JP2010126436A - 抗体精製用吸着剤、およびそれを用いた抗体精製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ヒト型FcレセプターFcγRIを利用した抗体精製用吸着剤、およびそれを用いた抗体精製法を提供する。
【解決手段】可溶性ヒト型FcレセプターFcγRIをコードするDNA配列を含む発現プラスミドを形質転換することにより得られる、ヒト型FcレセプターFcγRIを安定的に発現するCHO細胞を用いて製造された前記FcγRIを、担体に固定した、前記吸着剤、およびそれを用いた抗体精製法。
【選択図】なし

Description

本発明はヒト型FcレセプターFcγRIを用いた抗体精製用吸着剤、およびそれを用いた抗体の精製方法に関する。
Fcレセプターとは免疫グロブリン分子のFc領域に結合する一群の分子である。個々の分子は免疫グロブリンスーパーファミリーに属する認識ドメインによって、単一の、あるいは、同じグループの免疫グロブリンイソタイプをFcレセプター上の結合ドメインによって認識する。これによって一定の免疫応答においてどのアクセサリー細胞が動因されるかが決まってくる(非特許文献1)。Fcレセプターは、さらに、サブタイプに分類することができ、IgG(免疫グロブリンG)に対するレセプターはFcγRI、FcγRIIa、FcγRIIb、FcγRIIIの存在が報告されている(非特許文献1)。なかでも、FcγRIとIgGの結合親和性は高く、その平衡解離定数(K)は10−8M以下である(非特許文献2)。FcγRIはIgG(免疫グロブリンG)に対するレセプターであり、単球とマクロファージ上に構成的に発現され、好中球および好酸球上においては誘導的に発現される。FcγRIは、細胞外領域、細胞膜貫通領域、細胞質内領域に区分され、IgGとの結合は、IgG分子Fc領域とFcγRIの細胞外領域で起こり、その後細胞質へとシグナルが伝達される。FcγRIはIgGとの結合に直接関わる分子量約42000のα鎖と、γ鎖の2種類のサブユニットによって構成されており、γ鎖は細胞膜と細胞外領域の境界にあるアミノ酸システインを介した共有結合によりホモダイマーを形成している(非特許文献1)。
近年になり、Fcレセプターの予想外の免疫抑制的な生物学的特性は、特に、自己免疫疾患または自己免疫症候群、移植物の拒絶および悪性リンパ増殖の領域において医薬として注目を浴びつつある(非特許文献2)。
FcγRIα鎖のアミノ酸配列および遺伝子塩基配列は非特許文献3により明らかにされ、その後、遺伝子組換え技術により、大腸菌(特許文献1)あるいは動物細胞を利用した発現が報告されている(非特許文献4)。
しかしながら、特許文献1に記載の大腸菌を利用した発現系ではFcγRIの細胞外領域タンパク質の発現量が極めて低く、また、発現したタンパク質は菌体内発現のため、多くの場合発現したタンパク質は不溶性の封入体となる。封入体タンパク質は可溶化等の操作をすることにより、活性型タンパク質として調製することは可能であるが、煩雑な操作を必要とする。また、非特許文献4に記載の動物細胞を用いた系では、FcγRIの菌体外ドメイン遺伝子をpMSベクターに導入し、それをHEK 293T細胞に形質転換させることで細胞外にFcγRIを発現させているが、一過性の発現のため、FcγRIの工業的な生産には不向きであった。
特表2004−530419号公報 J.V.Ravetch等,Annu.Rev.Immunol.,9,457,1991 Toshiyuki Takai,Jpn.J.Clin.Immunol.,28,318,2005 J.M.Allen等,Science,243,378,1989 A.Paetz等,Biochem.Biophys.Res.Commun.,338,1811,2005 Yasukawa K.等、J.Biochem.,108,673,1990 C.Chen等,Mol.Cell.Biol.,7,2745,1987 G.Urland等,P.N.A.S.,77,4216,1980
以前発明者らは、前記問題点を解決するために遺伝子工学手法を用いてヒト型FcレセプターFcγRIを安定的に発現可能なCHO細胞を取得し、前記CHO細胞を用いることで、IgG分子との結合性を有したヒト型FcレセプターFcγRIを生産することを実現している(特願2008−205491号)。本発明の課題は、前記FcγRIを利用した抗体精製用吸着剤、およびそれを用いた抗体の精製法を提供することである。
上記課題を鑑みてなされた本発明は、以下の発明を包含する:
(1)抗体を精製するための吸着剤であって、可溶性ヒト型FcレセプターFcγRIをコードするDNA配列を含む発現プラスミドを形質転換することにより得られる、ヒト型FcレセプターFcγRIを安定的に発現するCHO細胞を用いて製造された前記FcγRIを、担体に固定することで得られる、前記吸着剤。
(2)前記可溶性ヒト型FcレセプターFcγRIをコードするDNA配列が、ヒト型FcレセプターFcγRIの全DNA配列のうち細胞膜貫通領域を除去した配列であることを特徴とする、(1)に記載の吸着剤。
(3)前記担体がリガンド固定化用担体、または金属キレートクロマトグラフィー用担体であることを特徴とする、(1)または(2)に記載の吸着剤。
(4)(1)から(3)に記載の吸着剤を用いた抗体の精製方法。
以下、本発明について詳細に説明する。
1.可溶性ヒト型FcγRIをコードするDNA配列
本発明の吸着剤で用いるヒト型FcレセプターFcγRIを発現する細胞を取得する際に使用する、可溶性ヒト型FcγRIをコードするDNA配列は、報告されているヒト型FcγRIをコードするDNA配列に適当な修飾を加えることで、本来なら膜タンパク質であるFcγRIを細胞外に分泌させることが可能なDNA配列である。前記適当な修飾法としては、終止コドンを細胞外領域あるいは細胞膜貫通領域に挿入する方法、細胞膜貫通領域を除去する方法が例示できるが、細胞膜貫通領域を除去する方法が好ましい。配列番号1にはヒト型FcγRIの全アミノ酸配列およびそれをコードするDNA配列が示されており、このアミノ酸中、細胞外領域はアミノ酸番号1から277番のアミノ酸配列に相当し、細胞膜貫通領域は278番から299番目のアミノ酸配列に相当する(略図を図1に示す)。前記細胞外領域あるいは細胞膜貫通領域に終止コドンを挿入することは、インビトロミュータジェネシス(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)のような、DNAに突然変異を挿入するための市販のキットを用いて行なうことができ、前記細胞膜貫通領域を除去することも、前記市販のキットを用いて行なうことができる。また、適当なオリゴヌクレオチドを作製しPCR法により、前記細胞外領域あるいは細胞膜貫通領域に終止コドンを挿入したもの、または前記細胞膜貫通領域を除去したものを調製してもよい。
また、可溶性ヒト型FcレセプターFcγRIをコードするDNA配列が、ヒト型FcレセプターFcγRIの全塩基配列のうち細胞膜貫通領域を除去した配列中の少なくとも1塩基が他のヌクレオチドに置換、および/または欠失、および/または付加されている配列であっても、宿主細胞から分泌され、かつ、ヒト型FcγRIの活性を保持するものは前記DNA配列を有しているものとみなすことができる。ヌクレオチド配列の置換としては、あるアミノ酸をコードするヌクレオチドから別のアミノ酸をコードするヌクレオチドへの変換を例示することができる。なお、前記DNA配列はヒト型FcγRIのcDNA等を出発材料として作製してもよいし、人工的に合成してもよい。
さらに、前記DNA配列中には、発現した可溶性ヒト型FcγRIの簡便な精製を目的に、タグ配列を付加させてもよい。タグ配列とはヒトFcγRIに限らず、遺伝子工学に多用されるオリゴアミノ酸をコードするDNA配列であり、ポリヒスチジンタグ、c−mycタグを例示することができる。タグ配列の付加は前記DNA配列の5’末端側、3’末端側いずれに付加してもよい。
2.発現プラスミド
本発明の吸着剤で用いるヒト型FcレセプターFcγRIを発現する細胞を取得する際に使用する、複製可能な発現プラスミドは、前記可溶性ヒト型FcγRIをコードするDNA配列、前記DNA配列を発現させるためのDNA配列および宿主中でプラスミドDNAを複製するための複製起点を有し、かつ、選定された宿主を形質転換できるものであれば、適宜選定し使用できる。前記DNA配列を発現させるためのDNA配列としては、乳糖プロモータ系、トリプトファンプロモータ系、GAL4プロモータ系、SV40プロモータ系、アデノウイルスプロモータ系に由来する配列が例示でき、宿主との関係において適宜選定すればよいが、本発明の細胞株を取得する際に用いるプロモータ系としては、SV40プロモータ系に由来する配列が好ましい。また、これらのプラスミドを用いて形質転換する操作にあたり、プラスミドが導入されなかった宿主と導入された宿主との選別を可能にするために、発現プラスミド中にアンピシリンといった薬剤に対する耐性を宿主に付与するためのDNA配列を含んでいるのが好ましい。
3.宿主
本発明の吸着剤で用いるヒト型FcレセプターFcγRIを発現させる宿主としては、安定的にタンパク質を発現可能なCHO細胞(チャイニーズハムスターの卵巣細胞)が好ましい。
また、前記宿主に、可溶性ヒト型FcγRIをコードするDNA配列を含んだ発現プラスミドを導入し、さらに特定の薬剤に対する耐性も付与した細胞について、薬剤に対する耐性の強さから前記細胞のスクリーニングを行なうことで、可溶性ヒト型FcγRIを高発現する細胞を得ることができる。前記スクリーニングにおいて、薬剤としてはメソトレキセート(MTX)、耐性濃度としては数μM以上がそれぞれ好ましい。MTXに対する耐性の付与方法は、ジヒドロ葉酸レダクターゼ遺伝子(dhfr)を可溶性ヒト型FcγRIをコードするDNA配列と同一の発現プラスミドに挿入すればよい。
4.ヒト型FcγRIの分離回収
本発明の吸着剤で用いるヒト型FcレセプターFcγRIは、前記FcγRIを発現する細胞を含んだ培養液、または培養上清中から、通常の生理活性タンパク回収法によって分離回収することができる。分離回収方法としては、市販のHPLC、カラムクロマトグラフィーを例示することできる。また、培養液中から前記タンパクを生産する際に、培養液中の他のタンパク質の減少、例えば、培養細胞を無血清培地で培養して前記タンパクを発現させることにより分離回収の効率を高めることができる。
5.抗体を精製するための吸着剤
本発明の吸着剤は、前記1から4の工程で得られたヒト型FcレセプターFcγRIを適切な担体に固定することで得られる。
本発明の吸着剤を得るために用いる担体の材質としては特に制限はなく、架橋結合アルブミンのようなポリペプチドまたはタンパク質、アガロース、アルギネート、カラゲナン、キチン、セルロース、デキストリン、デキストラン、澱粉のような多糖、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリアクロレイン、ポリビニルアルコール、ポリメタクリレート、ペルフルオロカーボンのような合成高分子、シリカ、ガラス、多孔質珪藻土、アルミナ、ジルコニア、酸化鉄または他の金属酸化物のような無機化合物、上記物質を2つまたはそれ以上任意に組み合わせて構成される共重合体といった担体を例示することができる。さらにそれらは、液相分配で使用されるデキストラン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコールまたは加水分解澱粉のような水溶性の高分子を包含する担体、またはエマルジョンを形成するのに使用されるペルフルオロデカリンのような化合物を含む担体も含まれる。
ヒト型FcγRIを担体に固定する方法としては、活性基を有しない担体に、ヒト型FcγRIの有するアミノ基、カルボキシル基、メルカプト基、水酸基いずれかと共有結合できるような活性化基を周知の方法で付加した後、ヒト型FcγRIと固定させる方法でもよいし、CNBr−activated Sepharose、NHS−activated Sepharose(商品名、以上GEヘルスケアバイオサイエンス社製)、トレシル基活性化ダイナビーズ(商品名、Dynal社製)、エポキシトヨパール、アミノトヨパール、ホルミルトヨパール、カルボキシトヨパール(商品名、以上東ソー社製)といった市販のリガンド固定化担体とヒト型FcγRIとを直接結合させる方法でもよい。特に後者の結合方法は、簡便にヒト型FcγRIを担体に固定できる点で好ましい。
また、前記1から4の工程で得られたヒト型FcγRIが、そのN末端側、あるいはC末端側にポリヒスチジンタグを有している場合は、His・Bind Resin(商品名、Novagen社製)、Ni Sepharose(商品名、GEヘルスケアバイオサイエンス社製)といった市販の金属キレートクロマトグラフィー用担体に前記FcγRIを固定させる方法も、簡便にヒト型FcγRIを固定できる点で好ましい態様といえる。
6.抗体の精製法
本発明の吸着剤を用いた、試料中に含まれる抗体の精製法としては、本発明の吸着剤を直接試料液に投入して抗体を吸着し、洗浄後、適切な溶出緩衝液を用いて抗体を溶出させるバッチ処理による精製方法や、本発明の吸着剤を適切なカラムに封入後、CCPM8020 HPLCシステム(商品名、東ソー株式会社製)のようなクロマトグラフィー装置を使用して抗体を精製する方法が例示できる。
可溶性ヒト型FcγRIをコードするDNA配列を含む発現プラスミドを形質転換して得られた、安定的にFcγRIを発現可能なCHO細胞を用いて製造されたヒト型FcγRIを担体に固定化することで得られる本発明の吸着剤は、ヒトモノクローナル抗体といった抗体を吸着する吸着剤として用いることができる。また、本発明の吸着剤を用いることで、遺伝子組換え抗体生産菌由来の培養物、培養液または培養上清、およびヒト血液といった試料中に含まれる微量の抗体を簡便に分離精製することができる。
以下、本発明をさらに詳細に説明するために実施例を示すが、本発明は実施例に限定されるものではない。
実施例1 可溶性ヒト型FcγRI発現プラスミドの作製
可溶性ヒト型FcγRI発現プラスミドの作製は、以下の方法で行なった。
(1)可溶性ヒト型FcγRIをコードするDNAを以下の方法で調製した。
(1−1)Human cDNA clone SC119841プラスミド(Origene社製)をテンプレートとし、配列番号2(5’−GA[AGATCT]ATGTGGTTCTTGACAACTCTGCTCC−3’:角かっこ部分は制限酵素BglIIサイト)と配列番号3(5’−CG[TCTAGA]CTAGTGGTGGTGGTGGTGGTGGACAGGAGTTGGTAACTGGAGGC−3’:角かっこ部分は制限酵素XbaIサイト)のオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとして使用した。なお、FcγRIタンパク質の調製および定量を行なうために、発現させるタンパク質のC末端側にポリヒスチジンタグが付加されるようにPCRプライマーを設計した。
(1−2)PCR反応を、94℃・5分の熱処理後、94℃・30秒間の第一ステップ、65℃・30秒間の第二ステップ、72℃・1分間の第三ステップを25サイクル行ない、最後に、72℃・7分の条件で行なった。反応液組成を表1に示す。
Figure 2010126436
(1−3)PCR反応終了後、0.9%のアガロース電気泳動にて、設計通りのサイズのDNAバンドを確認した。
(1−4)目的産物に相当するDNAバンドをアガロースゲルから抽出(QIAquick Gel extraction kit(商品名):キアゲン社製)し、可溶性ヒト型FcγRIをコードするDNAを調製した。
(2)(1)で調製したDNAを制限酵素BglIIとXbaIにより消化し、これらの制限酵素により事前に消化したプラスミドpECEdhfr(非特許文献5)とライゲーションし(Ligation Kit Ver.2、タカラバイオ社製)、50μg/mLの抗生物質カルベシニリンを添加したLB寒天培地を用いて大腸菌JM109株に形質転換した。
(3)(2)の形質転換体を50μg/mLの抗生物質カルベシニリンを含むLB培地により培養(37℃、18時間)し、QIAprep Spin Miniprep Kit(商品名、キアゲン社製)によりプラスミドを抽出した。
(4)抽出プラスミドを制限酵素BglIIとXbaIにより消化し、0.9%のアガロース電気泳動に供した。
結果、インサートサイズから設計通りであることを確認し、これをpECEFcRdhfrとした。図2にpECEFcRdhfrの構造概略を示す。
実施例2 可溶性ヒト型FcγRI発現プラスミドの配列確認
実施例1で作製したpECEFcRdhfrプラスミド(図2)に挿入されている、可溶性ヒト型FcγRIをコードするDNA配列をチェーンターミネータ法に基づくBig Dye Terminator v3.1 Cycle Sequencing kit(商品名、PEアプライドバイオシステム社製)を用いてサイクルシークエンス反応に供し、全自動DNAシークエンサーABI Prism 310 DNA analyzer(商品名、PEアプライドバイオシステム社製)において解析した。なお、シークエンス用プライマーとして配列番号4(5’−AGCTGTATGGGGTCACTTCG−3’)と配列番号5(5’−TTTTTCCACTGGAATTCTAACC−3’)と配列番号6(5’−AGTGGGGATGTCACAGATGC−3’)と配列番号7(5’−AGGAACACATCCTCTGAATACC−3’)に示すオリゴヌクレオチドを使用した。
解析の結果、pECEFcRdhfrに挿入されている可溶性FcγRIをコードするDNAの塩基配列は設計通りであることを確認した。
実施例3 可溶性ヒト型FcγRIの抗体結合活性の確認
実施例1で作製したpECEFcRdhfrプラスミド(図2)をリポフェクトアミン(インビトロジェン社製)によりCOS7細胞に導入し、10% FCSを含むD−MEM培地(GIBCO社製)で培養することで(37℃、3日間)、一過的に細胞外へヒト型FcγRIを発現させ、培養後、培養液を回収した。回収した培養上清の抗体結合活性を以下の方法でELISA法により評価した。
(1)96穴のELISAプレート(Nunc社製)に100μg/mLから段階的に希釈したガンマグロブリン製剤(化学及血清療法研究所製)を各ウェルに100μLずつ添加し、4℃で18時間静置することによりガンマグロブリンを固相に固定化した。
(2)TBS緩衝液(0.2%(w/v)Tween 20、150mM NaClを含むTris−HCl緩衝液(pH8.0))で洗浄後、Starting Block Blocking Buffers(PIERCE社製)によりブロッキング操作を行なった。
(3)TBS緩衝液で洗浄後、調製した培養上清を100μL添加し、(1)で固定化したヒトガンマグロブリンと反応させた(30℃、2時間)。
(4)(3)の反応終了後、TBS緩衝液で洗浄し、His−probe(H−15)HRP抗体(Santa Cruz Biotechnology社製)を添加した。
(5)(4)の反応終了後、TBS緩衝液で洗浄し、TMB Peroxidase Substrate(KPL社製)を添加し450nmの吸光度を測定した。
評価結果を図3に示す。図3の通り、pECEFcRdhfrにより形質転換されたCOS細胞の培養上清に抗体結合活性が検出された。すなわち、pECEFcRdhfrに挿入された可溶性ヒト型FcγRIをコードするDNA配列により、細胞膜貫通領域が欠失したヒト型FcγRIを得ることができ、かつ、当該FcγRIはヒト抗体に結合活性を保持していることを示している。
実施例4 可溶性ヒト型FcγRIを発現するCHO細胞の作製
実施例1で作製したpECEFcRdhfr(図2)をChenらの方法(非特許文献6)により、dhfr遺伝子欠損CHO細胞株DBX−11(非特許文献7)に導入することで可溶性ヒト型FcγRIを発現するCHO細胞を作製し、MTX(メソトレキセート)を用いて前記細胞のスクリーニングを行なった。
(1)上記発現プラスミドが導入されたDBX−11株を5nMのMTXを含む培地で培養し、増殖した細胞株をモノクローナル化し実施例3と同様な方法で活性を評価した。
(2)最も活性の強い株について、さらに、50nM MTXを含む培地で培養し、耐性を獲得した増殖株の活性を評価した。
(3)(2)の操作を繰り返すことにより、最終的に初期のMTX濃度に対して1000倍となる5μM MTX存在下においても増殖する細胞宿主、すなわち、MTX耐性を獲得することと連動してFcγRI遺伝子が高度に集積された細胞株を分離した。
最終スクリーニング結果を図4に示す。図4の通り、モノクローナル化された任意のCHO細胞株の培養上清中から可溶性ヒト型FcγRIが検出された。
実施例5 可溶性ヒト型FcγRI発現細胞を用いたFcγRI生産
実施例4の細胞のうち、ヒト型FcγRI発現量が最も多いM5u−12D株を用いて、以下の方法でヒト型FcγRI生産を行なった。
(1)M5u−12D株を高密度培養システムBelloCell(CESCO社製)を用いて、5% 透析牛胎児血清入りD−MEM/F12培地(GIBCO社製)で細胞が密な状態まで培養した。
(2)培養後、培地を除き、5% 透析牛胎児血清を含むD−MEM(GIBCO社製)/ExCell302(SAFCバイオサイエンス社製)の1対1混合培地で培養した。
(3)栄養源が枯渇する前に培養上清を回収し、新たな培地と交換した。
(4)(2)から(3)の操作を繰り返して合計10Lの可溶性FcγRI含有培養上清を得た。
実施例6 可溶性ヒト型FcγRIの分離精製
実施例5で得られた可溶性FcγRI含有培養上清を、以下の方法で分離精製した。
(1)実施例5で得られた可溶性FcγRI含有培養上清10Lを、20mM酢酸緩衝液(pH5.2)で透析し脱塩処理を施した。
(2)20mM酢酸緩衝液(pH5.2)で平衡化した300mLのStreamline SPゲル(商品名、GEヘルスケアバイオサイエンス社製)を備えた吸着流動床システム(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)に添加し、同緩衝液で洗浄後、10%グリセロール、1M NaClを含む20mMリン酸緩衝液(pH7.4)により溶出し、可溶性ヒト型FcγRI含有濃縮画分を調製した。
(3)(2)で得られた可溶性ヒト型FcγRI含有濃縮画分を、20mM イミダゾール、0.5M NaClを含む20mM リン酸緩衝液(pH7.4)に透析し、同緩衝液で平衡化したHisTrap HSカラム(商品名、GEヘルスケバイオサイエンス社製)に添加し、洗浄後、500mM イミダゾール、0.5M NaClを含む20mM リン酸緩衝液(pH7.4)で溶出することで、可溶性ヒト型FcγRI精製標品を10mg得た。なお、タンパク質濃度の定量は、イムノグロブリンを標準タンパク質としてブラッドフォード法に基づくプロテインアッセイキット(Bio−Rad社製)を用いて行なった。
図5にHisTrap HSカラムのクロマトパターンを、図6に精製標品のTSKgel G3000SW(商品名、東ソー社製)のクロマトパターンを示す。図6の通り、培養上清からの不純物が除かれ、高純度に精製された可溶性ヒト型FcγRIを得ることができた。
実施例7 可溶性ヒト型FcγRIの担体への固定
実施例6で調製した可溶性ヒト型FcγRIを、以下の方法で担体に固定した。
(1)金属キレートクロマトグラフィー用担体である、His・Bind Resin(商品名、Novagen社製)にニッケルイオンを十分量担持させた後、0.15M NaCl、0.02M イミダゾールを含む0.02Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.4)(以下、緩衝液Aとする)を用いて前記担体を平衡化した。
(2)平衡化した前記担体200μLを充填した内径5mmのカラムに、実施例6で調製した可溶性FcγRIを、ゲル容量1.0mLあたり、1.0、2.6または6.5mg結合するように、HPLCシステムを用いて流速0.1mL/minで添加した。
実施例8 ヒト型FcγRI固定化担体による抗体精製
実施例7で調製したヒト型FcγRI固定化担体を用いて抗体の精製を試みた。
(1)実施例7で調製した担体に、実施例7に記載の緩衝液Aで調製した0.4mg/mLのヒトモノクローナル抗体(コスモバイオ社製)を、タンパク量にして、前記担体に吸着したヒト型FcγRIのおよそ4倍量添加(例えば、可溶性ヒト型FcγRIを1.0mg吸着させた担体の場合、4.0mgのヒトモノクローナル抗体を添加)し、緩衝液Aで十分洗浄した。
(2)担体に吸着したヒトモノクローナル抗体を、8M尿素、0.02Mイミダゾール、0.5M NaClを含む0.02M リン酸緩衝液(pH7.4)(緩衝液B)により溶出させた。
可溶性ヒト型FcγRI固定化担体に吸着した抗体の定量結果を表2に示す。固定化したFcγRIの量に従い抗体吸着量も向上していた。なお、比較例として可溶性FcγRIを固定していない担体についても同様の試験を行なったが、抗体を吸着することはなかった。以上より、今回調製したヒト型FcγRI固定化担体はヒトモノクローナル抗体の精製に有用であることが示された。
Figure 2010126436
可溶性ヒト型FcγRIの構造を示す図。SSはシグナルペプチド、ECは細胞外部分、TMは細胞膜貫通領域部分、Cは細胞質内部分をそれぞれコードする領域を示す。図の上部の数字は、それぞれの領域のDNAがコードするアミノ酸数を示す。 発現プラスミドpECEFcRdhfrの構造を示す図。 発現プラスミドpECEFcRdhfrを導入したCOS細胞培養上清中の抗体結合活性を示す図。横軸は固定化抗体濃度、縦軸は450nmにおける吸光度である。 可溶性ヒト型FcγRI発現CHO細胞のスクリーニング結果を示す図。横軸はスクリーニング対象のCHO細胞株、縦軸は450nmにおける吸光度を表す。 精製クロマトパターンを示す図。横軸はニッケルキレートクロマトの溶出時間、縦軸は280nmにおける吸光度である。図中、矢印の位置が可溶性FcγRI溶出フラクションに対応する。 可溶性ヒト型FcγRIの精製標品のゲルろ過法による純度検定結果を示す図。横軸はゲルろ過クロマトの溶出時間、縦軸は280nmにおける吸光度である。図中、矢印が可溶性ヒト型FcγRIである。

Claims (4)

  1. 抗体を精製するための吸着剤であって、可溶性ヒト型FcレセプターFcγRIをコードするDNA配列を含む発現プラスミドを形質転換することにより得られる、ヒト型FcレセプターFcγRIを安定的に発現するCHO細胞を用いて製造された前記FcγRIを、担体に固定することで得られる、前記吸着剤。
  2. 前記可溶性ヒト型FcレセプターFcγRIをコードするDNA配列が、ヒト型FcレセプターFcγRIの全DNA配列のうち細胞膜貫通領域を除去した配列であることを特徴とする、請求項1に記載の吸着剤。
  3. 前記担体がリガンド固定化用担体、または金属キレートクロマトグラフィー用担体であることを特徴とする、請求項1または2に記載の吸着剤。
  4. 請求項1から3に記載の吸着剤を用いた抗体の精製方法。
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