以下に、図1〜4に基づき、本発明による布巻張力調整装置の一実施例を説明する。
織機においては、図1で示すように、製織された織布1は、織前2からプレスロール3、服巻ロール4、プレスロール5を経て、布巻ロール6に巻き取られる。なお、布巻ロール6は、その両端部に設けられた軸部7において、軸受8を介して織機フレーム9に対し回転可能に支持されている。また、布巻ロール6は、図示しない織機主軸(原動モータ)と連結されていて織機主軸によって回転駆動されると共に、織機主軸と布巻ロール6との間に介装された布巻トルク調整装置10によってその回転トルクが調整されるものとなっている。
この布巻トルク調整装置10は、例えば図2に示されるものであるが、基本的には、前述の特許文献1における布巻トルク調整装置と同様の構成である。詳しくは、布巻トルク調整装置10は、図2に示すように、布巻ロール6の軸部7に連結される連結軸11と、軸受12を介して織機フレーム9に対して回転可能に支持されると共に織機主軸によって回転駆動されるスプロケット13と、このスプロケット13に連結されると共にスプロケット13の回転を連結軸11に伝達する摩擦伝達手段14とを備える。
なお、スプロケット13は、本実施例では、その回転軸線を布巻ロール6の軸心6aに一致させる配置で織機フレーム9に支持されている。一方、連結軸11は、布巻ロール6の軸部7に対し軸線を一致させた状態で連結固定される。従って、スプロケット13と連結軸11とは、互いに同心的な配置となっている。そして、スプロケット13には、その中心部に連結軸11の軸径よりも大径の貫通孔が形成されており、連結軸11は、この貫通孔を貫通して反布巻ロール6側へ伸びている。
摩擦伝達手段14は、スプロケット13に対し同心的な配置で織機フレーム9の外側において相対回転不能に連結されるディスクケース15、ディスクケース15と連結軸11とを連結する摩擦伝達部16、及び摩擦伝達部16に対して押圧力を作用させる押圧力発生部17とで構成されている。但し、ディスクケース15は、中空円筒状の部材であり、軸線方向における両側縁の一方に、スプロケット13と連結するための連結部15aであって前記したスプロケット13の貫通孔と同径の貫通孔を有する連結部15aを有している。そして、摩擦伝達部16は、ディスクケース15の中空部15bに内設されている。
摩擦伝達部16は、ディスクケース15における連結部15aの内側面からディスクケース15の回転軸線と平行に延在すると共にディスクケース15の回転軸線を挟んで対称的な位置でディスクケース15の連結部15aに取り付けられた一対の支持ピン18と、ディスクケース15の中空部15b内において一対の支持ピン18が貫通係合することによってディスクケース15と同軸的に且つ相対回転不能に設けられた複数枚(図示の例では2枚)の円盤状の回転板19を備える。なお、この回転板19は、各支持ピン18に対し固定はされておらず、ディスクケース15の回転軸線方向に変位可能となっている。また、回転板19は、その中心部に連結軸11の軸径よりも大径の貫通孔を有し、連結軸11がその貫通孔内に挿通されるものとなっている。
また、摩擦伝達部16は、隣り合う回転板19間、及び回転板19とディスクケース15における連結部15aの内側面との間に設けられる複数枚(図示の例では2枚)の円盤状の従動板20と、回転板19と従動板20、及び従動板20とディスクケース15における連結部15aの内側面との間に設けられる複数枚の円盤状の摩擦板21とを備える。各従動板20は、その中心部に連結軸11が嵌挿され、連結軸11に対し軸線方向に変位可能に、且つ相対回転不能に取り付けられている。但し、各従動板20は、回転板19よりも小径であり、その外周縁が一対の支持ピン18の内側に位置している。また、各摩擦板21は、従動板20と同径であって、内側に前記した回転板19の貫通孔よりも大きい貫通孔を有するリング状の部材である。なお、各従動板20は、その外周側の摩擦板21に対向する部分の肉厚が薄く形成されて両面に段部が形成されるものとなっており、従動板20に隣接する各摩擦板21は、その従動板20の段部に係合するようになっている。従って、摩擦板21は、連結軸11に取り付けられた従動板20に対し、径方向に相対変位不能となっている。
そして、摩擦伝達部16は、押圧力発生部17によってディスクケース15の回転軸線方向の押圧力を受けることにより、従動板20が、摩擦板21を介し、ディスクケース15に支持された回転板19及びディスクケース15によって挟持された状態となり、その挟持に伴って回転板19と摩擦板21との間及び摩擦板21と従動板20との間で生じる摩擦力(摩擦抵抗)により、ディスクケース15(スプロケット13)の回転が、従動板20を介し、布巻ロール6に連結された連結軸11に伝達される。そして、押圧力発生部17による押圧力が調整されることで、上記摩擦力の大きさが変更され、布巻ロール6に与えられる回転トルクが調整される。
押圧力発生部17は、本実施例では、摩擦伝達部16における最も外側(反布巻ロール6側)の回転板19よりも外側で連結軸11に嵌装された押圧板22と、初期状態の前記押圧力に関係する押圧力設定部23と、製織の進行に伴う布巻ロール6(巻布1)の巻径の増加に伴って前記押圧力を調整する摩擦力調整部24とを備える。
押圧板22は、前記した摩擦伝達部16における従動板20等と同じく円盤状の部材であって、従動板20と同様に、連結軸11に対し軸線方向に変位可能に、且つ相対回転不能に設けられている。
また、押圧力設定部23は、押圧板22よりも外側で連結軸11に対して同心状に挿着された圧縮スプリング25と、押圧板22との間に圧縮スプリング25を介装するようにして連結軸11の外側端部に形成された雄ネジ部に螺合する調整ナット26を備える。従って、押圧力設定部23は、押圧板22を介し、摩擦伝達部16に対し圧縮スプリング25による付勢力(押圧力)を作用させる。また、連結軸11の雄ネジ部に対する調整ナット26のねじ込み量を変更し、押圧板22と調整ナット26との間の距離(圧縮スプリング25の圧縮量)を調整することにより、圧縮スプリング25の付勢力による摩擦伝達部16に対する押圧力が変更される。
また、摩擦力調整部24は、一端で押圧板22に当接すると共に中間部において織機フレーム9に対して回動可能に支持される加圧レバ27と、一端で織機フレーム9に対して回動可能に支持されると共に他端で加圧レバ27に対し回動中心よりも反押圧板22側で当接して加圧レバ27を反布巻ロール6側へ付勢する従動レバ28を備える。
より詳しくは、加圧レバ27は、一端側が一対のアーム部を有するように二股に形成されると共に、中間部よりも他端側において長手方向に延在する平坦な当接面27aであって従動レバ28による付勢力を受ける当接面27aを有する部材である。そして、この加圧レバ27は、織機の前後方向に延在するように設けられ、中間部において支持軸29によって回動可能に支持されている。なお、支持軸29は、織機フレーム9に取り付けられた図示しないブラケットによって軸支されており、支持する加圧レバ27の一端側(二股側)の端部が前記前後方向において押圧板22の中心付近に位置するように配置されている。
また、加圧レバ27は、後述する従動レバ28の回動に合わせ、当接面27aが正面から見て略円弧状を成すように形成されている。さらに、加圧レバ27には、二股側の一対のアーム部の各端部に加圧ローラ30が回転可能に取り付けられている。従って、加圧レバ27における当接面27aが従動レバ28から反布巻ロール6側の付勢力を受けることにより、加圧レバ27が支持軸29を中心に回動し、加圧レバ27に取り付けられた加圧ローラ30が、押圧板22に対し布巻ロール6側への押圧力を作用させる構成となっている。
従動レバ28は、一端で織機フレーム9に対して回動可能に支持される支持レバ31と、中間部で支持レバ31の他端において支持されると共に一端で加圧レバ27に対し当接する当接レバ32と、この当接レバ32の一端を加圧レバ27に対して付勢させる付勢力設定部33とで構成されている。
より詳しくは、支持レバ31は、その一端で支持軸34を介して織機フレーム9に対し回動可能に支持されている。なお、本実施例では、支持軸34は、布巻ロール6よりも織前2側の下方に配置されているものとする。さらに、支持軸34は、その軸線が布巻ロール6の軸線に対し平行となるように、織機フレーム9に対し軸受35を介して回転可能に支持されていると共に、織機フレーム9の外側へ突出するように設けられている。そして、支持レバ31は、支持軸34の織機フレーム9から外側へ突出する部分に対し、相対回転不能に固定されている。但し、支持レバ31は、支持軸34の軸線方向において、織機フレーム9と加圧レバ27の当接面27aとの間に位置するように配置されている。また、支持レバ31は、その他端において支持軸36を支持している。具体的には、支持レバ31の前記他端には、板厚方向で外側へ向けて突出すると共に支持レバ31の幅方向に離間した一対の軸支部が設けられており、支持軸36は、その軸線を支持レバ31の長手方向と直交させるかたちで、一対の軸支部によって軸支されている。
当接レバ32は、その長手方向を支持レバ31の長手方向に一致させるかたちで、その中間部において支持軸36を介して支持レバ31に対して回動可能に支持され、その一端が支持レバ31の前記他端よりも突出するように設けられている。また、当接レバ32の前記一端には、ローラ37が回転可能に取り付けられている。なお、支持軸34の軸線方向における当接レバ32の配置も、ローラ37が織機フレーム9と加圧レバ27の当接面27aとの間に位置するものとなっている。さらに、支持レバ31及び当接レバ32は、支持レバ31が支持軸34に支持された状態において、ローラ37が加圧レバ27に当接するように、その長手方向の寸法が設定されている。従って、従動レバ28は、ローラ37によって加圧レバ27の当接面27aに当接可能となっており、当接レバ32の他端側に付勢力設定部33による織機フレーム9側へ向けた付勢力が作用することで、当接レバ32が支持軸36を中心に回動し、ローラ37が加圧レバ27における当接面27aに対し押圧された状態となる。
付勢力設定部33は、支持レバ31に対し外側へ向けて突出するように設けられると共に当接レバ32を貫通する案内軸38と、案内軸38の外側端部に形成された雄ネジ部に螺合する調整ナット39と、案内軸38に対し同心状に挿着されると共に当接レバ32と調整ナット39との間に介装される圧縮スプリング40とを備える。なお、案内軸38は、当接レバ32の他端側に形成された貫通孔を貫通するように設けられているが、この貫通孔は、当接レバ32の長手方向の径が案内軸38の軸径よりも大きく形成されており、当接レバ32の支持軸36を中心とした回動が案内軸38によって規制されないものとなっている。そして、このような構成による付勢力設定部33によれば、圧縮スプリング40によって当接レバ32の他端側に前記した付勢力を作用させると共に、案内軸38の雄ネジ部に対する調整ナット39のねじ込み量を変更し、当接レバ32と調整ナット39との間の距離(圧縮スプリング40の圧縮量)を調整することにより、圧縮スプリング40による当接レバ32に対する付勢力が変更される。
以上のように構成された摩擦力調整部24によれば、加圧レバ27の当接面27aに対し従動レバ28が圧縮スプリング40による付勢力をローラ37を介して作用させるため、加圧レバ27が回動中心(支持軸29)よりも反摩擦伝達部16側で外側へ向けた押圧力を受けることとなり、その結果として、加圧レバ27が、加圧ローラ30により押圧板22を介して摩擦伝達部16に対し押圧力を作用させた状態となる。従って、摩擦伝達手段14においては、摩擦伝達部16は、押圧力発生部17に含まれる押圧板22を介し、押圧力設定部23及び摩擦力調整部24のそれぞれによる押圧力を受けた状態となっている。
また、摩擦力調整部24においては、加圧レバ27の当接面27aに対する従動レバ28のローラ37の当接位置が変化する、言い換えれば、加圧レバ27の当接面27a上で従動レバ28による押圧力の作用する位置が変化することにより、加圧レバ27が加圧ローラ30を介して摩擦伝達部16に作用させる押圧力が変化する。すなわち、加圧レバ27の回動中心(支点)から加圧ローラ30の位置(作用点)までの距離は一定であるため、上記のように加圧レバ27の当接面27a上における押圧力の作用位置(力点)が変化する(支点から力点までの距離が変化する)ことで、てこの原理により、加圧ローラ30が摩擦伝達部16に作用させる押圧力が変化する。例えば、図2に示す位置Sと位置Eとでは、位置Sでローラ37が加圧レバ27に当接するときよりも、位置Eでローラ37が加圧レバ27に当接するときの方が、加圧ローラ30が摩擦伝達部16に作用させる押圧力は大きくなる。すなわち、加圧レバ27の当接面27aに対する従動レバ28のローラ37の当接位置が、加圧レバ27の回動中心から離間するにつれて、その距離に比例して加圧ローラ30が摩擦伝達部16に作用させる押圧力が大きくなる。
そして、前記のように押圧力発生部17(摩擦力調整部24)が摩擦伝達部16に作用させる押圧力が変化することにより、その押圧力の変化に比例して布巻ロール6に与えられる回転トルク(布巻ロール6の布巻トルク)が変化する。また、前記のような加圧レバ27の当接面27aに対する従動レバ28のローラ37の当接位置の変化は、支持軸34の軸心を中心とした従動レバ28(支持レバ31)の回動によって発生するものであり、その従動レバ28の回動は、支持軸34の回動によって生じるものである。
その上で、本発明では、布巻ロール6に巻かれる織布1の巻径の増加に従って支持軸34が回動するように、巻布1に当接して回動する巻径追随レバ42を含むリンク機構41が、支持軸34に対し連結されている。このリンク機構41は、具体的には図1に示す例のようなものであって、より詳しくは、以下の通りである。
本実施例では、リンク機構41は、前記の巻径追随レバ42に加え、前述の摩擦伝達手段14における支持レバ31を支持する支持軸34に支持される、すなわち、支持軸34を介して布巻トルク調整装置10における従動レバ28(支持レバ31)と連結される回動レバ43、及び巻径追随レバ42と回動レバ43とを連結する1以上の連結部材としての1つの連結レバ44を備えている。
巻径追随レバ42は、本実施例の構成では、支持部42a、中間部42b、及び当接部42cを有し、これらの各部が一体に構成された形状を有する。また、支持部42aは、一端に板厚方向に貫通する貫通孔42dが形成されると共に、他端側に中間部42bが連続している。この中間部42bは、図示の例では、支持部42aに対して略45°の角度を成すように形成されている。また、中間部42bの反支持部42a側の端部には、当接部42cが連続している。そして、この当接部42cは、支持部42aと略平行に延在するかたちで一端側で中間部42bに連続するように形成されている。また、当接部42cの他端側には、巻布1に当接させるローラ1が、その軸線方向が板厚方向に対し平行となるようにして、回転可能に取り付けられている。
前記のような構成を有する巻径追随レバ42は、織幅方向において織機フレーム9と布巻ロール6との間に配置されると共に、支持部42aの貫通孔42dに嵌挿される支持軸45を介して織機フレーム9に対して回動可能に支持される。なお、支持軸45は、軸線を布巻ロール6の軸線と平行にした状態で織機フレーム9に軸支されている。従って、巻径追随レバ42は、その板厚方向が布巻ロール6の軸線方向と一致した状態で支持され、その回動方向(図1で示す二点鎖線の矢印に相当)が布巻ロール6の軸線方向と直交するものとなっている。
また、図示の例では、巻径追随レバ42は、当接部42cに取り付けられて布巻ロール6側へ延びるローラ46を介し、織前側で布巻ロール6の周面(布巻ロール6に巻き取られる織布1)に当接するように設けられる。すなわち、巻径追随レバ42は、中間部42bを支持部42aに対して織前2側へ向けて傾斜する配置で設けられている。ここで、巻径追随レバ42を支持する支持軸45は、図示の例では、上下方向に関し、布巻ロール6の軸心の上方に設けられる。従って、巻径追随レバ42は、その自重により、布巻ロール6に巻き取られる織布1に対するローラ46の当接状態が維持される状態となっている。詳しくは、支持軸45が布巻ロール6の軸心の上方に設けられているため、その支持軸45にぶら下がるかたちで設けられる巻径追随レバ42は、ローラ46において前後方向における布巻ロール6の軸心(支持軸45の鉛直下方)よりも織前2側で布巻ロール6に当接することにより、重心が巻径追随レバ42の支持位置(支持軸45の位置)よりも織前2側へ変位した状態となっている。従って、巻径追随レバ42の自重により、布巻ロール6に巻き取られる織布1に対するローラ46の当接状態が維持される。
また、巻径追随レバ42は、支持部42aと中間部42bとの間の屈曲部における反織前2側に、板厚方向に貫通する貫通孔42eを有している。そして、回動レバ43に連結される連結レバ44が、その一端で巻径追随レバ42に対し貫通孔42eに嵌挿される連結棒47を介し回動可能に連結される。
回動レバ43は、両端部のそれぞれに板厚方向に貫通する貫通孔43a、貫通孔43bが形成された板状の部材である。そして、回動レバ43は、織幅方向において織機フレーム9と巻径追随レバ42との間に配置されると共に、一端側において貫通孔43aに嵌挿される支持軸34を介して織機フレーム9に対して回動可能に支持される。より詳しくは、織機フレーム9に対し回動可能に支持される支持軸34は、前述のように織機フレーム9の外側へ向けて突出するのに加え、織機フレーム9の内側へ向けても突出するものとなっており、回動レバ43は、その支持軸34の内側へ突出する側の端部に対し相対回転不能に取り付けられ、支持軸34を介して織機フレーム9に対し回動可能に支持されるものとなっている。従って、支持軸34は、その両端部のそれぞれにおいて回動レバ43と布巻トルク調整装置10における従動レバ28(支持レバ31)とを支持しており、言い換えれば、回動レバ43は、支持軸34を介して布巻トルク調整装置10に連結されている。
また、支持軸34は、前述のとおり、その軸線を布巻ロール6の軸線と平行にした状態で織機フレーム9に対し軸受35を介して回転可能に支持されている。従って、回動レバ43は、その板厚方向が布巻ロール6の軸線方向と一致した状態で織機フレーム9に対し支持され、その回動方向(図1で示す破線の矢印に相当)が布巻ロール6の軸線方向と直交するものとなっている。
連結レバ44は、両端部のそれぞれに板厚方向に貫通する貫通孔44a、貫通孔44bが形成された板状の部材であり、織幅方向において巻径追随レバ42と回動レバ43との間に配置される。そして、連結レバ44は、巻径追随レバ42と回動レバ43とを連結するものであって、その一端において前述のように巻径追随レバ42に連結されると共に、他端において回動レバ43に連結される。より詳しくは、連結レバ44は、巻径追随レバ42の貫通孔42eに嵌挿される連結棒47が一端側の貫通孔44aに嵌挿されることによって巻径追随レバ42に対し回動可能に連結されると共に、回動レバ43の貫通孔43bに嵌挿される連結ピン48が他端側の貫通孔44bに嵌挿されることによって回動レバ43に対し回動可能に連結される。このように、連結レバ44は、巻径追随レバ42と回動レバ43とを連結している。
以上のような構成を有するリンク機構41において、本実施例では、各リンク部材(巻径追随レバ42、回動レバ43、及び連結レバ44)の初期配置、すなわち、巻始め時点の状態における各リンク部材の配置について、下記の条件1及び条件2を共に満たすように設定される。
詳しくは、巻径追随レバ42における両回動点である支持軸45の軸心(回動支点45a)と連結棒47の軸心(連結点47a)とを結ぶ線分を線分N、回動レバ43における両回動点である支持軸34の軸心(回動支点34a)と連結ピン48の軸心(連結点48a)とを結ぶ線分を線分K、連結レバ44における両回動点である前記の連結点47aと連結点48aとを結ぶ線分を線分Rとし、線分Nと線分Rとが巻径追随レバ42(線分N)の回動方向側において成す角度を角度αとし、線分Kと線分Rとが回動レバ43(線分K)の反回動方向側において成す角度を角度βとした上で、次の条件1及び条件2を共に満たすように前記初期配置が設定される。
条件1:角度αが、巻径追随レバ42(線分N)の回動範囲において、巻始め時よりも巻終り時の方が大きくなると共に、主として90°から180°の範囲に含まれる。
条件2:角度βが、回動レバ43(線分K)の回動範囲において、巻始め時よりも巻終り時の方が小さくなると共に、主として180°から90°の範囲に含まれる。
そして、本実施例では、巻布1の巻径が、巻始め時は100mm(≒布巻ロール6の直径)とし、巻終り時は500mmとした上で、前記の条件1及び条件2を満たすべく、各リンク部材の初期配置において、角度α=130°、角度β=165°に設定されている。
なお、本実施例では、各リンク部材の初期配置を設定するにあたり、具体的に以下の1〜3に基づいて設定される。
1:巻径追随レバ42の初期配置に関しては、下記a)、b)を前提としている。
a)前述のように、本実施例では、巻径追随レバ42が、その自重により、布巻ロール6に巻き取られる織布1に対するローラ46の当接状態を維持される状態となるように、支持軸45が布巻ロール6の軸心の上方に設けられる。
b)また、本実施例では、巻径追随レバ42の回動範囲において、単位巻径増加量に対する巻径追随レバ42の回動量が一定となるように、支持軸45の位置、及びローラ46の布巻ロール6に巻き取られる織布1に対する当接位置が設定される。すなわち、支持軸45の軸心(巻径追随レバ42の回動支点45aの位置)とローラ46の軸心46aとを結ぶ線分A(図1)と、布巻ロール6の軸心とローラ46の軸心46aを結ぶ線分Bとの成す角度γ(図1)が求まるものであり、この角度γが単位巻径増加量に対する巻径追随レバ42の回動量に影響を及ぼすため、前記のように単位巻径増加量に対する巻径追随レバ42の回動量が一定となるように、巻布1の巻径が増加する過程において前記角度γが略一定に保たれるように、支持軸45の位置及びローラ46の前記当接位置が決定される。
従って、支持軸45の位置及びローラ46の前記当接位置については、前記a)、b)の前提を共に満たすように決定される。但し、前記a)、b)を満たす支持軸45の位置及びローラ46の前記当接位置は、特定の一位置しか無い訳では無く、それぞれの位置について設定可能な範囲が存在する。そこで、それぞれの位置については、例えば、前記a)を満たす範囲で支持軸45の位置を決定し、その上で、前記b)を満たす範囲内でローラ46の前記当接位置を決定する等が考えられる。また、支持軸45の位置及びローラ46の前記当接位置が決定されると、それに伴い、初期配置における線分Aの配置角度(初期配置時における織前2側あるいは反織前2側に対する傾き)及び巻始めから巻終りにおける巻径追随レバ42の回動量(巻径追随レバ42の全回動量)が定まる。
2:回動レバ43の初期配置及び全回動量に関しては、下記c)、d)を前提としている。
c)前述のように、回動レバ43を支持する支持軸34は、布巻トルク調整装置10における従動レバ28を支持する軸をも兼ねている。従って、本実施例では、支持軸34の位置は、織機における布巻トルク調整装置10の配置によって定まる。すなわち、支持軸34の位置は、布巻トルク調整装置10における従動レバ28の回動中心に軸心を一致させた位置となる。
d)また、前記した本実施例の構成によれば、回動レバ43の回動量がそのまま従動レバ28の回動量となる。一方で、布巻トルク調整装置10においては、その装置構成により、従動レバ28の所望の全回動量が存在する。従って、回動レバ43の全回動量については、布巻トルク調整装置10における従動レバ28の前記所望の全回動量と同じとなるように定められる。
3:上記1、2を踏まえ、各リンク部材の初期配置が下記e)〜h)のように決定される。
e)前記1により、支持軸45の位置及びローラ46の前記当接位置が決定されると共に、巻径追随レバ42の全回動量が求まる。
f)前記2により、支持軸34の位置及び回動レバ43の回動すべき全回動量が決定される。
g)また、前述のとおり、本実施例では、各リンク部材の初期配置について、線分Nと線分Rとの成す角度αが130°、線分Kと線分Rとの成す角度βが165°となるように設定されるものである。従って、上記e)、f)で決定された支持軸45の位置、支持軸34の位置、ローラ46の当接位置、巻径追随レバ42の全回動量、及び回動レバ43の全回動量を前提とし、初期配置における角度αと角度βの前記設定を条件として、巻径追随レバ42の支持部42a(線分N)、回動レバ43(線分K)、及び連結レバ44(線分R)の長さが決定される。
h)以上のe)〜g)により、各リンク部材の初期配置を求めるための各リンク部材の構成(配置、長さ)が求められる。
以上のように各リンク部材の初期配置が設定されたリンク機構41と、このリンク機構41における回動レバ43と支持軸34を介して連結している従動レバ28を有する布巻トルク調整装置10とを備える布巻張力調整装置を含む織機において、製織の開始に伴って布巻ロール6による織布1の巻取りが開始され、その後、製織の進行に伴って布巻ロール6における巻布1の巻径が増加していく。この巻布1の巻径の増加に応じて、当接部42cの他端側でローラ46を介して巻布1に当接する巻径追随レバ42が、図1で示す二点鎖線の矢印に沿って、織前2側へ向けて回動する。
因みに、本実施例では、前記のように巻布1の巻径が増加する過程において前記角度γが略一定に保たれるものとなっていることにより、巻径追随レバ42は、巻始めから巻終りまでにおける単位巻径増加量分の巻径の増加(本実施例では、単位巻径増加量を100mmとする。)に対して常に一定の回動量(図3で示す例では11°)で回動するものとなる。
なお、この巻径追随レバ42の回動範囲(巻始めから巻終りまでに巻径追随レバ42が回動する範囲)において、初期配置(巻始め時)では130°に設定されている角度α(巻径追随レバ42と連結レバ44とが巻径追随レバ42の回動方向側において成す角度)は、巻終り時では183°となる。すなわち、この巻径追随レバ42の回動範囲における「巻径追随レバ42の回動方向側において成す角度」は、「主として90°から180°の範囲に含まれる」ものとなっている。
そして、以上のように巻径追随レバ42が回動するのに従って、巻径追随レバ42と連結レバ44との連結点(連結棒47の軸心:連結点47a)が織前2側へ向けて変位することに伴い、連結レバ44が姿勢を変えつつ織前2側へ変位する。この連結レバ44の変位に伴い、回動レバ43が、図1で示す破線の矢印に沿って、織前2側へ向けて回動する。
また、この回動レバ43の回動範囲(巻始めから巻終りまでに回動レバ43が回動する範囲)において、初期配置(巻始め時)では165°に設定されている角度β(回動レバ43と連結レバ44とが回動レバ43の反回動方向側において成す角度)は、巻終り時では123°となる。すなわち、この回動レバ43の回動範囲における「回動レバ43の反回動方向側において成す角度」は、「主として180°から90°の範囲に含まれる」ものとなっている。
従って、本実施例のリンク機構41においては、角度βは、製織過程における織布1の巻始めから巻終りにかけて180°未満の角度範囲で変化するものとなる。つまり、回動レバ43は、製織過程において布巻ロール6における巻布1の巻径が増加するのに伴って、他端側を連結レバ44に押されつつ織前2側へ向けて回動するものとなっている。但し、「回動レバ43が連結レバ44に押されつつ回動する」とは、前記条件2における「角度βが、回動レバ43の回動範囲において、巻始め時よりも巻終り時の方が小さくなると共に、主として180°から90°の範囲に含まれる」に対応している。
その結果、回動レバ43は、巻径追随レバ42が回動するのに伴い、回動量を減少させながら回動する。すなわち、回動レバ43は、その回動範囲において、単位巻径増加量分毎の巻径追随レバ42の回動に伴う回動レバ43の回動量が巻径の増加に従って次第に小さくなるように、回動する。
具体的には、前記のように単位巻径増加量を100mmとすると、巻始め(巻径100mm)から巻終り(巻径500mm)における単位巻径増加量分の巻径の増加(単位巻径増加)に伴う回動レバ43の回動量(回動角度)は、下記(1)〜(4)のように変化する(図3参照)。
(1)巻径が100mmから200mmに増加するとき、(巻始め直後における)回動レバ43の回動量は27°となる。
(2)巻径が200mmから300mmに増加するとき、回動レバ43の回動量は14°となる。
(3)巻径が300mmから400mmに増加するとき、回動レバ43の回動量は8°となる。
(4)巻径が400mmから500mmに増加するとき、(巻終り直前における)回動レバ43の回動量は2°となる。
以上のとおり、本実施例では、巻始めから巻終りにおける単位巻径増加に伴う回動レバ43の回動量については、巻始め直後における単位巻径増加に伴う巻径追随レバ42の回動による回動レバ43の回動量(上記(1)に対応)に対し、巻終り直前における単位巻径増加に伴う巻径追随レバ42の回動による回動レバ43の回動量(上記(4)に対応)が小さいものとなっている。
そして、回動レバ43の回動量が上記(1)〜(4)のように変化するのに応じて、布巻トルクの増加量は、図4(a)で示す実線Hのように、次第に小さくなる。このように、巻径の増加に応じて布巻トルクが反比例的に増加する結果として、単位巻径増加毎の布巻張力の減少度合が略一定となり、図4(b)に示す実線Hのように布巻張力が巻径の増加に伴い略比例的に減少するものとなる。そして、このように布巻張力が略比例的に減少するものとなるため、布巻ロール6に巻き取られる織布1に巻皺が発生するのを防止できる。
なお、前述のような回動レバ43の動作は、リンク機構の特性により実現されるものである。この特性について、詳しくは、以下1)〜3)の通りである。
1)リンク機構は、駆動側のリンク部材(以下、単に「駆動側リンク部材49」とも言う。)の角度的あるいは直線的な変位(以下、単に「駆動変位」とも言う。)に応じて、従動側のリンク部材(以下、単に「従動側リンク部材50」とも言う。)が、図5の(a)及び(b)で示すような波形の曲線(以下、単に、図5の(a)で示す波形の曲線を「波形曲線A」、図5の(b)で示す波形の曲線を「波形曲線B」とも言う。)に従って、直線的あるいは角度的に変位(以下、単に「従動変位」とも言う。)する特性を有する。但し、波形曲線Aと波形曲線Bは、いずれも横軸を駆動側リンク部材49の駆動変位(図示のx)とし、縦軸を従動側リンク部材50の従動変位(図示のy)としたものである。
また、波形曲線Aは、例えば図6の(a)、図7の(a)で示すようなリンク機構(駆動側リンク部材49が角度的に変位し、それに伴って従動側リンク部材50が直線的に変位するリンク機構)における駆動側リンク部材49の駆動変位に対する従動側リンク部材50の従動変位の関係を示している。一方、波形曲線Bは、例えば図6の(b)、図7の(b)で示すようなリンク機構(駆動側リンク部材49が直線的に変位し、それに伴って従動側リンク部材50が角度的に変位するリンク機構)における駆動側リンク部材49の駆動変位に対する従動側リンク部材50の従動変位の関係を示している。
なお、以下では、図6の(a)、図7の(a)で示すリンク機構を「リンク機構A」とし、このリンク機構Aにおける駆動側リンク部材49と従動側リンク部材50とが駆動側リンク部材49の回動方向側において成す角度を「角度α」とする。また、図6の(b)、図7の(b)で示すリンク機構を「リンク機構B」とし、このリンク機構Bにおける駆動側リンク部材49と従動側リンク部材50とが従動側リンク部材50の反回動方向側において成す角度を「角度β」とする。
さらに、波形曲線Aと波形曲線Bでは、後述のように、駆動側リンク部材49の駆動変位に対する従動側リンク部材50の従動変位の変化の傾向(変化傾向)が、前記角度α、角度βの0°からの90°の角度範囲毎において異なるものとなるため、横軸を角度α、角度βの90°の角度範囲毎に区切って示してある。
2)リンク機構A及びリンク機構Bにおける駆動側リンク部材49の駆動変位に対する従動側リンク部材50の従動変位の変化傾向について、より具体的には、以下の通りである。
<リンク機構Aについて>
図6の(a)では、リンク機構A、すなわち、駆動側リンク部材49が回動(角度的に駆動変位)し、それに伴って従動側リンク部材50が(直線的に)従動変位するリンク機構において、前記の角度αが90°から180°の範囲で変化する場合(駆動側リンク部材49が従動側リンク部材50を押しつつ変位させる場合)であり、且つ、駆動側リンク部材49を所定の単位角度(単位回動量/図示の例ではθx)ずつ回動させた(駆動変位させた)状態を示している。なお、以下では、駆動側リンク部材の角度的あるいは直線的な所定の単位変位量の駆動変位を「単位駆動変位」と言う。
この図から理解されるように、リンク機構Aにおいては、角度αが90°から180°の範囲で変化するように駆動側リンク部材49を駆動変位させる場合では、単位駆動変位(θx)あたりの従動側リンク部材50の従動変位量は、角度αが90°に近い方が大きくなり、180°に近づくにつれて小さくなる(図示の例では従動変位量Ry1→Ry2→Ry3(Ry1>Ry2>Ry3))といった変化傾向を示す。
すなわち、リンク機構Aにおいて、図6の(a)の場合では、駆動側リンク部材49の回動に伴う角度αの変化が90°から180°の範囲となる駆動側リンク部材49の回動範囲において、駆動側リンク部材49の駆動変位に対する従動側リンク部材50の従動変位が、角度αが90°に近いほど効率が良いものとなり、角度αが180°に近づくにつれて次第に効率が悪くなるといった変化特性を有する。
また、リンク機構Aについて、図7の(a)に示すように、角度αが0°から90°の範囲で変化する場合には、駆動側リンク部材49の駆動変位に対する従動側リンク部材50の従動変位の変化傾向は、前記した角度αが90°から180°の範囲で変化する場合と逆になる。すなわち、駆動側リンク部材49の単位駆動変位(図示の例ではθx’)に対する従動側リンク部材50の従動変位量は、角度αが0°に近い方が小さくなり、駆動側リンク部材49が駆動変位して角度αが90°に近づくにつれて大きくなる(図示の例では従動変位量Ry1’→Ry2’→Ry3’(Ry3’>Ry2’>Ry1’))。
以上より、リンク機構Aでは、駆動側リンク部材49の単位駆動変位に対する従動側リンク部材50の従動変位量は、角度αが、0°から180°の範囲において、90°に近いほど大きくなり、90°から遠いほど小さくなるといった二次曲線的な変化を示す。なお、図示は省略するが、角度αが180°から360°に変化するように駆動側リンク部材49を駆動変位させた場合には、従動側リンク部材50の従動変位の方向が反転すると共に、従動側リンク部材50の従動変位の変化傾向は、角度αが180°から270°の範囲では前記の角度αが90°から180°の範囲とは逆の傾向を示し、角度αが270°から360°の範囲では前記の角度αが0°から90°の範囲とは逆の傾向を示す。
<リンク機構Bについて>
図6の(b)では、リンク機構B、すなわち、駆動側リンク部材49が(直線的に)駆動変位し、それに伴って従動側リンク部材50が回動(角度的に従動変位)するリンク機構において、前記の角度βが180°から90°の範囲で変化する場合(駆動側リンク部材49が従動側リンク部材50を押しつつ変位させる場合)であり、且つ、駆動側リンク部材49を単位駆動変位(図示の例ではRx)ずつ直線的に駆動変位させた状態を示している。
この図から理解されるように、リンク機構Bにおいては、角度βが180°から90°の範囲で変化するように駆動側リンク部材49を駆動変位させる場合では、単位駆動変位(Rx)あたりの従動側リンク部材50の従動変位量は、角度βが180°に近い方が大きくなり、90°に近づくにつれて小さくなる(図示の例ではθy1→θy2→θy3(θy1>θy2>θy3))といった変化傾向を示す。
すなわち、リンク機構Bにおいて、図6の(b)の場合では、駆動側リンク部材49の駆動変位に伴う角度βの変化が180°から90°の範囲となる駆動側リンク部材49の変位範囲において、駆動側リンク部材49の駆動変位に対する従動側リンク部材50の従動変位が、角度βが180°に近いほど効率が良いものとなり、角度βが90°に近づくにつれて次第に効率が悪くなるといった変化特性を有する。
また、リンク機構Bについて、図7の(b)に示すように、角度βが90°から0°の範囲で変化する場合には、駆動側リンク部材49の駆動変位に対する従動側リンク部材50の従動変位の変化傾向は、前記した角度βが180°から90°の範囲で変化する場合と逆になる。すなわち、駆動側リンク部材49の単位駆動変位(図示の例ではRx’)に対する従動側リンク部材50の従動変位量は、角度βが90°に近い方が小さくなり、駆動側リンク部材49が駆動変位して角度βが0°に近づくにつれて大きくなる(図示の例では従動変位量θy1’→θy2’→θy3’(θy3’>θy2’>θy1’))。
以上より、リンク機構Bでは、駆動側リンク部材49の単位駆動変位に対する従動側リンク部材50の従動変位量は、角度βが、180°から0°の範囲において、90°に近いほど小さくなり、90°から遠いほど大きくなるといった二次曲線的な変化を示す。なお、図示は省略するが、角度βが360°から180°に変化するように駆動側リンク部材49を駆動変位させた場合には、従動側リンク部材50の従動変位の方向が、角度βが360°から270°の範囲においては角度βが180°から90°の範囲に対して反転し、角度βが270°から180°の範囲においては角度βが90°から0°の範囲に対して反転すると共に、従動側リンク部材50の従動変位の変化傾向は、角度βが360°から270°の範囲では前記の角度βが90°から0°の範囲とは逆の傾向を示し、角度βが270°から180°の範囲では前記の角度βが180°から90°の範囲とは逆の傾向を示す。
3)以上から、各リンク機構A、Bについて、駆動側リンク部材49の駆動変位に対する従動側リンク部材50の従動変位は、角度α、角度βの0°からの90°の角度範囲毎に区切って示すと、図5の波形曲線A、波形曲線Bで示されるものとなる。そして、この図5の波形曲線A、波形曲線Bから、各リンク機構A、Bについて、角度α、角度βの0°からの90°の角度範囲毎における駆動側リンク部材49の駆動変位に対する従動側リンク部材50の従動変位の変化傾向(特性)は、以下のようにまとめられる。
<リンク機構Aについて>
リンク機構Aの特性については、図5の(a)の波形曲線Aに示すものとなる。そして、角度αに関しては、前記変化傾向は、角度αの0°からの90°の角度範囲毎の360°までの一周期において、以下(1)〜(4)の4つの傾向に順次変化する。
(1)角度αの変化が0°から90°の角度範囲においては、駆動側リンク部材49の駆動変位に対し従動側リンク部材50が正方向(縦軸の矢印方向)に従動変位し、且つ、駆動側リンク部材49の単位駆動変位に対する従動側リンク部材50の従動変位量が駆動側リンク部材49の駆動変位に伴って次第に大きくなる傾向を示す。
(2)角度αの変化が90°から180°の角度範囲においては、駆動側リンク部材49の駆動変位に対し従動側リンク部材50が正方向(縦軸の矢印方向)に従動変位し、且つ、駆動側リンク部材49の単位駆動変位に対する従動側リンク部材50の従動変位量が駆動側リンク部材49の駆動変位に伴って次第に小さくなる傾向を示す。
(3)角度αの変化が180°から270°の角度範囲においては、駆動側リンク部材49の駆動変位に対し従動側リンク部材50が負方向(縦軸の反矢印方向)に従動変位し、且つ、駆動側リンク部材49の単位駆動変位に対する従動側リンク部材50の従動変位量が駆動側リンク部材49の駆動変位に伴って次第に大きくなる傾向を示す。
(4)角度αの変化が270°から360°の角度範囲においては、駆動側リンク部材49の駆動変位に対し従動側リンク部材50が負方向(縦軸の反矢印方向)に従動変位し、且つ、駆動側リンク部材49の単位駆動変位に対する従動側リンク部材50の従動変位量が駆動側リンク部材49の駆動変位に伴って次第に小さくなる傾向を示す。
<リンク機構Bについて>
リンク機構Bの特性については、図5の(b)の波形曲線Bに示すものとなる。なお、図5の(b)からわかるように、リンク機構Bの特性を示す波形曲線Bは、その波形曲線Bを駆動側リンク部材49の駆動変位の方向(横軸の矢印方向)に区切る角度βの0°からの90°の角度範囲毎の位相を、図5の(a)の波形曲線Aにおける角度αの位相に対し、−90°ずらしたものとなる。従って、リンク機構Bの特性については、角度βの0°から360°までの一周期における90°の角度範囲毎における前記変化傾向が、前記(1)〜(4)の傾向に相当する傾向を(2)→(3)→(4)→(1)の順で変化するものとなる。
以上のようなリンク機構の特性を前記実施例に当て嵌めると、リンク機構Aにおける駆動側リンク部材49が巻径追随レバ42の支持部42a(線分N)に相当し、従動側リンク部材50が連結レバ44(線分R)に相当する。また、リンク機構Bにおける駆動側リンク部材49が連結レバ44(線分R)に相当し、従動側リンク部材50が回動レバ43(線分K)に相当する。すなわち、前記実施例のリンク機構41は、リンク機構Aの駆動側リンク部材49とリンク機構Bの従動側リンク部材50とが共通のリンク部材(連結レバ44)を介して連結された構成に相当する。
従って、前記実施例のリンク機構41では、リンク機構Aにおける特性(図5の(a)で示す(A)の範囲における前記変化傾向)により、巻径追随レバ42が、角度αが130°から183°の角度範囲で変化するように回動(駆動変位)する過程では、巻径追随レバ42の単位駆動変位に対する連結レバ44の従動変位量は、角度αが130°に近い方が大きくなり、183°に近づくにつれて小さくなる。また、リンク機構Bにおける特性(図5の(b)で示す(B)の範囲における前記変化傾向)により、連結レバ44が、角度βが165°から123°の角度範囲で変化するように変位(駆動変位)する過程では、連結レバ44の単位駆動変位に対する回動レバ43の回動量(従動変位量)は、角度βが165°に近い方が大きくなり、123°に近づくにつれて小さくなる。
なお、前記実施例のリンク機構41においては、巻径追随レバ42の単位駆動変位毎における連結レバ44の変位量が巻径追随レバ42の駆動変位に伴って次第に小さくなり、回動レバ43は、そのように変位量を次第に小さくさせつつ変位する連結レバ44の駆動変位に従って従動的に回動する。従って、前記したリンク機構Bのように駆動側リンク部材49(連結レバ44)が一定量ずつ単位駆動変位する場合と比べると、回動レバ43の回動量は、相乗効果によって、巻始め(β=165°)に近い方でより大きくなり、巻終り(β=123°)に近づくにつれてより小さくなる。
以上2つの変化特性(リンク機構Aにおける変化特性とリンク機構Bにおける変化特性)を合わせ持つ前記実施例のリンク機構41は、相乗効果によって前述のような回動レバ43の動作(回動レバ43の回動量の変化)が得られるものである。
ところで、前記の条件1、条件2において、角度αについては「主として」90°から180°の範囲、角度βについては「主として」180°から90°の範囲と記載したが、これは、巻始め(初期配置)から巻終りまでの角度αの範囲、角度βの範囲が含まれるべき角度範囲が、角度αについては「90°から180°の範囲」、角度βについては「180°から90°の範囲」に限らず、その角度範囲を若干超えるものであっても良いということを意味する。言い換えれば、角度αについては、巻始め時(初期配置)においては90°よりも若干小さい角度であっても良いし、巻終り時においては180°よりも若干大きい角度であっても良い。また、角度βについても同様であり、巻始め時(初期配置)においては180°よりも若干大きい角度であっても良いし、巻終り時においては90°よりも若干小さい角度であっても良い。詳しくは、以下の通りである。
<巻終り時の角度について>
前記のように、巻終り時における角度について、角度αが180°よりも若干大きい角度であっても良く、また、角度βが90°よりも若干小さい角度であっても良い。言い換えれば、角度αの角度範囲が180°を超えて図5の(a)に示す180°から270°の範囲に含まれるものであっても良く、角度βの角度範囲が90°を下まわって図5の(b)に示す0°から90°の範囲に含まれるものであっても良い。
角度αに関して言うと、図5の(a)に示すように、角度αが180°から270°の範囲では、リンク機構の特性は、角度αが90°から180°の範囲とは逆の傾向を示す。すなわち、角度αが180°から270°の範囲においては、角度αが90°から180°の範囲に対して、従動側リンク部材50の従動変位の変位方向が反転すると共に、駆動側リンク部材49の駆動変位に従って、駆動側リンク部材49の単位駆動変位に対する従動側リンク部材50の従動変位量が次第に大きくなる。但し、前述のように、リンク機構の特性においては、図5の(a)を見てもわかるように、角度αにおける180°近傍の角度範囲では、駆動側リンク部材49の駆動変位に対する従動側リンク部材50の従動変位が非常に小さいものとなっている。
従って、角度αの角度範囲の終端が180°を超える場合であって、その180°を超える終端側の範囲(180°〜終端の範囲)が、角度αが180°から270°の範囲に含まれるとしても、すなわち、その終端側の範囲が、角度αが90°から180°の範囲とは逆の傾向を示す範囲に含まれるとしても、その終端側の範囲での従動側リンク部材50の従動変位量が非常に小さく、本願発明が目的とする作用に及ぼす影響が小さい場合には、その終端側の範囲を許容することができる。すなわち、そのような終端側の範囲を許容範囲とすることができる。
そして、前記条件1における角度αに関する「主として90°から180°の範囲」は、角度αが90°から180°の範囲に対し、少なくとも前記ような許容範囲を加えたものとなる。なお、この許容範囲については、前述のように、駆動側リンク部材49が、その変位範囲(回動の場合の回動範囲)内において所定量ずつ単位駆動変位するものとして考えると、駆動側リンク部材49の上記変位範囲のうちの最終の単位駆動変位での終端における従動側リンク部材50の位置が、その最終の単位駆動変位の始端における従動側リンク部材50の位置よりも、従動側リンク部材50の反転前の変位方向における反変位側とならないように、前記許容範囲を設定すれば良い。すなわち、前述のように、角度αが180°を超えると、従動側リンク部材50の変位方向が反転するため、駆動側リンク部材49の前記最終の単位駆動変位におけるその反転方向の従動変位量と角度αが180°となるまでの従動側リンク部材50の従動変位量との関係で前記許容範囲を設定すれば良く、より具体的には、前記反転方向の従動側リンク部材50の従動変位量が、角度αが180°となるまでの従動側リンク部材50の従動変位量よりも小さくなる180°以上の角度αの角度範囲を求めておき、その角度範囲内で前記許容範囲を設定すれば良い。
但し、駆動側リンク部材49の前記最終の単位駆動変位に対する従動側リンク部材50の従動変位量は、そのときのリンク機構の構成(初期配置、駆動側リンク部材49の変位範囲)によって異なるため、前記許容範囲は、そのときのリンク機構の構成に応じて異なる範囲に設定する必要がある。一方、角度αが180°を超える15°程度までの範囲であれば、従動側リンク部材50の従動変位量は非常に小さく、実質的には角度αが180°のときの位置と略変わらないものとなるため、リンク機構の構成とは無関係にその範囲を前記許容範囲とすることができる。そこで、前記許容範囲は、角度αが180°から+15°の範囲、すなわち、角度αが180°から195°までの範囲とするのが好ましい。
従って、前記実施例の構成で考えた場合、巻径追随レバ42と連結レバ44との間の角度αの角度範囲が、少なくとも上記のリンク機構41の構成とは無関係に定められる許容範囲を含む角度αが90°から195°の範囲に含まれるものであれば良く、実際に前記実施例では、角度αの角度範囲が130°から183°となっており、角度αが90°から195°の範囲に含まれるものとなっている。すなわち、前記実施例の構成では、巻始め時から巻終り時までの巻径追随レバ42の回動に伴う角度αの角度範囲(角度αが130°から183°の範囲)は、前記条件1の「主として90°から180°の範囲」に含まれるものとなっている。
なお、以上では、角度αの巻終り時(終端)の許容範囲について説明したが、角度βの巻終り時(終端)についても同様のことが言える。従って、角度βについても、前述の考え方に基づいて、90°を下まわる範囲で前記許容範囲を設定可能であり、さらには、より好ましい範囲として、90°から−15°の範囲、すなわち90°から75°の範囲が許容範囲として設定される。従って、前記実施例の構成、すなわち、巻径追随レバ42の回動に伴う連結レバ44の変位によって回動レバ43が回動する構成について言えば、巻径追随レバ42の回動(連結レバ44の変位)による連結レバ44と回動レバ43との間の角度βの角度範囲が、少なくとも前記許容範囲を含む角度βが180°から75°の範囲に含まれるものであれば良く、その場合であれば、巻始め時から巻終り時までの巻径追随レバ42の回動(連結レバ44の変位)に伴う角度βの角度範囲は、前記条件2の「主として180°から90°の範囲」に含まれるものとなる。
<巻始め時の角度について>
前記のように、巻始め時(初期配置)における角度については、角度αが90°よりも若干小さい角度であっても良く、また、角度βが180°よりも若干大きい角度であっても良い。言い換えれば、角度αの角度範囲が巻始め時において図5の(a)に示す角度αが0°から90°の範囲に含まれるものであっても良く、角度βの角度範囲が巻始め時において図5の(b)に示す角度βが270°から180°の範囲に含まれるものであっても良い。
角度α(角度β)に関して言うと、図5の(a)(図5の(b))に示すように、角度αが0°から90°(角度βが270°から180°)の範囲では、リンク機構の特性は、角度αが90°から180°(角度βが180°から90°)の範囲に対し、従動変位の変位方向は同じであるが、前記変化傾向は逆の傾向を示す。すなわち、角度αが0°から90°(角度βが270°から180°)の範囲においては、駆動側リンク部材49の駆動変位に従って、駆動側リンク部材49の単位駆動変位に対する従動側リンク部材50の従動変位量が次第に大きくなる増加傾向を示す。
このように、角度αが0°から90°(角度βが270°から180°)の範囲においては、前記変化傾向が前述のような増加傾向を示すものであるため、その範囲内での角度αが大きい(角度βが小さい)ときほど、駆動側リンク部材49の所定の駆動変位量に対する従動側リンク部材50の従動変位量が大きくなり、終端の角度αが90°(角度βが180°)のときにその従動変位量が最も大きくなる。一方で、前述のように、角度αが90°から180°(角度βが180°から90°)の範囲においては、それとは逆に、その範囲内での角度αが小さい(角度βが大きい)ときほど、駆動側リンク部材49の所定の駆動変位量に対する従動側リンク部材50の従動変位量が大きくなり、始端の角度αが90°(角度βが180°)のときにその従動変位量が最も大きくなる。
よって、駆動側リンク部材49を単位駆動変位させる場合において、角度αが90°よりも小さい(角度βが180°よりも大きい)状態を始端としても、その始端が90°近傍(角度βの場合は180°近傍)であれば、駆動側リンク部材49の単位駆動変位に対する従動側リンク部材50の従動変位量は角度αが90°(角度βが180°)を始端とする場合と比べて大きくなり、それ以降の駆動側リンク部材49の単位駆動変位における従動側リンク部材50の従動変位量よりも大きくなるため、本願発明が目的とする作用を満たすものとなる。従って、角度α(角度β)の角度範囲は、巻始め時において角度αが90°を下まわる(角度βが180°を超える)範囲を含むものであっても良い。そして、前記条件1における角度αに関する「主として90°から180°の範囲」及び前記条件2における角度βに関する「主として180°から90°の範囲」は、巻始め側においてそのような近傍の範囲を加えたものとなる。
なお、図5から理解されるように、駆動側リンク部材49を単位駆動変位させる場合において、終端における角度αが90°(角度βが180°)となるような単位駆動変位に対する従動側リンク部材50の従動変位量は、始端における角度αが90°(角度βが180°)である単位駆動変位に対する従動側リンク部材50の従動変位量と同じ変位量となる。そのため、巻始め時(初期配置)における角度α(角度β)が90°を下まわる(180°を超える)場合において、駆動側リンク部材49の最初の単位駆動変位を終端の角度αが90°(角度βが180°)となるような初期配置(このときの角度αをα0(角度βをβ0)とする)とすると、最初の単位駆動変位に対する従動側リンク部材50の従動変位量に対し、その次の単位駆動変位に対する従動側リンク部材50の従動変位量が小さくならず、本願発明が目的とする作用を満たさないものとなる。
従って、前記の「近傍」の範囲について、初期配置における角度α(角度β)が90°を下まわる(180°を超える)場合においては、角度αが前記したα0よりも大きく(角度βが前記したβ0よりも小さく)なるように駆動側リンク部材49と従動側リンク部材50との初期配置が設定される必要がある。言い換えれば、角度α(角度β)が前記したα0よりも大きい(β0よりも小さい)範囲内で初期配置が設定されるものであれば、初期配置における角度αが90°を下まわる(角度βが180°を超える)場合であっても発明が目的とする作用は満たされるため、前記した90°近傍の角度α(180°近傍の角度β)は、このような範囲(α0<角度α<90°(β0>角度β>180°))に含まれる角度α(角度β)となる。
但し、前記近傍の範囲は、角度αが0°から90°(角度βが270°から180°)の範囲内に存在するものである。そして、角度αが0°から90°(角度βが270°から180°)の範囲においては、リンク機構の特性は、前述した変化傾向(増加傾向)を示すものとなる。そのため、前述のように、その範囲内では、角度αが大きい(角度βが小さい)ときほど、駆動側リンク部材49の所定の駆動変位量に対する従動側リンク部材50の従動変位量が大きくなる。
従って、前記近傍の範囲で初期配置における角度α(角度β)が設定される場合において、最初の駆動側リンク部材49の単位駆動変位における角度α(角度β)の角度範囲における前記近傍の範囲が大きい場合、すなわち、初期配置における角度αが前記α0(角度βが前記β0)により近い場合、巻始めから巻終りに亘る駆動側リンク部材49の単位駆動変位に対する従動側リンク部材50の従動変位量については、駆動側リンク部材49の駆動変位(巻径の増加)に従って次第に小さくなるが、最初の駆動側リンク部材49の単位駆動変位内に着目すると、単位駆動変位よりも小さい単位の所定の駆動変位量(例えば、前記近傍の範囲において、角度α(角度β)を初期配置の角度から90°(180°)まで変化させる駆動側リンク部材49の駆動変位量を複数等分したうちの1つの駆動変位量。)で見た場合、駆動側リンク部材49のその所定の駆動変位量毎の従動側リンク部材50の従動変位量は、巻始め直後が最も小さく、角度αが90°(角度βが180°)に近づくにつれて大きくなる。すなわち、従動側リンク部材50の従動変位量が、駆動側リンク部材49の駆動変位に従って次第に大きくなるといった逆の傾向を示す。
従って、前記実施例の構成による布巻張力調整装置に当て嵌めると、前記近傍の範囲で初期配置における角度αもしくは角度βが設定される場合、その角度αもしくは角度βの大きさによっては、巻径追随レバ42の最初の単位駆動変位に相当する巻径の変化の過程で、巻始め直後からの回動レバ43の従動変位量の変化が前記のような逆の傾向を示す。そのため、その過程における布巻張力の変化は、(従来技術ほどではないが)巻径の増加に対し反比例的に減少するものとなる。そして、その変化の度合によっては、この間において巻皺の発生が懸念されるものとなる。
一方、前記近傍の範囲が、角度αが90°を下まわる(角度βが180°を超える)10°程度までの範囲であれば、巻始め直後の駆動側リンク部材49の駆動変位量に対する従動側リンク部材50の従動変位量は十分に大きく、また、この範囲における前記変化の度合(巻始め直後とそれ以降との従動変位量の差)は小さい。すなわち、この範囲内では、前記所定の駆動変位量で見た場合に、最初の所定の駆動変位量に対する従動側リンク部材50の従動変位量と、最終の所定の駆動変位量に対する従動側リンク部材50の従動変位量の差が小さい。そのため、その範囲における布巻張力の変化は、従来の反比例的な変化が、大きく且つその範囲の全般に亘って同程度に緩和され、より比例的な変化に近いものとなる。その結果、前記過程における布巻張力の変化は、巻径の増加に対し略比例的に変化(減少)するものとなる。
従って、前記近傍の範囲は、角度αが90°から−10°(角度βが180°から+10°)の範囲、すなわち、角度αが80°から90°(角度βが190°から180°)の範囲とするのが好ましい。
また、角度βの角度範囲についても同様のことが言え、前記実施例の構成で考えた場合に、角度βの角度範囲は、少なくとも180°を超える範囲を含む角度βが190°から90°の範囲に含まれるものであれば良い。すなわち、角度βの角度範囲は、その範囲に含まれるものであれば、前記条件2の「主として180°から90°の範囲」に含まれるものとなる。
<まとめ>
以上より、角度αの角度範囲は、前記条件1に記載したように「主として90°から180°の範囲」に含まれていれば良く、具体的には、この範囲は、90°から180°の範囲の前後に、前記の<巻終り時の角度について>において説明した許容範囲と、前記の<巻始め時の角度について>において説明した近傍の範囲とを加えたものである。同様に、角度βの角度範囲は、前記条件2に記載したように「主として180°から90°の範囲」に含まれていれば良く、具体的には、この範囲は、180°から90°の範囲の前後に、前記の<巻終り時の角度について>において説明した許容範囲と、前記の<巻始め時の角度について>において説明した近傍の範囲とを加えたものである。そして、より好ましくは、以上の説明から、角度αの角度範囲については、角度αが80°から195°の範囲で設定されるのが良く、また、角度βの角度範囲については、角度βが190°から75°の範囲で設定されるのが良い。
なお、以上では、角度βに関し、「巻始め時(初期配置)においては180°よりも若干大きい角度であっても良い」ものとしたが、リンク機構の構成(各リンク部材の配置等)によっては、駆動側リンク部材49の駆動変位に対する従動側リンク部材50の変位の方向が、本来意図する変位方向とは反対方向に変位する場合があるため、そのようなリンク機構の場合には、角度βは180°よりも小さい範囲で設定するのが望ましい。具体的には、以下の通りである。
前記実施例のリンク機構41の場合、巻径追随レバ42については、巻径の増加に伴って一方向にのみ回動するものである。従って、連結レバ44における巻径追随レバ42との連結点47aについては、一方向にのみ回動するものとなっている。一方、回動レバ43については、一端で回動可能(回動自在)に支持され、他端で連結レバ44に支持されるものとなっている。従って、連結レバ44における回動レバ43との連結点48aについては、変位方向が確定されない自由端となっている。そのため、連結レバ44と回動レバ43との成す角度βが180°であると、変位を開始する時点において巻径追随レバ42の回動に伴って連結レバ44が回動レバ43に対し作用させる力の向きは、連結点48aと回動レバ43の回転中心(回動支点34a)とを結ぶ方向となる。
但し、機械構成上、初期状態において、角度βが厳密に180°となっていることはほとんど無く、ごく僅かではあるが、実際には180°よりも大きい状態か、小さい状態となっている。そのため、巻径追随レバ42の回動に伴って連結レバ44が回動レバ43に対し力を作用させると、回動レバ43はその傾きの方向へ回動するが、その傾きの方向(回動方向)は、必ずしも本来意図する回動方向とは限らないため、回動レバ43が本来意図する回動方向とは反対方向に変位する場合がある。
そこで、初期配置における角度βは、従動側リンク部材50が押されつつ変位する場合には180°より小さい値に設定されるのが好ましい。
なお、本発明は、以上の実施例で説明したものに限定されるものではなく、以下(1)〜(9)の様に変形させた態様でも実施することができる。
(1)リンク機構を構成する巻径追随レバ、回動レバ、及び連結レバについて、前記実施例では、各リンク部材である巻径追随レバ42、回動レバ43、及び連結レバ44をいずれも板状の部材としたが、本発明のリンク機構における各リンク部材はそのような形状のものに限らず、いずれのリンク部材もリンク機構におけるリンク部材としての機能を果たす形状を有するものであれば良く、例えば、前記実施例では、連結部材としての連結レバ44を、板状の部材に代えて棒状の部材としても良い。
(2)巻径追随レバと連結部材(連結レバ)との連結に関し、前記実施例では、巻径追随レバ42における支持部42aと中間部42bとの間に連結レバ44が連結されるものとしたが、本発明における巻径追随レバと連結部材との連結については、そのように巻径追随レバの中間部に連結部材が連結される構成に限らず、巻径追随レバの端部(前記実施例における当接部42cのローラ46が取り付けられる端部)に連結部材が連結されるものとしても良い。
(3)巻径追随レバの構成に関し、前記実施例では、その巻径追随レバ42が、同じ方向に存在する支持部42a及び当接部42cと、支持部42aと当接部42cとを繋ぐと共に支持部42a及び当接部42cに対し角度を成す中間部42bとで構成されるものとしたが、本発明における巻径追随レバの構成はそのようなものに限らず、中間部42bを無くし、同じ方向へ延在する支持部42a及び当接部42cのみで構成された直線状のレバとしても良い。
また、巻径追随レバの構成について、前記実施例では、巻径追随レバ42が単一の部材で構成されるものとしたが、巻径追随レバについてはそのような単一の部材で構成されるものに限らず、2以上の部材を組み合わせて構成されるものとしても良い。すなわち、前記実施例の巻径追随レバ42について、リンク機構におけるリンク部材として機能するのは支持部42aであり、中間部42b及び当接部42cは、支持部42aを巻布1の巻径の増加に伴って回動させるための部分として機能している部分である。そこで、本発明における巻径追随レバの構成については、前記実施例における巻径追随レバ42の支持部42aに相当するものと、中間部42b及び当接部42cに相当するものとを別部材とし、これら2つの部材を相対回転不能に組み合わせる構成としても良い。
(4)回動レバの支持軸について、前記実施例では、回動レバ43と布巻トルク調整装置10における従動レバ28とが、同じ軸(支持軸34)に支持される構成としたが、本発明の布巻張力調整装置においては、そのような構成に限らず、回動レバを支持する軸と従動レバ28を支持する軸とが別の軸であって、その両軸が同軸に配置されて軸継手等で連結される構成としても良い。また、上記両軸が非同軸に配置され、ギア、あるいはプーリ及びタイミングベルト等の回転伝達手段を介して連結される構成としても良い。
(5)巻径追随レバの配置に関し、前記実施例では、巻径追随レバ42は、その自重によりローラ46の巻布1に対する当接状態が維持されることを前提とし、その前提が満たされるように、巻径追随レバを支持する支持軸45の位置を布巻ロール6の軸心6aの上方に設定している。しかし、本発明における巻径追随レバの配置については、それに限らず、巻径追随レバを支持する支持軸が布巻ロール周りの任意の位置に配置されるものであっても良い。但し、その支持軸の位置と巻布に対する当接位置との関係によっては、巻布に対するローラの当接状態が巻径追随レバの自重等によって維持できない場合がある。そこで、そのような場合は、ばね等の付勢手段を用い、巻径追随レバに対し巻布側への付勢力を作用させてローラの巻布に対する当接状態が維持される構成としても良い。
また、巻径追随レバの配置に関し、前記実施例では、巻布1の単位巻径増加量に対する巻径追随レバ42の回動量が一定となることを前提とし、その前提が満たされるように、支持軸45の位置、及びローラ46の巻布1に対する当接位置を設定している。しかし、本発明では、巻径追随レバの配置については、上記前提を満たすものに限らず、単位巻径増加毎の巻径追随レバの回動量が一定とはならないものであっても良い。詳しくは、以下の通りである。
例えば、巻径追随レバの配置(巻径追随レバを支持する支持軸の位置、及びローラの巻布に対する当接位置の設定)によっては、単位巻径増加毎の巻径追随レバの回動量が巻径の増加に従って次第に小さくなるような構成とすることも可能である。具体的には、前述のように、角度γ(巻径追随レバを支持する支持軸の軸心とローラの軸心とを結ぶ線分と、布巻ロールの軸心とローラの軸心とを結ぶ線分とが、巻径追随レバの反回動方向側において成す角度)が、単位巻径増加量に対する巻径追随レバの回動量に影響を及ぼすものである。そして、初期配置におけるその角度γが180°に近い角度となるように巻径追随レバを支持する支持軸の位置、及びローラの巻布に対する当接位置が設定されることで、上記のような巻径追随レバの回動が実現されるものとなる。そして、その場合は、本発明の構成(リンク機構)による作用との相乗効果で、本願発明が目的とする作用(以下、「本作用」とも言う。)について、より大きなものを得ることができる。
また、巻径追随レバの配置によっては、前記とは逆に、単位巻径増加毎の巻径追随レバの回動量が巻径の増加に従って次第に大きくなる場合や、あるいは、単位巻径増加量の大きさによって巻始めから巻終りにかけて3以上の単位巻径分の巻径増加が設定されている場合において、巻始め直後及び巻終り直前における単位巻径増加量に対する巻径追随レバの回動量よりも、中間の単位巻径増加量に対する巻径追随レバの回動量が大きくなる場合等も有り得る。但し、これらの場合であっても、本発明の構成(リンク機構)による作用との関係で、結果として回動レバの回動が本作用を奏するものであれば、巻径追随レバの配置については上記のようなものであっても良い。
(6)リンク機構における各リンク部材の初期配置について、前記実施例では、巻始めから巻終りまでの巻径追随レバの回動において、前記条件1を満たすものとして角度αが130°から183°の角度範囲(図5の(a)で示す(A)の範囲)で変化し、前記条件2を満たすものとして角度βが165°から123°の角度範囲(図5の(b)で示す(B)の範囲)で変化するようにリンク機構における各リンク部材の初期配置を設定するものとしたが、本発明ではこれに限らず、以下の1)、2)のようなものであっても良い。
1)巻始めから巻終りにかけての巻径追随レバの回動に伴って角度αが変化する角度範囲(初期配置における角度α〜巻終り時における角度α)については、前記条件1を満たしていれば良く、主として90°から180°の範囲に含まれるものであればどのような角度範囲であっても良い。同様に、連結部材の変位(巻径追随レバの回動)に伴って角度βが変化する角度範囲は、前記条件2を満たすものであれば良く、主として180°から90°の範囲に含まれるものであればどのような角度範囲であっても良い。
但し、図5で示すように、リンク機構の特性においては、角度αが90°から180°の角度範囲における終端側(終端:角度α=180°)に近づくにつれて、また、角度βが180°から90°の角度範囲における終端側(終端:角度β=90°)に近づくにつれて、駆動側リンク部材49の単位駆動変位に対する従動側リンク部材50の従動変位量が小さくなるものであり、角度αが180°近傍で変化する場合、及び角度βが90°近傍で変化する場合では、従動側リンク部材50の従動変位量は非常に小さいものとなる。従って、好ましくは、初期配置において、角度αは最大で150°まで、角度βは最小で120°までで設定された方が良い。
2)そして、前記したリンク機構の特性の説明から明らかなように、巻径追随レバの回動に伴って変化する角度αの角度範囲が90°から180°の範囲により近い範囲(初期配置における角度αが90°、巻終り時における角度αが180°に近い範囲)となるほど大きな効果(本作用)が得られ、角度βの角度範囲が180°から90°の範囲により近い範囲(初期配置における角度βが180°、巻終り時における角度βが90°に近い範囲)となるほど大きな効果(本作用)が得られる。従って、リンク機構の構成(各リンク部材の配置等)を考慮して許容できる設計の範囲において、角度αが90°から180°の範囲により近い範囲で変化するように、また、角度βが180°から90°の範囲により近い範囲で変化するように、リンク機構における各リンク部材の初期配置が設定されるのが好ましい。
因みに、前記の大きな効果が得られる具体例としては、例えば、図8に示すリンク機構が考えられる。なお、図8は、詳細を省略して線分で示してあるが、線分N、R、Kは、それぞれ巻径追随レバにおける両回動点を結ぶ線分N、連結部材における両回動点を結ぶ線分R、回動レバにおける両回動点を結ぶ線分Kに対応する。
この図8におけるリンク機構は、前記実施例と同様に、単位巻径増加量に対する巻径追随レバの回動量は一定となっている。また、巻始めから巻終りまでの巻径の増加量が4等分されて単位巻径増加量が設定されているものとする。そして、この図8におけるリンク機構では、前記の条件1及び条件2を満たすよう、その初期配置において角度αが87°に、角度βが177°に設定されている。その上で、このリンク機構では、巻終り時において、角度αが177°、角度βが87°となっており、角度αが87°から177°の角度範囲で変化し、角度βが177°から87°の角度範囲で変化するものとなっている。そして、その結果として、巻径追随レバの単位巻径増加量毎の単位駆動変位(図示の例では22.5°)に対する回動レバの従動変位量は、巻始めから順番に46°、22°、16°、7°と、小さくなる方向へ大きく変化するものとなっている。
(7)前記実施例(及び前記(6)で説明した変形例)では、リンク機構における各リンク部材の初期配置について、前記の条件1及び条件2を共に満たすように設定されるものとしたが、本発明はこれに限らず、前記初期配置について、下記の条件3及び条件4を共に満たすように設定されるものとしても良い。
詳しくは、リンク機構における各リンク部材の初期配置について、巻径追随レバにおける両回動点を結ぶ線分Nと連結部材における両回動点を結ぶ線分Rとの巻径追随レバの反回動方向側において成す角度を角度αとし、回動レバにおける両回動点を結ぶ線分Kと連結部材における両回動点を結ぶ線分Rとの回動レバの回動方向側において成す角度を角度βとした上で、次の条件3及び条件4を共に満たすように前記初期配置が設定されるものとしても良い。
条件3:角度αが、巻径追随レバ(線分N)の回動範囲において、巻始め時よりも巻終り時の方が小さくなると共に、主として90°から0°の範囲に含まれる。
条件4:角度βが、回動レバ(線分K)の回動範囲において、巻始め時よりも巻終り時の方が大きくなると共に、主として0°から90°の範囲に含まれる。
そして、前述のリンク機構の特性の説明で用いた駆動側リンク部材49及び従動側リンク部材50の2つのリンク部材から成るリンク機構A、B(図6、7)について、リンク機構Aが角度αに関する前記条件3を満たす場合を考えると、図7(a)に示すリンク機構Aの構成における駆動側リンク部材49の回動方向(矢印の向き)を反転した構成がそれに相当する。同様に、リンク機構Bが前記条件4を満たす場合を考えると、図7(b)に示すリンク機構Bの構成における駆動側リンク部材49の変位方向(矢印の向き)を反転した構成がそれに相当する。そして、そのような構成の場合、前述した図示の構成とは逆に、従動側リンク部材50は、駆動側リンク部材49に引かれつつ変位又は回動することになる。
なお、リンク機構Aが図7(a)に示す構成の場合、前述のように、駆動側リンク部材49の単位駆動変位毎の従動側リンク部材50の変位量は、駆動側リンク部材49の駆動変位(回動)に従って次第に大きくなる。すなわち、図7(a)に示す構成は、本作用とは逆の作用(以下、「逆作用」とも言う。)を奏するものとなっている。同様に、リンク機構Bが図7(b)に示す構成の場合についても、前述のように逆作用を奏するものとなっている。但し、リンク機構Aが前記条件3を満たす場合、及びリンク機構Bが前記条件4を満たす場合、前記のように図7(a)、(b)の構成における駆動側リンク部材49の駆動変位の方向を反転させたものとなるため、駆動側リンク部材49の駆動変位に対する従動側リンク部材50の変位の傾向は、図7(a)、(b)の場合を逆にしたものとなる。従って、リンク機構Aが前記条件3を満たす場合は、駆動側リンク部材49の駆動変位(回動)に従って従動側リンク部材50の変位量は次第に小さくなる、すなわち、リンク機構Aが本作用を奏するものとなる。同様に、リンク機構Bが前記条件4を満たす場合についても、リンク機構Bが本作用を奏するものとなる。
以上から、本発明のリンク機構において、リンク機構Aに相当する巻径追随レバ(駆動側リンク部材49)と連結部材(従動側リンク部材50)との組み合わせが前記条件3を満たし、リンク機構Bに相当する連結部材(駆動側リンク部材49)と回動レバ(従動側リンク部材50)との組み合わせが前記条件4を満たすように、各組み合わせにおける各リンク部材の初期配置が設定されることにより、各組み合わせが本作用を奏するものとなり、リンク機構全体として本作用が得られるものとなる。
なお、前記の条件1、条件2と同様に、前記の条件3、条件4においても、角度αについて「主として90°から0°の範囲に含まれる」、角度βについて「主として0°から90°の範囲に含まれる」と記載されているように、角度α、βの角度範囲については、角度αが90°から0°の範囲、角度βが0°から90°の範囲を若干超えるものであっても良い。
具体的には、前記の条件1、条件2と同じ考え方に基づき、前記条件3の角度αに関する「主として90°から0°の範囲」については、角度αが90°から0°の範囲の前後に、前記の<巻終り時の角度について>において説明した許容範囲と、前記の<巻始め時の角度について>において説明した近傍の範囲とを加えたものとなり、より好ましくは、角度αが100°から−15°の範囲となる。なお、この角度αが100°から−15°の範囲は、角度αが100°から0°を過ぎて−15°となる範囲である。同様に、前記条件4の角度βに関する「主として0°から90°の範囲」については、0°から90°の範囲の前後に、前記の<巻終り時の角度について>において説明した許容範囲と、前記の<巻始め時の角度について>において説明した近傍の範囲とを加えたものとなり、より好ましくは、角度βが−10°から105°の範囲となる。なお、この角度βが−10°から105°の範囲は、角度βが−10°から0°を過ぎて105°となる範囲である。
但し、前記における「−X°」の「−」とは、2つの線分によって形成される角度Xの形成される側が、前記条件3における巻径追随レバの反回動方向側、前記条件4における回動レバの回動方向側とは反転していることを意味する。例えば、前記条件3において、「巻径追随レバの反回動方向側において成す角度αが−15°」とは、「巻径追随レバの回動方向側において成す角度αが15°」ということを意味する。また、前記条件4において、「回動レバの回動方向側において成す角度βが−10°」とは、「回動レバの反回動方向側において成す角度βが10°」ということを意味する。
従って、前記条件3において、「角度αが100°から−15°の範囲」とは、「巻径追随レバの反回動方向側において成す角度αが100°から0°までの範囲」と「巻径追随レバの回動方向側において成す角度αが0°から15°までの範囲」とから成る範囲である。また、前記条件4において、「角度βが−10°から105°の範囲」とは、「回動レバの反回動方向側において成す角度βが10°から0°までの範囲」と「回動レバの回動方向側において成す角度βが0°から105°までの範囲」とから成る範囲である。
また、角度α(角度β)が0°となる際の巻径追随レバ(回動レバ)と連結部材の両リンク部材の関係は、例えば時計における長針と短針とが12時に丁度重なるように、両リンク部材の線分が丁度重なった状態となる。従って、上記の「角度αが100°から0°を過ぎて−15°となる(角度βが−10°から0°を過ぎて105°となる)」とは、「巻径追随レバ(回動レバ)と連結部材とが、100°(−10°)を成した状態から、一度重なった後、−15°(105°)を成した状態となる」ということを意味する。なお、前記のように、両リンク部材の線分が丁度重なった状態では、角度α(角度β)は360°とも見なせるため、本願発明では、「角度α(角度β)が0°」=「角度α(角度β)が360°」と言える。
因みに、前記のように、前記条件4における角度βについては、巻始め時(初期配置)において、0°よりも若干小さい角度(−10°から0°の範囲における角度)であっても良いが、前記条件2における角度βに関し、前述した「初期配置における角度βは、従動側リンク部材50が押されつつ変位する場合には180°より小さい値に設定されるのが好ましい」と同様の理由で、前記条件4における角度βについても、0°より大きい値に設定されるのが好ましい。すなわち、初期配置における角度βによっては、回動レバ(従動側リンク部材50)が本来意図する回動方向とは反対方向に変位する場合があるため、前記条件4における角度βに関しても、初期配置における角度βは、0°より大きい値に設定されるのが好ましい。
以上を踏まえた上で、前記の条件3、条件4を満たすリンク機構の具体例としては、例えば、図9に示すリンク機構が考えられる。なお、図9は、詳細を省略して線分で示してあるが、線分N、R、Kは、それぞれ巻径追随レバにおける両回動点を結ぶ線分N、連結部材における両回動点を結ぶ線分R、回動レバにおける両回動点を結ぶ線分Kに対応する。
この図9におけるリンク機構も、前記実施例と同様に、単位巻径増加量に対する巻径追随レバの回動量は一定となっている。また、巻始めから巻終りまでの巻径の増加量が4等分されて単位巻径増加量が設定されているものとする。そして、この図9におけるリンク機構では、その初期配置において角度αが95°、角度βが5°に設定されている。その上で、巻終り時において、角度αが2°、角度βが94°となっており、角度αが95°から2°の角度範囲で変化し、角度βが5°から94°の角度範囲で変化するものとなっている。すなわち、巻始めから巻終りまでの線分Nの回動に伴い、角度αが前記条件3における「主として90°から0°の範囲」に含まれる角度範囲で変化し、角度βが前記条件4における「主として0°から90°の範囲」に含まれる角度範囲で変化するものとなっている。すなわち、図9に示すリンク機構は、前記の条件3、条件4を満たすように各リンク部材の初期配置が設定されたものとなっている。そして、この例の場合も、巻径追随レバの単位巻径増加量毎の単位駆動変位(図示の例では32°)に対する回動レバの従動変位量は、巻始めから順番に65°、31°、20°、7°となり、本作用を奏するものとなっている。
(8)前記実施例(及び以上(6)、(7)で説明した変形例)では、リンク機構における各リンク部材の初期配置について、前記の条件1及び条件2を共に満たすように、又は、前記の条件3及び条件4を共に満たすように、前記初期配置が設定されるものとしたが、本発明はこれに限らず、前記初期配置について、各条件のうちの一方のみ(前記条件1又は前記条件2、あるいは前記条件3又は前記条件4)を満たすように設定されるものとしても良い。
但し、そのように前記初期配置が設定される場合には、前記したリンク機構Aに相当する巻径追随レバと連結部材との組み合わせ、及びリンク機構Bに相当する連結部材と回動レバとの組み合わせの各組み合わせの作用の関係で、リンク機構全体として本作用が得られない構成、言い換えると、一方の組み合わせによる本作用が他方の組み合わせによる逆作用によって打ち消されるような構成、あるいは一方の組み合わせによる本作用よりも他方の組み合わせによる逆作用が大きくなる構成とならないように、前記初期配置が設定される必要がある。詳しくは、以下の通りである。
先ず、リンク機構について、前述のように、巻径追随レバと連結部材との組み合わせが前記リンク機構A(駆動側リンク部材49:巻径追随レバ/従動側リンク部材50:連結部材)に対応し、連結部材と回動レバとの組み合わせが前記リンク機構B(駆動側リンク部材49:連結部材/従動側リンク部材50:回動レバ)に対応するものであるから、以下の説明では、前者の組み合わせをリンク機構A、後者の組み合わせをリンク機構Bと置き換えて説明する。
そして、そのリンク機構A、Bのうち、一方が、対応する前記条件のうちのいずれかを満たし、他方が、対応する前記条件のいずれも満たさない、言い換えれば、前記一方が本作用を奏する構成であり、前記他方が本作用を奏さない(逆作用を奏する)構成であるとする。その場合において、リンク機構Aが本作用を奏する前記一方である(リンク機構Bが逆作用を奏する前記他方である)場合は、リンク機構Aによる本作用がリンク機構Bによる逆作用によって打ち消されないように全体のリンク機構の初期配置を設定する必要がある。逆に、リンク機構Bが前記一方である(リンク機構Aが前記他方である)場合は、リンク機構Aによる逆作用がリンク機構Bによる本作用によって打ち消されて全体として本作用が得られるように全体のリンク機構の初期配置を設定する必要がある。
より詳しくは、例えば、リンク機構Aが前記一方のリンク機構であって角度αに関する前記条件1を満たす図6の(a)に示す構成に相当するものであり、リンク機構Bが前記他方のリンク機構であって角度βに関する前記条件2、4を満たさない図7の(b)に示す構成に相当するものであるとする。その場合、リンク機構Bにおいては、図7の(b)に示すように駆動側リンク部材49である連結部材が一定量ずつ駆動変位した場合には従動側リンク部材50である回動レバの従動変位量(回動量)は次第に大きくなる、すなわち、逆作用を奏する。しかし、リンク機構Bにおける駆動側リンク部材49である連結部材は、リンク機構Aにおいては従動側リンク部材50であり、リンク機構Aの本作用により、その変位量は巻径追随レバの単位駆動変位に伴って次第に小さくなる。そのため、リンク機構A、Bを組み合わせた構成であるリンク機構では、図7の(b)に示すような駆動側リンク部材49(連結部材)が一定量ずつ駆動変位する場合と比べ、リンク機構Aにおける駆動側リンク部材49(巻径追随レバ)の単位駆動変位毎のリンク機構Bにおける従動側リンク部材50(回動レバ)の従動変位量(回動量θy’)は次第に小さくなる。
具体的には、図6の(a)に示すリンク機構Aにおける駆動側リンク部材49の最初の単位駆動変位での従動側リンク部材50の従動変位量Ry1と、図7の(b)に示すリンク機構Bにおける駆動側リンク部材49の最初の駆動変位量Rx’が同じ変位量とすると、リンク機構Aの駆動側リンク部材49の単位駆動変位に対するリンク機構Bの駆動側リンク部材49の駆動変位量は、リンク機構Aの従動側リンク部材50の従動変位に従って次第に小さくなる。その結果、リンク機構Bの従動側リンク部材50の従動変位量θy2’、θy3’は、駆動側リンク部材49の駆動変位量がRx’の場合(図示の状態)よりも小さくなる。そして、リンク機構Aにおける駆動側リンク部材49の2回目以降の単位駆動変位に対応するリンク機構Bの駆動側リンク部材49の駆動変位量によっては、リンク機構Bにおける従動側リンク部材50の従動変位量は、θy2’がθy1’よりも小さくなり、θy3’がθy2’よりも小さくなるといった本作用を奏する状態とすることができる。
そこで、リンク機構Bがこのような本作用を奏するように、すなわち、リンク機構Bにおける駆動側リンク部材49が、リンク機構Bにおいて上記本作用を奏するように駆動変位するように、リンク機構Aの初期配置を設定すれば、リンク機構全体(リンク機構A+リンク機構B)として本作用を奏するものとなる。言い換えれば、逆作用を奏する構成であるリンク機構Bによって打ち消されない程度の本作用を奏するようにリンク機構Aの初期配置を設定することにより、リンク機構全体として本作用を奏するものとなる。
このように、リンク機構Aとリンク機構Bとで構成されたリンク機構において、リンク機構Aとリンク機構Bのうち、一方が対応する前記条件のうちのいずれかを満たし、他方が対応する前記条件のいずれも満たさない場合でも、前記一方による本作用が前記他方による逆作用によって打ち消されなければ、リンク機構全体として本作用を奏するものとなる。
(9)前記実施例(及び以上(6)〜(8)で説明した変形例)では、リンク機構の構成について、巻径追随レバと回動レバとが1つの連結部材を介して連結される構成としたが、本発明におけるリンク機構は巻径追随レバと回動レバとを連結する1以上の連結部材を含むものであるから、前記実施例におけるリンク機構のような構成に限らず、巻径追随レバと回動レバとが2以上の連結部材を介して連結される構成としても良い。
そのような巻径追随レバと回動レバとが2以上の連結部材を介して連結される構成としては、例えば、図10に示すものが考えられる。具体的には、この図10に示すリンク機構(以下、「リンク機構C」とも言う。)は、巻径追随レバ42と回動レバ43とが、連結レバ51、連結レバ52、連結レバ54、及び連結レバ55の4つの連結レバ(連結部材)で連結される構成となっている。なお、このリンク機構Cは、構成的には前記実施例のリンク機構41が2つ組み合わされたものと言える。すなわち、リンク機構Cにおいて、巻径追随レバ42、連結レバ51、及び連結レバ52の組み合わせがリンク機構41を2つ組み合わされたものの一方に対応し、連結レバ54、連結レバ55、及び回動レバ43の組み合わせがその他方に対応するものとなる。
より詳しくは、リンク機構Cにおける巻径追随レバ42は、前記実施例と同様の構成のものとすると、リンク機構Cにおける連結レバ51は、前記実施例の連結レバ44に相当するものとなる。その上で、リンク機構Cにおいて、巻径追随レバ42と連結レバ51を介して連結される連結レバ52は、織機フレーム9に対し支持軸53を介して回動可能に支持されている。すなわち、連結レバ52は、前記実施例における回動レバ43と同様に、織機フレーム9に対し配置が固定された支持軸によって回動可能に支持されている。従って、リンク機構Cの一部を構成する巻径追随レバ42、連結レバ51、及び連結レバ52の3つのリンク部材から成るリンク機構(前記一方/以下、「部分リンク機構C1」とも言う。)は、前記実施例におけるリンク機構41と同様に、固定配置された支持軸(前記実施例:支持軸34/リンク機構C:支持軸53)によって回動可能に支持されるリンク部材と巻径追随レバ42とが単一の連結部材(前記実施例:連結レバ44/リンク機構C:連結レバ51)で連結された4節リンクのリンク機構であり、前記実施例のリンク機構41に相当するリンク機構であると言える。
また、リンク機構Cにおける回動レバ43は、前記実施例と同様の構成のものとすると、リンク機構Cにおける連結レバ55は、前記実施例の連結レバ44に相当するものとなる。その上で、リンク機構Cにおいて、回動レバ43と連結レバ55を介して連結される連結レバ54は、織機フレーム9に対し支持軸53を介して回動可能に支持されている。すなわち、連結レバ54は、前記実施例における巻径追随レバ42と同様に、織機フレーム9に対し配置が固定された支持軸によって回動可能に支持されている。従って、リンク機構Cの一部を構成する連結レバ54、連結レバ55、及び回動レバ43の3つのリンク部材から成るリンク機構(前記他方/以下、「部分リンク機構C2」とも言う。)は、前記実施例におけるリンク機構41と同様に、固定配置された支持軸(前記実施例:支持軸45/リンク機構C:支持軸53)によって回動可能に支持されるリンク部材と回動レバ43とが単一の連結部材(前記実施例:連結レバ44/リンク機構C:連結レバ55)で連結された4節リンクのリンク機構であり、前記実施例のリンク機構41に相当するリンク機構であると言える。
以上から、リンク機構Cは、部分リンク機構C1と部分リンク機構C2とが共通の支持軸53を介して組み合わされた構成となっており、その部分リンク機構C1と部分リンク機構C2とはいずれも前記実施例のリンク機構41に相当するリンク機構であるため、前述のように、構成的には前記実施例のリンク機構41が2つ組み合わされたものと言える。なお、そのようなリンク機構Cについて、連結レバ52と連結レバ54の両レバは支持軸53に対して相対回転不能に固定されているため、巻径追随レバ42の回動に伴う連結レバ52の回動に伴って、回動レバ54が回動レバ52の回動量と同じだけ回動する構成となっている。また、リンク機構Cにおいても、前記実施例と同様に、回動レバ43は、支持軸34を介して布巻トルク調整装置10に連結されている。
そして、以上のような構成から成るリンク機構Cにおいて、図示の例では、その初期配置が、前記の条件1及び条件2を満たすように設定されている。具体的には、図10の構成では、巻径追随レバ42における両回動点を結ぶ線分と連結レバ51における両回動点を結ぶ線分との巻径追随レバ42の回動方向側において成す角度αが、巻始め時(初期配置)において130°、巻終り時において183°となっている。また、図10の構成では、連結レバ55における両回動点を結ぶ線分と回動レバ43における両回動点を結ぶ線分との回動レバ43の反回動方向側において成す角度βが、巻始め時(初期配置)において178°、巻終り時において90°となっている。
その上で、図10に示す構成では、連結レバ51と連結レバ52との間の角度、及び連結レバ54と連結レバ55との間の角度も、本作用を奏する角度となるように設定されている。詳しくは、以下の通りである。
図10の構成において、部分リンク機構C1に着目すると、この部分リンク機構C1においては、連結レバ52は、前述のとおり前記実施例のリンク機構41との対応関係において回動レバ43と見なすことができる。従って、前記実施例と同様に考えると、部分リンク機構C1における連結レバ51と連結レバ52との間の角度(以下、「角度β’」とも言う。)が前記実施例における角度βと同じ条件を満たすような角度範囲で変化すれば、巻径追随レバ42の回動(連結レバ51の変位)に伴い、連結レバ52の回動が本作用を奏するものになる。すなわち、リンク機構Cの初期配置について、部分リンク機構C1における角度β’が前記条件2又は前記条件4におけるβをβ’に置き換えた条件(条件2’、条件4’)を満たす角度範囲で変化するように初期配置が設定されることで、連結レバ52の回動が本作用を奏するものとなる。そこで、図10の構成では、その初期配置により、部分リンク機構C1における角度β’が、前記条件2’を満たす角度範囲で変化するものとなっている。具体的には、図10の構成では、連結レバ51における両回動点を結ぶ線分と連結レバ52における両回動点を結ぶ線分との連結レバ52の反回動方向側において成す角度β’が、巻始め時(初期配置)において165°、巻終り時において123°となっている。
同様に、図10の構成において、部分リンク機構C2に着目すると、この部分リンク機構C2においては、連結レバ54は、前述のとおり前記実施例のリンク機構41との対応関係において巻径追随レバ42と見なすことができる。従って、この部分リンク機構C2における連結レバ54と連結レバ55との間の角度(以下、「角度α’」とも言う。)が前記条件1又は前記条件3におけるαをα’に置き換えた条件(条件1’、条件3’)を満たす角度範囲で変化するようにリンク機構Cの初期配置が設定されることで、連結レバ52の回動に伴う連結レバ54の回動に伴い、連結レバ55の従動変位が本作用を奏するものとなる。そこで、図10の構成では、その初期配置により、部分リンク機構C2における角度α’が、前記条件1’を満たす角度範囲で変化するものとなっている。具体的には、連結レバ54における両回動点を結ぶ線分と連結レバ55における両回動点を結ぶ線分との連結レバ54の回動方向側において成す角度α’が、巻始め時(初期配置)において121°、巻終り時において180°となっている。
以上のように初期配置が設定された図10のリンク機構Cによれば、前記実施例のリンク機構41よりも大きな本作用を得ることができる。詳しくは、以下の通りである。
先ず、図10のリンク機構Cにおいても、前記実施例と同様に、単位巻径増加量に対する巻径追随レバ42の回動量は一定であるものとする。また、巻始めから巻終りまでの巻径の増加量が4等分されて単位巻径増加量が設定されているものとする。
その上で、部分リンク機構C1において、連結レバ52の回動が本作用を奏することは、前記実施例の通りである。具体的には、巻径追随レバ42の単位巻径増加量毎の単位駆動変位(図示の例では11°)に対する連結レバ52の回動量は、巻始めから順に27°、14°、8°、2°となる。また、それに伴い、連結レバ54も同じ回動量で回動する。
一方、部分リンク機構C2においても、角度α’と角度βの両角度は、前記のように本作用を奏する条件を満たす角度範囲で変化するものとなっているため、仮に、連結レバ54が巻径追随レバ42と同様に一定量ずつ回動するものであっても、回動レバ43の回動が本作用を奏するものとなる。そして、前記の通り、図10のリンク機構Cの構成では、連結レバ54の回動については、巻径追随レバ42の回動に伴って連結レバ52の回動量と同じだけ連結レバ54の回動量が徐々に小さくなるため、それに伴い、回動レバ43の回動における本作用は、連結レバ54が一定量ずつ回動する場合と比べ、更に大きいものとなる。具体的には、図10のリンク機構Cの構成では、巻径追随レバ42の単位巻径増加量毎の単位駆動変位に対する回動レバ43の従動変位量は、巻始めから順に78°、14°、3°、1°となる。
以上のように、図10のリンク機構Cは、前述のように前記実施例のリンク機構41を2つ組み合わせたものに相当し、回動レバ43を含む部分リンク機構C2における連結レバ54を、部分リンク機構C1によって回動駆動する構成となっているため、巻径追随レバ42が一定量ずつ回動するものにおいて、部分リンク機構C1の本作用により、連結レバ54(連結レバ52)の回動量が巻始めから巻終りにかけて徐々に小さくなるものとなり、その連結レバ54の回動に従って回動駆動される回動レバ43の回動は、部分リンク機構C2の本作用により、より大きく変化する本作用を奏するものとなる。
なお、以上で説明した図10のリンク機構Cでは、その初期配置について、角度α、角度β’、角度α’、及び角度βの全てが本作用を奏する条件を満たす角度範囲で変化するように設定されるものとしたが、本発明ではこれに限らず、前述(変形例(8)の説明)のように、前記初期配置について、角度α及び角度βの少なくとも一方が本作用を奏する条件を満たす角度範囲で変化するように設定されるものとしても良く、その上で、全体の作用の結果として回動レバの回動が本作用を奏するものであれば良い。
例えば、リンク機構Cにおいて、その初期配置について、前記と同様に角度α、βが前記の条件1及び条件2(又は前記の条件3及び条件4)を満たす角度範囲で変化するように前記初期配置を設定し、その上で、角度β’、α’が前記の条件1’及び条件2’(又は前記の条件3’及び条件4’)を満たさない角度範囲で変化するもの、すなわち、その角度範囲における角度β’、α’の変化が逆作用を奏するものであっても、その逆作用が角度α、βの前記角度範囲における変化による本作用を打ち消さず、結果として、回動レバ43の回動が本作用を奏するものであれば良い。さらには、リンク機構Cにおいて、その初期配置について、回動レバ43の回動が本作用を奏するものであれば、角度α(β)のみが前記条件1又は前記条件3(前記条件2又は前記条件4)を満たす角度範囲で変化し、他の角度が本作用を奏する条件を満たさない角度範囲で変化してしまうような前記初期配置が設定されるものであっても良い。
また、図10のリンク機構Cの構成において、連結レバ52と連結レバ54とは、同じ軸(支持軸53)に支持されて同じ量だけ回動するものであるため、単一の部材とすることも可能である。そして、この場合、リンク機構Cにおいては、連結レバ52、54に代わる単一の部材を介して連結レバ51と連結レバ55とが連結される構成となるため、巻径追随レバ42と回動レバ43とが3つの連結部材(連結レバ51、単一の部材、及び連結レバ55)で連結された構成となる。
そして、そのような考え方に基づけば、本発明によるリンク機構を、前記実施例のリンク機構41に相当するリンク機構の組み合わされる数に応じて、巻径追随レバと回動レバとが5以上の連結部材で連結された構成とすることも可能となる。
なお、本発明は、以上で説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々に変更することが可能である。