JP2018502203A - キチン、加水分解物、及び昆虫を酵素加水分解して1つ以上の所望の産物を生産する方法 - Google Patents
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Abstract
Description
(i)昆虫クチクラを圧搾する工程、及び
(ii)タンパク質溶解酵素で昆虫クチクラを酵素的に加水分解する工程
を含む、昆虫から1つ以上の所望の産物を生産する方法に関する。
−上表皮(epicuticle)、クチクラの最外側の薄い層(4μm未満);この層は水を透過せず、撥水性のワックスと、少量のタンパク質及びキチンを含有する;
−外表皮(exocuticle)、クチクラの中間層;日焼け(tanning)により硬化した、クチクラの剛性を保つタンパク質、キチン及び任意でメラニンから本質的になる;
−内表皮(endocuticle)、薄い柔軟な層で、タンパク質とキチンの混合物からなる。
(i)昆虫のクチクラを挽き潰す工程;
(ii)当該昆虫のクチクラを圧搾する工程;及び
(iii)タンパク質溶解酵素で当該昆虫クチクラを酵素的に加水分解する工程;
を含む。
−熱湯処理と同時及び/又は熱湯処理後、より好ましくは熱湯処理と同時。あるいはブランチングと同時及び/又はブランチング後、より好ましくはブランチングと同時。より好ましくは、熱湯処理又はブランチングの間に昆虫クチクラの処理が実施される場合、昆虫を熱湯処理するのに用いる水に酸化剤を添加するのが有利である。
−挽き潰しの前、同時及び/又は後。より好ましくは、挽き潰しの間に昆虫クチクラの処理が実施される場合、挽き潰しに用いる水に酸化剤を添加するのが有利である。
−圧搾の前及び/又は同時。
−昆虫クチクラの処理の特別な工程の間。
a)昆虫を殺す工程;
b)昆虫を挽き潰す工程;
c)昆虫を圧搾する工程;
d)タンパク質溶解酵素で昆虫クチクラを酵素的に加水分解する工程;
e)キチンを回収する工程;
任意で当該クチクラが、工程d)の前に酸化剤で処理され得る。
−灰の含量が、乾燥物の全重量に対して4%未満、好ましくは3.5%未満、より好ましくは2.5%以下(特にキチンが草食昆虫から調製される場合)、より好ましくは2%未満、なおもより好ましくは1.5%以下(特にキチンがT. molitorから調製される場合)、なおもより好ましくは1%未満である。
−純度(又は重量純度)が40〜90%、好ましくは50〜90%、より好ましくは60〜85%、なおもより好ましくは80%のオーダーである。
−(C−O)/(C−H)比が0.30〜0.56、好ましくは0.31〜0.53である機能表面存在度(functional surface abundance)。
−乾燥物の全重量に基づく脂質の合計含量≦14重量%。
−非飛翔性昆虫からキチンが調製される場合脂質含量≦5%。
−全アミノ酸≦45%。
−キチンが飛翔性昆虫から調製される場合全アミノ酸≦16%。
−Ala, Gly, Leu, Pro, Ser, Tyr, Valのいずれか3つ以上のアミノ酸の相対存在度(− relative abundance )≦10%。
−キチンがT. molitorから調製される場合、Leu, Pro, Valの相対存在度≦10%。
−キチンがT. molitorから調製される場合、Alaの相対存在度≦12%。
−比色純度≧40%。
−キチンが酵素加水分解においてProlyve NPを用いて調製される場合比色純度≧50%。
−相違による純度(purity by difference)≧45%、好ましくは≧49%。
−キチンがT. molitorから調製される場合、相違による純度≧52%。
−キチンが飛翔性昆虫から調製される場合、相違による純度≧70%。
−アセチル化度≧70%および結晶化度≦0.61。
−アセチル化度≧70%および結晶化度≦0.42。
a)昆虫を殺す工程;
b)昆虫を挽き潰す工程;
c)昆虫を圧搾する工程;
d)タンパク質溶解酵素で昆虫クチクラを酵素的に加水分解する工程;
e)加水分解物を回収する工程;
任意で当該クチクラが、工程d)の前に酸化剤で処理され得る。
−灰の含量が、乾燥物の全重量に対して4%未満、好ましくは3%未満(特にキチンが草食昆虫から調製される場合)である。
−消化性、特にペプシン消化性に優れ、95%を上回り、好ましくは96%を上回り、より好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上である。ペプシン消化性は、Decision 72/188/EECに規定の方法に従い測定される。
−タンパク質/ペプチド含量が、70%以上、好ましくは71%以上、より好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上(特に加水分解物が非飛翔性昆虫から調製される場合)である。
−12400g/molの水溶性タンパク質含量が、水溶性タンパク質の全重量に対して20%未満、好ましくは18%未満である。
−脂質含量が、14%未満、好ましくは10%未満、より好ましくは5%以下(特に加水分解物が非飛翔性昆虫から調製される場合)、より好ましくは2%以下、尚もより好ましくは1%以下である。
−最も豊富なアミノ酸が、プロリン、アラニン、ロイシン、アスパラギン酸、グルタミン及び/又はバリンである。「最も豊富」とは、アミノ酸組成において、あるアミノ酸の相対量が、アミノ酸の全重量に対して5%超、好ましくは7%超であることを意味する。プロリンの含量が高いことは特に興味深い。
−Asp, Glu, Ala, Gly, Leu, Pro, Tyr, Val, Lysから選択される5つ以上のアミノ酸の相対存在量が≧6%である。
−Asp, Glu, Ala, Leu, Pro, Tyr, Valから選択される3つ以上のアミノ酸の相対存在量が≧8%である。
a)昆虫を殺す工程;
b)昆虫を挽き潰す工程;
c)昆虫を圧搾する工程;
d)プロテアーゼで昆虫クチクラを酵素的に加水分解する工程;
e)キチンを回収する工程;
f)回収したキチンを脱アセチル化する工程;
g)キトサンを回収する工程;
任意で当該昆虫クチクラが、工程d)の前に酸化剤で処理され得る。
−美容、医薬、栄養又は食品組成物。
−火傷治療、第二の皮膚、角膜被覆材又は縫合材料等のための生体材料。
−濾過、テクスチャー化、凝集及び/又は吸着剤、特に水濾過及び浄化。
この殺す工程1は、微生物の混入を減少(劣化のリスク及び健康リスクを減少する)しつつ昆虫を殺すことを可能とし、自己溶解及び急速な変色を引き起こす昆虫の内部酵素を不活性化することを可能とする。
酸化剤によりクチクラを処理する特別な工程が、本発明の方法に組み込まれ得る。有利な場合、このクチクラ処理の中間工程は、殺す工程1及び挽き潰し工程2の間に実施される。
昆虫は熱湯処理又は処理タンクから、又はブランチングチャンバーから取り出され、それらは篩にかけられ、昆虫を粒子に粉砕できるナイフミルのようなグラインダー中に置かれる。
挽き潰し工程2で得た湿ったペーストを、それを圧搾して脂肪フラクションとタンパク質フラクションを両方含有するジュースを分離できる手順に従い、圧搾機中に置く。
挽き潰し工程2の湿ったペースト又は圧搾工程3の圧搾塊は、水を入れた加水分解タンクに入れられる。
前記反応の酵素の活性を停止し、加水分解の可溶性相を安定化するために、この汁を、80〜105℃で、10〜25分、好ましくは15〜20分間加熱することにより、熱不活性化を行う。一つの手順において、この熱不活性化工程5は、農業食物産業の通常の滅菌技術に従い実施される。他の手順において、酵素不活性化は、IR下の加熱又はUV照射により、又はマイクロ波加熱により実施される。
主にキチンからなる固形残留物は、回収され、そしてこの圧搾物を可溶相にもう一度注入するために、この残留物の最大限の脱水のための圧搾機中で圧搾する。そのように形成された圧搾された残留物は、主にキチン−ポリペプチドコポリマーの形態のキチンから本質的になる。
固形残留物は、当業者に公知の既存の技術によって、洗浄され、濾過され、再び洗浄され、そして乾燥される。
主にキチンを含有する乾燥させた固形残留物を、例えばカッティング(ナイフ)ミル中で挽き潰す。
固形残留物、任意で工程9で挽き潰された固形残留物は、濃水酸化ナトリウム溶液の入ったリアクター中に入れられ、4〜24時間、好ましくは6〜18時間反応させられる。30〜40%の水酸化ナトリウム水溶液は、挽き潰されたキチンの重量(g)/水溶液中の水酸化ナトリウムの体積(mL)の比率が1:50〜1:10、好ましくは1:20のオーダーとなるように添加される。タンクを加熱し、脱アセチル化温度は80〜150℃、好ましくは90〜120℃、より好ましくは100℃とする。
キトサン粉末は、乾燥物顔料が85%超、より好ましくは90%超の粉末を得るために、30〜80℃、好ましくは50〜70℃、好ましくは約60℃で乾燥させられる。
圧搾汁は、脂肪フラクション(昆虫オイル)とタンパク質フラクション(昆虫血リンパタンパク質)とを分離するために、1つ以上の分離工程に供され得る。これらの工程は、遠心分離、デカンティング、逆浸透による分離、超遠心、超臨界CO2、又はこれらの技術の幾つかの組み合わせ等の、当業者に周知の任意のオイル分離技術により実施され得る。
1つの手順において、濃縮は、水成分の真空蒸発により実施される。この濃縮物は、10%超、好ましくは20%超の乾燥抽出物を有する。この操作は乾燥を促進し、産物の保存及び安定性改善に通常用いる添加物が、この工程で添加され得る。
前記濃縮物は、例えばスプレー/気化(「スプレー乾燥」)等の当業者に公知の技術により最後に乾燥され、これは、抽出物、即ちペプチド及びグルコサミン(特にH2O2(本質的に)によるキチンの部分的加水分解で得られる)に富む濃縮物の乾燥粉末の取得を可能とする。
ビーカーに600gのT. molitorの幼虫を入れ、事前に沸騰させた600mLの水を入れた100℃のウォーターバス中に置いた。5分後、ビーカーをウォーターバスから出し、幼虫を抜き取り、600mLの水と混合した。そのように取得された液体を、以下の条件下で、Angel型ツインスクリュープレスを用いて圧搾した。
−速度=82rev/min;
−W(エネルギー)=3HP(馬力)又は2.68x106J;
−間隙率(推定)=第一部分0.5mm及び最終部分0.2mm。
−セルの濾過表面積=50cm2;
−圧力=2〜8bar;
−温度=20〜80℃;
−間隙率=25〜80μm;
−濾過終端部の流速=100〜250mL/h。
挽き潰しのみ(挽き潰し1)、挽き潰し後に圧搾、挽き潰し後に圧搾及び第二の挽き潰し(挽き潰し2)、及び圧搾のみの、異なる種類の機械的前処理が試験された。
挽き潰し1回のキチンの生産
ビーカーに200gのT. molitorの幼虫を入れ、事前に沸騰させた200mLの水を入れた100℃のウォーターバス中に置いた。5分後、ビーカーをウォーターバスから出し、幼虫を抜き取り、200mLの水と混合した。そのように取得された液体を、プロテアーゼ(Prolyve)を2g含有するErlenmeyerフラスコに移し、全体をマグネチックスターラー下45℃で4時間撹拌した(pHはおよそ6.5)。そしてErlenmeyerフラスコを90℃のウォーターバスに15分間漬けて、酵素を不活性化し、その溶液を、熱いまま0.45〜0.5μmで濾過した。このように取得したキチンを、70℃で24時間乾燥させた。そして、8.13±0.27gのキチンが、この方法によって取得された。
ビーカーに200gのT. molitorの幼虫を入れ、事前に沸騰させた200mLの水を入れた100℃のウォーターバス中に置いた。5分後、ビーカーをウォーターバスから出し、幼虫を抜き取り、200mLの水と混合した。そのように取得された液体を、ツインスクリュー型の圧搾機に通した。そうして得られた圧搾塊30gを、150mLの水及びプロテアーゼ(Prolyve)を0.3g含有するErlenmeyerフラスコに移し、全体をマグネチックスターラー下45℃で4時間撹拌した(pHはおよそ6.5)。そしてErlenmeyerフラスコを90℃のウォーターバスに15分間漬けて、酵素を不活性化し、その溶液を、熱いまま0.45〜0.5μmで濾過した。このように取得したキチンを、70℃で24時間乾燥させた。そして、4.71±0.11gのキチンが、この方法によって取得された。
ビーカーに200gのT. molitorの幼虫を入れ、事前に沸騰させた200mLの水を入れた100℃のウォーターバス中に置いた。5分後、ビーカーをウォーターバスから出し、幼虫を抜き取り、200mLの水と混合した。そのように取得された液体を、ツインスクリュー型の圧搾機に通した。そうして得られた圧搾塊を、70℃のオーブン中で24時間乾燥させ、それを250μmに挽き潰した。そうして得られた粉末10gを、50mLの水及びプロテアーゼ(Prolyve)を0.1g含有するErlenmeyerフラスコに移し、全体をマグネチックスターラー下45℃で4時間撹拌した(pHはおよそ6.5)。そしてErlenmeyerフラスコを90℃のウォーターバスに15分間漬けて、酵素を不活性化し、その溶液を、熱いまま0.45〜0.5μmで濾過した。このように取得したキチンを、70℃で24時間乾燥させた。そして、4.93±0.12gのキチンが、この方法によって取得された。
ビーカーに200gのT. molitorの幼虫を入れ、事前に沸騰させた200mLの水を入れた100℃のウォーターバス中に置いた。5分後、ビーカーをウォーターバスから出し、幼虫を抜き取り、ツインスクリュー型の圧搾機に通した。そうして得られた圧搾塊90gを、450mLの水及びプロテアーゼ(Prolyve)を0.9g含有するErlenmeyerフラスコに移し、全体をマグネチックスターラー下45℃で4時間撹拌した(pHはおよそ6.5)。そしてErlenmeyerフラスコを90℃のウォーターバスに15分間漬けて、酵素を不活性化し、その溶液を、熱いまま0.45〜0.5μmで濾過した。このように取得したキチンを、70℃で24時間乾燥させた。そして、6.48±0.28gのキチンが、この方法によって取得された。
ビーカーに50gのT. molitorの幼虫を入れ、事前に沸騰させた50mLの水を入れた100℃のウォーターバス中に置いた。5分後、ビーカーをウォーターバスから出し、幼虫を抜き取り、60mLの水と混合した。そうして得られた液体を、1−Lベセルに写し、500mLの1M HCl溶液を添加した。全体をマグネチックスターラー下90℃で1時間撹拌した。内容物を濾過し、固形残留物を500mLの1M NaOH溶液を入れた1−Lボトルに移し、全体を90℃で24時間撹拌した。そして、0.944±0.005gの化学的に純粋なキチンが取得された。
キチンの純度は、取得された乾燥残留物と化学抽出で得たものとの重量を比較することにより決定され、最初の乾燥物の約5%である。
2gの試料をビーカーに入れ、そこに、0.2gのNa2SO4及び15mLのCHCl3/MeOH(2/1 v/v)を添加した。全体をマグネチックスターラーで20分間撹拌し、溶液を濾過し、残留物を再び10 mLのCHCl3/MeOH(2/1v/v)が入ったビーカーに入れた。全体をマグネチックスターラーで15分間撹拌し、溶液を濾過し、溶媒相を組み合わせ、定常重量になるまで蒸発させた。脂質含量は、試料の当初重量(2g)に対する抽出−蒸発後の重量のパーセンテージとして決定した。
図2に示すように、本発明の方法は、取得されるキチンの純度に影響し、最小限の圧搾を行った場合に最良の結果が得られた。最良の結果は、挽き潰し後に圧搾した場合に得られ、即ち、キチンの純度は78%であり、最も悪かったのが引き潰しのみの場合で、即ちキチンの純度は48%であった。
−加水分解で得られるキチンの純度は50%程度で、10%の脂質を含有し得、そして
−加水分解物の脂質含量は、それ自体40%近くになり得る。
−加水分解で得られるキチンの純度は80%で、脂質含量は8%となり得、そして加水分解物も、10%のオーダーの低い脂質含量を有し得る。
実施例1において取得した加水分解物に対して詳細な解析を行った。
加水分解物中のグルコサミン及び幾つかの他の糖の含量を、メタノリシス及びシリル化後のガスクロマトグラフィーによって解析した。
試料10mg及び内部標準50μgを、メタノール500μL/3N塩酸混合物中に、110℃で4時間置いた(又は130℃で24時間)。混合物をAg2CO3で中和した。50μLの無水酢酸を添加して再アセチル化した。常温暗黒下で一昼夜置いた後、試料を遠心分離し(15分3000rpm)、上澄を蒸発させた。化合物をピリジン100μLに溶かし、100μLのBSTFA(Supelco)と共に常温で一昼夜インキュベーションした。これを蒸発させ、残留物を700μLのCH2Cl2中に取り、GC中に注入した。
検出:FID
カラム:HP−5MS(30m、内径0.25mm)
内部標準:myo−イノシトール
加水分解物中のタンパク質/ペプチドのサイズは、HPLC、Shimadzu 20A装置により、室温で、Superdex Peptide 10/300 GLカラム上で、アセトニトリル(ACN)30%、トリフルオロ酢酸(TFA)0.1%の緩衝剤中で、流速0.4mL/minで評価された。検出は205nmで実施され、注入された試料の体積は20μLであった。
加水分解物のペプシン消化性のレベルは、全タンパク質の99.6%と見積もられている。これは外部機関により測定され、用いられた方法はDirective 72/199/EECを順守し、脱脂せずに実施された。
加水分解物中のタンパク質含量は、84.8%と推定される。これは外部機関により測定され、相関係数6.25でKjeldahl法により測定された。用いられた方法は、EC Regulation 152/2009を順守している。
加水分解物中の脂質含量は、0.7±0.5%と推定される。これは外部機関により測定され、EC Regulation 152/2009 (method B)に適合する、いわゆる「加水分解」法により測定された。
様々な酵素で処理した後に得られた加水分解物のアミノ酸組成を解析した(図6)。これは、プロリンが優勢であり、ヒドロキシプロリン(HYP)(プロリンの代謝産物で幾つかの生物、例えば甲殻類中には存在しない)が存在することを示す。プロリン及びその代謝産物のヒドロキシプロリンは、特にアルギニン及びグルタミン酸等の他のアミノ酸の合成を促すことにより代謝に本質的な役割を果たす。大半の哺乳類はプロリンを合成できるが、新生児、鳥類及び魚類によるこのアミノ酸の生産は不十分であるため、プロリン及びヒドロキシプロリンの供給は、幾つかの動物の成長を促進するのに用いられる場合がある。更に、プロリンは哺乳類の乳中に含まれる第一のアミノ酸であり12%の含量で存在するが、植物タンパク質中の含量は遥かに低く、大豆では2.9%、トウモロコシでは0.8%程度である。従って、この加水分解物は、乳と同等かつ植物タンパク質中に見られるよりも遥かに多いプロリン含量を有することが見出された。
詳細なアミノ酸解析が、実施例1で取得したキチンに対して実施された。
I.材料及び方法
a)材料
昆虫
様々な昆虫が試験された:
−鞘翅目:Tenebrio molitor (T. molitor又はTM)
−鱗翅目:Galleria mellonella (G. melonella又はGM)
−双翅目:Hermetia illucens (H. illucens又はHI)
−直翅目:Acheta domesticus (A. domesticus又はAD)
加水分解工程において様々な酵素が使用された。
ΔA=相関吸光度(correlated absorbance)
i=原点でのy−軸
11=最終反応体積
M=校正曲線の傾き
30=反応時間(分)
C=添加した酵素溶液中の酵素の濃度(g/mL)
1=添加した酵素溶液の体積(mL)
挽き潰しのみの製造方法(図面では「挽き潰し」と表記される)
600gの新鮮な昆虫(T. molitor, G. melonella又はH. illucensの場合は幼虫;A. domesticusの場合はコオロギ)をチャンバーに入れ、それらを蒸気で殺した(115℃、5分間)。昆虫を混合器中に入れ、昆虫100gに対し75mLの水を入れ、全体を混合した。そうして得られた産物100g(湿重量)を濃縮器を繋げたメカニカルスターラーを有する三つ首フラスコに入れ、活性が3789SAPUのタンパク質溶解酵素を添加した。45℃で4時間反応させた。15分間温度を95℃に上げ、反応混合物を最後に濾過した(0.40〜0.45μm)。残留物を70℃で24時間乾燥させたものを酵素的精製経路により取得されたキチンとし、濾過物を凍結及び凍結乾燥させたものを加水分解物とした。
600gの新鮮な昆虫(T. molitor, G. melonella又はH. illucensの場合は幼虫;A. domesticusの場合はコオロギ)をチャンバーに入れ、それらを蒸気で殺した(115℃、5分間)。昆虫を混合器中に入れ、昆虫100gに対し75mLの水を入れ、全体を混合し、圧搾した(ツインスクリュープレス又はフィルタープレス、又は他の圧搾系)。そうして得られた産物100g(湿重量)を濃縮器を繋げたマグネチックスターラーを有する三つ首フラスコに入れ、500mLの水を入れ、活性が3789SAPUのタンパク質溶解酵素を添加した。45℃で4時間反応させた。15分間温度を90℃に上げ、反応混合物を最後に濾過した(0.40〜0.45μm)。残留物を70℃で24時間乾燥させたものを酵素的精製経路により取得されたキチンとし、濾過物を凍結及び凍結乾燥させたものを加水分解物とした。
灰含量の測定
灰含量は、EC Regulation 152/2009 dated 27−01−2009に基づく方法により決定された。
100mgの試料を10mLのリン酸/NaCl緩衝剤(pH7.4、0.137mM)中に導入した。試料を1分間撹拌し(ボルテックス)、1分間900Gで遠心分離し、そして0.45μmメンブレンで濾過した。解析は、Nucleogel GFC−300カラムを備えた立体排除クロマトグラフィー系で実施され、使用された溶離液はリン酸/NaCl緩衝剤(pH7.4、0.137mM)であり、流速は1.0mL/分であり、280nmでUB検出器により検出された。
タンパク質含量はDumas法により取得され、変換係数は6.25であり、標準的なNF EN ISO 16634−1に基づく。
脂質含量は、EC Regulation 152/2009 - method B - SNに基づく方法により取得される。
ペプシン消化性は、Directive 72/199/ECに記載の方法により測定される。
アミノ酸の存在量は、EC Regulation 152/2009 dated 27−01−2009 - SNに由来する方法により決定された。トリプトファン含量は、EC Regulation 152/2009 dated 27−01−2009 - SNに基づく方法により別個に決定された。相対存在量は、アミノ酸含量と各アミノ酸の含量とを関連付けることにより計算された。
アミノ酸含量は、トリプトファンを含む各アミノ酸において取得された各数値を合計して決定された。
重量純度は、取得された乾燥残留物と化学抽出により得られたものとの間で重量を比較することにより決定され、後者は、最初の乾燥物の約5%と評価される。
試料の色は、赤、緑及び青(RGB)の三色に従いImageJソフトウエアを用いて画像を解析することにより推定され、それらの平均は、実際の色の評価を表す。Chitine Franceが販売するエビキチンを標準とし(純度100%)、生産された試料の比色純度は、この色のパーセンテージとして計算された(試料の色と標準の色との間の比率)。
この測定のために、既知の不純物(アミノ酸、脂質及び灰)の量を絶対純度(100%)の値から差し引いて、相違により推定された純度の値を取得した;即ち、タンパク質を30%、脂質を10%及び灰を1%含有する試料の純度は、100−30−10−1=59%となる。
測定は、Lynxeye XE検出器を備えたBruker D8 Advance装置(A25 DaVinci design)を用いてWAXS(広角X−線散乱)技術に従い実施された。結果は、Loelovich, M. Res. Rev.: J. Chem. 2014, 3, 7−14に記載の方法により解釈された。
この測定は、800MHz磁石を備えた13C NMR CP/MAS (Bruker)装置を使用して実施された。
これらの測定は、RX Ka A1光源(1486.6 eV)、モノクロメーター及び磁性レンズを備えたXPS Escolab 250 (VG Scientific)装置を使用して実施された。
DISCO装置(Synchrotron Soleil)上での多光子顕微鏡。
a)灰
圧搾は、いずれの昆虫を試験した場合であっても、取得される加水分解物中の灰含量に顕著な影響を有する(図8)。実際に、灰含量の減少は52%に達し、比例する減少は、昆虫が本来ミネラルに富むか否かに拘らず殆ど類似している。従って、H. illucensの場合、灰含量の変化は、挽き潰しを有する方法を用いた場合の7.5g/乾燥重量100gから圧搾工程と加えた場合の3.8g/乾燥重量100gに49%減少し、T. molitorの場合、その変化は5g/乾燥重量100gから2.4g/乾燥重量100gに52%減少する。
圧搾工程の使用は、明らかに、いずれの昆虫(図11)又は酵素(図12)を使用した場合であっても、タンパク質溶解酵素の性能を改善できる。従って、大型のタンパク質の相対存在量は、挽き潰し工程のみ含む方法と比較して顕著に落ち、昆虫種に拘らず、Prolyveを用いて加水分解を実施した場合、最終的な加水分解物は、大型タンパク質を最大でも10.3%しか含有しておらず;使用する酵素に拘らず、T. molitorの加水分解の場合17.5%以下である。
加水分解物のタンパク質含有量は、使用する方法に高度に依存している。従って、挽き潰しを単独で適用する場合、使用する酵素に拘らず、T. molitorから取得した場合、加水分解物の乾燥物に対してタンパク質含量は53.59±1.5%にしかならない(図13)。しかしながら、挽き潰しの後に圧搾をする場合、加水分解物中のタンパク質含量は84.58±1.4%になり、使用する酵素によっては53−62%増大する。
圧搾は、試験する酵素(図15)又は昆虫(図16)に拘らず、加水分解物中の脂質含有量に相当な影響を有する。実際に、脂質含有量の減少は51.4から97.7%と劇的であり、H. illucensの場合、28.6から13.9%(51.4%減少)、T. molitorにNovozymeを用いた場合、33.85から0.9%に減少する(97.3%減少)。
そのように取得された加水分解物のペプシン消化性は非常に高く、試験された酵素又は昆虫に拘らず、96%超であった(図17)。
圧搾工程の使用は、試験された昆虫又は酵素に拘らず、アラニン及びチロシン並びにより少ない程度にバリン、セリン及びグリシン等のクチクラ中に存在する他のアミノ酸のより良好な抽出を得ることを可能とする(図18〜24)。これらの結果は、酵素的に精製されたキチン中に存在するアミノ酸に対するものとも比較されるべきである(図29〜35)。
a)灰
加水分解物の場合よりも僅かであるが、キチン中の灰含量も、圧搾工程によって影響を受ける。従って、使用される酵素に応じて25%〜28.6%の減少が観察される(図25)。
加水分解物の場合よりも僅かだが、キチン中の脂質含量も、圧搾工程が加わる方法の場合に減少する(図2)。その効果は本質的に酵素に依存し、Sumizymeでの15%からNovozymeでは60%にも達する。昆虫に拘らず、Prolyveを用いて反応が実施された場合、この現象はH. illucensにおける50%からT. molitorにおける58%の間に位置する。
圧搾工程は、キチンに結合したタンパク質の大部分を排除できる。タンパク質含有量の直接の測定はキチンの実際の構造中に存在するアミド官能基により困難であるため、このタンパク質含量は、アミノ酸の合計によって推定された(図28)。従って、試験された酵素又は昆虫に拘らず、圧搾工程が加えられた場合、アミノ酸の合計は5〜54%減少していることが見られる。
試験された酵素(図36)又は昆虫(図37)に拘らず、圧搾工程の使用により重量純度は改善する。従って、T. molitorにProlyveを用いる場合それは48.7%から77.1%に、H. illucensにProlyveを用いる場合33.7%から87.9%に変化する。
重量純度ほど顕著ではないが、試験された昆虫又は酵素に拘らず(図38及び39)、本方法の部分を構成する場合、比色純度の改善も観察される。
圧搾を有する方法で得られたキチン中の脂質、灰及びアミノ酸含量の減少により、このキチンにおける相違による純度は、試験された昆虫又は酵素に拘らず顕著に増大し、H. illucensの場合13%、Prolyveを用いるT. molitorの場合74%に達する(図40)。
アセチル化度は、圧搾工程が本方法に加えられることにより顕著に影響を受ける(図41及び42)。実際に、血リンパから脂質及びアミノ酸を除去することは、酵素に対し、キチンに結合するタンパク質のペプチド結合の開裂の改善をもたらすキチンの表面に対する酵素のアクセス性を改善するが、触媒機能の多様性を通じて、キチンのアミド結合の開裂ももたらす。従って、本方法により得られたT. molitorのキチンのアセチル化度は76〜79%である一方、圧搾工程の無い場合それは91%であり、厳しい温度及び試薬条件下で実施された化学的加水分解であっても、アセチル化度は85%である。
精製を進行するとき、キチンの表面上の原子の分布は、相対酸素含量における増大、及び相対炭素含量における減少を示す(表4)。
−「粗クチクラ」は、天然の状態でのクチクラのキチンを意味し、切開により昆虫から取り出された直後に解析された;
−「酵素的に精製されたキチン(Novozyme)」は、挽き潰し+圧搾及び酵素Novozyme37071の存在下での酵素加水分解を含む方法で得たキチンを意味する;
−「酵素的に精製されたキチン(Prolyve)」は、挽き潰し+圧搾及び酵素Prolyve NPの存在下での酵素加水分解を含む方法で得たキチンを意味する;
−「酵素的に精製されたキチン」は、挽き潰し+圧搾及び酵素Prolyveの存在下での酵素加水分解を含む方法で得たキチンを意味する;
−「精製キチン」は、昆虫中のキチンの量を決定するのに用いるのと同じ化学的精製により得られるキチンを意味する。
本発明の方法による酵素的経路によるキチンの部分的精製は、構造の外形上に溢れたタンパク質を除去しつつ、化学的精製と比較してキチンの「充填」タンパク質を保存することにより全体の柔軟性を維持することを可能とする(図43)。
試験した昆虫又は酵素に拘らず、取得したキチンの結晶化度、即ち結晶部分とアモルファス部分の比率は0.42〜0.61である。
I.材料及び方法
a)材料
昆虫
以下の昆虫が試験された:
−甲虫:Tenebrio molitor (T. molitor又はTM)。
Prolyveが加水分解に使用された。
挽き潰しの後圧搾を有する(図中「挽き潰し+圧搾」と表記される)製造方法
幾つかのバッチが、以下のように変換された:600gの新鮮なT. molitor幼虫をチャンバーに入れ、それらを蒸気で殺した(115℃、5分間)。昆虫を混合器中に入れ、昆虫100gに対し75mLの水を入れ、全体を混合し、圧搾した(ツインスクリュープレス又はフィルタープレス、又は他の圧搾系)。
灰含量の測定、脂質含量の解析、アミノ酸の相対存在量、及びタンパク質のサイズの測定は、実施例5と同様に実施された。
取得された産物、キチン及び加水分解物は、解析及び特徴付けられた(表5、図45)。
表5:特徴
Claims (14)
- キチンであって、アミノ酸含量が、乾燥体の全重量に対して45重量%以下であり、灰含量が、乾燥体の全重量に対して3.5重量%以下であり、45%以上の相違による純度(purity by difference)を有する、キチン。
- 加水分解物であって、乾燥体の全重量に対して40重量%以上のタンパク質、乾燥体の全重量に対して10重量%以下の灰、及び12,400 g/molを上回る水溶性タンパク質含量が50%未満である、加水分解物。
- 昆虫から1つ以上の所望の産物を生産する方法であって、以下の工程:
(i)昆虫のクチクラを挽き潰す工程;
(ii)当該昆虫のクチクラを圧搾する工程;及び
(iii)タンパク質溶解酵素で当該昆虫クチクラを酵素的に加水分解する工程;
を含む、方法。 - 挽き潰し工程の前に昆虫を殺す工程を含む、請求項3に記載の方法。
- 更に、酵素加水分解の前に酸化剤で昆虫クチクラを処理する工程を含む、請求項3又は4のいずれか1項に記載の方法。
- 前記昆虫が、鞘翅目、鱗翅目、直翅目及び双翅目からなる群から選択される、請求項3〜5のいずれか1項に記載の方法。
- 前記プロテアーゼが、アミノペプチダーゼ、メタロカルボキシペプチダーゼ、セリンエンドペプチダーゼ、システインエンドペプチダーゼ、アスパラギン酸エンドペプチダーゼ、メタロエンドペプチダーゼからなる群から選択される、請求項3〜6のいずれか1項に記載の方法。
- 前記所望の産物が、キチン及び/又はキトサンである、請求項3〜7のいずれか1項に記載の方法。
- 前記所望の産物が加水分解物である、請求項3〜7のいずれか1項に記載の方法。
- 昆虫クチクラからキトサンを生産する方法であって、以下の工程:
a)昆虫を殺す工程;
b)昆虫を挽き潰す工程;
c)昆虫を圧搾する工程;
d)タンパク質溶解酵素で昆虫クチクラを酵素的に加水分解する工程;
e)キチンを回収する工程;
を含み、任意で当該クチクラが、工程d)の前に酸化剤で処理され得る、方法。 - 請求項3〜8及び10のいずれか1項に記載の方法により取得できるキチン。
- 昆虫から加水分解物を生産する方法であって、以下の工程:
a)昆虫を殺す工程;
b)昆虫を挽き潰す工程;
c)昆虫を圧搾する工程;
d)タンパク質溶解酵素で昆虫クチクラを酵素的に加水分解する工程;
e)加水分解物を回収する工程;
を含み、任意で当該昆虫クチクラが、工程d)の前に酸化剤で処理され得る、方法。 - 請求項3〜7、9及び12のいずれか1項に記載の方法により取得できる加水分解物。
- 昆虫クチクラからキトサンを生産する方法であって、以下の工程:
a)昆虫を殺す工程;
b)昆虫を挽き潰す工程;
c)昆虫を圧搾する工程;
d)プロテアーゼで昆虫クチクラを酵素的に加水分解する工程;
e)キチンを回収する工程;
f)回収したキチンを脱アセチル化する工程;
g)キトサンを回収する工程;
を含み、任意で当該昆虫クチクラが、工程d)の前に酸化剤で処理され得る、方法。
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