JP2014527518A - ポリペプチド分離法 - Google Patents

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Abstract

【課題】Fc受容体が含まれる培地を用いてポリペプチドグリコフォームを分離する方法及び組成物を提供する。【解決手段】培地には、FcガンマRIII受容体の細胞外部分を含むFc受容体が含まれる。【選択図】なし

Description

関連出願
本出願は、2011年7月20日に出願の米国仮出願第61/509,746号の恩典を主張し、その明細書の記載は全体として本願明細書に援用されている。
ほとんどの膜タンパク質や分泌タンパク質は、グリコシル化されている。多くの場合、オリゴ糖の存在と特徴は、糖タンパク質の折りたたみ、安定性、位置、リガンド相互作用、及び生物活性に影響を与える。例えば、抗体は、典型的には、N結合複合オリゴ糖を有する。抗体は、複合オリゴ糖鎖においてフコース、マンノース、ガラクトース、N-アセチルグルコサミン、及び/又はシアル酸のレベルが変化するため、非常に不均一になり得る(Jefferis, Trends Pharm. Sci. 30(7):356-362, 2009)。
血清及び組換え抗体は、典型的には、グリコフォームの混合物を含有する。ある種の抗体グリコフォームは、FcガンマRI、FcガンマRII、FcガンマRIII、C1qのような白血球にFc受容体がより高い親和性を有することが認められ、これらは順次エフェクター機能を変えることになる。オリゴマンノース型オリゴ糖を有する抗体は、抗体依存性細胞仲介細胞毒性(ADCC)の増強及びC1q結合の減少を示している(Crispin et al., J. Mol. Biol. 387:1061-1066, 2009)。ガラクトシル化を除去すると、C1q結合及び他のFc受容体へ結合が減少する(Crispin et al., supra; Kobata, Biochim. Biophys. Acta 1780:472-478, 2008)。末端シアル酸は、Fcガンマ受容体に対する抗体の親和性を減少させることが示されている(Jefferis, Nat. Rev. Drug. Disc. 8:226-234, 2009; Walsh et al., Nat. Biotech. 24(10):1241-1252, 2006)。
一次コアN-アセチルグルコサミンにフコースがない抗体の形は、コアをフコシル化された形と比較してFcガンマRIIIaに対する親和性が増加し、更にADCCの引き金となる能力が増加する(Jefferis, Exp. Opin. Biol. Ther. 7(9):1401-1413, 2007; Okazaki et al., J. Mol. Biol. 336:1239-1249, 2004; Shibata-Koyama et al., Glycobiol. 19(2): 126-134, 2009)。フコシル化された形と比較すると、低フコシル化の形は、抗原、C1q、FcガンマRI、胎児性Fc受容体(FcRn)に対して匹敵する親和性及びFcガンマRIIa及びFcガンマRIIbに対してわずかに高い親和性を有する(上記Jefferis, Exp. Opin. Biol. Ther. 7(9):1401-1413, 2007; Satoh et al., Exp. Opin. Biol. Ther. 6(11):1161-1173, 2006; Kobata)。リツキシマブ及びトラスツズマブの低フコシル化の形は、試験管内や生体外のADCCを増強した(上記Jefferis, Exp. Opin. Biol. Ther. 7(9):1401-1413, 2007; Jefferis, Trends Pharm. Sci. 30(7):356-362, 2009; Satoh)。FcガンマRI、FcガンマRII、FcガンマRIII、及びC1q受容体は、Fcポリペプチドのヒンジ又はヒンジ近位領域と相互作用することが報告されている。FcガンマRIIIに対する低フコシル化IgG Fcの親和性の増加は、結合の立体阻害を減少させるFcのコンフォメーション変化によるものであり得る(上記Kobata,; 上記Satoh)。
本開示は、とりわけ、ポリペプチドグリコフォームを分離する方法及び組成物を提供する。本明細書に示された方法の種々の実施態様において、Fc受容体結合部分を有するポリペプチドは、1つ以上のポリペプチドグリコフォームを優先して結合するFc受容体培地を用いて分離される。ポリペプチドグリコフォームの分離は、予備的方法で、例えば、望ましいグリコフォームプロファイルを有する組成物を調製する方法、望ましい生物活性及び/又は治療活性を有する特定のグリコフォームを濃縮する方法、又は分析法で、例えば、ポリペプチド標品の確認を可能にする方法のような様々な適用を有する。
グリコシル化は、ポリペプチド生化学の機能、安定性、及び他の重要な態様に関係する。本技術によって提供される利点は、ポリペプチド製品の開発、生産、及び使用(例えば、治療的使用)に影響を与え得る。グリコフォームを分離する能力によって、製品に対するより大きな制御が可変の品質特性を可能にし、順次一貫した製造、臨床/制御解析が容易になり、時には、治療効力に影響を与える。
従って、一態様において、本開示は、負荷流体においてポリペプチドグリコフォームを分離する方法を提供する。方法は、例えば: (a)免疫グロブリンFc受容体を含む培地を準備する工程; (b)ポリペプチドが免疫グロブリンFc受容体に結合する条件下で培地とポリペプチドを含む負荷流体とを接触させる工程であって、ポリペプチドが免疫グロブリンFc受容体部分を含み、負荷流体がポリペプチドの複数のグリコフォームを含み、且つFc受容体がグリコフォームの1つ以上を優先して結合する、前記工程; (c)結合したポリペプチドが培地から溶離する条件下で培地と溶出液とを接触させる工程; 及び(d)培地から溶出する結合したポリペプチドを回収し、それによって、溶出液を得る工程、を含む。
一部の実施態様において、Fc受容体は、他のグリコフォームに結合する親和性より少なくとも2倍、5倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、100倍、又は150倍である親和性で第1のグリコフォームに結合する。
一部の実施態様において、方法は、培地と1つ以上の洗浄液とを接触させた後、培地と溶出液とを接触させる工程を含む。
種々の実施態様において、方法は、培地を通過するポリペプチドを回収する工程を含む。
一部の実施態様において、培地は、そのポリペプチド容量の1-3000%(例えば、5-1900%、5-100%、又は100-1900%)で充填される。培地は、培地に結合するグリコフォームの通過から選択的減少を可能にする容量で充填され得る。例えば、一部の実施態様において、通過画分中のある種のグリコフォームのレベル、例えば、低レベルのフコースを有するグリコフォーム(例えば、低フコシル化グリコフォーム)は、充填材料中95%、90%、75%、50%、25%、10%、又は5%未満のレベルである。
負荷流体は、様々な供給源に由来し得る。一部の実施態様において、負荷流体は、細胞培地(例えば、粗細胞培地又はろ過した細胞培地、細胞を含む細胞培地、又は細胞が取り出されている細胞培地)を含んでいる。一部の実施態様において、負荷流体は、一つ以上のイオン交換クロマトグラフィ(例えば、陽イオン交換、陰イオン交換)、プロテインAクロマトグラフィ、UF/DF、ウイルス削減ろ過、疎水性相互作用クロマトグラフィ、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィ、混合モードクロマトグラフィ、レクチンクロマトグラフィ、又はこれらの組み合わせによって精製された流体を含んでいる。他の実施態様において、負荷流体は、医薬品又は薬剤物質を含んでいる。
免疫グロブリンFc受容体結合部分には、例えば、免疫グロブリンFc領域が含まれ得る。一部の実施態様において、Fc受容体結合部分には、未変性免疫グロブリンFc領域、又はFc受容体に結合する能力を保持する部分又はその変形が含まれる。
一部の実施態様において、免疫グロブリンFc受容体は、FcガンマRIIIa V176、FcガンマRIIIa F176、FcガンマRIIIb NA1、FcガンマRIIIb NA2、FcガンマRIIa H131、FcガンマRIIa R131、FcガンマRIIb I232、及びFcガンマRIIb T232からなる群より選ばれる。
方法は、様々なポリペプチドのグリコフォームを分離するために使用し得る。一部の実施態様において、方法を用いて分離されるポリペプチドは、抗体(例えば、モノクローナル抗体、ヒトモノクローナル抗体、ヒトIgG、ヒトIgG1)を含んでいる。一部の実施態様において、ポリペプチドは、Fc融合タンパク質(例えば、ヒトFc領域を有するFc融合タンパク質)を含んでいる。本明細書において方法に従って分離するポリペプチドには、単一ドメイン抗体、マキシボディ、ミニボディ、細胞内抗体、小モジュラー免疫薬(SMIP)、IgG-scFv二重特異性抗体、抗体-ペプチド結合体(conjugate)、抗体-薬剤結合体、及びウイルス又はウイルスカプシド上のFc受容体結合ポリペプチドが含まれる。
一部の実施態様において、分離するポリペプチドは、哺乳類細胞において産生される。いくつかの実施態様において、ポリペプチドは、真菌細胞(例えば、ピキア・パストリス(Pichia Pastoris))、昆虫細胞、又は植物細胞において産生される。一部の実施態様において、ポリペプチドは、CHO細胞(例えば、GS-CHO、CHO-K1、又はCHO-K1SV)、NS0細胞、又はSp2/0細胞において産生される。
Fc受容体は、1つ以上のグリコフォームに優先して結合するものである。いくつかの実施態様において、Fc受容体は、フコースが低下したグリコフォーム(例えば、低フコシル化グリコフォーム、例えば、コアN-フコースが低下したグリコフォーム)に優先して結合する。
一部の実施態様において、Fc受容体は、高マンノースオリゴ糖が増加したポリペプチドグリコフォームに優先して結合する。
一部の実施態様において、Fc受容体は、グリコシル化される。例えば、Fcは、N-グリコシル化であり得る。
一部の実施態様において、Fc受容体には、FcガンマRIIIポリペプチド(例えば、FcガンマRIIIaポリペプチド、又はFcガンマRIIIbポリペプチド)又はFcガンマRIVポリペプチドのFc結合が含まれる。
例えば、Fc受容体には、FcガンマRIIIポリペプチド又はFcガンマRIVポリペプチドの細胞外ドメインが含まれ; 例えば、Fc受容体は、配列番号1のアミノ酸残基21-209と少なくとも85%同一の配列を含んでいる。一部の実施態様において、FcガンマRIIIポリペプチドの細胞外ドメインは、V176アロタイプである。
一部の実施態様において、Fc受容体は、全長FcガンマRIIIポリペプチドを含んでいる。
本明細書に示された方法の種々の実施態様において、負荷流体は、Fc受容体に優先して結合する第1のグリコフォームを含み、溶出液中の第1のグリコフォームは、負荷流体に対して相対的に少なくとも20%だけ増加し、例えば、溶出液中の第1のグリコフォームは、負荷流体に相対して少なくとも50%、100%、2倍、5倍、10倍、又は20倍だけ増加する。
方法は、溶出液が少なくとも所定のパーセントを含有するようなグリコフォームに濃縮し得る。例えば、一部の実施態様において、溶出液中の第1のグリコフォームのパーセントは、少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%又は80%である。
一部の実施態様において、第1のグリコフォームは、フコースが低下したグリコフォーム(例えば、低フコシル化グリコフォーム)である。
一部の実施態様において、第1のグリコフォームは、シアリル化が低下したグリコフォーム(例えば、低シアリル化グリコフォーム)である。
一部の実施態様において、第1のグリコフォームは、ガラクトシル化グリコフォームである。
一部の実施態様において、第1のグリコフォームは、高マンノースオリゴ糖を有するグリコフォームである。
溶出液は、収集されるか又は画分に分割されてもよく、それの1つ以上が特定のグリコフォームに濃縮され得る。
方法の一部の実施態様において、負荷流体には、Fc受容体に優先して結合しない第2のグリコフォームが含まれ、溶出液中の第2のグリコフォームのパーセントは、負荷流体に対して相対的に低下する(例えば、第2のグリコフォームは、フコシル化、シアリル化、及び/又は高マンノースグリコフォームである)。
一部の実施態様において、溶出液中のポリペプチドの生物活性は、負荷流体中のポリペプチドの活性に対して相対的に変えられる(例えば、増減される)。一部の実施態様において、生物活性には、抗体依存性細胞仲介細胞毒性(ADCC)が含まれる。方法の一部の実施態様において、ADCCは増加する(例えば、ADCCは少なくとも20%、50%、100%、2倍、5倍、10倍、20倍、又は50倍増加する)。
一部の実施態様において、培地を通過したたポリペプチドの生物活性が、負荷流体のポリペプチドの活性に対して相対的に変えられる(例えば、増減される)。
様々な培地のいずれもが、使用し得る。いくつかの実施態様において、培地は、ビーズ、膜、モノリス、繊維マトリックス、多孔質媒体、又はゲルを含んでいる。一部の実施態様において、培地は、アガロース、セルロース、又はデキストラン、セラミック、金属、ガラス、ナイロン、テフロン(登録商標)、ナイロン、ポリカーボネート、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスルホン、ポリエステル、ポリフッ化ビニリデン、フルオロカーボン(例えばポリ(テトラフルオロエチレン-コ-ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル))、ポリエチレン、ポリアクリレート、又はポリ(アゾラクトン)を含んでいる。
Fc受容体は、架橋剤を介して培地に結合され得る。
一部の実施態様において、Fc受容体は、ジスルフィド結合、金属キレート化、臭化シアン、NHS結合、ヒスチジンタグ、グリシジルエーテル、エポキシ、トレシルクロリド結合、トレシルクロリド結合、EAH結合、ECH結合、活性化チオール結合、又はチオプロピル結合を介して培地に結合される。
培地は、Fc受容体を、例えば、0.01〜15mg/mLの濃度で含んでいる。一部の実施態様において、培地は、Fc受容体を2-10mg/mL(例えば、3-7.5mg/mL、3-5mg/mL、又は5-7.5mg/mL)の濃度で含んでいる。
一部の実施態様において、培地は、平衡溶液で平衡にした後、培地と負荷流体とを接触させる。多くの実施態様において、平衡溶液には、緩衝液(例えば、トリス、MES、HEPES、リン酸、ヒスチジン)が1〜500mMで、及び塩(例えば、NaCl、CaCl2)が0〜2000mMで、pH3.5〜10において含まれる。
種々の実施態様において、負荷流体は、0.001〜100mg/mLの濃度でポリペプチドを含んでいる。培地と接触されるポリペプチド量は、0.1〜25,000mgポリペプチド/mL培地の範囲にあり得る。
一部の実施態様において、方法において用いられる1つ以上の洗浄液には、1〜500mMの緩衝液(例えば、トリス、MES、HEPES、リン酸、ヒスチジン)が1〜500mMで、塩(例えば、NaCl、CaCl2)が0〜2000mMで、及び/又は添加剤(例えば、グアニジン、尿素、スクロース)及び/又は溶媒(例えば、エタノール、アセトニトリル、ポリエチレングリコール)が、pH3.5〜10において含まれる。
一部の実施態様において、溶出溶液は、pH 2〜5及び又は塩(例えば、NaCl、CaCl2)を0〜2000mMで及び/又は添加剤(例えば、グアニジン、尿素、スクロース)及び/又は溶媒(例えば、エタノール、アセトニトリル、ポリエチレングリコール)を有する。
一部の実施態様において、培地は、pH勾配が適用される(例えば、pH勾配pH 5.0〜pH 3.0)条件下で1つ以上の溶出溶液と接触させる。
方法には、溶出液を中和する工程を更に含み得る。
分離法は、他の分離法と共に使用し得る。従って、一部の実施態様において、方法は、更に、溶出液と第2の培地とを接触させる工程、及び第2の培地を通過するか、又は第2の培地から溶離されるポリペプチドを回収する工程を含む。例示的な第2の培地には、イオン交換培地、ヒドロキシアパタイト培地、プロテインA培地、疎水性相互作用培地、固定された金属親和性培地、合成培地(バイオミメティック)、レクチン、又はこれらの組み合わせが含まれ得る。
方法は、更に、溶出液中のポリペプチドから又は培地を通過したポリペプチドから医薬組成物を生産する工程を含み得る。
方法は、更に、培地から溶離したポリペプチドの特性を分析する工程を含み得る。一部の実施態様において、ポリペプチドからのオリゴ糖が分析される(例えば、N-結合オリゴ糖は、N-オリゴ糖をポリペプチドから切断し、オリゴ糖を標識化し、且つ標識化したオリゴ糖化学種を検出することによって分析される)。
一部の実施態様において、ポリペプチドの生物活性が分析される。
一部の実施態様において、毒性、安定性(例えば、半減期、貯蔵寿命)、又は有効性の1つ以上が分析される(例えば、負荷流体中のポリペプチド、培地を通過したポリペプチドと比較して、又は対照と比較して)。
分析する工程は、更に、負荷流体中のポリペプチド及び/又は培地を通過したポリペプチドを分析する工程を含み得る(例えば、溶離したポリペプチドと比較するために)。
代わりに、又は更に、方法は、更に、培地を通過したポリペプチドを分析する工程を含み得る。
一部の実施態様において、ポリペプチド上のオリゴ糖はが分析される。
一部の実施態様において、毒性、安定性(例えば、半減期、貯蔵寿命)、又は有効性の1つ以上が分析される(例えば、負荷流体中のポリペプチド、培地から溶出したポリペプチドと比較して、又は参照と比較して)。
一部の実施態様において、ポリペプチドの生物活性が分析される。
本開示は、また、本明細書に記載された方法によって回収されたポリペプチドを含む組成物を特徴とする。
他の態様において、本開示は、(a)Fc受容体を含む培地を準備する工程であって、Fc受容体がFcガンマRIIIポリペプチドのFc結合部分を含んでいる、前記工程; (b)ポリペプチドが培地に結合する条件下で培地とポリペプチドを含む負荷流体とを接触させる工程であって、ポリペプチドが免疫グロブリンFc領域を含んでいる、前記工程; (c)結合したポリペプチドが培地から溶離する条件下で培地と溶出液とを接触させる工程; 及び(d)培地から溶離する結合したポリペプチドを回収し、それによって、溶出液を得る工程を含む方法を提供する。
一部の実施態様において、Fc受容体は、FcガンマRIIIポリペプチドの細胞外ドメインを含んでいる。
方法は、本明細書に記載されている追加の特徴を含み得る。
上でまとめられた方法の一部の実施態様において、負荷流体は、血清IgGを含み得る。
更なる態様において、本開示は、固体担体に結合したFc受容体を含んでいる培地であって、Fc受容体がFcガンマRIIIポリペプチドのFc結合部分を含んでいる、前記培地を提供する。
一部の実施態様において、固体担体は、アガロース、セルロース、又はデキストラン、セラミック、金属、ガラス、ナイロン、テフロン(登録商標)、ナイロン、ポリカーボネート、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスルホン、ポリエステル、ポリフッ化ビニリデン、フルオロカーボン(例えばポリ(テトラフルオロエチレン-コ-ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル))、ポリエチレン、ポリアクリレート、又はポリ(アゾラクトン)を含んでいる。
一部の実施態様において、固体担体は、ビーズ、膜、モノリス、繊維マトリックス、多孔質媒体、又はゲルを含んでいる。
他の態様において、本開示は、(a)固体担体に結合した免疫グロブリンFc受容体を含む培地であって、免疫グロブリンFc受容体がFcガンマRIポリペプチド、FcガンマRIIポリペプチド、FcガンマRIIIポリペプチド、及びFcガンマRIVポリペプチドのFc結合部分からなる群より選ばれたFc結合部分を含んでいる、前記培地; 及び(b)負荷流体中のポリペプチドグリコフォームを分離する本開示の一態様の方法のような上でまとめた方法のいずれかによる使用のための説明書を含むキットを提供する。
一部の実施態様において、キットの固体担体は、アガロース、セルロース、又はデキストラン、セラミック、金属、ガラス、ナイロン、テフロン(登録商標)、ナイロン、ポリカーボネート、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスルホン、ポリエステル、ポリフッ化ビニリデン、フルオロカーボン(ポリ(テトラフルオロエチレン-コ-ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル))、ポリエチレン、ポリアクリレート又はポリ(アゾラクトン)を含んでいる。固体担体は、ビーズ、膜、モノリス、繊維マトリックス、多孔質媒体、又はゲルを含み得る。
本開示のある種の実施態様の詳細は、添付の図面及び下記の説明に記載される。本開示の他の特徴、目的、及び利点は、説明及び図面、及び特許請求の範囲から明らかとなるであろう。すべての引用された特許、及び特許出願及び参考文献は、すべてのために全体として援用されている。
図1は、モノクローナル抗体標品(上パネル)及びFcガンマRIIIa受容体培地から溶離された標品(下パネル)のグリカンプロファイルを示す一組のグラフである。語尾が『F』の標識を有するピークはすべてフコシル化され、語尾が『F』でない標識を有するピークはすべて低フコシル化されている。
定義
「対応する」: 本明細書に用いられる参照配列におけるアミノ酸(又はヌクレオチド)に「対応する」アミノ酸(又はヌクレオチド)は、参照配列における部位に相同する部位を占めている。対応するアミノ酸及びヌクレオチドは、関連配列のアライメントによって確認され得る。配列は、当業者に周知である、BLAST、FASTA、ClustalWのようなアルゴリズムを用いて公開データベースにおいて利用できるタンパク質配列と比較され得る。
本明細書に用いられる「溶出液」は、培地にさらされた及び培地から溶離された産物を有する流体を意味する。
本明細書に用いられる「免疫グロブリンFc受容体」又は「Fc受容体」は、免疫グロブリンFc領域(例えば、未変性Fc領域)と相互作用し得るポリペプチドを意味する。Fc受容体は、典型的には、Fc領域の少なくとも105M-1(例えば、少なくとも106 - 109 M-1)の親和性(KA)で結合する。一部の実施態様において、Fc受容体は、未変性Fcガンマ受容体に少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%配列同一性を有する未変性Fcガンマ受容体の細胞外部分、又はその変形を含んでいる。
本明細書に用いられる「免疫グロブリンFc受容体部分」又は「Fc受容体結合部分」は、免疫グロブリンFc受容体と相互作用し得るアミノ酸を含む部分を意味する。一部の実施態様において、Fc受容体結合部分は、Fc領域を含む。Fc領域は、免疫グロブリン重鎖のC末端領域であり、一般的には、免疫グロブリンの最後の2つの定常部ドメイン、例えば、IgG、IgA、又はIgD、又はIgE又はIgMの最後の3つの定常部ドメインを含んでいる。ラクダ科の動物抗体は、軽鎖がないが、典型的な免疫グロブリンに匹敵するFc領域がある。Fc領域は、また、免疫グロブリンの可撓性ヒンジ領域N末端から定常部ドメインまでを含み得る。ヒトIgG重鎖Fc領域は、通常、分子の位置C226又はP230(Kabat番号付けによる; Kabat et al. Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md. (1991)を参照のこと)からC末端まで伸びるように区切られているが、Fc領域の境界は変動し得る。多くのFc領域のアミノ酸配列と核酸配列は、当該技術において既知である。
種々の実施態様において、Fc受容体結合部分には、未変性Fcドメイン(例えば、未変性ヒトFcドメイン)及びFc受容体に結合するその部分及び変形(例えば、未変性Fcドメインに少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%配列同一性を有する変形)が含まれる。抗体及びFc融合タンパクは、Fc受容体結合部分が含まれるポリペプチドの例である。
本明細書に用いられる「負荷」は、対象の産物を含有する任意の材料を意味する。「負荷流体」は、培地と接触する充填材料を含有する液体(例えば、培地を含有するカラムを通過する液体)を意味する。一部の実施態様において、負荷流体は、細胞培養液である。細胞培養液は、澄明化され得る(例えば、細胞又は細胞残屑を除去するために)。一部の実施態様において、負荷流体は、クロマトグラフィ工程(例えば、プロテインAクロマトグラフィ工程)から誘導される部分的に精製された中間体である。一部の実施態様において、負荷流体は、精製された標品である。
本明細書に用いられる「培地」は、ポリペプチドグリコフォームを分離するFc受容体の担体として使用し得る任意の物質を意味する。
本明細書に用いられる、例えば、Fc受容体結合部分のグリコフォームとのFc受容体相互作用を表す「優先して結合する」は、受容体が一方のグリコフォームに他方のグリコフォームに結合するよりも容易に結合する(例えば、所定のポリペプチドの一方のグリコフォームに同じポリペプチドの他方のグリコフォームよりも結合する)ことを意味する。所定のグリコフォームに「優先して結合する」受容体は、そのような受容体がその他のグリコフォームに結合し得るとしても、他のグリコフォームよりもそのグリコフォームに結合する可能性が高い。例えば、ポリペプチドの第1のグリコフォームを、ポリペプチドの第2のグリコフォームに結合する親和性より少なくとも50%、100%、2倍、5倍、10倍、20倍、30倍、40倍、又は50倍である親和性で結合する場合に受容体はグリコフォームに優先して結合するとみなされ得る。
用語「エピトープ」は、特定のB細胞及び/又はT細胞が反応する抗原又はハプテン上の部位を意味する。用語は、また、「抗原決定基」又は「抗原決定基部位」と同じ意味で用いられる。同じエピトープを認識する抗体は、一方の抗体が他方の抗体の標的抗原への結合を遮断する能力を示す簡単な免疫分析において確認され得る。
用語「核酸」は、DNA、RNA(例えば、mRNA、tRNA)、ヘテロ二本鎖及びポリペプチドをコード化することができる合成分子を包含し、当業者が天然に存在するヌクレオチド及びその主鎖を置換することができるものとして認識するPNAのようなすべての類似体及び主鎖置換基を含む。核酸は、一本鎖でも又は二本鎖でもよく、化学修飾であってもよい。用語「核酸」及び「ポリヌクレオチド」は、同じ意味で用いられる。遺伝コードが縮重することから、1つを超えるコドンが特定のアミノ酸をコードするために用いられてもよく、本組成物及び方法は特定のアミノ酸配列をコード化するヌクレオチド配列を包含する。
特に明記しない限り、核酸は、左から右に5′から3′の方向に書かれ; アミノ酸配列は、左から右に、それぞれアミノからカルボキシの方向に書かれる。
本明細書に用いられる用語「アミノ酸配列」は、用語「ポリペプチド」、「タンパク質」、及び「ペプチド」と同意語であり、同じ意味で用いられる。このようなアミノ酸配列が活性を示す場合、「酵素」と呼ばれてもよい。アミノ酸残基の通例の1-文字又は3-文字コードが本明細書に用いられる。
本明細書に用いられる「合成」分子は、生物体よりもむしろ試験管内化学又は酵素合成によって生産される。
本明細書に用いられる用語「発現」は、ポリペプチドが遺伝子の核酸配列に基づいて産生されるプロセスを意味する。プロセスには、転写及び翻訳双方が含まれる。
「遺伝子」は、ポリペプチド又はRNAをコードするDNAセグメントを意味する。
「単離された」ポリヌクレオチド又はポリペプチドは、自然環境において関連する材料を実質的に含まないものである。実質的に含まないは、これらの材料の少なくとも50%、有利には少なくとも70%、より有利には少なくとも80%、より有利には少なくとも90%さえも含まないを意味する。
「単離された」核酸分子は、分子が天然に見い出される生物体全体から分離している且つ不連続の核酸分子; 又は天然に通常は核酸分子と関連した配列の全体又は一部が欠けている核酸分子; 又は天然に存在したままの配列であるが、それとともに関連して異種配列を有する配列である。
「天然」タンパク質又はポリペプチドは、タンパク質が天然に存在する供給源から分離されたタンパク質又はポリペプチドを意味する。「組換え」ポリペプチドは、組換えDNA技術によって生産された; 例えば、望ましいポリペプチドをコードする外来性DNA構築物によって形質転換された細胞から生産されたポリペプチドを意味する。「合成」ポリペプチドには、化学合成だけでなく上記の合成抗原によって作製されたものが含まれる。
ある種の実施態様の詳細な説明
本発明の実施態様は、特に明記しない限り、当業者の能力の範囲内である、化学、分子生物学、微生物学、組換えDNA及び免疫学の従来の技術を使うことになる。このような技術は、文献において説明されている。例えば、J. Sambrook, E. F. Fritsch, and T. Maniatis, 1989, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition, Books 1-3, Cold Spring Harbor Laboratory Press; Ausubel, F. M. et al. (1995 and periodic supplements; Current Protocols in Molecular Biology, ch. 9, 13, and 16, John Wiley & Sons, New York, N.Y.); B. Roe, J. Crabtree, and A. Kahn, 1996, DNA Isolation and Sequencing: Essential Techniques, John Wiley & Sons; M. J. Gait (Editor), 1984, Oligonucleotide Synthesis: A Practical Approach, Irl Press; and, D. M. J. Lilley and J. E. Dahlberg, 1992, Methods of Enzymology: DNA Structure Part A: Synthesis and Physical Analysis of DNA Methods in Enzymology, Academic Pressを参照のこと。これらの一般テキストの各々は、本願明細書に援用されている。
分離のためのポリペプチド
本明細書に示された方法及び組成物は、ポリペプチドグリコフォームの分離のために使用し得る。分離され得るポリペプチドには、典型的には、Fc受容体結合部分(例えば、免疫グロブリンFc領域又はFc受容体に結合するその部分)が含まれる。一部の実施態様において、分離のためのポリペプチドには、抗体(例えば、モノクローナル、ポリクローナル、キメラ、ヒト化、又はヒト抗体)、Fc融合タンパク質、抗体-薬剤結合体、単一ドメイン抗体、小モジュラー免疫薬(SMIP)、マキシボディ、ミニボディ、細胞内抗体、scFv、IgG-scFv二重特異性抗体、又はFc含有ミニボディが含まれる。Fc受容体、Fc受容体結合ウイルスポリペプチドに結合する他のタイプのポリペプチドもまた、分離され得る。
種々の実施態様において、本明細書に示された方法及び組成物は、モノクローナル抗体標品におけるポリペプチドグリコフォームの分離のために用いられる。一部の実施態様において、治療的モノクローナル抗体が分離される。本開示が適用できる治療的ポリペプチドの1つの種類は、治療効力が、少なくとも部分的に、ADCC又はCDCの引き金を引く能力に依存すると考えられるポリペプチドである。一部の実施態様において、治療的ポリペプチドは、ヒトIgG抗体を含んでいる。一部の実施態様において、ヒトIgG抗体は、IgG1である。一部の実施態様において、ヒトIgG抗体は、IgG3である。一部の実施態様において、ヒトIgG抗体は、IgG4である。一部の実施態様において、ポリペプチドは、ヒト抗体、例えばヒトIgG抗体(例えば、IgG1、IgG3、又はIgG4抗体)のFc領域を含んでいる。一部の実施態様において、ポリペプチドは、がんを治療するために用いられるポリペプチド(例えば、抗体)である。
本明細書に示された方法の分離のためのポリペプチド(例えば、抗体)には、以下の標的分子の1つ以上に(これらの標的を結合するポリペプチドの例と)特異的に結合するポリペプチドが含まれる: アミロイド前駆体タンパク質の断片(例えば、米国特許第7625560号明細書を参照のこと; 例えば、バピネオズマブ); HER2/neu受容体(例えば、トラスツズマブ); CD20(例えば、リツキシマブ、オファツムマブ、アフツズマブ、トシツモマブ); B細胞活性化因子(BAFF)(例えば、ベリムマブ); TNFα(例えば、アダリムマブ、インフリキシマブ、エタナーセプト、ゴリムマブ); CD52(例えば、アレムツズマブ); CD25(例えば、バシリキシマブ、 ダクリズマブ); VEGF(例えば、ベバシズマブ); EGFR(例えば、セツキシマブ、パニツムマブ、ニモツズマブ); CD11a(例えば、エファリズマブ); CD33(例えば、ゲムツズマブ); CD3; α-4インテグリン(例えば、ナタリズマブ); IgE(例えば、オマリズマブ); GDF-8(例えば、米国特許出願公開第20040142382号明細書を参照のこと); IL-12R/IL-23R(p40)(例えば、ウステキヌマブ); B7(例えば、CTLA4-Ig、例えば、アバタセプト); 補体C5(例えば、エクリズマブ); 血小板GpIIb/IIIa(例えば、アブシキシマブ); ホスファチジルセリン(例えば、バビツキシマブ); 及びpF-RSV(パリビズマブ)。
本明細書に記載されている方法の分離のためのポリペプチドは、ポリペプチドを発現する組換え細胞系を培養することから誘導される馴化培地、ポリペプチド産生細胞の細胞抽出物、血清(例えば、免疫被検者の血清、感染因子にさらされた被検者の血清、感染因子に対する免疫を生じた被検者の血清(例えば、免疫付与か又は自然曝露による)、生来の被験者の血清、ヒト血清)、腹水液、ハイブリドーマ又はミエローマ上清、市販のポリペプチド標品(例えば、薬品)、及び他の供給源が挙げられるが、これらに限定されない、多くの供給源のいずれかに由来し得る。本開示の一実施態様において、様々なポリペプチド産生組換え細胞の細胞馴化培地から部分的に精製されたポリペプチドが分離される。
一部の実施態様において、分離のためのポリペプチド又は本明細書に記載された方法に従ってポリペプチドを分離するのに用いられるFc受容体は、組換え細胞の発現によって産生される。分離ためのポリペプチド又はFc受容体をコードするヌクレオチド配列は、ベクターに挿入され得る。用語「ベクター」は、当業者によって広く使われ且つ理解されており、本明細書に用いられる用語「ベクター」は当業者にその意味と一致して用いられている。例えば、用語「ベクター」は、当業者に一般に用いられており、一環境から他の環境へ核酸分子の移動を可能にするかもしくは容易にするか又は核酸分子の操作を可能にするか又は容易にする賦形剤を意味する。
例えば、「ベクター」は、レプリコン、例えばプラスミド、ファージ又はコスミドであり、結合したセグメントの複製をもたらすように他のDNAセグメントが結合され得る。「レプリコン」は、生体内でDNA複製の自律単位として機能する任意の遺伝因子(例えば、プラスミド、染色体、ウイルス)である; すなわち、それ自体の制御下で複製ができる。「複製起点」は、DNA合成に関与するDNA配列を意味する。「発現制御配列」は、他のDNA配列の転写及び翻訳を制御及び調節するDNA配列である。RNAポリメラーゼがmRNAにコード配列を転写するときにコード配列は「作用可能に結合」し且つ細胞内で転写及び翻訳制御配列の「制御下に」あり、次に、コード配列によってコードされたタンパク質に変換される。
一般に、挿入されたDNAフラグメントの効率の良い転写及び翻訳を容易にするプロモーター配列を含有する発現ベクターは、ホストと結合して用いられる。発現ベクターは、典型的には、複製起点、プロモーター(1つ以上)、ターミネーター(1つ以上)だけでなく、形質転換細胞において表現型を選択することのできる特異遺伝子を含有する。ポリヌクレオチドが、有利には、ベクターにおいて、ポリタンパク質断片をコードするときに、開始コドン(ATG)はリーディングフレームの5'に配置されて、停止コドンは3'に配置される。発現を制御する他の要素、例えば、タンパク質の分泌を可能にするエンハンサー配列、安定化配列又はシグナル配列が存在し得る。形質転換されたホストは、当該技術において既知の手段に従って発酵及び培養されて、最適の細胞発育を達成し得る。
本開示のポリペプチドの発現を可能にする任意のベクターは、本発明の実施態様に従って用いてもよい。ある種の実施態様において、本開示のポリペプチドは、試験管内で(例えば無細胞発現系を用いて)及び/又は試験管内で発育させた培養細胞内で用いてもよい。このような適用に対して、試験管内で及び/又は培養細胞内でポリペプチドの発現を可能にする任意のベクターが用いられてもよい。
DNA『コード配列』は適切な調節配列の制御下に配置されたときに生体内でポリペプチドに転写及び翻訳される二本鎖DNA配列である。コード配列の境界は、5'(アミン)末端で開始コドン及び3'(カルボキシル)末端で翻訳停止コドンによって決定される。コード配列としては、原核生物の配列、真核生物のmRNA由来のcDNA、真核生物(例えば、哺乳類)のDNA由来のゲノムDNA配列、及び合成DNA配列さえ挙げられ得るが、これらに限定されない。ポリアデニル化シグナル及び転写終了配列は、通常、暗号配列に3'からコード配列までに位置する。「cDNA」は、コピーDNA又は相補的DNAとして定義され、mRNA転写物由来の逆転写反応の産物である。
転写制御配列及び翻訳制御配列は、DNA調節配列、例えばプロモーター、エンハンサー、リボソーム結合部位、上流調節ドメイン、ポリアデニル化シグナル、ターミネーター等であり、ホスト細胞においてコード配列を発現させる。「シス要素」はヌクレオチド配列であり、「共通配列」又は「モチーフ」とも呼ばれ、特異遺伝子座の発現をアップレギュレーション又はダウンレギュレーションし得る他のタンパク質と相互に作用する。「シグナル配列」は、また、コード配列と含まれ得る。この配列はシグナルペプチド、N-末端からポリペプチドまでをコードし、ホスト細胞に伝達し且つ適切な細胞位置にポリペプチドを進める。シグナル配列は、原核生物及び真核細胞に固有の様々なタンパク質と関係していることがわかり得る。望ましい遺伝子が転写及び翻訳されることのできる限り、これらの制御配列のすべてが組換えベクターに必ずしも存在する必要があるとは限らない。
「プロモーター配列」は、細胞においてRNAポリメラーゼを結合し且つ下流の(3'方向)コード配列の転写を開始することのできるDNA調節領域である。プロモーター配列は、典型的には、転写開始部位によってその3'末端で結合され、上流に伸びて(5'方向)、バックグラウンドより上の検出可能なレベルで転写を開始するのに必要な塩基又は要素の最小数が含まれる。プロモーター配列の範囲内に、転写開始部位だけでなく、RNAポリメラーゼの結合に責任のあるタンパク質結合ドメイン(共通配列)がある。真核生物プロモーターは、しばしば「TATA」ボックス及び「CAT」ボックスを含有するが、必ずとは限らない。原核生物のプロモーターは、-10及び-35領域の共通配列に加えてシャイン・ダルガノ配列を含有する。
本明細書に用いられる用語「制限エンドヌクレアーゼ」及び「制限酵素」は、特定のヌクレオチド配列で又はその近傍で二本鎖DNAを切断する酵素を意味する。
「組換えDNA技術」は、通常は異なる生物体からのDNAの試験管内連結反応の結果として、2つの異種DNA分子を結合させるための技術を意味する。組換えDNA分子は、一般に、遺伝子工学の実験によって生産される。同義語には、「遺伝子スプライシング」、「分子クローニング」及び「遺伝子工学」が含まれる。これらの操作の産物は、「組換え体」又は「組換え分子」となる。
このようなDNAが細胞の内部に導入されたときに、細胞は外因性又は異種DNAで「形質転換」されるか又は「トランスフェクト」される。形質転換DNAは、細胞のゲノムに組み込まれる(共有結合される)ことになるか又は組み込まれることにならない。原核生物、酵母、及び哺乳類細胞においては、例えば、形質転換DNAはベクター又はプラスミドのようなエピソーム要素上に保持されることになる。真核細胞に関しては、安定して形質転換した細胞は、形質転換するDNAが染色体に組み込まれるので、染色体複製による娘細胞によって継承される。この安定性は、形質転換するDNAを含有する娘細胞の集団を含む細胞系又はクローンを決定する真核細胞の能力によって示される。「クローン」は、細胞分裂によって単一細胞又は祖先から誘導される細胞の集団である。「細胞系」は、多世代のために試験管内で安定な発育のできる一次細胞のクローンである。外因性DNAで形質転換されている生物体、例えば植物又は動物は、「トランスジェニック」と呼ばれる。
DNA構築物の「非相同」領域は、天然にはより大きな分子に関連して見られないより大きなDNA分子内の同一とみなし得るDNAセグメントであるである。従って、非相同領域が哺乳類遺伝子をコードするときに、遺伝子は、通常は、供給源の生物体のゲノムにおいて哺乳類ゲノムDNAの側面に位置しないDNAによって側面に位置する。他の例では、コード配列は、コード配列自体が天然には見られない構築物である(例えば、ゲノムコード配列がイントロンを含有するcDNA、又は未変性遺伝子とは異なるコドンを有する合成配列)。対立遺伝子変異又は天然に存在する突然変異事象は、本明細書に定義されるようにDNAの非相同領域を生じない。例えば、ポリヌクレオチドは、遺伝子工学技術によって異なる供給源から誘導されたプラスミド又はベクターの中に配置されてもよく、異種ポリヌクレオチドである。未変性コード配列から除去され且つ未変性配列以外のコード配列に作用可能に結合したプロモーターは、異種プロモーターである。
本明細書に用いられる遺伝子又はポリペプチドに適用される「断片」又は「部分」は、通常は、長さが少なくとも10 残基、より典型的には少なくとも20 残基、好ましくは少なくとも30(例えば、50) 残基であるが、全体の無傷配列より少ない。これらの遺伝子の断片は、当業者に既知の方法によって、例えば、天然に存在する又は組換え繊維又はフィブリチン遺伝子の制限消化によって、繊維又はフィブリチン遺伝子の所定の断片をコードするベクターを用いた組換えDNA技術によって、又は化学合成によって作成され得る。
様々な細胞は、組換えタンパク質を生産するために使用し得る。対象(例えば、モノクローナル抗体)のタンパク質を発現するために組換えDNAによって形質転換し得る任意の細胞は、本開示の方法において使用し得る。細胞は様々な種、例えば、植物、酵母、線虫、蠕虫、昆虫、両生類、又は哺乳類、例えば、ヒト、霊長類、ヒツジ、ウシ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、又は齧歯類の供給源が含まれる真核生物種に由来し得る。具体的な実施態様例において、細胞は、ヒト又は齧歯類に由来する。具体的な実施態様において、細胞は、ハムスター(例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞)に由来する。用い得る哺乳動物細胞の例としては、BALB/cマウス骨髄腫系(NSO/I, ECACC No: 85110503); SP2/0; Balb/c 3T3; ヒト網膜芽細胞腫(PER.C6 (CruCell, Leiden, The Netherlands)); SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1 系(COS-7, ATCC CRL 1651); ヒト胎児腎臓細胞(293 or 293 cells subcloned for growth in suspension culture, Graham et al., J. Gen Virol., 36:59 (1977)); 乳児ハムスター腎臓細胞(BHK, ATCC CCL 10);チャイニーズハムスター卵巣細胞+/-DHFR (CHO, Urlaub and Chasin, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77:4216 (1980); GS-CHO, CHO-K1, CHO-K1SV, CHO-DG44, CHO-DUKX, CHO-DUXB11, CHO-S); マウスセルトリ細胞(TM4, Mather, Biol. Reprod., 23:243-251 (1980));ネズミ融合細胞腫YB2/0 (Shinkawa et al., J. Biol. Chem. 278:3466-3473, 2003); サル腎臓細胞(CV1 ATCC CCL 70); アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76, ATCC CRL-1 587); ヒト子宮頸がん細胞(HeLa, ATCC CCL 2); イヌ腎臓細胞(MDCK, ATCC CCL 34); バッファローラット肝細胞(BRL 3A, ATCC CRL 1442); ヒト肺細胞(W138, ATCC CCL 75); ヒト肝細胞(Hep G2, HB 8065); マウス乳腺腫瘍(MMT 060562, ATCC CCL51); TRI細胞(Mather et al., Annals N.Y. Acad. Sci., 383:44-68 (1982)); MRC 5細胞; FS4細胞; 及びヒト肝がん系(Hep G2)が挙げられる。多くの適切な細胞株は、アメリカタイプカルチュアコレクション(ATCC)、Manassas、Va.のような寄託所から入手し得る。用い得る植物細胞の例としては、レムナ・ミノル(Lemna minor)(ダックウィード)、アラビドプシス・タリアナ(Arabidopsis thalania)、及びフィスコミトレラ・パテンス(Physcomitrella patens)(モス)細胞が挙げられる。用い得る昆虫細胞の例としては、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(Sf9及びSf21)、トリコプルシア・ニ(Trichoplusia ni)(Tni及びBTI-Tn 5B1-4)、及びマメストラ・ブラッシカエ(Mamestra brassicae)(Mb)細胞が挙げられる。有効な真菌細胞としては、ピチア・パストリス(Pichia pastoris)及びサッカロミセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)細胞が挙げられる。
本明細書に記載されている方法は、特殊化したホスト細胞の選択又は非定型条件又は予備的工程の使用を必要とせずに、グリコフォーム発現の任意のパターンを有する最初の標品からポリペプチドグリコフォームの選択及び濃縮を可能にし得る。しかしながら、時には、例えば、望ましいグリコフォームの発現を増加させ及び/又は不必要なグリコフォームの発現を減少させるように、グリコフォームの発現が変えられる標品の分離に方法をあてはめることは有益であり得る。対象のグリコフォームの濃縮を支持する条件と分離モードの組み合わせは、より高いレベルの純度で又は以前にはあり得る工程よりもより少ない工程でグリコフォームの分離を可能にし得る。一部の実施態様において、グリコフォーム発現は、グリコシル化経路に関与する酵素の発現の増減を有するようにホスト細胞の遺伝子操作によって変えられる(例えば、炭水化物部分の添加又は除去を触媒する酵素)。このような修飾には、グリコシルトランスフェラーゼ、例えば、α-1,6-フコシルトランスフェラーゼ、又はグリコシダーゼをコードする遺伝子の導入、欠失及び/又はノックダウンが含まれ得る。FUT8遺伝子の破壊によってα-1,6-フコシルトランスフェラーゼの発現がない細胞は、例えば、Yamani-Ohnuki et al., Biotechnol. Bioeng. 87(5):614-622, 2004及び国際公開第2009/009086号パンフレットに記載されている。フコシル化が低下したポリペプチドを生産する細胞変異体が記載されている(例えば、CHO Lec13 cells, Shields et al., J. Biol. Chem. 277(30):26733-26740, 2002; and CHO Ms704, Kanda et al. Biotech. Bioeng. 94(4):680-688, 2006)。
下等真核生物(例えば、真菌細胞)は、哺乳類細胞の複雑なグリコシル化特性を有するポリペプチドを生産するために操作され得る。例えば、Hamilton et al., Science 313:1441-1443, 2006を参照のこと、これには末端シアル化複合糖タンパク質を生産するために操作されたピチア・パストリスが記載されている。また、国際公開第2002/000879号パンフレット、同第2004/074458号パンフレット、同第2004/074499号パンフレット、同第2004/074498号パンフレット及び同第2005/100584号パンフレットを参照のこと。植物細胞(例えば、レムナ・ミノル、又はコケは、望ましいグリコフォームを有する、例えば、植物のようなグリコシル化がない)ポリペプチドを生産するために操作され得る(例えば、Cox et al., Nat. Biotech. 24:1591-1597, 2006 and Nechansky et al., Mol. Immunol. 44:1815-1817, 2007を参照のこと)。
一部の実施態様において、ポリペプチドは、グリコシル化を変える条件下で細胞において生産される。例えば、細胞培地中に10 - 600nMマンガンを含めることにより、より広範囲なグリコシル化パターンが生じる(米国特許出願公開第2008/0081356号明細書)。一部の実施態様において、ポリペプチドは、グリコシル化をモジュレートする薬剤の存在下に細胞において生産される。例えば、一部の実施態様において、炭水化物修飾酵素のインヒビター又はアゴニストが用いられる。一部の実施態様において、インヒビターは、核酸アンタゴニスト(例えば、siRNA)である。ポリペプチドのグリコシル化は、例えば、グリコシルトランスフェラーゼ又はグリコシダーゼで処理することによって、試験管内で(例えば、細胞外で)酵素的に変わり得る。
結合する培地
Fc受容体
本開示に従って使用し得るFc受容体には、1つ以上のポリペプチドグリコフォームに優先して結合する受容体が含まれる。1つ以上のポリペプチドグリコフォームに優先して結合する受容体は、ポリペプチドの他のグリコフォームに結合する親和性より少なくとも50%、100%、2倍(例えば、5、10、20、30、40、50、75、100、150、又は200倍)高い親和性で結合する。一部の実施態様において、Fc受容体は、フコースがない又は低レベルのフコースを有するグリコフォームに優先して結合する(例えば、低レベル又はコアN-フコシル化の存在しないグリコフォーム; 例えば、一方又は双方の重鎖上にフコースがない抗体グリコフォーム)。例えば、Fc受容体には、FcガンマRIIIポリペプチド(例えば、FcガンマRIIIaポリペプチド、又はFcガンマRIIIbポリペプチド)の細胞外部分が含まれ得る。一部の実施態様において、Fc受容体は、低シアル酸を有するグリコフォームを優先して結合する。一部の実施態様において、Fc受容体は、高マンノースを含有するグリコフォームを優先して結合する。一部の実施態様において、Fc受容体は、ガラクトシル化グリコフォームを優先して結合する。
ある種の更なる実施態様において、本開示に従って用いられるFc受容体には、フコースがない又は低レベルのフコースを有するポリペプチドグリコフォーム(例えば、低レベルのコアN-フコシル化又はそれが存在しないグリコフォーム; 例えば、一方または又は双方の重鎖上にフコースがない抗体グリコフォーム)にポリペプチドのフコシル化された形のFc受容体のKDより1/3、1/4、1/5、1/6、1/7、1/8、1/9、又は1/10であるKDで結合するFc受容体が含まれる。本発明の一部の実施態様に用いられる適切なFc受容体のこのような結合能の実施例として、例えば、Herbst, R et al. J. Pharmacol. Exp. Ther. 335(1):213-222 (2010) and Shibata-Koyama, M et al. Exp. Hematol. 37:309-321 (2007)を参照のこと。
従って、驚くべきことに、ある種のグリコフォームポリペプチド、例えば低フコシル化ポリペプチドに、他のグリコフォームよりわずか約5〜10倍のKoff速度で結合するFc受容体が、グリコフォームポリペプチドを精製する、例えば、異なるグリコフォームポリペプチドの混合物由来の低フコシル化ポリペプチドを精製する親和性精製法において使用し得ることが出願人によって見出された。具体的な実施態様において、FcガンマRIIIaのようなFc受容体は、例えば、Fc受容体への低フコシル化抗体の結合を含むアフィニティークロマトグラフィによって、抗体の親和性精製にそれ自体必ずしも向かないFc受容体の低フコシル化抗体のKoff速度を含む低フコシル化抗体の形の結合親和性を有する。これらの実施態様において、低フコシル化ポリペプチドは、例えば、PBS緩衝液による洗浄の間、典型的には、離れ落ちないようにFc受容体に結合したままであるが、より厳しい条件、例えば、pH勾配にさらされるときには離れるであろう。驚くべきことに本発明の一部の実施態様に従ってアフィニティークロマトグラフィによる精製に適しているFc受容体のKoff速度及びグリコフォーム抗体結合の例としては、Li, P et al. J. Biol. Chem. 282(9):6210-6221 (2007)を参照のこと。
FcガンマRIIIa(CD16a又はFCGR3Aタンパク質としても知られる)は、タンパク質分解切断によって生産される膜タンパク質と可溶性受容体として双方天然に発現されるタイプI膜蛋白質である。全長FcガンマRIIIaは、その細胞外領域において2つのIg様C2型ドメインを有する。FcガンマRIIIaは、IgGのFc領域に結合する。ヒトFcガンマRIIIポリペプチドとヒトIgG1 Fcドメインポリペプチドとの構造的関連に特徴を有する(Sondermann et al., Nature 406:267-273, 2000)。FcガンマRIIIaは、複合体の、凝集した且つモノマーのIgGを結合する。FcガンマRIIIaは、抗体依存性細胞毒性及び他の抗体依存性反応、例えば食作用を仲介する。IgG1からフコースの減少は、FcガンマRIIIaの親和性を増加し、ADCCを引き起こす能力を増強する(Okazaki et al., J. Mol. Biol. 336:1239-1249, 2004)。1つの研究において、BIAcoreTMバイオセンサーを用いて測定した場合、IgG1はKa = 1.87×106M-1でFcガンマRIIIa(V176アロタイプ)に結合し、IgG1の脱フコシル化された形はKa = 58.3×106M-1で結合した。増加したFcガンマRIIIa親和性及びADCCは、脱フコシル化されたIgG2、IgG3及びIgG4にも認められている(Jefferis, Trends Pharm. Sci. 30(7):356-362, 2009)。FcガンマRIIIaのオリゴ糖構造は、脱フコシル化された抗体への結合増強に関与する。
全長ヒトFcガンマRIIIaポリペプチドの提示的なアミノ酸配列は、配列番号1に示される(Acc. No. P08637 of UniProt, on the world wide web at uniprot.org/uniprot/P08637も参照のこと)。シグナルペプチドは、約アミノ酸1-16である。細胞外ドメインは、アミノ酸17-208である。Ig様ドメインは、アミノ酸24-105と107-189に見られる。残基230-254は、細胞質である。N-結合グリコシル化は、残基56、63、92、180、及び187に存在し得る。位置180のオリゴ糖が除去されるときに、受容体はフコシル化及び低フコシル化IgG Fcに対して同じ親和性を有する(上記、Jefferis, Nat. Rev. Drug. Disc. 8:226-234, 2009; Shibata-Koyama)。FcガンマRIIIaの位置63のグリコシル化のみを除去すると、低フコシル化されたIgGに対する親和性が増加する。位置180以外のすべてのグリコシル化を除去すると、低フコシル化されたIgGに対する親和性が増加する(上記、Shibata-Koyama)。位置180及び63以外のすべてのグリコシル化を除去すると、野生型FcガンマRIIIaより高いが、位置180でのみグリコシル化との親和性より低い低フコシル化されたIgGに対する親和性が生じる(上記、Shibata-Koyama)。
表1. 例示的な全長FcガンマRIIIaアミノ酸配列

Figure 2014527518
FcガンマRIIIaの翻訳後修飾には、高マンノース及び複合オリゴ糖(例えば、配列番号1の残基56、63、92、180、及び187に)が含まれる。FcガンマRIIIaは、多形である。天然アミノ酸アロタイプの例としては、配列番号1において以下のアミノ酸変化を有するポリペプチドが挙げられる: L66H、L66R、G147D、Y158H、F176V及びF203S。位置176にバリンを有するアロタイプは、フェニルアラニンを有するアロタイプより強くIgG1、IgG3及びIgG4に結合する(Koene et al., Blood 90(3):1109-1114, 1997; Wu et al., J. Clin. Inv. 100(5):1059-1070, 1997)。IgG1は、FcガンマRIIIa F176を持った細胞よりFcガンマRIIIa V176を持った細胞によるADCCの仲介に効率的である(Jeffries et al. Exp. Opin. Biol. Ther. 7(9):1401-1413, 2007)。
ヒトFcガンマRIIIaのオルソログは、例えば、P.トログロディテス(troglodytes) (GenBank. Acc. No. XP_001174052.1を参照のこと)、M.ムラッタ(mulatta) (GenBank. Acc. No. NP_001041713.1を参照のこと)、M.ファシクラリス(fascicularis) (GenBank Acc. No. NP_001106117.1を参照のこと)、P.アヌビス(anubis) (GenBank. Acc. No. NP_001106117.1を参照のこと)、M.ムスクルス(musculus)(GenBank Acc. No.NP_653142.1を参照のこと)、R.ノルベギクス(norvegicus)(GenBank Acc. No. NP_997486.1を参照のこと)、B.タウルス(Taurus)(GenBank Acc. No. NP_001070870.1を参照のこと)、C.ルプス(lupus)(GenBank Acc. No. XP_536141.2を参照のこと)、セルコセブス・トルクアトゥス・アティス(Cercocebus torquatus atys)(レッドクラウンドマンガベイ) (スーティーマンガベイ)(GenBank Acc. No. DQ423376 mRNA. Translation: ABD83656.1を参照のこと)、パピオ・アヌビス(Papio anubis)(オリーブバブーン)(GenBank Acc. No. DQ423378 mRNA Translation: ABD83658.1を参照のこと)、及び他の種において確認されている。
本明細書に記載されている培地に用いられるFc受容体には、Fc含有ポリペプチドのグリコフォームに結合する能力を保持するFcガンマRIIIaポリペプチドの細胞外部分が含まれ得る。例えば、Fc受容体は、配列番号1に示される配列の細胞外ドメインに少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%同一の配列、又はその一部(例えば、配列番号1のアミノ酸21-209、アミノ酸17-208、アミノ酸21-192、アミノ酸21-169、又はアミノ酸106 - 169を含む部分)に少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%同一の配列を有し得る。種々の実施態様において、Fc受容体は、少なくとも1つのアミノ酸位置で15を超えないアミノ酸位置にFcガンマRIIIa配列のこれらの部分の1つと異なる配列を有する(例えば、配列は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15アミノ酸位置で配列番号1のアミノ酸21-209と異なる)。種々の実施態様において、Fc受容体は、配列番号1においてN180に対応する部位でグリコシル化される。種々の実施態様において、Fc受容体は、配列番号1のN63に対応する部位にグリコシル化がない(例えば、アスパラギン残基の置換のため)。種々の実施態様において、Fc受容体は配列番号1のアミノ酸21-192を含み、F176はV176に変えられている。種々の実施態様において、Fc受容体は配列番号1のアミノ酸21-192を含み、N63は他のアミノ酸と置換されている(例えば、グルタミン、アスパラギン酸、又はグルタミン酸に)。
FcガンマRIIIb(CD16b又はFCGR3Bタンパク質としても知られる)は、配列類似性をFcガンマRIIIaと共有する糖タンパク質である。全長FcガンマRIIIbは、その細胞外領域において2つのIg様C2型ドメインを有する。FcガンマRIIIbは、タンパク質分解切断によって放出されたGPI固定形及び分泌形として天然に発現される。フコシル化は、FcガンマRIIIbに対する一部の抗体の親和性を減少させる(Bruhns et al., Blood 113(16): 3716-3725, 2008)。
全長ヒトFcガンマRIIIbポリペプチドの例示的なアミノ酸配列は、配列番号2に示される(UniProtのAcc. No. O75015, ワールドワイドウェブでのuniprot.org/uniprot/O75015も参照のこと)。シグナルペプチドは、約アミノ酸1-16である。細胞外ドメインは、アミノ酸17-200である。Ig様ドメインは、アミノ酸40-96と121-179に見られる。アミノ酸201-233は、成熟形態で取り出され得る。N結合グリコシル化は、残基56、63、82、92、180、及び187に存在し得る。脂質化は、アミノ酸200に存在し得る。
表2. 例示的な全長FcガンマRIIIbアミノ酸配列

Figure 2014527518
天然アミノ酸アロタイプの例としては、配列番号2に以下のアミノ酸変化を有するポリペプチドが挙げられる: S36R、S65N、A78D、N82D、I106V。他のFcガンマRIIIbアロタイプには、NA1及びNA2が含まれる。
本明細書に記載されている培地に用いられるFc受容体には、Fc含有ポリペプチドのグリコフォームに結合する能力を保持するFcガンマRIIIaポリペプチドの細胞外部分が含まれ得る。例えば、Fc受容体は、配列番号2に示される配列の細胞外ドメインに少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%同一の配列、又はその一部(例えば、配列番号2のアミノ酸21-208、アミノ酸20-192、アミノ酸21-169、又はアミノ酸106 - 169を含む部分)に少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%同一の配列を有し得る。種々の実施態様において、Fc受容体は、少なくとも1つのアミノ酸位置で15を超えないアミノ酸位置にFcガンマRIIIa配列のこれらの部分の1つと異なる配列を有する(例えば、配列は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15アミノ酸位置で配列番号2のアミノ酸20-208と異なる)。種々の実施態様において、Fc受容体は、配列番号1においてN180に対応する部位でグリコシル化されている。種々の実施態様において、Fc受容体は、配列番号2のN180に対応する部位でグリコシル化されている。種々の実施態様において、Fc受容体は、配列番号2のN63に対応する部位にグリコシル化がない(例えば、アスパラギン残基の置換のため)。種々の実施態様において、Fc受容体は配列番号2のアミノ酸21-192を含んでいる。種々の実施態様において、Fc受容体は配列番号2のアミノ酸20-192を含み、N63は他のアミノ酸と置換されている(例えば、グルタミン、アスパラギン酸、又はグルタミン酸に)。
FcガンマRIVは、本発明の一部の実施態様において使用に適している他のFc受容体であり、the review article, Nimmerjahn, F and Ravetch, JV Immunity 24:19-28 (2006)に記載されている。FcガンマRIVタンパク質配列の例としては、マウス(受託番号、Q8R2R4)、ラット(受託番号、Q6XPU4)、及びマカク(受託番号、Q8SPW2)に対するものが挙げられる。Nimmerjahn & Ravetchに記載されているように、FcガンマRIVは、その表面発現のためにガンマ鎖を必要とする。FcガンマRIVは、好中球、単球、マクロファージ、及び樹枝状細胞に上で高度に発現される。FcガンマRIVは、LPSのような炎症性刺激及びIFN-ガンマのようなTH-1サイトカインによってアップレギュレートされ、IL-4やIL-10又はTGF-βのようなTH-2サイトカインによってダウンレギュレートされ得る。Nimmerjahn, F and Ravetch, JV Immunity 24:19-28 (2006)を参照のこと。マウスFcガンマRIVは、低フコシル化IgGに対するKDがフコシル化抗体に対するKDの約1/10倍であるという点でヒトFcガンマRIIIAと同様の親和性を有する。Herbst, R et al. J. Pharmacol. Exp. Ther. 335(1):213-222 (2010)を参照のこと。従って、FcRIV受容体は、本発明の一部の実施態様の方法に従って親和性リガンドとして用いられる場合に低フコシル化種の濃縮に適切なFc受容体の一例である。
本明細書の方法に用いられるFc受容体は、Fcに結合する能力及び、グリコフォームに優先して結合する能力を保持する形で受容体を産生する哺乳類細胞又は他のタイプの細胞(例えば、酵母細胞又は昆虫細胞のような真核細胞; 上記のタンパク質の生産のための例示的なホスト細胞を参照のこと)において発現され得る。ある種の実施態様において、Fc受容体は、原核細胞、例えば細菌性細胞、例えばE.コリ(coli)において産生される。Fc受容体がE.コリのような原核細胞において産生される実施態様において、Fc受容体はFcに結合する能力及びグリコフォームを優先して結合する能力を保持するように修飾されてもよいが、Fc受容体自体はグリコシル化されない。Fc受容体は、また、商業的な供給源、例えばR&D Systems(Minneapolis、MN)及びSino Biologicals社(Beijing、China)から入手し得る。Fc受容体は、精製及び/又は培地へのカップリングを容易にする部分で発現及び/又は変更され得る。一部の実施態様において、受容体は、ペプチドタグ、例えば、ポリヒスチジンタグ又はHAタグを有する。一部の実施態様において、受容体は、カップリングを容易にするために末端に1つ以上のアミノ酸残基を有する。一部の実施態様において、受容体は、カップリングを仲介する酵素のための認識モチーフ、例えばスタフィロコッカス・ソルターゼ(Staphylococcal Sortase)Aによって認識されるLPXTG(配列番号3)モチーフ)を有する。一部の実施態様において、末端(例えば、N末端)には、リシン又はシステインが含まれる。Fc受容体から末端残基を分離するアミノ酸リンカーが含まれ得る。リンカーは、例えば、1-20のアミノ酸長、例えば、1、2、3、5、7、9、10、12、15、または20アミノ酸長であり得る。種々の実施態様において、リンカーには、必要によりセリン残基の次に、又は前に3、4、又は、5つの隣接するグリシン残基が含まれる。
受容体には、そのN末端にKGGG(配列番号4)又はCGGG(配列番号5)のモチーフが含まれてもよい。
一実施例において、Fc受容体には、以下のアミノ酸配列が含まれる:

Figure 2014527518

他の例では、Fc受容体は、以下のアミノ酸配列を含む:

Figure 2014527518

本開示の方法及び組成物は、指定される配列、又はそれに実質的に同一又は同様の配列、例えば、指定される配列に少なくとも85%、90%、95%同一である配列を有するポリペプチド及び核酸を包含する。アミノ酸配列に関連して、本明細書に用いられる用語「実質的に同一である」は、第1及び第2のアミノ酸配列が共通の構造ドメイン及び/又は共通の機能活性を有し得るような第2のアミノ酸にi)同一であるか、又はii)第2のアミノ酸配列中の整列したアミノ酸残基が同類置換している充分数又は最小数のアミノ酸残基を含有する第1のアミノ酸を意味する。指定される配列に少なくとも約85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%が同一である共通の構造ドメインを含有するアミノ酸配列は、実質的に同一であると言われる。
ヌクレオチド配列に関連して、本明細書に用いられる用語「実質的に同一である」は、第1及び第2のヌクレオチド配列が共通の機能活性を有するポリペプチドをコードするか、又は共通の構造ポリペプチドドメイン又は共通のポリペプチド機能活性をコードするような第2の核酸配列において整列したヌクレオチドと同一である充分数又は最小数のヌクレオチドを含有する第1の核酸配列を意味する。指定される配列に少なくとも約85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%が同一であるヌクレオチド配列は、実質的に同一であると言われる。
配列間の相同性又は配列同一性(用語は本明細書において同じ意味で用いられる)の算出は、以下の通りに行われる。
2つのアミノ酸配列、又は2つの核酸配列の同一パーセントを定量するために、配列を最適比較のために整列させる(例えば、最適アラインメントのために第1のアミノ酸と第2のアミノ酸の一方又は両方又は核酸配列にギャップを導入してもよく、非相同配列は比較のために無視してもよい)。好ましい実施態様において、比較のために整列させた参照配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、60%、及び更により好ましくは少なくとも70%、80%、90%、100%である。次に、対応するアミノ酸位置又はヌクレオチド位置のアミノ酸残基又はヌクレオチドが比較される。第1の配列の位置が第2の配列の対応する位置と同じアミノ酸残基又はヌクレオチドによって占められる場合には、分子はその位置で同一である(本明細書に用いられるアミノ酸又は核酸「同一性」は、アミノ酸又は核酸「相同性」と等価である)。
2つの配列間の同一パーセントは、2つの配列の最適アラインメントのために導入されることを必要とする、各ギャップの数、及び各ギャップの長さを考慮する、配列によって共有される同一位置の数の関数である。
配列の比較及び2つの配列間の同一パーセント性の決定は、数学アルゴリズムを用いて達成され得る。好ましい実施態様において、2つのアミノ酸配列間の同一性パーセントは、Blossum 62マトリックス又はPAM250マトリックス、及び16、14、12、10、8、6、又は4のギャップ荷重及び1、2、3、4、5、又は6の長さ荷重を用いて、GCGソフトウェアパッケージのGAPプログラム(http://www.gcg.comで入手できる)に組み込まれているNeedleman & Wunsch ((1970) J. Mol. Biol. 48:444-453 )アルゴリズムを用いて求められる。更に他の好ましい実施態様において、2つのヌクレオチド配列間の同一性パーセントは、NWSgapdna.CMPマトリックス及び40、50、60、70、又は80のギャップ荷重及び1、2、3、4、5、又は6の長さ荷重のファミリーメンバー又は関連配列を用いて、GCGソフトウェアパッケージのGAPプログラム(http://www.gcg.comで入手できる)を用いて求められる。特に好ましいパラメータのセット(及び特に明記しない限り用いなければならないもの)は、12のギャップペナルティ、4のギャップ伸張ペナルティ、及び5のフレームシフトギャップペナルティを有するBlossum 62スコア行列である。
2つのアミノ酸又はヌクレオチド配列間の同一性パーセントは、PAM120荷重残基表、12のギャップ長ペナルティ及び4のギャップペナルティを用いて、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれているE. Meyers & W. Miller ((1989) CABIOS, 4:11-17)のアルゴリズムを用いて求められ得る。
本明細書において記載されている核酸及びタンパク質配列は、例えば、他のファミリーメンバー又は関連配列を同定するために公共データベースに対して検索を行う「問い合わせ配列」として使用し得る。このような検索は、Altschul, et al. (1990) J. Mol. Biol. 215:403-10のNBLAST及びXBLASTプログラム(バージョン2.0)を用いて行われ得る。BLASTヌクレオチド検索は、本発明の一部の実施態様の核酸分子に相同のヌクレオチド配列を得るために、NBLASTプログラム、スコア= 100、ワード長 = 12によって行われ得る。タンパク質が検索するBLASTは、本発明の一部の実施態様のタンパク質分子に相同のアミノ酸配列を得るために、XBLASTプログラム、スコア= 50、ワード長 = 3によって行われ得る。比較のためにギャップがある配列を得るために、Gapped BLASTギャップは、Altschul et al., (1997) Nucleic Acids Res. 25:3389-3402に記載されているように用い得る。BLAST及びBLASTギャッププログラムを用いるときに、それぞれのプログラム(例えば、XBLASTやNBLAST)のデフォルトパラメータが使用し得る。http://www.ncbi.nlm.nih.gov.を参照のこと。
本明細書に記載されている配列の天然対立遺伝子変異体、相同物、オルソログ、又は他の関連配列(例えば、パラログ)に対応する核酸分子は、例えば、プローブとして全部又は一部の既知の配列を用いて標準的な又はストリンジェンなトハイブリダイゼーション反応を行うことによって、本明細書に開示されたアミノ酸配列をコードする核酸に対する相同性に基づいて分離され得る。核酸ハイブリダイゼーション及びクローニングのためのこのような方法は、当該技術において周知である。
本明細書に示されたペプチドの相同物は、典型的には、このようなペプチドとの構造類似性がある。ポリペプチドの相同物には、アミノ酸が属する種類の同じか又は異なる部分より選ばれ得る、1つ以上のアミノ酸同類置換が含まれる。
一実施態様において、配列は、また、サイレント変化を生じ且つ機能的に等価な物質をもたらすアミノ酸残基の欠失、挿入又は置換を有し得る。物質の二次結合活性が保持される限り、慎重なアミノ酸置換は、残基の極性、充電、溶解性、疎水性、親水性、及び/又は両親媒性に基づいて行われ得る。例えば、負に荷電したアミノ酸には、アスパラギン酸及びグルタミン酸が含まれ; 正に荷電したアミノ酸には、リシン及びアルギニンが含まれ; 同様の親水性値を有する荷電されていない極性頭部基を有するアミノ酸には、ロイシン、イソロイシン、バリン、グリシン、アラニン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、フェニルアラニン、及びチロシンが含まれる。
本発明の一部の実施態様は、また、塩基性には塩基性、酸性には酸性、極性には極性等のような、例えば、同種置換を生じ得る同類置換を包含する(置換及び交換双方が、既存のアミノ酸残基と別の残基との交換を意味するように本明細書に用いられる)。一方の種類の残基から他の種類の残基に或いはオルニチン(以下Zと記載する)、ジアミノ酪酸オルニチン(以下Bと記載する)、ノルロイシンオルニチン(以下Oと記載する)、ピリジルアラニン、チエニルアラニン、ナフチルアラニン、フェニルグリシンのような非天然アミノ酸の包含を必要とする非同類置換もまた生じ得る。行われ得る同類置換は、例えば、塩基性アミノ酸(アルギニン、リジン及びヒスチジン)、酸性アミノ酸(グルタミン酸及びアスパラギン酸)、脂肪族アミノ酸(アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン)、極性アミノ酸(グルタミン、アスパラギン、セリン、トレオニン)、芳香族アミノ酸(フェニルアラニン、トリプトファン及びチロシン)、ヒドロキシルアミノ酸(セリン、トレオニン)、大型アミノ酸(フェニルアラニン及びトリプトファン)及び小型アミノ酸(グリシン、アラニン)の群の範囲内である。
Fc受容体産生培地
Fc受容体は、様々な技術のいずれかによって、培地(例えば、固体担体)にカップリングされ得る。一部の実施態様において、受容体は1つ以上の共有結合によって培地にカップリングされ、例えば、受容体又は培地上で官能基の反応によって形成される。官能基の例としては、ヒドロキシル基、アミン基、チオール基、チオプロピル基、カルボニル基、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル、エポキシド(例えば、エピクロロヒドリン)、カルボニルジイミダゾール(CDI)活性化エステル、シアン(臭化シアン(CNBr))、N,N-ジスクシニミジルカーボネート(DSC)、又はアルデヒドが挙げられる。一部の実施態様において、Fc受容体は、ジスルフィド結合を介してカップリングされる。一部の実施態様において、Fc受容体は、金属キレート化を用いて培地にカップリングされる。一部の実施態様において、Fc受容体は、ヒスチジンタグを用いてカップリングされる。カップリングに有効な他の化合物には、塩化トシル、塩化トレシル、ECH結合(例えば、ECH-リジンセファロース(登録商標)4 Fast Flow、GE Healthcareを用いる)又はEAH結合(例えば、EAH-セファロース(登録商標) 4B、GE Healthcareを用いる)が含まれる。ある種の実施態様において、Fc受容体は、培地(例えば、固体担体)にそのC末端を介してカップリングされる。ある種の実施態様において、Fc受容体は、培地(例えば、固体担体)にそのN末端を介してカップリングされる。
受容体は、培地に直接カップリングされ得るか又はリンカーを介して間接的にカップリングされ得る。様々なリンカーのいずれもが培地を受容体にカップリングするのに適している。一部の実施態様において、リンカーには、炭素原子、酸素原子及び窒素原子の鎖、例えば、直鎖、分枝鎖、又は環状鎖、例えば、炭素原子1-30個を有する。
ポリペプチドを培地へカップリングする方法は、例えば、国際公開第90/09237号パンフレット; Hermanson et al., Immobilized Affinity Ligand Techniques, Academic Press, 1992; 米国特許第5,260,373号明細書; 同第5,874,165号明細書; 同第3,932,557号明細書; 同第4,772,635号明細書; 同第4,210,723号明細書; 同第5,250,613号明細書; 同第5,543,054号明細書; 同第6,399,750号明細書; 欧州特許出願公開第1352957 A1号明細書、国際公開第2004/074471号パンフレットに記載されている。
一部の実施態様において、受容体は、官能基、例えばCNBr又はNHS、及び必要によりリンカーを有するアガロースを含む培地にカップリングされる。一部の実施態様において、受容体は、NHS活性化セファロース(商標登録) 4 Fast Flowに第一級アミノ基を介してカップリングされる。一例示的方法において、受容体は、NHS活性化セファロース(商標登録) 4 Fast Flowを1mM HClで洗浄し、培地と受容体とを混合し、カップリングを起こさせ(例えば、室温で1-4時間インキュベートすることによって)、培地を100mMトリスで洗浄して、非反応基を冷却することによってカップリングされる。
酵素仲介カップリングは、受容体を培地に結合するために使用し得る(例えば、Chan et al., PLoS ONE 2(11):e1164, 2007を参照のこと)。例えば、受容体は、トランスペプチダーゼ、例えばスタフィロコッカス・ソルターゼAのための認識モチーフが含まれるように設計され得る。ソルターゼAによるLPXTGモチーフの認識及び切断は、利用できるグリシン又はアミノメチレンと反応性であるアシル酵素中間体を作成する。認識のモチーフを有する受容体がソルターゼAによって切断される場合には、それは反応部位を有する培地に結合される。一例において、1、2、3、又は4つのグリシン残基が含まれるように修飾されたビーズが、ソルターゼA仲介結合によってC末端LPXTGモチーフを有する受容体に結合される。
好適なタイプの培地には、ビーズ、膜、マトリックス、多孔質媒体、ゲル、プレート、カラム、及びモノリスが含まれる。培地は、アガロース、セルロース、又はデキストラン、セラミック、金属、ガラス、ナイロン、テフロン(登録商標)、ナイロン、ポリカーボネート、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスルホン、ポリエステル、ポリフッ化ビニリデン、フルオロカーボン、例えばポリ(テトラフルオロエチレン-コ-ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル))、ポリエチレン、ポリアクリレート、又はポリ(アゾラクトン)のような材料から構成され得る。
Fc受容体培地は、Fc含有ポリペプチドに結合するのに充分であるFc受容体の濃度に結合する。一部の実施態様において、培地は、0.01 - 15mg/mlのFc受容体(例えば、0.1 - 15mg/ml又は1-15mg/ml)を有する。一部の実施態様において、培地は、2-10mg/ml(例えば、3 - 7.5mg/ml)Fc受容体を有する。
分離法
ポリペプチドグリコフォームを分離するために、ポリペプチドが培地に結合する条件下で負荷流体と本明細書に記載されているFc受容体培地とを接触させる。培地を必要により洗浄し、培地に結合したポリペプチドを溶出する溶液と接触させる。一部の実施態様において、培地から溶出するポリペプチドが回収される。一部の実施態様において、培地(例えば、培地によって結合されないポリペプチド)を通過するポリペプチドが回収される。
負荷流体は、例えば、対象のポリペプチドを含有する細胞培養液(例えば、細胞を含む培養液、又は細胞が取り出されている培養液)、細胞抽出液、血清、腹水、細胞培養物から精製された又は部分的に精製された標品、抽出液、血清等、又は配合薬品又は薬剤物質であり得る。具体的な実施態様において、負荷流体は、血清IgGを含んでいる。一部の実施態様において、負荷流体は、プロテインAカラムの溶出液である。負荷流体は、0.001 - 500mg/mL(例えば、0.001 - 100mg/ml、0.001 - 30mg/ml、0.001 - 10mg/ml)の濃度でポリペプチドを含有し得る。ポリペプチドは、25,000mlの培地当たり0.1mgのポリペプチドの濃度で培地と接触され得る。
培地と負荷流体とを接触させる前に、pH、イオン強度、及び温度のようなパラメータは、必要な場合には調整され得る。培地は、溶液(例えば、pH、イオン強度等を調整するための、又は清浄剤を導入するための緩衝液)で洗浄することによって平衡化されて、ポリペプチドの結合及び/又は分離を可能にするか又は容易にする特性をもたらし得る。
一部の実施態様において、Fc受容体培地は、1つ以上の溶液でフラッシュし平衡化した後、ポリペプチドと接触させる。このような溶液には、例えば、緩衝液(例えば、トリス、MES、HEPES、ヒスチジン、又はリン酸、1 - 500mM、25 - 100mM、又は50mM)、及び/又は塩(例えば、NaCl、NaPO4、酢酸ナトリウム、又はCaCl2、例えば、0-2M、又は5-250mM)が含まれ得る。平衡溶液のpHは、一般的には3.5-10(例えば、pH 6.0-8.0)である。一部の実施態様において、平衡緩衝液は、10mM〜約50mMのトリス又はMES及び10-200mMの塩(例えば、150mM NaCl又は20mM CaCl2)を含有する。
Fc受容体培地と負荷流体とを接触させた後に、結合した培地が洗浄され得る。洗浄液には、緩衝液(例えば、トリス、MES、HEPES、リン酸、又はヒスチジン、例えば、1〜500mM)、及び/又は塩(例えば、NaCl、CaCl2、NaPO4、又は酢酸ナトリウム、例えば、0〜2M)、及び/又は添加剤(例えばグアニジン、尿素、スクロース、アルギニン、又はアルギニン誘導体)及び/又は溶媒(例えば、エタノール、アセトニトリル、又はポリエチレングリコールが含まれ得る。洗浄液は、一般的にはpH 3.5〜10(例えば、pH 4.5-8.0)を有する。
一部の実施態様において、培地は、培地を平衡化するために用いたのと同じ溶液で洗浄される。一部の実施態様において、培地は、1mM HEPESによって洗浄される。
ポリペプチドは、pH、塩タイプ、塩濃度、溶媒タイプ、溶媒濃度、排除するもののタイプ、排除するものの濃度、又はこれらの組み合わせの工程又は勾配変化を用いてFc受容体培地から溶離され得る。Fc領域を含有するタンパク質、他のタンパク質、Fc領域に対して相同性を有する小ポリペプチド、清浄剤、疎水性溶質、高分子電解質、アミノ酸、抗生物質、糖、デキストラン、フィコール、樹枝状ポリマー等が、排除するものとして用い得る。一般に、Fc受容体培地からポリペプチドを溶離するために、培地を溶出緩衝液と接触させる。一部の実施態様において、溶出緩衝液は塩(例えば、NaCl又はCaCl2、例えば、0 - 2M、例えば、10-100mM )を含有する。一部の実施態様において、溶出緩衝液は、グリシン、酢酸、又はクエン酸(例えば、20mM - 250mM、例えば、150mM)を含有し得る。溶出緩衝液は、また、緩衝液(例えば、HEPES、例えば、10 - 100mM)を含有し得る。溶出緩衝液は、また、酢酸(例えば、20mM〜約50mM)、添加剤(例えばグアニジン、尿素、又はスクロース)及び/又は溶媒(例えば、エタノール、アセトニトリル、ポリエチレングリコール、例えば、1-10%溶媒、例えば、5%溶媒)を含有し得る。溶出緩衝液のpHは、約2.0〜約4.0の範囲にあり得る。一部の実施態様において、勾配溶離(例えば、pH 5.0からpH 3.0への勾配溶離)を生じるようにpHを変化させ得る(例えば、徐々に)。一実施態様において、溶出緩衝液のpHは、約3.0である。溶出液は、例えば、培地からの回収後にpHを6.0 - 8.0(低pHが溶出のために用いられる場合)に調整することによって中和され得る。
ポリペプチドの溶出の後、培地は、必要により洗浄される。すなわち、取り除かれ且つ再生される。これは、固相の表面上の不純物を蓄積することを最小にするために及び/又はマトリックスを滅菌して、微生物による産物の汚染を回避するために定期的に行われ得る。
溶液成分は、当業者の知識に従って調整され得る。試料溶液組成範囲は、下記の実施例に示されている。溶液又は工程の全てが、必要であるというわけではなく、説明のために示されている。
Fc受容体培地を用いた分離は、単独で又は他の技術と組み合わせて行われ得る。一部の実施態様において、1つ以上のプロセスを用いて、負荷流体が調製され、例えば、汚染物質又は不純物の充填課題が減少される。一部の実施態様において、1つ以上のプロセスを用いて、Fc受容体培地の溶出液又は通過液が処理される。
本明細書に記載されるFc受容体方法と組み合わせて実施され得る精製/分離技術には、深部ろ過、ダイアフィルトレーション、限外ろ過、ウイルス除去ろ過、プロテインAクロマトグラフィ、プロテインGクロマトグラフィ、陽イオン交換クロマトグラフィ、陰イオン交換カラムクロマトグラフィ、サイズ排除クロマトグラフィ、疎水性相互作用クロマトグラフィ、固定化金属アフィニティークロマトグラフィ、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィ、レクチンクロマトグラフィ、バイオミメティックアフィニティークロマトグラフィ、ミックスモードクロマトグラフィ、及びこれらの組み合わせが含まれる。本明細書における技術は、カラム、膜及び/又は拡張吸着流動床のフォーマットにおいて実施され得る。ある種の実施態様において、1つ以上のクロマトグラフィ技術は、弱い分配モードで作動させる(米国特許出願公開第2007/0060741号明細書及びKelley BD, Tobler SA, Brown P, Coffman JL, Godavarti R, Iskra T, Switzer M, Vunnum S. Biotechnol Bioeng. 2008 Oct 15; 101(3): 553-66を参照のこと)。
市販のプロテインAクロマトグラフィカラムとしては、例えば、PROSEP-ATM(Millipore、U.K.)、Protein A Sepharose FAST FLOWTM(GE Healthcare、Piscataway、N.J.)、TOYOPEARLTM 650M Protein A(TosoHass Co.、Philadelphia、Pa.)、及びMabSelectTMカラム(GE Healthcare、Piscataway、N.J.)が挙げられる。
使用し得る陰イオン交換樹脂には、ジエチルアミノエチル(DEAE)、トリメチルアミノエチル(TMAE)、第四級アミノエチル(QAE)及び第四級アミン(O)基のような置換基を有する樹脂が含まれる。
使用し得る陽イオン交換樹脂には、カルボキシメチル(CM)、スルホエチル(SE)、スルホプロピル(SP)、ホスフェート(P)及びスルホネート(S)のような置換基を有する樹脂が含まれる。
一部の実施態様において、セルロースイオン交換樹脂(例えば、DE23、DE32、DE52、CM-23、CM-32又はCM-52、Whatman Ltd. Maidstone、Kent、U.Kから入手できる)が用いられる。精製のために用いられるセファデックスベースイオン交換体や架橋イオン交換体には、例えば、DEAE-、QAE-、CM-、及びSP-セファデックス、及びDEAE-、Q-、CM-及びS-セファロース、及びセファロース(Amersham Biosciences、Piscataway、N.J.)が含まれる。DEAE及びCM誘導体化エチレングリコール-メタクリレートコポリマー、例えばTOYOPEARLTM DEAE-650S又はMやTOYOPEARLTM CM-650S又はMは、Toso Haas Co., Philadelphia, Paから入手できる。
一部の実施態様において、疎水性相互作用クロマトグラフィ(HIC)樹脂が精製のために用いられる。HICは、疎水性に基づいて分子を分離する。一般に、高塩緩衝液中の試料分子は、HIC樹脂に装填される。緩衝液中の塩が水分子と相互作用して、溶液中の分子の溶液を減少させて、それによって、疎水性領域が試料分子中にさらされ、その結果としてHIC培地によって吸収される。分子がより疎水性であるほど、塩は結合を促進させる必要がない。従って、産物分子とHIC培地間の結合相互作用は、培地の条件、例えばpH、イオン強度、塩濃度に左右される。使用し得る市販のHIC樹脂には、疎水性リガンド(例えば、アルキル基又はアリール基)がカップリングされるベースマトリックス(例えば、架橋アガロース又は合成コポリマー材料)を含んでいる樹脂が含まれる。例としては、PhenylSEPHAROSETM、6 FAST FLOTM(Pharmacia LKB Biotechnology, AB, Sweden); Phenyl SEPHAROSETM High Performance(Pharmacia LKB Biotechnology, AB, Sweden); Octyl SEPHAROSETM High Performance(Pharmacia LKB Biotechnology, AB, Sweden); FractogelTM EMD Propyl又はFRACTOGELTM EMD Phenyl(E. Merck, Germany); MACRO-PREPTM Methyl又はMACRO-PREPTM t-Butyl Supports(BioRad, CA); WP HI-Propyl(C3)TM(J. T. Baker, N.J.); 及びTOYOPEARLTMエーテル、フェニル又はブチル(TosoHaas, Pa.)が挙げられる。HICは、弱い分配モードで行われ得る。
一部の実施態様において、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィが精製のために用いられる。ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィは、マトリックスとリガンド双方に、式[Ca10(PO4)6(OH)2]の不溶性水酸化リン酸カルシウムを用いる。官能基は、正に荷電したカルシウムイオンの対(C部位)及び負に荷電したリン酸基のクラスタ(P部位)からなる。産物とヒドロキシアパタイト培地間の結合相互作用は、培地の条件、例えばpH、イオン強度、賦形剤濃度、例えばリン酸濃度、カルシウム濃度、アルギニン濃度、グリシン濃度、HEPES濃度に左右される。種々のヒドロキシアパタイトクロマトグラフィ樹脂は市販されている。ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィは、弱い分配モードで行われ得る。
一部の実施態様において、固定化金属イオンアフィニティークロマトグラフィ(IMAC)樹脂が精製のために用いられる。IMACは、樹脂に固定されたキレート化遷移金属イオンと対象のタグ付き産物上のヒスチジン残基のイミダゾール側鎖との間の相互作用に基づいている。分子の分離は、対象のタグ付き産物とIMAC樹脂上の金属基のカウンターリガンド間の競合の結果として生じる。産物と金属帯電IMAC培地間の結合相互作用は、カウンターレベルのような条件、例えばイミダゾール濃度、及び培地のイオン強度に左右される。種々のIMAC樹脂は市販されている。IMACは、弱い分配モードで行われ得る。
一部の実施態様において、レクチンクロマトグラフィが精製のために用いられる(例えば、上記、Tojo et al., Biol. Pharm. Bull. 32(9):1604-1608, 2009; and Shinkawa et al.を参照のこと)。
ポリペプチドの特性評価
本明細書に記載されているFc受容体培地を用いて分離されるポリペプチドについて、任意のタイプの特性、例えばグリカン量及び/又は構造、安定性(例えば、半減期、貯蔵寿命)、毒性、及び生物活性が分析され得る。分離プロセスの任意の段階、例えば、溶出液及び/又は通過部分におけるポリペプチドが分析され得る。グリコフォームの評価は、例えば、負荷流体と溶出液の比較による、又は負荷流体と通過部分の比較による、又は溶出液と参照試料の比較によるものであり得る。
グリカンを検出及び特性化する任意の利用可能な技術が適用され得る。例えば、グリカン構造は、質量分析(MS)、クロマトグラフィ法、ゲル電気泳動法、核磁気共鳴(NMR)、及びこれらの組み合わせによって分析され得る。クロマトグラフィ法には、高性能液体クロマトグラフィ、液体クロマトグラフィ、超高速液体クロマトグラフィ、薄層クロマトグラフィ、及び/又はアミドカラムクロマトグラフィが含まれ得る。MSには、タンデムMS、LC-MS、LC-MS/MS、マトリックス支援レーザー脱離イオン化MS(MALDI-MS)及び/又は電子移動解離MS(ETD-MS)が含まれ得る。ゲル電気泳動法は、キャピラリー電気泳動法、ゲル電気泳動法(例えば、グリカン及び/又はポリペプチド構造を検出するウエスタンブロット法の有無にかかわらず)が含まれ得る。NMRは、1D-NMR、2D-NMR、相関分光法NMR、異種核一量子コーヒレンスNMR、異核多重量子コヒーレンスNMR、回転核オーバーハウザー効果分光法NMR及び/又は核オーバーハウザー効果分光法NMRが含まれ得る。
グリカンを分析する種々の技術が記載されている。例えば、Bigge et al. (Anal. Biochem. 230:229-238, 1995)を参照のこと、この文献には クロマトグラフィ及び質量分光光度法の手段による検出のためにフコシル化及び低フコシル化グリカンを2-アミノベンズアミド(2-AB)及び2-アントラニル酸(2-AA)で標識化する条件が記載されている。Anamula et al., Anal. Biochem. 350(1):1-23, 2006; Townsend, R.R. Carbohydrate Analysis" High Performance Liquid Chromatography and Capillary Electrophoresis., Ed. Z. El Rassi, pp 181-209, 1995; and Ruhaak et al., Anal Bioanal Chem. 397(8):3457-81, 2010も参照のこと。
細胞において発現されるポリペプチドは、異種グリコシル化を示す。所定のポリペプチドの分子は、所定の糖残基の数とタイプが異なり得る。本開示は、例えば、高レベル又は低レベルの特定の残基を有するポリペプチドを濃縮するために、グリコフォームを分離するための培地及び方法を提供する。一部の実施態様において、フコース残基の数が参照グリコフォーム上の残基の数より少ない場合には、グリコフォームは「低下した」レベルの特定の糖(例えば、フコース)を有する。一部の実施態様において、参照グリコフォームは、所定の細胞タイプにおいて発現したポリペプチド上に認められる特定の糖の残基の平均又は最大数を有するグリコフォームである。例えば、CHO細胞において発現した抗体ポリペプチドが最高2つのコアフコース残基を有する場合には、0又は1つのコアフコースを有するグリコフォームは「低下した」レベルを有する。
同様に、糖の数が参照グリコフォーム上の残基の数より大きい場合には、グリコフォームは「増加した」レベルの特定の糖を有する。一部の実施態様において、参照グリコフォームは、特定の糖の残基の平均数又は最小数を有するグリコフォームである。
分離の評価のためのグリコフォームの検出は、任意の利用できる手段によって行われてもよく、負荷流体、溶出液、通過液、洗浄液、又はこれらの組み合わせのいずれかのグリカンの分析を必要とし得る。
一部の実施態様において、溶出液のグリコフォームのパーセンテージ又はFc受容体培地で終わった流量は、負荷流体に対して相対的に、少なくとも20%、50%、100%、2倍、5倍、10倍、20倍、50倍、又は100倍だけ変えられる(例えば、増減される)。一部の実施態様において、Fc受容体培地の溶出液又は通過液中のグリコフォームの割合は、合計の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、又は99%に増加する。例えば、一部の実施態様において、本明細書に記載されているFcγRIII受容体培地を用いて組換え抗体試料を分離することにより、少なくとも40%の低フコシル化材料を有する溶出液が得られるが、分離を受けなかった試料(例えば、負荷流体)は、典型的には、5-7%の低フコシル化材料を有し得る(発現及び他の要因の細胞系に左右される)。
本明細書に示される方法に従って分離されるポリペプチドの結合が分析され得る。一部の実施態様において、標的タンパク質への結合(例えば、抗原への抗体結合)が分析される。一部の実施態様において、Fc受容体への結合が分析される。結合相互作用を評価する方法は、知られており、例えば、ELISA、BIACoreTMバイオセンサー分析、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)他が挙げられる。
ポリペプチドの生物活性を評価する任意の利用できる方法が使われ得る。一部の実施態様において、グリコフォーム特異的生物活性が評価される。ADCCは、既知の方法によって分析され得る(例えば、上記、Shinkawa et al.を参照のこと)。本明細書における培地を用いた分離の結果として1つ以上のポリペプチドグリコフォームの相対的割合の変化により、生物活性の変化、例えばADCCの増大が、例えば、負荷流体又は参照試料中のポリペプチドの活性に対して相対的に、少なくとも20%、50%、100%、2倍、5倍、10倍、20倍、50倍、又は100倍だけ生じ得る。
製品及び使用
ポリペプチドの分離のための本明細書における方法及び組成物は、多数の適用を有する。方法は、望ましいグリコフォームプロファイルを有するポリペプチドの調製を可能にする。一部の実施態様において、方法は、対象のグリコフォームを濃縮するために用いられる(例えば、グリコフォームは高生物活性を有する)。一部の実施態様において、方法は、グリコフォームプロファイルを標準化するために用いられる(例えば、バッチ間で、又は異なるプロセスによって得られる分子間で)。一部の実施態様において、方法は、任意の望ましい特性、例えば生物活性が評価され得るグリコフォームプールを与えるために用いられる。グリコフォームプロファイルを制御する能力は、製造プロセスのより大きな制御及び可撓性を可能にする。本技術は、所定の製品に対してバッチ間一貫性を達成するための追加のツールである。本技術は、また、例えば、異なるプロセス及び/又は異なる製造業者によって製造された製品の比較にも有効である。更にまた、製造業者は、他の製造業者の製品の品質特性を適合させるために、例えば、バイオ後続製品の開発において、又は後続製品の品質特性を変える(例えば、上げるか又は高める)ために、技術を使用し得る。
本開示は、また、本明細書において記載されている方法に従って調製される製品に関する。時には、更に本開示に従って分離したポリペプチドを更に分離及び/又は精製し且つ標準法に従って医薬使用のために配合することが望ましい。例えばProtein Purification Principles and Practice 2nd Edition, Springer-Verlag, New York, 1987; Higgins, S. J. and Hames, B. D. (eds.), Deutscher, M. P., Simon, M. I., Abelson, J. N. (eds.), Guide to Protein Purification:Methods in Enzymology (Methods in Enzymology Series, Vol 182), Academic Press, 1997を参照のこと、これらの文献の記載は本願明細書に援用されている。用いられる正確な技術がポリペプチドの特性によっては異なることを当業者は理解する。薬理学的活性を有するポリペプチドは、医薬の調製において有効である。ポリペプチドは、被検者に投与され得るか又は非経口(例えば、静脈)、皮内、皮下、経口、経鼻、気管支、眼科、経皮(局所)、経粘膜、直腸、膣が挙げられるがこれらに限定されない任意の利用可能な経路によって配達するために最初に配合され得る。
製品の医薬組成物が当該技術において既知の方法に従って意図した投与経路と適合するように配合される、例えば、Remington: The Science & Practice of Pharmacy, 19th ed., Williams & Williams, (1995), and the Physician's Desk Reference, 52nd ed., Medical Economics, Montvale, N.J. (1998)を参照のこと。一部の実施態様において、製品は、滅菌水(例えば、SWFI)、緩衝食塩水(例えば、リン酸緩衝食塩水)、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール)、又はその適切な混合物を用いて配合される。
実施例1.
本実施例はFcガンマRIIIa受容体培地の調製及びmAb1、CHO細胞において産生したヒト化IgG1モノクローナル抗体を有する培地の使用を記載するものである。
以下のアミノ酸配列を有するFc-ガンマRIIIa-176V(バリン)アロタイプ受容体の細胞外ドメインがHEK-293細胞において一時的に発現した:

Figure 2014527518
受容体は細胞処理の間に切断されるシグナルペプチドと発現した。ニッケルアフィニティーカラムを用いて行われる精製のためにC末端で10-hisタグが発現した。
Fc-ガンマ受容体(0.85mg/mlのPBS中の1.25ml)を0.73mlの活性化されたNHS SepharoseTM 4 Fast Flow樹脂(17-0906-01、GE)に添加し、室温で、80分間反応させた。反応液を100mM TRIS pH 8.3で冷却した。サイズ排除クロマトグラフィを用いて定量したカップリング効率は、100%であった。樹脂を0.5cmの内径(ID)カラム(GE Healthcare)中0.63mLまで充填し、10mlの100mMトリスpH 8.3、次に500mMのNaClを有する10mlの100 mM 酢酸塩pH 4.0でフラッシュした。このフラッシュを2回繰り返し、カラムを16%エタノール、150mM NaCl 50mMトリスpH 7.7中で保存した。
カラムを50mMトリス150mM NaCl pH 7.2でフラッシュし、PBS緩衝液(27.0mgのタンパク質/ml樹脂)中の50mlの0.34mg/ml mAb1を0.25ml/分(2.5分の滞留時間)で装填した。mAb1材料を、プロテインAクロマトグラフィカラム及びアニオンイオン交換クロマトグラフィカラムを用いた2つのカラム精製プロセスによって調製した。mAb1材料がFc受容体カラムに装填した後、カラムを0.5ml/分の12mlのPBSでフラッシュし、0.5ml/分の50mM HEPES pH 3.0で溶離した。280nmの吸光度及びサイズ排除クロマトグラフィによって定量されたように、mAb1を集めた(7.5ml中の0.1mg)。
グリカン分析を容易にするために、溶離したmAb1試料を16.5マイクロリットルのプロテインA樹脂(GE MabSelect、17-5199-03)を用いて115マイクロリットル中の0.45mg/mlまで濃縮した。プロテインA濃度は、96ウェルプレート、PBS洗浄緩衝液、150mMグリシン溶離緩衝液(pH3.0)、及びMES中和緩衝液(pH 6.8)を用いたバッチモードで行った。
非フコシル化mAb1のパーセントを定量するために、約35μgをPNGase Fで37℃において16時間消化して、Fc-オリゴ糖を遊離させた。遊離したN結合オリゴ糖を2-アミノベンズアミド(2-AB)で65℃において3時間標識した。残りの2-ABを、アセトン沈殿を用いて除去した。蛍光検出についてギ酸アンモニウム線状勾配による45℃でのXbridge Amide HILIC-HPLCを用いてオリゴ糖分析を行った。mAb1出発材料は、7%非フコシル化Fcを有した。Fc受容体カラムを用いて濃縮した後、mAb1材料は61%非フコシル化IgG Fcを有した。図1は、mAb1の典型的なオリゴ糖プロファイル(上のパネル)及びFc受容体カラムを用いて濃縮した後のmAb1プロファイル(下のパネル)の一例を示す図である。図1において『F』で終わっている標識を有するすべてのピークはフコシル化されており、『F』で終わっていない標識を有するすべてのピークは低フコシル化されている。
実施例2.
実施例1に記載した充填Fc受容体カラムを用いて、CHO細胞において産生されたヒト化IgG1である、第2のモノクローナル抗体、mAb2の非フコシル化グリコフォーム濃縮した。以下を用いた精製プロセスから得られる限外ろ過プールからmAb2材料を得た: プロテインAクロマトグラフィカラム、アニオンイオン交換クロマトグラフィカラム、ウイルス保持フィルタ(例えば、a Planova 20 filter (Asahi Kasei Corporation, Tokyo, Japan))及び限外ろ過装置。
Fc受容体カラムを平衡緩衝液(20mM CaCl2を有する50mMの MES、pH 6.5)でフラッシュして、50mlの平衡緩衝液(142.9mgのプロテイン/ml樹脂)中の1.80mg/mlのmAb2を0.25ml/分(2.5分の滞流時間)で装填した。次に、カラムを0.5ml/分において12mlの平衡緩衝液でフラッシュし、0.5ml/分においてpH 3.4の150mMグリシンで溶離した。280nmの吸光度によって定量されたように、mAb2を集めた(9.25ml中の0.12mg)。ピークを、pH 6.8 1M MES中和緩衝液でpH 6.6にした。グリカン分析を容易にするために、mAb2試料をAmicon Ultra-4 10,000kD MWCOデバイス(Millipore UFC801024)を用いて100マイクロリットル中の0.87mg/mlまで濃縮した。
非フコシル化mAb2のパーセントを実施例1に記載した方法を用いて定量した。mAb2出発材料は、約5%非フコシル化Fcを有した。Fc受容体カラムを用いて濃縮した後、mAb2材料は48.7%非フコシル化されたIgG Fcを有した。
上記の同様の手順を用いて、プロセス時間と材料の無駄を最小にするために多重サイクルを用いるとともに低装填課題で行ってかなりの量のmAb2を濃縮した。カラムを平衡緩衝液(PBS)でフラッシュし、平衡緩衝液(3.0mgのプロテイン/ml樹脂)中の1mlの1.89mg/mlのmAb2を0.25ml/分(2.5分の滞留時間)で装填した。次に、カラムを0.5ml/分の12mlの平衡緩衝液でフラッシュし、0.5ml/分においてpH 3.4の150mMグリシンで溶離した。この手順を合計40サイクル39回繰り返した。全ピークを約15% v/v pH 10.4 1M MES中和緩衝液を用いて約pH 6.5にした。280nmの吸光度によって定量したように、合計4.4mgのmAb2を集めた。グリカン分析を容易にするために、mAb2試料をAmicon Ultra-4 10,000kD MWCOデバイス(Millipore UFC801024)を用いて1.9ml中の2.3mg/mlに濃縮した。
非フコシル化mAb2のパーセントを実施例1に記載した方法を用いて定量した。mAb2出発材料は、5.9%の非フコシル化及び2.3%のマンノシル化IgG Fcを有した。Fc受容体カラムを用いて濃縮した後、培地に結合したmAb2材料は、41.8%の非フコシル化及び6.3%のマンノシル化IgG Fcを有した。カラムを通過するmAb2材料は、4.3%の非フコシル化及び2.0%のマンノシル化IgG Fcを有した。
実施例3
Fc受容体培地を充填したカラムを実施例1に記載したように調製した。この培地を用いて、Fc受容体と、抗体依存性細胞毒性(ADCC)の誘導を阻止することが知られているトリプル変異、L234A、L235A、及びG237Aを有するFc融合タンパク質と間の結合相互作用を分析した(234、235、237のアミノ酸位置は、カバットナンバリングシステムに準じる)。Fc融合タンパク材料を以下を用いた3つのカラム精製プロセスから得た: プロテインAクロマトグラフィカラム、陰イオン交換クロマトグラフィカラム及び陽イオン及びHIC特性を有するミックスモードクロマトグラフィカラム。
Fc受容体カラムを50mM MES 150mM NaCl pH 6.5でフラッシュし、50mM MES 150mM NaCl pH 6.5(15.6mgのタンパク質/ml樹脂)中の5mlの2.0mg/ml Fc融合体を0.25ml/分(3.0分の滞留時間)で装填した。次に、カラムを1ml/分において9mlの50mM MES 150mM NaCl pH 6.5でフラッシュし、1ml/分において12mlの150mMグリシンpH 3.0で溶離した。ピークを15%スパイクの1M MES pH 10.4で中和した。この手順をmAb2で繰り返し、これには対応するトリプル変異がなく、再びトリプル変異体Fc融合タンパク質を続けた。280nmの吸光度によって測定したクロマトグラムの比較によって、低pH溶出におけるFc融合材料が非変異すmAb2に対して相対的に著しいピークを生じないことが明らかに示された。それ故、トリプル変異タンパク質は、FcガンマRIIIAにほとんど結合しない。
実施例4
本実施例は、FcガンマRIIa受容体培地の調製及びmAb2を有する培地の使用を記載するものである。
FcガンマRIIa受容体は、IgG1及び他のIgGサブクラスに結合する。FcガンマRIIa受容体の細胞外ドメインは、R&D Systems(Minneapolis、MN)から入手した。受容体はNSO(ネズミ骨髄腫)由来細胞において発現し、10-hisタグを含有し、C末端で発現した。FcガンマRIIa受容体の部分は、以下のアミノ酸配列を有する(GenBank Accession # AAA35827も参照のこと):

Figure 2014527518
受容体は除去されるN末端シグナルペプチドと発現し、分子の残りの部分は細胞外ドメイン(Ala 36からIle 218まで)である。
Fcガンマ受容体(PBS中の1.23ml、0.82mg/ml)を0.82mlの活性化NHS Sepharose 4 Fast Flow樹脂(17-0906-01、GE Healthcare)に添加し、室温で60分間反応させた。反応液を100mM TRIS pH 8.5で冷却した。サイズ排除クロマトグラフィを用いて定量したカップリング効率は、94%であった。樹脂を0.5cmのIDカラム(GE Healthcare)中の0.72mLまで充填し、10mlの100mMトリスpH 8.5、次に500mM NaClを有する10mlの100mM 酢酸塩pH 4.0でフラッシュした。これを2回繰り返し、カラムを16%エタノール、150mM NaCl 50mMトリスpH 7.7中で保存した。
カラムをPBSでフラッシュし、PBS緩衝液(13.9mgのタンパク質/ml樹脂)中の5mlの2.0mg/ml mAb2を0.25ml/分(2.9分の滞留時間)で装填した。次に、カラムを1ml/分において9mlのPBSでフラッシュし、1ml/分において12mlの150mMグリシンpH 2.6で溶離した。ピークを15%スパイクの1M MES pH 10.4で中和した。この手順を9回繰り返し、10のピークをプールして、280nmの吸光度及びサイズ排除クロマトグラフィによって定量されるように95.4μgのmAb2を得た。グリカン分析を容易にするために、mAb2試料を、30kD MWCO超遠心分離膜を用いて150マイクロリットル中の0.51mg/mlまで濃縮した。
mAb2のグリカンプロファイルを定量するために、約35μgをPNGase Fで37℃において16時間消化して、Fc-オリゴ糖を遊離させた。遊離したN結合オリゴ糖を2-ABで65℃において3時間標識した。残りの2-ABを、アセトン沈殿を用いて除去した。蛍光検出についてギ酸アンモニウム線状勾配による45℃でのXbridge Amide HILIC-HPLCによりオリゴ糖分析を行った。試料中のフコシル化グリコフォームの割合の変化は、装填材料と比較してなかった。充填材料及び溶離したピークは共に、約5%フコシル化材料を有した。
実施例5
本実施例は、FcガンマRIIb/c受容体培地の調製及びmAb2を有する培地の使用を記載するものである。
FcガンマRIIB/C受容体は、IgG1及び他のIgGサブクラスに結合する。R&D Systems(Minneapolis、MN)からFcガンマRIIb/c受容体の細胞外ドメインを入手した。受容体はNSO由来細胞において発現し、C末端10-hisタグを含有し、以下のアミノ酸配列(GenBank Accession # P31994も参照のこと)を有する:

Figure 2014527518
受容体はN末端から切断されるシグナルペプチドと発現し、分子の残りの部分が細胞外ドメイン(Ala46〜Pro 217)である。
Fcガンマ受容体(PBS中の0.87ml、1.16mg/ml)を、0.82mlの活性化NHS Sepharose 4 Fast Flow樹脂(17-0906-01、GE)に添加し、室温で60分間反応させた。反応物を100mM TRIS pH 8.5で冷却した。サイズ排除クロマトグラフィを用いて定量したカップリング効率は、95%であった。樹脂を0.5cmのIDカラム(GE Healthcare)中の0.72mLまで充填し、10mlの100mMトリスpH 8.5、次に500mM NaClを有する10mlの100mM酢酸塩pH 4.0でフラッシュした。これを2回繰り返し、カラムを16%エタノール、150mM NaCl 50mMトリスpH 7.7中で保存した。
カラムをPBSでフラッシュし、PBS緩衝液(13.9mgのタンパク質/ml樹脂)中の5mlの2.0mg/ml mAb2を0.25ml/分(2.9分の滞留時間)で装填した。次に、カラムを、1ml/分において9mlのPBSでフラッシュし、1ml/分において12mlの150mMグリシンpH 2.3で溶離した。ピークを15%スパイクの1M MES pH 10.4で中和した。この手順を9回繰り返し、10のピークをプールし、280nmの吸光度及びサイズ排除クロマトグラフィによって定量されるように93.0μgのmAb2を得た。グリカン分析を可能にするために、mAb2試料を30kD MWCO超遠心分離膜を用いて100マイクロリットル中の0.74mg/mlまで濃縮した。
mAb2のグリカンプロファイルを定量するために、約35μgをPNGase Fで37℃において16時間消化して、Fc-オリゴ糖を遊離させた。遊離したN結合オリゴ糖を2-ABで65℃において3時間標識した。残りの2-ABを、アセトン沈殿を用いて除去した。蛍光検出についてギ酸アンモニウム線状勾配による45℃でのXbridge Amide HILIC-HPLCによりオリゴ糖分析を行った。試料中のフコシル化グリコフォームの割合の変化は、充填材料と比較してなかった。充填材料及び溶離したピークは共に、約5%フコシル化材料を有した。
実施例6
この実施例は、FcガンマRI受容体培地の調製及びmAb2を有する培地の使用を記載するものである。
FcガンマRI受容体は、IgG1及び他のIgGサブクラスに結合する。FcガンマRI受容体の細胞外ドメインは、R&D Systems(Minneapolis、MN)から入手し得る。NSO由来細胞において発現され且つC末端6-hisタグを含有したこの受容体は、以下のアミノ酸配列(GenBank Acc. # P12314も参照のこと)を有する:

Figure 2014527518
Fc受容体はN末端から切断されるシグナルペプチドと発現し、残りの分子はC末端上に4残基少ない細胞外ドメイン(Gln16 Pro288)である。
Fcガンマ受容体(PBS中の2.09ml、0.483mg/ml)を、0.42mlの活性化NHS Sepharose 4 Fast Flow樹脂(17-0906-01、GE)に添加し、室温で180分間反応させた。反応液を100mM TRIS pH 8.5で冷却した。サイズ排除クロマトグラフィを用いて定量したカップリング効率は、95%であった。樹脂を0.5cmのID GE Healthcareカラム中の0.38mLまで充填し、10mlの100mMトリスpH 8.5、次に500mM NaClを有する10mlの100mM酢酸塩pH 4.0でフラッシュした。これを2回繰り返し、カラムを16%エタノール、150mM NaCl 50mMトリスpH 7.7中で保存した。
カラムをPBSでフラッシュし、PBS緩衝液(26.3mgのタンパク質/ml樹脂)中の5mlの2.0mg/ml mAb2を0.15ml/分(2.5分の滞留時間)で装填した。次に、カラムを、1ml/分において9mlのPBSでフラッシュし、1ml/分において12mlの150mMグリシンpH 3.0及び6mlの150mMグリシンpH 2.3で溶離した。ピークを15%スパイクの1M MES pH 10.4で中和した。最終プールは、280nmの吸光度によって定量されるように38.6μgのmAb2を含有した。グリカン分析を可能にするために、mAb2試料を30kD MWCO超遠心分離膜を用いて100マイクロリットル中の0.7439mg/mlまで濃縮した。
mAb2のグリカンプロファイルを定量するために、約35μgをPNGase Fで37℃において16時間消化して、Fc-オリゴ糖を遊離させた。遊離したN結合オリゴ糖を2-ABで65℃において3時間標識した。残りの2-ABをアセトン沈殿を用いて除去した。蛍光検出についてギ酸アンモニウム線状勾配による45℃でのXbridge Amide HILIC-HPLCによりオリゴ糖分析を行った。試料中のフコシル化グリコフォームの割合の変化は、充填材料と比較してなかった。充填材料及び溶離したピークは共に、約5%フコシル化材料を有した。
実施例7
本実施例は、C1q培地の調製及びmAb2を有する培地の使用を記載するものである。
C1qは、IgG及びIgMと結合する補体タンパク質である。血清から調製した未変性ヒトC1qは、EMD Biosciences、San Diego CA(CAS番号80295-33-6)から、純粋な形で購入した。
C1q(PBS中の0.85ml、1.17mg/ml)を、0.72mlの活性化NHS Sepharose 4 Fast Flow樹脂(17-0906-01、GE)に添加し、室温で120分間反応させた。反応物を100mM TRIS pH 8.5で冷却した。カップリング効率は、C1qが凝集する傾向のため、サイズ排除クロマトグラフィによって定量することができない。樹脂を0.5cmのIDカラム(GE Healthcare)中の0.64mLまで充填し、10mlの100mMトリスpH 8.5、次に500mMのNaClを有する10mlの100mM酢酸塩pH 4.0でフラッシュした。これを2回繰り返し、カラムを16%エタノール、150mM NaCl 50mMトリスpH 7.7において保存した。
カラムをPBSでフラッシュし、PBS緩衝液(15.6mgのタンパク質/ml樹脂)中の5mlの2.0mg/ml mAb2を0.25ml/分(2.6分の滞留時間)で装填した。次に、カラムを1ml/分において9mlのPBSでフラッシュし、1ml/分において12mlの150mMグリシンpH 3.0で溶離した。ピークを15%スパイクの1M MES pH 10.4で中和した。最終のプールは、280nmの吸光度及びサイズ排除クロマトグラフィによって定量されるように7.5μgのmAb2を含有した。得られた質量が少量のため、グリカン分析は行わなかった。
実施例8
本実施例は、DC-SIGN培地の調製及びmAb2を有する培地の使用を記載するものである。
いくつかの文献には、DC-SIGNタンパク質が抗体のシアリル化グリコフォームを優先して結合し得ることが示されている(DC-SIGNとα2、6-シアリル化IgG Fc相互作用はヒト樹枝状細胞上でIVIgの抗炎症活性に不必要である、Bayry, K Bansal, MD Kazatchkine, SV Kaveri; PNAS 2009 106 9 E24)。NSO由来細胞において発現した組換えヒトDC-SIGNは、R&D Systemsから純粋な形で購入した。細胞外部分(Lys62 Ala404)が発現した(GenBank Acc. # Q9NNX6を参照のこと)。
DC-SIGN(PBS中の1ml、0.94mg/ml)を、0.82mlの活性化NHS Sepharose 4 Fast Flow樹脂(17-0906-01, GE)に添加し、室温で60分間反応させた。反応液を100mM TRIS pH 8.5で冷却した。サイズ排除クロマトグラフィを用いて定量したカップリング効率は、95%であった。樹脂を0.5cmのIDカラム(GE Healthcare)中の0.74mLまで充填し、10mlの100mMトリスpH 8.5、次に500mMのNaClを有する10mlの100mM酢酸塩pH 4.0でフラッシュした。これを2回繰り返し、カラムを16%エタノール、150mM NaCl 50mMトリスpH 7.7中に保存した。
カラムをPBSでフラッシュし、PBS緩衝液(13.9mgのタンパク質/ml樹脂)中の5mlの2.0mg/ml mAb2を0.25ml/分(2.9分の滞留時間)で装填した。次に、カラムを1ml/分において9mlのPBSでフラッシュし、1ml/分において12mlの150mMグリシンpH 3.0で溶離した。ピークを15%スパイクの1M MES pH 10.4で中和した。この手順を4回繰り返し、5つのピークをプールして、280nmの吸光度及びサイズ排除クロマトグラフィによって定量されるように128.0μgのmAb2を得た。グリカン分析を可能にするために、mAb2試料を30kD MWCO超遠心分離膜を用いて125マイクロリットル中の1.02mg/mlまで濃縮した。
mAb2のグリカンプロファイルを定量するために、約35μgをPNGase Fで37℃において16時間消化して、Fc-オリゴ糖を遊離させた。遊離したN結合オリゴ糖は、65℃で3時間2-ABで標識した。残りの2-ABは、アセトン沈殿を用いて取り出した。オリゴ糖分析は、蛍光検出においてギ酸アンモニウム塩線状勾配による45℃のXbridge Amide HILIC-HPLCにより行った。充填材料と比較して試料中のフコシル化グリコフォームの割合の変化はなかった。充填材料及び溶離したピークは共に、約5%フコシル化材料を有した。
DC-SIGNがCa++依存性結合ドメインを有すると仮定すると、充填中のカルシウムがmAb2の結合に影響を及ぼし得るかを分析するために試みた。カラムを50mMのMES 150mM NaCl pH 6.5 20mM CaCl2にでフラッシュし、50mM MES 150mM NaCl pH 6.5 20mM CaCl2(13.5mgのタンパク質/ml樹脂)中の5mlの2.0mg/ml mAb2を0.25ml/分(3.0分の滞留時間)で装填した。次に、カラムを1ml/分において9mlの50mM MES 150mM NaCl pH 6.5 20mM CaCl2でフラッシュした。3種の溶出を試みた: 6mlの50mM MES 150mM NaCl pH 6.5; 6mlの50mM MES 150mM NaCl pH 6.5 20mM EDTA及び6mlの150mMグリシンpH 2.3、1ml/分において。別の溶出条件はいずれも、150mMグリシンpH 3.0で得たものより大きいピークを有しなかった。従って、充填材料中のカルシウム及び溶出条件の変化の存在は、この実験において結合又は回収に影響を及ぼすように見えなかった。
実施例9
本実施例は、FcガンマRIIIa受容体培地の調製及びmAb2を有する培地を用いたリガンド密度の最適化を記載するものである。
FcガンマRIIIaは、R&D systemsから入手した。受容体は、以下の配列及び6-Hisタグを有する(GenBank Acc. No. AAH17865, P08637 [UniParc]も参照のこと):

Figure 2014527518
受容体はNSO由来細胞系において発現した。ポリペプチドは、シグナルペプチド(残基1-16)がなく、細胞外残基Gly17-Gln208を有する。
マイクロリットルスケールリガンドカップリング実験を、FcガンマRIIIAを用いてリガンド密度を最適化するために行った。25μlの活性化NHS SepharoseTM 4 Fast Flow樹脂(17-0906-01、GE)の6つのアリコートを、底に0.45μmのポリプロピレンフィルタを有する96ウェルプレートの800μlウェルに加えた(Seahorse Labware F20023)。樹脂を洗浄し、700μlの1mM HClで活性化し、1200×Gで3分間沈降させた。これを合計3洗浄サイクル繰り返した。種々の容積の0.66μg/μl FcガンマRIIIAを各ウェル中の25μlの活性化樹脂に添加して、FcガンマRIIIAを添加しなかった対照が含まれる1.5-9.6μg-FcガンマRIIIA/μl-NHS樹脂(未変性樹脂)間のリガンド密度を評価した。反応の間、プレートをTecan Teshakeにより室温において2時間1200rpmで撹拌した。
反応後、樹脂を700μlの100mMトリスpH 8.3で洗浄した。これを合計2サイクル繰り返した。トリス洗浄後、700μlの100mM酢酸塩pH 4.0を用いた。次に、700μlの100mMトリスpH 8.3を再び各ウェルに添加して、更に反応を冷却させ、プレートを貯蔵のために2-8oCに冷却した。約15時間後、樹脂を700μlの1mM HEPES pH 7.3で2回洗浄した。活性化NHS SepharoseTM 4 Fast Flow樹脂に固定したFcガンマRIIIAで充填した0.6mLの大規模カラムを用いて以前に約45%低フコシル化種に濃縮したmAb2を、バッチ結合実験のための充填材料として用いた。約100μlの0.88μg/μlのmAb2を各ウェルに添加し、混合物をTeshakeにより20分間1200rpmで撹拌した。充填工程後、プレートを沈降させ、通過液を集めた。次に、樹脂を700μlの1mM HEPES pH 7.2で洗浄した。次に、樹脂を100μlの150mMグリシンpH 3.0で3回溶離した。充填液、通過液、洗浄液、及び溶出画分を、96ウェルプレートで集めて、280及び320nmでのUVを用いて測定した。
結果を表3に示す。予想されるように、未変性樹脂は著しいタンパク質結合を示さなかった。マイクロウェル樹脂調製のmAb2容量は、充填カラムにおいて用いたより大きい樹脂容積調製と同様であった(0.17μg/μl対0.20μg/μl)。利用パーセントは、最初に測定したmAb2容量をFcガンマRIIIAリガンド密度で割り、次にこの値を飽和容量の理論的な値で割ることにより算出した。1つの抗体が各FcガンマRIIIA分子に結合した場合には、3.5μgの抗体はFcガンマRIIIAのμgに対して結合されている。最良の利用は、約10%であった。樹脂μl当たりの全mAb2容量について及び利用パーセントについての最適リガンド密度は、3-7.5μg/μlである。一部の実施態様において、容量を最大にするように培地が調製され用いられる(例えば、負荷流体からほとんどの材料を得るために)。一部の実施態様において、Fc受容体の利用を最大にするために培地が調製され用いられている。一部の実施態様において、容量と利用の双方を最大にするように培地が調製され用いられている。
表3. マイクロリットル樹脂調製を用いたFc RIIIA培地の最適化

Figure 2014527518
実施例10
本実施例は、FcガンマRIIIb受容体培地の調製及びmAb2を有する培地の使用を記載するものである。
FcガンマRIIIB受容体は、IgG1及び他のIgGサブクラスに結合する。FcガンマRIIIB受容体の細胞外ドメインは、R&D Systemsから入手した。この受容体はNSO由来細胞において発現し、C末端10-hisタグが含まれる。この受容体は、以下のアミノ酸配列を有する(GenBank Accession #O75015も参照; 配列には、Thr20-Gln208が含まれる):

Figure 2014527518
PBS中のFcガンマ受容体(0.54ml、1.87mg/ml)を0.54mlの活性化NHS Sepharose 4 Fast Flow樹脂(17-0906-01、GE)に添加し、室温で60分間反応させた。反応液を100mM TRIS pH 8.5で冷却した。樹脂を、0.5cmのIDカラム(GE Healthcare)中の0.5mLまで充填し、10mlの100mMトリスpH 8.5、次に500mMのNaClを有する10mlの100mM酢酸塩pH 4.0でフラッシュした。これを2回繰り返し、カラムを16%エタノール、150mM NaCl 50mMトリスpH 7.7中で保存した。
カラムをPBSでフラッシュし、PBS緩衝液(19.6mgのタンパク質/ml樹脂)中の5mlの1.96mg/ml mAb2を0.25ml/分(2.0分の滞留時間)で装填した。次に、カラムを、1ml/分において9mlのPBSでフラッシュし、1ml/分において12mlの150mMグリシンpH 3.0にで溶離した。ピークを15%スパイクの1M MES pH 10.4で中和した。この手順を3回繰り返し、4つのピークをプールして、280nmの吸光度によって定量されるように78μgのmAb2を得た。グリカン分析を可能にするために、mAb2試料を30kD MWCO超遠心分離膜を用いて200マイクロリットル中の0.39mg/mlまで濃縮した。
mAb2のグリカンプロファイルを定量するために、約35μgをPNGase Fで37℃において16時間消化して、Fc-オリゴ糖を遊離した。遊離したN結合オリゴ糖を2-ABで65℃において3時間標識した。残りの2-ABを、アセトン沈殿を用いて取り出した。オリゴ糖分析を、蛍光検出においてギ酸アンモニウム線状勾配による45℃でのXbridge Amide HILIC-HPLCにより行った。mAb2出発材料は、5.9%非フコシル化IgGを有した。Fc受容体カラムを用いて濃縮した後、mAb2材料は、約39.3%非フコシル化されたIgGを有した。
実施例11
本実施例は、FcガンマRIIIa受容体培地の調製及びmAb2を有する培地の使用を記載するものである。
FcガンマRIIIaをR&D systemsから入手した。受容体は、以下の配列及び6-Hisタグを有する(GenBank Acc. No. AAH17865, P08637 [UniParc]も参照のこと):

Figure 2014527518
受容体はNSO由来細胞系において発現した。ポリペプチドは、シグナルペプチド(残基1-16)がなく、細胞外残基Gly17-Gln208を有する。
Fc-ガンマ受容体(PBS中の1.3ml、0.81mg/ml)は、0.64mlの活性化NHS SepharoseTM
4 Fast Flow樹脂(17-0906-01, GE)に添加し、室温で65分間反応させた。反応液を100mMのTRIS pH 8.3で冷却した。サイズ排除クロマトグラフィを用いて定量されるカップリング効率は、93%であった。樹脂を0.5cmの内径(ID)カラム(GE Healthcare)の0.55mLまで充填し、10mlの100mMトリスpH 8.3、次に500mMのNaClを有する10mlの100 mM 酢酸塩pH 4.0でフラッシュした。このフラッシュを2回繰り返し、カラムを16%エタノール、150mM NaCl 50mMトリスpH 7.7中で保存した。
カラムを1.0ml/分のPBSでフラッシュし、PBS緩衝液(1.4mgのタンパク質/ml樹脂)中の1.0mlの0.77mg/ml mAb2を0.15ml/分(3.7分の滞留時間)で装填した。mAb2材料を以下: プロテインAクロマトグラフィカラム、陰イオン交換クロマトグラフィカラム、ウイルス保持フィルタ(例えば、Planova 20フィルタ(Asahi Kasei Corporation, Tokyo, Japan))及び限外濾過器を用いた完全な精製プロセスから得られる従来の限外ろ過プールから得た。
次に、Fc受容体カラムを1.0ml/分において12mlのPBSでフラッシュし、1.0ml/分において150mMグリシンpHで溶離した。この手順を28回繰り返した。280nmでの吸光度によって定量されるように全溶出プールは1.8mg及び通過液は15.6mgを有した。
mAb2のグリカンプロファイルを定量するために、通過プールからの約35μgのIgGをPNGase Fで37℃において16時間消化して、Fc-オリゴ糖を遊離した。遊離したN結合オリゴ糖を2-ABで65℃において3時間標識した。残りの2-ABをアセトン沈殿を用いて取り出した。オリゴ糖分析を、蛍光検出においてギ酸アンモニウム線状勾配による45でのXbridge Amide HILIC-HPLCにより行った。
mAb2出発材料は、5.4%の非フコシル化及び1.9%のマンノシル化Fcを有した。Fc受容体カラムは、非フコシル化及びマンノシル化IgG Fcを優先して結合した。カラムを通過するmAb2は、非フコシル化及びマンノシル化IgG Fcを減少させた。mAb2通過材料は、2.1%の非フコシル化及び1.1%のマンノシル化IgG Fcを有した。Fc受容体カラムに結合した材料のグリカンプロファイルは、この場合は測定しなかった。
当業者は、本明細書に記載された本開示の個々の実施態様に対する多くの等価物を日常的な実験を用いて認識するか又は確認することができるであろう。本開示の範囲は、上記の説明に限定されることを意図しない。別の方法及び材料及び追加の適用が、当業者に明らかであり、下記の特許請求の範囲内に包含されることを意図する。

Claims (77)

  1. 負荷流体においてポリペプチドグリコフォームを分離する方法であって、
    (a)免疫グロブリンFc受容体を含む培地を準備する工程、
    (b)ポリペプチドが前記免疫グロブリンFc受容体と結合する条件下で前記培地と該ポリペプチドを含む負荷流体とを接触させる工程であって、前記ポリペプチドが、前記免疫グロブリンFc受容体結合部分を含み、前記負荷流体が、前記ポリペプチドの複数のグリコフォームを含み、且つ前記Fc受容体が、前記グリコフォームの1つ以上と優先して結合する工程、
    (c)結合したポリペプチドが、前記培地から溶離する条件下で該培地と前記溶出液とを接触させる工程、及び
    (d)前記培地から溶出する結合した前記ポリペプチドを回収し、それによって、溶出液を得る工程、
    を含むことを特徴とする方法。
  2. Fc受容体が、他のグリコフォームに結合する親和性より少なくとも2倍、5倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、100倍、又は150倍である親和性で第1のグリコフォームに結合する、請求項1に記載の方法。
  3. 培地と1つ以上の洗浄液とを接触させた後、培地と溶出液とを接触させる工程を含む、請求項1に記載の方法。
  4. 培地を通過するポリペプチドを回収する工程を含む、請求項1に記載の方法。
  5. 培地をそのポリペプチド容量の5-1900%で充填する工程を含む、請求項4に記載の方法。
  6. 負荷流体が、細胞培地を含んでいる、請求項1に記載の方法。
  7. 負荷流体が、1つ以上のイオン交換クロマトグラフィによって精製された流体を含んでいる、請求項1に記載の方法。
  8. 負荷流体が、医薬品又は薬剤物質を含んでいる、請求項1に記載の方法。
  9. 免疫グロブリンFc受容体結合部分が、免疫グロブリンFc領域を含んでいる、請求項1に記載の方法。
  10. ポリペプチドが、抗体を含んでいる、請求項1に記載の方法。
  11. ポリペプチドが、Fc融合タンパク質を含んでいる、請求項1に記載の方法。
  12. ポリペプチドが、単一ドメイン抗体、マキシボディ、ミニボディ、細胞内抗体、小モジュラー免疫薬(SMIP)、IgG-scFv二重特異性抗体、抗体-ペプチド結合体、抗体-薬剤結合体、及びウイルス又はウイルスカプシド上のFc受容体結合ポリペプチド抗体より選ばれる1つ以上の抗体を含んでいる、請求項1に記載の方法。
  13. ポリペプチドが、哺乳類細胞において生産される、請求項1に記載の方法。
  14. ポリペプチドが、真菌細胞において生産される、請求項1に記載の方法。
  15. ポリペプチドが、昆虫細胞において生産される、請求項1に記載の方法。
  16. ポリペプチドが、植物細胞において生産される、請求項1に記載の方法。
  17. ポリペプチドが、CHO細胞において生産される、請求項13に記載の方法。
  18. ポリペプチドが、NS0細胞において生産される、請求項13に記載の方法。
  19. ポリペプチドが、Sp2/0細胞において生産される、請求項13に記載の方法。
  20. Fc受容体が、フコースが減少したグリコフォームに優先して結合する、請求項1に記載の方法。
  21. Fc受容体が、コアN-フコースが減少したポリペプチドグリコフォームに優先して結合する、請求項20に記載の方法。
  22. Fc受容体が、高マンノースオリゴ糖が増加したポリペプチドグリコフォームに優先して結合する、請求項1に記載の方法。
  23. Fc受容体が、グリコシル化される、請求項1に記載の方法。
  24. Fc受容体が、FcガンマRIIIポリペプチド又はFcガンマRIVポリペプチドのFc結合部分を含んでいる、請求項1に記載の方法。
  25. Fc受容体が、FcガンマRIIIポリペプチド又はFcガンマRIVポリペプチドの細胞外ドメインを含んでいる、請求項21に記載の方法。
  26. Fc受容体が、配列番号1のアミノ酸残基21-209と少なくとも85%同一の配列を含んでいる、請求項24に記載の方法。
  27. FcガンマRIIIポリペプチドの細胞外ドメインが、V176アロタイプである、請求項25に記載の方法。
  28. Fc受容体が、全長FcガンマRIIIポリペプチドを含んでいる、請求項25に記載の方法。
  29. 負荷流体がFc受容体に優先して結合する第1のグリコフォームを含み、且つ溶出液中の第1のグリコフォームのパーセントが負荷流体に対して相対的に少なくとも20%だけ増加する、請求項1に記載の方法。
  30. 溶出液中の第1のグリコフォームのパーセントが、負荷流体に対して相対的に少なくとも50%、100%、2倍、5倍、10倍、又は20倍だけ増加する、請求項29に記載の方法。
  31. 溶出液中の第1のグリコフォームのパーセントが、少なくとも20%、30%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、又は80%である、請求項29に記載の方法。
  32. 第1のグリコフォームが、低フコシル化グリコフォームである、請求項29に記載の方法。
  33. 第1のグリコフォームが、シアリル化がない又はシアリル化が低下したグリコフォームである、請求項29に記載の方法。
  34. 第1のグリコフォームが、ガラクトシル化グリコフォームである、請求項29に記載の方法。
  35. 第1のグリコフォームが、高マンノースオリゴ糖を有するグリコフォームである、請求項29に記載の方法。
  36. 溶出液が、培地から溶離した結合ポリペプチドの1つ以上の画分を含んでいる、請求項1に記載の方法。
  37. 溶出液を分別することを更に含む、請求項1に記載の方法。
  38. 負荷流体が、Fc受容体に優先して結合しない第2のグリコフォームを含み、且つ溶出液中の第2のグリコフォームのパーセントが負荷流体に対して相対的に低下する、請求項1に記載の方法。
  39. 流出液中のポリペプチドの生物活性が、負荷流体中のポリペプチドの活性に対して相対的に変えられる、請求項1に記載の方法。
  40. 生物活性が、抗体依存性細胞仲介細胞毒性(ADCC)を含み、且つADCCを増加させる、請求項39に記載の方法。
  41. 培地を通過したポリペプチドの生物活性が、負荷流体中のポリペプチドの活性に対して相対的に変えられる、請求項4に記載の方法。
  42. 培地が、ビーズ、膜、モノリス、繊維マトリックス、多孔質媒体、又はゲルを含んでいる、請求項1に記載の方法。
  43. 培地が、アガロース、セルロース、又はデキストラン、セラミック、金属、ガラス、ナイロン、テフロン、ナイロン、ポリカーボネート、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスルホン、ポリエステル、ポリフッ化ビニリデン、フルオロカーボン、ポリエチレン、ポリアクリレート、又はポリ(アゾラクトン)を含んでいる、請求項1に記載の方法。
  44. Fc受容体が、架橋剤又は酵素仲介カップリングを介して培地に結合される、請求項1に記載の方法。
  45. Fc受容体が、ジスルフィド結合、金属キレート化、臭化シアン、NHS結合、ヒスチジンタグ、グリシジルエーテル、エポキシ、トレシルクロリド結合、トシルクロリド結合、EAH結合、ECH結合、活性化チオール結合、又はチオプロピル結合を介して培地に結合される、請求項1に記載の方法。
  46. 培地が、Fc受容体を0.1〜15mg/mLの濃度で含んでいる、請求項1に記載の方法。
  47. 培地を、pH 3.5〜10において、1〜500mMの緩衝液、及び0〜2000mMの塩を含む平衡溶液で平衡化した後、培地と負荷流体とを接触させる、請求項1に記載の方法。
  48. 負荷流体が、ポリペプチドを0.001〜100mg/mLの濃度で含む、請求項1に記載の方法。
  49. 培地と接触させたポリペプチドの量が、0.1〜25,000mgのポリペプチド/mL培地の範囲にある、請求項1に記載の方法。
  50. 1つ以上の洗浄液が、1〜500mMの緩衝液、及び0〜2000mMの塩、及び/又は添加剤及び/又は溶媒をpH 3.5〜10で含んでいる、請求項3に記載の方法。
  51. 溶出液が、pH 2〜5及び又は0〜2000mMの塩、及び/又は添加剤及び/又は溶媒を有する、請求項1に記載の方法。
  52. 培地を、pH勾配が適用される条件下で1つ以上の溶出液と接触させる、請求項1に記載の方法。
  53. 溶出液を中和する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
  54. 溶出液と第2の培地とを接触させる工程、及び第2の培地を通過するか、又は2の培地から溶離されるポリペプチドを回収する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
  55. 第2の培地が、イオン交換培地、ヒドロキシアパタイト培地、プロテインA培地、疎水性相互作用培地、固定された金属親和性培地、合成培地(バイオミメティック)、レクチン、又はこれらの組み合わせを含んでいる、請求項54に記載の方法。
  56. 溶出液中のポリペプチドから医薬組成物を製造する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
  57. 培地を通過したポリペプチドから医薬組成物を製造する工程を更に含む、請求項4に記載の方法。
  58. 培地から溶離したポリペプチドの特性を分析する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
  59. ポリペプチドからのオリゴ糖が分析される、請求項58に記載の方法。
  60. ポリペプチドの生物活性が分析される、請求項58に記載の方法。
  61. 1つ以上の毒性、安定性、又は有効性が分析される、請求項58に記載の方法。
  62. 分析する工程が、更に、負荷流体中のポリペプチド及び/又は培地を通過したポリペプチドを分析する工程を含んでいる、請求項58に記載の方法。
  63. 培地を通過したポリペプチドを分析する工程を含んでいる、請求項4に記載の方法。
  64. ポリペプチド上のオリゴ糖が分析される、請求項63に記載の方法。
  65. 1つ以上の毒性、安定性、又は有効性が分析される、請求項63に記載の方法。
  66. ポリペプチドの生物活性が分析される、請求項63に記載の方法。
  67. 請求項1に記載の方法によって回収されたポリペプチドを含む組成物。
  68. (a)Fc受容体を含む培地を準備する工程であって、Fc受容体がFcガンマRIIIポリペプチドのFc結合部分を含んでいる工程、
    (b)ポリペプチドが培地に結合する条件下で培地とポリペプチドを含む負荷流体とを接触させる工程であって、ポリペプチドが、免疫グロブリンFc領域を含む工程、
    (c)結合したポリペプチドが培地から溶離する条件下で培地と溶出液とを接触させる工程、及び
    (d)培地から溶出する結合したポリペプチドを回収し、それによって、溶出液を得る工程、
    を含むことを特徴とする方法。
  69. Fc受容体が、FcガンマRIIIポリペプチドの細胞外ドメイン含んでいる、請求項68に記載の方法。
  70. 固体担体に結合したFc受容体を含んでいる培地であって、Fc受容体が、FcガンマRIIIポリペプチドのFc結合部分を含むことを特徴とする培地。
  71. 固体担体が、アガロース、セルロース、又はデキストラン、セラミック、金属、ガラス、ナイロン、テフロン、ナイロン、ポリカーボネート、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスルホン、ポリエステル、ポリフッ化ビニリデン、フルオロカーボン(例えばポリ(テトラフルオロエチレン-コ-ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル))、ポリエチレン、ポリアクリレート、又はポリ(アゾラクトン)を含んでいる、請求項70に記載の方法。
  72. 固体担体が、ビーズ、膜、モノリス、繊維マトリックス、多孔質媒体、又はゲルを含んでいる、請求項70に記載の方法。
  73. 負荷流体が、血清IgGを含んでいる、請求項1又は68に記載の方法。
  74. 免疫グロブリンFc受容体が、FcガンマRIIIa V176、FcガンマRIIIa F176、FcガンマRIIIb NA1、FcガンマRIIIb NA2、FcガンマRIIa H131、FcガンマRIIa R131、FcガンマRIIb I232、及びFcガンマRIIb T232からなる群より選ばれる、請求項1に記載の方法。
  75. (a)固体担体に結合した免疫グロブリンFc受容体を含む培地であって、免疫グロブリンFc受容体が、FcガンマRIポリペプチド、FcガンマRIIポリペプチド、FcガンマRIIIポリペプチド、及びFcガンマRIVポリペプチドのFc結合部分からなる群より選ばれるFc結合部分を含んでいる培地; 及び(b)請求項1に記載の方法に従って用いられる説明書を含むことを特徴とするキット。
  76. 固体担体が、アガロース、セルロース、又はデキストラン、セラミック、金属、ガラス、ナイロン、テフロン、ナイロン、ポリカーボネート、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスルホン、ポリエステル、ポリフッ化ビニリデン、フルオロカーボン(例えばポリ(テトラフルオロエチレン-コ-ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル))、ポリエチレン、ポリアクリレート、又はポリ(アゾラクトン)を含んでいる、請求項75に記載の方法。
  77. 固体担体が、ビーズ、膜、モノリス、繊維マトリックス、多孔質媒体、又はゲルを含んでいる、請求項75に記載のキット。
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