JP2013053095A - トリプシンインヒビター含有物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】水産加工品及び畜肉加工品の物性改良に効果を奏するトリプシンインヒビター含有物の製造方法を提供する。
【解決手段】大豆ホエーを、固形分が6〜35質量%になるように濃縮する濃縮工程と、前記濃縮工程で得られた濃縮大豆ホエーから、pH4〜6の条件下で沈殿物を回収する沈殿物回収工程と、前記沈殿物回収工程で得られた沈殿物に水を加え、pH5.5〜8.5の条件下で乾燥する乾燥工程とを有するトリプシンインヒビター含有物の製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】大豆ホエーを、固形分が6〜35質量%になるように濃縮する濃縮工程と、前記濃縮工程で得られた濃縮大豆ホエーから、pH4〜6の条件下で沈殿物を回収する沈殿物回収工程と、前記沈殿物回収工程で得られた沈殿物に水を加え、pH5.5〜8.5の条件下で乾燥する乾燥工程とを有するトリプシンインヒビター含有物の製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、トリプシンインヒビター含有物の製造方法に関する。
大豆蛋白を製造する工程で発生する大豆ホエーの有効活用する方法として、大豆ホエーに特定の澱粉糖化物を添加し、一定条件下で保持した後粉末化して、生理化活性物質を得るという方法が開発されていた(特許文献1参照)。
その後、大豆ホエーを、特定の条件下で濃縮・分離等を行うことにより、特定の成分を分画する技術が開発されてきた。
例えば、大豆ホエーからトリプシンインヒビターを分画する技術が開発されている。
このトリプシンインヒビターは、タンパク質分解酵素であるトリプシンの作用を特異的に阻害する物質であることから、大豆ホエーから分画したトリプシンインヒビターをすり身や練り製品に添加することで、塩魚肉すり身や魚肉練り製品の坐りの増強、戻りの抑制、弾力の増強、ゲル剛性の向上等に使用することができる。
その後、大豆ホエーを、特定の条件下で濃縮・分離等を行うことにより、特定の成分を分画する技術が開発されてきた。
例えば、大豆ホエーからトリプシンインヒビターを分画する技術が開発されている。
このトリプシンインヒビターは、タンパク質分解酵素であるトリプシンの作用を特異的に阻害する物質であることから、大豆ホエーから分画したトリプシンインヒビターをすり身や練り製品に添加することで、塩魚肉すり身や魚肉練り製品の坐りの増強、戻りの抑制、弾力の増強、ゲル剛性の向上等に使用することができる。
そして、トリプシンインヒビターの実験室レベルの製法としては、等電点沈殿、塩析、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過等を組み合わせた種々の精製法が提案されている。また、工業的な方法としては、例えば、特許文献2には、限外ろ過膜とイオン交換クロマトグラフィーとを組み合わせた方法が開示されている。さらに、特許文献3には、トリプシンインヒビター抽出法とイオン交換クロマトグラフィーとを組み合わせた高純度のトリプシンインヒビターを得る方法が開示されている。
しかしながら、工業生産において、イオン交換クロマトグラフィーを使用して高純度のトリプシンインヒビターの製造をすると、製造コストが高くなってしまうことから、価格の点で、水産加工食品への使用が難しくなってしまう。
しかしながら、工業生産において、イオン交換クロマトグラフィーを使用して高純度のトリプシンインヒビターの製造をすると、製造コストが高くなってしまうことから、価格の点で、水産加工食品への使用が難しくなってしまう。
また、最近では、大豆ホエー分画物の製造にあたり、(a)大豆ホエーを濃縮し、酸性条件下で析出する凝集沈殿物を回収する工程と、(b)得られた上清を高分子画分と低分子画分に分画する工程とを組み合わせたことにより、大豆ホエーから効率よく大豆トリプトシンインヒビター、大豆β−アミラーゼ、及び大豆小糖類を一連の工程で分離することを可能にするという製造方法も開発されている(特許文献4参照)。
しかしながら、得られた沈殿物からその乾燥物を得る場合に、よりトリプシンインヒビターの活性が高いものを得る方法までは検討されていなかった。
しかしながら、得られた沈殿物からその乾燥物を得る場合に、よりトリプシンインヒビターの活性が高いものを得る方法までは検討されていなかった。
本発明の目的は、水産加工品及び畜肉加工品の物性改良に効果を奏するトリプシンインヒビター含有物を得ることができる製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねたところ、大豆ホエーを特定の固形分になるように濃縮した後、特定の条件下で沈殿物を回収し、得られた沈殿物に水を加え、特定のpH条件下で乾燥すれば、魚肉練り製品の物性改良に効果を奏するトリプシンインヒビター含有物を得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の態様は、大豆ホエーを、固形分が6〜35質量%になるように濃縮する濃縮工程と、前記濃縮工程で得られた濃縮大豆ホエーから、pH4〜6の条件下で沈殿物を回収する沈殿物回収工程と、前記沈殿物回収工程で得られた沈殿物に水を加え、pH5.5〜8.5の条件下で乾燥する乾燥工程とを有することを特徴とするトリプシンインヒビター含有物の製造方法である。
本発明の第2の態様は、前記濃縮工程が、減圧濃縮及び/又は限外ろ過膜により濃縮する工程であることを特徴とする第1の態様に記載のトリプシンインヒビター含有物の製造方法である。
本発明の第3の態様は、前記沈殿物回収工程が、遠心分離又はろ過により沈殿物を回収する工程であることを特徴とする第1又は第2の態様に記載のトリプシンインヒビター含有物の製造方法である。
本発明の第4の態様は、前記乾燥工程が、沈殿物回収工程で得られた沈殿物の固形分100質量部に対して、澱粉及び/又は澱粉分解物を1〜200質量部添加した後、乾燥する工程であることを特徴とする第1〜第3の態様のいずれか1つの態様に記載のトリプシンインヒビター含有物の製造方法である。
本発明の第5の態様は、前記乾燥工程が、澱粉及び/又は澱粉分解物を添加した後、80℃以下の温度で1〜5時間保持し、乾燥する工程であることを特徴とする第4の態様に記載のトリプシンインヒビター含有物の製造方法である。
本発明の第2の態様は、前記濃縮工程が、減圧濃縮及び/又は限外ろ過膜により濃縮する工程であることを特徴とする第1の態様に記載のトリプシンインヒビター含有物の製造方法である。
本発明の第3の態様は、前記沈殿物回収工程が、遠心分離又はろ過により沈殿物を回収する工程であることを特徴とする第1又は第2の態様に記載のトリプシンインヒビター含有物の製造方法である。
本発明の第4の態様は、前記乾燥工程が、沈殿物回収工程で得られた沈殿物の固形分100質量部に対して、澱粉及び/又は澱粉分解物を1〜200質量部添加した後、乾燥する工程であることを特徴とする第1〜第3の態様のいずれか1つの態様に記載のトリプシンインヒビター含有物の製造方法である。
本発明の第5の態様は、前記乾燥工程が、澱粉及び/又は澱粉分解物を添加した後、80℃以下の温度で1〜5時間保持し、乾燥する工程であることを特徴とする第4の態様に記載のトリプシンインヒビター含有物の製造方法である。
本発明によれば、水産加工品及び畜肉加工品の物性改良に効果を奏する程度の活性を有するトリプシンインヒビター含有物を得ることができる。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜、変更を加えて実施することができる。
本発明のトリプシンインヒビター含有物の製造方法は、大豆ホエーを、その固形分が6〜35質量%になるように濃縮する濃縮工程と、前記濃縮工程で得られた濃縮大豆ホエーから、pH4〜6の条件下で沈殿物を回収する沈殿物回収工程と、前記沈殿物回収工程で得られた沈殿物に水を加え、pH5.5〜8.5の条件下で乾燥する乾燥工程とを有することを特徴とする。
まず、濃縮工程について説明をする。
濃縮工程は、大豆ホエーを、固形分が6〜35質量%になるように濃縮する工程である。
使用する大豆ホエーとしては、例えば、大豆から分離大豆蛋白や濃縮大豆蛋白を製造する過程で副産物として生じるものや、脱脂大豆等の大豆から直接抽出されたものを使用することができる。脱脂大豆から直接、大豆ホエーを得る方法としては、例えば、脱脂大豆に水を添加した後、塩酸等によりpHを4.5に調整し、デカンタ等の遠心分離機を用いて不溶物を除去し、上澄み液である大豆ホエーを回収する方法が挙げられる。
上記中でも、安定した品質のものを多量に得ることができる点において、大豆から分離大豆蛋白や濃縮大豆蛋白を工業的に製造する過程で副産物として生じる大豆ホエーを利用することが好ましい。
濃縮工程は、大豆ホエーを、固形分が6〜35質量%になるように濃縮する工程である。
使用する大豆ホエーとしては、例えば、大豆から分離大豆蛋白や濃縮大豆蛋白を製造する過程で副産物として生じるものや、脱脂大豆等の大豆から直接抽出されたものを使用することができる。脱脂大豆から直接、大豆ホエーを得る方法としては、例えば、脱脂大豆に水を添加した後、塩酸等によりpHを4.5に調整し、デカンタ等の遠心分離機を用いて不溶物を除去し、上澄み液である大豆ホエーを回収する方法が挙げられる。
上記中でも、安定した品質のものを多量に得ることができる点において、大豆から分離大豆蛋白や濃縮大豆蛋白を工業的に製造する過程で副産物として生じる大豆ホエーを利用することが好ましい。
分離大豆蛋白や濃縮大豆蛋白を工業的に製造する過程で副産物として生じる大豆ホエーは、通常、固形分が5%程度であり、その固形分組成は、粗蛋白質が20%程度、灰分が20%程度、糖質が60%程度である。
大豆ホエーを濃縮する方法は、特に限定されないが、例えば、減圧濃縮や限外ろ過膜により濃縮するのが好ましい。
具体的に、減圧濃縮により濃縮する方法としては、60℃以下、好ましくは35〜55℃、より好ましくは40〜55℃の温度で減圧濃縮する方法が挙げられる。
また、大豆ホエーの濃縮時のpHは4〜6であることが好ましい。
具体的に、減圧濃縮により濃縮する方法としては、60℃以下、好ましくは35〜55℃、より好ましくは40〜55℃の温度で減圧濃縮する方法が挙げられる。
また、大豆ホエーの濃縮時のpHは4〜6であることが好ましい。
限外ろ過膜により濃縮する場合には、大豆ホエーの粘度を低くし、また、トリプシンインヒビターの失活を少なくするために、濃縮する大豆ホエーの温度は、30〜60℃であることが好ましく、30℃〜55℃であることがより好ましく、35℃〜55℃であることが最も好ましい。
限外ろ過膜の膜には、分画分子量が3,000〜100,000の範囲内の限外ろ過膜を使用することが好ましい。限外ろ過膜の種類は、特に限定されず、例えば、中空糸膜、スパイラル膜、チューブラー膜、平膜等が挙げられるが、これらの中でもろ過面積が大きい点において中空糸膜が好ましい。
限外ろ過膜の膜には、分画分子量が3,000〜100,000の範囲内の限外ろ過膜を使用することが好ましい。限外ろ過膜の種類は、特に限定されず、例えば、中空糸膜、スパイラル膜、チューブラー膜、平膜等が挙げられるが、これらの中でもろ過面積が大きい点において中空糸膜が好ましい。
減圧濃縮と限外ろ過膜の両方で濃縮する場合は、どちらの処理から行ってもよいが、フラックス(膜透過流速:単位面積当たりのろ過液の透過量)をより高めるためには、限外ろ過膜で濃縮した溶液を、減圧濃縮するのが好ましい。
次に、沈殿物回収工程について説明をする。
濃縮大豆ホエーから沈殿物を回収する方法は、pH4〜6、好ましくはpH4〜5.5の条件下で沈殿物を回収する以外は、特に限定されないが、遠心分離又はろ過により沈殿物を回収するのが好ましい。pHは、塩酸や水酸化ナトリウム水溶液等を添加して調整することができる。
具体的に、遠心分離により沈殿物を回収する方法としては、pH4〜6に調整した濃縮大豆ホエーを、遠心分離機又は連続遠心分離機を用いて行う。
濃縮大豆ホエーから沈殿物を回収する方法は、pH4〜6、好ましくはpH4〜5.5の条件下で沈殿物を回収する以外は、特に限定されないが、遠心分離又はろ過により沈殿物を回収するのが好ましい。pHは、塩酸や水酸化ナトリウム水溶液等を添加して調整することができる。
具体的に、遠心分離により沈殿物を回収する方法としては、pH4〜6に調整した濃縮大豆ホエーを、遠心分離機又は連続遠心分離機を用いて行う。
また、ろ過により沈殿物を回収する方法としては、pH4〜6に調整した濃縮大豆ホエーを、好ましくは2〜10℃、より好ましくは2〜8℃、最も好ましくは2〜5℃の温度で、好ましくは2〜24時間、より好ましくは5〜20時間、最も好ましくは10〜20時間静置した後、濾紙又はろ布をセットしたブフナーろ過器(ヌッチェ)を用いる吸引ろ過する方法や、加圧ろ過機によるフィルタープレスろ過が挙げられる。スケールアップでの製造を考えると、フィルタープレスろ過が好ましく、特に、圧搾式のフィルタープレスろ過が好ましい。
ろ過に使用するろ過材は、濾紙又はろ布のいずれであってもよいが、耐性が強く、工業的な使用に適しているろ布が好ましい。ろ布の材質は、特に限定されず、例えば、ポリプロピレンのマルチフィラメント糸が挙げられる。ろ過材としてろ布を選択する場合には、ろ過性をより高めるために、JIS−L1096に準拠して測定したろ布の通気度が20〜100cc/cm2/minの範囲内であることが好ましい。
ろ過に使用するろ過材は、濾紙又はろ布のいずれであってもよいが、耐性が強く、工業的な使用に適しているろ布が好ましい。ろ布の材質は、特に限定されず、例えば、ポリプロピレンのマルチフィラメント糸が挙げられる。ろ過材としてろ布を選択する場合には、ろ過性をより高めるために、JIS−L1096に準拠して測定したろ布の通気度が20〜100cc/cm2/minの範囲内であることが好ましい。
また、ろ過により沈殿物を回収する場合、ろ過性をより向上させるために、ろ過助剤として澱粉使用することができる。使用する澱粉は、水不溶性ものであれば特に限定されず、天然澱粉、加工澱粉のいずれであってもよい。例えば、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、小麦澱粉、タピオカ澱粉等の天然澱粉、原料として馬鈴薯、コーン、小麦、タピオカ等を使用し、これらにエステル化処理、エーテル化処理、アルファ化処理等を施したものが挙げられる。これらは単独又は組み合わせて用いることができる。
ろ過助剤として使用する澱粉の量は、濃縮大豆ホエー100質量部に対して、0.1〜15質量部であることが好ましく、1〜10質量部であることがより好ましい。
ろ過助剤として使用する澱粉の量は、濃縮大豆ホエー100質量部に対して、0.1〜15質量部であることが好ましく、1〜10質量部であることがより好ましい。
次に、乾燥工程について説明をする。
乾燥工程では、前記沈殿物回収工程で得られた沈殿物に水を加え、pH5.5〜8.5の条件下で乾燥をする。乾燥は、スプレードライ装置で行うことができる。
そして、効率よくスプレードライ乾燥するために、添加する水の量は、添加後の溶液の固形分が3〜15質量%となる量の水を加えることが好ましく、4〜10質量%となる量の水を加えることがより好ましい。
スプレードライにより得られる乾燥物中のトリプシンインヒビター活性をより高めるために、水を加えた溶液(乾燥時の溶液)のpHは、pH5.5〜8.5の範囲内にすることが必要である。pH5.5未満であると、トリプシンインヒビターが十分に溶解せず、また、pH8.5より高いと食品として好ましくないからである。
水を加えた溶液のpHが、すでに5.5〜8.5の範囲であれば、pH調整の必要はないが、pHが5.5未満であった場合、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ水溶液を添加して、pHを5.5〜8.5の範囲に調整することができる。
なお、トリプシンインヒビター活性の測定は、A.O.C.Sの公定法に基づいたBAPA法に従い行うことができる。
乾燥工程では、前記沈殿物回収工程で得られた沈殿物に水を加え、pH5.5〜8.5の条件下で乾燥をする。乾燥は、スプレードライ装置で行うことができる。
そして、効率よくスプレードライ乾燥するために、添加する水の量は、添加後の溶液の固形分が3〜15質量%となる量の水を加えることが好ましく、4〜10質量%となる量の水を加えることがより好ましい。
スプレードライにより得られる乾燥物中のトリプシンインヒビター活性をより高めるために、水を加えた溶液(乾燥時の溶液)のpHは、pH5.5〜8.5の範囲内にすることが必要である。pH5.5未満であると、トリプシンインヒビターが十分に溶解せず、また、pH8.5より高いと食品として好ましくないからである。
水を加えた溶液のpHが、すでに5.5〜8.5の範囲であれば、pH調整の必要はないが、pHが5.5未満であった場合、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ水溶液を添加して、pHを5.5〜8.5の範囲に調整することができる。
なお、トリプシンインヒビター活性の測定は、A.O.C.Sの公定法に基づいたBAPA法に従い行うことができる。
トリプシンインヒビターの活性の値を一定の値に調整したり、保存時に活性をより安定に保持するために、乾燥する溶液に、澱粉及び/又は澱粉分解物を添加して、乾燥することができる。また、保存時に活性をより安定に保持するために、澱粉及び/又は澱粉分解物を添加後、好ましくは80℃以下、より好ましくは50〜80℃、最も好ましくは50〜70℃で1〜5時間保持し、その後乾燥するのが好ましい。
使用する澱粉は、特に限定されず、天然澱粉、加工澱粉のいずれであってもよい。例えば、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、小麦澱粉、タピオカ澱粉等の天然澱粉、原料として馬鈴薯、コーン、小麦、タピオカ等を使用し、これらにエステル化処理、エーテル化処理、アルファ化処理等を施したものが挙げられる。これらは単独又は組み合わせて用いることができる。
澱粉及び澱粉分解物の添加量は、水溶液中の固形分100質量部に対して、1〜200質量部であることが好ましく、50〜150質量部であることがより好ましい。
使用する澱粉は、特に限定されず、天然澱粉、加工澱粉のいずれであってもよい。例えば、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、小麦澱粉、タピオカ澱粉等の天然澱粉、原料として馬鈴薯、コーン、小麦、タピオカ等を使用し、これらにエステル化処理、エーテル化処理、アルファ化処理等を施したものが挙げられる。これらは単独又は組み合わせて用いることができる。
澱粉及び澱粉分解物の添加量は、水溶液中の固形分100質量部に対して、1〜200質量部であることが好ましく、50〜150質量部であることがより好ましい。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に何ら制限を受けるものではない。
製造例1〔大豆ホエーの製造〕
タンクに、低変性脱脂大豆粉20kg、水120kgを入れて撹拌した後、1Nの塩酸水溶液を添加してpHを4.5に調整した。30分間撹拌した後、バケット型遠心分離機(田辺鉄工所製)によりオカラを除去し、上澄み液(大豆ホエー)を100kg回収した。回収した大豆ホエーは、固形分が4.6質量%、pHが4.5であり、トリプシンインヒビター(TI)活性は3.9TIU/mgであった。なお、トリプシンインヒビター活性は、A.O.C.Sの公定法に基づいたBAPA法に従って測定した。
タンクに、低変性脱脂大豆粉20kg、水120kgを入れて撹拌した後、1Nの塩酸水溶液を添加してpHを4.5に調整した。30分間撹拌した後、バケット型遠心分離機(田辺鉄工所製)によりオカラを除去し、上澄み液(大豆ホエー)を100kg回収した。回収した大豆ホエーは、固形分が4.6質量%、pHが4.5であり、トリプシンインヒビター(TI)活性は3.9TIU/mgであった。なお、トリプシンインヒビター活性は、A.O.C.Sの公定法に基づいたBAPA法に従って測定した。
実施例1〔トリプシンインヒビター含有物の製造(乾燥時pH5.5)〕
製造例1で得られた大豆ホエー100kgに、10%水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを5.5に調整した後、薄膜蒸発実験装置(関西化学機械製作製)で、品温55℃で減圧濃縮を行ない、濃縮大豆ホエーを15.6kg回収した〔濃縮工程〕。得られた濃縮大豆ホエーの固形分は29.5質量%、pHは4.0で、トリプシンインヒビター活性は30TIU/mgであった。
次いで、回収した濃縮大豆ホエー15.6kgに、10%水酸化ナトリウム水溶液を添加し、pHを4.5に調整し、4℃の温度条件下で一晩(約16時間)静置した後、連続遠心分離機(久保田製作所製)で遠心分離(4000G)をし、沈殿物を1.1kg回収した〔沈殿回収工程〕。
得られた沈殿物1000gに、水5000gを加え、固形分が6.6質量%の水溶液6000gを得た。加水後の溶液のpHは4.8であった。
得られた水溶液(pH4.8)の一部(1000g)を容器に取り、10%水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを5.5に調整した後、大川原化工機製L−8型スプレードライヤ(入口温度:140℃、出口温度:80℃)で乾燥し、粉末状のトリプシンインヒビター含有物57.8gを得た〔乾燥工程〕。
得られたトリプシンインヒビター含有物のトリプシンインヒビター(TI)活性を、A.O.C.Sの公定法に基づいたBAPA法に従って測定した。結果を表1に示す。
製造例1で得られた大豆ホエー100kgに、10%水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを5.5に調整した後、薄膜蒸発実験装置(関西化学機械製作製)で、品温55℃で減圧濃縮を行ない、濃縮大豆ホエーを15.6kg回収した〔濃縮工程〕。得られた濃縮大豆ホエーの固形分は29.5質量%、pHは4.0で、トリプシンインヒビター活性は30TIU/mgであった。
次いで、回収した濃縮大豆ホエー15.6kgに、10%水酸化ナトリウム水溶液を添加し、pHを4.5に調整し、4℃の温度条件下で一晩(約16時間)静置した後、連続遠心分離機(久保田製作所製)で遠心分離(4000G)をし、沈殿物を1.1kg回収した〔沈殿回収工程〕。
得られた沈殿物1000gに、水5000gを加え、固形分が6.6質量%の水溶液6000gを得た。加水後の溶液のpHは4.8であった。
得られた水溶液(pH4.8)の一部(1000g)を容器に取り、10%水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを5.5に調整した後、大川原化工機製L−8型スプレードライヤ(入口温度:140℃、出口温度:80℃)で乾燥し、粉末状のトリプシンインヒビター含有物57.8gを得た〔乾燥工程〕。
得られたトリプシンインヒビター含有物のトリプシンインヒビター(TI)活性を、A.O.C.Sの公定法に基づいたBAPA法に従って測定した。結果を表1に示す。
実施例2〔トリプシンインヒビター含有物の製造(乾燥時pH7.0)〕
実施例1の工程の途中で沈殿物に加水することにより得られた水溶液(pH4.8)の一部(1000g)を容器に取り、10%水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを7.0に調整した後、大川原化工機製L−8型スプレードライヤ(入口温度:140℃、出口温度:80℃)で乾燥し、粉末状のトリプシンインヒビター含有物57.5gを得た〔乾燥工程〕。
得られたトリプシンインヒビター含有物のトリプシンインヒビター(TI)活性を、A.O.C.Sの公定法に基づいたBAPA法に従って測定した。結果を表1に示す。
実施例1の工程の途中で沈殿物に加水することにより得られた水溶液(pH4.8)の一部(1000g)を容器に取り、10%水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを7.0に調整した後、大川原化工機製L−8型スプレードライヤ(入口温度:140℃、出口温度:80℃)で乾燥し、粉末状のトリプシンインヒビター含有物57.5gを得た〔乾燥工程〕。
得られたトリプシンインヒビター含有物のトリプシンインヒビター(TI)活性を、A.O.C.Sの公定法に基づいたBAPA法に従って測定した。結果を表1に示す。
実施例3〔トリプシンインヒビター含有物の製造(乾燥時pH8.5)〕
実施例1の工程の途中で沈殿物に加水することにより得られた水溶液(pH4.8)の一部(1000g)を容器に取り、10%水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを8.5に調整した後、大川原化工機製L−8型スプレードライヤ(入口温度:140℃、出口温度:80℃)で乾燥し、粉末状のトリプシンインヒビター含有物59.0gを得た〔乾燥工程〕。
得られたトリプシンインヒビター含有物のトリプシンインヒビター(TI)活性を、A.O.C.Sの公定法に基づいたBAPA法に従って測定した。結果を表1に示す。
実施例1の工程の途中で沈殿物に加水することにより得られた水溶液(pH4.8)の一部(1000g)を容器に取り、10%水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを8.5に調整した後、大川原化工機製L−8型スプレードライヤ(入口温度:140℃、出口温度:80℃)で乾燥し、粉末状のトリプシンインヒビター含有物59.0gを得た〔乾燥工程〕。
得られたトリプシンインヒビター含有物のトリプシンインヒビター(TI)活性を、A.O.C.Sの公定法に基づいたBAPA法に従って測定した。結果を表1に示す。
比較例1〔トリプシンインヒビター含有物の製造(乾燥時pH4.5)〕
実施例1の工程の途中で沈殿物に加水することにより得られた水溶液(pH4.8)の一部(1000g)を容器に取り、1N塩酸を添加してpHを4.5に調整した後、大川原化工機製L−8型スプレードライヤ(入口温度:140℃、出口温度:80℃)で乾燥し、粉末状のトリプシンインヒビター含有物57.0gを得た〔乾燥工程〕。
得られたトリプシンインヒビター含有物のトリプシンインヒビター(TI)活性を、A.O.C.Sの公定法に基づいたBAPA法に従って測定した。結果を表1に示す。
実施例1の工程の途中で沈殿物に加水することにより得られた水溶液(pH4.8)の一部(1000g)を容器に取り、1N塩酸を添加してpHを4.5に調整した後、大川原化工機製L−8型スプレードライヤ(入口温度:140℃、出口温度:80℃)で乾燥し、粉末状のトリプシンインヒビター含有物57.0gを得た〔乾燥工程〕。
得られたトリプシンインヒビター含有物のトリプシンインヒビター(TI)活性を、A.O.C.Sの公定法に基づいたBAPA法に従って測定した。結果を表1に示す。
実施例4〔トリプシンインヒビター含有物の製造(澱粉分解物添加)〕
実施例1の工程の途中で沈殿物に加水することにより得られた水溶液(pH4.8、固形分6.6質量%)の一部(1000g)を容器に取り、10%水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを5.5に調整した後、澱粉分解物(商品名:パインデックス#1、松谷化学工業(株)製)を83g添加し、撹拌後、60℃にて3時間保持後に大川原化工機製L−8型スプレードライヤ(入口温度:140℃、出口温度:80℃)で乾燥し、粉末状のトリプシンインヒビター含有物127.2gを得た〔乾燥工程〕。沈殿物の固形分100質量部に対する澱粉分解物の添加量は、125質量部であった。
得られたトリプシンインヒビター含有物のトリプシンインヒビター(TI)活性は、46.2TIU/mgであった。なお、トリプシンインヒビター(TI)活性は、A.O.C.Sの公定法に基づいたBAPA法に従って測定した。
実施例1の工程の途中で沈殿物に加水することにより得られた水溶液(pH4.8、固形分6.6質量%)の一部(1000g)を容器に取り、10%水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを5.5に調整した後、澱粉分解物(商品名:パインデックス#1、松谷化学工業(株)製)を83g添加し、撹拌後、60℃にて3時間保持後に大川原化工機製L−8型スプレードライヤ(入口温度:140℃、出口温度:80℃)で乾燥し、粉末状のトリプシンインヒビター含有物127.2gを得た〔乾燥工程〕。沈殿物の固形分100質量部に対する澱粉分解物の添加量は、125質量部であった。
得られたトリプシンインヒビター含有物のトリプシンインヒビター(TI)活性は、46.2TIU/mgであった。なお、トリプシンインヒビター(TI)活性は、A.O.C.Sの公定法に基づいたBAPA法に従って測定した。
実施例5〔トリプシンインヒビター含有物の製造(限外ろ過膜使用)〕
製造例1で得られた大豆ホエー3000gを、水酸化ナトリウムを用いてpH5.5に調整した後、50℃の温度条件下でペンシル型限外濾過膜(製品名:マイクローザ ACP−0053D、分画分子量:13,000、旭化成株式会社製)を用いて、濃縮し濃縮大豆ホエー435gを得た。
得られた濃縮大豆ホエーの固形分は9.5質量%、pHは5.1で、トリプシンインヒビター活性は42TIU/mgであった。
この濃縮大豆ホエーを原料として、先の実施例と同様に、pH4〜6の条件下で沈殿物を回収し、得られた沈殿物に水を加え、pH5.5〜8.5の条件下で乾燥すると、トリプシンインヒビター含有物を得ることができる。
製造例1で得られた大豆ホエー3000gを、水酸化ナトリウムを用いてpH5.5に調整した後、50℃の温度条件下でペンシル型限外濾過膜(製品名:マイクローザ ACP−0053D、分画分子量:13,000、旭化成株式会社製)を用いて、濃縮し濃縮大豆ホエー435gを得た。
得られた濃縮大豆ホエーの固形分は9.5質量%、pHは5.1で、トリプシンインヒビター活性は42TIU/mgであった。
この濃縮大豆ホエーを原料として、先の実施例と同様に、pH4〜6の条件下で沈殿物を回収し、得られた沈殿物に水を加え、pH5.5〜8.5の条件下で乾燥すると、トリプシンインヒビター含有物を得ることができる。
〔水産練り製品での評価実験〕
冷凍イトヨリすり身及び実施例2で得られたトリプシンインヒビター含有物を用いて、以下に示す製造方法1及び2によりケーシングかまぼこを製造した。得られたかまぼこについてテクスチャーアナライザーによる物性評価を行った。
また、トリプシンインヒビター含有物を添加した浸漬水に浸漬させたバナメイエビを加熱処理して、加熱処理バナメイエビを製造した。製造した加熱処理バナメイエビの歩留り率を算出し、トリプシンインヒビター含有物の収縮抑制効果を調べた。
冷凍イトヨリすり身及び実施例2で得られたトリプシンインヒビター含有物を用いて、以下に示す製造方法1及び2によりケーシングかまぼこを製造した。得られたかまぼこについてテクスチャーアナライザーによる物性評価を行った。
また、トリプシンインヒビター含有物を添加した浸漬水に浸漬させたバナメイエビを加熱処理して、加熱処理バナメイエビを製造した。製造した加熱処理バナメイエビの歩留り率を算出し、トリプシンインヒビター含有物の収縮抑制効果を調べた。
ケーシングかまぼこの製造(製造方法1:加熱処理)
冷凍イトヨリすり身を室温で半解凍し、真空カッター(Stephan社製、Stephan Universal Machine UM−5)へ投入する。真空カッターで、すり身を荒擂りし、この段階で、全加水量の1/3量の水を添加した。そして、かまぼこ(2)については、この段階で実施例2のトリプシンインヒビター含有物を添加した。擂潰は、擂り上がり後のすり身の温度が1〜3℃になるまで行った(荒擂り工程、約5分間)。
次に、食塩を添加し、すり身温度が3〜8℃になるまで、減圧下で約1分間擂潰し、その後、全加水量の1/3量の水を添加し、すり身温度が8〜10℃になるまで、減圧下で約1分間擂潰した(塩擂り工程、約2分間)。
次に、残りの1/3量の水を添加し、澱粉、炭酸カルシウムを添加するものはこの段階で添加し、すり身温度が10〜14℃になるまで、減圧下で擂潰し(本擂り工程、約1分間)、擂り上がり品を得た。
次に、得られた擂り上がり品を、ケーシング(株式会社クレハ製、クレハロンシームA08、55mm×300mm No.4)に詰めて結束後、92℃で40分間加熱処理を行った。その後、流水で冷却し、ケーシングかまぼこを得た。
冷凍イトヨリすり身を室温で半解凍し、真空カッター(Stephan社製、Stephan Universal Machine UM−5)へ投入する。真空カッターで、すり身を荒擂りし、この段階で、全加水量の1/3量の水を添加した。そして、かまぼこ(2)については、この段階で実施例2のトリプシンインヒビター含有物を添加した。擂潰は、擂り上がり後のすり身の温度が1〜3℃になるまで行った(荒擂り工程、約5分間)。
次に、食塩を添加し、すり身温度が3〜8℃になるまで、減圧下で約1分間擂潰し、その後、全加水量の1/3量の水を添加し、すり身温度が8〜10℃になるまで、減圧下で約1分間擂潰した(塩擂り工程、約2分間)。
次に、残りの1/3量の水を添加し、澱粉、炭酸カルシウムを添加するものはこの段階で添加し、すり身温度が10〜14℃になるまで、減圧下で擂潰し(本擂り工程、約1分間)、擂り上がり品を得た。
次に、得られた擂り上がり品を、ケーシング(株式会社クレハ製、クレハロンシームA08、55mm×300mm No.4)に詰めて結束後、92℃で40分間加熱処理を行った。その後、流水で冷却し、ケーシングかまぼこを得た。
ケーシングかまぼこの製造〔製造方法2(戻り加熱処理→加熱処理)〕
冷凍イトヨリすり身を室温で半解凍し、真空カッター(Stephan社製、Stephan Universal Machine UM−5)へ投入する。真空カッターで、すり身を荒擂りし、この段階で、全加水量の1/3量の水を添加した。そして、かまぼこ(2)については、この段階で実施例2のトリプシンインヒビター含有物を添加した。擂潰は、擂り上がり後のすり身の温度が1〜3℃になるまで行った(荒擂り工程、約5分間)。
次に、食塩を添加し、すり身温度が3〜8℃になるまで、減圧下で約1分間擂潰し、その後、全加水量の1/3量の水を添加し、すり身温度が8〜10℃になるまで、減圧下で約1分間擂潰した(塩擂り工程、約2分間)。
次に、残りの1/3量の水を添加し、澱粉、炭酸カルシウムを添加するものはこの段階で添加し、すり身温度が10〜14℃になるまで、減圧下で擂潰し(本擂り工程、約1分間)、擂り上がり品を得た。
次に、得られた擂り上がり品を、ケーシング(株式会社クレハ製、クレハロンシームA08、55mm×300mm No.4)に詰めて結束後、60℃、40分間戻り加熱処理をした後、92℃で40分間加熱処理を行った。その後、流水で冷却し、ケーシングかまぼこを得た。
冷凍イトヨリすり身を室温で半解凍し、真空カッター(Stephan社製、Stephan Universal Machine UM−5)へ投入する。真空カッターで、すり身を荒擂りし、この段階で、全加水量の1/3量の水を添加した。そして、かまぼこ(2)については、この段階で実施例2のトリプシンインヒビター含有物を添加した。擂潰は、擂り上がり後のすり身の温度が1〜3℃になるまで行った(荒擂り工程、約5分間)。
次に、食塩を添加し、すり身温度が3〜8℃になるまで、減圧下で約1分間擂潰し、その後、全加水量の1/3量の水を添加し、すり身温度が8〜10℃になるまで、減圧下で約1分間擂潰した(塩擂り工程、約2分間)。
次に、残りの1/3量の水を添加し、澱粉、炭酸カルシウムを添加するものはこの段階で添加し、すり身温度が10〜14℃になるまで、減圧下で擂潰し(本擂り工程、約1分間)、擂り上がり品を得た。
次に、得られた擂り上がり品を、ケーシング(株式会社クレハ製、クレハロンシームA08、55mm×300mm No.4)に詰めて結束後、60℃、40分間戻り加熱処理をした後、92℃で40分間加熱処理を行った。その後、流水で冷却し、ケーシングかまぼこを得た。
〔ケーシングかまぼこの物性評価〕
製造したケーシングかまぼこについて、破断応力(g)、破断変形(mm)を、Stable Micro Systems社製のテクスチャーアナライザー.XTplus(XTPL15型、直径8mm球状プランジャー)を用いて測定し、それらの値の積をそれらの値の積をゼリー強度(g・mm)として算出し、ゲルの強度を評価した。
この方法により評価した物性評価結果を、表3に示す。
製造したケーシングかまぼこについて、破断応力(g)、破断変形(mm)を、Stable Micro Systems社製のテクスチャーアナライザー.XTplus(XTPL15型、直径8mm球状プランジャー)を用いて測定し、それらの値の積をそれらの値の積をゼリー強度(g・mm)として算出し、ゲルの強度を評価した。
この方法により評価した物性評価結果を、表3に示す。
表3からわかるように、トリプシンインヒビター含有物を使用していないかまぼこ(1)に比べ、トリプシンインヒビター含有物を使用したかまぼこ(2)のゼリー強度は高かった。
加熱処理バナメイエビの製造
まず、冷凍のバナメイエビ(約10〜13g/尾)を解凍し、表4に示す量の実施例2のトリプシンインヒビター含有物及び食塩を添加した浸漬水100mLに、100gのバナメイエビを6℃の温度条件下で16時間浸漬した。
その後、バナメイエビを1回軽く水洗した後、沸騰水で3分間ボイルし、加熱処理バナメイエビを得た。
比較として、表4に示す量の食塩のみを添加した浸漬水で、同様に加熱処理バナメイエビを製造した。
加熱処理バナメイエビの歩留率を、「歩留率(質量%)=加熱処理後のバナメイエビの質量(g)/加熱処理前のバナメイエビの質量(g)×100」の式により算出した。結果を表4に示す。
まず、冷凍のバナメイエビ(約10〜13g/尾)を解凍し、表4に示す量の実施例2のトリプシンインヒビター含有物及び食塩を添加した浸漬水100mLに、100gのバナメイエビを6℃の温度条件下で16時間浸漬した。
その後、バナメイエビを1回軽く水洗した後、沸騰水で3分間ボイルし、加熱処理バナメイエビを得た。
比較として、表4に示す量の食塩のみを添加した浸漬水で、同様に加熱処理バナメイエビを製造した。
加熱処理バナメイエビの歩留率を、「歩留率(質量%)=加熱処理後のバナメイエビの質量(g)/加熱処理前のバナメイエビの質量(g)×100」の式により算出した。結果を表4に示す。
表4からわかるように、バナメイエビを漬ける浸漬液にトリプシンインヒビター含有物を添加した場合、食塩のみを添加した場合に比べ、加熱処理バナメイエビの歩留率が向上することが確認できた。
本発明の方法により製造されるトリプシンインヒビター含有物は、食品分野において利用することができ、主に、水産加工品及び畜肉加工品に好適に使用することができる。
Claims (5)
- 大豆ホエーを、固形分が6〜35質量%になるように濃縮する濃縮工程と、前記濃縮工程で得られた濃縮大豆ホエーから、pH4〜6の条件下で沈殿物を回収する沈殿物回収工程と、前記沈殿物回収工程で得られた沈殿物に水を加え、pH5.5〜8.5の条件下で乾燥する乾燥工程とを有することを特徴とするトリプシンインヒビター含有物の製造方法。
- 前記濃縮工程が、減圧濃縮及び/又は限外ろ過膜により濃縮する工程であることを特徴とする請求項1に記載のトリプシンインヒビター含有物の製造方法。
- 前記沈殿物回収工程が、遠心分離又はろ過により沈殿物を回収する工程であることを特徴とする請求項1又は2に記載のトリプシンインヒビター含有物の製造方法。
- 前記乾燥工程が、沈殿物回収工程で得られた沈殿物の固形分100質量部に対して、澱粉及び/又は澱粉分解物を1〜200質量部添加した後、乾燥する工程であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のトリプシンインヒビター含有物の製造方法。
- 前記乾燥工程が、澱粉及び/又は澱粉分解物を添加した後、80℃以下の温度で1〜5時間保持し、乾燥する工程であることを特徴とする請求項4に記載のトリプシンインヒビター含有物の製造方法。
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JP2011191864A JP2013053095A (ja) | 2011-09-02 | 2011-09-02 | トリプシンインヒビター含有物の製造方法 |
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JP2015119639A (ja) * | 2013-12-20 | 2015-07-02 | 東洋製罐株式会社 | 加工食品 |
-
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- 2011-09-02 JP JP2011191864A patent/JP2013053095A/ja not_active Withdrawn
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