JP2016023151A - 抗体の分離方法 - Google Patents

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【課題】 アフィニティーリガンドを固定化した担体を用いた抗体の分離方法において、前記抗体を、その分子構造の違いに基づき、簡便かつ高効率に分離できる方法を提供すること。【解決手段】 アフィニティーリガンドを固定化した不溶性担体を充填したカラムの平衡化液に30mM以上の塩化物イオンまたは硫酸イオンを添加することで、前記課題を解決する。【選択図】 図1

Description

本発明は抗体を分離する方法に関する。特に本発明は、アフィニティーリガンドを不溶性担体に固定化して得られる吸着剤を用いた、抗体を高効率に分離する方法に関する。
近年、ガンや免疫疾患等の治療に抗体を含む医薬品(抗体医薬)が用いられている。抗体医薬に用いる抗体は、遺伝子工学的手法により得られた、当該抗体を発現可能な細胞(たとえば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞等)を培養後、カラムクロマトグラフィー等を用いて高純度に精製し製造するが、近年の研究で前記抗体が、酸化、還元、異性化、糖鎖付加等の修飾を受けることで多様な分子の集合体となっていることが判明しており、薬効や安全性への影響が懸念されている。
抗体医薬に用いる抗体の分子構造を分析する方法として、従来より、ペプチドマッピング、二次元電気泳動による分析や糖鎖の切り出しを含むLC−MS分析(非特許文献1)が実施されている。しかしながらいずれの方法も非常に煩雑な操作を伴う。より簡便な抗体の分子構造の分析方法としては、クロマトグラフィーによる分析があげられる。具体的には、ゲルろ過クロマトグラフィーを用いて、抗体を分子量に基づき分離することで凝集体や分解物を分離・定量することが可能である。またイオン交換クロマトグラフィーにより、抗体分子が有する電荷の違いを分離することができる。しかしながら前述したクロマトグラフィーによる分析では、抗体分子の微小な構造変化を識別できないため、得られる分析結果は限定的であった。
一方、クロマトグラフィーの中でもアフィニティークロマトグラフィーによる分析は、不溶性担体に固定化されたアフィニティーリガンドと抗体との親和性に基づく分析が可能である。そのため抗体分子の微小な構造変化を識別することができる(特許文献1および非特許文献2)。しかしながら特許文献1および非特許文献2に記載の方法を用いて、工業的スケールで抗体分子を分離するのは事実上困難であり、改善が望まれていた。
WO2013/120929号
Journal of Chromatography A、720、217−225、1996 mAbs、5(4)、576−586、2013
本発明の課題は、アフィニティーリガンドを固定化した担体を用いた抗体の分離方法において、前記抗体を、その分子構造の違いに基づき、簡便かつ高効率に分離できる方法を提供することにある。
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、アフィニティーリガンドを固定化した不溶性担体を充填したカラムの平衡化液に一定濃度の塩化物イオンまたは硫酸イオンを添加することで、抗体の分離能が向上することを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下の(A)から(C)の態様を包含する:
(A)Fc結合性タンパク質を固定化した不溶性担体を充填したカラムに平衡化液を添加してカラムを平衡化する工程と、前記平衡化したカラムに抗体を含む溶液を添加して前記抗体を前記担体に吸着させる工程と、前記担体に吸着した抗体を溶出液を用いて溶出させる工程とを含む、抗体の精製方法であって、前記平衡化液が30mM以上の塩化物イオンまたは硫酸イオンを含む、前記精製方法。
(B)Fc結合性タンパク質が配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち少なくとも17番目のグリシンから192番目のグルタミンまでのアミノ酸残基を含むポリペプチドである、(A)に記載の精製方法。
(C)Fc結合性タンパク質が配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち少なくとも17番目のグリシンから192番目のグルタミンまでのアミノ酸残基を含み、かつ前記アミノ酸残基のうちの一つ以上が他のアミノ酸残基に置換、挿入または欠失したポリペプチドである、(A)に記載の精製方法。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明においてFc結合性タンパク質は、ヒトFcγRIIIaの細胞外領域(具体的には天然型ヒトFcγRIIIaの場合、配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち17番目のグリシンから192番目までのグルタミンまでの領域)を構成するタンパク質のことをいう。ただし必ずしもヒトFcγRIIIa細胞外領域の全領域でなくてもよく、ヒトFcγRIIIa細胞外領域を構成するポリペプチドのうち、少なくともヒトIgGのFc領域に結合する本来の機能を発現し得る領域のポリペプチドを含んでいればよい。当該ヒトFc結合性タンパク質の一例として、
(i)配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち少なくとも17番目から192番目までのアミノ酸残基を含むポリペプチドや、
(ii)配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち少なくとも17番目から192番目までのアミノ酸残基を含み、かつ前記アミノ酸残基のうちの一つ以上が他のアミノ酸残基に置換、挿入または欠失したポリペプチド
があげられる。前記(ii)の一態様としては、配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち17番目から192番目までのアミノ酸残基を含み、かつ当該17番目から192番目までのアミノ酸残基において以下の(1)から(40)のうち少なくともいずれか1つのアミノ酸置換が生じている、ポリペプチド(特願2013−202245号)があげられる。
(1)配列番号1の18番目のメチオニンがアルギニンに置換
(2)配列番号1の27番目のバリンがグルタミン酸に置換
(3)配列番号1の29番目のフェニルアラニンがロイシンまたはセリンに置換
(4)配列番号1の30番目のロイシンがグルタミンに置換
(5)配列番号1の35番目のチロシンがアスパラギン酸、グリシン、リジン、ロイシン、アスパラギン、プロリン、セリン、スレオニン、ヒスチジンのいずれかに置換
(6)配列番号1の46番目のリジンがイソロイシンまたはスレオニンに置換
(7)配列番号1の48番目のグルタミンがヒスチジンまたはロイシンに置換
(8)配列番号1の50番目のアラニンがヒスチジンに置換
(9)配列番号1の51番目のチロシンがアスパラギン酸またはヒスチジンに置換
(10)配列番号1の54番目のグルタミン酸がアスパラギン酸またはグリシンに置換
(11)配列番号1の56番目のアスパラギンがスレオニンに置換
(12)配列番号1の59番目のグルタミンがアルギニンに置換
(13)配列番号1の61番目のフェニルアラニンがチロシンに置換
(14)配列番号1の64番目のグルタミン酸がアスパラギン酸に置換
(15)配列番号1の65番目のセリンがアルギニンに置換
(16)配列番号1の71番目のアラニンがアスパラギン酸に置換
(17)配列番号1の75番目のフェニルアラニンがロイシン、セリン、チロシンのいずれかに置換
(18)配列番号1の77番目のアスパラギン酸がアスパラギンに置換
(19)配列番号1の78番目のアラニンがセリンに置換
(20)配列番号1の82番目のアスパラギン酸がグルタミン酸またはバリンに置換
(21)配列番号1の90番目のグルタミンがアルギニンに置換
(22)配列番号1の92番目のアスパラギンがセリンに置換
(23)配列番号1の93番目のロイシンがアルギニンまたはメチオニンに置換
(24)配列番号1の95番目のスレオニンがアラニンまたはセリンに置換
(25)配列番号1の110番目のロイシンがグルタミンに置換
(26)配列番号1の115番目のアルギニンがグルタミンに置換
(27)配列番号1の116番目のトリプトファンがロイシンに置換
(28)配列番号1の118番目のフェニルアラニンがチロシンに置換
(29)配列番号1の119番目のリジンがグルタミン酸に置換
(30)配列番号1の120番目のグルタミン酸がバリンに置換
(31)配列番号1の121番目のグルタミン酸がアスパラギン酸またはグリシンに置換
(32)配列番号1の151番目のフェニルアラニンがセリンまたはチロシンに置換
(33)配列番号1の155番目のセリンがスレオニンに置換
(34)配列番号1の163番目のスレオニンがセリンに置換
(35)配列番号1の167番目のセリンがグリシンに置換
(36)配列番号1の169番目のセリンがグリシンに置換
(37)配列番号1の171番目のフェニルアラニンがチロシンに置換
(38)配列番号1の180番目のアスパラギンがリジン、セリン、イソロイシンのいずれかに置換
(39)配列番号1の185番目のスレオニンがセリンに置換
(40)配列番号1の192番目のグルタミンがリジンに置換
また前記(ii)の別の態様としては、配列番号3に記載のアミノ酸配列のうち33番目から208番目までのアミノ酸残基を含み、かつ当該33番目から208番目までのアミノ酸残基において以下の(41)から(57)のうち少なくともいずれか1つのアミノ酸置換が生じている、ポリペプチド(特願2014−133181号)があげられる。
(41)配列番号3の45番目のフェニルアラニンがイソロイシンまたはロイシンに置換
(42)配列番号3の55番目のグルタミン酸がグリシンに置換
(43)配列番号3の64番目のグルタミンがアルギニンに置換
(44)配列番号3の67番目のチロシンがセリンに置換
(45)配列番号3の77番目のフェニルアラニンがチロシンに置換
(46)配列番号3の93番目のアスパラギン酸がグリシンに置換
(47)配列番号3の98番目のアスパラギン酸がグルタミン酸に置換
(48)配列番号3の106番目のグルタミンがアルギニンに置換
(49)配列番号3の128番目のグルタミンがロイシンに置換
(50)配列番号3の133番目のバリンがグルタミン酸に置換
(51)配列番号3の135番目のリジンがアスパラギンまたはグルタミン酸に置換
(52)配列番号3の156番目のスレオニンがイソロイシンに置換
(53)配列番号3の158番目のロイシンがグルタミンに置換
(54)配列番号3の187番目のフェニルアラニンがセリンに置換
(55)配列番号3の191番目のロイシンがアルギニンに置換
(56)配列番号3の196番目のアスパラギンがセリンに置換
(57)配列番号3の204番目のイソロイシンがバリンに置換
また前記(ii)のさらに別の態様としては、配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち17番目から192番目までのアミノ酸残基を含み、かつ当該17番目から192番目までのアミノ酸残基において以下の(58)から(61)のうち少なくともいずれか1つのアミノ酸置換が生じている、天然型ヒトFcγIIIaバリアントがあげられる(特願2014−133181号)。
(58)配列番号1の66番目のロイシンがヒスチジンまたはアルギニンに置換
(59)配列番号1の147番目のグリシンがアスパラギン酸に置換
(60)配列番号1の158番目のチロシンがヒスチジンに置換
(61)配列番号1の176番目のバリンがフェニルアラニンに置換
本発明において不溶性担体とは、抗体の吸着/溶出に用いる溶液や溶剤に対して不溶性であり、かつFc結合性タンパク質を共有結合で固定化するための官能基(例えばヒドロキシ基)を有した物質であればよく、ジルコニア、ゼオライト、シリカ、皮膜シリカ等の無機系物質に由来した担体であってもよいし、セルロース、アガロース、デキストラン等の天然有機高分子物質に由来した担体であってもよいし、ポリアクリル酸、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリメタクリレート、ビニルポリマー等の合成有機高分子物質に由来した担体であってもよい。
なお担体表面に有する官能基がヒドロキシ基の場合、活性化剤を用いて、当該ヒドロキシ基から、Fc結合性タンパク質と共有結合可能な活性化基を形成させるとよい。前記活性化剤の具体例として、エピクロロヒドリン(活性化基としてエポキシ基を形成)、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル(活性化基としてエポキシ基を形成)、トレシルクロリド(活性化基としてトレシル基を形成)、ビニルブロミド(活性化基としてビニル基を形成)があげられる。また、ヒドロキシ基をアミノ基やカルボキシル基などに変換した後、活性化剤を作用させて活性化する手法を例示することができ、活性化剤の具体例として3−マレイミドプロピオン酸N−スクシンイミジル(活性化基としてマレイミド基を形成)、1,1’−カルボニルジイミダゾール(活性化基としてカルボニルイミダゾール基を形成)、ハロゲン化酢酸(活性化基としてハロゲン化アセチル基を形成)などを例示することができる。
本発明は、Fc結合性タンパク質を固定化した不溶性担体を充填したカラムに平衡化液を添加してカラムを平衡化する工程と、前記平衡化したカラムに抗体を含む溶液を添加して前記抗体を前記担体に吸着させる工程と、前記担体に吸着した抗体を溶出液を用いて溶出させる工程とを含む、抗体の精製方法において、前記平衡化液が30mM以上の塩化物イオンまたは硫酸イオンを含むことを特徴としている。本発明により、抗体成分の分離度をRs値換算で1.1倍から1.8倍に向上させることができる。従って、今まで検出できなかった抗体分子構造の微小な差異も検出でき、分析の精度を向上させることができる。なお前記平衡化液に含まれる塩化物イオンまたは硫酸イオンの濃度は30mM以上であればよいが、30mM以上1500mM以下であると好ましく、30mM以上1000mM以下であるとより好ましく、30mM以上500mM以下であるとさらに好ましく、50mM以上500mM以下であるとさらにより好ましい。
前記平衡化液を用いて前記吸着した抗体を溶出させるには、前記抗体とFc結合性タンパク質との親和性を弱める溶出液を用いて溶出させればよい。一例として、平衡化液として30mM以上の塩化物イオンまたは硫酸イオンを含むpH5.0から6.9の弱酸性緩衝液を、溶出液としてpH2.5から4.5の酸性緩衝液をそれぞれ用いたグラジエント溶出法があげられる。緩衝剤としては公知の緩衝剤の中から、作成する緩衝液のpHなどに基づき適宜選択すればよく、一例として、リン酸、酢酸、ギ酸、MES(2−Morpholinoethanesulfonic acid)、MOPS(3−Morpholinopropanesulfonic acid)、クエン酸、コハク酸、グリシン、ピペラジンがあげられる。
本発明の分離方法は、Fc結合性タンパク質と親和性を有する、糖鎖を付加した抗体のFc領域を少なくとも含んだ抗体であれば分離することができる。一例として、抗体医薬に用いる抗体として一般的に用いられているキメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体やそれらのアミノ酸置換体があげられる。また二重特異性抗体(バイスペシフィック抗体)、糖鎖を付加した抗体のFc領域と他のタンパク質との融合抗体、糖鎖を付加した抗体のFc領域と薬物との複合体(ADC)などの人工的に構造改変した抗体であっても、本発明の分離方法で分離することができる。
本発明の分離方法は、薬効に基づく抗体または抗体のFc領域を含む分子の分離をクロマトグラフィーを用いて簡便、かつ精度よく分離することができる。従って本発明により、抗体医薬の製造工程管理や品質管理をより精度よく行なえる。
塩化ナトリウムを添加した/または添加しない緩衝液(平衡化液)を用いてモノクローナル抗体を分離して得られたクロマトグラフである。 塩化カリウムを添加した緩衝液(平衡化液)を用いてモノクローナル抗体を分離して得られたクロマトグラフである。 硫酸ナトリウムおよび硫酸アンモニウムを添加した緩衝液(平衡化液)を用いてモノクローナル抗体を分離して得られたクロマトグラフである。
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1 Fc結合性タンパク質固定化ゲルの調製
(1)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるヒトFc結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むプラスミドで大腸菌を形質転換して得られた形質転換体を培養し、得られた菌体から前記Fc受容体タンパク質を精製することで、不溶性担体に固定化させるリガンドを調製した。なお配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるヒトFc結合性タンパク質は、配列番号3に記載のアミノ酸配列からなるヒトFc結合性タンパク質において、以下の(a)から(d)のアミノ酸置換が生じたタンパク質である。
(a)配列番号3の45番目のフェニルアラニンがイソロイシンに置換
(b)配列番号3の64番目のグルタミンがアルギニンに置換
(c)配列番号3の133番目のバリンがグルタミン酸に置換
(d)配列番号3の187番目のフェニルアラニンがセリンに置換
(2)ビニルポリマーゲル(粒子径10μm、東ソー社製)が有するヒドロキシ基を常法により官能基変換を行なうことで、ヨードアセチル基にて活性化されたビニルポリマーゲルを得た。
(3)得られた前記活性化されたゲルに(1)で調製したリガンドを反応させることにより、ヒトFc結合性タンパク質固定化ゲルを作製した。
(4)得られたゲルをφ4.6×75mmのステンレスカラムに充填し、分離カラムを作製した。
比較例1 モノクローナル抗体の分離
(1)市販のモノクローナル抗体(リツキサン、全薬工業社製)をPBS(Phosphate Buffered Saline)で1mg/mLに調製し、これをモノクローナル抗体溶液として用いた。
(2)実施例1で作製した分離カラムを20mMの酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.0)(緩衝液A)で平衡化後、(1)で調製したモノクローナル抗体溶液を5μL添加した。
(3)モノクローナル抗体溶液添加後2分間は緩衝液Aを流し、2分から40分までの間は、緩衝液A100%−10mMのグリシン塩酸緩衝液(pH3.0)(緩衝液B)0%から、緩衝液A0%−緩衝液B100%とするグラジエントにより、カラムに添加したモノクローナル抗体を分離し溶出した。溶出したモノクローナル抗体の検出はUV検出器(280nmの吸収)で行なった。
モノクローナル抗体を分離した結果(クロマトグラム)を図1に示す。3つの大きなピークが検出され、溶出時間の早いピークからピーク1、ピーク2、ピーク3とした。また、それぞれのピークの分離度(Rs値)を下記の式に従って算出したところ、ピーク1とピーク2との分離度は0.63に、ピーク2とピーク3との分離度は0.61に、それぞれなった。
Rs値=1.18×(溶出時間の遅いピークの溶出時間−溶出時間の早いピークの溶出時間)/(溶出時間の早いピークの半値幅+溶出時間の遅いピークの半値幅)
実施例2 本発明によるモノクローナル抗体の分離(その1)
緩衝液Aとして、塩化ナトリウムを50mM、100mM、200mM、500mMまたは1000mM添加した20mMの酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.0)を用いた他は、比較例1と同様な実験を行なった。結果を図1に示す。溶出時間の早いピークからピーク1、ピーク2、ピーク3とし、比較例1と同様な方法でRs値を算出したところ、表1に示す結果となった。20mMの酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.0)に塩化ナトリウム(塩化物イオン)を添加することで、ピーク1とピーク2とのRs値、および/またはピーク2とピーク3とのRs値が向上していることがわかる。特に50mMから500mMの塩化ナトリウム(塩化物イオン)を添加した緩衝液では、ピーク1とピーク2とのRs値、およびピーク2とピーク3とのRs値が向上しているため特に好ましいといえる。
Figure 2016023151
実施例3 本発明によるモノクローナル抗体の分離(その2)
緩衝液Aとして、塩化カリウムを100mMまたは200mM添加した20mMの酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.0)を用いた他は、比較例1と同様な実験を行なった。結果を図2に示す。溶出時間の早いピークからピーク1、ピーク2、ピーク3とし、比較例1と同様な方法でRs値を算出したところ、表2に示す結果となった。この結果から塩化ナトリウムの代わりに塩化カリウムを用いても、実施例2の結果と同様、ピーク1とピーク2とのRs値、および/またはピーク2とピーク3とのRs値が向上していることがわかる。
Figure 2016023151
実施例4 本発明によるモノクローナル抗体の分離(その3)
緩衝液Aとして、硫酸ナトリウムまたは硫酸アンモニウムを100mM添加した20mMの酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.0)を用いた他は、比較例1と同様な実験を行なった。結果を図3に示す。溶出時間の早いピークからピーク1、ピーク2、ピーク3とし、比較例1と同様な方法でRs値を算出したところ、表3に示す結果となった。この結果から塩化物イオンの代わりに硫酸イオンを用いても、実施例2の結果と同様、ピーク1とピーク2とのRs値、またはピーク2とピーク3とのRs値が向上していることがわかる。
Figure 2016023151
本発明により、従来困難であった、抗体医薬に含まれる抗体または抗体Fc領域を含む分子の、薬効に基づく分離を簡便、かつ精度よく行なうことができる。従って、本発明により、抗体医薬を製造する際の課題である、品質の向上、すなわちロット間における薬効のバラつきを低減させることができる。

Claims (3)

  1. Fc結合性タンパク質を固定化した不溶性担体を充填したカラムに平衡化液を添加してカラムを平衡化する工程と、前記平衡化したカラムに抗体を含む溶液を添加して前記抗体を前記担体に吸着させる工程と、前記担体に吸着した抗体を溶出液を用いて溶出させる工程とを含む、抗体の分離方法であって、
    前記平衡化液が30mM以上の塩化物イオンまたは硫酸イオンを含む、前記分離方法。
  2. Fc結合性タンパク質が配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち少なくとも17番目のグリシンから192番目のグルタミンまでのアミノ酸残基を含むポリペプチドである、請求項1に記載の分離方法。
  3. Fc結合性タンパク質が配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち少なくとも17番目のグリシンから192番目のグルタミンまでのアミノ酸残基を含み、かつ前記アミノ酸残基のうちの一つ以上が他のアミノ酸残基に置換、挿入または欠失したポリペプチドである、請求項1に記載の分離方法。
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