JP6226748B2 - 熱可塑性成形材料 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリアミド及びカーボンブラック、グラファイト又はそれらの混合物のほかに、付加的にイオン性液体を含有する熱可塑性成形材料に関する。
カーボンブラック又はグラファイトを特別なプラスチック中でイオン性液体と組み合わせて用いることは自体公知である。
EP−A−2223904は、平面造形物用の帯電防止性を備えた人造石の製造法に関する。該人造石は、無機材料の大きな割合のほかに、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリレート、メタクリレート及び/又はビニルエステルを含有するポリマーマトリックスを最大40質量%まで含有する。伝導性を高めるための添加剤として、グラファイト又はカーボンブラックを加えることができる。そのうえ、該成形材料はイオン性液体を含有する。
EP−B−1984438は、フィラー、例えばカーボンブラックのほかにイオン性液体も含有する、帯電防止性を備えたポリウレタンに関する。
WO2008/006422は、プラスチック用の帯電防止剤としてイオン性液体又はイオン性液体に溶けた金属塩溶液の使用に関する。該プラスチックは、その際、殊にポリウレタンである。他の使用可能なプラスチックについての示唆は存在していない。
本発明の課題は、カーボンブラック若しくはグラファイト若しくはそれらの混合物を含有する、改善された伝導性を有するか、又は該伝導性を保持しつつカーボンブラック若しくはグラファイト若しくはそれらの混合物の含有量を減少させることが可能なポリアミド成形材料の提供である。
該課題は、本発明によれば、熱可塑性成形材料を基準として、
a)少なくとも1種のポリアミド、コポリアミド又はポリアミド含有ポリマーブレンドを成分Aとして、
b)3〜20質量%のカーボンブラック、グラファイト又はそれらの混合物を成分Bとして、
c)0.1〜3質量%のイオン性液体を成分Cとして
含有する該熱可塑性成形材料によって解決される。
本発明により、少量のイオン性液体と、カーボンブラック、グラファイト又はそれらの混合物との組合せが、カーボンブラック、グラファイト又はそれらの混合物の含有量の低い場合でも高い伝導性を引き起こす組合せ効果を生むことが見出された。
熱可塑性成形材料中のイオン性液体の割合は、その際、好ましくは0.1〜1.5質量%、殊に0.3〜1.2質量%である。
カーボンブラック、グラファイト又はそれらの混合物の成分Bとしての割合は、該熱可塑性成形材料を基準として、好ましくは3.5〜10質量%、特に有利には4〜8質量%である。
イオン性液体 成分C
本発明は、成分Cとして特別なイオン性液体に制限されていない;全ての適したイオン性液体を使用してよく、それらは様々のイオン性液体の混合物とも解してよい。
イオン性液体は、Angewandte Chemie 2000,112,3926−3945におけるWasserscheid及びKeimの定義によると、比較的低い温度で溶融する、非分子特性、イオン特性を有する塩である。それらは比較的低い温度ですら液体であり、その際、比較的粘性は低い。それらは多数の有機、無機及び高分子の物質に対して非常に良好な溶解性を有する。そのうえまた、それらは一般に不燃性、非腐食性であり、かつ測定できるほどの蒸気圧を有さない。
イオン性液体は、陽イオンと陰イオンから形成される化合物であるが、しかしながら、全体としては電荷中性である。陽イオンも陰イオンも主として1価であるが、しかしながら、例えば1〜5つの電荷、有利には1〜4つの電荷、さらに有利には1〜3つの電荷、極めて有利には1〜2つの電荷をイオン1個当たりに有する多価のアニオン及び/又はカチオンも可能である。該電荷は、分子内の様々な局在領域若しくは非局在領域に存在していてもよく、つまり、ベタイン様で、又は分離したアニオンとカチオンのように分布していてもよい。有利なのは、少なくとも1つのカチオンと少なくとも1つのアニオンとから構成されているイオン性液体である。
イオン性液体は、伝統的な水性溶媒や有機溶媒と比較してより複雑な溶解挙動を有し、それというのも、イオン性液体は塩であり、かつ非イオン性の分子溶媒ではないからである。イオン性液体は、好ましくは−70〜300℃の温度範囲内では液相で存在する。
有利なのは、可能な限り低い融点を有する、殊に150℃を下回る、さらに有利には100℃を下回る、特に有利には80℃を下回る融点を有するイオン性液体である。
伝導性を改善するための試剤として作用するイオン性液体は、それらが実質的に、配合に与する物質に対して化学的に不活性であるように選択されることができる。
イオン性液体は、典型的には、化合物、例えばイミダゾール、ピラゾール、チアゾール、イソチアゾール、アザチアゾール、オキソチアゾール、オキサジン、オキサゾリン、オキサザボロール、ジチオゾール、トリアゾール、セレノゾール、オキサホスホール、ピロール、ボロール、フラン、チオフェン、ホスホール、ペンタゾール、インドール、インドリン、オキサゾール、イソオキサゾール、イソトリアゾール、テトラゾール、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、チアジアゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、ピペラジン、ピペリジン、モルホロン、ピラン、アノリン、モルホリン、アニリン、フタラジン、キナゾリン、キノクサリン及びそれらの組合せ物のアルキル化によってしばしば得られる有機カチオンから構成されている。
特に有利には、イオン性液体中で、該イオン性液体の該カチオンは、第四級アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、H−ピラゾリウムカチオン、ピリダジニウムイオン、ピリミジニウムイオン、ピラジニウムイオン、ピロリジニウムカチオン、グアニジニウムカチオンを含む群、少なくとも1個のリン原子若しくは硫黄原子を有する5員〜少なくとも6員のカチオン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エニウムカチオン及び1,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−イニウムカチオン若しくは−エシウムカチオン並びにこれらのカチオンを有するオリゴマー及びポリマーから選択されている。
イオン性液体のアニオン性部分は、無機アニオン又は有機アニオンから構成されていてよい。これらに関する典型的な例は、ハライド、BX4 -、PF6 -、AsF6 -、SbF6 -、NO2 -、NO3 -、SO4 2-、アルキルスルフェート、BR4 -、置換された若しくは非置換のカルボラン、置換された若しくは非置換のメタロカルボラン、ホスフェート、ホスフィット、ポリオキソメタレート、置換された若しくは非置換のカルボキシレート、トリフレート、トリフリミド及び非配位性アニオンである。その際、Rは、水素、アルキル、置換されたアルキル、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換されたヘテロシクロアルキル、アリール、置換されたアリール、ヘテロアリール、置換されたヘテロアリール、アルコキシアリールオキシ、アシル、シリル、ボリル、ホスフィノ、アミノ、チオ、セレノ及びそれらの組合せ物を包含してよい。カチオンとアニオンの組合せを変えることによって、特定の熱可塑性ポリマーのための所望の溶解特性を有するイオン性液体を調節することが可能である。
該カチオンは、例えば、ただ一つの、他の環構造に結合していない5員環を有してよい。これに関する一例は、イミダゾリウムカチオンである。この場合、該イオン性液体のアニオンは、ハロゲン若しくは擬ハロゲンであってよい。更なる詳細な説明については、US−A−20050288484、段落[0055]〜段落[0062]を参照することができる。
本発明により用いられることができる室温イオン性液体は、例えばWO02/079269、第13頁〜第16頁に記載されている。そこでは、カチオンとして、例えば、N−アルキルピリジニウム、アルキルアンモニウム、アルキルホスホニウム及びN,N'−ジアルキルイミダゾリウムのような大きい非対称有機カチオンが記載される。有利には、該イオン性液体は高い安定性を有し、かつ特に有利には400℃を上回る分解温度を有する。例えば、ジアルキルイミダゾリウム及びアルキルピリジニウムは、そのように高い分解温度を有する。特に有利には、ここで、1−アルキル−3−メチルイミダゾリウム塩を用いてよく、その際、例えばPF6 -が適した対イオンである。
更なる適したイオン性液体は、優先日がより古い、本出願の優先日に未公開のPCT/EP/2007/060881に記載されている。
イオン性液体の更なる詳細な説明については、Angew.Chem.2000,112,3926−3945,K.N.Marsh et al.,Fluid Phase Equilibria 219(2004),93−98及びJ.G.Huddleston et al.,Green Chemistry 2001,3,156−164だけでなくDE−A−10202838、WO2005/019137、WO2005/007657、WO03/029329、WO2004/084627、WO2005/017001及びWO2005/017252を参照することができる。例えば、WO2005/007657には、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン(DBN)及び1,4−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)の塩が記載されている。WO2004/084627には、例えば、カチオンとして環状アミン塩基、例えばピリジニウム、ピリダジニウム、ピリミジニウム、ピラジニウム、イミダゾリウム、ピラゾリウム、オキサゾリウム、1,2,3−及び1,2,4−トリアゾリウム、チアゾリウム、ピペリジニウム、ピロリジニウム、キノリニウム及びイソキノリニウムが記載されている。1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エニウム(DBU)に対する適した対イオンは、例えばクロリド、メタンスルホネート、ホルメート、アセテート、トシレート、トリフルオロアセテート、サッカリネート、ハイドロジェンスルフェート、ラクテートチオシアネート、及びトリフルオロメタンスルファメートである。DBUイオンは、例えばC1〜C12−アルキル基、殊にC4〜C8−アルキル基によって置換されていてよい。例えば、8−ブチル−DBU若しくは8−オクチル−DBUがカチオンとして用いられることができる。更なる適したイオン性液体は、WO2008/006422、EP−A−2223904、WO2009/101032、WO2006/048171、JP−A−2009−155436及びJP−A−2005−220316に記載されている。
特に有利には、本発明によりイオン性液体中でカチオンとして、場合により置換されたイミダゾリウムカチオン、場合により置換された1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エニウムカチオン又はそれらの混合物が用いられる。置換基として、殊にアルキル置換基、例えばC1〜C10−アルキル置換基が考慮に入れられる。イミダゾリウムイオンには、有利にはC1〜C4−アルキル置換基、殊にエチル−及びメチル置換基が考慮に入れられる。特に有利には、この場合、エチルメチルイミダゾリウム(EMIM)、メチルメチルイミダゾリウム(MMIM)がカチオンとして用いられる。そのうえ、有利にはブチルメチルイミダゾリウム(BMIM)がカチオンとして用いられることができる。1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エニウムカチオンの場合、有利にはC3〜C10−アルキル置換基、殊にC4〜C8−アルキル置換基が用いられる。特に有利なのは、この際、8−ブチル−DBU及び8−オクチル−DBU並びにそれらの混合物である。
イミダゾリウム塩のアニオンとして、前述のアニオンを用いてよい。有利な対イオンは、好ましくは、ハライド、場合により置換されたC1〜C4−カルボキシレート、ホスフェート、C1〜C4−アルキルホスフェート、ジ−C1〜C4−アルキルホスフェート、C1〜C4−アルキルスルホネート、ハイドロジェンスルフェート、C1〜C4−アルキルスルフェート、トリフリミド、テトラフルオロボレート、トリフレート又はそれらの混合物から選択されている。
特に有利には、イオン性液体は、エチルメチルイミダゾリウムエチルスルフェート、エチルメチルイミダゾリウムトリフリミド、エチルメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、エチルメチルイミダゾリウムトリフレート、エチルメチルイミダゾリウムジエチルホスフェート又はそれらの混合物である。
該イオン性液体は、比較的少ない割合で水も含有してよい。例えば、該イオン性液体中の含水率は0〜5質量%であってよい。好ましくは、含水率は可能な限り少ない。
本発明による熱可塑性成形材料は、成分A、B及びCのほかに、付加的に金属塩を成分Cと混合して又は成分Cに溶解して含有してもよい。その際、該金属塩は、好ましくは該イオン性液体に可溶性の金属塩である。金属塩の添加によって、伝導性を再度高めることができる。適した金属塩は、例えばEP−A−2223904に記載されている。好ましくは、金属塩は、以下のアニオン:ビス(パーフルオロアルキルスルホニル)アミド又はビス(パーフルオロアルキルスルホニル)イミド、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、アルキルトシレート及びアリールトシレート、パーフルオロアルキルトシレート、ニトレート、スルフェート、ハイドロジェンスルフェート、アルキルスルホネート及びアリールスルホネート、ポリエーテルスルフェート及びポリエーテルスルホネート、パーフルオロアルキルスルフェート、スルホネート、アルキルスルホネート及びアリールスルホネート、パーフルオロ化されたアルキルスルホネート及びアリールスルホネート、アルキルカルボキシレート及びアリールカルボキシレート、パーフルオロアルキルカルボキシレート、パークロレート、テトラクロロアルミネート、サッカリネート、チオシアネート、イソチオシアネート、ジシアナミド、テトラフェニルボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ホスフェート及び/又はポリエーテルホスフェートのアルカリ金属塩の群から選出されている。
金属塩の割合は、成分Cについての前述の量値で含まれていない。
この種の金属塩が併用される場合、その割合は、成分Cを基準として、溶解度に応じて、好ましくは0〜30質量%である。
金属塩とイオン性液体との組合せについては、WO2008/006422、殊に第4頁、第6行目〜第11行目、及び第16頁を参照することができる。
ポリマー成分A
成分Aとして、本発明による熱可塑性成形材料中では、少なくとも1種のポリアミド、コポリアミド又はポリアミド含有ポリマーブレンドが用いられる。
本発明により用いられるポリアミドは、例えばジカルボン酸及びジアミン、又はジカルボン酸由来の塩及びジアミン、アミノカルボン酸、アミノニトリル、ラクタム及びそれらの混合物から選択されている出発モノマーの反応によって製造される。ここで、任意のポリアミド、例えば脂肪族、部分芳香族若しくは芳香族のポリアミドの出発モノマーが包含されていてよい。該ポリアミドは、非晶性、結晶性若しくは部分結晶性であってよい。該ポリアミドは、そのうえ任意の適した粘度若しくは分子量を有してよい。特に適しているのは、脂肪族、部分結晶性若しくは部分芳香族の、並びに非晶性の各種構造を有するポリアミドである。
かかるポリアミドは、一般的に、ISO 307に従って25℃にて96質量%硫酸中0.5質量%の溶液として測定して、90〜350ml/g、好ましくは110〜240ml/gの粘度を有する。
例えば米国特許文献2071250、2071251、2130523、2130948、2241322、2312966、2512606及び3393210に記載されているような、少なくとも5,000の分子量(重量平均値)を有する半結晶性若しくは非晶性の樹脂が有利である。これらに関する例は、7〜11の環員を有するラクタムから誘導されるポリアミド、例えばポリカプロラクタム及びポリカプリルラクタム、並びにジカルボン酸をジアミンと反応させることによって得られるポリアミドである。
ジカルボン酸として、6〜12個、殊に6〜10個の炭素原子を有するアルカンジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸が使用可能である。ここでは、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸(デカンジカルボン酸)及びテレフタル酸及び/又はイソフタル酸が酸として挙げられる。
ジアミンとして適しているのは、特に、2〜12個、殊に6〜8個の炭素原子を有するアルカンジアミン並びにm−キシリレンジアミン、ジ−(α−アミノフェニル)−メタン、ジ−(4−アミノシクロヘキシル)−メタン、2,2−ジ−(アミノフェニル)−プロパン又は2,2−ジ−(4−アミノシクロヘキシル)−プロパン並びにp−フェニレンジアミンである。
有利なポリアミドは、ポリヘキサメチレンアジピン酸アミド(PA 66)及びポリヘキサメチレンセバシン酸アミド(PA 610)、ポリカプロラクタム(PA 6)並びにコポリアミド 6/66であり、殊にカプロラクタム単位を5〜95質量%の割合で有する。PA 6、PA 66及びコポリアミド 6/66が特に有利である。
その他に、例えば1,4−ジアミノブタンとアジピン酸との高められた温度下での縮合によって得られるポリアミドも言及される(ポリアミド−4,6)。この構造のポリアミドの製造法は、例えばEP−A38094、EP−A38582及びEP−A39524に記載されている。
更なる例として、前述のモノマーの2種以上の共重合によって得られるポリアミド、又は複数種のポリアミドの混合物が適しており、その際、混合比は任意である。
さらに、トリアミン含有率が0.5質量%未満、好ましくは0.3質量%未満である部分芳香族コポリアミド、例えばPA 6/6T及びPA 66/6Tが特に好ましいと判明した(EP−A299444を参照されたい)。低いトリアミン含有率を有する部分芳香族コポリアミドの製造は、EP−A129195及び129196に記載された方法に従って行われることができる。部分芳香族ポリアミドについては、そのうえWO2008/074687を参照することができる。
非網羅的な後続のリストは、言及したポリアミド、並びに更なるポリアミドを本発明に従って含む(括弧内にはモノマーを記載している):
PA 26(エチレンジアミン、アジピン酸)
PA 210(エチレンジアミン、セバシン酸)
PA 46(テトラメチレンジアミン、アジピン酸)
PA 66(ヘキサメチレンジアミン、アジピン酸)
PA 69(ヘキサメチレンジアミン、アゼライン酸)
PA 610(ヘキサメチレンジアミン、セバシン酸)
PA 612(ヘキサメチレンジアミン、デカンジカルボン酸)
PA 613(ヘキサメチレンジアミン、ウンデカンジカルボン酸)
PA 1212(1,12−ドデカンジアミン、デカンジカルボン酸)
PA 1313(1,13−ジアミノトリデカン、ウンデカンジカルボン酸)
PA MXD6(m−キシリレンジアミン、アジピン酸)
PA TMDT(トリメチルヘキサメチレンジアミン、テレフタル酸)
PA 4(ピロリドン)
PA 6(ε−カプロラクタム)
PA 7(エタノラクタム)
PA 8(カプリルラクタム)
PA 9(9−アミノノナン酸)
PA 11(11−アミノウンデカン酸)
PA 12(ラウリンラクタム)
ポリフェニレンジアミンテレフタルアミド(p−フェニレンジアミン、テレフタル酸)
これらのポリアミド及びそれらの製造は公知である。それらの製造に関する細部は、当業者によりUllmanns Enzyklopaedie der Technischen Chemie,4.Auflage,Bd.19,pp.39−54,Verlag Chemie,Weinmann 1980、並びにUllmanns Encyclopedia of Industrial Chemistry,Vol.A21,pp.179−206,VCH Verlag,Weinheim 1992,並びにStoeckhert,Kunststofflexikon,pp.425−428,Hanser Verlag Muenchen 1992(見出し語"Polyamide"以降)に見出される。
特に有利には、ポリアミド−6、ポリアミド−66又はMXD6−ポリアミド(アジピン酸/m−キシリレンジアミン)が用いられる。
加えて、本発明により、カルボキシル基又はアミノ基に結合することができ、かつ、例えば少なくとも1個のカルボキシル基、ヒドロキシル基又はアミノ基を有する官能化化合物をポリアミド中に設けることが可能である。これらは、好ましくは、
例えば少なくとも3個のカルボキシル基又はアミノ基を有する枝分かれ作用を持つモノマー、
カルボキシル基又はアミノ基に、例えばエポキシ基、ヒドロキシ基、イソシアナト基、アミノ基及び/又はカルボキシル基によって結合することができ、かつヒドロキシル基、エーテル基、エステル基、アミド基、イミン基、イミド基、ハロゲン基、シアノ基及びニトロ基、C−C−二重結合若しくはC−C−三重結合から選択される官能性基を有するモノマー
又はカルボキシル基又はアミノ基に結合することができるポリマーブロック、例えばポリ−p−アラミドオリゴマー
であってよい。
官能化化合物の使用によって、製造されたポリアミドの特性スペクトルを幅広い範囲で自由に調整することができる。
例えば、トリアセトンジアミン化合物を官能化モノマーとして用いることができる。これらは、好ましくは4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン又は4−アミノ−1−アルキル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンであり、その際、アルキル基は1〜18個の炭素原子を有するか又はベンジル基で置換されている。トリアセトンジアミン化合物は、該ポリアミドの酸アミド基1モルを基準として、好ましくは0.03〜0.8モル%、特に有利には0.06〜0.4モル%の量で存在している。更なる詳細な説明については、DE−A−4413177を参照することができる。
更なる官能化モノマーとして、ふつうは調整剤として用いられる化合物、例えばモノカルボン酸及びジカルボン酸を使用することができる。更なる詳細な説明については、同様にDE−A−4413177を参照することができる。
成分Aは、1種以上のポリアミド又はコポリアミドのほかに、少なくとも1種の更なるブレンドポリマーも含有してよい。その際、成分A中のブレンドポリマーの割合は、好ましくは0〜60質量%、特に有利には0〜50質量%、殊に0〜40質量%である。ブレンドポリマーが存在する場合、その最小量は、好ましくは5質量%、特に有利には少なくとも10質量%である。
ブレンドポリマーとして、例えば天然ゴム若しくは合成ゴム、アクリレートゴム、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリウレタン又はそれらの混合物を、場合により相溶化剤と組み合わせて用いることができる。
使用可能な合成ゴムとして、エチレン−プロピレン−ジエン−ゴム(EPDM)、スチレン−ブタジエン−ゴム(SBR)、ブタジエン−ゴム(BR)、ニトリル−ゴム(NBR)、ヒドリン−ゴム(ECO)、アクリレート−ゴム(ASA)を挙げることができる。シリコーンゴム、ポリオキシアルキレンゴム及び他のゴムも使用可能である。
熱可塑性エラストマーとして、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、スチレン−ブタジエン−スチレン−ブロックコポリマー(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン−ブロックコポリマー(SIS)、スチレン−エチレン−ブチレン−ブロックコポリマー(SEBS)又はスチレン−エチレン−プロピレン−スチレン−ブロックコポリマー(SEPS)を挙げることができる。
そのうえ、樹脂、例えばウレタン樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、イミド樹脂、アミドイミド樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、アルキド樹脂又はメラミン樹脂をブレンドポリマーとして用いることができる。
ブレンドポリマーとして、そのうえ、エチレンコポリマー、例えば、WO2008/074687に記載されているようなエチレン及び1−オクテン、1−ブテン又はプロピレンからのコポリマーが考慮に入れられる。この種のエチレン−α−オレフィン−コポリマーの分子量は、10,000〜500,000g/モル、有利には15,000〜400,000g/モル(数平均分子量)の範囲内にある。純粋なポリオレフィン、例えばポリエチレン又はポリプロピレンも用いることができる。
適したポリウレタンについては、EP−B−1984438、DE−A−102006045869及びEP−A−2223904を参照することができる。
更なる適した熱可塑性樹脂は、JP−A−2009−155436の段落[0028]中に列挙されている。
成分B
成分Bとして、(伝導性)カーボンブラック、グラファイト又はそれらの混合物が用いられる。適したカーボンブラック及びグラファイトは当業者に公知である。
カーボンブラックは、殊に伝導性カーボンブラックである。伝導性カーボンブラックとして、任意の慣用のカーボンブラック形を用いてよく、適しているのは、例えばAkzo社の市販製品Ketjenblack 300である。
伝導性改質のために伝導性カーボンブラックを用いてもよい。非晶質炭素に埋め込まれているグラファイト様層によって、カーボンブラックは電子を伝導する(F.Camona,Ann.Chim.Fr.13,395(1988))。カーボンブラック粒子から成る凝集体内部及び該凝集体間で、該凝集体間の距離が十分に小さい場合に導電が生じる。可能な限り少ない供給量で伝導性を取得するために、好ましくは異方性構造を有するカーボンブラックが使用される(G.Wehner,Advances in Plastics Technology,APT 2005,Paper 11,Katowice 2005)。かかるカーボンブラックの場合、一次粒子が会合して異方性構造となることから、コンパウンド中で伝導性を達成するために必要なカーボンブラック粒子間距離は、比較的僅かな負荷ですら達成される(C.Van Bellingen,N.Probst,E.Grivei,Advances in Plastics Technology,APT 2005,Paper 13,Katowice 2005)。
適したカーボンブラックタイプは、例えば、少なくとも60ml/100g、有利には90ml/100gを上回る吸油量(ASTM D2414−01に従って測定)を有する。適した製品のBET表面積は、50m2/gを上回り、有利には60m2/gを上回る(ASTM D3037−89に従って測定)。カーボンブラック表面上には種々の官能基が存在してよい。伝導性カーボンブラックの製造は、種々の方法に従って行うことができる(G.Wehner,Advances in Plastics Technology,APT 2005,Paper 11,Katowice 2005)。
さらに、グラファイトを伝導性添加剤として使用することもできる。グラファイトとは、例えばA.F.Hollemann,E.Wieberg,N.Wieberg,"Lehrbuch der anorganischen Chemie",91.−100.Auflage.,pp.701〜702に記載されているように、炭素の一変態と解される。グラファイトは、重なり合って配置されている平面状の炭素層から成る。グラファイトは磨砕によって微粉砕され得る。粒径は、0.01μm〜1mmの範囲内、有利には1〜250μmの範囲内にある。
カーボンブラック及びグラファイトは、例えばDonnet,J.B.et al.,Carbon Black Science and Technology,Second Edition,Marcel Dekker,Inc.,New York 1993に記載されている。高配向カーボンブラックを基礎とする伝導性カーボンブラックも用いることができる。これは、例えばDE−A−10243592、殊に段落[0028]〜段落[0030]に、EP−A−2049597、殊に第17頁、第1行目〜第23行目に、DE−A−10259498、殊に段落[0136]〜段落[0140]に、並びにEP−A−1999201、殊に第3頁、第10行目〜第17行目に記載されている。
本発明による熱可塑性成形材料は、そのうえ、更なるフィラーといった添加物質、例えばガラス繊維、安定化剤、酸化抑制剤、紫外線による熱分解及び分解に対する試剤、滑剤及び離型剤、着色剤、例えば染料及び顔料、核形成剤、可塑剤等を含有してよい。典型的には、これらの更なる添加物質は、0〜50質量%、好ましくは0〜35質量%の量で存在する。可能な添加物質のより詳しい説明については、WO2008/074687、第31頁〜第37頁を参照することができる。
本発明による熱可塑性成形材料の製造は、押出法によって、好ましくは170〜350℃、特に有利には200〜300℃の範囲内の温度で行われる。
例えば、DE−A−102007029008に記載された方法を用いることができる。そのうえ、製造については、WO2009/000408を参照することができる。
製造は、好ましくは共回転二軸スクリュー押出機中で行われ、該押出機中で成分B及びCが成分A中に導入される。
成分Bは、粉末として又はマスターバッチの形で熱可塑性成形材料中に導入されることができる。成分Cのイオン性液体の供給は、成分Bの伝導性フィラーの供給とは無関係に、例えば押出機の"ホットフィード"方式で行われることができる。代替的に、成分Cを含有するマスターバッチを用いてもよい。
熱可塑性成形材料の更なる加工は、公知の方法に従って、例えば射出成形又は圧縮成形によって行うことができる。
本発明による方法は、成分Bの炭素フィラーが充填された熱可塑性成形材料を、少ないエネルギー消費量で良好な分散度にて製造することを可能にする。
本発明による製造によって、熱可塑性成形材料若しくは該材料から製造された成形体は帯電防止性又は伝導性になる。"帯電防止性"とは、109〜196 Ω cmの体積抵抗値と解される。"伝導性"とは、106 Ω cm未満の体積抵抗値と解される。
この理論に縛られずに、成分Bの濃度がパーコレーション濃度付近にある場合に殊に、伝導性熱可塑性成形材料を得ることができる。この濃度にて、好ましくはカーボンブラック粒子(又はグラファイト)から成る網状構造がポリマーマトリックス内部に形成される。これは、個々のカーボンブラック粒子又はグラファイト粒子がポリマーマトリックス内で互いに接触し、そうして該粒子が材料を貫く連続パスを形成することを意味する。ここで、イオン性液体の添加に基づき伝導性を再度顕著に高めることができる。
本発明による熱可塑性成形材料は、殊に伝導性成形体の製造のために用いられる。
本発明は、前述の熱可塑性成形材料から成る成形体にも関する。
本発明を、後続の例によって、より詳細に説明する。
例:
熱可塑性成形材料の製造のために、以下の装入原料を使用した:
熱可塑性マトリックス:
A1:150ml/gの粘度数(VN)を有するポリアミド−6
A2:0.75g/10分のMFRを有するポリエチレン(LDPE)
伝導性フィラー:
B:Evonikの伝導性カーボンブラックPrintex XE2B
イオン性液体:
用いたイオン性液体は:
C1:1−エチル−3−メチル−イミダゾリウムトリフリミド(CAS番号174899−82−2)
C2:1−エチル−3−メチル−イミダゾリウムエチルスルフェート(CAS番号342573−75−5)
C3:1−エチル−3−メチル−イミダゾリウムテトラフルオロボレート(CAS番号143314−16−3)
C4:1−エチル−3−メチル−イミダゾリウムトリフレート(CAS番号145022−44−2)
であった。
特性決定法:
ポリアミドの粘度数VNを、ISO 307に従って25℃にて96質量%硫酸中0.5質量%の溶液として測定した。
ポリエチレンのMFRを、ISO 1133に従って、190℃にて2.16kgの荷重下で測定した。
電気伝導度を、4点測定装置を使用して体積抵抗値として測定した。各シートに関して、硬化したシートから鋸引きした寸法77×12×4mm3の5つのサンプルを用いて測定を実施した。サンプルと電極間の良好な接触を達成するために、4つの銀電極を、伝導性銀ペースト(Hans Wohlbring GmbHのLeitsilber 200)を使用して直接サンプル上に塗布した。電源としてCurrent Source 225を、電圧測定装置としてProgrammable Electrometer 617を、そして電流測定装置としてMultimeter 1000(それぞれKeithley Instruments)を用いた。
成形材料の製造のために、成分A1とBをまず空練し、次いで成分Cで湿潤させ、そして混合物を配合のために押出機DSM 15に投入した。押出は、270℃の溶融温度、80rpmの回転速度及び5分の滞留時間で行った。次いでサンプルを30×30×1.27mm3の大きさを有するシートとして伝導度測定のために射出成形した。該射出成形されたシートの製造は、12mLのXplor成形機で、270℃の溶融得温度、80℃の成形温度、12〜16barの射出圧力及び15秒のサイクルタイムにて行った。成形材料の組成及び突き止めた体積抵抗値を下記表1にまとめている。
Figure 0006226748
参考例1は、例4との比較のために用いる。参考例2は、例5との比較のために用いる。参考例3は、例6との比較のために用いる。いずれのケースにおいても、イオン性液体の添加によって体積抵抗値が下がった。
参考例4は、純粋なポリアミドを表す。

Claims (9)

  1. 熱可塑性成形材料であって、該熱可塑性成形材料を基準として、
    a)成分Aとしての少なくとも1種のポリアミド若しくはコポリアミド又はこれらの混合物、
    b)成分Bとしての3〜20質量%のカーボンブラック、グラファイト又はそれらの混合物及び
    c)成分Cとしての0.1〜3質量%のイオン性液体
    からなる該熱可塑性成形材料。
  2. 前記熱可塑性成形材料中の成分Bが、前記熱可塑性成形材料を基準として3.5〜10質量%の量で含有されていることを特徴とする、請求項1記載の熱可塑性成形材料。
  3. 前記熱可塑性成形材料中の成分Cが、前記熱可塑性成形材料を基準として0.1〜1.5質量%の量で含有されていることを特徴とする、請求項1又は2記載の熱可塑性成形材料。
  4. 成分Aにおける前記ポリアミドが、下記のリスト(括弧内には出発モノマーを記載している):
    PA 26(エチレンジアミン、アジピン酸)
    PA 210(エチレンジアミン、セバシン酸)
    PA 46(テトラメチレンジアミン、アジピン酸)
    PA 66(ヘキサメチレンジアミン、アジピン酸)
    PA 69(ヘキサメチレンジアミン、アゼライン酸)
    PA 610(ヘキサメチレンジアミン、セバシン酸)
    PA 612(ヘキサメチレンジアミン、デカンジカルボン酸)
    PA 613(ヘキサメチレンジアミン、ウンデカンジカルボン酸)
    PA 1212(1,12−ドデカンジアミン、デカンジカルボン酸)
    PA 1313(1,13−ジアミノトリデカン、ウンデカンジカルボン酸)
    PA MXD6(m−キシリレンジアミン、アジピン酸)
    PA TMDT(トリメチルヘキサメチレンジアミン、テレフタル酸)
    PA 4(ピロリドン)
    PA 6(ε−カプロラクタム)
    PA 7(エタノラクタム)
    PA 8(カプリルラクタム)
    PA 9(9−アミノノナン酸)
    ポリ(p−フェニレンジアミンテレフタルアミド)(p−フェニレンジアミン、テレフタル酸)
    PA 11(11−アミノウンデカン酸)
    PA 12(ラウリンラクタム)
    から選択されていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の熱可塑性成形材料。
  5. 成分Cにおいて、前記イオン性液体のカチオンが、第四級アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、H−ピラゾリウムカチオン、ピリダジニウムイオン、ピリミジニウムイオン、ピラジニウムイオン、ピロリジニウムカチオン、グアニジニウムカチオン1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エニウムカチオン及び1,8−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−イニウムカチオン並びにこれらのカチオンを有するオリゴマー及びポリマーからなる群から選択されていることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項記載の熱可塑性成形材料。
  6. 前記イオン性液体において、アニオンが、ハライド、非置換であるか又は置換されたC1〜C4−カルボキシレート、ホスフェート、C1〜C4−アルキルホスフェート、ジ−C1〜C4−アルキルホスフェート、C1〜C4−アルキルスルフェート、C1〜C4−アルキルスルホネート、ハイドロジェンスルフェート、トリフリミド、テトラフルオロボレート、トリフレート又はそれらの混合物から選択されていることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項記載の熱可塑性成形材料。
  7. 前記成分B及びCを成分A中に共回転二軸スクリュー押出機で導入することを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項記載の熱可塑性成形材料の製造法。
  8. 前記押出機による押出を、170〜350℃の範囲内の温度で実施することを特徴とする、請求項記載の方法。
  9. 請求項1からまでのいずれか1項記載の熱可塑性成形材料から成る成形体。
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