JP6221537B2 - 光硬化性樹脂組成物およびそれを用いたパターン形成方法 - Google Patents
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Description
このようなインプリント方法において、モールドと硬化樹脂との離型性能は、良好なパターンを形成するために重要であり、離型性向上のために界面活性剤を光硬化性樹脂組成物に添加することが知られている(特許文献1、2)。
しかしながら、光硬化性樹脂組成物に添加した界面活性剤が離型性能を十分に発揮するか否かは、光硬化性樹脂組成物を構成する成分組成、界面活性剤の種類等に依存する。このため、従来の光硬化性樹脂組成物では、界面活性剤を添加したにもかかわらず離型性能が発現せず、上記のような硬化樹脂と基板との剥離、パターンの変形が発生するという問題があった。
本発明は、上述のような実情に鑑みてなされたものであり、良好な離型性能を発現し、インプリント方法にて高精度のパターン形成が可能な光硬化性樹脂組成物、このような光硬化性樹脂組成物を用いたパターン形成方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明のインクジェット用光硬化性樹脂組成物は、1種以上のアクリルモノマーと、重合開始剤と、フッ素系界面活性剤と、密着剤と、を含有し、前記密着剤の含有量が前記光硬化性樹脂組成物の総固形分において0.1〜5.0重量%であり、大気中での表面張力が28mN/m以下であるような構成とした。
[光硬化性樹脂組成物]
本発明の光硬化性樹脂組成物は、1種以上のアクリルモノマーと、重合開始剤と、フッ素系界面活性剤と、を含有するものであり、大気中での表面張力が28mN/m以下である。
上記のアクリルモノマーのなかで、インプリントにおいて光硬化性樹脂組成物に要求されるインクジェット適性、離型性、パターン形成性、エッチング耐性の観点から適宜配合を検討することが好ましい。
このようなアクリルモノマーの含有量は、光硬化性樹脂組成物の総固形分において60重量%以上、好ましくは75重量%以上で設定することができる。アクリルモノマー含有量の上限は限定されず、他の組成物質との和が100重量%となるように配合されればよい。
また、本発明の光硬化性樹脂組成物を構成するフッ素系界面活性剤としては、AGCセイミケミカル(株)製サーフロンシリーズ S−242、S−243、S−386、S−420、S−611、S−650、S−651、S−656、 (株)ネオス製フタージェントシリーズ 215、212M、215M、250、209F、222F、245F、208G、FTX−218G、240G、212P、220P、228P、FTX−218、710FS、710FM、710FL、730FL、730LM、 DIC(株)製メガファックシリーズ F−410、F−430、F−444、F−477、F−552、F−553、F−554、F−555、F−556、F−557、F−558、F−559、F−561、F−562、RS−75、RS−72−K、RS−76−E、RS−76−NS、RS−77、TF−1760、TF−2066、TF−2148、TF−2149、 住友スリーエム(株)製 FC−4430、FC−4432等を挙げることができる。これらのフッ素系界面活性剤のなかで、特に、AGCセイミケミカル(株)製サーフロンシリーズ S−656、S−386、S−650、 (株)ネオス製フタージェントシリーズ FTX−218、208G、212P、 住友スリーエム(株)製 FC−4432が好適である。
上述のように、本発明の光硬化性樹脂組成物は大気中での表面張力が28mN/m以下、好ましくは25mN/m以下である。大気中での表面張力が28mN/mを超えると、インプリントにおけるモールドと硬化樹脂の表面張力において、フッ素系界面活性剤を添加していない光硬化性樹脂組成物を使用した場合と比べて有意差が見られず、良好な離型力が発現されない。そのため、離型力が不十分であることに起因し、離型時に基板からの硬化樹脂の剥離が生じたり、基板上に形成されたパターンの変形が生じることがあり好ましくない。
ここで、表面張力の測定は、協和界面科学(株)製 DM−700(使用するマイクロシリンジ:協和界面科学(株)製 接触角計用テフロン(登録商標)コート針22G)を用いて、25℃、大気中にて行う。
次に、本発明のパターン形成方法について図面を参照しながら説明する。
尚、図面は模式的または概念的なものであり、各部材の寸法、部材間の大きさの比等は、必ずしも現実のものと同一とは限らない。
図1は、本発明のパターン形成方法の一実施形態を説明するための工程図である。
本発明のパターン形成方法では、まず、インプリント用の転写基板11上の所望の領域に、インクジェットヘッド(図示せず)から光硬化性樹脂組成物の液滴21を吐出して供給する(図1(A))。
本発明のパターン形成方法に使用する転写基板11は適宜選択することができ、例えば、石英やソーダライムガラス、ホウ珪酸ガラス等のガラス、シリコンやガリウム砒素、窒化ガリウム等の半導体、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂基板、金属基板、あるいは、これらの材料の任意の組み合わせからなる複合材料基板であってよい。また、例えば、半導体やディスプレイ等に用いられる微細配線や、フォトニック結晶構造、光導波路、ホログラフィのような光学的構造等の所望のパターン構造物が形成されたものであってもよい。
転写基板11上に供給する光硬化性樹脂組成物の液滴21の個数、隣接する液滴の距離は、個々の液滴の滴下量、必要とされる光硬化性樹脂組成物の総量、転写基板に対する光硬化性樹脂組成物の濡れ性、後工程である接触工程におけるモールド12と転写基板11との間隙等から適宜設定することができる。
次に、モールド12と転写基板11を近接させて、このモールド12と転写基板11との間に光硬化性樹脂組成物の液滴21を展開して被成形樹脂層22を形成する(図1(B))。
図示例では、モールド12は凸構造部位12Aを有するメサ構造であり、この凸構造部位12Aに凹凸構造を有している。
次いで、モールド12側から光照射を行い、被成形樹脂層22を硬化させて、モールド12の凹凸構造が転写された硬化樹脂25とする(図1(C))。この硬化工程では、転写基板11が光透過性の材料からなる場合、転写基板11側から光照射を行ってもよく、また、転写基板11とモールド12の両側から光照射を行ってもよい。
次に、離型工程にて、硬化樹脂25とモールド12を引き離して、硬化樹脂25であるパターン構造体31を転写基板11上に位置させた状態とする(図1(D))。
また、上記のように形成したパターン構造体31を介して転写基板11をエッチングしてパターン構造体を形成することができる。さらに、本発明のパターン形成方法では、このようにエッチングでパターン構造体が形成された転写基板をレプリカモールドとして使用し、上記のように、凹凸構造を備えたパターン形成を行うこともできる。
また、本発明のパターン形成方法では、転写基板としてウエハを使用し、インプリントリソグラフィーにより半導体素子を製造することができる。
上述のパターン形成方法の実施形態は例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、光硬化性樹脂組成物をスピンコート法により転写基板11上に供給するようにしてもよい。
[実施例1]
下記の8種の界面活性剤1〜界面活性剤8を準備した。
(使用した界面活性剤)
界面活性剤1 : AGCセイミケミカル(株)製 S−656
界面活性剤2 : (株)ネオス製 212P
界面活性剤3 : 住友スリーエム(株)製 FC−4432
界面活性剤4 : AGCセイミケミカル(株)製 S−386
界面活性剤5 : 住友スリーエム(株)製 FC−4430
界面活性剤6 : (株)ネオス製 212M
界面活性剤7 : (株)ネオス製 251
界面活性剤8: (株)ネオス製 215M
(光硬化性樹脂組成物の組成)
・ネオペンチルグリコールジアクリレート … 21.0重量%
・イソボルニルアクリレート … 52.0重量%
・ジシクロペンテニルアクリレート … 21.0重量%
・重合開始剤 … 4.75重量%
・界面活性剤1〜8のいずれか … 1.25重量%
尚、上記の重合開始剤は、下記の構造式を有するものとした。この重合開始剤は、特開2013−42096号公報の<合成例3>と同様にして合成した。
(表面張力の測定)
協和界面科学(株)製 DM−700にて、懸滴法を用い表面張力(mN/m)を測定した。測定に使用したマイクロシリンジは、協和界面科学(株)製 接触角計用テフロン(登録商標)コート針22Gであった。また、測定に使用した液滴量は3μLであり、測定は25℃、大気中で実施した。
(3−アクリロキシプロピル)トリメトキシシラン(信越化学工業(株)製 KBM−5103)を塗布して密着層を形成したシリコンウエハ基板上に、マイクロピペットで光硬化性樹脂組成物を0.3μL塗布し、この樹脂組成物の液滴にモールドを10mN/mm2で押し付け、モールド側から高圧水銀ランプを用いて70mJ/cm2の条件で光照射を行って光硬化性樹脂組成物を硬化させ、その後、モールドを100μm/秒の速度で引き上げ、硬化膜から引き離す際の最大抵抗力を測定し、離型力(mN)とした。
光硬化性樹脂組成物として、実施例1において調製した光硬化性樹脂組成物4を準備した。
また、転写基板として、(3−アクリロキシプロピル)トリメトキシシラン(信越化学工業(株)製 KBM−5103)を塗布して密着層を形成したシリコンウエハ基板上に、マイクロピペットで光硬化性樹脂組成物4の液滴を0.1μL滴下した。
上記のように光硬化性樹脂組成物4の液滴を供給した転写基板とモールドを近接させ、モールドと転写基板との間に液滴を展開して、被成形樹脂層を形成した。使用したモールドは、10mm×10mm、高さ30μmの凸構造部位であるメサ上の800μm×800μmの領域全面に、ライン/スペース(26nm/26nm)の凹凸構造を備えたものであった。
次いで、インプリント装置の照明光学系から平行光(ピーク波長が365nmの紫外線)をモールド側に20mJ/cm2の条件で60秒間照射した。これにより、被成形樹脂層を硬化させて、モールドのライン/スペース形状の凹凸構造が転写された硬化樹脂とした。
次に、硬化樹脂とモールドを引き離して、硬化樹脂であるパターン構造体を転写基板上に位置させた状態とした。
このように形成したパターン構造体を、15μm×10μmの領域において走査型電子顕微鏡を用いて観察したところ、図2に示すように、ライン/スペースに欠陥が存在せず、良好なインプリントが可能であった。
光硬化性樹脂組成物として、実施例1の光硬化性樹脂組成物4の界面活性剤の含有量を5重量%とし、上記の3種のアクリルモノマー(ネオペンチルグリコールジアクリレート、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート)と重合開始剤の合計の含有量を、上記の組成の割合(21.0:52.0:21.0:4.75)を維持して95重量%となるようにして光硬化性樹脂組成物4′を調製した。この光硬化性樹脂組成物4′の大気中での表面張力を実施例1と同様に測定した結果、24.4mN/mであった。
この光硬化性樹脂組成物4′を用いて、実施例2と同様に、パターン構造体を転写基板上に形成した。
このように形成したパターン構造体について、実施例2と同様に、欠陥の有無を検査したところ、図3に示すように、ライン部において一定の頻度で欠陥が生じているが、用途によってはインプリント膜として実用可能レベルであることがわかった。
光硬化性樹脂組成物として、実施例1において調製した光硬化性樹脂組成物7を準備した。
この光硬化性樹脂組成物7を用いて、実施例2と同様に、パターン構造体を転写基板上に形成した。
このように形成したパターン構造体について、実施例2と同様に、欠陥の有無を検査したところ、図4に示すように、ライン部は実施例3よりも高い頻度で欠陥が生じており、限られた用途でのみインプリント膜として使用可能であると考えられる。
光硬化性樹脂組成物として、実施例1の光硬化性樹脂組成物4の界面活性剤の含有量を10重量%とし、上記の3種のアクリルモノマー(ネオペンチルグリコールジアクリレート、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート)と重合開始剤の合計の含有量を、上記の組成の割合(21.0:52.0:21.0:4.75)を維持して90重量%となるようにして光硬化性樹脂組成物4″を調製した。この光硬化性樹脂組成物4″の大気中での表面張力を実施例1と同様に測定した結果、24.1mN/mであった。
この光硬化性樹脂組成物4″を用いて、実施例2と同様に、パターン構造体を転写基板上に形成した。
また、凹凸構造としてライン/スペース(50nm/50nm)を備える他は実施例2で使用したモールドと同様のモールドを使用し、光硬化性樹脂組成物4″を用いて、実施例2と同様に、パターン構造体を転写基板上に形成した。
このように形成したパターン構造体について、実施例2と同様に、欠陥の有無を検査したところ、図6に示されるように、ライン/スペースに欠陥が存在せず、良好なインプリントが可能であった。
このような実施例4の結果と、上記の実施例2、実施例3の結果から、形成するパターン構造体のパターンが50nm程度の比較的大きいものである場合、界面活性剤の含有量の上限は10重量%とすることができ、形成するパターン構造体のパターンが更に微細なものである場合、界面活性剤の含有量の上限は5重量%が好ましいことが確認された。
12…モールド
21…光硬化性樹脂組成物の液滴
22…被成形樹脂層
25…硬化樹脂
31…パターン構造体
Claims (4)
- インクジェット用光硬化性樹脂組成物であって、
1種以上のアクリルモノマーと、重合開始剤と、フッ素系界面活性剤と、密着剤と、を含有し、前記密着剤の含有量が前記光硬化性樹脂組成物の総固形分において0.1〜5.0重量%であり、大気中での表面張力が28mN/m以下であることを特徴とする光硬化性樹脂組成物。 - 前記フッ素系界面活性剤の含有量は、前記光硬化性樹脂組成物の総固形分において10重量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の光硬化性樹脂組成物。
- 請求項1または請求項2に記載の光硬化性樹脂組成物の液滴を転写基板にインクジェット法により供給する樹脂供給工程と、
凹凸構造を有するモールドと前記転写基板とを近接させて、前記モールドと前記転写基板との間に前記液滴を展開して被成形樹脂層を形成する接触工程と、
前記被成形樹脂層を硬化させて前記凹凸構造が転写された硬化樹脂とする硬化工程と、
前記硬化樹脂と前記モールドとを引き離して、前記硬化樹脂であるパターン構造体を前記転写基板上に位置させた状態とする離型工程と、を有することを特徴とするパターン形成方法。 - 請求項1または請求項2に記載の光硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化樹脂からなることを特徴とするパターン構造体。
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