JP6236948B2 - 抗体精製用溶出液および当該溶出液を用いた抗体精製方法 - Google Patents
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Description
(1)5%(v/v)から50%(v/v)のエタノール
(2)0.1Mから3Mのイミダゾール
(3)0.1Mから3Mの尿素
(E)Fc結合性タンパク質を不溶性担体に固定化した分離剤に抗体を含む溶液を添加することで前記分離剤に吸着した前記抗体を溶出させるための溶出液であって、当該溶出液が5%(v/v)から50%(v/v)のエタノールを含むpH3.9からpH5.0の緩衝液である、前記溶出液。
(i)配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち少なくとも16番目のグルタミンから289番目のバリンまでのアミノ酸残基を含むタンパク質や、
(ii)配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち少なくとも16番目のグルタミンから289番目のバリンまでのアミノ酸残基を含み、かつ前記アミノ酸残基のうちの一つ以上が他のアミノ酸残基に置換、挿入または欠失したタンパク質、があげられる。
(1)配列番号2の37番目のスレオニンがイソロイシンに置換
(2)配列番号2の38番目のプロリンがセリンに置換
(3)配列番号2の53番目のロイシンがグルタミンに置換
(4)配列番号2の62番目のグルタミン酸がバリンに置換
(5)配列番号2の63番目のバリンがアラニンまたはグルタミン酸に置換
(6)配列番号2の66番目のロイシンがグルタミンまたはプロリンに置換
(7)配列番号2の67番目のセリンがプロリンに置換
(8)配列番号2の69番目のアラニンがバリンまたはスレオニンに置換
(9)配列番号2の71番目のセリンがスレオニンまたはロイシンに置換
(10)配列番号2の78番目のアスパラギン酸がグルタミン酸に置換
(11)配列番号2の81番目のイソロイシンがバリンに置換
(12)配列番号2の84番目のセリンがスレオニンに置換
(13)配列番号2の88番目のフェニルアラニンがチロシンに置換
(14)配列番号2の95番目のグルタミン酸がアスパラギン酸に置換
(15)配列番号2の119番目のヒスチジンがグルタミンに置換
(16)配列番号2の127番目のバリンがアラニンに置換
(17)配列番号2の146番目のアルギニンがリジンに置換
(18)配列番号2の147番目のアスパラギン酸がアスパラギンに置換
(19)配列番号2の151番目のヒスチジンがチロシンに置換
(20)配列番号2の178番目のスレオニンがアラニンに置換
(21)配列番号2の191番目のアルギニンがリジンに置換
(22)配列番号2の199番目のスレオニンがアラニンに置換
(23)配列番号2の200番目のロイシンがメチオニンに置換
(24)配列番号2の213番目のスレオニンがアラニンに置換
(25)配列番号2の216番目のバリンがアラニンに置換
(26)配列番号2の221番目のロイシンがアルギニンに置換
(27)配列番号2の229番目のセリンがアスパラギンに置換
(28)配列番号2の236番目のイソロイシンがリジンに置換
(29)配列番号2の244番目のチロシンがヒスチジンに置換
(30)配列番号2の253番目のスレオニンがアラニンに置換
(31)配列番号2の290番目のアルギニンがグルタミンに置換
(32)配列番号2の293番目のリジンがアスパラギンに置換
(33)配列番号2の297番目のリジンがグルタミン酸に置換
(34)配列番号2の306番目のプロリンがスレオニンに置換
(35)配列番号2の34番目のグルタミンがアルギニンに置換
(36)配列番号2の45番目のグルタミンがリジンに置換
(37)配列番号2の82番目のグルタミンがプロリンに置換
(38)配列番号2の177番目のアスパラギンがアスパラギン酸に置換
(39)配列番号2の213番目のスレオニンがセリンに置換
(40)配列番号2の242番目のグルタミンがアルギニンに置換
(41)配列番号2の253番目のスレオニンがセリンに置換
(42)配列番号2の271番目のグルタミン酸がアスパラギン酸に置換
本発明において不溶性担体とは、抗体の吸着/溶出に用いる溶液や溶剤に対して不溶性であり、かつ前述したFc結合性タンパク質を共有結合で固定化するための官能基(例えばヒドロキシ基、エポキシ基、トレシル基、ビニル基、アミノ基、カルボキシ基、マレイミド基、カルボニルイミダゾール基)を有した物質であればよく、ジルコニア、ゼオライト、シリカ、皮膜シリカ等の無機系物質に由来した担体であってもよいし、セルロース、アガロース、デキストラン等の天然有機高分子物質に由来した担体であってもよいし、ポリアクリル酸、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリメタクリレート、ビニルポリマー等の合成有機高分子物質に由来した担体であってもよい。なお担体表面に有する官能基がヒドロキシ基の場合、活性化剤を用いて、当該ヒドロキシ基から、Fc結合性タンパク質と共有結合可能な活性化基を形成させるとよい。前記活性化剤の具体例として、エピクロロヒドリン(活性化基としてエポキシ基を形成)、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル(活性化基としてエポキシ基を形成)、トレシルクロリド(活性化基としてトレシル基を形成)、ビニルブロミド(活性化基としてビニル基を形成)があげられる。またヒドロキシ基をアミノ基やカルボキシ基などに変換した後、活性化剤を作用させて活性化する手法も例示することができ、活性化剤の具体例として3−マレイミドプロピオン酸N−スクシンイミジル(活性化基としてマレイミド基を形成)、1,1’−カルボニルジイミダゾール(活性化基としてカルボニルイミダゾール基を形成)があげられる。
0.1Mから3.5Mのアミノ酸と0.1Mから3.5Mの前記アミノ酸とは異なるアミノ酸とを含むpH3.9からpH5.0の溶出液や、
0.1Mから3.5Mのアミノ酸と5%(v/v)から50%(v/v)のエタノールとを含むpH3.9からpH5.0の溶出液や、
0.1Mから3.5Mのアミノ酸と0.1Mから3Mのイミダゾールとを含むpH3.9からpH5.0の溶出液や、
0.1Mから3.5Mのアミノ酸と0.1Mから3Mの尿素とを含むpH3.9からpH5.0の溶出液や、
0.1Mから3Mの尿素と5%(v/v)から50%(v/v)のエタノールとを含むpH3.9からpH5.0の溶出液、
があげられる。
(1)配列番号3に記載のアミノ酸配列からなるFc結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むプラスミドで大腸菌を形質転換して得られた形質転換体を培養し、得られた菌体から前記Fc結合性タンパク質を精製することで、不溶性担体に固定化させるリガンドを調製した。なお、配列番号3に記載のアミノ酸配列からなるFc結合性タンパク質のうち、1番目のメチオニンから22番目のアラニンまでがPelBシグナルペプチド(配列番号5)のアミノ酸配列、25番目のグルタミンから298番目のアスパラギン酸までがFc結合性タンパク質FcRm68のアミノ酸配列、299番目のシステインから300番目のグリシンまでがシステインタグ(アミノ酸配列:CG)のアミノ酸配列である。また配列番号3において、FcRm68のアミノ酸配列(25番目のグルタミンから298番目のアスパラギン酸までの領域)は、Fc結合性タンパク質FcRm60c(配列番号4に記載のアミノ酸配列中34番目のグルタミンから307番目のアスパラギン酸までの領域、特開2011−206046号公報)のうち、
配列番号4の37番目のスレオニンがイソロイシンに、
配列番号4の63番目のバリンがグルタミン酸に、
配列番号4の69番目のアラニンがバリンに、
配列番号4の71番目のセリンがロイシンに、
配列番号4の84番目のセリンがスレオニンに、
配列番号4の95番目のグルタミン酸がアスパラギン酸に、
配列番号4の292番目のプロリンがリジンに、
配列番号4の293番目のグルタミン酸がリジンに、
配列番号4の297番目のグルタミンがリジンに、
配列番号4の301番目のヒスチジンがリジンに、
配列番号4の304番目のプロリンがリジンに、
それぞれ置換したFc結合性タンパク質である。またFc結合性タンパク質FcRm60cのアミノ酸配列は、配列番号1に記載のヒトFc受容体FcγRIのアミノ酸配列において16番目のグルタミンから289番目のバリンまでの領域に相当し、当該領域において60箇所置換が生じている(特開2011−206046号公報)。
(2)ビニルポリマーゲル(トヨパール、東ソー製)に1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルおよびエチレンジアミンを順次反応させることによってアミノ基を導入後、3−マレイミドプロピオン酸N−スクシンイミジルを反応させることで、活性化基としてマレイミド基を有したビニルポリマーゲルを得た。
(3)(2)で得られたマレイミド基を有したビニルポリマーゲルに、(1)で調製したリガンドを反応させることにより、Fc結合性タンパク質をビニルポリマーゲルに固定化した分離剤(Fc結合性タンパク質固定化ゲル)を調製し、当該ゲルをカラムに充填することでアフィニティーカラム(5mmφ×5mm、容量0.1mL)を作製した。
実施例1で作製したアフィニティーカラムをクロマトグラフ(AKTAprime、GEヘルスケア社製)に取り付け、以下に示す方法にて抗体回収率評価を行なった。なお、流速は0.5mL/分、検出器の波長は280nmにて実施した。
(1)カラムをPBS(Phosphate Buffered Saline)で平衡化し、3mg/mLのガンマグロブリン溶液2mLをカラムにアプライする。
(2)カラムにPBSを6mL流し、カラム未吸着の抗体を洗浄する。
(3)pH3.0、pH3.4、pH3.8、pH4.2、pH4.6またはpH5.0に調整した50mMクエン酸緩衝液をカラムに2mL流し、カラムから溶出した液を回収する(回収液1)。
(4)カラムにPBSを1.5mL流し、カラムを中性に戻す。
(5)pH3.0に調整した50mMクエン酸緩衝液をカラムに2mL流し、カラムに残留した抗体を完全に溶出させる(回収液2)。
(6)(3)で得られた回収液1、および(5)で得られた回収液2にそれぞれ含まれる抗体を、280nmの吸光度測定にて定量し、下記の式に従って回収率を算出する。
回収率[%]=回収液1の抗体量/(回収液1の抗体量+回収液2の抗体量)×100
結果を表1に示す。pH3.8以下の酸性緩衝液を用いると抗体をほぼ回収することができるが、pH3.8よりも中性側の緩衝液を用いると抗体の回収率が大きく低下するのがわかる。
実施例1で作製したアフィニティーカラムをクロマトグラフ(AKTAprime、GEヘルスケア社製)に取り付け、以下に示す方法にてアルギニンまたは塩化ナトリウムを含む溶出液の抗体回収率評価を行なった。なお、流速は0.5mL/分、検出器の波長は280nmにて実施した。
(1)カラムをPBS(Phosphate Buffered Saline)で平衡化し、3mg/mLのガンマグロブリン溶液2mLをカラムにアプライする。
(2)カラムにPBSを6mL流し、カラム未吸着の抗体を洗浄する。
(3)アルギニンまたは塩化ナトリウム(それぞれ濃度は1Mまたは3M)を含む50mMクエン酸緩衝液(pH4.6)をカラムに2mL流し、カラムから溶出した液を回収する(回収液1)。
(4)カラムにPBSを1.5mL流し、カラムを中性に戻す。
(5)pH3.0に調整した50mMクエン酸緩衝液をカラムに2mL流し、カラムに残留した抗体を完全に溶出させる(回収液2)。
(6)比較例1(6)と同様な方法で回収率を算出する。
実施例1で作製したアフィニティーカラムをクロマトグラフ(AKTAprime、GEヘルスケア社製)に取り付け、以下に示す方法にてアルギニンを含む溶出液の抗体回収率評価を行なった。なお、流速は0.5mL/分、検出器の波長は280nmにて実施した。
(1)カラムをPBS(Phosphate Buffered Saline)で平衡化し、3mg/mLのガンマグロブリン溶液2mLをカラムにアプライする。
(2)カラムにPBSを6mL流し、カラム未吸着の抗体を洗浄する。
(3)アルギニン(濃度は1Mまたは3M)を含む50mMクエン酸緩衝液(pH3.4、pH3.8、pH4.2またはpH4.6)をカラムに2mL流し、カラムから溶出した液を回収する(回収液1)。
(4)カラムにPBSを1.5mL流し、カラムを中性に戻す。
(5)pH3.0に調整した50mMクエン酸緩衝液をカラムに2mL流し、カラムに残留した抗体を完全に溶出させる(回収液2)。
(6)比較例1(6)と同様な方法で回収率を算出する。
実施例1で作製したアフィニティーカラムをクロマトグラフ(AKTAprime、GEヘルスケア社製)に取り付け、以下に示す方法にて緩衝液に添加する添加剤の検討を行なった。なお、流速は0.5mL/分、検出器の波長は280nmにて実施した。
(1)カラムをPBS(Phosphate Buffered Saline)で平衡化し、3mg/mLのガンマグロブリン溶液2mLをカラムにアプライする。
(2)カラムにPBSを6mL流し、カラム未吸着の抗体を洗浄する。
(3)以下に示す添加剤のいずれかを含む50mMクエン酸緩衝液(pH4.2)をカラムに2mL流し、カラムから溶出した液を回収する(回収液1)。
検討した添加剤:1Mのアルギニン、0.5Mまたは1Mのプロリン、0.5Mのスレオニン、0.5Mのヒスチジン、10%(v/v)のエタノール、0.5Mのイミダゾール、0.5Mの尿素、0.5%(v/v)のTween20(商品名)
(4)カラムにPBSを1.5mL流し、カラムを中性に戻す。
(5)pH3.0に調整した50mMクエン酸緩衝液をカラムに2mL流し、カラムに残留した抗体を完全に溶出させる(回収液2)。
(6)比較例1(6)と同様な方法で回収率を算出する。なお280nmの光を吸収する成分を含む回収液は、事前に透析により緩衝液交換を行なっている。
実施例4よりアミノ酸、エタノール、イミダゾール、尿素が溶出改善剤として使用可能であることが判明した。そこで、これらの溶出改善剤を組み合わせることで抗体回収率がさらに向上するか、検討した。検討は、実施例1で作製したアフィニティーカラムをクロマトグラフ(AKTAprime、GEヘルスケア社製)に取り付けた後、以下に示す方法で行なった。なお、流速は0.5mL/分、検出器の波長は280nmにて実施した。
(1)カラムをPBS(Phosphate Buffered Saline)で平衡化し、3mg/mLのガンマグロブリン溶液2mLをカラムにアプライする。
(2)カラムにPBSを6mL流し、カラム未吸着の抗体を洗浄する。
(3)以下に示す溶出改善剤の組み合わせのいずれかを含む50mMクエン酸緩衝液(pH4.2)をカラムに2mL流し、カラムから溶出した液を回収する(回収液1)。
検討した溶出改善剤の組み合わせ:1Mのアルギニンと0.5Mのプロリンとの組み合わせ、1Mのアルギニンと10%(v/v)のエタノールとの組み合わせ、1Mのアルギニンと0.5Mのイミダゾールとの組み合わせ、1Mのアルギニンと0.5Mの尿素との組み合わせ、0.5Mのプロリンと10%(v/v)のエタノールとの組み合わせ、0.5Mのプロリンと0.5Mの尿素との組み合わせ、0.5Mの尿素と10%(v/v)のエタノールとの組み合わせ
(4)カラムにPBSを1.5mL流し、カラムを中性に戻す。
(5)pH3.0に調整した50mMクエン酸緩衝液をカラムに2mL流し、カラムに残留した抗体を完全に溶出させる(回収液2)。
(6)比較例1(6)と同様な方法で回収率を算出する。なお280nmの光を吸収する成分を含む回収液は、事前に透析により緩衝液交換を行なっている。
実施例5で検討した溶出液のうち、1Mのアルギニンと10%(v/v)のエタノールを含むクエン酸緩衝液(溶出液A)と、1Mのアルギニンと0.5Mのイミダゾールを含むクエン酸緩衝液(溶出液B)について、各溶出液のpHにおける抗体回収率の変化を確認した。確認は、実施例1で作製したアフィニティーカラムをクロマトグラフ(AKTAprime、GEヘルスケア社製)に取り付けた後、以下に示す方法で行なった。なお、流速は0.5mL/分、検出器の波長は280nmにて実施した。
(1)カラムをPBS(Phosphate Buffered Saline)で平衡化し、3mg/mLのガンマグロブリン溶液2mLをカラムにアプライする。
(2)カラムにPBSを6mL流し、カラム未吸着の抗体を洗浄する。
(3)溶出液Aまたは溶出液B(溶出液のpHは、pH3.4、pH3.8、pH4.2またはpH4.6)をカラムに2mL流し、カラムから溶出した液を回収する(回収液1)。
(4)カラムにPBSを1.5mL流し、カラムを中性に戻す。
(5)pH3.0に調整した50mMクエン酸緩衝液をカラムに2mL流し、カラムに残留した抗体を完全に溶出させる(回収液2)。
(6)比較例1(6)と同様な方法で回収率を算出する。なお280nmの光を吸収する成分を含む回収液は、事前に透析により緩衝液交換を行なっている。
Claims (4)
- Fc結合性タンパク質を不溶性担体に固定化した分離剤に抗体を含む溶液を添加することで前記分離剤に吸着した前記抗体を溶出させるための溶出液であって、当該溶出液が0.1Mから3.5Mのアミノ酸および5%(v/v)から50%(v/v)のエタノールを含むpH3.9からpH5.0の緩衝液であり、前記アミノ酸がアルギニンおよびプロリンから選択される1つ以上である、前記溶出液。
- 前記アミノ酸がアルギニンである、請求項1に記載の溶出液。
- 前記アミノ酸がプロリンである、請求項1に記載の溶出液。
- Fc結合性タンパク質を不溶性担体に固定化した分離剤に抗体を含む溶液を添加することで前記分離剤に前記抗体を吸着させ、前記分離剤に吸着した前記抗体を請求項1から3のいずれか一項に記載の溶出液を用いて溶出させる、抗体の精製方法。
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