JP6451118B2 - 抗体の分離方法 - Google Patents
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Description
(A)Fc結合性タンパク質を固定化した不溶性担体を充填したカラムに平衡化液を添加してカラムを平衡化する工程と、前記平衡化したカラムに抗体を含む溶液を添加して前記抗体を前記担体に吸着させる工程と、前記担体に吸着した抗体を溶出液を用いて溶出させる工程とを含む、抗体の精製方法であって、前記平衡化液が30mM以上の塩化物イオンまたは硫酸イオンを含む、前記精製方法。
(i)配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち少なくとも17番目から192番目までのアミノ酸残基を含むポリペプチドや、
(ii)配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち少なくとも17番目から192番目までのアミノ酸残基を含み、かつ前記アミノ酸残基のうちの一つ以上が他のアミノ酸残基に置換、挿入または欠失したポリペプチド
があげられる。前記(ii)の一態様としては、配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち17番目から192番目までのアミノ酸残基を含み、かつ当該17番目から192番目までのアミノ酸残基において以下の(1)から(40)のうち少なくともいずれか1つのアミノ酸置換が生じている、ポリペプチド(特願2013−202245号)があげられる。
(1)配列番号1の18番目のメチオニンがアルギニンに置換
(2)配列番号1の27番目のバリンがグルタミン酸に置換
(3)配列番号1の29番目のフェニルアラニンがロイシンまたはセリンに置換
(4)配列番号1の30番目のロイシンがグルタミンに置換
(5)配列番号1の35番目のチロシンがアスパラギン酸、グリシン、リジン、ロイシン、アスパラギン、プロリン、セリン、スレオニン、ヒスチジンのいずれかに置換
(6)配列番号1の46番目のリジンがイソロイシンまたはスレオニンに置換
(7)配列番号1の48番目のグルタミンがヒスチジンまたはロイシンに置換
(8)配列番号1の50番目のアラニンがヒスチジンに置換
(9)配列番号1の51番目のチロシンがアスパラギン酸またはヒスチジンに置換
(10)配列番号1の54番目のグルタミン酸がアスパラギン酸またはグリシンに置換
(11)配列番号1の56番目のアスパラギンがスレオニンに置換
(12)配列番号1の59番目のグルタミンがアルギニンに置換
(13)配列番号1の61番目のフェニルアラニンがチロシンに置換
(14)配列番号1の64番目のグルタミン酸がアスパラギン酸に置換
(15)配列番号1の65番目のセリンがアルギニンに置換
(16)配列番号1の71番目のアラニンがアスパラギン酸に置換
(17)配列番号1の75番目のフェニルアラニンがロイシン、セリン、チロシンのいずれかに置換
(18)配列番号1の77番目のアスパラギン酸がアスパラギンに置換
(19)配列番号1の78番目のアラニンがセリンに置換
(20)配列番号1の82番目のアスパラギン酸がグルタミン酸またはバリンに置換
(21)配列番号1の90番目のグルタミンがアルギニンに置換
(22)配列番号1の92番目のアスパラギンがセリンに置換
(23)配列番号1の93番目のロイシンがアルギニンまたはメチオニンに置換
(24)配列番号1の95番目のスレオニンがアラニンまたはセリンに置換
(25)配列番号1の110番目のロイシンがグルタミンに置換
(26)配列番号1の115番目のアルギニンがグルタミンに置換
(27)配列番号1の116番目のトリプトファンがロイシンに置換
(28)配列番号1の118番目のフェニルアラニンがチロシンに置換
(29)配列番号1の119番目のリジンがグルタミン酸に置換
(30)配列番号1の120番目のグルタミン酸がバリンに置換
(31)配列番号1の121番目のグルタミン酸がアスパラギン酸またはグリシンに置換
(32)配列番号1の151番目のフェニルアラニンがセリンまたはチロシンに置換
(33)配列番号1の155番目のセリンがスレオニンに置換
(34)配列番号1の163番目のスレオニンがセリンに置換
(35)配列番号1の167番目のセリンがグリシンに置換
(36)配列番号1の169番目のセリンがグリシンに置換
(37)配列番号1の171番目のフェニルアラニンがチロシンに置換
(38)配列番号1の180番目のアスパラギンがリジン、セリン、イソロイシンのいずれかに置換
(39)配列番号1の185番目のスレオニンがセリンに置換
(40)配列番号1の192番目のグルタミンがリジンに置換
また前記(ii)の別の態様としては、配列番号3に記載のアミノ酸配列のうち33番目から208番目までのアミノ酸残基を含み、かつ当該33番目から208番目までのアミノ酸残基において以下の(41)から(57)のうち少なくともいずれか1つのアミノ酸置換が生じている、ポリペプチド(特願2014−133181号)があげられる。
(41)配列番号3の45番目のフェニルアラニンがイソロイシンまたはロイシンに置換
(42)配列番号3の55番目のグルタミン酸がグリシンに置換
(43)配列番号3の64番目のグルタミンがアルギニンに置換
(44)配列番号3の67番目のチロシンがセリンに置換
(45)配列番号3の77番目のフェニルアラニンがチロシンに置換
(46)配列番号3の93番目のアスパラギン酸がグリシンに置換
(47)配列番号3の98番目のアスパラギン酸がグルタミン酸に置換
(48)配列番号3の106番目のグルタミンがアルギニンに置換
(49)配列番号3の128番目のグルタミンがロイシンに置換
(50)配列番号3の133番目のバリンがグルタミン酸に置換
(51)配列番号3の135番目のリジンがアスパラギンまたはグルタミン酸に置換
(52)配列番号3の156番目のスレオニンがイソロイシンに置換
(53)配列番号3の158番目のロイシンがグルタミンに置換
(54)配列番号3の187番目のフェニルアラニンがセリンに置換
(55)配列番号3の191番目のロイシンがアルギニンに置換
(56)配列番号3の196番目のアスパラギンがセリンに置換
(57)配列番号3の204番目のイソロイシンがバリンに置換
また前記(ii)のさらに別の態様としては、配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち17番目から192番目までのアミノ酸残基を含み、かつ当該17番目から192番目までのアミノ酸残基において以下の(58)から(61)のうち少なくともいずれか1つのアミノ酸置換が生じている、天然型ヒトFcγIIIaバリアントがあげられる(特願2014−133181号)。
(58)配列番号1の66番目のロイシンがヒスチジンまたはアルギニンに置換
(59)配列番号1の147番目のグリシンがアスパラギン酸に置換
(60)配列番号1の158番目のチロシンがヒスチジンに置換
(61)配列番号1の176番目のバリンがフェニルアラニンに置換
本発明において不溶性担体とは、抗体の吸着/溶出に用いる溶液や溶剤に対して不溶性であり、かつFc結合性タンパク質を共有結合で固定化するための官能基(例えばヒドロキシ基)を有した物質であればよく、ジルコニア、ゼオライト、シリカ、皮膜シリカ等の無機系物質に由来した担体であってもよいし、セルロース、アガロース、デキストラン等の天然有機高分子物質に由来した担体であってもよいし、ポリアクリル酸、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリメタクリレート、ビニルポリマー等の合成有機高分子物質に由来した担体であってもよい。
(1)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるヒトFc結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むプラスミドで大腸菌を形質転換して得られた形質転換体を培養し、得られた菌体から前記Fc受容体タンパク質を精製することで、不溶性担体に固定化させるリガンドを調製した。なお配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるヒトFc結合性タンパク質は、配列番号3に記載のアミノ酸配列からなるヒトFc結合性タンパク質において、以下の(a)から(d)のアミノ酸置換が生じたタンパク質である。
(a)配列番号3の45番目のフェニルアラニンがイソロイシンに置換
(b)配列番号3の64番目のグルタミンがアルギニンに置換
(c)配列番号3の133番目のバリンがグルタミン酸に置換
(d)配列番号3の187番目のフェニルアラニンがセリンに置換
(2)ビニルポリマーゲル(粒子径10μm、東ソー社製)が有するヒドロキシ基を常法により官能基変換を行なうことで、ヨードアセチル基にて活性化されたビニルポリマーゲルを得た。
(3)得られた前記活性化されたゲルに(1)で調製したリガンドを反応させることにより、ヒトFc結合性タンパク質固定化ゲルを作製した。
(4)得られたゲルをφ4.6×75mmのステンレスカラムに充填し、分離カラムを作製した。
(1)市販のモノクローナル抗体(リツキサン、全薬工業社製)をPBS(Phosphate Buffered Saline)で1mg/mLに調製し、これをモノクローナル抗体溶液として用いた。
(2)実施例1で作製した分離カラムを20mMの酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.0)(緩衝液A)で平衡化後、(1)で調製したモノクローナル抗体溶液を5μL添加した。
(3)モノクローナル抗体溶液添加後2分間は緩衝液Aを流し、2分から40分までの間は、緩衝液A100%−10mMのグリシン塩酸緩衝液(pH3.0)(緩衝液B)0%から、緩衝液A0%−緩衝液B100%とするグラジエントにより、カラムに添加したモノクローナル抗体を分離し溶出した。溶出したモノクローナル抗体の検出はUV検出器(280nmの吸収)で行なった。
実施例2 本発明によるモノクローナル抗体の分離(その1)
緩衝液Aとして、塩化ナトリウムを50mM、100mM、200mM、500mMまたは1000mM添加した20mMの酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.0)を用いた他は、比較例1と同様な実験を行なった。結果を図1に示す。溶出時間の早いピークからピーク1、ピーク2、ピーク3とし、比較例1と同様な方法でRs値を算出したところ、表1に示す結果となった。20mMの酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.0)に塩化ナトリウム(塩化物イオン)を添加することで、ピーク1とピーク2とのRs値、および/またはピーク2とピーク3とのRs値が向上していることがわかる。特に50mMから500mMの塩化ナトリウム(塩化物イオン)を添加した緩衝液では、ピーク1とピーク2とのRs値、およびピーク2とピーク3とのRs値が向上しているため特に好ましいといえる。
緩衝液Aとして、塩化カリウムを100mMまたは200mM添加した20mMの酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.0)を用いた他は、比較例1と同様な実験を行なった。結果を図2に示す。溶出時間の早いピークからピーク1、ピーク2、ピーク3とし、比較例1と同様な方法でRs値を算出したところ、表2に示す結果となった。この結果から塩化ナトリウムの代わりに塩化カリウムを用いても、実施例2の結果と同様、ピーク1とピーク2とのRs値、および/またはピーク2とピーク3とのRs値が向上していることがわかる。
緩衝液Aとして、硫酸ナトリウムまたは硫酸アンモニウムを100mM添加した20mMの酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.0)を用いた他は、比較例1と同様な実験を行なった。結果を図3に示す。溶出時間の早いピークからピーク1、ピーク2、ピーク3とし、比較例1と同様な方法でRs値を算出したところ、表3に示す結果となった。この結果から塩化物イオンの代わりに硫酸イオンを用いても、実施例2の結果と同様、ピーク1とピーク2とのRs値、またはピーク2とピーク3とのRs値が向上していることがわかる。
Claims (2)
- Fc結合性タンパク質を固定化した不溶性担体を充填したカラムに平衡化液を添加してカラムを平衡化する工程と、前記平衡化したカラムに抗体を含む溶液を添加して前記抗体を前記担体に吸着させる工程と、前記担体に吸着した抗体を溶出液を用いて溶出させる工程とを含む、抗体の分離方法であって、
Fc結合性タンパク質が、配列番号2に記載のアミノ酸配列のうち少なくとも33番目から192番目までのアミノ酸残基を含むヒトFcγRIIIaであり、
前記平衡化液が、塩化ナトリウム50mMから500mM、塩化カリウム100mMから200mM、硫酸ナトリウム100mMおよび硫酸アンモニウム100mMから選択される何れかを含む、前記分離方法。 - Fc結合性タンパク質が大腸菌を形質転換して得られたヒトFcγRIIIaである、請求項2に記載の分離方法。
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