JP6226234B2 - セメントクリンカの製造方法、セメントクリンカ及びセメント - Google Patents
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例えば、早期に強度を発現しうるいわゆる速硬性セメント用のセメントクリンカには、原料中にアルミナ(Al2O3)源を配合して焼成することが行われている。
本発明に係るセメントは、上述のクリンカを含む。
本実施形態のセメントクリンカの製造方法は、アルミニウム残灰が含まれ、且つ、MgAl2O4が0.9重量%以上2.7重量%以下、AlNが1.0重量%以上3.1重量%以下含まれている原料を焼成してセメントクリンカを製造する方法である。
アルミニウム残灰は、金属アルミニウムやアルミニウ合金を溶解する際、あるいは再溶解する際に発生する残灰であり、多くのアルミナ(Al2O3)を含むものである。
かかるアルミニウム残灰は、産業廃棄物として処理する必要があり、その処理にも費用がかかり、処理方法が問題になっている。
本実施形態の原料には、アルミナ源としてアルミニウム残灰を利用するため、原料コストを抑制することができる。
アルミニウム残灰にMgAl2O4及びAlNが前記範囲の量で含まれている場合には、原料中のMgAl2O4及びAlNの量を後述する範囲に調整しやすいため好ましい。
例えば、カルシウム源としての石灰石、ケイ素源としての粘土、フッ素源としての蛍石、硫黄源としての無水石膏などが挙げられる。
アルミニウム残灰は、例えば、7.60質量%以上7.80質量%以下、好ましくは、7.65質量%以上7.75質量%以下程度である。
カルシウム源として石灰石を用いる場合には、例えば、73.4質量%以上73.7質量%以下、好ましくは、73.5質量%以上73.6質量%以下程度である。
ケイ素源として粘土を用いる場合には、例えば、14.7質量%以上15.2質量%以下、好ましくは、14.9質量%以上15.1質量%以下程度である。
フッ素源として蛍石を用いる場合には、例えば、2.59質量%以上2.62質量%以下、好ましくは、2.60質量%以上2.61質量%以下程度である。
硫黄源として無水石膏を用いる場合には、例えば、1.14質量%以上1.18質量%以下、好ましくは、1.15質量%以上1.17質量%以下程度である。
原料中のMgAl2O4及びAlNの量が前記範囲である場合には、セメントとした場合に、短時間で硬化が開始し、十分な強度が得られるセメントクリンカを製造することができるため好ましい。
原料中のAl2O3の量が前記範囲である場合には、セメントとした場合に、短時間で目的とする鉱物の生成が促進されるセメントクリンカを製造することができるため好ましい。
前記粉砕は、例えば、竪型粉砕装置、ボールミル等の公知のセメント原料の粉砕手段、を用いて行なうことができる。
焼成は、例えば、前記原料が1325℃〜1375℃である時間が1.0時間〜2.0時間であるように焼成することが好ましい。
具体的には、予備焼成として800℃〜1100℃で0.5時間〜1.0時間加熱された原料の場合には、1325℃〜1375℃で0.5時間〜1.0時間焼成することが好ましい。
かかるセメントクリンカはクリンカクーラ等で冷却され、さらに、仕上げミル、ボールミル等の公知の粉砕手段で所望の細かさになるまで粉砕することで、粉状のセメントクリンカが得られる。
本実施形態のセメントクリンカは、上述のように、アルミニウム残灰が含まれ、且つ、MgAl2O4が0.9重量%以上2.7重量%以下、AlNが1.0重量%以上3.1重量%以下含まれている原料が焼成されてなるセメントクリンカである。
また、本実施形態のセメントクリンカ中のMgAl2O4の含有量は0.1重量%以下、AlNの含有量は0.1重量%以下程度であることが好ましい。
すなわち、上述した製造方法で製造されたクリンカを含むセメントである。
石膏は、セメントの品種によってその添加量が決定されるものであり、すなわちセメントとして調整された場合のSO3量からその添加量が決定される。前記SO3量は、例えば、JIS R 5210にセメントの種類毎に所定の量が決められている。
速硬性セメントは、特殊なアルミン酸カルシウムと無水セッコウによるエトリンガイドの生成により早期強度発現性を付与したセメントである。
本実施形態のセメントは、例えば、セメント中に、C12A7であらわされる化合物(12CaO・7Al2O3)及びC3Sであらわされる化合物(3CaO・SiO2)の合計量(重量%)が70重量%以上であるようなセメントであることが好ましい。
かかる化合物の量である場合には、より短時間で所望の強度が得られる。
また、JIS R 5201に準拠して測定される硬化時間が20分間〜60分間であるような速硬性セメントである。
尚、アルミドロスA〜Dは、異なるアルミニウム工場から排出されたドロスの中から各成分の含有量が異なる4種類を選択した。
石灰石:栃木県唐沢産
粘土:栃木県唐沢産
蛍石:中国産
無水石膏:中国産
アルミドロスA
アルミドロスB
アルミドロスC
アルミドロスD
バン土頁岩:中国産
得られた各クリンカの化学組成及び鉱物組成を表5、表6に示す。
尚、表6の鉱物組成は、前記測定した化合物量を基に、以下の式によって算出した。
Q:C12A7・CaF2=(1.9737×Al2O3)−(1.2602×Fe2O3)
C3S:3CaO・SiO2=[4.0714×{CaO−(f−CaO)}]−(7.6001×SiO2)−(3.5189×Al2O3)−(3.4273×Fe2O3)−(2.852×SO3)−(2.8654×TiO2)+(3.6839×Na2O)+(2.933×K2O)
C2S:2CaO・SiO2=(2.87×SiO2)−(0.754×C3S)
C4AF:4CaO・Al2O3・Fe2O3=3.0432×Fe2O3
R2O:Na2O+K2O×0.658
セメントは、前記各クリンカに石膏(中国産)をAl2O3とSO3のモル比が1:1.2となるように混合して製造した。
かかるセメントに、減水剤としてマイティ150(花王社製)1.0〜3.0質量%を、凝結遅延剤としてジェットセッター(住友大阪セメント社製)0.05〜0.2質量%を、さらに、砂(6号珪砂)をセメントに1対して、1.2の割合となるように配合し、水を水セメント比38.0%となるように注水しながら混合することでモルタルを得た。
かかるモルタルを用いて、JIS R 5210「セメントの物理試験方法」に準拠してモルタル圧縮強度を測定した。
直径1インチ高さ2インチの円錐形状の測定用コーンをビガー針装置に取付け、降下する際の全質量が350gとなるように設定する。
一方、各モルタルは、モルタルに注水してから5分毎に試料として採取し、該試料モルタルを、JIS R 5201に記載されたモルタル用凝結試験型枠にフロー試験の要領でモルタルを詰めて表面をならし、前記測定用コーンの尖端が試料モルタルの表面に接する位置にセットした後、該測定用コーンをモルタルに落下させた時の浸入深さを測定し、該浸入深さが1.5mmとなった時の注水時からの時間をハンドリング時間(分)とした。尚、前記圧縮強度およびハンドリング時間は、室温5℃で試験を実施した場合の結果を表7に、室温20℃で試験を実施した場合の結果を表8にそれぞれ示す。
Claims (4)
- アルミニウム残灰が含まれ、且つ、MgAl2O4が0.9重量%以上2.7重量%以下、AlNが1.0重量%以上3.1重量%以下含まれている原料を、1325℃〜1375℃である時間が1.0時間〜2.0時間であるように焼成してセメントクリンカを製造するセメントクリンカの製造方法。
- アルミニウム残灰が含まれ、且つ、MgAl2O4が0.9重量%以上2.7重量%以下、AlNが1.0重量%以上3.1重量%以下含まれている原料が焼成されたセメントクリンカであり、
鉱物組成として、C 3 S(3CaO・SiO 2 )が60.0重量%〜64.0重量%、C 2 S(2CaO・SiO 2 )が0.1重量%〜1.0重量%、C 4 AF(4CaO・Al 2 O 3 ・Fe 2 O 3 )が4.2重量%〜4.5重量%である、セメントクリンカ。 - 前記鉱物組成として、C 2 S(2CaO・SiO 2 )が0.3重量%〜0.6重量%である、請求項2に記載のセメントクリンカ。
- 請求項2又は3に記載のクリンカを含むセメント。
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