図1〜図7は、本発明に係るハーネス屈曲規制部材の各実施形態を示すものである。
これら各ハーネス屈曲規制部材1〜7は、合成樹脂製のコルゲートチューブ(保護チューブ)8の内側に挿入されるものである。各ハーネス屈曲規制部材1〜7は合成樹脂材で形成されており、断面長円形のコルゲートチューブ8に対応した断面形状を有している。コルゲートチューブ8は周方向の凹溝8aと凸条8b(図1)をチューブ長手方向に交互に配列した既存のものである。
図1に示すハーネス屈曲規制部材1は、断面長円形の剛性の筒状部(屈曲不能部ないし高剛性部)9と、筒状部9の短径側の一側部(一側壁)9aにおいて筒状部9の先端側9bから軸方向(長手方向)に一体に延長形成された可撓性のヘラ状部(屈曲可能部ないし低剛性部)10とを備え、ヘラ状部10は先端10aに向かうにつれて漸次幅狭となるように略テーパ状に形成されている。
筒状部(筒状壁)9の基端には外向きの鍔部11が一体に設けられている。筒状部9は、ワイヤハーネスの不図示の複数本の電線を挿通させるべく、軸方向に貫通した孔部9cを有し、孔部9cは基端側と先端側の各開口とを有している。
筒状部9とその基端の鍔部11と貫通した孔部9cとその各開口の構成や、ヘラ状部10ないしそれに類する部分が筒状部9の短径側の一側部9aにおいて延長形成されて構成は、図1〜図6の各実施形態において共通している(以下の図2〜図6の形態において共通部分については説明を省略する)。
図1のヘラ状部10は筒状部9の短径側の一側部9aと同じ湾曲形状の外周面(図示せず)と内周面10bを有している。ヘラ状部10の基端側部分は、筒状部9の先端部分9bにおいて短径側の一側部9aから他側部(他側壁)9dに回り込むように傾斜状(ないし湾曲状)に続いており、この傾斜部10cの先端10c’はヘラ状部10の長手方向中間部に達している。傾斜部10cによって高剛性の筒状部9と低剛性のヘラ状部10との中間の剛性が確保され、ヘラ状部10がスムーズに屈曲可能となる(この作用は他の実施形態においても同様である)。
ヘラ状部10における基端側の外周面は半環状ないしそれ以上に幅広に形成され、中間側の外周面は湾曲状に形成され、先端側の外周面はほぼ平面的に幅狭に形成されている。このように、ヘラ状部10は先端側に行くほど小さな半径で曲がり易くなっている。
筒状部9の外径は鎖線で示すコルゲートチューブ8の内径よりも若干小さく設定されており、コルゲートチューブ8の一端部8c側の開口から内側に屈曲規制部材1が挿入されて、基端側の鍔部11がコルゲートチューブ8の基端8c’に対向して位置する(この構成は図1〜図6の各実施形態に共通している)。筒状部9の外周面はコルゲートチューブ8の内周面に接触し、ヘラ状部10の外周面がコルゲートチューブ8の短径側の一側部8dの内周面に接触する。
コルゲートチューブ8に矢印Aの如く短径側の一側部8dから他側部8eに向けて屈曲する力が作用した際に、コルゲートチューブ8の一端部8cは屈曲規制部材1の筒状部9で支持されて屈曲が阻止され、コルゲートチューブ8の一端部8cに続く長手方向中間部8fの一側部8dがヘラ状部10で支持されて、ヘラ状部10の先端10aに向かうにつれて徐々に大きく屈曲する。
すなわち、ヘラ状部10の先端10a側が小さな半径で大きく屈曲し、ヘラ状部10の中間側が中位の半径で屈曲し、ヘラ状部10の基端10c側が大きな半径で小さく屈曲する。コルゲートチューブ8もそれに準じて二次曲線的に屈曲する。このようにヘラ状部10によってコルゲートチューブ8の屈曲半径(屈曲角度)が規制される。筒状部9の外周側のコルゲートチューブ部分8cは高剛性の筒状部9で屈曲が阻止される。
なお、筒状部9を長径側の分割面(図示せず)から短径方向に分割可能に形成し、両分割筒状部を係止爪と係止凹部等といった係止手段(図示せず)で相互に係止固定させることも可能である。長径側の一方のヒンジ(図示せず)を支点に他方を開閉自在として、両分割筒状部を係止手段で相互に固定させることも可能である。また、断面長円形ではなく断面円形のコルゲートチューブ(図示せず)に対応して、屈曲規制部材1を断面円形の筒状部(9)と、筒状部(9)と同じ湾曲形状のヘラ状部(10)ないしそれに類する部分とで構成することも可能である。また、筒状部9は断面長円形でなく断面楕円形や断面平型とすることも可能である。これらの構成は図1〜図6の各実施形態において適用可能である。
図2に示すハーネス屈曲規制部材2は、断面長円形の筒状部(屈曲不能部ないし高剛性部)13と、筒状部13の短径側の一側部13aにおいて筒状部13の先端側13bから軸方向に均一な幅寸法で一体に延長形成されたヘラ状部(屈曲可能部ないし低剛性部)14とを備えたものである。
ヘラ状部14にはその基端から先端14aにかけて例えば複数のスリット15が漸次数を増加させて並列に設けられている。あるいはスリット15がヘラ状部14の基端側半部14bに少なく配置され、先端側半部14cに多く配置されている。スリット15はヘラ状部14の幅方向に沿って湾曲状に且つヘラ状部14の板厚方向に貫通して形成され、スリット15の長手方向の両端15aはヘラ状部14の幅方向両端の手前で終端し、スリット15の両端15aはヘラ状部14の湾曲状の幅方向両端部14dに続いている。ヘラ状部14は片持ち梁であるので基端側に比べて先端側14aが大きく(小さな半径で)二次曲線的に撓む(屈曲する)が、ヘラ状部14の先端部側に多く配置されたスリット15によってその撓み(屈曲)傾向が助長されている。
なお、スリット15に代えて突条(図示せず)をヘラ状部14に設けることも可能である。突条の数はヘラ状部14の先端に向かうにつれて漸次少なくなるように設定する。これにより、スリット15の数がヘラ状部14の先端14aに向かうにつれて漸次増加したのと同様の作用(ヘラ状部14が先端14aに向かうにつれて屈曲し易くなる作用)が得られる。筒状部13の基端には外向きの鍔部11が設けられている。
鎖線で示す断面長円形のコルゲートチューブ8の内側に屈曲規制部材2を挿入した状態で、矢印Aの如くコルゲートチューブ8に短径方向の曲げ力が作用した際に、コルゲートチューブ8の短径側の内面が屈曲規制部材2のヘラ状部14の外面に押接し、ヘラ状部14がコルゲートチューブ8の長手方向中間部8fと共に二次曲線的に屈曲する。コルゲートチューブ8の端部8cは屈曲規制部材2の筒状部13で曲がりを阻止される。
図3に示すハーネス屈曲規制部材3は、断面長円形の筒状部(屈曲不能部ないし高剛性部)16と、筒状部16の短径側の一側部16aにおいて筒状部16の先端側16bから軸方向に真直に且つ一体に突出(延長)形成された帯板状のリブ(屈曲可能部ないし低剛性部)17と、リブ17の内側の端面17bから外向きに切欠形成された複数の並列なスリット18とを備えている。
リブ17は筒状部16の内面にも延長形成され(延長部を符号17cで示す)、筒状部16の短径側に幅広に形成され、長径側に幅狭に形成されている。各スリット18は筒状部16から外部に突出したリブ部分17に形成され、リブ17の内側面16aから外側面の近傍にかけて切欠形成されている。リブ17の外側面の上下には低い鍔壁(保護チューブ支持部ないし連結壁)19が一体に設けられ、鍔壁19の手前までスリット18が切欠形成され、鍔壁19によって幅狭なリブ17が補強されると共に、コルゲートチューブ8の内面に対する接触(押接)面積が増加している。鍔壁19を含めてリブ17と呼称することも可能である。
本例の各スリット18間のピッチは均一である。スリット18間のピッチをリブ17の突出先端17aに向かうにつれて漸次小さく設定して、リブの先端17a側を曲げ易くすることも可能である。筒状部16の基端には外向きの鍔部11が設けられている。本例のリブ17は図2等のヘラ状部14よりも短く形成され、例えばコルゲートチューブ8の小径な屈曲部分に対応可能である。
各スリット18によってリブ17が複数の駒部(分割リブないし分割壁)20に分割され(各駒部20は外側の鍔壁19で相互に連結されている)、リブ17が矢印Aの如く内向きに屈曲した際に、各駒部材20の隣接対向する端面すなわち各スリット18の隣接対向する端面が相互に当接してそれ以上のリブ17の屈曲が阻止される(屈曲規制される)。各スリット18の隣接対向する端面が相互に当接するまでの間はリブ17が小さな力で容易に屈曲可能である。
鎖線で示すコルゲートチューブ8の内側に屈曲規制部材3を挿入配置した状態で、コルゲートチューブ8に矢印Aの如く短径方向の曲げ力が作用した際に、コルゲートチューブ8の短径側の一側部8dの内面が屈曲規制部材3のリブ17の鍔壁19を含む外面に押接し、リブ17がコルゲートチューブ8と共に筒状部16の先端16b(リブ17の基端17d)を支点として矢印A方向に内向きに屈曲する。リブ17がある程度屈曲した時点で、リブ17の各スリット18の対向する内面同士(各駒部20の対向する外面同士)が当接して、それ以上のリブ17の屈曲が規制される。コルゲートチューブ8の端部8cは屈曲規制部材3の筒状部16で曲がりを阻止される(真直に屈曲規制される)。リブ17の基端17dは筒状部16の一側部16aの先端16bに続き、先端16bは傾斜部16cを介して他側部16dに続いている。
なお、図3のリブ17は図1,図2の各ヘラ状部10,14と違って外側すなわち矢印Aとは反対側にも屈曲可能である。この場合は、リブ17の各駒部20同士が当接しないので、リブ17の屈曲半径(角度)は規制されず、リブ17は小径に屈曲可能である。その場合、リブ17はコルゲートチューブ8の内面で押されるのではなく、コルゲートチューブ8内に挿通した不図示の複数本の電線によって矢印Aとは反対方向に押されて屈曲する。
図4(a)(b)に示すハーネス屈曲規制部材4は、断面長円形の筒状部(屈曲不能部ないし高剛性部)21と、筒状部21の短径側の一側部21aにおいて筒状部21の先端側21bから軸方向に一体に延長形成されたヘラ状部(屈曲可能部ないし低剛性部)22と、ヘラ状部22の幅方向(上下)の端部に形成された水平な端壁26と、両端壁26に並列に且つ上下対称に設けられた複数のスリット44と、各スリット44の前端に設けられた長い各突部23と、各スリット44の後端に設けられた短い各突部45とを備えている。
ヘラ状部22は基端部から先端部22aの近傍にかけて均一な幅寸法で形成され、先端部22aは先細テーパ状に形成され、先端部22aの先端は内向きに傾斜して、コルゲートチューブ8に対する挿入ガイド22a’をなしている。ヘラ状部22の内面側には幅方向中央に真直な溝部24が設けられて、ヘラ状部22の例えば内向き(矢印A方向)の屈曲剛性を高めている。溝部24は先端24aに向かうにつれて漸次細幅に形成され(図4(b)参照)、ヘラ状部22は先端部22aに向かうにつれて曲がり易くなっている。
ヘラ状部22の基端部において幅方向両端部である上下の端壁26は段差部27を介して筒状部21の上下の先端21bに続き、先端21bは傾斜部21cを介して他側部21dに続いている。筒状部21は基端に外向きの鍔部11を有している。ヘラ状部22は、断面長円形の一部をなす断面湾曲状の主体部28と、主体部28の幅方向両側において内向き鍔状に突出した略水平な両端部である端壁26とで成り、両端壁26に複数のスリット44と、スリット44の前後端における突部23,45とが並列に且つ上下対称に設けられている。
図4(b)の如く、各突部23は、端壁26に直交した垂直片部23aと、垂直片部23aの一部として端壁26を横断して内向きに延長された内向き延長片部23a’と、垂直片部23aの外側端から基端側(後側)に向けて鍔状に突出した水平片部23bとで構成されている。一方の突部23の内向き延長片部23a’に対向して他方の突部(突片部)45が内向き鍔状に設けられている。端壁26は複数のスリット44で分割された複数の分割端壁(分割壁)26aで構成されている。
一方の突部23の延長片部23a’を含む垂直片部23aと他方の突部45とは、端壁26のスリット44の対向する内面44aすなわち隣接する二つの分割端壁26aの対向する前後の端面の面積を増加させて、ヘラ状部22が矢印A方向(内向き)に屈曲した際に大きな面積で相互に当接して、ヘラ状部22のそれ以上の屈曲を確実に抑止する。両突部23,45がない場合は、端壁26のスリット44の前後の端面同士すなわち分割端壁26aの対向する前後の端面同士が小さな面積で当接するので、上下方向のズレを生じて当接が不意に解除される懸念があるが、両突部23,45によって各分割端壁26aの端面44a同士の当接がズレなく、あるいはズレを吸収して確実に行われる。突部23の水平片部23bは、隣接する分割端壁26aの外面に対するストッパとして作用して、隣接する分割端壁26bの外向きの大きなズレを阻止する。他方の突部45を排除した場合でも、突部23の延長片部23a’を含む垂直片部23aが分割端壁26aの端面の上下方向のズレを吸収して、端面44a同士の当接を確実に行わせる。明細書で上下前後等の方向性は説明の便宜上のものである。
各水平片部23bの外面(符号23bで示す面)は筒状部21の外面と同じ高さに位置し、筒状部21と共にコルゲートチューブ8(図4(a))の内面を安定に支持可能である。各水平片部23bは後向きに突出しているので、コルゲートチューブ8内に屈曲規制部材4を先端側22a’から前向きに挿入する際に、コルゲートチューブ8の内面側の凹凸部との引っ掛かりが防止される。なお、図4の突部23,45と同様ないし類似するものを図3のリブ17のスリット18の端縁や、後述の図5の突板部30の溝部32の端縁に設けることも可能である。
コルゲートチューブ8の内側に屈曲規制部材4を挿入配置した状態で、コルゲートチューブ8に矢印A方向の曲げ力が作用した際に、ヘラ状部22の外面がコルゲートチューブ8の一側部8dの内面で押されて、ヘラ状部22がコルゲートチューブ8と共に矢印A方向(内向き)に屈曲する。ヘラ状部22の屈曲時に端壁26が各スリット44において屈曲し、突部23,45の対向する内面を含む各スリット44の対向する内面44aが大きな面積で相互に当接してそれ以上の屈曲が確実に阻止される。コルゲートチューブ8の端部8cは屈曲規制部材4の筒状部21で曲がりを阻止される。
図5(a)(b)に示すハーネス屈曲規制部材5は、断面長円形の筒状部(屈曲不能部ないし高剛性部)29と、筒状部29の短径側の一側部29aにおいて筒状部29の先端側から軸方向に真直に且つ一体に突出(延長)形成された突板部(屈曲可能部ないし低剛性部)30と、突板部30の幅方向(上下)の端部(端面)に形成された複数対の湾曲状の突出片31とを備えている。
突板部30は図3のリブ17よりも上下方向に幅広に且つ平板状に形成され、筒状部29よりも厚肉に形成されて、突板部30の外面は筒状部29の外面と略同一面上に位置し、突板部30の内面30bは筒状部29の内面よりも内向きに突出し、突板部30の基端は傾斜面30cで筒状部29の一側部29aの内面に続いている。筒状部29の一側部29aの先端は傾斜部29cを介して他側部29bに続いている。筒状部29は断面長円形であるので両側部(側壁)29a,29bの中央は平坦な壁部分となっており(これは各実施形態において同様である)、突板部30の外面は筒状部29の一側部29aの平坦な壁部分の外面の延長上に位置する。
突板部30の外面側には、複数の幅狭のスリット状の溝部32が突板部30の幅方向に沿って形成され、各溝部32は突板部30の長手方向に並列に配置されている。溝部32は湾曲状の各突出片31の前後に各一対配置されている。外面側の溝部32によって突板部30が板厚方向に内向き(矢印A方向すなわち溝部32の開く方向)に屈曲し易くなっている。突板部30が外向き(矢印B方向すなわち溝部32の閉じる方向)に屈曲した際に、各溝部32の対向する内面同士が当接してそれ以上の屈曲が阻止される。図2のスリット15の配置と同様に、溝部32の数を突板部30の先端側に多く、基端側に少なく設定することも可能である。
筒状部29内に挿通された不図示の複数本の電線は突板部30の内面30bに沿って配索される(これは各実施形態のヘラ状部10等においても同様である)。上下各一対の湾曲状の突出片31は、ハーネス屈曲規制部材5からワイヤハーネスの複数本の電線(図示せず)がはみ出すことがない様にするためのものである。電線は突板部30の内面30bと上下の各突出片31の内面31bとに沿って安定に支持される。各突出片31の外面は突板部30の外面に同一面で続いており(図5(b)参照)、各突出片31の外面は突板部30の外面と共にコルゲートチューブ8の内面を安定に支持可能である。上下の各突出片31は図3の幅狭のリブ17においても適用可能である。筒状部29の基端には外向きの鍔部11が設けられている。
コルゲートチューブ8内に屈曲規制部材5を挿入配置した状態で、突板部30と各一対の突出片31とでコルゲートチューブ8が安定に支持され、コルゲートチューブ8に矢印A方向の曲げ力が作用した際に、突板部30の外面と各突出片31の外面とがコルゲートチューブ8の内面で押されて、突板部30がコルゲートチューブ8と共に内向き(溝部32を開く方向)に屈曲する。
また、コルゲートチューブ8に反対の矢印B方向の曲げ力が作用した際に、突板部30が各溝部32を閉じる方向に容易に屈曲し、各溝部32の対向する内面同士が当接して(各溝部32が閉じて)それ以上の屈曲が阻止される。突板部30の外向き(矢印B方向)の屈曲は、ワイヤハーネスの不図示の複数本の電線が突板部30の内面30bに押接することで行われる。コルゲートチューブ8の端部8cは屈曲規制部材5の筒状部29で曲がりを阻止される。
図6に示すハーネス屈曲規制部材6は、断面長円形の筒状部(屈曲不能部ないし高剛性部)33と、筒状部33の短径側の一側部33aにおいて筒状部33の先端側から軸方向に一体に延長形成されたヘラ状部(屈曲可能部ないし低剛性部)34と、ヘラ状部34の幅方向(上下)の端部側に貫通して設けられた複数のスリット35とを備えている。
ヘラ状部34は基端から先端34aに渡って均一な幅寸法で形成されている。ヘラ状部34は幅方向中央の平坦な帯状の板部分36と、幅方向(上下)両側の断面円弧状の板部分37とで成り、板部分37に複数のスリット35が板部分幅方向に沿って上下対称に且つ板部分長手方向に並列に形成されて、各スリットの間に複数の分割板部(符号37で代用する分割壁)が並列に配置されている。ヘラ状34の基端は筒状部33の一側部33aの先端33bに続き、先端33bは傾斜部33cを介して筒状部33の他側部33dに続いている。筒状部33の基端には外向きの鍔部11が設けられている。
コルゲートチューブ8の内側に屈曲規制部材6を挿入配置した状態で、コルゲートチューブ8に矢印A方向の曲げ力が作用した際に、ヘラ状部34がコルゲートチューブ8と共に内向きに屈曲し、ヘラ状部34の上下の各スリット35の対向する内面が当接してそれ以上の屈曲が阻止される。コルゲートチューブ8に矢印Aとは反対方向の曲げ力が作用した場合は、ヘラ状部34は、筒状部33内に挿通された不図示の複数本の電線に押圧されて外向きに屈曲し、各スリット35の対向する内面は当接せずに開く方向になるので、ヘラ状部34が内向きよりも小さな屈曲半径で外向きに屈曲可能となる。コルゲートチューブ8の端部8cは屈曲規制部材6の筒状部33で曲がりを阻止される。
図7(a)〜(c)に示すハーネス屈曲規制部材7は、断面長円形状の一部をなす断面半環状の樋状部(屈曲不能部ないし高剛性部)38と、樋状部38の短径側の側部38aにおいて樋状部38の先端側から一体に延長形成され、複数の分割壁40を連結して成る連結状壁部(屈曲可能部ないし低剛性部)39とを備えている。
樋状部(樋状壁)38の基端には外向きの半環状の鍔部12が設けられている。樋状部38は、断面長円形のコルゲートチューブ8の内周面に沿う形状を有し、幅方向中央の略平坦な壁部分(符号38aで代用)と、平坦な壁部分38aの幅方向両側(上下)に続く湾曲状の壁部分38bとで成り、両側の湾曲状の壁部分38bの突出先端の間に電線挿通用の開口41を有している。
連結状壁部39は、幅方向に沿って湾曲し且つ長手方向(軸方向)に沿って湾曲した複数の分割壁40と、各分割壁40の幅方向中央を連結する幅狭な可撓性のヒンジ部42とで構成されている。分割壁40は樋状部38よりも若干幅狭に形成され、断面長円形のコルゲートチューブ8の内周面に沿うように、幅方向に沿って平坦な中央部分40a(図7(c))と、幅方向両側(上下)の湾曲状の部分40bとで成る。各分割壁40は幅(上下)方向のスリット(隙間)43を介して位置し、そのスリット(隙間)43内に幅方向中央のヒンジ部42が位置し、ヒンジ部42は帯状の中央部分40aの一部を成している。
図7(b)の如く、連結状壁部39の各分割壁40は長手方向にも断面湾曲状に形成されている。各分割壁40の前後の各端面すなわち各分割壁40の間のスリット43の対向する内面40cはテーパ状に開いており、各内面40cは分割壁40の外面に略直交している。各分割壁40の前後端には、鍔状に突出した各突条(突部)46が分割壁40の幅(上下)方向の湾曲形状に沿って湾曲状に形成されている。突条46によって分割壁40の端部の肉厚が増加し、スリット43の内面40cの面積が増加している(スリット43の内面40cは分割壁40の端面と同一面の突条46の端面とで形成されている)。これにより、図4の実施形態の突部23,45と同様に、連結状壁部39の屈曲時に分割壁40の前後の端面40c同士が上下方向や左右方向(屈曲方向)にずれることなく確実に当接して、あるいは上下方向や左右方向(屈曲方向)のズレを吸収して、連結状壁部39の屈曲規制(曲がり過ぎの防止)を確実に行わせる。
ヒンジ部42は各分割壁40の外面側に(外面と同一面に)配置されている。従って、連結状壁部39は外向きに屈曲自在で、内向きに屈曲した際に屈曲半径が規制される。コルゲートチューブ8内に屈曲規制部材7を挿入した状態で、コルゲートチューブ8に矢印A方向の曲げ力が作用した際に、連結状壁部39の外面がコルゲートチューブ8の内面で矢印A方向に押されて、図7(c)の如く連結状壁部39がコルゲートチューブ8と共に内向きに折り返されるように比較的小さな屈曲半径で屈曲し、各分割壁40の隣接対向する端面同士すなわちスリット43の内面40c同士が当接してそれ以上の屈曲が阻止される。樋状部38は他の例の筒状部9等と同様にコルゲートチューブ8の屈曲をほぼ完全に阻止する。
なお、連結状壁部39の各分割壁40の間のスリット(隙間)43を狭くしたり、各分割壁40の前後の端面すなわちスリット43の内面40cの傾斜(開き)角度を増減させたりすることで、連結状壁部39の屈曲半径を所望に変化させることができる。また、図7の突条46と同様のものを図6のヘラ状部34のスリット35の端縁に形成することも可能である。また、図7の突条46に類似する真直な突条(図示せず)を図5の突板部30のスリット32の端縁に形成することも可能である。
また、図7(a)の実施形態において、樋状部38を図1の実施形態のような筒状部(9)とし、筒状部(9)への電線の挿通作業性を高めるために、筒状部(9)を下端のヒンジを介して左右(径方向)に開閉自在に分割し、左右一対の分割筒状部の上端の分割面に、例えば図7(a)の突条46のように作用する当接面を有する真直な突条を互い違いに設けて、上端の分割面の径方向及び軸方向の位置ずれを吸収(防止)させることも可能である。
図8は、本発明に係るハーネス屈曲規制部材を用いたハーネス配索構造の一実施形態を示すものである。便宜上、ハーネス屈曲規制部材として図1の屈曲規制部材1を用いた例で説明する。
このハーネス配索構造は、自動車の車両ボディ(固定構造体)51側の給電装置52からスライドドア(スライド構造体)53側の給電装置54にかけてワイヤハーネス55を配索したものであり、図8で右側の図がスライドドア53の全閉状態、中間の図がスライドドア53の半開状態、左側の図がスライドドア53の全開状態をそれぞれ便宜上実線で示している。
スライドドア53は開き初期時において車両ボディ51の乗降口から車両外側に離間する。各給電装置52,54は、水平方向に首振り自在な首振り部材(図示せず)とそれを支持する支持部材56,57とで構成されている。ワイヤハーネス55の外周側のコルゲートチューブ(ハーネス保護チューブ)8の各端部8c,8gが各給電装置52,54の各首振り部材に保持されている。ワイヤハーネス55はコルゲートチューブ8とその内側に挿通された複数本の電線58とで構成されている。図8において符号51は車両ボディの乗降口のステップ部の下側後部を示し、符号53はスライドドアのドアインナパネルを示している。
ハーネス屈曲規制部材1は車両ボディ側の給電装置52側においてコルゲートチューブ8の内側に挿入され、屈曲規制部材1の筒状部(屈曲不能部)9がコルゲートチューブ8の一端部8c内に配置され、ヘラ状部(屈曲可能部)10が、コルゲートチューブ8の一端部8cに続く長手方向中間部8fにおいて車両内側(ドア全閉時)ないし車両前側(ドア半開時と全開時)に配置されている。
図8の右側の図の如く、スライドドア53の全閉時に、ワイヤハーネス55のコルゲートチューブ8は車両ボディ側の給電装置52からスライドドア側の給電装置54にかけてほぼ真直に伸びた状態で配索される。屈曲規制部材1のヘラ状部10はコルゲートチューブ8に沿ってほぼ真直に位置する。
図8の中間の図の如く、スライドドア53の半開時に、屈曲規制部材1の筒状部9がコルゲートチューブ8の屈曲を阻止すると共に、ヘラ状部10の外面10dが車両ボディ側の給電装置52寄りのコルゲートチューブ部分8fの車両前側の内面8f’で押されて、ヘラ状部10が車両外側に向けて湾曲状に屈曲し、ヘラ状部10と共に車両ボディ側の給電装置52寄りのコルゲートチューブ部分8fが前向きに略U字状に屈曲する(屈曲部を符号8hで示す)。すなわち、ヘラ状部10がコルゲートチューブ部分8fを湾曲状に屈曲規制する(コルゲートチューブ部分8fのそれ以上の屈曲を阻止する)。これにより、スライドドア側の給電装置54寄りのコルゲートチューブ部分が後向きに略U字状に屈曲して(屈曲部を符号8jで示す)、コルゲートチューブ8全体として略S字状にスムーズに屈曲する。
スライドドア53を全閉から開く際に、車両ボディ側の給電装置52寄りのコルゲートチューブ部分が屈曲規制部材1の筒状部9で屈曲(8h)を抑止されて略真直に伸びた状態に維持(屈曲規制)される。
そして、スライドドア側の給電装置54寄りのコルゲートチューブ部分8mの後向きの略U字状の屈曲部8jが形成されつつ、車両ボディ側の給電装置52寄りのコルゲートチューブ部分8fの前向きの略U字状の屈曲部8hが屈曲規制部材1のヘラ状部10で湾曲状に屈曲規制されて、両給電装置52,54の間でコルゲートチューブ8が最小屈曲半径を確保されつつ、座屈等を起こすことなく略S字状にスムーズに屈曲する。これにより、コルゲートチューブ8とその内側に挿通された複数本の電線58との(ワイヤハーネス55の)屈曲耐久性が高められる。スライドドア53の全閉時と半開時において両給電装置52,54の首振り部材(図示せず)の回動は僅かなものである。
また、図8の左側の図の如く、スライドドア53の全開時にスライドドア側の給電装置54が車両ボディ側の給電装置52よりも後方に位置し、車両ボディ側の給電装置52の首振り部材は前から後向きに反時計回りに回動して停止し、スライドドア側の給電装置54の首振り部材は後から前向きに反時計回りに回動して、両給電装置52,54の間でコルゲートチューブ8が後方に引っ張られる。ワイヤハーネス55は車両ボディ51とスライドドア53との間で車両ボディ側の給電装置52を支点に車両前側から車両後側に揺動する。
このスライドドア53の全開時において、コルゲートチューブ8の長手方向中間部8kが車両ボディ51の乗降口の下部後端51aに干渉しやすくなるが(車両ボディ側の給電装置52は乗降口のステップ部の下側ないしその近傍に配置されている)、車両ボディ側の給電装置52寄りのコルゲートチューブ8の一端部8cの内面に屈曲規制部材1の筒状部9の外面が当接して、コルゲートチューブ8の一端部8cを車両ボディ側の給電装置52から車両外側に向けてスライドドア厚み方向に突出させる。
これにより、一端部8cに続くコルゲートチューブ部分8fが車両ボディ51から外向きに離間して、コルゲートチューブ8の長手方向中間部8kと車両ボディ51の乗降口の下部後端51aとの干渉が防止される。これにより、コルゲートチューブ8の摩耗や傷付き等が防止されて、コルゲートチューブ8の内側に配索された複数本の電線58が安全に保護される。屈曲規制部材1のヘラ状部10は屈曲規制半径まで屈曲することなくコルゲートチューブ部分8fと共に大きな半径で屈曲する(コルゲートチューブの屈曲部を符号8nで示す)。
上記したスライドドア53の半開時や全開時において、屈曲規制部材1が剛性の筒状部(屈曲不能部)9と可撓性のヘラ状部(屈曲可能部)10とを備えたことで、例えば筒状部9のみの屈曲規制部材(図示せず)を用いた場合に比べて、ヘラ状部10によってコルゲートチューブ8を二次曲線的に屈曲させることができ、コルゲートチューブ8の折れ曲がりを防止することができる。
図8においては図1の屈曲規制部材1を用いた例で説明したが、図2の屈曲規制部材2を用いた場合もヘラ状部14が上記同様の作用を奏する。また、図3の屈曲規制部材3を用いた場合も、リブ17がヘラ状部10と同じ位置に配置され、スリット18の対向する内面が相互に当接して同様の屈曲規制を行う。また、図4の屈曲規制部材4を用いた場合もヘラ状部22が同様の作用を奏する。
図5の屈曲規制部材5を用いた場合は、例えば、図8においてヘラ状部10とは180°反対側の位置(スライドドア53の全閉時に車両外側、全開時に車両後側)に突板部30を配置することで、突板部30の溝部32の作用で突板部30の矢印B方向の屈曲初期時の曲げ力を小さくし、屈曲途中の曲げ力(曲げに要する力)を大きくして、上記同様の作用を奏することができる。また、図6の屈曲規制部材6を用いた場合もヘラ部材34が上記同様の作用を奏する。
図7の屈曲規制部材7を用いる場合、連結状壁部39の配置は図8のヘラ状部10の配置と同様であり、連結状壁部39の各スリット43の対向する内面40cが相互に当接して上記同様にコルゲートチューブ8の屈曲規制を行う。
図9〜図10は、図8の車両ボディ側の給電装置52の一実施形態を示すものである。図9は給電装置52の支持部材56を示し、図10は給電装置52の首振り部材61を示している。支持部材56はアウタ部材とも呼称され、首振り部材61はインナ部材や回動部材や回転体とも呼称される。
図9に示す支持部材56は、合成樹脂製の下側のベース部材62と上側のカバー部材63とで構成される。ベース部材62とカバー部材63との間に図10の首振り部材61が水平方向回動(首振り)自在に支持される。ベース部材62とカバー部材63とは係止手段(係止爪64と係止凹部65等)で相互に接合固定される。
ベース部材62は、水平方向の基板部66と、基板部66の円板状部分66aの中央に設けられた円形の軸受孔67と、基板部66の左右両側に立設された各側壁68と、両側壁68の間に形成された前後の各開口68a,68bと、後側の開口68bに続く水平方向のハーネス導出壁69とを有している。図9で前側の開口68aが図8のスライドドア53に向けて配置される。
カバー部材63は、ベース部材62の両側壁68に重合する左右の側壁70と、基板部66とハーネス導出壁69とに対向する水平な天壁71と、軸支孔67に対向して天壁71の円板状部分71aに設けられた不図示の円形の軸受孔とを有している。図8においてはベース部材62の基板部66の一部とカバー部材63とが平面図で示されている。
図10に示す首振り部材61は、下側の小さなベース部72と上側の大きなカバー部73とで構成され、ベース部72とカバー部73とは相互に合体して係止手段(係止爪74と係止凹部75)で固定される。ベース部72は、略円形の基板部76と、基板部76の前半側に設けられたコルゲートチューブ保持部77と、コルゲートチューブ保持部77の左右に立設された円弧状の側壁78と、基板部76の下面の中央に設けられた垂直な円形の軸部79とを有している。
コルゲートチューブ保持部77は、複数の円弧状のリブ80を等ピッチで前後方向に並列に有すると共に、後端のリブ801の後方に隣接して形成された円弧状の溝部81と、溝部81の後方に隣接して設けられた円弧状のストッパ壁82とを有している(溝部81は後端のリブ801とストッパ壁82との間に形成されている)。各リブ80にコルゲートチューブ8の一端部の外周の各凹溝8aが係合する。軸部79はベース部材62の軸受孔67に回動自在に係合する。また、溝部81に図1〜図7の各実施形態の屈曲規制部材1〜7の基端の鍔部11,12が係合する(この構造は図11,図12で後述する)。
カバー部73は、略円形の天壁83と、天壁83の左右に垂設された円弧状の側壁84と、両側壁84の間に形成された逆U字状のハーネス挿通溝84と、ハーネス挿通溝84の前半側に設けられたコルゲートチューブ保持部77と、天壁83の上面の中央に立設された円形の軸部86とを有している。
コルゲートチューブ保持部77は、略U字状の複数の前後方向に並列なリブ80と、後端のリブ801の後方に隣接して形成された略U字状の溝部81と、溝部81の後方に隣接して設けられた略U字状のストッパ壁82とを有している。リブ80はベース部72のリブ80に対向し、溝部81はベース部72の溝部81に対向し、ストッパ壁82はベース部72のストッパ壁82に対向する。各リブ80にコルゲートチューブ8の一端部の外周側の各凹溝8aが係合する。軸部86はカバー部材63の不図示の軸受孔に回動自在に係合する。また、溝部81に図1〜図7の各実施形態の屈曲規制部材1〜7の基端の鍔部11,12が係合する(この構造は図11,図12で後述する)。
図8のスライドドア側の給電装置54は、車両ボディ側の給電装置52におけると略同様な不図示の首振り部材(インナ又は回動部材又は回転体)と、首振り部材を水平方向回動(首振り)自在に支持する下側のベース部材と上側のカバー部材90とで成る支持部材57と、上側のカバー部材90の上側に設けられたハーネス導出用のガイドカバー91とで構成されている。支持部材57は垂直な背壁92を有し、背壁92がスライドドアのドアインナパネル53にねじ締め等で固定される。
図11,図12は、車両ボディ側の給電装置52(図8)の首振り部材61のコルゲートチューブ保持部77に、コルゲートチューブ8の一端部と、屈曲規制部材1(便宜上図1の形態で代用する)の筒状部9の基端の鍔部11とが係合した状態の各形態例(構造例)を示すものである。図2〜図7の各屈曲規制部材2〜7の筒状部13,16,21,29,33ないし樋状部39の基端の鍔部11,12もコルゲートチューブ保持部77に同様に係合する。図11,図12においてコルゲートチューブ8は外周側の凹凸部8a,8bのみを図示し、内周側の凹凸部は図示を省略している。
図11に示す構造は、首振り部材61のコルゲートチューブ保持部77における後端の溝部81’の幅を小さく(屈曲規制部材1の基端の鍔部11の厚みよりも若干大きく)設定して、溝部81’に屈曲規制部材1の鍔部11を軸方向の遊びなく係合させたものである。そのため、コルゲートチューブが屈曲規制部材に確実に保持され、コルゲートチューブのS字屈曲形状が干渉の防止の効果を発揮する。
溝部81’は後端のリブ801とストッパ壁82との間に幅狭に形成され、各リブ80はコルゲートチューブ8の外周側の各凹溝8aに係合してコルゲートチューブ8を前後方向(軸方向)不動に保持固定している。屈曲規制部材1はコルゲートチューブ8の内側に挿入されて首振り部材61で長手方向及び周方向不動に保持されている。コルゲートチューブ8は断面長円形である(上下方向に長径部を有する)ので、首振り部材61に長手方向及び周方向不動に保持されている(これは図12の例においても同様である)。
図12に示す構造は、首振り部材61のコルゲートチューブ保持部77における後端側の溝部81の幅(溝部内の空間)Lを大きく(屈曲規制部材1の基端の鍔部11の厚みよりも十分に大きく)設定して、溝部81に屈曲規制部材1の鍔部11を軸方向遊動自在に係合させたものである。
溝部81は後端のリブ801とストッパ壁82との間に幅広に形成され、各リブ80はコルゲートチューブ8の外周側の凹溝8aに係合してコルゲートチューブ8を前後方向(軸方向)不動に保持固定している。屈曲規制部材1はコルゲートチューブ8の内側に挿入されて首振り部材61で長手(軸)方向移動自在に且つ周方向不動に保持(支持)されており、コルゲートチューブ8と首振り部材61との内側を軸方向に一定範囲移動(スライド)自在である。
図12に示す構成により、図8において、スライドドア53の半開時にコルゲートチューブ8が小さな半径で前向きの略U字状に屈曲した際に(屈曲部を符号8hで示す)、例えば屈曲規制部材1のヘラ状部10がコルゲートチューブ8の内面で車両後方に押されて屈曲規制部材1がスライド式に後退した場合に、図12の如く鍔部11が首振り部材61のストッパ壁82に当接して、ヘラ状部10がコルゲートチューブ8の前向きの略U字状の屈曲部8hの内面8f’をしっかりと支持して略U字状の屈曲規制を確実に行わせる。また、屈曲規制部材1がコルゲートチューブ8の内面で車両前方に引っ張られて溝部81の範囲でスライド式に前進した場合は、ヘラ状部10の有効作用長さ(屈曲規制長さ)が増加して、コルゲートチューブ8の屈曲部8hの屈曲規制が確実に行われる。
また、スライドドア53の全開時にコルゲートチューブ8が車両後方に引っ張られて大きな半径で屈曲した際に(屈曲部を符号8nで示す)、屈曲規制部材1がコルゲートチューブ8の内面8f’との摩擦力で車両外側(スライドドア53側)に向けて引っ張られて、筒状部(屈曲不能部)9ごとコルゲートチューブ8内をスライドドア53に向けて移動することで、筒状部9の有効作用長さ(屈曲規制長さ)が増加して、コルゲートチューブ8が車両ボディ51から外側に大きく離間し、コルゲートチューブ部分8kと車両ボディ部分51aとの干渉が確実に防止される。
また、コルゲートチューブ8の屈曲時等にハーネス屈曲規制部材1にコルゲートチューブ8の内面との摩擦等による軸方向の引張力や圧縮力が作用した場合でも、ハーネス屈曲規制部材1の基端の鍔部11が首振り部材61の溝部81の範囲(幅寸法L)内で進退して、引張力や圧縮力をスムーズに吸収する。これらの効果は他の屈曲規制部材2〜7を用いた場合においても同様である。
なお、上記実施形態においては、ハーネス保護チューブとしてコルゲートチューブ8を用いた例で説明したが、コルゲートチューブ8に代えて例えば合成樹脂製の柔軟な網状チューブ等を用いることも可能である。この場合、首振り部材61のチューブ保持部77のリブ80に代えて不図示の貫通用突起や挟持部等を用いて網状チューブの端部を保持固定する。