5に含まれるコラーゲンが分解されるのを抑制でき、バナメイエビ5の食感が劣化するのを抑制することが可能になる。
また、加熱殺菌処理としては、レトルト殺菌を行うことが好ましい。レトルト殺菌とは、容器に充填密封したバナメイエビ5を、110〜130℃程度の蒸気又は熱水で加熱して、殺菌強度が少なくともF値=4以上となるように処理することをいう。常圧下で品質を損なうことなくバナメイエビ5の内部温度が110〜130℃に達するまで加熱することは困難であるため、レトルト殺菌は、加圧条件下で行う。例えば、蒸気式、熱水式、シャワー式等の加圧加熱殺菌機や加圧式の圧力釜等を用いて、レトルト殺菌を行うことができる。
(6)冷却工程
冷却工程は、加熱殺菌処理が行われた包装容器1を冷却する工程である。冷却方法としては特に限定されないが、例えばシャワー冷却方式を用いることができる。このように加熱殺菌処理後の包装容器1を直ちに冷却することで、バナメイエビなどの食品を高温にさらす時間を短時間化でき、バナメイエビの品質が劣化することを防止することが可能になる。
この冷却工程においても、包装容器1を、収容部2が上方に位置し、貯留部3が下方に位置するように配置する。これにより、収容部2にドリップが残存している場合に、これを貯留部3へ移動させることができる。
(7)遮断部形成工程
遮断部形成工程は、貯留部3に貯留されたドリップのバナメイエビ5などの食品への接触を阻止する、例えば少なくとも、境界部4の未シール部42からなる流路が形成された位置、あるいは図2に示すように境界部4の全体を覆うようにシールして遮断部16を形成する工程である。この遮断部形成工程は、包装容器1を、収容部2が上方に位置し、貯留部3が下方に位置するように配置した状態のままで行われる。
また、図示しないが、遮断部16を形成位置は、収容部2の境界部4側の位置、あるいは貯留部3の境界部4側の位置に形成しても良い。
本実施形態の加工食品に使用する包装容器1に、このように遮断部16を形成することにより、収容部2と貯留部3が水平方向になるように包装容器1を配置しても、貯留部3に分離されたドリップは、収容部2内のバナメイエビに接触しない。したがって、この遮断部形成工程によって、包装食品のドリップによる品質の劣化を防止することが可能となる。
なお、遮断部16の形成方法は、特に限定されず、市販のヒートシーラーなどを用いて、包装容器1の収容部2と貯留部3の間をシールすることにより行うことができる。
また、遮断部16の形成は、冷却工程の後に行えば良く、食品包装容器10を箱詰めする前に行うことができる。また、遮断部16を形成する前に食品包装容器10を搬送する場合には、貯留部3から収容部2へドリップ51が流入しないように、食品包装容器10を吊るされた状態など縦方向にして行うことが好ましい。
このように前述した本実施形態の加工食品であるバナメイエビの製造方法によれば、加熱殺菌処理によりバナメイエビ5から生じるドリップを貯留部3に分離できるため、バナメイエビ5が水分存在下で過加熱されることを防止できる。また、包装容器1に遮断部16を形成することで、貯留部3に分離されたドリップが、バナメイエビ5を充填した収容部2に流入せず、バナメイエビ5へのドリップの接触を阻止して、その品質の劣化を防止することも可能になる。
(食品包装容器)
次に、本実施形態の加工食品が充填密封された食品包装容器について、図3を参照して、詳細に説明する。
図3において、食品包装容器10は、上記の充填密封工程によって、食品としてのバナメイエビ5が充填され、上部に密封用シール部15が形成されることにより、バナメイエビ5が密封されている。
次いで、食品包装容器10は、上記の加熱殺菌工程によって充填密封したバナメイエビ5が加熱殺菌処理されるとともに、バナメイエビ5から生じるドリップ51が分離されて貯留部3に貯留する。そして、上記の冷却工程を経た後、遮断部形成工程によって上述した遮断部16が形成される。これにより、バナメイエビ5を充填した収容部2と、ドリップ51を貯留した貯留部3とが不通となり、貯留部3に溜まったドリップ51が、バナメイエビ5を充填した収容部2内に流入することが防止され、ドリップ51のバナメイエビ5への接触を阻止することができる。
以上説明したように、本実施形態の加工食品は、包装容器に充填密封した形態として得ることができ、加熱殺菌処理を行った後の状態であるにも拘わらず、優れた食感を有するものとなっている。
以下、本発明の実施形態に係る加工食品の効果を確認するために行った試験について説明する。
まず、加熱殺菌処理によるバナメイエビの食感の変化を確認するための試験を行った。
[試験1:加熱殺菌処理による食品の食感の変化]
バナメイエビの食感の変化を確認するため、ボイルのみを行ってレトルト殺菌を行わなかったバナメイエビと、ボイルを行った後にレトルト殺菌を行ったバナメイエビを準備し、これらのバナメイエビの圧縮破断強度を測定して、破断強度曲線を作成した。このとき、頭部を除去して冷凍されたバナメイエビを解凍し、殻を剥いたものを試料として用いた。
ボイルは、食塩の濃度が4%の食塩水を用いて、バナメイエビを2分間煮沸することにより行った。
レトルト殺菌は、ボイルを行ったバナメイエビを従来のアルミ積層平パウチ(縦360×横240mm、構成:ポリエチレンテレフタレート12μm/ナイロン15μm/アルミ箔7μm/ポリプロピレン70μm)に密封して、130℃、17分間(F値=4)の条件で加圧加熱することにより行った。
圧縮破断強度の測定には、上述した図1と同様に、レオメータを使用し、圧縮破断強度の測定及び破断強度曲線の作成を行った。その結果を図5に示す。
図5において、ボイルのみを行ってレトルト殺菌を行わなかったバナメイエビの破断強度曲線には、歪率50%付近に大きなピークが存在しており、このピーク以降は、歪率70%までにおいて2N以上の荷重が維持されている。この大きなピークの位置においてプランジャーに6N程度の大きな圧縮荷重が付加され、その後圧縮荷重が急激に減少しているため、この位置でバナメイエビの表皮膜が破断されたと考えられる。
一方、ボイルを行った後にレトルト殺菌を行ったバナメイエビの破断強度曲線には、ピークは見られず、歪率0〜70%までにおいて荷重は2N未満となっている。
このことから、ボイルのみを行ってレトルト殺菌を行わなかったバナメイエビには、バナメイエビ特有の弾力性のある食感が生じていることがわかる。これに対して、ボイルを行った後に従来の容器を用いてレトルト殺菌を行ったバナメイエビには、弾力性のある食感は生じておらず、脆い食感になっていることがわかる。
以上のことから、レトルト殺菌を従来の一般的な方法によって行うと、ボイルのみを行ったバナメイエビが有している良好な食感が失われることがわかる。
[試験2:加熱殺菌処理時にドリップを分離した場合の食品の食感の変化]
次に、本発明の実施形態に係る加工食品であるバナメイエビ(実施例1)の圧縮破断強度を測定して、破断強度曲線を作成した。そして、これを試験1におけるボイルのみを行ってレトルト殺菌を行わなかったバナメイエビ(参考例1)と、ボイルを行った後にレトルト殺菌を行ったバナメイエビ(比較例1)の破断強度曲線と比較した。
実施例1のバナメイエビは、具体的には、以下のようにして得た。
まず、試験1の圧縮破断強度測定で用いたものと同じ試料(バナメイエビ,頭部を除去して冷凍されたものを解凍して殻を剥いたもの)を、炭酸カリウム溶液(1重量%,3℃)に1時間浸漬する食品添加物処理を行い、次いでクエン酸を含む食塩水(クエン酸:1.2重量%,食塩:2重量%,3℃)に1時間浸漬する酸処理を行った。次いで、試料を沸騰した食塩水(4重量%)に投入して、6分間ボイルした。
ボイルして得られたバナメイエビを、図2に示すような流路(スリット)付きのアルミ積層平パウチ(縦360×横240mm,構成:ポリエチレンテレフタレート12μm
/ナイロン15μm /アルミ箔7μm/ポリプロピレン70μm、容器の底部から境界部までの高さ:10mm,境界部の厚み:6mm,境界部の未シール幅15mm,境界部のシール幅15mm)に20尾充填してシールし、この容器を真空密封した。
次いで、シリンジを用いて、容器の上部の角から窒素を300ml封入し、シリンジ穴を封じるために容器の上部の角を再度シールした。
次に、この容器を、縦方向に吊して、収容部が上方に位置し、貯留部が下方に位置するように配置して、130℃、17分間(F値=4)の条件でレトルト殺菌を行った後、シャワー冷却により容器を冷却した。
次に、冷却した容器の境界部をシールして、バナメイエビを充填する収容部と、ドリップを貯留する貯留部を不通にした。
そして、このようにして得られた食品包装容器の収容部を開封して、収容部に充填されているバナメイエビを実施例1のバナメイエビとして使用し、試験1と同様にして、圧縮破断強度の測定及び破断強度曲線の作成を行った。その結果を図6に示す。
図6に示すように、実施例1のバナメイエビは、レトルト殺菌を行ったにも拘わらず、歪率40付近にピークを有しており、このピーク以降は、歪率70%までにおいて2N以上の荷重が維持されている。
したがって、実施例1のバナメイエビは、優れた食感を呈することがわかる。
また、実施例1のバナメイエビの破断強度曲線における最大のピークの破断強度は3.9N、減少率は25.6%であり、破断強度は3N以上、減少率は3%以上となっている。一方、比較例1のバナメイエビにはピークは見られず、プランジャー進入率0〜70%において、荷重は2N未満となっている。
したがって、このことからも、実施例1のバナメイエビの食感は、比較例1のバナメイエビに比べて、顕著に優れていることがわかる。
このように、本発明の実施形態に係る加工食品のバナメイエビは、レトルト殺菌が行われたものであるにも拘わらず、良好な食感を有することがわかる。
[試験3:加熱殺菌処理時にドリップを分離した場合の食品の官能評価]
次に、本発明の実施形態に係る加工食品のバナメイエビの外観、香り、味、及びテクスチャーの各指標について、官能評価を行うための試験を行った。
試験対象のバナメイエビとしては、試験1におけるボイルのみを行ってレトルト殺菌を行わなかったバナメイエビ(参考例1)と、試験2における本発明の実施形態に係る加工食品のバナメイエビ(実施例1)と、食品添加物処理及び酸処理を行わずに製造した本発明の実施形態に係る加工食品のバナメイエビ(実施例2)を用いた。
実施例2のバナメイエビは、試験1の圧縮破断強度測定で用いたものと同じ試料(バナメイエビ)に対して、炭酸カリウム溶液への浸漬(食品添加物処理)、及びクエン酸を含む食塩水への浸漬(酸処理)を行うことなく、実施例1と同じ条件でボイルを行い、以降実施例1と同じ工程を行って製造したものである。
バナメイエビの外観、香り、味、及びテクスチャーの各指標の評価は、14名のパネラーが、参考例1、実施例1、及び実施例2の各バナメイエビについて、その製造日の翌日に5点満点で判定することによって行い、指標毎にその平均値を算出した。この結果を図7に示す。
図7に示すように、食品添加物処理及び酸処理を行った実施例1のバナメイエビは、ボイルのみを行ってレトルト殺菌を行わなかった参考例1のバナメイエビにより近い官能評価が得られていることがわかる。特に外観はボイルのみより色が鮮やかになり、一層優れたものになっている。一方、実施例2のバナメイエビは、実施例1のバナメイエビよりも全ての官能評価が低くなっている。
以上のことから、本発明の実施形態に係る加工食品のバナメイエビは、食品添加物処理工程及び酸処理工程を行うことにより、その外観、香り、味、及びテクスチャーを向上させ得ることが明らかとなった。
[試験4:加熱殺菌処理時にドリップを分離した場合の食品の保存試験]
次に、本発明の実施形態に係る加工食品のバナメイエビを保存した場合に、その食感、外観、香り、味、及びテクスチャーが変化するかを確認するための試験を行った。
(食品の食感の変化)
まず、バナメイエビの食感の変化を確認するために、試験2における実施例1のバナメイエビについて、製造日から1週間後、2ヶ月後、及び4ヶ月後の圧縮破断強度を測定し、破断強度曲線を作成した。
具体的には、試験2に記載の方法によって食品包装容器を3個製造し、バナメイエビを収容部に充填密封したまま保存して、製造日から1週間後、2ヶ月後、及び4ヶ月後にそれぞれ収容部を開封して得られたバナメイエビを用いて測定を行った。その結果を図8に示す。
図8に示されるように、1週間後、2ヶ月後、及び4ヶ月後のいずれの破断強度曲線も歪率30〜40%付近に3N以上のピークを有しており、これらのピーク以降は、歪率70%までにおいて2N以上の荷重が維持されていることがわかる。
そして、1週間後のバナメイエビの破断強度曲線における最大のピークの破断強度は4.6N、減少率は32.6%であり、破断強度は3N以上、減少率は3%以上となっている。
また、2ヶ月後のバナメイエビの破断強度曲線における最大のピークの破断強度は3.5N、減少率は28.6%であり、破断強度は3N以上、減少率は3%以上となっている。
さらに、4ヶ月後のバナメイエビの破断強度曲線における最大のピークの破断強度は3.6N、減少率は19.4%であり、破断強度は3N以上、減少率は3%以上となっている。
したがって、本発明の実施形態に係る加工食品のバナメイエビは、容器に入れたままで4ヶ月に亘る比較的長期間の保存を行った場合でも、その食感が、劣化せず良好であることが明らかとなった。
(食品の官能評価)
次に、バナメイエビの外観、香り、味、及びテクスチャーの変化を確認するために、上記の4ヶ月後に収容部を開封して得られたバナメイエビについて官能評価を行い、その結果を試験3における実施例1のバナメイエビの製造日の翌日の官能評価と比較した。その結果を図9に示す。
図9に示されるように、製造日の翌日と4ヶ月後のバナメイエビは、ほぼ同様の外観、香り、味、及びテクスチャーを示していた。
したがって、本発明の加工食品のバナメイエビは、4ヶ月に亘る比較的長期間の保存を行った場合でも、その外観、香り、味、及びテクスチャーが、大きく変化せず良好な状態を保てることがわかった。
本発明は、以上の実施形態や実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、食品添加物処理や酸処理、レトルト殺菌の条件を、対象となる食品に併せて異なるものにするなど適宜変更することが可能である。
本発明は、バナメイエビを用いて、加工食品を製造する場合に好適に利用することが可能である。
1 包装容器
2 収容部
3 貯留部
4 境界部
5 バナメイエビ
10 食品包装容器
11 フィルム材
12 溶着部
13 吊り下げ孔
14 切欠
15 密封用シール部
16 遮断部
17 ヘッドスペース
41 シール部
42 未シール部
51 ドリップ

Claims (7)

  1. 容器に充填、密封して加熱殺菌処理が行われたバナメイエビ(Litopenaeus Vannamei)であって、
    前記バナメイエビに圧縮荷重を連続付与して圧縮破断強度を測定し、前記測定で得られた破断強度曲線が少なくとも一つのピークを有し、かつ最初のピーク以降の破断強度が歪率70%までにおいて2N以上である物性を示す
    ことを特徴とする加工食品。
  2. 前記破断強度曲線における最大のピークの破断強度が3N以上であることを特徴とする請求項1に記載の加工食品。
  3. 前記破断強度曲線における次の(式1)で表される減少率が、3%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の加工食品。
    減少率=((ピークの最大破断強度−ピークの最大破断強度の次の変曲点の破断強度)/ピークの最大破断強度)×100 … (式1)
  4. 前記加熱殺菌処理が、加熱及び加圧するレトルト殺菌処理であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の加工食品。
  5. 前記加熱殺菌処理において、前記バナメイエビから生じたドリップを分離したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の加工食品。
  6. 前記容器が、流路を形成した境界部を介して収容部と貯留部を有し、前記ドリップを貯留部に貯留した後に、前記貯留部に貯留されたドリップの前記食品への接触を阻止する遮断部を形成して、前記ドリップを分離したことを特徴とする請求項5に記載の加工食品。
  7. 前記バナメイエビが、加熱殺菌処理前に炭酸アルカリ溶液に浸漬され、次いで酸性の水溶液に浸漬され、塩水ボイルされた後に、ヘッドスペースを有するように前記容器に充填、密封されたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の加工食品。
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