JP5357001B2 - トルク調整式トルクリミッタ - Google Patents

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Description

この発明は、回転トルクを調整することができるトルクリミッタ、特に内輪部材の回転などに影響を受けることなく調整された回転トルクを維持することが可能な回転トルクリミッタに関する。
トルクリミッタは、一般にOA機器などのプリンタ、複写機の紙送り、搬送、排出部分の機構などに広く用いられている。トルクリミッタを大きく分けると、機械的な摩擦によって所望の回転トルクが得られる接触式のものと、永久磁石の磁力を利用して所望の回転トルクを得る非接触式のトルクリミッタとがある。現在、用いられているトルクリミッタの多くは、低価格という面から接触式のものであり、種々の構造のものが提案されている。本発明は接触式のトルクリミッタの改良であるので、従来の主な接触式のトルクリミッタについて説明する。
主な接触式のトルクリミッタを挙げると、内輪部材又はシャフトにコイルばねを巻き付け、内輪部材又はシャフトとコイルばねとの間に発生する回転トルクを利用するもの(例えば、特許文献1参照)がある。また、ボール又はローラのような曲面部材とその曲面に加圧力を与えてその曲面との間に発生する回転トルクを利用するもの(例えば、特許文献2参照)、あるいは円筒状のハウジング部材とその中に圧入された弾性摩擦部材との間に発生する回転トルクを利用するもの(例えば、特許文献3参照)がある。
更に、円柱状又は円筒状のシャフトの周りに巻きつけられた種々の形状の板ばね部材でシャフトを締め付けることによって、シャフトと板ばね部材との間に発生する回転トルクを利用するトルクリミッタ(例えば、特許文献4〜6参照)、シャフトとそのシャフトとの間に回転トルクを発生する特殊な形状のばね部材からなるトルクリミッタ(例えば、特許文献7参照)、シャフトとの間に大きさの異なる回転トルクを発生する複数個のハウジング部材と、ハウジング部材が所定の範囲で動けるように保持するハウジングとからなる振動吸収式トルクリミッタなどが既に提案されている(例えば、特許文献8参照)。
これらトルクリミッタは、組み立て時にシャフト(内輪部材)とばね部材との間に発生する回転トルクをそのまま利用するトルクリミッタであり、組み立て時に回転トルクの大きさを調整できない構造のものである。しかし、実際上における精密機器などにあっては、すべてのトルクリミッタの回転トルクを客先などが要求する設定トルク値の+−数%の範囲内に納めなければならない場合がある。このような場合には、回転トルクが固定の構造のトルクリミッタでは対処することが難しいので、トルクリミッタの組み立て時に回転トルクを調整できる構造のものが既に提案されている(例えば、特許文献9、10参照)。
特許文献9に開示されているトルクリミッタは、回転トルクを発生するトルク発生部とばね部材とトルク調整部材とからなり、トルク調整部材を回すことによってばね部材を収縮させてトルク発生部に加わる押圧力を変えて回転トルクの調整を行うものである。特許文献10に記載されたトルクリミッタもトルク発生部の具体的な構造は異なるものの、回転トルクを調整する機構は同様な構造である。これら回転トルクの調整可能なトルクリミッタにあっては、組み立て後のトルク調整工程でトルク調整部材を回して回転トルクを調整し、設定の回転トルクが得られたところでトルク調整部材を回すのを止める。トルクリミッタを使用しない状態では、調整された初期の回転トルクは維持され、変化しない。
しかし、かかるトルクリミッタも内輪部材又は外輪部材が回転する状態におかれると、トルクリミッタの回転トルクは初期の回転トルクから変化することがわかった。特に、回転トルクが小さくなる方向に変化する傾向が著しい。このことは、実験から、内輪部材と外輪部材とが相対的に回転するときに、その回転や振動の影響を受けて、シールド部材であるトルク調整部材がずれたり、ある角度回ったりすることによって軸方向に動いてしまうために生じることを突き止めた。
もう少し具体的に説明すると、トルクリミッタにおいては、トルク調整部材が内輪部材の開いた一端側を閉じるシールド部材(蓋)として作用し、内輪部材は外輪部材(ハウジング部材)の側壁部とトルク調整部材とで支えられて(軸支されて)回転することになる。図示しない機器の回転軸が回転するときに一緒に内輪部材が回転することによって、当然にトルク調整部材と内輪部材との間には摩擦力が生じ、回転時の振動によっては摩擦力がより大きくなるために、その摩擦によってトルク調整部材がトルク調整後の初期の位置から回ったりして軸方向にずれ、これによって回転トルクが変化する。トルク調整部材はばね部材の弾性力で外側方向に常に押されているので、外方向に、つまり回転トルクを減少させる方向にずれ易いことがわかった。
特開2000−352427号公報 特開平9−4650号公報 特開平09−112568号公報 特開2005−337472公報 特開2005−315329公報 特開2003−65355公報 特開平10−131980公報 特開2005−291293公報 特開平8−247163号公報 特開2009−192061号公報
本発明が解決しようとする課題は、トルク調整部材として働くシールド部材でもって所定の回転トルクを有するように調整された従来のトルクリミッタにあっては、内輪部材とハウジング部材との間で相対的な回転を行っているときに、その回転時の摩擦力や振動によってトシールド部材がずれるために、調整された初期の回転トルクの値が変化してしまうというところにある。
本発明は、従来の問題点を解決するために、開放されている一端側の内面にねじ切り部を有するハウジング部材と、そのハウジング部材のねじ切り部にねじ込まれるねじ部を有するシールド部材と、ハウジング部材の側壁部とシールド部材とによって支持(軸支)されて、ハウジング部材に対し相対的に回転可能な内輪部材と、調整可能な回転トルクTaを生じる第1、第2のトルク発生部材と、それらトルク発生部材に押圧力を与える弾性部材と、内輪部材とハウジング部材との相対的な回転による影響によってシールド部材が回転するのを防止する回転抑止部材とを備え、前記ねじ切り部と前記ねじ部とを利用してシールド部材をハウジング部材に対して相対的に回すことによって、弾性部材がトルク発生部材に与える押圧力を調整し、その押圧力の調整後は、回転抑止部材がシールド部材の回転を阻止して、調整された初期の回転トルクを維持するトルクリミッタを提案する。
本発明によれば、トルクリミッタの動作中に、その回転や振動によってトルク調整部材が初期の位置からずれたり、回ったりすることが無いので、トルクリミッタの初期に設定された回転トルクが変化することは無く、一定の値に保持される。
本発明の実施形態1に係るトルクリミッタの組み立て前の各部材を示す図面である。 本発明の実施形態1に係るトルクリミッタを示す図である。 本発明の実施形態1に係るトルクリミッタのハウジング部材を説明するための正面図である。 本発明の実施形態2に係るトルクリミッタのシールド部材の一例を示す図である。 本発明の実施形態2に係るトルクリミッタに用いられる回転抑止部材の一例を示す図である。 本発明の実施形態2に係るトルクリミッタのハウジング部材に回転抑止部材を組み込んだ状態を示す図である。 本発明の実施形態3に係るトルクリミッタを説明するための図である。 本発明の実施形態4に係るトルクリミッタの組み立て前の各部材を示す図である。 本発明の実施形態4に係るトルクリミッタを示す図である。 本発明の実施形態5に係るトルクリミッタの組み立て前の各部材を示す図である。 本発明の実施形態5に係るトルクリミッタを示す図である。 本発明に係るトルクリミッタのトルク発生部の別の一例を示す図である。
本発明は、内輪部材とハウジング部材とが相対的な回転を行うときに、その回転時の摩擦力や振動によってシールド部材がずれたり、回ったりすることにより、調整された初期の回転トルクの値が変化してしまうのを防止するために、シールド部材がずれたり、回ったりするのを抑止する回転抑止部材を有するものである。なお、本発明は、以下に示す実施形態に限定されるものではない。本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一の名称の部材を示すものとする。
[実施形態1]
図1〜図3によって本発明に係る実施形態1のトルクリミッタについて説明する。先ず、このトルクリミッタの概略について説明すると、ハウジング部材1、内輪部材2、第1の摩擦部材3、第2の摩擦部材4、弾性部材5、シールド部材6、及び回転抑止部材7からなる。
図1において、ハウジング部材1は外輪部材の役割を果たすと共に、回転トルクの大きさを調整する機能を有するものであり、基本的には筒状部1Aと、筒状部1Aの開いている一端側の内面に形成されたねじ切り部1Bと、他端側に形成された側壁部1Cと、側壁部1Cから突出している取付け部1Dとを備える。後で詳しく説明するが、ねじ切り部1Bは、シールド部材6をねじ切り部1Bにねじ込み、そのねじ込みの度合いによってトルク発生部が生ずる回転トルクの大きさを調整するためのものである。
側壁部1Cは内輪部材2の一端側の外径よりも若干だけ大きな円形の中央穴1C1を有し、内輪部材2の一端側を回転可能に支持(軸支)する。取付け部1Dは中央穴1C1を挟んで側壁部1Cの側面に一対形成されおり、不図示の機器の一部分の凹所などに取付け部1Dを嵌め込むことによって、ハウジング部材1を不図示の機器に固定するためのものである。なお、筒状部1Aの内面は円筒である必要が無く、その一部分の内面が肉厚になっていて平坦であれば、他の部材をハウジング部材の内面へ回転しないように結合させるときに都合がよい。なお、取付け部1Dは、ハウジング部材1そのものを不図示の機器に取り付ける場合などもあるので、必ずしも必要でない。
内輪部材2は、ハウジング部材1の側壁部1Cの中央穴1C1によって回転可能に支えられる第1の円筒部2Aと、第2の円筒部2Bと、第1の円筒部2Aと第2の円筒部2Bとの間に形成された外径の大きな円環形状の摩擦部2Cと、第2の円筒部2Bの他端側に形成された一般的な取付け凹部2Dとからなる。摩擦部2Cは互いに向き合う円環状側面2C1、2C2を有する。これら円環状側面2C1、2C2と第1の摩擦部材3、第2の摩擦部材4との間で摩擦力が働いて、回転トルクを発生する。したがって、摩擦部2Cは第1のトルク発生部材として働き、第1の摩擦部材3及び第2の摩擦部材4は第2のトルク発生部材として働く。円環状側面2C1と第1の摩擦部材4との摩擦で生じる回転トルクを安定化させるために、円環状側面2C1には円環状の突起2C11が形成されている。円環状側面2C2にも突起2C11と同様な円環状の突起が形成されていても勿論よい。あるいは、突起2C11は必ずしも形成されていなくともよい。なお、図1、図2に示すように、内輪部材2の中心をその長手方向に延びる線を軸線X−Yで表している。
第1の摩擦部材3及び第2の摩擦部材4は、内輪部材2が好ましくは接触せずに挿通する程度の直径の穴を有すると共に、ハウジング部材1に結合される不図示の結合部分を有する。一例として、第1の摩擦部材3、第2の摩擦部材4の外面の一部分は切除されて平坦になっている、いわゆるDカットされている不図示の結合部分(Dカット部分)が形成されており、その結合部分が前述したハウジング部材1の内面における平坦な部分に結合される。このような機械的な結合構造は一般的であるので詳述しない。したがって、第1の摩擦部材3、第2の摩擦部材4はハウジング部材1に対して回転することはできないが、ハウジング部材1内を軸線X−Y方向に動くことができる。このように第1の摩擦部材3、第2の摩擦部材4はハウジング部材1に対して回転できないが、ハウジング部材1内を軸線X−Y方向に動くことが可能な相互の関係を、この発明では第1の摩擦部材3、第2の摩擦部材4がハウジング部材1に結合されていると言う。
この実施例1では、後述する弾性部材5の弾性力で第1の摩擦部材3はハウジング部材1の側壁部1Cの内壁に押し付けられているが、第1の摩擦部材3の厚みによっては、第1の摩擦部材3が必ずしも側壁部1Cの内壁に押し付けられる必要は無く、ハウジング部材1に対して回転しないようにハウジング部材1の筒状部1Aに結合されていることが必要である。したがって、ハウジング部材1は第1の摩擦部材3が軸線X−Yの一定位置からY方向に動かないストッパとしての役割も行う。
したがって、内輪部材2の回転と一緒に摩擦部2Cが回転しても、第1の摩擦部材3、第2の摩擦部材4は摩擦部2Cとの間に生じる摩擦力によって回転することは無い。第1のトルク発生部材である摩擦部2Cと第2のトルク発生部材である第1、第2の摩擦部材3、4とが協働してトルク発生部を形成する。この実施形態1のトルクリミッタでは、第1の摩擦部材3と摩擦部2Cの円環状側面2C1との間に発生する回転トルクと、第2の摩擦部材4と摩擦部2Cの円環状側面2C2との間に生じる回転トルクとを合わせた回転トルクTaを生じる。なお、ハウジング部材1と第1の摩擦部材3、第2の摩擦部材4との結合構造は前述した構造でなくともよく、任意の形状の凹凸などによる結合構造であってもよい。また、回転トルクを調整できる他の周知の構造であってもよい。
弾性部材5は弾性力を有するものであり、第1の摩擦部材3と摩擦部2Cの円環状側面2C1との間、第2の摩擦部材4と摩擦部2Cの円環状側面2C2との間に押圧力を与えるためのものである。弾性部材5は一般的な構造のウエーブばね又は皿ばねなどの板ばね、あるいはコイルばね、又は合成ゴムなどからなる弾性体、後述する同極性で永久磁石を向かい合わせた非接触式のばねなど、種々のものを用いることができる。弾性部材5は内輪部材2に接触しないような大きさの内径を有するものが好ましい。弾性部材5は、ハウジング部材1に結合された第2の摩擦部材4と後述する回転抑止部材7との間に挟まれているので、内輪部材2が回転しても弾性部材5には回転方向の力はかからない。なお、必要に応じて、弾性部材5と回転抑止部材7との間にワッシャのような円環状板を介在させてもよい。
シールド部材6は、内輪部材2の他端側を回転可能に支持する側板(蓋)としての機能と、弾性部材5を加圧する押圧力を調整するトルク調整部材としての機能とを有する円環状のものである。ハウジング部材1とシールド部材6は双方でハウジングを構成する。シールド部材6の円環状板部6Aの外周には、ハウジング部材1のねじ切り部1Bにねじ込まれる(螺合する)ねじ部6Bが形成されている。更に、シールド部材6の円環状板部6Aの内側面には凹凸が形成された凹凸部6Cが形成されている。シールド部材6のねじ部6Bをハウジング部材1のねじ切り部1Bにねじ込んで行くと、シールド部材6はハウジング部材1に対して、図1の右側方向、つまり、トルクリミッタの内側方向へ移動し、弾性部材5にかかる押圧力を増大させる。シールド部材6を逆に回すと、シールド部材6はハウジング部材1に対して、図1の左側方向、つまり、トルクリミッタの外側方向へ移動し、弾性部材5にかかる押圧力を減少させる。
シールド部材6は内輪部材2の前記他端側を支える側板(蓋)として働くので、内輪部材2が回転するとき、当然に回転力がシールド部材6にかかる。特に、内輪部材2の回転開始時や回転終了時には振動も加わって大きな回転力がかかることがあり、また、動作中には回転力がシールド部材6に常時かかっているので、シールド部材6に回転を止めるための特別な外力が働かなければ、内輪部材2の回転力の影響でシールド部材6がある角度回ってトルクリミッタの内外方向どちらかに移動することがある。つまり、内輪部材2の回転時に内輪部材2とシールド部材6との間に生じる摩擦力(又は接触抵抗)がハウジング部材1のねじ切り部1Bとシールド部材6のねじ部6Bとの間の摩擦力(又は接触抵抗)よりも大きくなると、内輪部材2の回転力やそのとき生じる振動などによってシールド部材6が回って移動する。したがって、機器などに組み込んでトルクリミッタを動作させていると、その回転トルクが徐々に初期に設定した値からずれてくることがあり、所望する回転トルクとは異なってきてしまう。
この問題を解決するものが回転抑止部材7である。回転抑止部材7は円環状部7Aを有し、円環状部7Aはシールド部材6と接触する側の面に凹凸部7Bを有する。また、回転抑止部材7は結合凸部7Cを外周面に有する。結合凸部7Cは、図3に示すようなハウジング部材1の開放端側に形成された3個の扇形状の結合凹部1Eに結合される。したがって、回転抑止部材7はハウジング部材1に対して回転することは無い。結合凹部1Eは等間隔で3箇所、内側方向(図3の紙面の裏面方向)に向って形成されており、ねじ切り部1Bは結合凹部1Eによって3箇所で切断されているが、シールド部材6のねじ部6Bをねじ込みするのに影響は無い。この実施形態1の回転抑止部材7の凹凸部7Bとシールド部材6の凹凸部6Cとは互いに接触抵抗を大きくして摩擦力を増大させるものであるので、これら凹凸部は多数の凹凸が不規則的に形成されていても構わない。
回転抑止部材7の凹凸部7Bとシールド部材6の凹凸部6Cとの間に生じる摩擦力(接触抵抗)と、ハウジング部材1のねじ切り部1Bとシールド部材6のねじ部6Bとの間に生じる摩擦力(接触抵抗)との和の摩擦力(接触抵抗)は、内輪部材2とハウジング部材1との相対的な回転の際におけるシールド部材6と内輪部材2との間に生じる最大の摩擦力(接触抵抗)に比べて大きくなければならない。弾性部材5の弾性力の大きさを考慮して、シールド部材6の凹凸部6Cと回転抑止部材7の凹凸部7Bとの間に、前記条件を満足するような摩擦力(接触抵抗)を生じるように、凹凸部6Cと凹凸部7Bとが決められる。したがって、内輪部材2の回転によって内輪部材2とシールド部材6との間に働く摩擦力でシールド部材6が回ることは無く、軸線X−Y方向に移動することは無い。ただし、シールド部材6をハウジング部材1にねじ込んで回転トルクの調整を行うときには、作業者などによる回転トルク調整時の回転力でシールド部材6は当然に回転しなければない。したがって、ある大きさ以上の回転力では、回転抑止部材7の凹凸部7Bとシールド部材6の凹凸部6Cとの間で滑りが生じなければならない。
前述した内輪部材2、第1、第2の摩擦部材3、4、弾性部材5、シールド部材6及び回転抑止部材7をハウジング部材1内に組み込むことにより、図2に示すトルクリミッタが得られる。最後に、不図示の調整用治具を使ってシールド部材6をハウジング部材1に対してねじ込んで行き、トルクリミッタの回転トルク値が設定値になった時点でシールド部材6の調整を止める。このトルクリミッタにあっては、回転抑止部材7が無い場合に比べて大きなトルク調整力が必要であるが、シールド部材6をねじ込むことによって、内輪部材2に対して回転しない回転抑止部材7が弾性部材5の弾性力に逆らってトルクリミッタの内部方向に移動する。
これに伴い、弾性部材5が収縮し、第1の摩擦部材3と内輪部材2の摩擦部2Cの円環状側面2C1との間、摩擦部2Cの円環状側面2C2と第2の摩擦部材4との間にかかる押圧力が増大するので、第1の摩擦部材3と摩擦部2Cの円環状側面2C1との間に生じる回転トルク、及び摩擦部2Cの円環状側面2C2と第2の摩擦部材4との間に生じる回転トルクが大きくなる。逆に、シールド部材6を回して弛めると、それらの間に生じる回転トルクは小さくなる。回転トルクの調整後においては、弾性部材5の弾性力で回転抑止部材7の凹凸部7Bがシールド部材6の凹凸部6Cに押し付けられ、それらの間に大きな摩擦力が働くので、内輪部材2がいずれの方向に回転しても、その回転時に生じる内輪部材2とシールド部材6との間の摩擦力の影響でシールド部材6がいずれの方向にも移動することは無ない。したがって、調整された初期の回転トルクの値を長期間にわたって保持することができる。
なお、内輪部材2の摩擦部2Cと第1、第2の摩擦部材3、4とは耐摩耗性の面からは金属材料からなるのが好ましいが、プラスチック材料などでもよく、特に材質を限定する必要は無い。また、内輪部材2の摩擦部2Cが複数個でそれらの間に第1、第2の摩擦部材3、4に相当する摩擦部材がそれぞれ挟まれていて、摩擦部と摩擦部材とが交互に位置する多重の摩擦力発生構造であってもよい。この場合には、複数の摩擦部2Cに相当する複数の摩擦部は内輪部材2と一緒に回転し、つまり、回転方向には内輪部材2に結合されているが、軸線X−Y方向には動ける構造になっている。本発明では、摩擦部2C又は複数の摩擦部2Cに相当する複数の摩擦部が内輪部材2と一緒に回転するが、軸線X−Y方向には動ける相互の関係を、摩擦部2C又は複数の摩擦部2Cに相当する複数の摩擦部が内輪部材2に結合されていると言う。
他方、第1、第2の摩擦部材3、4に相当する摩擦部材は軸線X−Y方向には動けるが、ハウジング部材1に対して回転できない構造になっている。つまり、複数の摩擦部2Cに相当する複数の摩擦部も第1、第2の摩擦部材3、4に相当する複数の摩擦部材も軸線X−Y方向には移動できるので、前記複数の摩擦部2Cに相当する複数の摩擦部と第2の摩擦部材3、4に相当する複数の摩擦部材は、弾性部材5の弾性力によって押されて所定の位置まで軸線X−Y方向をY方向に動き、その位置で弾性部材5の弾性力によって互いに押し付けられ、それらの間にトルクが発生する。なお、当然に複数の摩擦部2Cに相当する複数の摩擦部は回転方向には内輪部材2に結合され、第1、第2の摩擦部材3、4に相当する複数の摩擦部材は回転方向にはハウジング部材1に結合される。
例えば、複数の摩擦部2Cに相当する複数の摩擦部及び第1、第2の摩擦部材3、4に相当する複数の摩擦部材が少なくとも軸線X−Y方向に移動する範囲の内輪部材2は、多角形構造になっている。複数の摩擦部2Cに相当する複数の摩擦部は内輪部材2が多角形構造よりも若干だけ大きな相似の多角形状の穴を有し、その穴を内輪部材2が挿通しているので、複数の摩擦部2Cは軸線X−Y方向には動けるが、内輪部材2と一緒に回転する。また、第1、第2の摩擦部材3、4に相当する複数の摩擦部材は前述したように外周縁がDカットされ、そのDカットされた部分がハウジング部材1に係合しているので、複数の摩擦部材は軸線X−Y方向には動けるが、回転することは無い。このような構造であるので、前述したように、前記複数の摩擦部2Cに相当する複数の摩擦部と第2の摩擦部材3、4に相当する複数の摩擦部材は停止位置で弾性部材5の弾性力によって互いに押し付けられる。したがって、弾性部材5の押圧力が複数の摩擦部2Cに相当する複数の摩擦部と複数の第1、第2の摩擦部材3、4に相当する複数の摩擦部材とのそれぞれの間にほぼ均一にかかり、それぞれの間に生じる回転トルクの和である大きな回転トルクを得ることができる。
[実施形態2]
次に、図4〜図6を用いて本発明に係る実施形態2のトルクリミッタについて説明する。この実施形態2のトルクリミッタは、前述した実施形態1のトルクリミッタに比べて、シールド部材6と回転抑止部材7、特にそれらの凹凸部6Cと凹凸部7Bが主として異なるだけであるので、以下に異なる部分に関連して説明を行う。図4はシールド部材6の凹凸部6Cを説明するための図であり、図4(A)はシールド部材6の側面を示し、図4(B)はシールド部材6を図4(A)の右側、つまり凹凸部6C側から見た図を示す。図5は回転抑止部材7の凹凸部7Bを説明するための図であり、図5(A)は回転抑止部材7の側面を示し、図5(B)は図5(A)の左側、つまり回転抑止部材7の凹凸部7B側から見た図を示す。図6はハウジング部材1に回転抑止部材7を装着し、シールド部材6で閉じる前の図を示している。
図4(B)に示すように、シールド部材6は内輪部材2を回転可能に支持する円形穴6Dを形成する内径面6Eとねじ部6Bの外径よりも小さい外径面6Fとの間に、回転方向の幅W1が一定の凹凸からなる凹凸部6Cを有する。ここでは、回転方向に3個ずつ連なる三角形状の凹凸であり、例えば太線が谷を示し、細線が頂上を示すものとする。3個ずつ一定間隔を置いて12個の凹凸が形成されている。凹凸は三角形状でなく、かまぼこ状又は半球状などの曲線の山であってもよい。また、凹凸の個数は凹凸部6Cと凹凸部7Bとの間で必要な摩擦力が得られる個数であれば任意の数でよい。
図5(B)に示すように、回転抑止部材7は内輪部材2が接触しない程度の直径、つまりシールド部材6の円形穴6Dよりも直径の大きな中央穴7Dを形成する内径面7Eと外径面7Fとの間に、回転方向に対して一定の幅W2の凹凸からなる凹凸部7Bを有する。凹凸部7Bの各凹凸の幅W2はシールド部材6の凹凸部6Cの各凹凸の幅W1とほぼ等しく、凹凸部7Bは回転方向に連なる三角形状の凹凸である。シールド部材6の凹凸部6Cがかまぼこ状又は半球状などの曲線の凹凸である場合には、その凹凸と逆の形状の波状の凹凸となる。シールド部材6と回転抑止部材7との間の摩擦力は、凹凸部6Cと凹凸部7Bとの個数や形状などによって左右される接触抵抗と弾性部材5の押圧力などによって決まる。
3個の扇形状の結合凸部7Cが回転抑止部材7の外径面7Fからほぼ等間隔で外方向に突出しており、図3に示したハウジング部材1の3個の結合凹部1Eに結合される。回転抑止部材7をハウジング部材1に装着した状態を図6に示す。3個の結合凹部1Eは軸線X−Yを内方向に所定位置まで延びている。3個の結合凹部1Eが側壁部1Cの近傍まで延び、第1、第2の摩擦部材3、4が結合凸部7Cと同様な扇形状の結合部を有するものとすれば、回転抑止部材7の結合凸部7Cばかりでなく、第1、第2の摩擦部材3、4の結合部を結合凹部1Eに結合させることができる。
前述したように、回転抑止部材7の結合凸部7Cをハウジング部材1の結合凹部1Eに結合させた状態で、シールド部材6をハウジング部材1にねじ込んで行くと、シールド部材6の凹凸部6Cは、弾性部材5によって凹凸部6C方向への押圧力を受けている回転抑止部材7の凹凸部7Bを押圧し、シールド部材6をハウジング部材1にねじ込んで行くのに伴って、凹凸部6Cと凹凸部7Bとは互いに1個ずつずれる。この実施形態2では、20個の凹凸部7Bを有するので、シールド部材6の1回転を均等に20分割して調整、つまり角度で表すと、ほぼ18度ずつ均等に調整することが可能であり、回転トルクTaの調整が容易になるだけでなく、正確に行うことができる。なお、シールド部材6の凹凸部6Cが1周にわたって連続して形成されている場合には、回転抑止部材7の凹凸部7Bの凹凸の個数は凹凸部6Cと凹凸部7Bとの間で必要な摩擦力が得られる限り、回転抑止部材7がシールド部材6の回転を抑制できるので任意の数でよい。
[実施形態3]
次に、図7を用いて本発明に係る実施形態3のトルクリミッタについて説明する。このトルクリミッタは、実施形態1、2のトルクリミッタとは違い、シールド部材6とは別体の回転抑止部材7を用いずに、シールド部材6と一体的に形成又は固定された回転抑止部材6Gを設ける。ここでは、シールド部材6と一体的に形成又は固定された回転抑止部も回転抑止部材6Gという。回転抑止部材6Gがハウジング部材1の内面の一部分1Fに接触し、それらの間の接触抵抗を増大させている。図7(A)はハウジング部材1にシールド部材6だけを組み合わせた正面図を示し、図7(B)はその断面を示し、図7(C)は図7(B)をA−Bでの断面を示している。なお、6Hはシールド部材6の外面に形成された調整用凹所であり、この調整用凹所6Hはトルクの調整時に利用される。
回転抑止部材6Gはシールド部材6に一体的に形成されるか、あるいはスポット溶接などによってシールド部材6に固定されている。シールド部材6の回転抑止部材6Gには複数の凹凸が形成されており、回転抑止部材6Gはハウジング部材1の内面の一部分1Fに軽く圧入されている。つまり、シールド部材6がある大きさの回転力以上の力でもって回転する程度に圧入されているので、トルク調整時にシールド部材6を支障なくハウジング部材1にねじ込んだり、あるはその逆方向に回したりすることができる。
回転抑止部材6Gのこれら凹凸は規則正しく形成されていてもよいが、小さなあるいは微細な多数の凹凸が不規則的に形成されていてもよい。また、ハウジング部材1の内面の一部分1Fに凹凸が形成されていてもよい。あるいは、微細な多数の凹凸が回転抑止部材6Gとハウジング部材1の内面の一部分1Fの双方に形成されていてもよい。つまり、シールド部材6に回転抑止部材6Gとハウジング部材1の内面の一部分1Fとの接触面が平滑でなく、それらの接触抵抗を増大させる粗面であればよい。また、回転抑止部材6Gには前記接触抵抗を増大させるゴムなどのような弾力性を有する薄い弾性体が巻かれていてもよい。
なお、図7(B)ではシールド部材6のねじ部6Bに対応するハウジング部材1のねじ切り部1Bは、実施形態1、実施形態2のものよりもねじ切り部1Bのピッチが大きくなっている、つまり螺旋の傾斜が緩やかになっている。この実施形態では、ねじ切り部1Bはこのような緩やかな形状のほぼ360度の螺旋であり、シールド部材6をほぼ1回転の内で調整してシールド部材6を前進あるいは後退させることによって、弾性部材5が前述した第1、第2のトルク発生部材に与える押圧力の調整を行う例を示している。
[実施形態4]
次に、図8、図9を用いて本発明に係る実施形態4のトルクリミッタについて説明する。このトルクリミッタは弾性部材5が同一極性で向かい合った一対の磁石からなることが、実施形態1又は実施形態2のトルクリミッタと異なるだけであるので、以下では異なる部分に関連して説明を行う。弾性部材5は2枚の円板状磁石5Aと5Bとからなる。円板状磁石5A、5Bは双方とも、一方の面側がN極とすれば、他方の面側がS極となる磁極構造を有している。円板状磁石5A、5Bの互いに向き合っている面側は同一の極性、例えばN極同士であり、互いに反発力を生じる。なお、図示しないが、円板状磁石5A、5Bは内輪部材2が接触せずに挿通する中央穴を有している。
内輪部材2に第1の摩擦部材3、第2の摩擦部材4、弾性部材5である円板状磁石5A、5Bを組み合わせ、ハウジング部材1内へ組み込む。次に、回転抑止部材7を前述したように組み込み、更にシールド部材6をハウジング部材1にねじ込む。前述したように、円板状磁石5A、5Bは互いに向き合っている面側が同一極性で組み込まれているので、それらの反発力で当然に初期にはある間隔で互いに離れている。内輪部材2の摩擦部2Cとその両側の第1の摩擦部材3、第2の摩擦部材4との間に生じる回転トルクTaを調整するために、シールド部材6をハウジング部材1にねじ込んで行くと、回転抑止部材7が軸線X−Yを内側方向に移動するので、円板状磁石5Bが円板状磁石5A方向に移動し、円板状磁石5Aと5Bとの間の距離が狭まるので、円板状磁石5Aと5Bとの間に働く反発力が増大する。
これに伴い、円板状磁石5Aが第2の摩擦部材4を押す力が強まり、内輪部材2の摩擦部2Cとその両側の第1の摩擦部材3、第2の摩擦部材4との間にかかる力が大きくなるので、回転トルクTaも大きくなる。シールド部材6をハウジング部材1にねじ込んで行く方向とは逆に回すと、円板状磁石5Aと5Bとの間が広がることによって、回転抑止部材7と円板状磁石5Bが外方向に移動する。これに伴い、内輪部材2の摩擦部2Cとその両側の第1の摩擦部材3、第2の摩擦部材4との間にかかる力が小さくなり、回転トルクTaは小さくなる。
前述したように、第1の摩擦部材3、第2の摩擦部材4及び回転抑止部材7はハウジング部材1に結合されており、回転しないので、第2の摩擦部材4及び回転抑止部材7に接している円板状磁石5A、5Bには回転方向の力がかからず、軸線X−Y方向の力がかかるだけであるので、特に円板状磁石5A、5Bをハウジング部材1に結合する必要は無い。しかし、例えば、円板状磁石5A、5Bが一方の半円部分がN極で、他方の半円部分がS極である磁極構造を有するときには、異極性同士で引き付けあうので、円板状磁石5A、5Bが回転するのを防止するために、円板状磁石5A、5Bをハウジング部材1に結合しなければならない。この結合は前述したようなDカットなど一般的な構造で行うことができる。
[実施形態5]
次に、図10、図11を用いて本発明に係る実施形態5のトルクリミッタについて説明する。このトルクリミッタは、シールド部材6によるトルク調整に影響を受けない回転トルクを発生するトルク発生機構を有する。内輪部材2の第1の円筒部2Aは、実施形態1〜4における内輪部材2の第1の円筒部2Aよりも長くなっており、第1の円筒部2Aにコイルばね8が巻き付けられている。コイルばね8は一端側にフック8Aを備える。コイルばね8は他端側にも同様なフックを備えるが、そのフックはコイルばね8の陰になっているので図示していない。
ハウジング部材1はコイルばね8のフック8Aを結合させるフック結合部1Gを備えると共に、図示されない前記フックを結合させる不図示のフック結合部も有する。フック結合部1G及び不図示の前記フック結合部はハウジング部材1の開放端側から内部方向に延びる溝である。また、ハウジング部材1は第1の摩擦部材3を押し止める第1の段差部1H、及び側壁部1Cには内輪部材2の第1の円筒部2Aの端部を押し止める第2の段差部1Jを備える。弾性部材5と回転抑止部材7との間に円環状板9を備えている。第1、第2の摩擦部材3と4、弾性部材5、シールド部材6、回転抑止部材7、及びそれらの組み合わせ構造は、前述した実施形態1〜4のいずれかかと同様でよいので説明を省略する。
内輪部材2の第1の円筒部2Aとコイルばね8とが広く知られているトルク発生機構を構成する。このトルク発生機構の回転トルク発生のメカニズムは周知であるので、詳しく説明しないが、フック8Aと不図示の前記フックとによってコイルばね8の両端がハウジング部材1に結合されている。したがって、いずれかの方向に内輪部材2が回転しても、コイルばね8の両端がハウジング部材1に結合されているので、コイルばね8は緩んで、内輪部材2の第1の円筒部2Aとコイルばね8との間で一定の回転トルクを生ずる。実際の製造工程では、沢山のトルクリミッタにおける内輪部材2の第1の円筒部2Aとコイルばね8との間の双方向における回転トルクTbを、所望の設定回転トルクTsに精確に一致させるのは極めて難しい。
したがって、この実施形態5では、内輪部材2の第1の円筒部2Aとコイルばね8とからなるトルク発生機構によって、設定回転トルクTsよりもある範囲内で小さい回転トルクTbを発生させ、(Ts−Tb)に相当する回転トルクTaを内輪部材2の摩擦部2Cと第1、第2の摩擦部材3、4とからなるトルク発生部で発生させる。ここではTa<Tbである。つまり、(Ts−Tb)=Taであり、製作したトルクリミッタごとに回転トルクTbが異なることが多いので、回転トルクTaの値を調整することによって、常に、Ta+Tb=Tsの式を満足するトルクリミッタを提供することが可能となる。
回転トルクTaの調整時にシールド部材6をハウジング部材1にねじ込んだとき、第1の摩擦部材3がハウジング部材1の第1の段差部1Hに押し当てられ、ストッパとして働く。したがって、回転トルクTaの調整時に限らず、内輪部材2の第1の円筒部2Aとコイルばね8とからなるトルク発生機構は弾性部材5の押圧力の影響を受けることが無く、ほぼ一定の回転トルクTbを維持する。このことから、ハウジング部材1に対するシールド部材6のねじ込み量を調整して、内輪部材2の摩擦部2Cと第1、第2の摩擦部材3、4とからなるトルク発生部が生じる回転トルクTaを、Ta+Tb=Tsの式を満足するように調整すれば、設定回転トルクTsに等しい回転トルクを生じるトルクリミッタを得ることができる。
前記トルク発生機構は、前述したものの他に種々の構造を適用することができ、周知のトルク発生構造を採用できる。例えば、前掲の特許文献1〜特許文献8などに開示されているような種々の形状のばね部材を用いた接触式のトルクリミッタ、あるいは永久磁石などを用いた非接触式のトルクリミッタでもよい。なお、以上の説明では内輪部材2が回転する場合について述べたが、ハウジング部材1が回転しても構わない。
次に、内輪部材2の摩擦部2Cの変形例について説明する。今まで説明してきた摩擦部2Cは内輪部材2と一体的に形成された円環状のものであったが、図12(A)、(B)に示すように、内輪部材2とは別体で形成された円環状部材2Cxを内輪部材2の固定部2Eに固定してもよい。図12(B)では簡略的に示しているが、破線で示すように第1の摩擦部材3と第2の摩擦部材4とが前述の各実施形態と同様に円環状部材2Cxを挟むように両側から押し当てられる。円環状部材2Cxと第1の摩擦部材3、第2の摩擦部材4との接触は円形状の線接触となるので、円環状部材2Cxと第1の摩擦部材3、第2の摩擦部材4との間で生じる回転トルク値が安定し、トルクリプルを小さくできる。特に、内輪部材2が樹脂材料からなる場合には、円環状部材2Cxを第1の摩擦部材3、第2の摩擦部材4と同様な材質の金属材料で形成することにより、耐摩耗性を大幅に向上させ、寿命を向上させることができる。
図12の例では、内輪部材2が比較的肉厚の薄い円筒状のものであるので、機械的な補強も考慮して固定部2Eを比較的直径の大きな円環状のものにしたが、内輪部材2が肉厚の厚い円筒状又は円柱状のものである場合には、円環状部材2Cxを内輪部材2に圧入やねじ止めなどによって直接固定してもよい。また、前述した第1の摩擦部材3、第2の摩擦部材4が円環状部材2Cxとほぼ等しい内径と外径とを有する円環状のものとしてもよい。このことは他の実施形態でも同様である。
本発明は、前述したようにハウジング部材1のねじ切り部1Bが緩やかな傾斜(ピッチ)でほぼ360度ないしその数倍程度で螺旋する構造のものに適しているが、これに限定されるものではない。このような構造にすることによって、特にトルクリミッタの軸線X−Y方向の長さを短く、つまり小型化することができるだけでなく、シールド部材6を多数回、回転させることなく、容易に弾性部材5が第1、第2のトルク発生部材に与える押圧力の大きさを調整することができ、所望のトルク値を容易に得ることができる。
プリンタや複写機の紙送り機構など、あるいは他のOA機器、及び精密機器などにおける回転機構に広く適用できる。
1・・・ハウジング部材
1A・・・筒状部
1B・・・ねじ切り部
1C・・・側壁部
1C1・・・中央穴
1D・・・取付け部
1E・・・結合凹部
1F・・・ハウジング部材1の内面の一部分
1G・・・フック結合部
1H・・・段差部
1J・・・段差部
2・・・内輪部材
2A・・・第1の円筒部
2B・・・第2の円筒部
2C・・・摩擦部
2C1、2C2・・・円環状側面
2C11・・・円環状の突起
2D・・・取付け凹部
2E・・・固定部
2Cx・・・円環状部材
3・・・第1の摩擦部材
4・・・第2の摩擦部材
5・・・弾性部材
5A、5B・・・円板状磁石
6・・・シールド部材
6A・・・円環状板部
6B・・・ねじ部
6C・・・凹凸部
6D・・・円形穴
6E・・・円形穴6Dを形成する内径面
6F・・・外径面
6G・・・回転抑止部材
6H・・・調整用凹所
7・・・回転抑止部材
7A・・・円環状部
7B・・・凹凸部
7C・・・結合凸部
7D・・・中央穴
7E・・・中央穴7Dを形成する内径面
7F・・・外径面
8・・・コイルばね
8A・・・コイルばね8のフック
9・・・円環状板
Ta・・・調整される回転トルク
Tb・・・トルク発生機構が生じる回転トルク
Ts・・・設定回転トルク

Claims (6)

  1. 開放されている一端側の内面にねじ切り部を有する筒状部と該筒状部の他端側の側壁部とからなるハウジング部材と、
    該ハウジング部材の前記ねじ切り部にねじ込まれるねじ部を有するシールド部材と、
    前記ハウジング部材の前記側壁部と前記シールド部材とに支えられて、前記ハウジング部材に対し相対的に回転可能な内輪部材と、
    前記内輪部材と一緒に回転する第1のトルク発生部材と、前記ハウジング部材に結合され、前記第1のトルク発生部材との間で調整可能な回転トルクTaを生じる第2のトルク発生部材と、
    前記シールド部材の前記ねじ部を前記ハウジングの前記ねじ切り部へねじ込む度合いによって大きさが変わる押圧力を、前記第1と第2のトルク発生部材に与える弾性部材と、
    前記内輪部材と前記ハウジング部材との相対的な回転による影響によって前記シールド部材の前記ねじ部と前記ハウジング部材の前記ねじ切り部とが相対的に回るのを防止する回転抑止部材と、
    を備えたことを特徴とするトルクリミッタ。
  2. 請求項1に記載のトルクリミッタにおいて、
    前記回転抑止部材と前記シールド部材とは互いに接触し合う接触面を有し、
    該接触面に働く摩擦力と、前記ハウジング部材の前記ねじ切り部と前記シールド部材の前記ねじ部との間に働く摩擦力との和の摩擦力は、前記内輪部材と前記ハウジング部材とが相対的に回転する際に生じる前記シールド部と前記内輪部材との間に働く摩擦力に比べて大きいことを特徴とするトルクリミッタ。
  3. 請求項2に記載のトルクリミッタにおいて、
    前記シールド部材と前記回転抑止部材との前記接触面には、前記シールド部材の回転方向に一定幅である凹凸が形成され、
    該凹凸が前記シールド部材の回転角度を前記凹凸にしたがって段階的に調整できるようにしたことを特徴とするトルクリミッタ。
  4. 請求項1に記載のトルクリミッタにおいて、
    前記シールド部材は、一体的に形成又は固定された前記回転抑止部材を有し、
    前記ハウジング部材の内面と前記シールド部材の前記回転抑止部材とは互いに接触し合う接触面を有し、
    前記ハウジング部材の前記接触面と前記シールド部材の前記回転抑止部材の前記接触面のいずれか一方には、前記接触面に働く摩擦力を増大させるための凹凸が形成されていることを特徴とするトルクリミッタ。
  5. 請求項1に記載のトルクリミッタにおいて、
    前記第1のトルク発生部材は前記内輪部材と一体的に形成又は固定された摩擦部からなり、
    前記第2のトルク発生部材は前記ハウジング部材に結合された摩擦部材とからなり、
    前記摩擦部と前記摩擦部材とは相対的に回転して、前記回転トルクTaを生じることを特徴とするトルクリミッタ。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のトルクリミッタにおいて、
    前記第1又は第2のトルク発生部材と前記ハウジング部材の前記側壁部との間に位置し、前記内輪部材又は前記ハウジング部材との間に一定の回転トルクを発生するトルク発生機構を備え、
    該トルク発生機構は、前記回転トルクTaよりも大きな一方向又は双方向の回転トルクTbを発生し、
    前記シールド部材を回すことにより調整される前記回転トルクTaと前記トルク発生機構が生じる前記一定の回転トルクTbとの和に等しい所定の大きさの回転トルク(Ta+Tb)を生じることを特徴とするトルクリミッタ。
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