例示的な共焦点顕微鏡の様々な実施形態が、図面を参照して説明される。尚、以下に説明される実施形態において、同一の構成要素に対して同一の符号が付されている。また、説明の明瞭化のため、重複する説明は省略される。図面に示される構成、配置或いは形状並びに図面に関連する記載は、単に本実施形態の原理を容易に理解させることを目的とする。したがって、以下の実施形態の原理は、これらに何ら限定されない。
<従来技術が有する問題点>
本発明者等は、従来の顕微鏡技術を研究し、様々な課題を見出した。後述の様々な実施形態によって説明される共焦点顕微鏡は、これらの課題を解消すべく開発されている。
(特許文献1の顕微鏡技術が内包する課題)
図17を参照して、特許文献1の顕微鏡900が有する課題が説明される。
上述の如く、観察者は、顕微鏡900の偏光板925,930を操作し、反射光及び透過光の偏光方向を制御することができる。偏光方向の制御の結果、顕微鏡900は、透過光から生成された画像信号及び反射光から生成された画像信号のうち一方のみを選択的に生成することができる。
顕微鏡900は、透過光から生成された画像信号及び反射光から生成された画像信号の生成のために単独の信号生成素子(受光素子932)のみを有する。したがって、顕微鏡900は、透過像と反射像とを同時に作り出すことはできない。このことは、時間的に変化する特性を有する試料(例えば、生体組織や細胞)の観察には不都合である。
透過光及び反射光は、共通の受光素子932に入射するので、観察者は、透過像及び反射像を取得するために、偏光板925,930に対する機械的な操作をしなければならない。偏光板925,935の機械的な操作には、ある程度の時間が必要とされる。したがって、顕微鏡900は、透過像と反射像とを素早く取得することが必要とされる用途には不向きである。
偏光板925,930に対する機械的な操作は、透過光及び反射光の光路に対する偏光板925,930の位置的な誤差を生じさせることもある。位置的な誤差は、透過像及び反射像の精度の低下に帰結する。例えば、偏光板925,930に対する機械的な操作の結果、偏光板925,930の位置的な誤差が生ずるならば、透過像及び反射像のうち一方に透過像及び反射像のうち他方が現れる現象(以下、「クロストーク」と称される)が生ずることもある。すなわち、受光素子932が生成する画像信号の信号対雑音比(以下、SN比と称される)が低下する。
顕微鏡900は、組立作業においても課題を有する。顕微鏡900を用いて精度のよい透過像及び反射像を得るためには、ペンタプリズム926から出射された透過光の光路は、反射光の光路に一致している必要がある。しかしながら、透過光と反射光との間での光路を一致させるための光軸調整作業は、高い精度を要求する。したがって、顕微鏡900に対する初期調整は、非常に熟練した技能を必要とする。
透過光と反射光との間での光軸のずれは、外的要因(例えば、周囲温度の変動や振動)によって引き起こされることもある。このことは、顕微鏡900から得られた画像データの不十分な再現性や不安定性を意味する。
顕微鏡900から得られた画像データの精度は、試料の光学的特性にも依存する。試料が複屈折を生じさせる光学的特性を有するならば、透過光及び反射光の偏光に乱れが生ずる。この結果、観察者は、精度のよい透過像及び反射像を得ることができない。例えば、上述のクロストークの発生に起因するSN比の低下が画像データに表れることもある。
(特許文献2の顕微鏡技術が内包する課題)
特許文献2の顕微鏡技術は、特許文献1の顕微鏡技術とは異なり、2つの受光素子を利用する。2つの受光素子のうち一方は、透過光を専ら受光する。2つの受光素子のうち他方は、反射光を専ら受光する。しかしながら、透過光及び反射光は、共通の光路に沿って伝搬する。したがって、特許文献1の顕微鏡技術と同様に、特許文献2の顕微鏡技術の画像精度は、試料の光学的な特性に影響されやすい。試料が複屈折を生じさせる光学的特性を有するならば、クロストークに起因するSN比の低下が生ずることもある。
特許文献2によれば、観察者は、試料としてフォトマスクを観察し、フォトマスクの欠陥を検出する。フォトマスクは、複屈折を生じず、且つ、フォトマスクから発せられる透過光及び反射光の光量が大きいので、特許文献2の顕微鏡技術は、フォトマスクの欠陥を高い精度で検出可能である。しかしながら、フォトマスクに代えて、生体組織が観察されるならば、生体組織は、複雑な内部形状を有し、且つ、生体組織へ照射可能な光量はフォトマスクに比べて非常に小さいので、特許文献2の顕微鏡技術は、高いSN比を達成することはできない。
<第1実施形態>
本発明者等は、様々な試料に対して、高い精度の画像データを作り出すことができる共焦点顕微鏡を開発した。第1実施形態に関連して説明される技術的原理は、試料中の屈折率差及び試料の反射率が少ない条件下においても、透過像と反射像とを略同時に取得することを可能にする。したがって、第1実施形態に関連して説明される技術的原理は、生体組織や細胞の観察に好適に適用可能である。第1実施形態に関連して説明される技術的原理は、観察者が、蛍光材料を用いた着色作業を行うことなく、生体組織や細胞を非侵襲的に観察することを可能にする。尚、第1実施形態に関連して説明される技術的原理は、生体組織や細胞以外の観察にも好適に利用可能である。したがって、試料の種類は、第1実施形態の原理を何ら限定しない。
図1は、第1実施形態の共焦点顕微鏡(以下、顕微鏡100と称される)の概略的なブロック図である。図1を参照して、顕微鏡100が説明される。
観察者は、顕微鏡100を用いて、試料SMPを観察することができる。顕微鏡100は、光生成部200と、走査部300と、調整部400と、第1信号生成部500と、第2信号生成部600と、画像生成部700と、を備える。
光生成部200は、光束LFを出射する。光束LFは、走査部300を経由して、試料SMPに到達する。この結果、試料SMPを透過した透過光TL及び試料SMPから反射された反射光RLが同時に生成される。光生成部200は、レーザ、電球、発光ダイオード、ハロゲンランプ、赤外光源や試料SMPの観察に適した光を出射することができる他の光源を含んでもよい。本実施形態の原理は、光生成部200に用いられる特定の光源に限定されない。
走査部300は、光束LFを用いて、試料SMPを光学的に走査する。走査部300が、試料SMPに対する光束LFの照射位置を2次元的に順次変化させるならば、観察者は、試料SMPの2次元的な画像データを取得することができる。尚、本実施形態の原理は、走査部300が実行する特定の走査動作に限定されない。
反射光RLは、試料SMPから走査部300へ伝搬する。その後、反射光RLは、走査部300から第1信号生成部500に伝搬する。本実施形態において、第1光路は、走査部300から第1信号生成部500へ向かう反射光RLの光路によって例示される。
走査部300は、試料SMPに対する光学的な走査を実行すると同時に、反射光RLが第1信号生成部500へ到達するように、走査部300から第1信号生成部500へ向かう反射光RLの方向を定める。試料SMPに対する光学的な走査と第1信号生成部500による反射光RLの受光とを両立させるための光学的設計は、既知の様々な設計技術に基づくことができる。したがって、本実施形態の原理は、光生成部200、走査部300、試料SMP及び第1信号生成部500の間で形成される光路を規定する光学素子群の特定の配置に限定されない。
透過光TLは、試料SMPから調整部400へ伝搬する。その後、透過光TLは、調整部400から第2信号生成部600へ伝搬する。特許文献1及び特許文献2の顕微鏡技術とは異なり、透過光TLの光路は、反射光RLから分離している。したがって、特許文献1の顕微鏡技術とは異なり、顕微鏡100は、透過光TLと反射光RLとの間での繊細な光軸調整を要求しない。加えて、顕微鏡100は、クロストークといった従来の課題に直面しにくい。本実施形態において、第2光路は、試料SMPから調整部400を経由して第2信号生成部600へ至る透過光TLの光路によって例示される。
走査部300の走査動作の結果、試料SMPから調整部400に至る透過光TLの光路は角度的に変化する。試料SMPと調整部400との間での透過光TLの光路の角度的変化の下においても、第2信号生成部600が透過光TLを適切に受光できるように、調整部400は、透過光TLの光路の方向を角度的に調整する。
第1信号生成部500は、反射光RLを受光する。その後、第1信号生成部500は、反射光RLに応じた第1信号FSを生成する。第1信号生成部500は、反射光RLの強度や光量に応じた大きさの振幅や電圧レベルを有する信号を第1信号FSとして生成してもよい。反射光RLが大きな光量を有するならば、第1信号生成部500は、大きな振幅を有する信号を第1信号FSとして出力してもよい。尚、本実施形態の原理は、第1信号生成部500の特定の信号生成技術に限定されない。
第2信号生成部600は、透過光TLを受光する。その後、第2信号生成部600は、透過光TLに応じた第2信号SSを生成する。第2信号生成部600は、透過光TLの強度や光量に応じた大きさの振幅や電圧レベルを有する信号を第2信号SSとして生成してもよい。透過光TLが大きな光量を有するならば、第2信号生成部600は、大きな振幅を有する信号を第2信号SSとして出力してもよい。尚、本実施形態の原理は、第2信号生成部600の特定の信号生成技術に限定されない。
第1信号FSは、第1信号生成部500から画像生成部700へ出力される。第2信号SSは、第2信号生成部600から画像生成部700へ出力される。第1信号生成部500から画像生成部700への第1信号FSの伝達は、反射光RLによって表される反射像のデータの伝達を意味する。第2信号生成部600から画像生成部700への第2信号SSの伝達は、透過光TLによって表される透過像のデータの伝達を意味する。画像生成部700は、第1信号FS及び第2信号SSに応じて、反射像及び透過像が合成された合成画像を生成する。観察者は、合成画像を観察し、反射像から得られる画像情報と透過像から得られる画像情報とを同時に取得することができる。反射像によって表される試料SMPと透過像によって表される試料SMPとの間には、時間的な差異がほとんど存在しないので、観察者は、試料SMPの状態に関する正確な情報を取得することができる。
画像生成部700は、試料SMPの光学的特性に応じて、生成される画像の種類を変更してもよい。試料SMPが全体的に低い反射率を有するならば、画像生成部700は、合成画像に代えて、透過像を生成してもよい。試料SMPが全体的に高い反射率を有するならば、画像生成部700は、合成画像に代えて、反射像を生成してもよい。観察者は、画像生成部700を操作し、画像生成部700が生成する画像の種類を、合成画像、透過像及び反射像から選択してもよい。本実施形態の原理は、画像生成部700の特定の画像生成技術に限定されない。
試料SMPが反射率及び/又は透過率の大きな変動を有しているならば、画像生成部700による合成画像の生成は有益である。透過像は、試料SMP中の透過率が低い領域に関する情報をほとんど含まないのに対して、反射像は、試料SMP中の透過率が低い領域に関する情報を多く含むことができる。したがって、画像生成部700は、試料SMP中の透過率が低い領域に反射像を当て嵌めてもよい。反射像は、試料SMP中の反射率が低い領域に関する情報をほとんど含まないのに対して、透過像は、試料SMP中の反射率が低い領域に関する情報を多く含むことができる。したがって、画像生成部700は、試料SMP中の反射率が低い領域に透過像を当て嵌めてもよい。この結果、観察者は、合成画像から試料SMPに関する多くの情報を取得することができる。
画像生成部700は、試料SMPの輪郭を表現するために、透過像を用いてもよい。光束LFが試料SMPから外れた位置に照射されるならば、第2信号SSの信号強度は強くなる。光束LFが試料SMPに照射されると、試料SMPは、光束LFの散乱や吸収を生じさせるので、透過光TLの光量は低くなる。したがって、光束LFが試料SMPに照射されている間の第2信号SSの信号強度は弱くなる。したがって、画像生成部700は、透過像を表す第2信号SSを用いて、試料SMPの輪郭を高いコントラストで表現することができる。
試料SMPとして、生体組織や細胞といった低い反射率の物質が観察されるならば、反射像は、試料SMPの輪郭を表現するのに不向きである。しかしながら、試料SMPの表面の状態や内部の状態は、試料SMP中の反射率の変化となって現れるので、反射像は、試料SMPの表面の状態や内部の状態を表現するために利用されてもよい。画像生成部700が、試料SMPの輪郭領域に対して、第2信号SSを利用し、且つ、輪郭領域に囲まれる試料SMPの内部領域に対して、第1信号FSを利用するならば、試料SMPの多くの特徴を表現する合成画像が得られる。
顕微鏡100は、透過像と反射像とを合成した合成画像を生成するので、観察者は、試料SMPの反射率を増大させるための予備的処理(例えば、蛍光材料の添加)を行わなくてもよい。したがって、試料SMPとして、生体組織や細胞が観察されるならば、観察者は、生存状態にある生体組織や細胞を観察することができる。
<第2実施形態>
設計者は、第1実施形態の原理を利用して、様々な共焦点顕微鏡を設計することができる。第2実施形態において、第1実施形態の原理に基づいて設計された例示的な共焦点顕微鏡が説明される。
図2は、第2実施形態の共焦点顕微鏡(以下、顕微鏡100Aと称される)の概略図である。図1及び図2を参照して、顕微鏡100Aが説明される。第1実施形態及び第2実施形態の間で共通して用いられる符号は、当該共通の符号が付された要素が、第1実施形態と同一の機能を有することを意味する。したがって、第1実施形態の説明は、これらの要素に援用される。
顕微鏡100Aは、レーザ光源210と、コリメートレンズ215と、ビームスプリッタ220と、リレーレンズ225,230と、反射ミラー235と、対物レンズ240と、を備える。レーザ光源210、コリメートレンズ215、ビームスプリッタ220、リレーレンズ225,230、反射ミラー235及び対物レンズ240は、図1を参照して説明された光生成部200の一部として設計されている。
顕微鏡100Aは、第1偏向ミラー310と、第2偏向ミラー320と、第1駆動モータ315と、第2駆動モータ325と、を更に備える。第1偏向ミラー310、第2偏向ミラー320、第1駆動モータ315及び第2駆動モータ325は、図1を参照して説明された走査部300として設計されている。
レーザ光源210は、レーザ光LBをコリメートレンズ215へ出射する。レーザ光LBは、図1を参照して説明された光束LFに対応する。本実施形態において、光源部は、レーザ光源210によって例示される。出射光は、レーザ光LBによって例示される。
コリメートレンズ215は、レーザ光LBを平行光にする。レーザ光LBは、その後、ビームスプリッタ220に入射する。ビームスプリッタ220は、第1偏向ミラー310に向けて、レーザ光LBを反射する。その後、第1偏向ミラー310は、レーザ光LBを第2偏向ミラー320に向けて反射する。第2偏向ミラー320は、反射ミラー235に向けてレーザ光LBを反射する。レーザ光LBは、リレーレンズ225,230を順次通過し、反射ミラー235に入射する。反射ミラー235は、対物レンズ240に向けて、レーザ光LBを反射する。リレーレンズ225,230は、第2偏向ミラー320及び対物レンズ240の出射瞳との間での共役関係が得られるように配置されている。したがって、レーザ光LBは、対物レンズ240に、適切な位置及び適切な角度で入射することができる。本実施形態において、第1反射部は、第1偏向ミラー310及び第2偏向ミラー320の組によって例示される。
対物レンズ240は、レーザ光LBを試料SMPに向けて集光し、試料焦点SFPを形成する。試料焦点SFPの位置は、走査部300として設計された第1偏向ミラー310、第2偏向ミラー320、第1駆動モータ315及び第2駆動モータ325の動作に応じて変化する。
顕微鏡100Aは、スライドガラス110を更に備える。観察者は、スライドガラス110に試料SMPを載置することができる。第1偏向ミラー310は、第1駆動モータ315に接続される。第1駆動モータ315は、第1偏向ミラー310に回転運動を与える。この結果、試料焦点SFPは、スライドガラス110上で規定された主走査方向に直線的に移動する。第2偏向ミラー320は、第2駆動モータ325に接続される。第2駆動モータ325は、第2偏向ミラー320に回転運動を与える。この結果、試料焦点SFPは、スライドガラス110上で規定された主走査方向に対して略直角な副走査方向に直線的に移動する。したがって、試料焦点SFPは、試料SMPが載置されたスライドガラス110の面に略平行な仮想平面上で移動することができる。設計者は、顕微鏡100Aに対する設計条件を鑑みて、主走査方向及び副走査方向を定義してもよい。したがって、主走査方向及び副走査方向に関する定義は、本実施形態の原理を何ら制限しない。本実施形態において、第1駆動部は、第1駆動モータ315と第2駆動モータ325との組によって例示される。
本実施形態において、第1偏向ミラー310、第2偏向ミラー320、第1駆動モータ315及び第2駆動モータ325は、走査部300として設計されている。代替的に、走査部300は、音響光学素子、電気光学素子、ガルバノミラー、ポリゴンミラー、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)や試料SMPを高速で光学的に走査することができる他の光学素子を用いて設計されてもよい。
レーザ光LBの一部は、試料SMPによって、反射され、反射光RLになる。試料焦点SFPから発せられる反射光RLは、発散光である。反射光RLは、試料焦点SFPから対物レンズ240へ向かう。対物レンズ240は、反射光RLを平行光にする。その後、反射光RLは、反射ミラー235によって反射され、リレーレンズ230,225を経由して、第2偏向ミラー320に入射する。第2偏向ミラー320は、第1偏向ミラー310へ反射光RLを反射する。反射光RLは、その後、第1偏向ミラー310によって、ビームスプリッタ220に向けて反射される。本実施形態において、第1平行光は、対物レンズ240によって形成された平行光によって例示される。
顕微鏡100Aは、第1検出レンズ510と、第1ピンホール部材520と、第1光検出器530と、を更に備える。第1検出レンズ510、第1ピンホール部材520及び第1光検出器530は、図1を参照して説明された第1信号生成部500として設計されている。
反射光RLは、ビームスプリッタ220を通過し、第1検出レンズ510に入射する。第1検出レンズ510は、反射光RLを集光し、第1焦点FP1を形成する。本実施形態において、第1集光部は、第1検出レンズ510によって例示される。第1光路は、試料SMPとビームスプリッタ220との間のレーザ光LB及び反射光RLの光路によって例示される。
第1ピンホール部材520には、第1焦点FP1周りに第1ピンホール521が形成されている。第1ピンホール部材520は、第1ピンホール521を取り巻く遮断領域522を含む。第1焦点FP1を形成する反射光RLの成分は、第1ピンホール521を通じて、第1光検出器530へ伝搬する。遮断領域522は、第1焦点FP1の周りの反射光RLの迷光成分を除去する。本実施形態において、第1通過部材は、第1ピンホール部材520によって例示される。第1通過領域は、第1ピンホール521によって例示される。第1遮断領域は、遮断領域522によって例示される。
第1光検出器530は、第1ピンホール521を通過した反射光RLの強度を検出する。その後、第1光検出器530は、反射光RLの強度に応じた第1信号FSを生成する。本実施形態において、第1検出器は、第1光検出器530によって例示される。
顕微鏡100Aは、コリメートレンズ245と、反射ミラー250と、リレーレンズ255,260と、を更に備える。コリメートレンズ245、反射ミラー250及びリレーレンズ255,260は、図1を参照して説明された光生成部200の一部として設計される。
レーザ光LBの一部は、透過光TLとして試料SMPを通過し、コリメートレンズ245に入射する。コリメートレンズ245に向かう透過光TLは、発散光である。コリメートレンズ245は、透過光TLを平行光にする。コリメートレンズ245は、対物レンズ240と同等の光学的特性を有してもよい。本実施形態において、第2平行光は、コリメートレンズ245によって形成された平行光によって例示される。
コリメートレンズ245を通過した透過光TLは、反射ミラー250によって、リレーレンズ255,260に向けて反射される。透過光TLは、その後、リレーレンズ260から出射される。リレーレンズ260から出射される透過光TLは、平行光である。
顕微鏡100Aは、第3偏向ミラー410と、第4偏向ミラー420と、第3駆動モータ415と、第4駆動モータ425と、を更に備える。第3偏向ミラー410、第4偏向ミラー420、第3駆動モータ415及び第4駆動モータ425は、図1を参照して説明された調整部400として設計されている。
第3偏向ミラー410は、第3駆動モータ415に接続される。第3駆動モータ415は、第3偏向ミラー410に回転運動を与える。第3偏向ミラー410の配置(例えば、透過光TLの光路に対する傾斜角度)は、第1偏向ミラー310の配置(例えば、反射光RLの光路に対する傾斜角度)に対応して決定されてもよい。第3偏向ミラー410及び第3駆動モータ415は、主走査方向における試料焦点SFPの変位に起因する透過光TLの光路の変化を低減させるように動作する。
第4偏向ミラー420は、第4駆動モータ425に接続される。第4駆動モータ425は、第4偏向ミラー420に回転運動を与える。第4偏向ミラー420の配置(例えば、透過光TLの光路に対する傾斜角度)は、第2偏向ミラー320の配置(例えば、反射光RLの光路に対する傾斜角度)に対応して決定されてもよい。第4偏向ミラー420及び第4駆動モータ425は、副走査方向における試料焦点SFPの変位に起因する透過光TLの光路の変化を低減させるように動作する。
顕微鏡100Aは、制御部120を更に備える。制御部120は、第1駆動モータ315、第2駆動モータ325、第3駆動モータ415及び第4駆動モータ425を制御する。制御部120は、第3駆動モータ415の動作を第1駆動モータ315の動作に関連づけてもよい。制御部120は、第4駆動モータ425の動作を第2駆動モータ325の動作に関連づけてもよい。
リレーレンズ260を通過した透過光TLは、第4偏向ミラー420によって、第3偏向ミラー410へ反射される。第3偏向ミラー410は、図1を参照して説明される第2信号生成部600として設計された光学素子群に向けて透過光TLを反射する。試料SMPからリレーレンズ260までの透過光TLの光路は、試料焦点SFPの変位によって変動する。制御部120は、試料焦点SFPの変位に応じて(すなわち、第1駆動モータ315及び第2駆動モータ325の動作に応じて)、第3駆動モータ415及び第4駆動モータ425を制御するので、第3偏向ミラー410によって反射された透過光TLの光路は、位置的に安定する。本実施形態において、第2反射部は、第3偏向ミラー410と第4偏向ミラー420との組によって例示される。第2駆動部は、第3駆動モータ415と第4駆動モータ425との組によって例示される。
顕微鏡100Aは、第2検出レンズ610と、第2ピンホール部材620と、第2光検出器630と、を更に備える。第2検出レンズ610、第2ピンホール部材620及び第2光検出器630は、図1を参照して説明された第2信号生成部600として設計されている。
第3偏向ミラー410によって反射された透過光TLは、第2検出レンズ610に入射する。第2検出レンズ610は、透過光TLを集光し、第2焦点FP2を形成する。本実施形態において、第2集光部は、第2検出レンズ610によって例示される。第2光路は、試料SMPと第2検出レンズ610との間の透過光TLの光路によって例示される。
第2ピンホール部材620には、第2焦点FP2周りに第2ピンホール621が形成されている。第2ピンホール部材620は、第2ピンホール621を取り巻く遮断領域622を含む。第2焦点FP2を形成する透過光TLの成分は、第2ピンホール621を通じて、第2光検出器630へ伝搬する。遮断領域622は、第2焦点FP2の周りの透過光TLの迷光成分を除去する。本実施形態において、第2通過部材は、第2ピンホール部材620によって例示される。第2通過領域は、第2ピンホール621によって例示される。第2遮断領域は、遮断領域622によって例示される。
第2光検出器630は、第2ピンホール621を通過した透過光TLの強度を検出する。その後、第2光検出器630は、透過光TLの強度に応じた第2信号SSを生成する。本実施形態において、第2検出器は、第2光検出器630によって例示される。
試料焦点SFPと第1焦点FP1との間並びに試料焦点SFPと第2焦点FP2との間には共役関係が存在する。第1ピンホール部材520は、第1焦点FP1に合致するように第1ピンホール521を規定する。第2ピンホール部材620は、第2焦点FP2に合致するように第2ピンホール621を規定する。したがって、第1ピンホール部材520は、第1焦点FP1を形成する反射光RLの成分の透過を許容する一方で、第1焦点FP1の周囲の不要な迷光成分の多くを除去することができる。同様に、第2ピンホール部材620は、第2焦点FP2を形成する透過光TLの成分の透過を許容する一方で、第2焦点FP2の周囲の不要な迷光成分の多くを除去することができる。この結果、第1信号FSは、第1焦点FP1の周囲の迷光成分に起因するノイズをほとんど含まないことになる。同様に、第2信号SSは、第2焦点FP2の周囲の迷光成分に起因するノイズをほとんど含まないことになる。このことは、顕微鏡100Aが、高い解像度及び高いコントラストを有する画像を生成可能であることを意味する。
第1光検出器530は、一般的な光電変換素子を含んでもよい。同様に、第2光検出器630は、一般的な光電変換素子を含んでもよい。第1ピンホール部材520を通過した反射光RLを受光した第1光検出器530は、反射光RLの強度を表す信号を第1信号FSとして生成する。第2ピンホール部材620を通過した透過光TLを受光した第2光検出器630は、透過光TLの強度を表す信号を第2信号SSとして生成する。
顕微鏡100Aは、第1信号処理装置710と、第2信号処理装置720と、画像生成装置730と、表示装置740と、を備える。第1信号処理装置710、第2信号処理装置720、画像生成装置730及び表示装置740は、図1を参照して説明された画像生成部700として設計される。
第1信号FSは、第1光検出器530から第1信号処理装置710へ出力される。第1信号処理装置710は、第1信号FSに対して、ノイズ除去処理、信号増幅処理や信号減衰処理といった様々な信号処理を行ってもよい。第1信号処理装置710によって所定の処理を受けた第1信号FSは、画像生成装置730へ出力される。尚、本実施形態の原理は、第1信号処理装置710が実行する特定の信号処理に限定されない。
第2信号SSは、第2光検出器630から第2信号処理装置720へ出力される。第2信号処理装置720は、第2信号SSに対して、ノイズ除去処理、信号増幅処理や信号減衰処理といった様々な信号処理を行ってもよい。第2信号処理装置720によって所定の処理を受けた第2信号SSは、画像生成装置730へ出力される。尚、本実施形態の原理は、第2信号処理装置720が実行する特定の信号処理に限定されない。
画像生成装置730は、第1信号処理装置710によって処理された第1信号FSと第2信号処理装置720によって処理された第2信号SSとから、試料SMPの画像を生成する。画像生成装置730は、第1信号FSから試料SMPの反射像を生成する。画像生成装置730は、第2信号SSから試料SMPの透過像を生成する。画像生成装置730は、反射像と透過像とを合成し、合成画像を生成する。
合成画像を表す画像信号は、画像生成装置730から表示装置740へ出力される。表示装置740は、画像信号に応じて、合成画像を表示する。観察者は、表示装置740上に映し出された合成画像を観察し、試料SMPに関する情報を取得することができる。表示装置740は、一般的なパーソナルコンピュータに用いられるモニタや一般的なTV装置であってもよい。本実施形態の原理は、表示装置740によっては何ら限定されない。
図3は、制御部120の制御を表す概念図である。図2及び図3を参照して、制御部120の制御が説明される。
図3は、試料焦点SFP、第1焦点FP1及び第2焦点FP2を示す。図3のセクション(a)において、試料焦点SFP、第1焦点FP1及び第2焦点FP2は、初期位置に存在する。図3のセクション(b)は、制御部120が第1偏向ミラー310のみを回転させたときにおける試料焦点SFP、第1焦点FP1及び第2焦点FP2の動作を表す。図3のセクション(c)は、制御部120が第1偏向ミラー310の回転動作に同期させて第3偏向ミラー410を回転動作させたときにおける試料焦点SFP、第1焦点FP1及び第2焦点FP2の動作を表す。
図3は、スライドガラス110上で概念的に設定されたXY座標を示す。X軸は、主走査方向を表す。Y軸は、副走査方向を表す。
図3は、第1ピンホール部材520上で概念的に設定されたX1Y1座標を示す。X1軸は、上述のXY座標のX軸に対応する。Y1軸は、上述のXY座標のY軸に対応する。X1Y1座標の原点は、第1ピンホール521の中心に設定されている。
図3は、第2ピンホール部材620上で概念的に設定されたX2Y2座標を示す。X2軸は、上述のXY座標のX軸に対応する。Y2軸は、上述のXY座標のY軸に対応する。X2Y2座標の原点は、第2ピンホール621の中心に設定されている。
セクション(a)に示される如く、試料焦点SFP、第1焦点FP1及び第2焦点FP2が座標原点に存在する状態が、初期条件として設定されている。制御部120が第1駆動モータ315に駆動信号を出力すると、第1駆動モータ315は、駆動信号に応じた回転角の回転運動を第1偏向ミラー310に与える。この結果、試料焦点SFPは、主走査方向へ移動する(セクション(b)を参照)。本実施形態において、第1反射素子は、第1偏向ミラー310によって例示される。第1駆動装置は、第1駆動モータ315によって例示される。
図2を参照して説明された如く、反射光RLは、試料焦点SFPからビームスプリッタ220の区間において、レーザ光源210が出射したレーザ光LBが辿った光路を逆向きに辿る。その後、反射光RLは、ビームスプリッタ220を通過し、第1ピンホール部材520に到達するので、主走査方向への試料焦点SFPの変位下においても、第1焦点FP1は、第1ピンホール521内に維持される。
一方、透過光TLの光路は、レーザ光LB及び反射光RLの光路とは別異に設定されているので、第3偏向ミラー410の静止下においては、第2焦点FP2の位置は、試料焦点SFPの変位に直接的に影響される。したがって、セクション(b)に示される如く、第2焦点FP2は、第2ピンホール621から外れることになる。セクション(b)において、第1偏向ミラー310のみが回転される条件下での第2焦点FP2の変位量は、記号「DX」によって表されている。
セクション(c)に示される如く、制御部120は、変位量「DX」が相殺されるように、第3駆動モータ415を制御する。第3駆動モータ415が、制御部120の制御下で、第3偏向ミラー410に回転動作を与えると、第2焦点FP2は、第2ピンホール621内に維持される。したがって、制御部120は、第3駆動モータ415を制御し、試料焦点SFPの変位が第2焦点FP2の位置に与える影響を低減することができる。本実施形態において、第3反射素子は、第3偏向ミラー410によって例示される。第3駆動装置は、第3駆動モータ415によって例示される。
第3駆動モータ415及び第3偏向ミラー410からなる駆動系が、第1駆動モータ315及び第1偏向ミラー310からなる駆動系に関連づけられることは、顕微鏡100Aの光学的設定を容易にする。例えば、顕微鏡100Aの光学的設定を調整する作業者が、主走査方向における顕微鏡100Aの動作に不具合を見出すならば、作業者は、第1駆動モータ315及び第1偏向ミラー310からなる駆動系と第3駆動モータ415及び第3偏向ミラー410からなる駆動系との間の関係を微調整すればよい。例えば、作業者は、第1駆動モータ315及び第3駆動モータ415を駆動するための電気信号にオフセットを与えてもよい。したがって、環境変化や経時変化によって、第1偏向ミラー310及び第3偏向ミラー410に位置的なずれが生じても、作業者は、電気信号にオフセットを与えることによって、顕微鏡100Aの光学的設定を適切に調整或いは補正することができる。
図4は、制御部120の制御を表す概念図である。図2及び図4を参照して、制御部120の制御が説明される。
図4は、試料焦点SFP、第1焦点FP1及び第2焦点FP2を示す。図4のセクション(a)において、試料焦点SFP、第1焦点FP1及び第2焦点FP2は、初期位置に存在する。図4のセクション(b)は、制御部120が第2偏向ミラー320のみを回転させたときにおける試料焦点SFP、第1焦点FP1及び第2焦点FP2の動作を表す。図4のセクション(c)は、制御部120が第2偏向ミラー320の回転動作に同期させて第4偏向ミラー420を回転動作させたときにおける試料焦点SFP、第1焦点FP1及び第2焦点FP2の動作を表す。
図4は、スライドガラス110上で概念的に設定されたXY座標を示す。X軸は、主走査方向を表す。Y軸は、副走査方向を表す。
図4は、第1ピンホール部材520上で概念的に設定されたX1Y1座標を示す。X1軸は、上述のXY座標のX軸に対応する。Y1軸は、上述のXY座標のY軸に対応する。X1Y1座標の原点は、第1ピンホール521の中心に設定されている。
図4は、第2ピンホール部材620上で概念的に設定されたX2Y2座標を示す。X2軸は、上述のXY座標のX軸に対応する。Y2軸は、上述のXY座標のY軸に対応する。X2Y2座標の原点は、第2ピンホール621の中心に設定されている。
セクション(a)に示される如く、試料焦点SFP、第1焦点FP1及び第2焦点FP2が座標原点に存在する状態が、初期条件として設定されている。制御部120が第2駆動モータ325に駆動信号を出力すると、第2駆動モータ325は、駆動信号に応じた回転角の回転運動を第2偏向ミラー320に与える。この結果、試料焦点SFPは、副走査方向へ移動する(セクション(b)を参照)。本実施形態において、第2反射素子は、第2偏向ミラー320によって例示される。第2駆動装置は、第2駆動モータ325によって例示される。
図2を参照して説明された如く、反射光RLは、試料焦点SFPからビームスプリッタ220の区間において、レーザ光源210が出射したレーザ光LBが辿った光路を逆向きに辿る。その後、反射光RLは、ビームスプリッタ220を通過し、第1ピンホール部材520に到達するので、副走査方向への試料焦点SFPの変位下においても、第1焦点FP1は、第1ピンホール521内に維持される。
一方、透過光TLの光路は、レーザ光LB及び反射光RLの光路とは別異に設定されているので、第4偏向ミラー420の静止下においては、第2焦点FP2の位置は、試料焦点SFPの変位に直接的に影響される。したがって、セクション(b)に示される如く、第2焦点FP2は、第2ピンホール621から外れることになる。セクション(b)において、第2偏向ミラー320のみが回転される条件下での第2焦点FP2の変位量は、記号「DY」によって表されている。
セクション(c)に示される如く、制御部120は、変位量「DY」が相殺されるように、第4駆動モータ425を制御する。第4駆動モータ425が、制御部120の制御下で、第4偏向ミラー420に回転動作を与えると、第2焦点FP2は、第2ピンホール621内に維持される。したがって、制御部120は、第4駆動モータ425を制御し、試料焦点SFPの変位が第2焦点FP2の位置に与える影響を低減することができる。本実施形態において、第4反射素子は、第4偏向ミラー420によって例示される。第4駆動装置は、第4駆動モータ425によって例示される。
第4駆動モータ425及び第4偏向ミラー420からなる駆動系が、第2駆動モータ325及び第2偏向ミラー320からなる駆動系に関連づけられることは、顕微鏡100Aの光学的設定を容易にする。例えば、顕微鏡100Aの光学的設定を調整する作業者が、副走査方向における顕微鏡100Aの動作に不具合を見出すならば、作業者は、第2駆動モータ325及び第2偏向ミラー320からなる駆動系と第4駆動モータ425及び第4偏向ミラー420からなる駆動系との間の関係を微調整すればよい。例えば、作業者は、第2駆動モータ325及び第4駆動モータ425を駆動するための電気信号にオフセットを与えてもよい。したがって、環境変化や経時変化によって、第2偏向ミラー320及び第4偏向ミラー420に位置的なずれが生じても、作業者は、電気信号にオフセットを与えることによって、顕微鏡100Aの光学的設定を適切に調整或いは補正することができる。
上述の如く、本実施形態の光学的設計原理は、光学的な設定を容易化することができる。例えば、試料SMPが、複屈折を生ずる光学的特性を有するならば、作業者は、試料SMPの光学的特性に応じて、顕微鏡100Aの光学的設定を素早く調整することが可能になる。
<第3実施形態>
反射像と透過像との間において、過度に大きな輝度差があるならば、観察者は、合成画像から試料に関する情報を得にくくなることもある。試料が、大きな透過率を有するならば、透過像の輝度は、反射像の輝度より大きくなりやすい。試料が、大きな反射率を有するならば、反射像の輝度は、透過像の輝度より大きくなりやすい。第3実施形態において、反射像と透過像との間の輝度差を低減する技術が説明される。
図5は、第3実施形態の共焦点顕微鏡(以下、顕微鏡100Bと称される)の概略的なブロック図である。図5を参照して、顕微鏡100Bが説明される。第1実施形態及び第3実施形態の間で共通して用いられる符号は、当該共通の符号が付された要素が、第1実施形態と同一の機能を有することを意味する。したがって、第1実施形態の説明は、これらの要素に援用される。
第1実施形態と同様に、顕微鏡100Bは、光生成部200と、走査部300と、調整部400と、第1信号生成部500と、第2信号生成部600と、を備える。顕微鏡100Bは、画像生成部700Bを更に備える。画像生成部700Bは、輝度調整部715と、合成部730Bと、表示部740Bと、を含む。
第1信号FSは、第1信号生成部500から輝度調整部715へ出力される。第2信号SSは、第2信号生成部600から輝度調整部715へ出力される。輝度調整部715は、第1信号FSによって表される反射像の輝度と第2信号SSによって表される透過像の輝度との間の差異を低減する処理を行う。輝度調整部715は、輝度差を低減するために設計されたプログラムを実行してもよい。代替的に、輝度調整部715は、第1信号FSの増幅又は減衰処理を行ってもよい。更に代替的に、輝度調整部715は、第2信号SSの増幅又は減衰処理を行ってもよい。本実施形態の原理は、輝度調整部715が実行する特定の処理に限定されない。反射像と透過像との間での輝度差を低減するための様々な既知の技術が、輝度調整部715に適用され得る。本実施形態において、輝度調整処理は、輝度調整部715が実行する処理によって例示される。
輝度調整部715による上述の処理の後、第1信号FS及び第2信号SSは、合成部730Bへ出力される。合成部730Bは、第1信号FS及び第2信号SSを用いて、反射像と透過像とを合成し、画像信号VSを生成する。画像信号VSは、合成部730Bから表示部740Bへ出力される。表示部740Bは、画像信号VSに応じて、合成画像を表示する。上述の如く、輝度調整部715は、反射像と透過像との間の輝度差を低減するので、観察者は、表示部740Bによって表された合成画像から試料SMPの状態を容易に把握することができる。
<第4実施形態>
生体組織や細胞は、多くの場合、低い反射率を有する。したがって、反射光から生成される信号の強度は、低くなりやすい。低い強度の信号から反射像が生成されるならば、反射像の輝度は低くなる。第4実施形態において、反射像の輝度を増大させる技術が説明される。
図6は、第4実施形態の共焦点顕微鏡(以下、顕微鏡100Cと称される)の概略的なブロック図である。図2及び図6を参照して、顕微鏡100Cが説明される。第3実施形態及び第4実施形態の間で共通して用いられる符号は、当該共通の符号が付された要素が、第3実施形態と同一の機能を有することを意味する。したがって、第3実施形態の説明は、これらの要素に援用される。
第3実施形態と同様に、顕微鏡100Cは、光生成部200と、走査部300と、調整部400と、第1信号生成部500と、第2信号生成部600と、を備える。顕微鏡100Cは、画像生成部700Cを更に備える。
第3実施形態と同様に、画像生成部700Cは、表示部740Bを含む。画像生成部700Cは、輝度調整部715Cと、合成部730Cと、を更に含む。
輝度調整部715Cは、増幅部710Cと、第2信号処理部720Cと、を含む。第1信号FSは、第1信号生成部500から増幅部710Cへ出力される。増幅部710Cは、第1信号FSを増幅し、増幅信号ASを生成する。増幅信号ASは、増幅部710Cから合成部730Cに出力される。第2信号SSは、第2信号生成部600から第2信号処理部720Cへ出力される。第2信号処理部720Cは、第2信号SSに対して、ノイズ除去や他の必要な処理を施与してもよい。第2信号処理部720Cによって処理された第2信号SSは、合成部730Cへ出力される。
合成部730Cは、増幅信号AS及び第2信号SSを用いて、反射像と透過像とを合成し、画像信号VSを生成する。画像信号VSは、合成部730Cから表示部740Bへ出力される。表示部740Bは、画像信号VSに応じて、合成画像を表示する。上述の如く、増幅部710Cは、第1信号FSを増幅するので、反射像と透過像との間の輝度差は低減される。したがって、観察者は、表示部740Bによって表された合成画像から試料SMPの状態を容易に把握することができる。
本実施形態の原理は、第2実施形態の設計に組み込まれてもよい。図2を参照して説明された第1信号処理装置710は、増幅部710Cとして機能してもよい。第2信号処理部720Cは、図2を参照して説明された第2信号処理装置720に対応してもよい。合成部730Cは、画像生成装置730に対応してもよい。表示部740Bは、表示装置740に対応してもよい。
<第5実施形態>
生体組織や細胞は、多くの場合、高い透過率を有する。したがって、透過光から生成される信号の強度は、高くなりやすい。過度に高い強度の信号から透過像が生成されるならば、透過像の輝度は過度に高くなる。この結果、観察者は、試料の状態を合成画像から把握しにくくなることもある。第5実施形態において、透過像の輝度を低減させる技術が説明される。
図7は、第5実施形態の共焦点顕微鏡(以下、顕微鏡100Dと称される)の概略的なブロック図である。図2及び図7を参照して、顕微鏡100Dが説明される。第3実施形態及び第5実施形態の間で共通して用いられる符号は、当該共通の符号が付された要素が、第3実施形態と同一の機能を有することを意味する。したがって、第3実施形態の説明は、これらの要素に援用される。
第3実施形態と同様に、顕微鏡100Dは、光生成部200と、走査部300と、調整部400と、第1信号生成部500と、第2信号生成部600と、を備える。顕微鏡100Dは、画像生成部700Dを更に備える。
第3実施形態と同様に、画像生成部700Dは、表示部740Bを含む。画像生成部700Dは、輝度調整部715Dと、合成部730Dと、を更に含む。
輝度調整部715Dは、第1信号処理部710Dと、減衰部720Dと、を含む。第1信号FSは、第1信号生成部500から第1信号処理部710Dへ出力される。第1信号処理部710Dは、第1信号FSに対して、ノイズ除去や他の必要な処理を施与してもよい。第1信号処理部710Dによって処理された第1信号FSは、合成部730Dへ出力される。第2信号SSは、第2信号生成部600から減衰部720Dへ出力される。減衰部720Dは、第2信号SSを減衰し、減衰信号DSを生成する。減衰信号DSは、減衰部720Dから合成部730Dに出力される。
合成部730Dは、第1信号FS及び減衰信号DSを用いて、反射像と透過像とを合成し、画像信号VSを生成する。画像信号VSは、合成部730Dから表示部740Bへ出力される。表示部740Bは、画像信号VSに応じて、合成画像を表示する。上述の如く、減衰部720Dは、第2信号SSを減衰するので、反射像と透過像との間の輝度差は低減される。したがって、観察者は、表示部740Bによって表された合成画像から試料SMPの状態を容易に把握することができる。
本実施形態の原理は、第2実施形態の設計に組み込まれてもよい。図2を参照して説明された第2信号処理装置720は、減衰部720Dとして機能してもよい。第1信号処理部710Dは、図2を参照して説明された第1信号処理装置710に対応してもよい。合成部730Dは、画像生成装置730に対応してもよい。表示部740Bは、表示装置740に対応してもよい。
<第6実施形態>
共焦点顕微鏡が、第4実施形態に関連して説明された増幅機能と、第5実施形態に関連して説明された減衰機能と、を有するならば、観察者は、低い透過率の領域と高い透過率の領域とを含む試料の特徴を精度よく把握することが可能になる。第6実施形態において、低い透過率の領域と高い透過率の領域とを含む試料の合成画像を生成する技術が説明される。
図8は、第6実施形態の共焦点顕微鏡(以下、顕微鏡100Eと称される)の概略的なブロック図である。図2及び図8を参照して、顕微鏡100Eが説明される。第4実施形態乃至第6実施形態の間で共通して用いられる符号は、当該共通の符号が付された要素が、第4実施形態又は第5実施形態と同一の機能を有することを意味する。したがって、第4実施形態又は第5実施形態の説明は、これらの要素に援用される。
第4実施形態及び第5実施形態と同様に、顕微鏡100Eは、光生成部200と、走査部300と、調整部400と、第1信号生成部500と、第2信号生成部600と、を備える。顕微鏡100Eは、画像生成部700Eを更に備える。
第4実施形態及び第5実施形態と同様に、画像生成部700Eは、表示部740Bを含む。画像生成部700Eは、輝度調整部715Eと、合成部730Eと、を更に含む。
第4実施形態と同様に、輝度調整部715Eは、増幅部710Cを含む。第5実施形態と同様に、輝度調整部715Eは、減衰部720Dを含む。第1信号FSは、第1信号生成部500から増幅部710Cへ出力される。増幅部710Cは、第1信号FSを増幅し、増幅信号ASを生成する。増幅信号ASは、増幅部710Cから合成部730Eに出力される。第2信号SSは、第2信号生成部600から減衰部720Dへ出力される。減衰部720Dは、第2信号SSを減衰し、減衰信号DSを生成する。減衰信号DSは、減衰部720Dから合成部730Eに出力される。
合成部730Eは、増幅信号AS及び減衰信号DSを用いて、反射像と透過像とを合成し、画像信号VSを生成する。画像信号VSは、合成部730Eから表示部740Bへ出力される。表示部740Bは、画像信号VSに応じて、合成画像を表示する。
本実施形態の原理は、第2実施形態の設計に組み込まれてもよい。図2を参照して説明された第1信号処理装置710は、増幅部710Cとして機能してもよい。図2を参照して説明された第2信号処理装置720は、減衰部720Dとして機能してもよい。合成部730Dは、画像生成装置730に対応してもよい。表示部740Bは、表示装置740に対応してもよい。
図9は、画像合成処理の概念を表す概略的なフローチャートである。図8及び図9を参照して、画像合成処理が説明される。
上述の如く、第1信号FSは、第1信号生成部500から増幅部710Cに出力される。第2信号SSは、第2信号生成部600から減衰部720Dへ出力される。第1信号FSは、試料SMPからの反射光RLによって表現される反射像のデータを含む。第2信号SSは、試料SMPからの透過光TLによって表現される透過像のデータを含む。増幅部710Cは、顕微鏡100Eの走査動作の間、第1信号生成部500が出力する第1信号FSを受信し、反射像を生成する。減衰部720Dは、顕微鏡100Eの走査動作の間、第2信号生成部600が出力する第2信号SSを受信し、透過像を生成する。
図9は、試料SMPとして用いられた生体細胞の反射像及び透過像を示す。生体細胞は、全体的に、低い反射率を有する。したがって、反射像のコントラストは低くなりやすい。その一方で、反射像は、生体細胞の内部や表面の反射率の局所的な増加を反映しやすいので、反射像は、生体細胞の内部や表面の状態に関する多くの情報を、観察者に与えることができる。生体細胞は、全体的に、低い反射率を有するので、第1信号FSは微弱である。第1信号FSが増幅されるならば、生体細胞の内部や表面の特徴が強調された反射像が得られる。
試料SMPから外れた位置に形成された試料焦点から発せられた透過光TLの強度は強いので、第2信号SSの強度は強くなる。一方、試料SMPは、光を吸収或いは散乱させるので、試料SMP内に形成された試料焦点から発せられた透過光TLの強度は弱くなる。透過光TLの上述の特徴は、生体細胞の輪郭を高いコントラストで描くことに貢献する。第2信号SSが減衰されるならば、反射像と透過像との間の輝度差が低減され、且つ、生体細胞の輪郭を明確に表す透過像が得られる。
上述の信号処理は、生存状態の生体組織や細胞の観察に有用である。すなわち、上述の信号処理の結果、観察者は、生体組織や細胞を無染色・非侵襲的に観察することができる。本実施形態の原理の下では、生体組織や細胞への蛍光材料の添加なくして、透過像は、生体組織や細胞の輪郭を明確に描くことができる。加えて、反射像は、生体組織や細胞の内部や表面の状態を明確に表すことができる。
試料SMPの反射率が低いならば(例えば、生体細胞)、反射像と透過像との間で大きなコントラストの差異が生ずる。増幅部710C及び減衰部720Dは、第1信号FS及び第2信号SSを増幅及び減衰し、反射像と透過像との間の適切なコントラスト比を達成する。この結果、合成部730Eが生成する合成画像は、試料SMPの輪郭と表面及び内部の状態とを明瞭に表すことができる。
観察者が、蛍光色素を添加せず、生存状態にある細胞を観察するとき、細胞と空気との間の屈折率の差異は、反射像と透過像との間での光量の比率を決定する。細胞の屈折率が、「1.335」の値であり、且つ、細胞が空気によって取り囲まれているならば、透過像の光量は、反射像の光量の約50倍になる。
生体細胞の屈折率は、生体細胞内の水分量や密度といった因子に依存するが、反射像は、透過像よりも10〜100倍暗くなる。したがって、増幅部710Cは、第1信号FSを、10〜100倍増幅し、増幅信号ASを生成するならば、第1信号FSによって表現される反射像よりも10〜100倍明るい反射像が得られる。増幅信号ASによって表現される反射像が用いられるならば、反射像と透過像との間のコントラストの差異が低減されるので、試料SMPの観察に適した合成画像が得られる。
増幅部710Cの信号増幅率及び減衰部720Dの信号減衰率は、試料SMPの光学的特性に依存する。したがって、本実施形態の原理は、特定の信号増幅率及び特定の信号減衰率に限定されない。
上述の如く、増幅信号ASは、増幅部710Cから合成部730Eへ出力される。減衰信号DSは、減衰部720Dから合成部730Eへ出力される。合成部730Eは、増幅信号ASと減衰信号DSとを用いて、反射像と透過像とを合成する。合成部730Eは、増幅信号AS及び減衰信号DSを用いて、加算処理及び/又は減算処理を行ってもよい。合成部730Eは、増幅信号AS及び減衰信号DSを用いて、論理積、論理和や排他的論理和といった論理演算を実行してもよい。図9に示される合成部730Eは、透過像を白黒反転している。合成部730Eは、その後、反転処理後の透過像を反射像に合成している。合成画像は、様々な演算技術によって得られてもよい。したがって、本実施形態の原理は、合成部730Eが実行する特定の演算処理に限定されない。
合成部730Eは、合成画像に対して様々な処理を更に施与してもよい。合成部730Eは、合成画像に対して、フィルタリング処理を施与してもよい。フィルタリング処理の結果、合成画像の視認性が向上する。
合成部730Eは、合成画像を表す画像信号VSを生成する。画像信号VSは、合成部730Eから表示部740Bへ出力する。表示部740Bは、画像信号VSに応じて、合成画像を表示する。
図9を参照して説明された合成画像の生成技術は例示的である。したがって、図9に関連して説明された様々な処理のうちの一部は省略されてもよい。例えば、反射像及び透過像は、生成されなくともよい。画像生成部700Eは、反射像及び透過像を生成することなく、第1信号FS及び第2信号SSを処理し、合成画像を生成してもよい。図9において、合成処理までの画像処理は並列的に行われている。しかしながら、本実施形態の原理は、画像合成の特定の処理順序に限定されない。例えば、合成処理までの画像処理は、直列的に行われてもよい。
<第7実施形態>
光源部から出射された出射光の光路の傾きは、走査部と調整部との間の同期的な制御に好適に利用可能である。第7実施形態において、光源部から出射された出射光の光路の傾きを利用して、走査部と調整部とを同期制御する技術が説明される。
図10は、第7実施形態の共焦点顕微鏡(以下、顕微鏡100Fと称される)の概略的なブロック図である。図10を参照して、顕微鏡100Fが説明される。第6実施形態及び第7実施形態の間で共通して用いられる符号は、当該共通の符号が付された要素が、第6実施形態と同一の機能を有することを意味する。したがって、第6実施形態の説明は、これらの要素に援用される。
第6実施形態と同様に、顕微鏡100Fは、走査部300と、調整部400と、第1信号生成部500と、第2信号生成部600と、画像生成部700Eと、を備える。顕微鏡100Fは、光生成部200Fと、制御部120Fと、を更に備える。
光生成部200Fは、光源210Fと分離部235Fとを含む。光源210Fは、光束LFを走査部300へ出射する。分離部235Fは、走査部300から試料SMPへ向かう光路上に配置される。走査部300を通過した光束LFは、分離部235Fに到達する。分離部235Fは、光束LFを、試料SMPへ向かう光束LF1と、制御部120Fへ向かう光束LF2と、に分離する。
制御部120Fは、傾き検出部121と、同期制御部122と、を含む。傾き検出部121は、光束LF2の光路の傾きを検出する。その後、傾き検出部121は、光束LF2の光路の傾きを表す検出信号DTSを生成する。検出信号DTSは、傾き検出部121から同期制御部122へ出力される。同期制御部122は、検出信号DTSに応じて、走査部300と調整部400とを同期制御する。同期制御部122による同期制御下において、走査部300及び調整部400は、第2実施形態に関連して説明された動作を実行してもよい。本実施形態において、出射光は、光束LF,LF1,LF2によって例示される。
図11は、図10のブロック図に基づいて設計された例示的な共焦点顕微鏡(以下、顕微鏡101と称される)の概略図である。図10及び図11を参照して、顕微鏡101が説明される。第2実施形態及び第7実施形態の間で共通して用いられる符号は、当該共通の符号が付された要素が、第2実施形態と同一の機能を有することを意味する。したがって、第2実施形態の説明は、これらの要素に援用される。
第2実施形態と同様に、顕微鏡101は、レーザ光源210と、コリメートレンズ215と、ビームスプリッタ220と、リレーレンズ225,230と、対物レンズ240と、コリメートレンズ245と、反射ミラー250と、リレーレンズ255,260と、を備える。顕微鏡101は、ミラー236を更に備える。ミラー236は、レーザ光LBの一部を対物レンズ240へ向けて反射すると同時に、レーザ光LBの他の一部の透過を許容する。レーザ光源210、コリメートレンズ215,245、ビームスプリッタ220、リレーレンズ225,230,255,260、ミラー236、対物レンズ240及び反射ミラー250は、図10を参照して説明された光生成部200Fとして設計されている。レーザ光源210は、図10を参照して説明された光源210Fに対応する。ミラー236は、図10を参照して説明された分離部235Fに対応する。
第2実施形態と同様に、顕微鏡101は、第1偏向ミラー310と、第2偏向ミラー320と、第1駆動モータ315と、第2駆動モータ325と、を更に備える。第1偏向ミラー310、第2偏向ミラー320、第1駆動モータ315及び第2駆動モータ325は、図10を参照して説明された走査部300として設計されている。
第2実施形態と同様に、顕微鏡101は、スライドガラス110を更に備える。観察者は、スライドガラス110に試料SMPを載置することができる。
第2実施形態と同様に、顕微鏡101は、第1検出レンズ510と、第1ピンホール部材520と、第1光検出器530と、を更に備える。第1検出レンズ510、第1ピンホール部材520及び第1光検出器530は、図10を参照して説明された第1信号生成部500として設計されている。
第2実施形態と同様に、顕微鏡101は、第3偏向ミラー410と、第4偏向ミラー420と、第3駆動モータ415と、第4駆動モータ425と、を更に備える。第3偏向ミラー410、第4偏向ミラー420、第3駆動モータ415及び第4駆動モータ425は、図10を参照して説明された調整部400として設計されている。
第2実施形態と同様に、顕微鏡101は、第2検出レンズ610と、第2ピンホール部材620と、第2光検出器630と、を更に備える。第2検出レンズ610、第2ピンホール部材620及び第2光検出器630は、図10を参照して説明された第2信号生成部600として設計されている。
第2実施形態と同様に、顕微鏡101は、第1信号処理装置710と、第2信号処理装置720と、画像生成装置730と、表示装置740と、を更に備える。第1信号処理装置710、第2信号処理装置720、画像生成装置730及び表示装置740は、図10を参照して説明された画像生成部700Eとして設計される。
顕微鏡101は、第1制御回路190を更に備える。第1制御回路190は、第1駆動モータ315及び第2駆動モータ325を制御する。第1駆動モータ315及び第2駆動モータ325は、第1制御回路190の制御下で動作し、試料焦点SFPを主走査方向及び副走査方向に変位させる。
顕微鏡101は、集光レンズ123と光検出器124とを更に備える。光検出器124は、集光レンズ123に対向する受光面125を含む。集光レンズ123は、ミラー236を通過したレーザ光LBを集光し、受光面125上に集光点CPを形成する。
第1駆動モータ315及び第2駆動モータ325が、第1制御回路190の制御下で動作する間、ミラー236と受光面125との間で形成されたレーザ光LBの光路の傾きは変動する。受光面125上の集光点CPの位置は、ミラー236と受光面125との間で形成されたレーザ光LBの光路の傾きに応じて変化する。光検出器124は、集光点CPの位置に応じた検出信号DTSを生成する。したがって、検出信号DTSは、ミラー236と受光面125との間で形成されたレーザ光LBの光路の傾きに関する情報を含むことができる。集光レンズ123及び光検出器124は、図10を参照して説明された傾き検出部121として設計される。
顕微鏡101は、第2制御回路126を備える。検出信号DTSは、光検出器124から第2制御回路126へ出力される。第2制御回路126は、検出信号DTSに応じて、第3駆動モータ415及び第4駆動モータ425を制御する。第2制御回路126は、図10を参照して説明された同期制御部122として設計される。
顕微鏡101に対して初期調整を行う作業者は、第1制御回路190から出力される制御信号と第1偏向ミラー310の傾斜角度との関係及び第1制御回路190から出力される制御信号と第2偏向ミラー320の傾斜角度との関係を適切に調整する。しかしながら、これらの関係は、顕微鏡101の長期の使用の間、変化することもある(例えば、第1偏向ミラー310及び第2偏向ミラー320の回転軸のずれや機械的な振動)。第1偏向ミラー310及び第2偏向ミラー320の機械的又は光学的な設定の変化は、ミラー236と受光面125との間で形成されたレーザ光LBの光路の傾きにも反映される。第2制御回路126は、レーザ光LBの光路の傾きを表す検出信号DTSを用いて、第3駆動モータ415及び第4駆動モータ425を制御するので、第2焦点FP2は、第2ピンホール621内に適切に維持される。
<第8実施形態>
第7実施形態によれば、光源部から出射された出射光が分岐される。調整部は、分岐された出射光の光路の傾きを表す検出信号に応じて制御される。したがって、共焦点顕微鏡の光学的設定を調整する作業者は、反射光及び出射光の光路を形成する光学系を基準に、調整部の光学的設定を調整することができる。この結果、作業者は、共焦点顕微鏡の光学的設定を容易に且つ適切に調整することができる。検出信号は、透過光を利用して生成されてもよい。第8実施形態において、透過光の光路の傾きを利用して、走査部と調整部とを同期制御する技術が説明される。
図12は、第8実施形態の共焦点顕微鏡(以下、顕微鏡100Gと称される)の概略図である。図1及び図12を参照して、顕微鏡100Gが説明される。第2実施形態、第7実施形態及び第8実施形態の間で共通して用いられる符号は、当該共通の符号が付された要素が、第2実施形態又は第7実施形態と同一の機能を有することを意味する。したがって、第2実施形態又は第7実施形態の説明は、これらの要素に援用される。
第2実施形態と同様に、顕微鏡100Gは、レーザ光源210と、コリメートレンズ215と、ビームスプリッタ220と、リレーレンズ225,230と、反射ミラー235と、対物レンズ240と、コリメートレンズ245と、リレーレンズ255,260と、を備える。顕微鏡100Gは、ミラー251を更に備える。ミラー251は、透過光TLの一部をリレーレンズ255へ向けて反射すると同時に、透過光TLの他の一部の透過を許容する。レーザ光源210、コリメートレンズ215,245、ビームスプリッタ220、リレーレンズ225,230,255,260、対物レンズ240、反射ミラー235及びミラー251は、図1を参照して説明された光生成部200として設計される。
第2実施形態と同様に、顕微鏡100Gは、第1偏向ミラー310と、第2偏向ミラー320と、第1駆動モータ315と、第2駆動モータ325と、を更に備える。第1偏向ミラー310、第2偏向ミラー320、第1駆動モータ315及び第2駆動モータ325は、図1を参照して説明された走査部300として設計されている。
第2実施形態と同様に、顕微鏡100Gは、スライドガラス110を更に備える。観察者は、スライドガラス110に試料SMPを載置することができる。
第2実施形態と同様に、顕微鏡100Gは、第1検出レンズ510と、第1ピンホール部材520と、第1光検出器530と、を更に備える。第1検出レンズ510、第1ピンホール部材520及び第1光検出器530は、図1を参照して説明された第1信号生成部500として設計されている。
第2実施形態と同様に、顕微鏡100Gは、第3偏向ミラー410と、第4偏向ミラー420と、第3駆動モータ415と、第4駆動モータ425と、を更に備える。第3偏向ミラー410、第4偏向ミラー420、第3駆動モータ415及び第4駆動モータ425は、図1を参照して説明された調整部400として設計されている。
第2実施形態と同様に、顕微鏡100Gは、第2検出レンズ610と、第2ピンホール部材620と、第2光検出器630と、を更に備える。第2検出レンズ610、第2ピンホール部材620及び第2光検出器630は、図1を参照して説明された第2信号生成部600として設計されている。
第2実施形態と同様に、顕微鏡100Gは、第1信号処理装置710と、第2信号処理装置720と、画像生成装置730と、表示装置740と、を更に備える。第1信号処理装置710、第2信号処理装置720、画像生成装置730及び表示装置740は、図1を参照して説明された画像生成部700として設計される。
第7実施形態と同様に、顕微鏡100Gは、第1制御回路190と、第2制御回路126と、を備える。顕微鏡100Gは、集光レンズ123Gと光検出器124Gとを更に備える。光検出器124Gは、集光レンズ123Gに対向する受光面125Gを含む。集光レンズ123Gは、ミラー251を通過した透過光TLを集光し、受光面125G上に集光点CPを形成する。
第1駆動モータ315及び第2駆動モータ325が、第1制御回路190の制御下で動作する間、ミラー251と受光面125Gとの間で形成された透過光TLの光路の傾きは変動する。受光面125G上の集光点CPの位置は、ミラー251と受光面125Gとの間で形成された透過光TLの光路の傾きに応じて変化する。光検出器124Gは、集光点CPの位置に応じた検出信号DTSを生成する。したがって、検出信号DTSは、ミラー251と受光面125Gとの間で形成された透過光TLの光路の傾きに関する情報を含むことができる。検出信号DTSは、光検出器124Gから第2制御回路126へ出力される。第2制御回路126は、検出信号DTSに応じて、第3駆動モータ415及び第4駆動モータ425を制御する。
顕微鏡100Gに対して初期調整を行う作業者は、第1制御回路190から出力される制御信号と第1偏向ミラー310の傾斜角度との関係及び第1制御回路190から出力される制御信号と第2偏向ミラー320の傾斜角度との関係を適切に調整する。しかしながら、これらの関係は、顕微鏡100Gの長期の使用の間、変化することもある(例えば、第1偏向ミラー310及び第2偏向ミラー320の回転軸のずれや機械的な振動)。第1偏向ミラー310及び第2偏向ミラー320の機械的又は光学的な設定の変化は、ミラー251と受光面125Gとの間で形成された透過光TLの光路の傾きにも反映される。第2制御回路126は、透過光TLの光路の傾きを表す検出信号DTSを用いて、第3駆動モータ415及び第4駆動モータ425を制御するので、第2焦点FP2は、第2ピンホール621内に適切に維持される。
<第9実施形態>
試料が、反射光及び透過光の光路に沿って移動されるならば、試料の立体的な画像が得られる。しかしながら、反射光及び透過光の光路に沿う試料の移動は、球面収差を変動させる。球面収差の変動は、試料焦点の大きさの変化に帰結する。第9実施形態において、球面収差を補正することができる機能を有する共焦点顕微鏡が説明される。
図13は、第9実施形態の共焦点顕微鏡(以下、顕微鏡100Hと称される)の概略図である。図1及び図13を参照して、顕微鏡100Hが説明される。第2実施形態及び第9実施形態の間で共通して用いられる符号は、当該共通の符号が付された要素が、第2実施形態と同一の機能を有することを意味する。したがって、第2実施形態の説明は、これらの要素に援用される。
第2実施形態と同様に、顕微鏡100Hは、レーザ光源210と、コリメートレンズ215と、ビームスプリッタ220と、リレーレンズ225,230と、対物レンズ240と、コリメートレンズ245と、リレーレンズ255,260と、を備える。顕微鏡100Hは、ミラー235H,250Hを更に備える。ミラー235Hは、対物レンズ240に向けてレーザ光LBを反射する。ミラー235H、反射光RLの一部をリレーレンズ230に向けて反射する一方で、反射光RLの他の一部の透過を許容する。ミラー250Hは、透過光TLの一部をリレーレンズ255に向けて反射する一方で、透過光TLの他の一部の透過を許容する。レーザ光源210、コリメートレンズ215,245、ビームスプリッタ220、リレーレンズ225,230,255,260、ミラー235H,250H及び対物レンズ240は、図1を参照して説明された光生成部200として設計される。
第2実施形態と同様に、顕微鏡100Hは、第1偏向ミラー310と、第2偏向ミラー320と、第1駆動モータ315と、第2駆動モータ325と、を更に備える。第1偏向ミラー310、第2偏向ミラー320、第1駆動モータ315及び第2駆動モータ325は、図1を参照して説明された走査部300として設計されている。
第2実施形態と同様に、顕微鏡100Hは、スライドガラス110を更に備える。観察者は、スライドガラス110に試料SMPを載置することができる。本実施形態において、ステージは、スライドガラス110によって例示される。ステージは、スライドガラス110に加えて、スライドガラス110が載置される試料台(図示せず)を含んでもよい。
第2実施形態と同様に、顕微鏡100Hは、第1検出レンズ510と、第1ピンホール部材520と、第1光検出器530と、を更に備える。第1検出レンズ510、第1ピンホール部材520及び第1光検出器530は、図1を参照して説明された第1信号生成部500として設計されている。
第2実施形態と同様に、顕微鏡100Hは、第3偏向ミラー410と、第4偏向ミラー420と、第3駆動モータ415と、第4駆動モータ425と、を更に備える。第3偏向ミラー410、第4偏向ミラー420、第3駆動モータ415及び第4駆動モータ425は、図1を参照して説明された調整部400として設計されている。
第2実施形態と同様に、顕微鏡100Hは、第2検出レンズ610と、第2ピンホール部材620と、第2光検出器630と、を更に備える。第2検出レンズ610、第2ピンホール部材620及び第2光検出器630は、図1を参照して説明された第2信号生成部600として設計されている。
第2実施形態と同様に、顕微鏡100Hは、第1信号処理装置710と、第2信号処理装置720と、画像生成装置730と、表示装置740と、を更に備える。第1信号処理装置710、第2信号処理装置720、画像生成装置730及び表示装置740は、図1を参照して説明された画像生成部700として設計される。
顕微鏡100Hは、制御部120Hと、第1補正部141と、第2補正部142と、第1検出部151と、第2検出部152と、変位機構160と、を更に備える。変位機構160は、制御部120Hの制御下で、対物レンズ240とコリメートレンズ245との間で規定される光軸に沿って、スライドガラス110を変位させる。第1検出部151は、ミラー235Hを透過した反射光RLを受光し、反射光RLの波面収差を検出する。その後、第1検出部151は、波面収差に応じた第1検出信号FDSを生成する。第2検出部152は、ミラー250Hを透過した透過光TLを受光し、透過光TLの波面収差を検出する。その後、第2検出部152は、波面収差に応じた第2検出信号SDSを生成する。制御部120Hは、第1検出信号FDSに応じて、第1補正部141を制御する。制御部120Hは、第2検出信号SDSに応じて、第2補正部142を制御する。上述の様々な実施形態と同様に、制御部120Hは、第1駆動モータ315乃至第4駆動モータ425を制御してもよい。本実施形態において、第1収差検出部は、第1検出部151によって例示される。第2収差検出部は、第2検出部152によって例示される。第1収差信号は、第1検出信号FDSによって例示される。第2収差信号は、第2検出信号SDSによって例示される。
試料SMPは、空気とは異なる屈折率を有する。対物レンズ240が生成した収束光が、試料SMPに入射してから試料焦点SFPを形成するまでの光学的距離は、スライドガラス110の位置に依存する。スライドガラス110の位置変化に起因する光学的距離の変化は、収束光の球面収差の変化に帰結する。球面収差の変化は、試料焦点SFPの大きさを変化させる。第2偏向ミラー320と対物レンズ240との間に配置された第1補正部141は、制御部120Hの制御下で、試料焦点SFPの大きさを維持する。
スライドガラス110の位置変化は、透過光TLの球面収差も変化させる。第2補正部142は、制御部120Hの制御下で、コリメートレンズ245を通過した透過光TLの球面収差を補正する。したがって、第2補正部142を通過した後の透過光TLの光学的特性は安定化される。
第1検出部151及び第2検出部152として、シャックハルトマン波面センサが用いられてもよい。代替的に、干渉計を用いて位相波面を検出する技術が、第1検出部151及び第2検出部152に適用されてもよい。更に代替的に、信号光(反射光RL及び透過光TL)の外縁部及び中心部のフォーカス位置の差分を検出する技術が、第1検出部151及び第2検出部152に適用されてもよい。
第1検出部151及び第2検出部152は、省略されてもよい。この場合、制御部120Hは、変位機構160の位置制御に用いた信号を利用して、スライドガラス110の位置を見極めてもよい。制御部120Hは、スライドガラス110の位置調整と同期して、第1補正部141及び第2補正部142を制御することができる。
第1補正部141及び第2補正部142は、液晶素子を含む液晶装置であってもよい。液晶装置は、局所的な屈折率変化を電気的に与え、球面収差を調整することができる。代替的に、第1補正部141及び第2補正部142は、複数のレンズを有するレンズ装置であってもよい。複数のレンズのうち少なくとも1つは、可動式のレンズである。レンズ装置は、可動式のレンズを、反射光RL又は透過光TLが伝搬する光路に沿って電気的に変位させ、球面収差を調整することができる。
<第10実施形態>
第9実施形態に関連して説明された共焦点顕微鏡は、液晶装置やレンズ装置を用いて、球面収差を補正する。球面収差の補正には、液晶装置やレンズ装置は必ずしも必要とされない。第10実施形態において、液晶装置やレンズ装置を用いることなく、球面収差を補正するための技術が説明される。
図14は、第10実施形態の共焦点顕微鏡(以下、顕微鏡100Iと称される)の概略図である。図1、図13及び図14を参照して、顕微鏡100Iが説明される。第9実施形態及び第10実施形態の間で共通して用いられる符号は、当該共通の符号が付された要素が、第9実施形態と同一の機能を有することを意味する。したがって、第9実施形態の説明は、これらの要素に援用される。
第9実施形態と同様に、顕微鏡100Iは、レーザ光源210と、コリメートレンズ215と、ビームスプリッタ220と、リレーレンズ225と、ミラー235H,250Hと、対物レンズ240と、コリメートレンズ245と、リレーレンズ260と、を備える。顕微鏡100Iは、リレーレンズ230I,255Iを更に備える。リレーレンズ230Iは、リレーレンズ225とミラー235Hとの間で規定された光軸に沿って変位することができる。リレーレンズ255Iは、ミラー250Hとリレーレンズ260との間で規定された光軸に沿って変位することができる。レーザ光源210、コリメートレンズ215,245、ビームスプリッタ220、リレーレンズ225,230I,255I,260、ミラー235H,250H及び対物レンズ240は、図1を参照して説明された光生成部200として設計される。
第9実施形態と同様に、顕微鏡100Iは、第1偏向ミラー310と、第2偏向ミラー320と、第1駆動モータ315と、第2駆動モータ325と、を更に備える。第1偏向ミラー310、第2偏向ミラー320、第1駆動モータ315及び第2駆動モータ325は、図1を参照して説明された走査部300として設計されている。
第9実施形態と同様に、顕微鏡100Iは、第1検出レンズ510と、第1ピンホール部材520と、第1光検出器530と、を更に備える。第1検出レンズ510、第1ピンホール部材520及び第1光検出器530は、図1を参照して説明された第1信号生成部500として設計されている。
第9実施形態と同様に、顕微鏡100Iは、第3偏向ミラー410と、第4偏向ミラー420と、第3駆動モータ415と、第4駆動モータ425と、を更に備える。第3偏向ミラー410、第4偏向ミラー420、第3駆動モータ415及び第4駆動モータ425は、図1を参照して説明された調整部400として設計されている。
第9実施形態と同様に、顕微鏡100Iは、第2検出レンズ610と、第2ピンホール部材620と、第2光検出器630と、を更に備える。第2検出レンズ610、第2ピンホール部材620及び第2光検出器630は、図1を参照して説明された第2信号生成部600として設計されている。
第9実施形態と同様に、顕微鏡100Iは、第1信号処理装置710と、第2信号処理装置720と、画像生成装置730と、表示装置740と、を更に備える。第1信号処理装置710、第2信号処理装置720、画像生成装置730及び表示装置740は、図1を参照して説明された画像生成部700として設計される。
第9実施形態と同様に、顕微鏡100Iは、スライドガラス110と、第1検出部151と、第2検出部152と、変位機構160と、を備える。顕微鏡100Iは、制御部120Iと、第1駆動装置171と、第2駆動装置172と、を更に備える。変位機構160は、制御部120Iの制御下で、対物レンズ240とコリメートレンズ245との間で規定される光軸に沿って、スライドガラス110を変位させる。第1検出部151は、ミラー235Hを透過した反射光RLを受光し、反射光RLの波面収差を検出する。その後、第1検出部151は、波面収差に応じた第1検出信号FDSを生成する。第2検出部152は、ミラー250Hを透過した透過光TLを受光し、透過光TLの波面収差を検出する。その後、第2検出部152は、波面収差に応じた第2検出信号SDSを生成する。
制御部120Iは、第1検出信号FDSに応じて、第1駆動装置171を制御する。第1駆動装置171は、制御部120Iの制御下で、リレーレンズ230Iを、リレーレンズ225とミラー235Hとの間で規定された光軸に沿って変位させる。この結果、反射光RLに対する球面収差は、適切に調整される。
制御部120Iは、第2検出信号SDSに応じて、第2駆動装置172を制御する。第2駆動装置172は、制御部120Iの制御下で、リレーレンズ255Iを、リレーレンズ260とミラー250Hとの間で規定された光軸に沿って変位させる。この結果、透過光TLに対する球面収差は、適切に調整される。尚、上述の様々な実施形態と同様に、制御部120Iは、第1駆動モータ315乃至第4駆動モータ425を制御してもよい。
本実施形態の原理は、第9実施形態の顕微鏡100Hに適用されてもよい。例えば、本実施形態の原理にしたがって、球面収差は、リレーレンズの変位によって大まかに調整されてもよい。その後、球面収差は、第9実施形態の原理にしたがって、液晶装置やレンズ装置によって微調整されてもよい。
第9実施形態及び第10実施形態の原理は、試料焦点SFPの大きさを安定化させる。したがって、反射像、透過像及び合成画像は、精度よく生成される。
<第11実施形態>
共焦点顕微鏡は、対物レンズを用いて、収束光を生成し、試料焦点を試料中に形成する。共焦点顕微鏡は、試料焦点を2次元的に変位させ、試料を光学的に走査する。収束光の光路の傾きは、試料焦点の位置に応じて変化する。
対物レンズの開口数NA(Numerical Aperture)が小さいならば(例えば、NA<0.1)、試料に対する光学的な走査の間における収束光の光路の傾きの変動はあまり大きくならない。
対物レンズの開口数NAが大きいならば(例えば、NA>0.6)、試料焦点は、回折限界程度に小さくなる。小さな試料焦点は、反射像、透過像及び合成画像の高い解像度に帰結する。しかしながら、小さな試料焦点が形成されるならば、試料に対する光学的な走査の間における収束光の光路の傾きの変動は、無視できないコマ収差の変動に帰結することもある。すなわち、試料に対する光学的な走査の間、試料焦点の大きさが不安定化されるので、反射像、透過像及び合成画像の解像度が変化する。第7実施形態に関連して説明された傾き検出技術は、コマ収差を調整するために適用可能である。第11実施形態において、コマ収差を補正するための技術が説明される。
図15は、第11実施形態の共焦点顕微鏡(以下、顕微鏡100Jと称される)の概略図である。図10及び図15を参照して、顕微鏡100Jが説明される。第7実施形態及び第11実施形態の間で共通して用いられる符号は、当該共通の符号が付された要素が、第7実施形態と同一の機能を有することを意味する。したがって、第7実施形態の説明は、これらの要素に援用される。
第7実施形態と同様に、顕微鏡100Jは、レーザ光源210と、コリメートレンズ215と、ビームスプリッタ220と、リレーレンズ225,230と、ミラー236と、対物レンズ240と、コリメートレンズ245と、反射ミラー250と、リレーレンズ255,260と、を備える。レーザ光源210、コリメートレンズ215,245、ビームスプリッタ220、リレーレンズ225,230,255,260、ミラー236、対物レンズ240及び反射ミラー250は、図10を参照して説明された光生成部200Fとして設計されている。
第7実施形態と同様に、顕微鏡100Jは、第1偏向ミラー310と、第2偏向ミラー320と、第1駆動モータ315と、第2駆動モータ325と、を更に備える。第1偏向ミラー310、第2偏向ミラー320、第1駆動モータ315及び第2駆動モータ325は、図10を参照して説明された走査部300として設計されている。
第7実施形態と同様に、顕微鏡100Jは、スライドガラス110を更に備える。観察者は、スライドガラス110に試料SMPを載置することができる。
第7実施形態と同様に、顕微鏡100Jは、第1検出レンズ510と、第1ピンホール部材520と、第1光検出器530と、を更に備える。第1検出レンズ510、第1ピンホール部材520及び第1光検出器530は、図10を参照して説明された第1信号生成部500として設計されている。
第7実施形態と同様に、顕微鏡100Jは、第3偏向ミラー410と、第4偏向ミラー420と、第3駆動モータ415と、第4駆動モータ425と、を更に備える。第3偏向ミラー410、第4偏向ミラー420、第3駆動モータ415及び第4駆動モータ425は、図10を参照して説明された調整部400として設計されている。
第7実施形態と同様に、顕微鏡100Jは、第2検出レンズ610と、第2ピンホール部材620と、第2光検出器630と、を更に備える。第2検出レンズ610、第2ピンホール部材620及び第2光検出器630は、図10を参照して説明された第2信号生成部600として設計されている。
第7実施形態と同様に、顕微鏡100Jは、第1信号処理装置710と、第2信号処理装置720と、画像生成装置730と、表示装置740と、を更に備える。第1信号処理装置710、第2信号処理装置720、画像生成装置730及び表示装置740は、図10を参照して説明された画像生成部700Eとして設計される。
第7実施形態と同様に、顕微鏡100Jは、集光レンズ123と光検出器124とを備える。顕微鏡100Jは、制御部120Jと、第1補正部141Jと、第2補正部142Jと、を更に備える。光検出器124が生成した検出信号DTSは、制御部120Jへ出力される。制御部120Jは、検出信号DTSに応じて、第1補正部141J及び第2補正部142Jを制御する。第7実施形態に関連して説明された如く、検出信号DTSは、レーザ光LBの光路の傾きに関する情報を含むので、第1補正部141J及び第2補正部142Jは、試料焦点SFPの移動の間に生ずるレーザ光LBの光路の傾きに起因するコマ収差を補正することができる。したがって、試料焦点SFPの大きさは、略一定に保たれる。第1補正部141Jは、第2偏向ミラー320と対物レンズ240との間で、レーザ光LBのコマ収差を補正する。第2補正部142Jは、透過光TLのコマ収差を補正する。この結果、顕微鏡100Jは、合成画像、反射像及び/又は透過像を精度よく生成することができる。尚、上述の様々な実施形態と同様に、制御部120Jは、第1駆動モータ315乃至第4駆動モータ425を制御してもよい。本実施形態において、第3補正部は、第1補正部141Jによって例示される。第4補正部は、第2補正部142Jによって例示される。
第1補正部141J及び第2補正部142Jは、液晶素子を含む液晶装置であってもよい。液晶装置は、局所的な屈折率変化を電気的に与え、球面収差を調整することができる。代替的に、第1補正部141J及び第2補正部142Jは、複数のレンズを有するレンズ装置であってもよい。複数のレンズのうち少なくとも1つは、可動式のレンズである。レンズ装置は、可動式のレンズを、反射光RL又は透過光TLが伝搬する光路に沿って電気的に変位させ、球面収差を調整することができる。
コマ収差は、レーザ光LBの光路の傾きの検出以外の技術を用いて補正されてもよい。共焦点顕微鏡は、コマ収差成分を検出する検出センサを備えてもよい。検出センサは、コマ収差成分を表す検出信号を生成してもよい。共焦点顕微鏡は、検出信号に応じてコマ収差を調整してもよい。代替的に、共焦点顕微鏡は、偏向ミラーを駆動するための駆動信号から光路の傾きを見極めてもよい。
<第12実施形態>
共焦点顕微鏡は、波長において異なる複数の光束を用いて合成画像を生成してもよい。試料が、吸収波長や透過波長において異なる部位を有するならば、合成画像は、吸収波長や透過波長の相違を利用して、試料の特徴を精度よく表現することができる。例えば、共焦点顕微鏡は、吸収波長ごとに、試料の合成画像を生成してもよい。第12実施形態において、波長において異なる複数の光束を用いて合成画像を生成する共焦点顕微鏡が説明される。
図16は、第12実施形態の共焦点顕微鏡(以下、顕微鏡100Kと称される)の光学系の概略図である。図1、図13及び図16を参照して、顕微鏡100Kが説明される。尚、上述の様々な実施形態の原理は、顕微鏡100Kの駆動系及び画像生成に適用されてもよい。第11実施形態及び第12実施形態の間で共通して用いられる符号は、当該共通の符号が付された要素が、第11実施形態と同一の機能を有することを意味する。したがって、第11実施形態の説明は、これらの要素に援用される。
第9実施形態と同様に、顕微鏡100Kは、ビームスプリッタ220と、リレーレンズ225,230と、ミラー235H,250Hと、対物レンズ240と、コリメートレンズ245と、リレーレンズ255,260と、を備える。顕微鏡100Kは、第1レーザ光源211と、第2レーザ光源212と、第1コリメートレンズ216と、第2コリメートレンズ217と、反射ミラー218と、ダイクロイックミラー219と、を更に備える。
第1レーザ光源211は、第1コリメートレンズ216へレーザ光LB1を出射する。第1コリメートレンズ216は、レーザ光LB1を平行光にする。第1コリメートレンズ216を通過したレーザ光LB1は、ダイクロイックミラー219に向けて反射される。第2レーザ光源212は、第2コリメートレンズ217へレーザ光LB2を出射する。第2コリメートレンズ217は、レーザ光LB2を平行光にする。第2コリメートレンズ217を通過したレーザ光LB2は、ダイクロイックミラー219に到達する。ダイクロイックミラー219は、レーザ光LB1,LB2を合波し、レーザ光LBを生成する。レーザ光LB2は、レーザ光LB1とは波長において相違する。第1レーザ光源211、第2レーザ光源212、第1コリメートレンズ216、第2コリメートレンズ217、反射ミラー218、ダイクロイックミラー219、ビームスプリッタ220、リレーレンズ225,230,255,260、ミラー235H,250H、対物レンズ240及びコリメートレンズ245は、図1を参照して説明された光生成部200として設計される。本実施形態において、第1レーザ光は、レーザ光LB1によって例示される。第2レーザ光は、レーザ光LB2によって例示される。
第9実施形態と同様に、顕微鏡100Kは、第1偏向ミラー310と、第2偏向ミラー320と、第1駆動モータ315と、第2駆動モータ325と、を更に備える。第1偏向ミラー310、第2偏向ミラー320、第1駆動モータ315及び第2駆動モータ325は、図1を参照して説明された走査部300として設計されている。
第9実施形態と同様に、顕微鏡100Kは、スライドガラス110を更に備える。観察者は、スライドガラス110に試料SMPを載置することができる。
第9実施形態と同様に、顕微鏡100Kは、第3偏向ミラー410と、第4偏向ミラー420と、第3駆動モータ415と、第4駆動モータ425と、を更に備える。第3偏向ミラー410、第4偏向ミラー420、第3駆動モータ415及び第4駆動モータ425は、図1を参照して説明された調整部400として設計されている。
顕微鏡100Kは、検出レンズ511,512と、ピンホール部材591,592と、光検出器531,532と、ダイクロイックミラー513と、反射ミラー514と、を更に備える。検出レンズ511,512、ピンホール部材591,592及び光検出器531,532は、図1を参照して説明された第1信号生成部500として設計されている。
上述の様々な実施形態と同様に、レーザ光LBは、反射光RLとして、ビームスプリッタ220に戻る。反射光RLは、ビームスプリッタ220と検出レンズ511との間に配置されたダイクロイックミラー513に入射する。ダイクロイックミラー513は、反射光RLを、レーザ光LB1由来の反射光RL1とレーザ光LB2由来の反射光RL2とに分離する。
反射光RL1は、ダイクロイックミラー513を通過し、検出レンズ511に入射する。ダイクロイックミラー513は、反射光RL2を反射ミラー514へ向けて反射する。反射ミラー514は、検出レンズ512に向けて、反射光RL2を反射する。
検出レンズ511は、ピンホール部材591のピンホールに、反射光RL1を集光する。その後、反射光RL1は、ピンホール部材591を通過し、光検出器531に入射する。光検出器531は、反射光RL1の強度に応じた信号を生成する。
検出レンズ512は、ピンホール部材592のピンホールに、反射光RL2を集光する。その後、反射光RL2は、ピンホール部材592を通過し、光検出器532に入射する。光検出器532は、反射光RL2の強度に応じた信号を生成する。
顕微鏡100Kは、検出レンズ611,612と、ピンホール部材691,692と、光検出器631,632と、ダイクロイックミラー613と、反射ミラー614と、を更に備える。検出レンズ611,612、ピンホール部材691,692及び光検出器631,632は、図1を参照して説明された第2信号生成部600として設計されている。
上述の様々な実施形態と同様に、レーザ光LBは、透過光TLとして、第3偏向ミラー410から出射される。その後、透過光TLは、ダイクロイックミラー613に入射する。ダイクロイックミラー613は、透過光TLを、レーザ光LB1由来の透過光TL1とレーザ光LB2由来の透過光TL2とに分離する。
透過光TL1は、ダイクロイックミラー613を通過し、検出レンズ611に入射する。ダイクロイックミラー613は、透過光TL2を反射ミラー614へ向けて反射する。反射ミラー614は、検出レンズ612に向けて、透過光TL2を反射する。
検出レンズ611は、ピンホール部材691のピンホールに、透過光TL1を集光する。その後、透過光TL1は、ピンホール部材691を通過し、光検出器631に入射する。光検出器631は、透過光TL1の強度に応じた信号を生成する。
検出レンズ612は、ピンホール部材692のピンホールに、透過光TL2を集光する。その後、透過光TL2は、ピンホール部材692を通過し、光検出器632に入射する。光検出器632は、透過光TL2の強度に応じた信号を生成する。
顕微鏡100Kは、第1補正部141Kと、第2補正部142Kと、第1検出部151Kと、第2検出部152Kと、を更に備える。レーザ光LB1,LB2の間に大きな波長差が存在するならば、色収差が発生することもある。第1検出部151K及び第2検出部152Kは、色収差を検出する。第1検出部151K及び第2検出部152Kは、色収差に関する情報を含む検出信号を生成する。第1補正部141K及び第2補正部142Kは、第1検出部151K及び第2検出部152Kからの検出信号に応じて、色収差を補正してもよい。
試料SMPが、レーザ光LBの吸収波長や透過波長によって異なる性質を示すならば、顕微鏡100Kは、観察者に、試料SMPに関する様々な情報を与えることができる。
共焦点顕微鏡は、2を超える種類の波長を用いて、合成画像を生成してもよい。共焦点顕微鏡が、赤色レーザ光、緑色レーザ光及び青色レーザ光を用いるならば、試料SMPのカラー画像が生成される。
光検出器531,631の受光波長は、レーザ光LB1の波長に合致していなくてもよい。光検出器532,632の受光波長は、レーザ光LB2の波長に合致していなくてもよい。例えば、これらの光検出器531,532,631,632の受光波長は、試料SMPから放出される光(すなわち、蛍光材料や多光子励起によって放出される光)の波長に合致していてもよい。
上述の様々な実施形態の原理は、共焦点顕微鏡の用途に応じて、適切に組み合わされてもよい。
上述の様々な実施形態に関連して説明された例示的な観察装置に関する技術は、以下の特徴を主に備える。
上述の実施形態の一の局面に係る共焦点顕微鏡は、試料から反射された反射光と、前記試料を透過した透過光と、を同時に生成する光生成部と、前記試料を光学的に走査し、且つ、前記反射光が伝搬する第1光路の方向を規定する走査部と、前記透過光が伝搬する第2光路の方向を角度的に調整する調整部と、前記反射光に応じた第1信号を生成する第1信号生成部と、前記透過光に応じた第2信号を生成する第2信号生成部と、前記第1信号及び前記第2信号に応じて、前記反射光によって表される反射像及び前記透過光によって表される透過像が合成された合成画像を生成する画像生成部と、を備える。
上記構成によれば、合成画像は、同時に生成された反射光及び透過光から形成されるので、共焦点顕微鏡を通じて試料を観察する観察者は、試料に関する情報を素早く取得することができる。反射光が、第1光路に沿って伝搬する一方で、透過光は、第2光路に沿って伝搬するので、第1信号は、透過光の影響を受けにくくなり、且つ、第2信号は、反射光の影響を受けにくくなる。したがって、第1信号及び第2信号に応じて生成された合成画像は、試料に関する高い精度の情報を含むことができる。加えて、合成画像は、反射像が含む情報と透過像が含む情報とを含むので、観察者は、試料に関する多くの情報を取得することができる。
上記構成において、共焦点顕微鏡は、前記走査部及び前記調整部を制御する制御部を更に備えてもよい。前記光生成部は、出射光を出射する光源部と、前記出射光を前記試料に向けて集光し、試料焦点を形成する対物レンズと、を含んでもよい。前記第1信号生成部は、前記反射光を集光し、第1焦点を形成する第1集光部と、前記第1焦点の周囲において前記反射光が通過可能な第1通過領域を有し、且つ、前記第1通過領域の周囲において前記反射光を遮断する第1遮断領域を有する第1通過部材と、前記第1通過領域を通過した前記反射光の強度を検出し、前記第1信号を生成する第1検出器と、を含んでもよい。前記第2信号生成部は、前記透過光を集光し、第2焦点を形成する第2集光部と、前記透過光が通過可能な第2通過領域と前記第2通過領域の周囲において前記透過光を遮断する第2遮断領域とを有する第2通過部材と、前記第2通過領域を通過した前記透過光の強度を検出し、前記第2信号を生成する第2検出器と、を含んでもよい。前記走査部は、前記第1光路上において前記出射光及び前記反射光を反射する第1反射部と、前記第1反射部を駆動し、前記試料上で規定された主走査方向及び副走査方向に前記試料焦点を変位させる第1駆動部と、を含んでもよい。前記調整部は、前記第2光路上において前記透過光を反射する第2反射部と、前記第2反射部を駆動する第2駆動部と、を含んでもよい。前記制御部は、前記第1駆動部及び前記第2駆動部を制御し、前記試料焦点が前記試料上で変位している間、前記第2焦点を前記第2通過領域内に維持してもよい。
上記構成によれば、第1遮断領域は、第1通過領域の周囲において反射光を遮断するので、第1信号は、第1焦点周囲の反射光成分によってもたらされるノイズ情報をほとんど含むことなく生成される。第2遮断領域は、第2通過領域の周囲において透過光を遮断するので、第2信号は、第2焦点周囲の透過光成分によってもたらされるノイズ情報をほとんど含むことなく生成される。したがって、合成画像は、試料に関する高い精度の情報を含むことができる。
制御部は、第1駆動部及び第2駆動部を制御し、試料焦点が試料上で変位している間、第2焦点を第2通過領域内に維持するので、合成画像は、同時に生成された反射光及び透過光から形成され得る。したがって、観察者は、試料に関する情報を素早く取得することができる。
上記構成において、前記光生成部は、前記第2光路上に配置されたコリメートレンズを含んでもよい。前記対物レンズは、前記試料焦点から発せられた前記反射光から第1平行光を生成してもよい。前記コリメートレンズは、前記試料焦点から発せられた前記透過光から第2平行光を生成してもよい。前記第1平行光は、前記走査部を経由して前記第1信号生成部に到達してもよい。前記第2平行光は、前記コリメートレンズから前記調整部を経由して前記第2信号生成部に到達してもよい。
上記構成によれば、第1平行光は、対物レンズから走査部を経由して第1信号生成部に到達する。第1平行光は、第1信号生成部において、第1集光部によって集光される。第2平行光は、コリメートレンズから調整部を経由して第2信号生成部に到達する。第2平行光は、第2信号生成部において、第2集光部によって集光される。第1平行光の伝搬経路は、第2平行光の伝搬経路とは異なるので、第1信号は、透過光の影響を受けにくくなる。第2平行光の伝搬経路は、第1平行光の伝搬経路とは異なるので、第2信号は、反射光の影響を受けにくくなる。したがって、第1信号及び第2信号に応じて生成された合成画像は、試料に関する高い精度の情報を含むことができる。
上記構成において、前記制御部は、前記第2駆動部の駆動動作を、前記第1駆動部の駆動動作に連動させてもよい。
上記構成によれば、制御部は、第2駆動部の駆動動作を、第1駆動部の駆動動作に連動させるので、試料焦点が試料上で変位している間、第2焦点は、第2通過領域内に維持される。この結果、合成画像は、同時に生成された反射光及び透過光から形成され得る。したがって、観察者は、試料に関する情報を素早く取得することができる。
上記構成において、前記第1反射部は、前記主走査方向における前記試料焦点の変位を担う第1反射素子と、前記副走査方向における前記試料焦点の変位を担う第2反射素子と、を含んでもよい。前記第1駆動部は、前記第1反射素子を駆動する第1駆動装置と、前記第2反射素子を駆動する第2駆動装置と、を含んでもよい。前記第2反射部は、前記第1反射素子に同期して動作する第3反射素子と、前記第2反射素子に同期して動作する第4反射素子と、を含んでもよい。前記第2駆動部は、前記制御部によって前記第1駆動装置の前記駆動動作に関連づけて制御される第3駆動装置と、前記制御部によって前記第2駆動装置の前記駆動動作に関連づけて制御される第4駆動装置と、を含んでもよい。
上記構成によれば、第1駆動装置乃至第4駆動装置が、第1反射素子乃至第4反射素子に対してそれぞれ割り当てられるので、第1光路及び第2光路に対する調整動作は、容易に適正化される。第3駆動装置は、制御部によって、第1駆動装置の駆動動作に関連づけて制御されるので、共焦点顕微鏡の光学的設定を調整する作業者は、試料焦点の主走査方向の動作に関連する調整作業を容易に行うことができる。第4駆動装置は、制御部によって、第2駆動装置の駆動動作に関連づけて制御されるので、作業者は、試料焦点の副走査方向の動作に関連する調整作業を容易に行うことができる。
上記構成において、前記制御部は、前記第3駆動装置を制御し、前記主走査方向における前記試料焦点の前記変位が前記第2焦点の位置に与える影響を低減してもよい。前記制御部は、前記第4駆動装置を制御し、前記副走査方向における前記試料焦点の前記変位が前記第2焦点の前記位置に与える影響を低減してもよい。
上記構成によれば、制御部は、第3駆動装置を制御し、主走査方向における試料焦点の変位が第2焦点の位置に与える影響を低減するので、試料焦点が主走査方向に変位している間も、第2焦点は、第2通過領域内に維持される。制御部は、第4駆動装置を制御し、副走査方向における試料焦点の変位が第2焦点の位置に与える影響を低減するので、試料焦点が主走査方向に変位している間も、第2焦点は、第2通過領域内に維持される。この結果、合成画像は、同時に生成された反射光及び透過光から形成され得る。したがって、観察者は、試料に関する情報を素早く取得することができる。
上記構成において、共焦点顕微鏡は、前記試料が載置されるステージと、前記対物レンズと前記コリメートレンズとの間で規定される光軸に沿って前記ステージを変位させる変位機構と、前記走査部と前記対物レンズとの間で前記出射光の球面収差を補正する第1補正部と、前記第2平行光の球面収差を補正する第2補正部と、を更に備えてもよい。前記制御部は、前記対物レンズと前記コリメートレンズとの間で規定される前記光軸上における前記ステージの位置に応じて、前記第1補正部及び前記第2補正部を制御し、前記出射光の前記球面収差と前記第2平行光の前記球面収差とを調整してもよい。
上記構成によれば、制御部は、ステージの位置に応じて、第1補正部及び第2補正部を制御し、出射光の球面収差と第2平行光の前記球面収差とを調整するので、合成画像は、小さな試料焦点から発せられた反射光及び透過光から生成される。したがって、合成画像は、試料に関する高い精度の情報を含むことができる。
上記構成において、共焦点顕微鏡は、前記走査部と前記対物レンズとの間で前記出射光の球面収差を補正する第1補正部と、前記第2平行光の球面収差を補正する第2補正部と、前記第1平行光の球面収差を検出し、前記第1平行光の前記球面収差を表す第1収差信号を生成する第1収差検出部と、前記第2平行光の前記球面収差を検出し、前記第2平行光の前記球面収差を表す第2収差信号を生成する第2収差検出部と、を更に備えてもよい。前記制御部は、前記第1収差信号と前記第2収差信号とに応じて前記第1補正部と前記第2補正部とを制御し、前記出射光の前記球面収差と前記第2平行光の前記球面収差とを調整してもよい。
上記構成によれば、制御部は、第1収差信号と第2収差信号とに応じて第1補正部と第2補正部とを制御し、出射光の球面収差と第2平行光の球面収差とを調整するので、合成画像は、小さな試料焦点から発せられた反射光及び透過光から生成される。したがって、合成画像は、試料に関する高い精度の情報を含むことができる。
上記構成において、前記第1補正部及び前記第2補正部それぞれは、液晶素子を含む液晶装置又は可動式のレンズを含む複数のレンズを有するレンズ装置であってもよい。
上記構成によれば、球面収差は、適切に調整される。
上記構成において、前記制御部は、前記走査部を通過した前記出射光の光路の傾きを検出し、前記出射光の前記光路の前記傾きを表す検出信号を出力する傾き検出部と、前記検出信号に応じて、前記走査部及び前記調整部を同期制御する同期制御部と、を含んでもよい。
上記構成によれば、同期制御部は、検出信号に応じて、走査部及び調整部を同期制御するので、調整部は、走査部の動作に適切に連動することができる。
上記構成において、前記透過光の光路の傾きを検出し、前記透過光の前記光路の前記傾きを表す検出信号を出力する傾き検出部と、前記検出信号に応じて、前記走査部及び前記調整部を同期制御する同期制御部と、を含んでもよい。
上記構成によれば、同期制御部は、検出信号に応じて、走査部及び調整部を同期制御するので、調整部は、走査部の動作に適切に連動することができる。
上記構成において、共焦点顕微鏡は、前記走査部と前記対物レンズとの間で前記出射光のコマ収差を補正する第3補正部と、前記第2平行光のコマ収差を補正する第4補正部と、を更に備えてもよい。前記制御部は、前記走査部を通過した前記出射光の光路の傾きを検出し、前記出射光の前記光路の前記傾きを表す検出信号を出力する傾き検出部と、前記検出信号に応じて前記第3補正部及び前記第4補正部を制御してもよい。
上記構成によれば、制御部は、検出信号に応じて第3補正部及び第4補正部を制御するので、出射光及び第2平行光のコマ収差は適切に補正される。この結果、合成画像は、小さな試料焦点から発せられた反射光及び透過光から生成される。したがって、合成画像は、試料に関する高い精度の情報を含むことができる。
上記構成において、前記光源部は、前記出射光として第1レーザ光を出射する第1レーザ光源と、前記出射光として、前記第1レーザ光とは波長において異なる第2レーザ光を出射する第2レーザ光源と、を含んでもよい。
上記構成によれば、観察者は、吸収波長や透過波長において相違する試料構成物質の状態を別々に観察することができる。
上記構成において、前記画像生成部は、前記反射像と前記透過像との間での輝度レベルの差異を低減する輝度調整処理を行う輝度調整部を含んでもよい。
上記構成によれば、輝度調整部は、反射像と透過像との間での輝度レベルの差異を低減する輝度調整処理を行うので、観察者は、視認性に優れた合成画像を観察することができる。
上記構成において、前記輝度調整部は、前記第1信号を増幅し、増幅信号を生成する増幅部を含んでもよい。前記画像生成部は、前記増幅信号と前記第2信号とから前記合成画像を生成する合成部を含んでもよい。
上記構成によれば、合成部は、増幅信号と第2信号とから合成画像を生成するので、反射像と透過像との間での輝度レベルの差異は低減される。したがって、観察者は、視認性に優れた合成画像を観察することができる。
上記構成において、前記輝度調整部は、前記第2信号を減衰させ、減衰信号を生成する減衰部を含んでもよい。前記画像生成部は、前記減衰信号と前記第1信号とから前記合成画像を生成する合成部を含んでもよい。
上記構成によれば、合成部は、減衰信号と第1信号とから合成画像を生成するので、反射像と透過像との間での輝度レベルの差異は低減される。したがって、観察者は、視認性に優れた合成画像を観察することができる。
上記構成において、前記輝度調整部は、前記第1信号を増幅し、増幅信号を生成する増幅部と、前記第2信号を減衰させ、減衰信号を生成する減衰部と、を含んでもよい。前記画像生成部は、前記増幅信号と前記減衰信号とから前記合成画像を生成する合成部を含んでもよい。
上記構成によれば、合成部は、増幅信号と減衰信号とから合成画像を生成するので、反射像と透過像との間での輝度レベルの差異は低減される。したがって、観察者は、視認性に優れた合成画像を観察することができる。
上記構成において、前記輝度調整部は、前記第1信号を10倍から100倍の増幅率で増幅してもよい。
上記構成によれば、輝度調整部は、第1信号を10倍から100倍の増幅率で増幅するので、反射像と透過像との間での輝度レベルの差異は低減される。したがって、観察者は、視認性に優れた合成画像を観察することができる。
上記構成において、前記走査部及び前記調整部それぞれは、ガルバノミラー、音響光学素子、電気光学素子及びポリゴンミラーからなる群から選択される少なくとも1つを含んでもよい。
上記構成によれば、走査部及び調整部それぞれは、ガルバノミラー、音響光学素子、電気光学素子及びポリゴンミラーからなる群から選択される少なくとも1つを含むので、第1光路及び第2光路の方向は、適切に調整される。