JP6303379B2 - 抗体の精製方法 - Google Patents

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Description

本発明は、アフィニティークロマトグラフィーを用いて、抗体を含む溶液から前記抗体を高純度に精製する方法に関する。
近年、ガンや感染症等の治療に抗体を含む医薬品(抗体医薬)が用いられている。抗体医薬に用いる抗体は、遺伝子工学的手法により得られた、当該抗体を発現可能な細胞(たとえば、CHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞等)を培養後、カラムクロマトグラフィー等を用いて高純度に精製し製造する。
カラムクロマトグラフィーのうち、アフィニティークロマトグラフィーは、吸着対象物質に対し特異的に結合可能な物質(リガンド)を不溶性の担体に固定化することで得られる吸着剤(以下、アフィニティークロマトグラフィー用担体ともいう)を用いたクロマトグラフィーである。吸着対象物質に対する特異的な結合力は、通常、イオン相互作用、疎水相互作用、水素結合、弱い共有結合、金属とのキレート結合などの形成が複合的かつ立体的に行なわれることで得られている。アフィニティークロマトグラフィーは、吸着対象物質を含む被精製溶液に含まれる夾雑物(例えば、培養細胞由来のタンパク質(Host Cell Protein、HCP)、核酸、膜成分や代謝物質、培養液由来の成分、アフィニティークロマトグラフィー用担体を構成するリガンドや担体が剥離したもの)を除去し、前記吸着対象物質を特異的に吸着させることができる。そのため、前記吸着対象物質を高純度に精製可能である。しかしながらアフィニティークロマトグラフィー用担体が吸着対象物質と特異的な結合力で吸着される一方で、被精製溶液に含まれる夾雑物も弱い結合力ながら前記担体に吸着してしまい、このことが前記吸着対象物質の精製純度が低下する要因となっていた。
特にアフィニティークロマトグラフィーは多くの場合、精製工程の最初の段階であるキャプチャー工程に採用されるため、アフィニティークロマトグラフィー用担体を充填したカラムに添加される溶液は、全精製工程の中で最も多くの夾雑物を含んでいる。したがって、たとえ特異性の高いアフィニティークロマトグラフィー用担体を用いたとしても、吸着対象物質以外の夾雑物が当該担体に非特異的に吸着することで、吸着対象物質の精製純度が低下してしまう問題があった。
抗体を精製するためのアフィニティークロマトグラフィー用担体として一般的には、プロテインAをリガンドとして固定化した担体が用いられている。プロテインAを固定化した担体を充填したカラムを用いて抗体を精製する際は、通常、中性付近で抗体を含む溶液(例えば、抗体を発現可能な細胞の培養液)を添加して当該抗体を担体に吸着させた後、カラムの平衡化に用いた緩衝液で担体を洗浄し、最後に酸性の緩衝液で担体に吸着した抗体を溶出させることで、抗体を高純度に精製する。前述したクロマトグラフィー操作を1回行なうことで、抗体の純度を90%以上まで向上させることができる。しかしながら、前記操作で得られた抗体溶液中には、培養細胞由来タンパク質(HCP)が数百から数千ppmの濃度で混入しており(非特許文献1)、他にも、培養細胞に由来する核酸成分、膜成分、代謝成分や、培養液に由来する成分などの混入が問題となっている。前記問題を解決するために、カラムの平衡化に用いた緩衝液で洗浄後、抗体を溶出させる前に、尿素やイソプロパノールを含んだ緩衝液で追加の洗浄を行なうことで、HCPなどの夾雑成分の除去効果を高める方法が開示されている(非特許文献2)。しかしながら、非特許文献2で開示の方法をもってしても、HCPの除去率は最大でも60%程度であり、残りのHCPは精製抗体溶液に混入したままである。
プロテインAを固定化した担体以外の抗体を精製するためのアフィニティークロマトグラフィー用担体として、IgG抗体のFc領域に結合する一群のタンパク質分子であるFc受容体やFc領域結合能を有したFc受容体の部分領域(以下、合わせてFc結合性タンパク質という)をリガンドとして固定化した担体が実用化されている(特許文献1)。Fc結合性タンパク質を固定化した担体も、プロテインAを固定化した担体と同様の高い抗体精製純度を達成することが可能であるが、数千から数万ppmのHCPが精製した抗体溶液に混入する問題があった。
特開2011−206046号公報
Journal of Chromatogr. A,1102,224−231,2006 Biotechnol. Prog.24,1115−1121,2008
本発明の目的は、抗体を含む溶液からアフィニティークロマトグラフィーを用いて前記抗体を精製する際、前記溶液に含まれる夾雑物を効率的に除去し、前記抗体を高純度に精製する方法を提供することにある。
本願発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、抗体を含む溶液に含まれる夾雑物を効率的に除去可能な洗浄成分を特定し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の第一の態様は、
アフィニティークロマトグラフィー用担体を充填したカラムを平衡化する工程と、前記平衡化したカラムに抗体を含む溶液を添加する工程と、前記抗体を含む溶液に含まれる夾雑物を洗浄する工程と、溶出液を用いて前記抗体を溶出させる工程とを含む、抗体の精製方法であって、
前記夾雑物を洗浄する工程が、前記カラムの平衡化に用いた溶液で洗浄する第一の洗浄工程と、終濃度0.2M以上の塩化ナトリウムを含む中性または塩基性の緩衝液で洗浄する第二の洗浄工程とからなる、前記精製方法である。
また本発明の第二の態様は、抗体を含む溶液に対し0.2M以上となるよう塩化ナトリウムを添加後、平衡化したカラムに抗体を含む溶液を添加する工程を行なう、第一の態様に記載の精製方法である。
また本発明の第三の態様は、第二の洗浄工程で用いる緩衝液が、水溶性有機溶媒、非イオン性界面活性剤、疎水性アミノ酸、終濃度0.3M以上の尿素のうちいずれか一つ以上をさらに含む、前記第一または第二の態様に記載の精製方法である。
また本発明の第四の態様は、水溶性有機溶媒がイソプロパノール、アセトニトリル、エタノールのいずれかである、前記第三の態様に記載の精製方法である。
また本発明の第五の態様は、疎水性アミノ酸がバリン、ロイシン、イソロイシンのいずれかである、前記第三の態様に記載の精製方法である。
さらに本発明の第六の態様は、
アフィニティークロマトグラフィー用担体を充填したカラムを平衡化する工程と、
抗体を含む溶液に対し0.2M以上となるよう塩化ナトリウムを添加する工程と、
前記平衡化したカラムに前記抗体を含む溶液を添加する工程と、
前記カラムの平衡化に用いた溶液で前記抗体を含む溶液に含まれる夾雑物を洗浄する工程と、
溶出液を用いて前記抗体を溶出させる工程とを含む、
抗体の精製方法である。
また本発明の第七の態様は、アフィニティクロマトグラフィー用担体が、Fc結合性タンパク質またはプロテインAを固定化した担体である、前記第一から第六の態様のいずれかに記載の精製方法である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の精製方法の一態様は、アフィニティークロマトグラフィー用担体を充填したカラムを平衡化する工程と、前記平衡化したカラムに抗体を含む溶液を添加する工程と、前記抗体を含む溶液に含まれる夾雑物を洗浄する工程と、溶出液を用いて前記抗体を溶出させる工程とを含み、かつ前記夾雑物を洗浄する工程が、前記カラムの平衡化に用いた溶液で洗浄する第一の洗浄工程と、終濃度0.2M以上の塩化ナトリウムを含む中性または塩基性の緩衝液で洗浄する第二の洗浄工程とからなることを特徴としている。
前記カラムを平衡化する工程および第一の洗浄工程で用いる溶液は、一般には、pHが中性付近の緩衝液(緩衝液の濃度は数十mMから100mM程度)やPBS(Phosphate Buffered Saline)が用いられる。
第二の洗浄工程で用いる緩衝液は、終濃度0.2M(0.2mol/L)以上の塩化ナトリウムを含むことを特徴としている。PBSに含まれる塩化ナトリウム濃度が0.137Mであるため、第二の洗浄工程ではPBSよりも高い塩化ナトリウム濃度を含む緩衝液で洗浄することになる。第二の洗浄工程で用いる緩衝液に含まれる塩化ナトリウム濃度に特に上限はないものの、好ましくは終濃度0.2Mから1.2Mの範囲、さらに好ましくは終濃度0.3Mから1.0Mの範囲、最も好ましくは終濃度0.35Mから0.6Mの範囲である。第二の洗浄工程で用いる緩衝液のpHは7以上であればよいが、極端にpHが高いと(極端な塩基性だと)アフィニティークロマトグラフィー用担体を構成するリガンドが変性する可能性があるため、好ましくはpH7からpH12の範囲、より好ましくはpH8からpH10の範囲である。緩衝液を構成する緩衝剤は、使用するpHに応じて当業者が通常用いる緩衝剤の中から適宜選択すればよく、リン酸塩、トリスヒドロキシアミノメタン(Tris)、ホウ酸、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムが例示できる。また、MES(2−Morpholinoethanesulfonic acid)やHEPES(2−[4−(2−Hydroxyethyl)−1−piperazinyl]ethanesulfonic acid)といったグッドバッファー系緩衝剤を用いてもよい。
第二の洗浄工程で用いる緩衝液に、疎水性を高める水溶性有機溶媒、非イオン系界面活性剤、疎水性アミノ酸のうちいずれか一つ以上をさらに含む(添加する)と、物質とアフィニティークロマトグラフィー用担体との疎水的な相互作用をコントロールできるため好ましい。水溶性有機溶媒の一例としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール(イソプロパノール)、ブタノール、アセトニトリル、アセトン、ベンジルアルコールがあげられる。水溶性有機溶媒の添加量は、抗体とアフィニティークロマトグラフィー用担体の吸着力が弱くならない程度に添加すればよく、好ましくは0.1%(v/v)から25%(v/v)の範囲、より好ましくは5%(v/v)から20%(v/v)の範囲である。非イオン系界面活性剤の一例としては、ポリソルベート(Tween 20、Tween 40、Tween 60、Tween 80(以上商品名)等)やTriton X−100(商品名)があげられる。界面活性剤の添加量は臨界ミセル濃度以上の常用濃度となるように添加すればよく、好ましくは0.01%(v/v)から1%(v/v)の範囲である。疎水性アミノ酸の一例としては、ロイシン、イソロイシン、バリンがあげられる。疎水性アミノ酸の添加量は溶解可能な濃度域であれば良く、好ましくは100mMから1Mの範囲、より好ましくは200mMから400mMの範囲である。
第二の洗浄工程で用いる緩衝液に、水素結合の形成を阻害する物質をさらに含む(添加する)と、水素結合の強さをコントロールできるため好ましい。好ましい水素結合の形成を阻害する物質としては尿素があげられ、その他グアニジン塩酸塩などのグアニジウム塩が使用できる。添加量は尿素の場合、少なくとも終濃度で0.3M(0.3mol/L)以上添加する必要があり、好ましくは終濃度0.5M以上、より好ましくは終濃度0.5Mから3Mの範囲である。
第二の洗浄工程で用いる緩衝液に、前述した水溶性有機溶媒と前述した水素結合の形成を阻害する物質とを組み合わせた形で含んでも(添加しても)よく、これにより第二の洗浄工程による夾雑物の除去効果をさらに高めることができる。組み合わせの態様は、アフィニティークロマトグラフィー用担体と抗体との結合力が充分保持される範囲で適宜検討すればよい。
また本発明の精製方法では、アフィニティークロマトグラフィー用担体を充填した平衡化済のカラムに抗体を含む溶液を添加する工程を行なう際、あらかじめ抗体を含む溶液に対して0.2M(0.2mol/L)以上となるよう塩化ナトリウムを添加してから前記工程を行なってもよく、これまで説明した精製方法と同様、抗体を含む溶液に含まれる夾雑物を効率的に除去することができる。なお本方法を採用する場合は、前述した第二の洗浄工程を省略してもよい。
本発明の精製方法で使用するアフィニティークロマトグラフィー用担体は、抗体への特異的吸着能を有するリガンドを有した担体であれば特に限定なく、一例としてプロテインAを固定化した担体やFc結合性タンパク質を固定化した担体が例示できる。Fc結合性タンパク質の例としては、特開2011−206046号公報に開示のFc結合性タンパク質や、配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち34番目から307番目までのアミノ酸配列を含むFc結合性タンパク質や、配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち34番目から307番目までのアミノ酸配列を含み、かつ当該34番目から307番目までのアミノ酸配列において以下の(1)から(34)のうち少なくともいずれか1つのアミノ酸置換が生じている、Fc結合性タンパク質(特願2012−145850号)があげられる。
(1)配列番号1の37番目のスレオニンがイソロイシンに置換
(2)配列番号1の38番目のプロリンがセリンに置換
(3)配列番号1の53番目のロイシンがグルタミンに置換
(4)配列番号1の62番目のグルタミン酸がバリンに置換
(5)配列番号1の63番目のバリンがアラニンまたはグルタミン酸に置換
(6)配列番号1の66番目のロイシンがグルタミンまたはプロリンに置換
(7)配列番号1の67番目のセリンがプロリンに置換
(8)配列番号1の69番目のアラニンがバリンまたはスレオニンに置換
(9)配列番号1の71番目のセリンがスレオニンまたはロイシンに置換
(10)配列番号1の78番目のアスパラギン酸がグルタミン酸に置換
(11)配列番号1の81番目のイソロイシンがバリンに置換
(12)配列番号1の84番目のセリンがスレオニンに置換
(13)配列番号1の88番目のフェニルアラニンがチロシンに置換
(14)配列番号1の95番目のグルタミン酸がアスパラギン酸に置換
(15)配列番号1の119番目のヒスチジンがグルタミンに置換
(16)配列番号1の127番目のバリンがアラニンに置換
(17)配列番号1の146番目のアルギニンがリジンに置換
(18)配列番号1の147番目のアスパラギン酸がアスパラギンに置換
(19)配列番号1の151番目のヒスチジンがチロシンに置換
(20)配列番号1の178番目のスレオニンがアラニンに置換
(21)配列番号1の191番目のアルギニンがリジンに置換
(22)配列番号1の199番目のスレオニンがアラニンに置換
(23)配列番号1の200番目のロイシンがメチオニンに置換
(24)配列番号1の213番目のスレオニンがアラニンに置換
(25)配列番号1の216番目のバリンがアラニンに置換
(26)配列番号1の221番目のロイシンがアルギニンに置換
(27)配列番号1の229番目のセリンがアスパラギンに置換
(28)配列番号1の236番目のイソロイシンがリジンに置換
(29)配列番号1の244番目のチロシンがヒスチジンに置換
(30)配列番号1の253番目のスレオニンがアラニンに置換
(31)配列番号1の290番目のアルギニンがグルタミンに置換
(32)配列番号1の293番目のリジンがアスパラギンに置換
(33)配列番号1の297番目のリジンがグルタミン酸に置換
(34)配列番号1の306番目のプロリンがスレオニンに置換
本発明の精製方法は、0.2M(0.2mol/L)以上の塩化ナトリウムを、抗体を含む溶液および/または洗浄液に添加することで、抗体とアフィニティークロマトグラフィー用担体との結合力を維持しながら前記担体と夾雑物との結合力を弱めて、抗体を含む溶液に含まれる夾雑物の洗浄を効果的に行なえる。したがって従来の精製方法と比較し、抗体の精製純度を向上させることができる。本発明の精製方法により、後段の精製プロセス負荷を大きく軽減させることができるため、結果として純度の高い抗体を安価に製造することができる。
本発明の抗体の精製方法の一例を示すプロトコールである。 本発明の抗体の精製方法における、第二の洗浄で用いる緩衝液を検討した結果を示す図である(Fc結合性タンパク質固定化ゲルを使用)。 本発明の抗体の精製方法における、第二の洗浄で用いる緩衝液に添加する塩化ナトリウム濃度を検討した結果を示す図である(Fc結合性タンパク質固定化ゲルを使用)。 本発明の抗体の精製方法における、第二の洗浄で用いる緩衝液に添加する水溶性有機溶媒を検討した結果を示す図である(Fc結合性タンパク質固定化ゲルを使用)。iPrOHはイソプロパノールを指す。 本発明の抗体の精製方法における、第二の洗浄で用いる緩衝液に添加する尿素濃度を検討した結果を示す図である(Fc結合性タンパク質固定化ゲルを使用)。 本発明の抗体の精製方法における、第二の洗浄で用いる緩衝液を検討した結果を示す図である(Fc結合性タンパク質固定化ゲルを使用)。 参考例1の結果を示す図である。 本発明の抗体の精製方法における、第二の洗浄で用いる緩衝液を検討した結果を示す図である(プロテインA固定化ビニルポリマーゲル使用)。 本発明の抗体の精製方法の別の例を示すプロトコールである。 本発明の抗体の精製方法における、被精製溶液に添加する成分を検討した結果を示す図である(Fc結合性タンパク質固定化ゲル使用)。 本発明の抗体の精製方法における、被精製溶液に添加する成分を検討した結果を示す図である(プロテインA固定化ビニルポリマーゲル使用)。 本発明の抗体の精製方法を、抗体を高濃度含む溶液に対して適用したときの結果を示す図である(Fc結合性タンパク質固定化ゲル使用)。 本発明の抗体の精製方法を、抗体を高濃度含む溶液に対して適用したときの結果を示す図である(プロテインA固定化アガロースゲル使用)。 本発明の抗体の精製方法を、抗体を高濃度含む溶液に対して適用したときの結果を示す図である(Fc結合性タンパク質固定化ゲル使用)。 本発明の抗体の精製方法を、抗体を高濃度含む溶液に対して適用したときの結果を示す図である(Fc結合性タンパク質固定化ゲル使用)。
以下、実施例および参考例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は当該例に限定されるものではない。
実施例1 Fc結合性タンパク質固定化ゲルによる抗体精製
(1)配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるFc結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むプラスミドDNAで大腸菌を形質転換して形質転換体を得た。得られた形質転換体を培養し、さらに得られた菌体から前記Fc結合性タンパク質を精製することによって、前記Fc結合性タンパク質を得た。
(2)分離剤用ビニルポリマーゲル(トヨパール、東ソー社製)にある水酸基に1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルおよびエチレンジアミンを順次反応させることによってアミノ基を導入後、3−マレイミドプロピオン酸N−スクシンイミジルを反応させて、マレイミド基にて活性化されたトヨパールを得た。得られた前記活性化トヨパールに(1)で調製したFc結合性タンパク質を反応させることにより、Fc結合性タンパク質固定化ゲルを得た。
(3)Fc結合性タンパク質固定化ゲル0.1mLを、Tricorn 5/20カラム(GEヘルスケア社製)に充填し、液体クロマトグラフ装置に設置した。
(4)抗IL−8抗体を生産するCHO細胞(ATCC No.CRL−12445)を培養し、培養上清を清澄化して得られた、前記抗体を含むCHO細胞培養上清(以下、単に「CHO細胞培養上清」という)1mLを、あらかじめPBS(Phosphate Buffered Saline)で洗浄、平衡化したFc結合性タンパク質固定化ゲルを充填したカラムに添加した。
(5)PBSを10分間(50CV(Column Volume))通液することでカラムを洗浄後、50mMのグリシン−塩酸緩衝液(pH3.0)を3分間(15CV)流すことで、ゲルに吸着した抗体を溶出させ回収した。
(6)回収した抗体溶液に含まれる培養細胞由来タンパク質(HCP)を、CHO Host Cell Protein 3rd Generation(CYGNUS Technologies社製)を用いたELISA法にて添付のプロトコールに従い定量した。
結果、回収した抗体溶液中には6998ngのHCPが含まれていた。
実施例2 Fc結合性タンパク質固定化ゲルによる抗体精製における第二の洗浄の検討
図1に示す、第二の洗浄を入れたプロトコールによる、Fc結合性タンパク質固定化ゲルによる抗体精製を検討した。
(1)実施例1(3)で作製したFc結合性タンパク質固定化ゲルを充填したカラムをPBSにて洗浄、平衡化した後、実施例1(4)で得られたCHO細胞培養上清1mLを添加した。
(2)PBSを10分間(50CV)カラムに通液することで第一の洗浄を行なった後、洗浄液を3分間(15CV)カラムに通液することで第二の洗浄を行ない、最後に50mMのグリシン−塩酸緩衝液(pH3.0)を3分間(15CV)カラムに通液することで、ゲルに吸着した抗体を溶出させ回収した。
(3)実施例1(6)に記載の方法で回収した抗体溶液中のHCPを定量した。
まず第二の洗浄で用いる洗浄液のpHの検討を行なった。その結果、pH8以上の緩衝液で洗浄することで、第二の洗浄を行なわないときと比較し、抗体溶液中のHCP量が減少した(図2)。また前記緩衝液に塩化ナトリウムを添加すると、抗体溶液中のHCP量がさらに減少した(図2)。
そこで緩衝液に添加する塩化ナトリウム濃度を検討した。ホウ酸緩衝液(pH9)に対し様々な濃度の塩化ナトリウムを添加した洗浄液を用いて第二の洗浄を行なった結果、塩化ナトリウムを終濃度で0.2M以上添加すると、塩化ナトリウム無添加の緩衝液で第二の洗浄を行なったときと比較し、抗体溶液中のHCP量が減少していた。特に塩化ナトリウムを終濃度で0.4Mから0.5M添加した緩衝液で第二の洗浄を行なったとき、抗体溶液中のHCP量がより減少していた(図3)。
次に塩化ナトリウムを終濃度で0.5M添加したホウ酸緩衝液(pH9)にさらに有機溶媒を添加した洗浄液によるCHO細胞培養上清からの抗体精製を検討した。結果、イソプロパノールやアセトニトリルといった水溶性有機溶媒をさらに添加した洗浄液で第二の洗浄を行なうことで、水溶性有機溶媒無添加時と比較し、抗体溶液中のHCP量がさらに減少した(図4)。なお水溶性有機溶媒のうちイソプロパノールについて、添加量を変えて検討したところ、イソプロパノール添加量の増加に伴い抗体溶液中のHCP量が減少し、5%(v/v)以上添加すると、水溶性有機溶媒無添加時と比較し、抗体溶液中のHCP量が約3分の1以下となった(図4)。
次に塩化ナトリウムを終濃度で0.5M添加したホウ酸緩衝液(pH9)にさらに尿素を添加した洗浄液によるCHO細胞培養上清からの抗体精製を検討した。結果、尿素を終濃度で0.5M以上添加した洗浄液で第二の洗浄を行なうと、尿素無添加時と比較し、抗体溶液中のHCP量がさらに減少した(図5)。一方、尿素の添加量が終濃度で0.1Mのときは効果が認められなかった(図5)。
図6は図2から図5の結果をまとめたものである。なお塩化ナトリウムを終濃度で0.5M添加したホウ酸緩衝液(pH9)に、水溶性有機溶媒であるイソプロパノールおよび尿素を添加した洗浄液を用いて第二の洗浄を行なうと、イソプロパノールまたは尿素のみを添加した洗浄液を用いて第二の洗浄を行なったときと比較し、抗体溶液中のHCP量がさらに減少した(図6)。
実施例3 プロテインA固定化アガロースゲルによる抗体精製
(1)プロテインA固定化アガロースゲルであるMabSelect SuRe(GEヘルスケア社製)0.1mLを、Tricorn 5/20カラム(GEヘルスケア社製)に充填し、液体クロマトグラフ装置に設置した。
(2)実施例1(4)で得られたCHO細胞培養上清1mLを、あらかじめPBSで洗浄、平衡化したプロテインA固定化アガロースゲルを充填したカラムに添加した。
(3)実施例1(5)および(6)に記載の方法で抗体の精製およびHCPの定量を行なった。
結果、回収した抗体溶液中には558ngのHCPが含まれていた。
参考例1 プロテインA固定化アガロースゲルによる抗体精製における第二の洗浄の検討
図1に示す、第二の洗浄を入れたプロトコールによる、プロテインA固定化アガロースゲルによる抗体精製を検討した。
(1)実施例3(1)で作製したプロテインA固定化アガロースゲルを充填したカラムをPBSにて洗浄、平衡化した後、実施例1(4)で得られたCHO細胞培養上清1mLを添加した。
(2)実施例2(2)に記載の方法で抗体の精製を行ない、実施例1(6)に記載の方法でHCPの定量を行なった。なお洗浄液は、50mMのクエン酸緩衝液(pH4.4)、または10%(v/v)のイソプロパノールと1.0M(終濃度)の尿素を添加したTris緩衝液(pH9)を用いた。
結果を図7に示す。洗浄液による第二の洗浄を行なうことで、第二の洗浄を行なわなかったときと比較し、抗体溶液中のHCP量が減少していた。しかしながら、クエン酸緩衝液を洗浄液として用いた場合は、ゲルに吸着した抗体の一部が洗浄液中にリークしたことによる、抗体溶液中への抗体回収率の減少が確認され、塩化ナトリウムは添加せずイソプロパノールと尿素のみを添加した緩衝液を洗浄液として用いた場合のHCP量減少率は15%程度にとどまった。
実施例4 プロテインA固定化ビニルポリマーゲルによる抗体精製
(1)プロテインA固定化ビニルポリマーゲルであるTOYOPEARL AF−rProtein A−650F(東ソー社製)0.1mLを、Tricorn 5/20カラム(GEヘルスケア社製)に充填し、液体クロマトグラフ装置に設置した。
(2)実施例1(4)で得られたCHO細胞培養上清1mLを、あらかじめPBSで洗浄、平衡化したプロテインA固定化ビニルポリマーゲルを充填したカラムに添加した。
(3)実施例1(5)および(6)に記載の方法で抗体の精製およびHCPの定量を行なった。
結果、回収した抗体溶液中には1001ngのHCPが含まれていた。
実施例5 プロテインA固定化ビニルポリマーゲルによる抗体精製における第二の洗浄の検討
図1に示す、第二の洗浄を入れたプロトコールによる、プロテインA固定化ビニルポリマーゲルによる抗体精製を検討した。
(1)実施例4(1)で作製したプロテインA固定化ビニルポリマーゲルを充填したカラムをPBSにて洗浄、平衡化した後、実施例1(4)で得られたCHO細胞培養上清1mLを添加した。
(2)実施例2(2)に記載の方法で抗体の精製を行ない、実施例1(6)に記載の方法でHCPの定量を行なった。なお洗浄液は、10%(v/v)のイソプロパノールと1.0Mの尿素を添加したTris緩衝液(pH9)、または10%(v/v)のイソプロパノールと0.5M(終濃度)の塩化ナトリウムを添加したホウ酸緩衝液(pH9)を用いた。
結果を図8に示す。洗浄液による第二の洗浄を行なうことで、第二の洗浄を行なわなかった場合と比較し、抗体溶液中のHCP量が減少しており、塩化ナトリウムとイソプロパノールを添加した緩衝液を洗浄液として用いた場合は特にHCP量が減少していた(イソプロパノールと尿素を添加したTris緩衝液を用いた場合632ng、塩化ナトリウムとイソプロパノールを添加したホウ酸緩衝液を用いた場合102ng)。
実施例6 Fc結合性タンパク質固定化ゲルによる抗体精製における洗浄成分添加の検討
実施例2および5ならびに参考例1では第二の洗浄を追加して抗体の精製を行なったが、本実施例では第二の洗浄の代わりに、第二の洗浄で用いる洗浄液に添加する成分をあらかじめ被精製溶液に添加して抗体の精製を行なった。プロトコールを図9に示す。
(1)実施例1(4)で得られたCHO細胞培養上清1mLに各成分を添加後、あらかじめPBSで洗浄、平衡化したFc結合性タンパク質固定化ゲルを充填したカラム(実施例1(3)で作製)またはプロテインA固定化ビニルポリマーゲルを充填したカラム(実施例4(1)で作製)に添加した。なお添加する成分は、塩化ナトリウム(CHO細胞培養上清に対し0.5M)、イソプロパノール(10%(v/v))、または塩化ナトリウム(CHO細胞培養上清に対し0.5M)+イソプロパノール(10%(v/v))のいずれかである。
(2)PBSを10分間(50CV)カラムに通液することで洗浄後、50mMのグリシン−塩酸緩衝液(pH3.0)を3分間(15CV)カラムに通液することで、ゲルに吸着した抗体を溶出させ回収した。
(3)実施例1(6)に記載の方法でHCPの定量を行なった。
Fc結合性タンパク質固定化ゲルを用いたときの結果を図10に、プロテインA固定化ビニルポリマーゲルを用いたときの結果を図11に、それぞれ示す。いずれの場合も塩化ナトリウムを被精製溶液(CHO細胞培養上清)にあらかじめ添加してから精製を行なうことで、被精製溶液をそのまま精製するときと比較し、抗体溶液中のHCP量が大きく減少した。なおFc結合性タンパク質固定化ゲルを用いたときは、イソプロパノールをさらに被精製溶液に添加することで、抗体溶液中のHCP量がより減少した(図10)。
実施例7 Fc結合性タンパク質固定化ゲルによる、抗体を高濃度含む溶液からの抗体精製(その1)
実施例1(4)で得られたCHO細胞培養上清に含まれる抗体は約0.08mg/mLであるが、近年の抗体生産技術の進歩により、培養上清に含まれる抗体濃度は1mg/mL以上、さらには10mg/mL以上となる例も報告されている。そこで、本発明の抗体の精製方法が、抗体を高濃度含む溶液に対しても適用可能か検討した。
(1)ヒトガンマグロブリン(化学及血清療法研究所製)を終濃度2mg/mLとなるようCHO細胞上清に添加して、抗体を高濃度含むCHO細胞培養上清を作製した。
(2)実施例1(3)で作製したFc結合性タンパク質固定化ゲルを充填したカラムをPBSにて洗浄、平衡化した後、(1)で作製した抗体を高濃度含むCHO細胞培養上清1mLを添加した。
(3)実施例2(2)に記載の方法で抗体の精製を行ない、実施例1(6)に記載の方法でHCPの定量を行なった。なお洗浄液は、10%(v/v)のイソプロパノールと0.5M(終濃度)の塩化ナトリウムを添加したリン酸緩衝液(pH7)、または10%(v/v)のイソプロパノールと0.5M(終濃度)の塩化ナトリウムを添加したホウ酸緩衝液(pH9)を用いた。
結果を図12に示す。イソプロパノールと塩化ナトリウムを添加した中性または塩基性緩衝液を用いて第二の洗浄を行なうことで、第二の洗浄を行なわなかった場合と比較し、抗体溶液中のHCP量が10分の1以下まで減少した。
実施例8 Fc結合性タンパク質固定化ゲルによる、抗体を高濃度含む溶液からの抗体精製(その2)
実施例6において、洗浄液に添加する成分を被精製溶液にあらかじめ添加して精製を行なうと、第二の洗浄を行なわなくても抗体溶液中のHCP量が減少することを確認している。そこで、洗浄液に添加する成分を被精製溶液に添加し、さらに第二の洗浄を行なうことでHCP量がさらに減少するか確認した。
(1)実施例7(1)で作製した抗体を高濃度含むCHO細胞培養上清1mLに対し塩化ナトリウムを0.5M添加後、あらかじめPBSにて洗浄、平衡化したFc結合性タンパク質固定化ゲルを充填したカラム(実施例1(3)で作製)に添加した。
(2)実施例2(2)に記載の方法で抗体の精製を行ない、実施例1(6)に記載の方法でHCPの定量を行なった。なお洗浄液は、10%(v/v)のイソプロパノールと0.5M(終濃度)の塩化ナトリウムを添加したリン酸緩衝液(pH7)、10%(v/v)のイソプロパノールと0.5M(終濃度)の塩化ナトリウムを添加したTris緩衝液(pH8)、10%(v/v)のイソプロパノールと0.5M(終濃度)の塩化ナトリウムを添加したホウ酸緩衝液(pH9)、10%(v/v)のエタノールと0.5M(終濃度)の塩化ナトリウムを添加したホウ酸緩衝液(pH9)、または20%(v/v)のエタノールと0.5M(終濃度)の塩化ナトリウムを添加したホウ酸緩衝液(pH9)を用いた。
結果を図12に示す。イソプロパノールやエタノールといった水溶性有機溶媒と塩化ナトリウムとを添加した緩衝液で第二の洗浄を行なうことで、第二の洗浄を行なわなかった場合と比較し、抗体溶液中のHCP量が7分の1以下まで減少した。また被精製溶液を直接カラムに添加する場合(実施例7)と比較し、抗体溶液中のHCP量が減少していることがわかる。すなわち、第二の洗浄を行ない、かつ第二の洗浄に用いる洗浄液に添加する成分を被精製溶液にも添加して精製することで、抗体溶液中のHCP量がさらに減少することがわかる。
なお洗浄液のpHが高い(塩基性側)ほうが、抗体溶液中のHCP量が減少する点で好ましいといえる。またエタノールもイソプロパノールと同様、添加量の増加に伴い抗体溶液中のHCP量が減少していることがわかる。
実施例9 プロテインA固定化アガロースゲルによる、抗体を高濃度含む溶液からの抗体精製(その1)
(1)実施例3(1)で作製したプロテインA固定化アガロースゲルを充填したカラムをPBSにて洗浄、平衡化した後、実施例7(1)で作製した抗体を高濃度含むCHO細胞培養上清1mLを添加した。
(2)実施例2(2)に記載の方法で抗体の精製を行ない、実施例1(6)に記載の方法でHCPの定量を行なった。なお洗浄液は、10%(v/v)のイソプロパノールと1.0M(終濃度)の尿素を添加したTris緩衝液(pH9)、10%(v/v)のイソプロパノールと0.5M(終濃度)の塩化ナトリウムを添加したリン酸緩衝液(pH7)、または10%(v/v)のイソプロパノールと0.5M(終濃度)の塩化ナトリウムを添加したホウ酸緩衝液(pH9)を用いた。
結果を図13に示す。塩化ナトリウムを添加せずイソプロパノールと尿素のみを添加した緩衝液を用いて第二の洗浄を行なった場合、第二の洗浄を行なわなかった場合と比較し、抗体溶液中のHCP量減少率は25%程度であった。一方、塩化ナトリウムとイソプロパノールを添加した緩衝液で第二の洗浄を行なうと抗体溶液中のHCP量は20分の1以下にまで減少した。
実施例10 プロテインA固定化アガロースゲルによる、抗体を高濃度含む溶液からの抗体精製(その2)
(1)実施例7(1)で作製した抗体を高濃度含むCHO細胞培養上清1mLに対し塩化ナトリウムを0.5Mとなるよう添加後、あらかじめPBSにて洗浄、平衡化したプロテインA固定化アガロースゲルを充填したカラム(実施例3(1)で作製)に添加した。
(2)実施例2(2)に記載の方法で抗体の精製を行ない、実施例1(6)に記載の方法でHCPの定量を行なった。なお洗浄液は、10%(v/v)のイソプロパノールと0.5M(終濃度)の塩化ナトリウムを添加したリン酸緩衝液(pH7)、または10%(v/v)のイソプロパノールと0.5M(終濃度)の塩化ナトリウムを添加したホウ酸緩衝液(pH9)を用いた。
塩化ナトリウムとイソプロパノールを添加した緩衝液で第二の洗浄を行なうことで、第二の洗浄を行なわなかった場合と比較し、抗体溶液中のHCP量が減少した(第二の洗浄なし:443ng、リン酸緩衝液使用時:107ng、ホウ酸緩衝液使用時:109ng)。
実施例11 プロテインA固定化ビニルポリマーゲルによる、抗体を高濃度含む溶液からの抗体精製(その1)
(1)実施例4(1)で作製したプロテインA固定化ビニルポリマーゲルを充填したカラムをPBSにて洗浄、平衡化した後、実施例7(1)で作製した抗体を高濃度含むCHO細胞培養上清1mLを添加した。
(2)実施例2(2)に記載の方法で抗体の精製を行ない、実施例1(6)に記載の方法でHCPの定量を行なった。なお洗浄液は、10%(v/v)のイソプロパノールと0.5M(終濃度)の塩化ナトリウムを添加したリン酸緩衝液(pH7)、または10%(v/v)のイソプロパノールと0.5M(終濃度)の塩化ナトリウムを添加したホウ酸緩衝液(pH9)を用いた。
塩化ナトリウムとイソプロパノールを添加した緩衝液で第二の洗浄を行なうことで、第二の洗浄を行なわなかった場合と比較し、抗体溶液中のHCP量が減少した(第二の洗浄なし:1157ng、リン酸緩衝液使用時:81ng、ホウ酸緩衝液使用時:85ng)。
実施例12 プロテインA固定化ビニルポリマーゲルによる、抗体を高濃度含む溶液からの抗体精製(その2)
(1)実施例7(1)で作製した抗体を高濃度含むCHO細胞培養上清1mLに対し塩化ナトリウムを終濃度0.5Mとなるよう添加後、あらかじめPBSにて洗浄、平衡化したプロテインA固定化ビニルポリマーゲルを充填したカラム(実施例4(1)で作製)に添加した。
(2)実施例2(2)に記載の方法で抗体の精製を行ない、実施例1(6)に記載の方法でHCPの定量を行なった。なお洗浄液は、10%(v/v)のイソプロパノールと0.5M(終濃度)の塩化ナトリウムを添加したリン酸緩衝液(pH7)、または10%(v/v)のイソプロパノールと0.5M(終濃度)の塩化ナトリウムを添加したホウ酸緩衝液(pH9)を用いた。
塩化ナトリウムとイソプロパノールを添加した緩衝液で第二の洗浄を行なうことで、第二の洗浄を行なわなかった場合と比較し、抗体溶液中のHCP量が減少した(第二の洗浄なし:518ng、リン酸緩衝液使用時:91ng、ホウ酸緩衝液使用時:69ng)。
実施例13 Fc結合性タンパク質固定化ゲルによる、抗体を高濃度含む溶液からの抗体精製(その3)
(1)実施例1(3)で作製したFc結合性タンパク質固定化ゲルを充填したカラムをPBSにて洗浄、平衡化した後、実施例7(1)で作製した抗体を高濃度含むCHO細胞培養上清1mLを添加した。
(2)実施例2(2)に記載の方法で抗体の精製を行ない、実施例1(6)に記載の方法でHCPの定量を行なった。なお洗浄液は、0.1%(v/v)のTween 20と0.5M(終濃度)の塩化ナトリウムを添加した緩衝液(pH7、pH9またはpH10)、0.5%(v/v)のTween 20と0.5M(終濃度)の塩化ナトリウムを添加した緩衝液(pH7、pH9またはpH10)、または0.5%(v/v)のTween80と0.5M(終濃度)の塩化ナトリウムを添加した緩衝液(pH7、pH9またはpH10)を用いた。
結果を図14に示す。非イオン系界面活性剤と塩化ナトリウムを添加した中性または塩基性緩衝液を用いて第二の洗浄を行なうことで、第二の洗浄を行なわなかった場合と比較し、抗体溶液中のHCP量が60%から80%減少した。
実施例14 Fc結合性タンパク質固定化ゲルによる、抗体を高濃度含む溶液からの抗体精製(その4)
(1)実施例1(1)で作製したFc結合性タンパク質固定化ゲルを充填したカラムをPBSにて洗浄、平衡化した後、実施例7(1)で作製した抗体を高濃度含むCHO細胞培養上清1mLを添加した。
(2)実施例2(2)に記載の方法で抗体の精製を行ない、実施例1(6)に記載の方法でHCPの定量を行なった。なお洗浄液は、0.5M(終濃度)のL−バリンと0.5Mの塩化ナトリウムを添加した緩衝液(pH10)、0.2M(終濃度)のL−ロイシンと0.5Mの塩化ナトリウムを添加した緩衝液(pH10)、0.4M(終濃度)のL−ロイシンと0.5Mの塩化ナトリウムを添加した緩衝液(pH10)、0.2M(終濃度)のL−イソロイシンと0.5Mの塩化ナトリウムを添加した緩衝液(pH10)、0.4M(終濃度)のL−イソロイシンと0.5Mの塩化ナトリウムを添加した緩衝液(pH10)、0.05M(終濃度)のグリシンと0.5Mの塩化ナトリウムを添加した緩衝液(pH10)、または0.2M(終濃度)のグリシンと0.5Mの塩化ナトリウムを添加した緩衝液(pH10)を用いた。
結果を図15に示す。疎水性アミノ酸(バリン、ロイシン、イソロイシン)と塩化ナトリウムを添加した塩基性緩衝液を用いて第二の洗浄を行なうことで、第二の洗浄を行なわなかった場合やアミノ酸未添加の緩衝液(ホウ酸緩衝液(pH10))で洗浄した場合と比較し、抗体溶液中のHCP量が減少した。一方、グリシンと塩化ナトリウムを添加した塩基性緩衝液を用いて第二の洗浄を行なうと、アミノ酸未添加の緩衝液(ホウ酸緩衝液(pH10))で洗浄した場合と比較し、抗体溶液中のHCP量が増加した。
本発明の精製方法は、従来のアフィニティークロマトグラフィー用担体を用いた抗体の精製方法と比較し、抗体の精製純度を向上させることができる。本発明の精製方法により後段の精製プロセス負荷を大きく軽減させることができるため、結果として純度の高い抗体を安価に製造することができる。

Claims (7)

  1. アフィニティークロマトグラフィー用担体を充填したカラムを平衡化する工程と、前記平衡化したカラムに抗体を含む溶液を添加する工程と、前記抗体を含む溶液に含まれる夾雑物を洗浄する工程と、溶出液を用いて前記抗体を溶出させる工程とを含む、抗体の精製方法であって、
    前記夾雑物を洗浄する工程が、前記カラムの平衡化に用いた溶液で洗浄する第一の洗浄工程と、終濃度0.2M以上の塩化ナトリウムを含む中性または塩基性の緩衝液で洗浄する第二の洗浄工程とからなり、
    前記アフィニティークロマトグラフィー用担体がFc結合性タンパク質を固定化した担体である、前記精製方法。
  2. アフィニティークロマトグラフィー用担体を充填したカラムを平衡化する工程と、前記平衡化したカラムに抗体を含む溶液を添加する工程と、前記抗体を含む溶液に含まれる夾雑物を洗浄する工程と、溶出液を用いて前記抗体を溶出させる工程とを含む、抗体の精製方法であって、
    前記夾雑物を洗浄する工程が、前記カラムの平衡化に用いた溶液で洗浄する第一の洗浄工程と、終濃度0.35Mから0.6Mの塩化ナトリウムを含む中性または塩基性の緩衝液で洗浄する第二の洗浄工程とからなり、
    前記アフィニティークロマトグラフィー用担体がFc結合性タンパク質を固定化した担体である、前記精製方法。
  3. 抗体を含む溶液に対し0.2M以上となるよう塩化ナトリウムを添加後、平衡化したカラムに抗体を含む溶液を添加する工程を行なう、請求項1または2に記載の精製方法。
  4. 第二の洗浄工程で用いる緩衝液が、水溶性有機溶媒、非イオン性界面活性剤、疎水性アミノ酸、終濃度0.3M以上の尿素のうちいずれか一つ以上をさらに含む、請求項1〜3の何れか一項に記載の精製方法。
  5. 水溶性有機溶媒がイソプロパノール、アセトニトリル、エタノールのいずれかである、請求項に記載の精製方法。
  6. 疎水性アミノ酸がバリン、ロイシン、イソロイシンのいずれかである、請求項に記載の精製方法。
  7. アフィニティークロマトグラフィー用担体を充填したカラムを平衡化する工程と、
    抗体を含む溶液に対し0.2M以上となるよう塩化ナトリウムを添加する工程と、
    前記平衡化したカラムに前記抗体を含む溶液を添加する工程と、
    前記カラムの平衡化に用いた溶液で前記抗体を含む溶液に含まれる夾雑物を洗浄する工程と、
    溶出液を用いて前記抗体を溶出させる工程とを含
    前記アフィニティークロマトグラフィー用担体がFc結合性タンパク質を固定化した担体である、抗体の精製方法。
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