JP6220332B2 - ホップ品種の識別方法 - Google Patents

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Description

本発明は、品種間で相違する少なくとも一つの一塩基多型で構成される識別マーカーを利用したホップの品種を識別するための方法、並びに該識別マーカーの作製方法に関する。
ホップ(学名:Humulus lupulus)は、麻(アサ)科に属する、雌雄異株の蔓性(ツル性)植物である。雌株は「毬花」と呼ばれる松かさに似た花のようなものをつけ、この毬花がビールの原料になる。未受精の毬花にはルプリンと呼ばれる黄色い粒があり、ビール独特の香りや爽やかな苦味の由来となっている。ホップは、ほろ苦さと爽快な香りを付ける、泡持ちを良くする、ビールのテリ(色つや)を良くする、雑菌の繁殖をおさえるといった役割を有し、ビール醸造には欠かせない原料のひとつである。
ホップはドイツ、アメリカをはじめ、チェコ、イギリス、フランス、中国、スロベニア、南アフリカ、オーストラリア、ニュージーランド、日本などで栽培されており、その栽培品種も多岐にわたっている。ホップの品種にはアロマホップとビターホップがある。アロマホップは、華やかな香りと穏やかな苦味を与えるホップであり、ビターホップは、しまりのある苦味を与えるホップである。このようにホップは、品種ごとに香りや味が異なっているため、高品質のビールを醸造するには、目的にあったホップ品種の選別が重要となる。そしてその品質を安定に維持するためには、発注した原料ホップが正しく納入されているかを正確にチェックすることが重要である。これまでは、サプライヤーによって提供される品質保証書やルプリンに含まれるα酸などの成分含量の違い、毬花では外観上の差異に基づいて確認されてきた。しかしながら日本では一般的に、ホップの毬花を乾燥させて粉砕、圧縮整形してペレット状にしたものを購入しビール醸造に使用している。そのため毬花の外観上の特徴から品種を識別することは非常に困難である。また毬花から得られる苦味成分や精油成分などの化学成分も、環境要因の影響を受けやすいことや、品種によっては類似の値を示すものがあることなどから、識別の指標とすることには限界があった。
一方、近年いくつかの遺伝子工学を応用した品種識別方法が開発されてきた。これらの方法は品種間での塩基配列の違い、すなわち多型を検出することで品種識別を行っている。ホップにおいては、国際公開公報(WO1997/005281)で、RAPD法により品種間で異なるDNA領域を見つけ、該領域を増幅しうるプライマーを設計し、該プライマーを用いたPCRにより多型領域を増幅し、増幅断片の有無又はそのサイズの差を解析することによりホップ品種を識別する方法が開示され、また特開平11−103895公報では、高濃度の塩化リチウムを使用することによりPCRに適したゲノムDNAをホップから効率よく抽出・精製し、このゲノムDNAに対して、ランダムプライマー、STS化されたプライマー等のプライマーを用いてPCRを行い、ホップ品種を識別しうるDNAを増幅し、増幅DNAの有無によりホップ品種を判別する方法が、また特開2006−34142公報では、品種間で多型を含むマイクロサテライト領域を、該領域を増幅しうるように設計されたプライマーを用いてPCRを行うことにより、マイクロサテライトDNAを増幅し、増幅DNA断片の長さの差異を解析することにより品種を識別する方法が開示されている。
ホップゲノム上の多型を利用することでホップ品種を識別する上記方法は、ホップの栽培環境や収穫時期あるいは保存方法に影響されることなく、ホップの品種を正確に識別できる有効な手段であるが、いずれの方法もPCRによる増幅の有無又はサイズの差から識別を行うため、酵素反応や電気泳動、ゲルの染色などの条件のばらつきの影響を受けやすく、再現性に問題がある。すなわちPCRや染色の不具合によってバンドが現われないのか、あるいは元来増幅しないものなのかを区別することが困難であるため、結果を見誤る危険性がある。また上記方法は、キャピラリー電気泳動およびレーザーによるDNA断片検出やゲル電気泳動試料の染色による検出などであるため、被検体であるホップの品種を特定することや、異品種の混入の有無を推測することまでは可能であっても、混入品種を推定又は特定することや、混入品種の混入割合を分析することは困難である。また被検体の劣化や損傷などによりDNAが断片化されている場合には、解析の精度が低下し、結果を見誤る危険性がある。
極めて有用で利用しやすい多型マーカーとして、一塩基多型(以下、「SNP」ともいう。)が注目されている。SNP(single nucleotide polymorphism)は、1塩基の違いに基づく、塩基配列の多型である。SNPは反応条件のばらつきに影響されないため、擬似結果がなく判定が容易であり、またSNPデータは(0,1)のデジタル信号に変換して情報処理することができるため、サンプル処理とデータ解析の自動化が容易であり、膨大なSNPデータを用いてさまざまな解析が可能である。またさまざまな長さの非特異的なテイルを持つプライマーを設計するなどの方法で、一度に多くのSNP解析が可能である。
しかしながらホップは2倍体で20本(2本鎖が10対)の染色体を持ち、ゲノムサイズが約27〜30億塩基対(2.7〜3GB)と膨大であり、構造遺伝子との関連性も明確にされていない。従ってゲノム解析の結果からホップ品種間のSNPを、多品種識別が可能な程度十分な数で、見出すことは実施されておらず、いまだSNPを多型マーカーとして利用したホップ品種の識別方法は知られていない。
国際公開公報第WO1997/005281号パンフレット 特開平11−103895号公報 特開2006−34142号公報
本発明は、品種間における一塩基多型からなる識別マーカーを利用したホップの品種を識別するための方法、並びに該識別マーカーの作製方法を提供する。
すなわち、発注した原料ホップが注文通りの品種であるかどうか、また異品種が混入していないかどうかを確認する際、酵素反応や電気泳動、ゲルの染色などの条件のばらつきに影響されることなく正確に品種を特定し、異品種の混入の有無を検出できることに加え、異品種が混入している場合には、混入品種を推定又は特定し、その混入割合を分析できるようなホップ品種の識別方法の開発が強く望まれていた。
本発明者らは、上記課題を解決するためにDNA解析に基づくホップ品種の識別方法について鋭意研究を行った。DNA解析については、これまでにも、SSR法、RAPD法、RFLP法、AFLP法など、PCR増幅産物やその制限酵素断片の大きさの違いや有無に基づく方法が報告されている。しかし、これらの方法の多くは操作が煩雑で、また酵素反応や電気泳動、ゲルの染色などの条件のばらつきの影響を受けやすく、再現性が懸念され、更に他品種が混入している場合にはその検出が困難になる場合が多い。われわれは、近年発達している超高速DNA塩基配列解析技術を用いて大量のデータを取得し、より広範囲にかつ効率的にSNPを探索し、これらを識別マーカーとして、正確かつ簡便にホップの品種識別を行う方法を開発した。
すなわち、一態様において、本発明は以下のとおりであってよい。
(1)ホップ品種の識別方法であって、以下の工程:
(i)被検体のホップ由来のDNAについて、品種識別領域を含むDNA断片を増幅する工程であって、当該品種識別領域はホップ品種間で相違する少なくとも一つの一塩基多型(SNP)で構成される識別マーカーを含む、前記工程;
(ii)上記工程(i)で増幅したDNA断片について、一塩基多型の遺伝子型を同定する工程;
(iii)上記工程(ii)で同定された被検体のホップのDNAについての品種識別領域中の一塩基多型の遺伝子型と、既知のホップ品種のDNAについての対応する領域中の一塩基多型の遺伝子型を比較し、当該領域の中の一塩基多型の遺伝子型について被検体のホップと既知のホップ品種の間での一致又は不一致を解析する工程;
(iv)上記工程(iii)の解析結果に基づいて被検体のホップの品種を特定する工程;
を含む、前記方法。
(2)工程(ii)が、工程(i)で増幅したDNA断片について品種識別領域の塩基配列を同定することにより行われ、そして
工程(iii)が、工程(ii)で同定された被検体のホップのDNAについての品種識別領域の塩基配列と、既知のホップ品種のDNAについての対応する領域の塩基配列を比較し、当該領域の中の識別マーカーについて被検体のホップと既知のホップ品種の間での一致又は不一致を解析することにより行われる、(1)に記載の方法。
(3)工程(ii)が、工程(i)で増幅したDNA断片について、ホップ品種間で相違する一塩基多型を検出するプローブ及び/又はプライマーと接触させることにより、一塩基多型の遺伝子型を同定する工程である、(1)に記載の方法。
(4)品種識別領域が、以下の工程:
(a)2以上の異なる品種のホップを用いて、トランスクリプトーム解析を行う工程;
(b)上記工程(a)の結果得られたDNA断片の塩基配列を元に、品種ごとにアセンブルする工程;
(c)上記工程(b)の結果得られたコンティグ及び/又はシングレットを品種間で比較して、品種間で相違する一塩基多型(SNP)の探索を行う工程;
(d)上記工程(c)のSNP探索の結果、SNPが含まれる領域を選択し、該領域を増幅するためのプライマーを設計する工程;
(e)上記工程(d)で設計したプライマーを用いて、ホップから抽出したDNAを鋳型として上記工程(d)で選択した領域が増幅しうることを確認し、その塩基配列を決定することにより、識別領域とそれを増幅しうるプライマーを決定する工程;
(f)上記工程(e)で決定したプライマーを用いて、識別対象品種のホップから抽出したDNAを鋳型として識別領域を増幅し、識別領域の塩基配列を決定する工程;及び
(g)上記工程(f)で決定した識別領域の塩基配列を品種間で比較して、識別対象品種を識別するために必要なSNPの組み合わせで構成される識別マーカーを決定する工程;
を含む方法により作製された識別マーカーを含む領域である、(1)ないし(3)のいずれか1項に記載の方法。
(5)品種識別領域が、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、及び配列番号15からなる群より選択される1以上の塩基配列の一部又は全部であって、図1、図2、図3、図4及び図6で特定されている一塩基多型又は挿入欠失部分の少なくとも一つを含む領域である、(1)ないし(3)のいずれか1項に記載の方法。
(6)品種識別領域が、配列番号9で表される塩基配列を含む領域、配列番号10で表される塩基配列を含む領域、配列番号11で表される塩基配列を含む領域、配列番号12で表される塩基配列を含む領域、配列番号13で表される塩基配列を含む領域、配列番号14で表される塩基配列を含む領域、及び配列番号15で表される塩基配列を含む領域からなる群より選択される1以上の領域である、(1)ないし(3)のいずれか1項に記載の方法。
(7)品種識別領域が、以下:
配列番号9で表される塩基配列を含む領域、配列番号10で表される塩基配列を含む領域、及び配列番号11で表される塩基配列を含む領域;の3種の領域に加えて、以下:
配列番号12及び/又は配列番号14で表される塩基配列の一部又は全部であって、図4で特定されている一塩基多型又は挿入欠失部分の少なくとも一つを含む領域;
である、(1)ないし(3)のいずれか1項に記載の方法。
(8)工程(i)が、配列番号1及び配列番号2の組み合わせ、配列番号3及び配列番号4の組み合わせ、配列番号5及び配列番号6の組み合わせ、及び配列番号7及び配列番号8の組み合わせからなる群より選択されるプライマーセットを用いたPCR反応により行われる、(1)ないし(3)のいずれか1項に記載の方法。
(9)工程(i)が、以下:
配列番号1及び配列番号2の組み合わせ、配列番号3及び配列番号4の組み合わせ、並びに、配列番号5及び配列番号6の組み合わせ;の3種のプライマーセットに加えて、配列番号7及び配列番号8の組み合わせ、のプライマーセットを用いたPCR反応により行われる、(1)ないし(3)のいずれか1項に記載の方法。
(10)ホップ品種間で相違する一塩基多型の組み合わせで構成される識別マーカーの作製方法であって、以下の工程:
(a)2以上の異なる品種のホップを用いて、トランスクリプトーム解析を行う工程;
(b)上記工程(a)の結果得られたDNA断片の塩基配列を元に、品種ごとにアセンブルする工程;
(c)上記工程(b)の結果得られたコンティグ及び/又はシングレットを品種間で比較して、品種間で相違する一塩基多型(SNP)の探索を行う工程;
(d)上記工程(c)のSNP探索の結果、SNPが含まれる領域を選択し、該領域を増幅するためのプライマーを設計する工程;
(e)上記工程(d)で設計したプライマーを用いて、ホップから抽出したDNAを鋳型として上記工程(d)で選択した領域が増幅しうることを確認し、その塩基配列を決定することにより、識別領域とそれを増幅しうるプライマーを決定する工程;
(f)上記工程(e)で決定したプライマーを用いて、識別対象品種のホップから抽出したDNAを鋳型として識別領域を増幅し、識別領域の塩基配列を決定する工程;及び
(g)上記工程(f)で決定した識別領域の塩基配列を品種間で比較して、識別対象品種を識別するために必要なSNPの組み合わせで構成される識別マーカーを決定する工程;
を含む、前記方法。
(11)(10)に記載の方法によって作製された識別マーカーの少なくとも一部を含む核酸。
(12)核酸であって、当該核酸はホップの品種識別領域を含み、そして、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、及び配列番号15からなる群より選択される1以上の塩基配列の一部又は全部であって、図1、図2、図3、図4、及び図6で特定されている一塩基多型又は挿入欠失部分の少なくとも一つを含む、前記核酸。
(13)(11)又は(12)に記載の核酸を増幅し得るように設計されたプライマー。
(14)プライマーであって、配列番号1〜8のいずれかに記載された塩基配列からなり、ここで当該プライマーはホップの品種識別のために用いられる、前記プライマー。
(15)(10)に記載の方法により同定された品種識別領域中の、ホップ品種間で相違する一塩基多型を検出するためのプローブ。
(16)プローブであって、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、及び配列番号15からなる群より選択される1以上の塩基配列において、図1、図2、図3、図4又は図6で特定される位置における少なくとも一つの一塩基多型又は挿入欠失部位を検出することができ、そしてそれによりホップ品種間で相違する一塩基多型を検出する、前記プローブ。
(17)ホップ試料における異品種の混入を検出する方法であって、以下の工程:
(i)被検体のホップ試料から抽出したDNAについて、品種識別領域を含むDNA断片を増幅する工程であって、当該品種識別領域はホップ品種間で相違する少なくとも一つの一塩基多型(SNP)で構成される識別マーカーを含む、前記工程;
(ii)上記工程(i)で増幅したDNA断片について品種識別領域の塩基配列を解析し、シークエンスデータを得る工程;
(iii)上記工程(ii)で得られたシークエンスデータについて、識別マーカーを構成する一塩基多型部位の情報を、正常品の対応する一塩基多型部位の情報と比較する工程;及び
(iv)ホップ試料における異品種の混入の有無を決定する工程、ここで、上記工程(ii)で得られたシークエンスデータの一塩基多型部位の情報が、正常品の対応する一塩基多型部位の情報と一致する場合は、異品種の混入はないと判断し、あるいは、上記工程(ii)で得られたシークエンスデータの一塩基多型部位の情報が、正常品の対応する一塩基多型部位の情報と一致しない場合は、異品種の混入があると判断する;
を含む、前記方法。
(18)工程(iv)に引き続いて以下の工程:
(v)上記工程(iv)で、上記工程(ii)で得られたシークエンスデータの一塩基多型部位の情報が、正常品の対応する一塩基多型部位の情報と一致しない場合は、上記工程(ii)で得られたシークエンスデータの一塩基多型部位に出現している正常品以外に由来する情報から、その塩基を特定する工程;及び
(vi)上記工程(v)で特定された一塩基多型部位の正常品とは異なる塩基を、識別マーカーと照合し、混入品種を推定又は特定する工程;
をさらに含む、(17)に記載の方法。
(19)工程(iv)に引き続いて以下の工程:
(v)上記工程(iv)で、上記工程(ii)で得られたシークエンスデータの一塩基多型部位の情報が、正常品の対応する一塩基多型部位の情報と一致しない場合は、上記工程(ii)で得られたシークエンスデータの一塩基多型部位に出現している正常品以外に由来する情報から、その塩基を特定し、混入割合を求める工程;及び
(vi)上記工程(v)で特定された一塩基多型部位の正常品とは異なる塩基を、識別マーカーと照合し、混入品種とその混入割合を推定又は特定する工程;
をさらに含む、(17)に記載の方法。
(20)工程(iii)において、19〜25塩基の挿入配列の有無の解析を含む、(1)ないし(9)のいずれかに記載の方法。
品種間における一塩基多型からなる識別マーカーを利用してホップの品種が識別できるようになったことで、発注した原料ホップが注文通りの品種であるかどうか、異品種が混入していないかどうかを確認する際、被検体であるホップの品種を正確に特定すること、及び異品種の混入の有無を検出することが可能となる。さらに異品種が混入しているような場合、混入の有無だけでなく、混入品種を推定又は特定し、その混入割合を分析できるようになる。
また、本発明の方法により作製された識別マーカーを構成する塩基の情報を用いて、目的とする品種を識別するためのプライマーやプローブを作製することができ、これを利用してリアルタイムPCR法や次世代シークエンサーを用いた解析により、異品種の混入割合を定量的に分析できるようになることが期待できる。
これにより、目的とする高品質のビールを安定して供給することが可能となる。また、被検体が劣化や損傷している場合であっても、品種を識別することが可能となる。
図1は、14品種のホップのA1領域におけるSNP解析結果を示す図及び塩基のコード表である。SNPの位置は、A1領域のコンセンサス配列(配列番号9)の5’側から数えたSNPの位置を示す。解析したSNPは24箇所である。解析に供した14種のホップは、9タイプのディプロタイプに分類された。 図2は、14品種のホップのB1領域におけるSNP解析結果を示す図である。SNPの位置は、B1領域のコンセンサス配列(配列番号10)の5’側から数えたSNPの位置を示す。解析したSNPは10箇所である。解析に供した14種のホップは、7タイプのディプロタイプに分類された。A、G、C、T以外の塩基の表記については、図1のコード表を参照。 図3は、14品種のホップのC1領域におけるSNP解析結果を示す図である。SNPの位置は、C1領域のコンセンサス配列(配列番号11)の5’側から数えたSNPの位置を示す。解析したSNPは29箇所であり、そのうち配列番号11の129〜134番目の塩基は挿入欠失(indel)部分である。解析に供した14種のホップは、3タイプのディプロタイプに分類された。A、G、C、T以外の塩基の表記については、図1のコード表を参照。 図4は、Perle及びNorthern BrewerのA1−2−L領域及びA1−2−R領域におけるSNP解析結果を示す図である。SNPの位置は、A1−2−L領域の2品種コンセンサス配列(配列番号12)及びA1−2−R領域の2品種コンセンサス配列(配列番号14)のそれぞれについて、の5’側から数えたSNPの位置を示す。A1−2−L領域について解析したSNPは21箇所であり、そのうち配列番号12の186〜194及び399番目の塩基はindel部分である。A1−2−R領域について解析したSNPは67箇所であり、そのうち配列番号14の57〜59及び65番目の塩基はindel部分である。Perle及びNorthern Brewerは異なるディプロタイプを示した。 図5は、品種識別に供試したホップの品種と識別マーカーのディプロタイプをまとめた表である。 図6は、Sladeck、Spalter、Perle、Tettnang、及びNorthern BrewerのA1−2−L領域及びA1−2−R領域におけるSNP解析結果を示す図である。SNPの位置は、A1−2−L領域の5品種コンセンサス配列(配列番号13)及びA1−2−R領域の5品種コンセンサス配列(配列番号15)のそれぞれについて、の5’側から数えたSNPの位置を示す。A1−2−L領域について解析したSNPは23箇所であり、そのうち配列番号13の12、183〜191及び396番目の塩基はindel部分である。A1−2−R領域について解析したSNPは28箇所であり、そのうち配列番号15の437番目の塩基はindel部分である。解析に供した5つの品種のホップは、A1−2−L領域でそれぞれ異なるディプロタイプを示し、A1−2−R領域で4タイプのディプロタイプに分類された。 図7は、Sladeck、Spalter、Perle、Tettnang、及びNorthern Brewerについて、A1−2−L領域(配列番号13)における識別マーカーのディプロタイプをまとめた表である。 図8は、Saaz及びPremiantの混合試料について、A1領域の塩基配列を解析した結果を示すエレクトロフェログラムである。A1領域の塩基番号は、配列番号9における塩基番号に従う。
以下に本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明は、品種間で相違する少なくとも一つの一塩基多型(SNP)で構成される識別マーカーを利用したホップの品種を識別するための方法、該識別マーカーの作製方法、当該識別マーカーを利用したホップ試料中の異品種の混入を検出する方法、当該識別マーカー、当該識別マーカーを有する領域を増幅し得るように設計された品種識別プライマー、及び当該識別マーカーを検出するための品種識別プローブに関する。
本発明の概要
本出願は、品種間で相違する少なくとも一つのSNPで構成される識別マーカーを用いてホップの品種を識別することを特徴とする発明に関する。具体的には、被検体のホップのDNAを抽出して、SNPからなる識別マーカーを有する領域の塩基配列に対応する塩基配列中の、識別マーカーに対応する部位の塩基が、識別マーカーの塩基と一致するか否かを解析して、一致する場合は、被検体のホップの品種を識別マーカーの品種と特定するものである。
定義
本明細書で特段に定義されない限り、本発明に関連して用いられる科学用語及び技術用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有するものとする。
本明細書において「識別マーカー」とは、ホップの品種を識別するための指標をいい、品種間で相違する1以上の一塩基多型によって構成される。本発明の識別マーカーは識別対象品種間で重複がないように品種と識別マーカーを1対1で対応するように決定されるが、識別対象とする品種の数や種類に応じて、識別マーカーを構成する一塩基多型を変更しても構わない。例えば、識別したい品種が2品種だけの場合には、1個の一塩基多型から構成される識別マーカーを用いれば足り、識別したい品種が多数の場合には、複数の一塩基多型の組み合わせ(場合によっては複数の識別領域の複数の一塩基多型の組み合わせ)により重複がないように識別マーカーを決定する。識別マーカーは、基本的には重複がないように決定するが、識別の目的によっては、識別マーカーが重複する複数の品種(すなわち同じ識別マーカーを有する複数の品種)を1つのグループとみなし、1つの識別マーカーと対応させて使用することもできる。
本明細書において「識別領域」とは、ホップ由来のDNAにおいて識別マーカーを含む領域を意味する。識別領域は、1つの領域に限定されるものではなく、複数の領域であってもよい。また、識別領域のうち、品種の識別にあたって被検体のDNA断片の増幅を行う核酸の領域を特に、「品種識別領域」と記載することがある。品種識別領域は、識別領域と同じ領域であってもよく、また品種識別の目的に応じて別途設定してもよい。また品種識別領域は、1つの領域に限定されるものではなく、複数の領域であってもよい。
識別マーカーの作製方法
本出願は、ホップの品種を識別するための識別マーカーを作製する方法を提供する。
一態様において、本発明の識別マーカーは、2以上の異なる品種のホップを用いて、トランスクリプトーム解析を行い、一塩基多型(SNP)が比較的多く存在する領域を選定し、プライマーを設計し、識別領域とそれを増幅しうるプライマーを決定する。次に識別対象の品種からDNAを抽出し、前記プライマーを用いて識別領域を増幅し塩基配列を決定し品種間で比較することによって、識別対象品種の識別に必要な、少なくとも1つのSNPで構成される識別マーカーを決定することにより作製する。
具体的には、ホップの品種を識別するための識別マーカーを作製する方法は、以下の工程:
(a)2以上の異なる品種のホップを用いて、トランスクリプトーム解析を行う工程;
(b)上記工程(a)の結果得られたDNA断片の塩基配列を基に、品種ごとにアセンブルする工程;
(c)上記工程(b)の結果得られたコンティグ及び/又はシングレットを品種間で比較して、品種間で相違する一塩基多型(SNP)の探索を行う工程;
(d)上記工程(c)のSNP探索の結果、SNPが含まれる領域を選択し、該領域を増幅するためのプライマーを設計する工程;
(e)上記工程(d)で設計したプライマーを用いて、ホップから抽出したDNAを鋳型として上記工程(d)で選択した領域が増幅しうることを確認し、その塩基配列を決定することにより、識別領域とそれを増幅しうるプライマーを決定する工程;
(f)上記工程(e)で決定したプライマーを用いて、識別対象品種のホップから抽出したDNAを鋳型として識別領域を増幅し、識別領域の塩基配列を決定する工程;及び
(g)上記工程(f)で決定した識別領域の塩基配列を品種間で比較して、識別対象品種を識別するために必要なSNPの組み合わせで構成される識別マーカーを決定する工程;を含んでもよい。ただし、本発明はこれらの方法に限定されるものではなく、一般的に知られている他の方法を適宜改変して用いてもよい。
上記の工程(a)〜(g)について、以下の通り説明する。
(a)ホップを用いてトランスクリプトーム解析する工程
識別マーカーに含めるべきSNPの候補を探索するために、まず異なる品種のホップを2以上使用して、それぞれについてトランスクリプトーム解析を行う。
トランスクリプトーム(transcriptome)とは、ある特定の状態の組織や細胞中に存在する全mRNA(ないしは一次転写産物、transcripts)の総体である。
以下に本発明におけるトランスクリプトーム解析の手順を一例として説明するが、特にこれに限定されるものではない。まず、ホップの複数品種の組織からそれぞれ全RNAを粗抽出し、全RNAからの全mRNA(ポリ(A)+RNA)を精製し、このmRNAを鋳型とするcDNAの合成を行う。得られたcDNAライブラリーは発現量の多いものと少ないものが混在しているため、発現量の違いを補正(均一化)し、さらにサイズを基準にした精製を行う。次いで、超高速DNA塩基配列解析装置を用いてcDNAのシークエンス解析を行う。
上記全RNAが抽出されるホップの組織としては、芽、葉、茎、毬花を構成する各種組織が好適に使用されるが、特にこれに限定されない。また、ホップ株から上記組織を採取する場合、ホップ株の栽培方法やその生育ステージなども特に限定されない。さらにホップの組織としては、生であっても乾燥したものであっても、また例えばペレット状に加工したものであっても構わない。ただしRNAは分解されやすいため、ホップ株から採取した新鮮な組織を速やかに使用することが好ましく、またRNAを多く含有する組織として若葉を使用することが好ましい。また解析用の試料を採取する際には、RNAの分解を極力防ぐような対策をとることや、コンタミの防止に努めることが好ましい。
またトランスクリプトーム解析に用いるホップの品種は、異なる品種を2品種以上用いればよく、用いる品種や数は目的に応じて選択することができる。なお、より大量のSNPを検出するためには、異なる品種を3品種以上用いることが好ましい。また識別対象品種の中から選択して用いることが好ましい。
ホップの組織からの全RNAの抽出〜cDNAのシークエンス解析までのトランスクリプトーム解析の各ステップは、一般的に採用される方法を採用して行うことができる。
(b)品種ごとにアセンブルする工程
上記のようにして品種ごとにトランスクリプトーム解析で明らかとなったDNA断片(cDNA)の塩基配列に基づいて、品種ごとに配列アセンブリングを行う。配列アセンブリングとは、短いDNAの断片から元の長い塩基配列を再構築することと言われる。例えば工程(a)の結果得られたDNA断片の塩基配列を基に相互にオーバーラップする塩基配列を有するか否かでクラスタリングし、クラスタリングされた一連のDNA断片についてオーバーラップ部分を見つけて繋ぎ合わせて(アセンブルし)、ひとつの配列を得ることができる。このようにしてアセンブルされた配列を「コンティグ(contig)」と総称し、またコンティグ形成に加わらなかったシングルリード(single read)を「シングレット(singlet)」と総称する。配列アセンブリングによるコンティグの作製は、一般的に採用される方法により行うことができる。
(c)品種間で対応する塩基の相違を検出する工程
上記のようにして品種ごとにトランスクリプトーム解析で明らかとなったDNA断片の塩基配列に基づいて、互いにオーバーラップする配列部分をもとにアセンブルしてコンティグを作製する。これによって得られたコンティグ配列及び/又はシングレット配列を用いて、品種間での対応する塩基の相違(ここではSNP)を検出する。
2品種以上の品種間で対応する塩基の相違を検出するには、まずその中の1品種を参照配列(リファレンス)として選択する。次に、選択した品種のコンティグ及び/又はシングレット(好ましくはコンティグ、より好ましくはコンティグ及びシングレット)をリファレンス配列として指定し、これを基準に他の品種のシングルリードを、共通部分を有するか否かでそれぞれマッピングする。さらにマッピングされたシングルリードが構成要素となっているコンティグを解析ソフト上で展開したアセンブル情報から割り出す。このようにして得られたリファレンスとその他の品種のコンティグ及び/又はシングレットについてアライメントを行い、SNPを検出する。なお1品種のみのリファレンスではSNPを見逃す可能性があるため、他の品種をそれぞれリファレンスとして上記と同様にマッピングしてアライメントしてSNPを検出し、これらの結果を総合してSNPデータとすることが好ましい。異なる品種それぞれをリファレンスにしてSNPを検出することにより、より多くのSNPを検出することが可能となり、識別マーカーとしてより適格なSNPを選択することが可能となる。なお本発明において3品種以上の品種間で対応する塩基の相違を検出する場合は、品種間で対応する塩基の中で、少なくともいずれか2品種間で相違していればSNPとみなす。品種間で対応する塩基の相違を検出するには、一般的に採用されている方法で行うことができる。上記方法は一例であって、これに限定されるものではない。他の方法として1品種のコンティグ配列を使ってブラスト検索することにより、相違を検出することも可能である。
(d)SNPを含有する領域を選択し、プライマーを設計する工程
このようにして、コンティグ配列及び/又はシングレット配列を用いてSNPを検出した結果から、識別に利用可能なSNPが存在する領域を選択する。多数の品種の識別を目的とする場合には、SNPが多数存在する領域を選択することが望ましい。より具体的には、解析のしやすさからホモ接合体(2倍体のそれぞれの2本鎖間で塩基配列が一致している)におけるSNPが存在する領域を優先し、またコンティグあたりのSNP数が多い領域を選択することが例示できるが、特に限定されない。
次にこの領域を増幅しうるようなプライマーを設計する。プライマーの設計は、一般的に採用される方法により行うことができる。
(e)識別領域とこれを増幅しうるプライマーを決定する工程
上記のようにして設計したプライマーは、cDNAライブラリーから作製されたコンティグ配列又はシングレット配列を基に設計されたものであるため、プロモーター領域やイントロンを含むゲノムDNAにおいてうまく増幅するかどうかわからない。このため、ホップから抽出したゲノムDNAを用いて増幅を確認する必要がある。また増幅した場合でも挿入欠失(indel)やマイクロサテライトの有無や、目的とするSNPが存在することを確認するため、サンガー法等による塩基配列の確認が必要である。従って工程(d)で設計したプライマーを用いて、ホップ品種(好ましくは工程(a)で使用したホップ品種)のペレット、乾燥毬花などから抽出したゲノムDNAを鋳型にして、SNPを含有する領域を増幅しシークエンスを行う。これにより、適当なサイズで増幅できること、及び前記トランスクリプトーム解析に基づく塩基配列と比較し、品種識別に適用可能であることを確認し、識別に利用できる領域(識別領域)とそれを増幅しうるプライマーを決定する。イントロンの存在等によって増幅できない場合や、増幅サイズや塩基配列に不都合、不具合がある場合には選択領域の再検討やプライマーの再設計を行う。
なお、識別マーカーを作製するための識別領域は、1つの領域に限定されるものではなく、複数の領域を選択することもできる。複数の領域を選択することによってより多くの品種を識別することが可能となる。
また識別領域には挿入欠失(indel)部分が含まれていてもよい。広い意味で一塩基多型(SNP)には、挿入欠失(indel)も含まれ、本発明では、識別マーカーを構成するSNPとして挿入欠失(indel)部分を利用することもできる。
(f)識別領域の塩基配列を決定する工程、及び(g)識別対象品種の識別マーカーを決定する工程
工程(e)で決定した、識別領域を増幅しうるプライマーを用いて、識別対象品種から抽出したゲノムDNAを鋳型としてそれぞれ識別領域を増幅する。
本明細書において識別対象品種とは、識別の対象として選択したホップの品種をいい、2以上の異なる品種が含まれる。ホップは、学名Humulus lupulusとして分類される植物であれば特に限定されない。例えば、ドイツ、アメリカ、チェコ、イギリス、フランス、中国、スロベニア、南アフリカ、オーストラリア、ニュージーランド、日本などを原産国とするホップが挙げられる。
ヨーロッパ原産のホップの例として、Saaz、Sladeck、Premiant、Tradition、Spalter、Spalter Select、Perle、Tettnang、Brewer’s Gold、Northern Brewer、Magnum、Herkules、German Nugget、Taurus、Admiral、Aurora、Hersbrucker、Hallertau Merkur、Hallertau Mittelfrueh、Target、等が挙げられるが、これらに限定されない。
アメリカ原産のホップの例として、Amarillo、Cascade、Centennial、Chinook、Cluster、Columbus、Crystal、Fuggle 、Galena、Golding、Horizon、Liberty、Mount Hood、Nugget、Santiam、Sterling、Summit、Super Galena、Tettnanger、Tomahawk、Ultra、Willamette、Zeus、等が挙げられるが、これらに限定されない。
識別の目的に応じて対象品種の種類や数を自由に設定することができる。例えば、栽培地が近隣の品種を選択するなどその時々の目的に応じて対象品種を選択することができる。
一態様として、識別対象品種は、実施例1の表4に示すドイツ及びチェコを原産国とする14種のホップである。
このようにして目的に応じて選択した識別対象品種について、増幅DNA断片のシークエンスを行い、塩基配列を決定する。
工程(f)で決定した各識別対象品種の識別領域の塩基配列についてアライメントを行い、SNP部分を抽出する。識別対象品種間で重複しないように品種と識別マーカーが1対1で対応するように、抽出されたSNPを組み合わせて識別マーカーを決定する。
ここで、上記工程(f)及び(g)は、以下(1)〜(11)に示す手順に従って行ってもよい。
(1)ホップの入手
本発明で用いる「DNA」は、ホップの組織からDNAを抽出することにより得ることができる。ホップの組織としては、芽、葉、茎、毬花を構成する各種組織が好適に使用されるが、特にこれに限定されない。また、ホップ株から上記組織を採取する場合、ホップ株の栽培方法やその生育ステージなども特に限定されない。さらにホップの組織としては、生であっても乾燥したものであっても、また例えばペレット状に加工したものであってもよい。
(2)DNAの抽出
DNAの抽出は、CTAB(Cetyltrimethyl ammonium bromide)法や市販キットのQiagen DNeasy Tissue Kit(キアゲン社)やISOPLANT II(ニッポンジーン社)等の当業者に公知の方法を用いて抽出することができる。操作性と経済性の点からCTAB法が好ましい。
(3)DNA断片の増幅
上記のように抽出したDNAをPCR法により増幅する。本発明で用いるPCR法は特に限定されず、公知のPCR法に加え、種々の改良方法を含む。以下はその一例である。
すなわち、プライマーのセット、鋳型DNAの他にTris−HCl、KCl、MgCl、各dNTP、TaqDNAポリメラーゼ等の試薬類を混合してPCR反応液とする。PCRの1サイクルは、熱変性、アニーリング、DNAポリメラーゼによるDNA鎖の伸長(合成)反応の3つのステップからなる。各ステップはそれぞれ異なる、場合により同一の反応温度と反応時間を必要とし、これらは増幅すべきDNA領域の塩基配列、その長さ等により適宜決定される。このような操作は市販のサーマルサイクラーを用いて行うことができる。
本発明に使用するプライマーとしては、前記工程(e)で決定した識別領域を増幅しうるプライマー対を用いる。例えば本発明者が決定したプライマーセット(A1−3L/A1−3R(配列番号1及び2))、プライマーセット(B1−1L/B1−1R(配列番号3及び4))、プライマーセット(C1−1L/C1−1R(配列番号5及び6))、及び/又はプライマーセット(A1−2−1L/A1−2−1R(配列番号7及び8))を用いることができる。
(4)PCRによる増幅の確認
PCRの結果(PCR産物)の評価方法として、特定のDNA断片を同定しうる任意の方法、例えば、電気泳動、ゲルろ過、ハイブリダイゼーションを用いて目的の大きさのDNA断片が増幅されていることを確認する。例えば、プライマーセット(A1−3L/A1−3R(配列番号1及び2))を使用した場合は、大きさが651塩基長;プライマーセット(B1−1L/B1−1R(配列番号3及び4))を使用した場合は、大きさが729塩基長;プライマーセット(C1−1L/C1−1R(配列番号5及び6))を使用した場合は、大きさが646塩基長;プライマーセット(A1−2−1L/A1−2−1R(配列番号7及び8))を使用した場合は、大きさが約1500塩基長;がそれぞれ増幅されていることを確認する。
(5)PCR産物の精製
増幅されたPCR産物は、サイクルシークエンス反応の鋳型として用いるために、余剰のプライマー等の反応に用いた成分と分離する。この精製は、例えば、市販のQIAquick PCR Purification Kit(キアゲン社)を使用し、その製品に添付のプロトコールに従って行うことができる。
(6)サイクルシークエンス反応及びシークエンス産物の精製
上記のように精製したPCR産物のシークエンスを行うため、それを鋳型にして、サイクルシークエンス反応を実施する。この方法は、PCR法に類似し、サーマルサイクラーを用いて、熱変性、アニーリング、DNAポリメラーゼによるDNA鎖の伸長反応の3つのステップを繰り返し実施するが、どちらか1種類のプライマーを用い、塩基ごとに異なる4種類の蛍光色素で標識したターミネーター存在下で長さの異なる種々の1本鎖DNAを合成する方法である。サイクルシークエンスの方法は、例えば、市販のBigDye Terminator v1.1 Cycle Sequencing Kit(Life Technologies)を用いてよい。具体的には、当該キットの日本語版プロトコール(p.22「1本鎖DNA、2本鎖DNAのサイクルシークエンス」、p.25「GeneAmpPCR System9700, 9600, 2700, 2400でのサイクルシークエンス」及びp.38−40「スピンカラム(やスピンプレート)での精製法」)に基いて実施することができる。なお、用いるプライマーの塩基配列は、目的のDNA断片のPCRによる増幅に用いるものと同じでよい。すなわち、PCR産物の精製液を必要があれば滅菌蒸留水で希釈したものに、所定の物質を加えて、サイクルシークエンス反応液を作製する。これをPCR用マイクロチューブに入れ、PCR装置にセットし、変性(例えば、96℃、1分)を行った後、変性(例えば、96℃、10秒)、アニーリング(例えば、50℃、5秒)、鎖伸長(例えば、60℃、4分)の反応を例えば25回繰り返す。なお、反応終了後、サンプルをすぐに取り出せない場合には、サンプルブロックの温度を下げて保持してよい。
その後、上記で得られた反応液から、シークエンシング産物、すなわち1本鎖DNAの混合液を精製し、以降のシークエンサーに供する試料を調製する。この方法の一例として、CENTRISEP Spin Column(Life Technologies)を用いる方法があげられ、添付のプロトコールに従って操作し、目的の試料を得る。
(7)DNA断片のシークエンス
上記Dye Terminator法で得られたシークエンス産物につき、シークエンスを行う。方法としては電気泳動法を用いるのが一般的であり、一例として、ABI PRISM 310 Genetic Analyzerを用いて電気泳動を行い、標識に用いた蛍光物質が塩基ごとに異なることを利用して、レーザー蛍光検出器により順次塩基配列を決定することがあげられる。
(8)塩基配列の解析
決定された塩基配列を解析し、シークエンスデータを得る。それぞれ得られたシークエンスデータを照合して正確な塩基配列を決定する。
(9)塩基配列のアラインメント
上記のようにして得られた識別対象品種のシークエンスデータについて、アラインメントを行う。
(10)全識別対象品種の上記塩基配列で保存されている塩基の除外
このようにして、アラインメントした結果、上記塩基配列から、全識別対象品種の上記塩基配列において保存されている、1又はそれ以上の塩基からなる部位を除外する。このように、全ての上記塩基配列で保存されている塩基の部位を除外することにより、一塩基多型の存在を明確に確認することができ、また、後の工程において一塩基多型に基づく識別マーカーの決定を容易に行うことができる。
具体的には、アラインメントにより得られたデータから、全識別対象品種の塩基配列において塩基が保存されている部位を抽出する。「塩基が保存されている」とは、得られたアラインメントデータの縦列が全識別対象品種の塩基配列において全て同じ塩基であることを意味する。抽出された部位を全て除外する。保存された部位を全て除外する理由は以下のとおりである。
すなわち、ホップ品種の塩基配列を比較する場合、大部分の塩基が全識別対象品種に共通して存在すると考えられる。しかし、本発明では、全識別対象品種に共通する部分を除いた一塩基多型の部分に着目することを特徴としており、当該一塩基多型が品種と相関性を有することに基づいて、識別マーカーを作製するものであるからである。
抽出する方法は、全識別対象品種の塩基配列において保存された塩基を抽出できる方法であれば、目視、機械操作等どのような方法を用いてもよい。
(11)識別マーカーの決定
上記の除外を行った後に残ったSNPを用いて識別マーカーを決定する。前述の通り、本発明の識別マーカーは識別対象品種間で重複がないように品種と識別マーカーが1対1で対応するように決定する。なお識別マーカーは、その使用目的、すなわち識別対象とする品種の数や種類に応じて、識別マーカーを構成するSNPをその都度決定する。例えば、特定の2品種のみを識別する場合には、当該2品種の識別が可能なSNPを1箇所選択して識別マーカーとすることができる。また多数の品種について識別したい場合には、複数箇所のSNPを(場合によっては複数の識別領域の複数箇所のSNPを)組合せることにより、当該品種間で重複がないように識別マーカーを決定することができる。
例えば、以下の実施例1において記載する表4に示すような14品種のホップを識別対象とする場合、当該14品種はA1領域(配列番号9)に存在する24箇所のSNPから9タイプに分類でき、B1領域(配列番号10)に存在する10箇所のSNPから7タイプに分類でき、C1領域(配列番号11)に存在する29箇所のSNP(このうち配列番号11の129〜134番目の塩基に相当する6箇所が挿入欠失部分)から3タイプに分類でき、これらを組み合わせることによって、14品種を13タイプに分類できる。すなわち、14品種のうち12品種については、A1領域、B1領域、C1領域それぞれに存在するSNPによって、識別マーカーと品種が1対1で対応できる。さらに残った1タイプには類似の2品種が該当するため、これら類似2品種を識別する領域としてA1−2−L領域(配列番号12)に存在する21箇所のSNP(このうち10箇所が挿入欠失部分)及びA1−2−R領域(配列番号14)に存在する67箇所のSNP(このうち4箇所が挿入欠失部分)のいずれかにより、識別マーカーと2品種を対応させることができる。このように、上述の14品種を識別する場合、A1領域の24箇所のSNP、B1領域の10箇所のSNP、C1領域の29箇所のSNP(このうち6箇所が挿入欠失部分)、並びにA1−2−L領域及びA1−2−R領域中のいずれか1つのSNPの、合計64箇所のSNPを識別マーカーとして決定することができる。また、例えば上述の14品種の中からいくつかの品種を選んで識別対象とする場合には、上述の64箇所のSNPの中から該識別対象品種を識別するために必要なSNPを選択して識別マーカーとして決定することも可能である。
また、例えば上記類似2品種だけを識別対象品種とする場合には、A1−2−L領域及びA1−2−R領域中のいずれか1つのSNPを識別マーカーとして決定することができる。また、以下の実施例1において記載する表4に示すような14品種のホップのうちSladeck、Spalter、Perle、Tettnang、及びNorthern Brewerの5品種を識別対象品種とする場合には、A1−2−L領域(配列番号13)に存在する23箇所のSNP(このうち11箇所が挿入欠失部分)を識別マーカーとして決定することができる。
上記記載は、識別対象品種として実施例1の表4に示すドイツ及びチェコを原産国とする14種のホップの場合を例に説明しているが、アメリカを原産国とする品種をも含む更なる多品種の識別の態様は実施例5を参照されたい。表20に示されているように、枠で囲った22塩基(塩基番号64−85)がPremiantとSummitには認められるのに対し、Zeusにはその挿入配列は存在しない。このように、挿入配列の有無も品種識別の要素とすることができる。挿入配列の長さは特に制限されるものではないが、例えば19〜25塩基である。更に、この挿入配列中にもSNPが認められ(塩基番号64番目、67番目、75番目)、挿入配列中のSNPを識別マーカーとすることもできる。更なる識別要素として、この挿入配列に続いて塩基番号141にまで達する(CA)もしくは(TA)の繰り返し配列の長さも識別要素となる。例えば、SummitはPremiantとZeusに比べて12塩基長い構造になっている。
また、先に述べたように、表4に示すような14品種のホップを識別対象とする場合はB1領域(配列番号10)に存在する10箇所のSNPから7タイプに分類できるが、アメリカを原産国とする品種(例えばGalena)を含む場合は、245〜248番目の塩基もSNPであり、識別マーカーとなる。
また、先に述べたように、表4に示すような14品種のホップを識別対象とする場合はC1領域(配列番号11)に存在する29箇所のSNPから3タイプに分類できるが、アメリカを原産国とする品種(例えばGalena)を含む場合は、76〜80、93、136、138、163、165、245、313、321、373、376、435、438番目の塩基もSNPであり、識別マーカーとなる。
別の態様において、本発明の識別マーカーは、2以上の異なる品種のホップ由来の、ゲノムDNA、ミトコンドリアDNA、クロロプラストDNAを用いて作製してもよい。好ましくは、2以上の異なる品種のホップ由来のゲノムDNAを用いてもよい。
ゲノムDNA、ミトコンドリアDNA、又はクロロプラストDNAを用いてホップの品種を識別するための識別マーカーを作製する場合は、識別マーカーを作製する方法は、以下の工程:
(a−1)2以上の異なる品種のホップの組織からゲノムDNA、ミトコンドリアDNA、又はクロロプラストDNAを抽出する工程;
(a−2)上記工程(a−1)の結果得られたDNAをランダムに切断し、適当なサイズの断片を選別する工程;
(a−3)上記工程(a−2)で得られたDNA断片の塩基配列を決定する工程;
(b)上記工程(a−3)の結果得られたDNA断片の塩基配列を基に、品種ごとにアセンブルする工程;
(c)上記工程(b)の結果得られたコンティグ及び/又はシングレットを品種間で比較して、品種間で相違する一塩基多型(SNP)の探索を行う工程;
(d)上記工程(c)のSNP探索の結果、SNPが含まれる識別領域を選択し、該領域を増幅するためのプライマーを設計する工程;
(f)上記工程(d)で設計したプライマーを用いて、識別対象品種のホップから抽出したDNAを鋳型として識別領域を増幅し、識別領域の塩基配列を決定する工程;及び
(g)上記工程(f)で決定した識別領域の塩基配列を品種間で比較して、識別対象品種を識別するために必要なSNPの組み合わせで構成される識別マーカーを決定する工程;を含んでもよい。
工程(a−1)〜(a−3)は、当業者に知られた手法により行うことができる。特に、大量のDNA断片が得られるため、DNA断片の塩基配列を決定するにあたっては、超高速DNA塩基配列解析装置を使用するのが好ましい。
工程(b)〜(d)及び(f)〜(g)は、先に記載した態様であるトランスクリプトーム解析による方法において説明した手法で行うことができる。
また、トランスクリプトーム解析による方法では、イントロンを含まないmRNAに基づいて、翻訳領域または5’又は3’非翻訳領域のSNPを探索しているのに対し、ゲノムDNA、ミトコンドリアDNA、又はクロロプラストDNAを用いる態様では、イントロンを含めたDNAの全領域のSNP探索を行う。このことから、ゲノムDNA、ミトコンドリアDNA、又はクロロプラストDNAを用いる場合は、トランスクリプトーム解析による識別マーカーの作製方法においてSNPを含有する領域を増幅するために設計されたプライマーによる該領域の増幅確認に相当する工程(e)を省略することができる。
上記トランスクリプトームを用いる態様、及びゲノムDNA(核ゲノム)、ミトコンドリアDNA、又はクロロプラストDNAを用いる態様では、まず初めに2以上の異なるホップ品種を用いてSNP探索を行ない識別領域とプライマーを決定した後、全識別対象品種を用いて識別領域の塩基配列を比較し識別マーカーに適したSNPを決定するという2段階の方法で識別マーカーを作製しているが、初めから識別対象品種全てを用いてSNP探索を行ない識別領域とプライマーを決定した後、該識別領域の塩基配列を比較し識別マーカーに適したSNPを決定することもできる。すなわち先に記載した二つの態様において、初めから識別対象品種全てを用いる場合には、識別対象品種の識別領域の塩基配列を決定する工程(f)が不要となる。
ホップ品種の識別方法
本発明はまた、ホップ品種を識別するための方法を提供する。具体的には、ホップ品種の識別方法は、以下の工程:
(i)被検体のホップ由来のDNAについて、品種識別領域を含むDNA断片を増幅する工程であって、当該品種識別領域はホップ品種間で相違する少なくとも一つの一塩基多型(SNP)で構成される識別マーカーを含む、前記工程;
(ii)上記工程(i)で増幅したDNA断片について、一塩基多型の遺伝子型を同定する工程;
(iii)上記工程(ii)で同定された被検体のホップのDNAについての品種識別領域中の一塩基多型の遺伝子型と、既知のホップ品種のDNAについての対応する領域中の一塩基多型の遺伝子型を比較し、当該領域の中の一塩基多型の遺伝子型について被検体のホップと既知のホップ品種の間での一致又は不一致を解析する工程;
(iv)上記工程(iii)の解析結果に基づいて被検体のホップの品種を特定する工程;
を含んでもよい。
被検体のホップは、学名Humulus lupulusとして分類される植物であれば特に限定されない。例えば、識別マーカーの作製方法の項目において列挙したヨーロッパ原産のホップ、アメリカ原産のホップが挙げられるがこれらに限定されない。
一態様として、被検体のホップは、実施例1の表4に示す14種のホップである。
上記の工程(i)〜(iv)について、以下の通り説明する。
(i)品種識別領域を含むDNA断片を増幅する工程
品種識別領域を含むDNA断片は、品種を識別しようとする被検体のホップからゲノムDNAを抽出し、これを鋳型として、基準とする識別マーカーを有する領域を増幅し得る品種識別プライマーを用いて品種識別領域を含むDNA断片を増幅する。ゲノムDNAの抽出及びDNA断片の増幅は、例えば、上述の<識別マーカーの作製方法>の「(f)識別領域の塩基配列を決定する工程、及び(g)識別対象品種の識別マーカーを決定する工程」の項目において、(1)ホップの入手〜(3)DNA断片の増幅、として記載した手法に従って、又はこれに準じて行ってもよい。
品種識別領域は、上述の識別マーカーの作製方法により作製された識別マーカーを含む領域である。識別マーカーを構成する一塩基多型が複数の領域に存在する場合、品種識別領域は、該複数の領域であってもよい。また、識別マーカーを構成する一塩基多型が複数存在する場合、品種識別領域は、これら全部が存在する一つの領域であっても、また少なくとも1個の一塩基多型が存在する領域が複数あってもよい。具体的な品種識別領域としては、
配列番号9(A1領域)の塩基配列の74、77、87、103、116、118、121、125、134、135、148、192、195、197、199、203、204、226、230、235、306、316、330、532番目;
配列番号10(B1領域)の塩基配列の178、204、227、234、370、426、439、547、562、624番目;
配列番号11(C1領域)の塩基配列の3、13、17、87、88、129、130、131、132、133、134、254、331、356、375、380、396、398、399、421、460、474、475、476、477、480、481、500、547番目(129〜134番目はindel部分);
配列番号12(A1−2−L領域)の塩基配列の34、101、118、124、164、168、171、186、187、188、189、190、191、192、193、194、392、398、399、459、502番目(186〜194、及び399番目はindel部分);
配列番号13(A1−2−L領域)の塩基配列の2、12、31、98、115、121、161、165、168、183、184、185、186、187、188、189、190、191、389、395、396、456、499番目(12、183〜191、及び396番目はindel部分);
配列番号14(A1−2−R領域)の塩基配列の1、2、3、5、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、20、21、25、26、27、28、29、30、31、33、35、36、37、38、41、42、43、44、46、47、48、50、51、56、57、58、59、63、65、68、72、78、79、84、86、88、90、92、118、153、154、191、205、206、226、228、233、254、289、315、350、392、405番目(57〜59及び65番目はindel部分);
配列番号15(A1−2−R領域)の塩基配列の2、6、12、13、18、20、22、24、26、36、52、87、88、125、139、140、160、162、167、188、223、249、273、284、326、339、421、437番目(437番目のindel部分);
において記号nで示された一塩基多型またはindel部分の少なくとも一つを含む領域が挙げられる。
一態様において、品種識別領域は、配列番号9(A1領域)の塩基配列の一部又は全部であって記号nで示された一塩基多型の少なくとも一つを含む領域であってもよく、品種識別領域は、配列番号9の塩基配列を含む領域であってもよい。または、品種識別領域は、配列番号10(B1領域)の塩基配列の一部又は全部であって記号nで示された一塩基多型の少なくとも一つを含む領域であってもよく、品種識別領域は、配列番号10の塩基配列を含む領域であってもよい。あるいは、品種識別領域は、配列番号11(C1領域)の塩基配列の一部又は全部であって記号nで示された一塩基多型又はindel部分の少なくとも一つを含む領域であってもよく、品種識別領域は、配列番号11の塩基配列を含む領域であってもよい。さらには、品種識別領域は、配列番号12若しくは13(A1−2−L領域)の塩基配列の一部又は全部であって記号nで示された一塩基多型又はindel部分の少なくとも一つを含む領域であってもよく、品種識別領域は、配列番号12若しくは13の塩基配列を含む領域であってもよい。また、品種識別領域は、配列番号14若しくは15(A1−2−R領域)の塩基配列の一部又は全部であって記号nで示された一塩基多型又はindel部分の少なくとも一つを含む領域であってもよく、品種識別領域は、配列番号14若しくは15の塩基配列を含む領域であってもよい。
別の態様において、品種識別領域は、配列番号9(A1領域)の塩基配列の一部又は全部であってnで示された一塩基多型の少なくとも一つを含む領域;配列番号10(B1領域)の塩基配列の一部又は全部であってnで示された一塩基多型の少なくとも一つを含む領域;配列番号11(C1領域)の塩基配列の一部又は全部であってnで示された一塩基多型又はindel部分の少なくとも一つを含む領域;配列番号12若しくは13(A1−2−L領域)の塩基配列の一部又は全部であってnで示された一塩基多型又はindel部分の少なくとも一つを含む領域;及び、配列番号14若しくは15(A1−2−R領域)の塩基配列の一部又は全部であってnで示された一塩基多型又はindel部分の少なくとも一つを含む領域;からなる群より選択される領域の2以上の領域であってよい。あるいは、品種識別領域は、配列番号9(A1領域)の塩基配列を含む領域、配列番号10(B1領域)の塩基配列を含む領域、配列番号11(C1領域)の塩基配列を含む領域、配列番号12若しくは13(A1−2−L領域)の塩基配列を含む領域、及び配列番号14若しくは15(A1−2−R領域)の塩基配列を含む領域からなる群より選択される領域の2以上、3以上、4以上、又は5つすべての領域であってよい。
さらに別の態様において、品種識別領域は、配列番号9(A1領域)の塩基配列の一部又は全部であってnで示された一塩基多型の少なくとも一つを含む領域、配列番号10(B1領域)の塩基配列の一部又は全部であってnで示された一塩基多型の少なくとも一つを含む領域、及び配列番号11(C1領域)の塩基配列の一部又は全部であってnで示された一塩基多型又はindel部分の少なくとも一つを含む領域、からなる群より選択される領域の1以上の領域に加えて、配列番号12若しくは13(A1−2−L領域)の塩基配列の一部又は全部であってnで示された一塩基多型又はindel部分の少なくとも一つを含む領域又は配列番号14若しくは15(A1−2−R領域)の塩基配列の一部又は全部であってnで示された一塩基多型又はindel部分の少なくとも一つを含む領域、であってよい。または、品種識別領域は、配列番号9(A1領域)の塩基配列を含む領域、配列番号10(B1領域)の塩基配列を含む領域、及び配列番号11(C1領域)の塩基配列を含む領域、からなる群より選択される1以上、好ましくは2以上、さらに好ましくは3つすべて、の領域に加えて、配列番号12若しくは13(A1−2−L領域)の塩基配列の一部又は全部であってnで示された一塩基多型又はindel部分の少なくとも一つを含む領域又は配列番号14若しくは15(A1−2−R領域)の塩基配列の一部又は全部であってnで示された一塩基多型又はindel部分の少なくとも一つを含む領域、であってよい。あるいは、品種識別領域は、配列番号9(A1領域)の塩基配列を含む領域、配列番号10(B1領域)の塩基配列を含む領域、及び配列番号11(C1領域)の塩基配列を含む領域、からなる群より選択される1以上、好ましくは2以上、さらに好ましくは3つすべて、の領域に加えて、配列番号12若しくは13(A1−2−L領域)の塩基配列を含む領域又は配列番号14若しくは15(A1−2−R領域)の塩基配列を含む領域、であってよい。
品種識別プライマーは、識別マーカーを作製する際に決定した、識別領域を増幅し得るプライマーであっても、また識別マーカーを含有する領域(品種識別領域)を増幅し得るように別途設計されたプライマーであってもよい。識別マーカーを構成する一塩基多型が複数の領域に存在する場合、品種識別プライマーは、それぞれの領域を増幅し得るプライマーであってもよい。また、識別マーカーを構成する一塩基多型が複数存在する場合、品種識別プライマーは、これら全部が存在する一つの領域を増幅しうるプライマーであっても、また少なくとも1個の一塩基多型が存在する複数の領域をそれぞれ増幅しうる複数のプライマーであってもよい。
品種識別プライマーとして利用可能なプライマーには、配列番号1〜8に記載の塩基配列からなるプライマーが含まれる。工程(i)においてDNA断片増幅のために用いられるプライマーセットの例は、配列番号1及び2の塩基配列からなるプライマーの組み合わせ、配列番号3及び4の塩基配列からなるプライマーの組み合わせ、配列番号5及び6の塩基配列からなるプライマーの組み合わせ、並びに、配列番号7及び8の塩基配列からなるプライマーの組み合わせ、からなる群より選択される1以上の組み合わせのプライマーセットが挙げられる。
別の態様において、工程(i)は、配列番号1及び2の塩基配列からなるプライマーの組み合わせ、配列番号3及び4の塩基配列からなるプライマーの組み合わせ、並びに、配列番号5及び6の塩基配列からなるプライマーの組み合わせ、からなる群より選択される1以上、好ましくは2以上、さらに好ましくは3つすべて、のプライマーセットを用いたPCR反応により行われる。
別の態様において、工程(i)は、配列番号1及び2の塩基配列からなるプライマーの組み合わせ、配列番号3及び4の塩基配列からなるプライマーの組み合わせ、並びに、配列番号5及び6の塩基配列からなるプライマーの組み合わせ、の3つのプライマーセットに加えて、配列番号7及び8の塩基配列からなるプライマーの組み合わせ、のプライマーセットを用いたPCR反応により行われる。
(ii)一塩基多型の遺伝子型を同定する工程
工程(i)で増幅したDNA断片について、一塩基多型の遺伝子型を同定する。
一態様において、一塩基多型の遺伝子型の同定は、品種識別領域を含むDNA断片の塩基配列を同定することにより行われる。塩基配列の解析は、例えば、上述の<識別マーカーの作製方法>の「(f)識別領域の塩基配列を決定する工程、及び(g)識別対象品種の識別マーカーを決定する工程」の項目において、(5)PCR産物の精製〜(8)塩基配列の解析、として記載した手法に従って、又はこれに準じて行ってもよい。
別の態様において、一塩基多型の遺伝子型の同定は、増幅したDNA断片について、識別マーカーを構成し、ホップ品種間で相違する一塩基多型を検出するプローブ及び/又はプライマーと接触させることにより、行ってもよい。一塩基多型を検出するプローブ及び/又はプライマーは、当業者に公知の手法に従って設計及び作製することができる。そのようにして得られたプローブを用いる一塩基多型の遺伝子型の同定は、例えば、DNAマイクロアレイ法などの、当業者に公知の手法を用いて行うことができる。また、プライマーを用いる一塩基多型の遺伝子型の同定は、配列解析によるもののほか、SNaPshot(登録商標) 法(ライフテクノロジーズ社)など、検出すべき一塩基多型に応じて長さが異なる増幅産物が生じるよう設計したプライマーを利用した同定方法が利用できる。また、プローブ及びプライマーを用いる一塩基多型の遺伝子型の同定は、MGB(Minor Groove Binder)プローブ(ライフテクノロジーズ社)とそれを挟むように設計されたプライマーを併用するリアルタイムPCR法などが利用できる。
(iii)品種識別領域中の一塩基多型の遺伝子型を比較し、解析する工程
工程(iii)では、被検体のホップのDNAについての品種識別領域中の識別マーカーを構成する一塩基多型の遺伝子型と、既知のホップ品種のDNAについての対応する領域中の一塩基多型の遺伝子型を比較する。そして、この比較において、識別マーカーを構成する一塩基多型の遺伝子型について、被検体のホップと既知のホップ品種の間での一致または不一致を解析する。
比較は、視覚的検査や数学的計算により行うことができる。又は、コンピュータプログラムを用いることもできる。また、比較は、品種識別領域を含むDNA断片の塩基配列と、既知のホップの品種のDNAについての対応する領域の塩基配列を比較することにより行ってもよい。比較は、一般的に被検体の遺伝子上にある一塩基多型の検定(SNPのタイピング)で採用される方法により行うことができる。
以下に、塩基配列を直接比較する場合の具体的な比較の方法を、解析用コンピュータプログラムを用いた場合について例示する。すなわち、上述の識別マーカー作製方法により得られた識別マーカーの、塩基を表すデータと、前記塩基の塩基配列位置を表すデータとを含む識別マーカーテーブルを予め、SeqScape(Life Technologies)等の解析用コンピュータプログラムが動作したコンピュータに格納する。格納する識別マーカーテーブルは1つでも又は複数であってもよい。そして、被検体であるホップから得られた塩基を表すデータを含む被検体塩基配列のリストを前記コンピュータに格納する。
そして、前記識別マーカーテーブルの前記塩基配列位置を表すデータを参照して、被検体塩基配列リストと、前記識別マーカーテーブルとの間の対応する塩基配列位置にある塩基を表すデータを前記コンピュータで比較させる。比較は、前記解析用コンピュータプログラムにより両者の塩基配列をアラインメントすることにより行うことができる。
(iv)被検体のホップの品種を特定する工程
工程(iv)では、工程(iii)の解析結果に基づいて、被検体のホップの品種を特定する。
具体的には、被検体の塩基配列中の識別マーカーに相当する部位の塩基と前記識別マーカーの塩基が完全に一致するかを解析し、完全に一致する場合は、被検体は前記識別マーカーの品種であると特定する。
このように、本発明の識別マーカーを用いると、被検体であるホップの品種を特定することができる。コンピュータを用いて解析をする場合、予め複数の品種に関する識別マーカーを有する領域の塩基配列を記録しておき、被検体の塩基配列を各品種の塩基配列と順次、比較・解析を行うことにより、簡易かつ迅速に被検体であるホップの品種を特定することができる。
なお、識別マーカーとして決定した特定の塩基を色付けすることにより、上記した比較を容易に実行することもできる。すなわち、まず、着色された対照の塩基(識別マーカー)を有する塩基配列と、被検体の塩基配列をアラインメントした後、着色された塩基だけを抜き出して両者を比較した表を作成する。これにより塩基の種類と存在する位置の全てが一致するか否かの識別が容易になり、被検体であるホップがその識別マーカーの品種であるか否かを容易に判別できる。なお、この方法は複数の被検体を同時に解析できるため好ましい。
識別マーカーを含む核酸
本発明は、上記の識別マーカーを作製する方法により作製された識別マーカーの少なくとも一部を含む核酸をも提供する。
ここで「核酸」とは、2以上のヌクレオチドで構成されるデオキシリボ核酸(DNA)又はリボ核酸(RNA)を意味する。DNAの塩基配列で記載された核酸についてRNAが意図される場合には、DNAの塩基配列のチミンをウラシルに置き換えて理解すべきであることは当業者に理解されよう。また、核酸は一本鎖であってもよく、相補鎖とハイブリダイズした二本鎖であってもよい。
具体的には、識別マーカーの少なくとも一部を含む核酸は、配列番号9(A1領域)、配列番号10(B1領域)、配列番号11(C1領域)、配列番号12若しくは13(A1−2−L領域)、配列番号14若しくは15(A1−2−R領域)、からなる群より選択される塩基配列の一部を含み、かつ、当該塩基配列において記号nで示される一塩基多型又はindel部分の少なくとも一つを含む核酸であってもよい。好ましくは、識別マーカーの少なくとも一部を含む核酸は、配列番号9(A1領域)、配列番号10(B1領域)、配列番号11(C1領域)、配列番号12又は13(A1−2−L領域)、及び、配列番号14又は15(A1−2−R領域)、からなる群より選択される塩基配列を含む核酸であってもよい。
プライマー
本発明は、上記の識別マーカーの少なくとも1部を含む核酸を増幅することができる、プライマーをも提供する。
プライマーは、上記の識別マーカーの少なくとも一部を含む核酸を増幅し得るように設計されたプライマーであれば、特に限定されない。
プローブ
本発明は、識別マーカーを構成する一塩基多型を検出するためのプローブをも提供する。
プローブは、例えば、配列番号9(A1領域)、配列番号10(B1領域)、配列番号11(C1領域)、配列番号12又は13(A1−2−L領域)、及び、配列番号14又は15(A1−2−R領域)、からなる群より選択される塩基配列において、nで示される一塩基多型又はindel部分の少なくとも一つを検出することができるものである。
<異品種の混入を検出する方法>
異品種の混入が懸念される場合、本発明の識別マーカーを利用して、例えば以下に記載する方法で、異品種の混入を検出することができる。
ホップ試料における異品種の混入を検出する方法であって、以下の工程:
(i)被検体のホップ試料から抽出したDNAについて、品種識別領域を含むDNA断片を増幅する工程であって、当該品種識別領域はホップ品種間で相違する少なくとも一つの一塩基多型(SNP)で構成される識別マーカーを含む、前記工程;
(ii)上記工程(i)で増幅したDNA断片について品種識別領域の塩基配列を解析し、シークエンスデータを得る工程;
(iii)上記工程(ii)で得られたシークエンスデータについて、識別マーカーを構成する一塩基多型部位の情報を、正常品の対応する一塩基多型部位の情報と比較する工程;及び
(iv)ホップ試料における異品種の混入の有無を決定する工程、ここで、上記工程(ii)で得られたシークエンスデータの一塩基多型部位の情報が、正常品の対応する一塩基多型部位の情報と一致する場合は、異品種の混入はないと判断し、あるいは、上記工程(ii)で得られたシークエンスデータの一塩基多型部位の情報が、正常品の対応する一塩基多型部位の情報と一致しない場合は、異品種の混入があると判断する;
を含む、前記方法。
さらに、(iv)に引き続いて以下の工程を行うことにより、混入品種の推定又は特定を行なうことができる。すなわち、
(v)上記工程(iv)で、上記工程(ii)で得られたシークエンスデータの一塩基多型部位の情報が、正常品の対応する一塩基多型部位の情報と一致しない場合は、上記工程(ii)で得られたシークエンスデータの一塩基多型部位に出現している正常品以外に由来する情報から、その塩基を特定する工程;及び
(vi)上記工程(v)で特定された一塩基多型部位の正常品とは異なる塩基を、識別マーカーと照合し、混入品種を推定又は特定する工程;
を含む。
また、さらに(iv)に引き続いて以下の工程を行うことにより、混入割合を分析することができる。すなわち、
(v)上記工程(iv)で、上記工程(ii)で得られたシークエンスデータの一塩基多型部位の情報が、正常品の対応する一塩基多型部位の情報と一致しない場合は、上記工程(ii)で得られたシークエンスデータの一塩基多型部位に出現している正常品以外に由来する情報から、その塩基を特定し、混入割合を求める工程;及び
(vi)上記工程(v)で特定された一塩基多型部位の正常品とは異なる塩基を、識別マーカーと照合し、混入品種とその混入割合を推定又は特定する工程;
を含む。
ここで、シークエンスデータの一塩基多型部位の情報とは、例えばシークエンスの結果得られた、一塩基多型部位の形状や数値であり、具体的には、シークエンスの結果得られた、一塩基多型部位のエレクトロフェログラム(シークエンスのときに得られる各塩基を示す色分けされた波形)や、増幅断片を大腸菌などにクローニングし、得られた複数個のクローンについてシークエンスを行い、それらの配列を比較することで得られる一塩基多型部位での塩基の含有比率などが挙げられる。
また、ここにおいて正常品とは、単一品種であって、識別マーカーを構成する一塩基多型部位の情報が確立されているホップ品種を意味する。場合により、正常品という記載は、識別マーカーを構成する一塩基多型部位の情報が確立された単一品種のみを含む試料を意味することもある。
エレクトロフェログラムを用いて、異品種の混入を検出する場合には、被検体であるホップ試料のエレクトロフェログラムに、正常品の波形とは別の波形が重なって出てくることで異品種の存在が確認できる。そして一塩基多型部位に出現する正常品とは別の波形からその塩基を特定し、識別マーカーと照合することによって、混入品種を推定又は特定することができる。各識別マーカー(SNP)におけるその品種に特徴的な塩基が全て認められれば、混入品種の特定が可能である。更に、それらの波形の重なり具合や高さなどから、別途実施したあらかじめ混入割合が既知の他品種混合品の解析結果と比較することで、異品種のおおよその混入割合が求められる。
また増幅断片を大腸菌などにクローニングして得られた複数個のクローンのシークエンスデータを用いる場合には、その複数個のクローンの配列をアライメントして一塩基多型部位ごとに塩基の含有比率を求めることによって、異品種の混入を検出することが可能である。すなわち異品種が混入していなければ、含有比率は、いずれの部位も正常品の塩基と同じ塩基が100%となるはずであるが、異品種が混入していると正常品の塩基と同じ塩基が100%とはならず、別の塩基の含有比率が認められる。このようにして正常品の塩基とは異なる塩基を、識別マーカーと照合することによって、混入品種を特定し、含有比率を求めることができる。ただし大腸菌にクローニングする方法は、数多くのクローンを分析する必要があるため多大な労力と時間を要する作業が発生する。
一塩基多型部位ごとに塩基の含有比率を求める別の方法として、被検体であるホップ試料の品種識別領域を含むDNA断片を、次のステップに必要な付加配列を有する特異的なプライマーを用いて増幅し、それを次世代シークエンサーで大量にシークエンスし、それらをアライメントして一塩基多型部位ごとに塩基の含有比率を求めることで、混入品種の特定と混入比率をより正確に求めることが可能である。
また、プライマーを多型(SNP)直前に設定し、一塩基のみを伸長させて取り込んだ塩基の種類で多型のタイピングを行う方法がある。例えば、SNaPshot(登録商標) 法(ライフテクノロジーズ社)と呼ばれる方法である。また、MGB(Minor Groove Binder)プローブ(ライフテクノロジーズ社)を用いてリアルタイムPCR法で異品種を定量的に分析できる方法がある。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1 識別マーカーの作製
(a)トランスクリプトーム解析
ホップ品種識別技術開発に必要な品種間DNA多型領域を得るため、次世代シークエンサーを用いて大量のシークエンスデータを得、それらの中から広範囲にSNP(ヒトゲノムの場合のSNPが検出される頻度は、1個/100−300塩基と考えられている;http://www.eubios.info/hmback.htm)を探索したいと考えた。そこで本発明者らはトランスクリプトームに着目した。トランスクリプトーム解析は全ゲノムを対象とする場合に比べて、おおよそ1/100程度のデータ処理で済み、納期やコストが抑えらる。しかも全ゲノムに比べて少ないとは言え、我々の計算では1万5千個ものSNPデータが利用できる。そのため、多品種識別に必要なSNPが得られるであろうと想定し、本手法を利用して品種間のSNP解析を実施した。
(1)試料の採取・保管
次項の表4に記載の識別対象品種の中から3品種(便宜上、品種A、B、Cと記載する)を選択し、該品種のホップ生葉を採取した。すなわち、以下に示す方法でサンプリング・保管を実施した。
a.組織−できるだけ若い葉(小さい、黄緑色、やわらかい)を採取した。ただし表面に白い異物が付着したような葉は除外した。
b.方法−RNaseの付着を防止するため、手術用手袋をはめた手で葉を採取した。採取と同時にRNA分解防止用の試薬に浸漬した。
c.保管−常温で少なくとも1週間程度はRNAが安定であるが、トランスクリプトーム解析及びSNP配列解析を行うまでの間、可能な限り冷蔵庫に入れて保管した。
(2)トランスクリプトーム解析
上記のように採取した試料について、トランスクリプトーム解析を、Eurofins社に委託して行った。具体的には、全RNAの抽出、mRNAの精製、cDNAライブラリーの作成、発現量の差の均一化、サイズ調整(500〜700bp)、GS FLXシークエンサー用のcDNAライブラリーの調製、「Titanium Chemistry」を用いたRoche/454 Genome Sequencer FLXによるシークエンスを行った。
(b)アセンブル(コンティグの作成)
トランスクリプトームデータを用いたSNP解析
上記トランスクリプトーム解析によって得られたシークエンスデータを用いてコンティグの作成を、Eurofins社に委託して行った。具体的には、各ホップ品種についてDNA断片の塩基配列を基に、クラスタリングとアセンブルを行った。その結果、各品種より合計約42000〜45000種のコンティグ(cDNAの一部)の塩基配列を取得した。そのうち、1000bp以上の長さを有するコンティグは約4500〜6700個であった。
(c)SNPの探索
次に上記アセンブルによって得られたコンティグとシングレットのシークエンスデータを用いてSNPの探索を、Eurofins社に委託して行った。具体的には、品種Cのコンティグ及びシングレットの塩基配列を参照配列(reference)にして、品種B、品種Aのシングルリードをそれに当てて、共通部分を有するか否かでそれぞれマッピングする。さらにマッピングされたシングルリードが構成要素となっているコンティグを解析ソフト上で展開したアセンブル情報から割り出す。このようにして得られたリファレンスとその他の品種のコンティグ及び/又はシングレットについてアライメントを行い、SNPの探索を実施した(バイオインフォマティクス解析)。しかし、それだけでは不十分であったので、品種Bのコンティグ及びシングレットの塩基配列を参照配列にして、品種A、品種Cのシングルリードをそれに当てて、上記と同様の方法でSNPの探索を実施し、さらに品種Aのコンティグ及びシングレットの塩基配列を参照配列にして、品種B、品種Cのシングルリードをそれに当てて、上記と同様の方法でSNPの探索を実施した。
(d)SNPが含まれる領域の選択及びプライマーの設計
上記SNP探索によって得られたSNPデータを用いて、リファレンスを除く2品種がホモであるSNPを抽出し、さらにその中からコンティグあたりのSNP数の多い領域を抽出した。結果を以下の表に示す。
このようにして選択したそれぞれの解析領域を、B1領域、A1領域、C1領域、A1−2領域と命名し、SNPを含むエリアが増幅されるようなプライマーを設計し、合成した。それぞれのプライマーの配列を以下に記した。
(e)識別領域とプライマーの決定
前記トランスクリプトーム解析に用いたホップ3品種(品種A、B、及びC)のペレット又は乾燥毬花からDNAを抽出し、表3に記載のプライマーを用いてA1、B1、C1及びA1−2の各領域を増幅し、サンガー法によるダイレクトシークエンスを実施した。具体的には、下記(f)の(2)〜(8)と同様の方法で行った。その結果、増幅することを確認し、また次世代シークエンサーから得られたデータとの比較を行い、品種A、B、Cの三者間での識別が可能であることを確認した。
(f)識別対象品種を用いた識別領域のシークエンス
A1、B1、C1及びA1−2の各領域(及び含まれるSNP)の解析は、上記3品種以外の品種の識別にも適用可能と判断し、品種を拡大して解析を進めた。
(1)ホップの品種識別に供試した品種
識別対象品種として、以下の表4に記した14品種を用いた。
(2)DNA抽出
a.ホップペレットからの抽出
ホップペレットを乳鉢中で磨砕するか、スパチュラなどで細かく砕き、その10〜50mgから下記CTAB法を用いてDNAを抽出した。
CTAB(Cetyltrimethyl ammonium bromide)法によるDNA抽出は以下のように行った。2%(w/v)CTAB(Calbiochem社製)、100mM Tris−HCl(pH8.0)、20mM EDTA(pH8.0)、1.4M NaCl、1%(w/v)PVP(Polyvinylpyrrolidone)を組成とするCTAB液を調製した。このCTAB液650μlと1mg/ml RNaseA溶液2μlを上記のように粉砕した検体と共に1.5ml容のマイクロチューブに入れよく攪拌した。この検体とCTAB液の入ったマイクロチューブを内部の試料が浸るように65℃の恒温水槽に漬けて1時間インキュベートしてホップの細胞を破砕した。次に等量(650μl)のクロロホルム/イソアミルアルコール(24:1)を加え、手で3分間転倒混和した。短時間の遠心分離(Beckman Allegra 21R Centrifuge F2402H;15,000rpm(約15,000×g)で1〜5分間))を行い、有機溶媒層(下層)と水層(上層)に分画し、水層(約400μl)を新しいチューブに移した。等量のイソプロピルアルコールを加え、転倒混和後、上記と同様に遠心分離を行った。上清を捨て、沈殿を約500μlの70%エタノールでリンスし、遠心エバポレーターで約5分間乾燥させたものを、20〜50μlのTEバッファーに溶解してDNA試料とした。
b.ホップ乾燥毬花からの抽出
ホップ乾燥毬花約1gを液体窒素存在下で乳鉢中で磨砕し、その10〜50mgから上記と同様にDNA試料を調製した。
(3)PCR
識別領域のDNA断片の増幅は、上記(2)で調製したDNA試料及びPerfectShot Ex Taq(Loading dye mix)(タカラバイオ株式会社)を用い、添付のマニュアルに準じてPCR反応液(50μl;0.2ml容のマイクロチューブ)を調製して行った。識別領域として、A1領域、B1領域、C1領域、A1−2領域を選択し、この領域のDNA断片を増幅した。各識別領域のDNA断片を増幅するためのプライマーの名称及び塩基配列、並びにPCR反応液組成及びPCR反応条件を以下にまとめた。
A1領域解析用プライマーセット
A1−3L: TAAGGTGTTGGGAGGGTTGA(配列番号1)
A1−3R: CCACCAATAACAGGCTCCAC(配列番号2)
B1領域解析用プライマーセット
B1−1L: CAGACTTGTGGCTGTCAAAAA(配列番号3)
B1−1R: CTTCTCCTTCGAACCTGTCG(配列番号4)
C1領域解析用プライマーセット
C1−1L: CGGCGTTTTTCAATTTTCAT(配列番号5)
C1−1R: GTGATGACTCGGGCTTCAGT(配列番号6)
A1−2領域解析用プライマーセット
A1−2−1L: GAAATCTGCTTKGAGAAACCTGG(配列番号7)
A1−2−1R: GCAGGTATCTTTGTAGGTACATC(配列番号8)
(4)PCRによる増幅の確認
上記で得られたPCR反応液の5μlをアガロースゲル電気泳動に供した。この際、ミニゲル電気泳動システム「Mupid」を用いて電気泳動を実施し(ゲル;3% NuSieve 3:1 Agarose(FMCバイオプロダクツ社製、又はCambrex Bio Science Rockland社製、泳動条件;100V、30分)、2μg/ml臭化エチジウム溶液中で約40分間染色後、UV照射下で増幅産物の写真撮影を行った。その結果、各DNA試料について、目的の大きさのDNA断片が増幅されていることを確認した。各プライマーセットを用いた場合に増幅されるDNA断片の大きさを下表にまとめた。
(5)PCR産物の精製
上記PCR産物の精製にはQIAquick PCR Purification Kit (50)(キアゲン社)を使用し、プロトコ−ルに基づいて以下の方法で行った。すなわち、PCR反応液(残量約45μl)にPBI Bufferを5倍量(225μl)加えて、混和した。次に、この液をQIA quickspinに入れ、13,000rpm(約11,000×g)で1分間遠心分離した。ろ液を捨て、750μl PE Bufferを添加した後、13,000rpmで1分間遠心分離した。ろ液を捨て、再度14,000rpm(約13,000×g)で1分間遠心分離した。ろ液を捨て、新しい1.5mlエッペンチューブにカラムを移し、30μl EB Bufferを添加し、1分間放置後、13,000rpmで2分間遠心分離して、ろ液をサンプルとした。
(6)サイクルシークエンス反応及びシークエンス産物の精製
BigDye Terminator v1.1 Cycle Sequencing Kit(Life Technologies)を用い、その日本語版プロトコール(p.22「1本鎖DNA、2本鎖DNAのサイクルシークエンス」、p.25「GeneAmp PCR System 9700, 9600, 2700, 2400でのサイクルシークエンス」及びp.38−40「スピンカラム(やスピンプレート)での精製法」)に基いて以下のように実施した。なお、用いたプライマーの塩基配列は、目的のDNA断片のPCRによる増幅に用いたものと同じである。すなわち、PCR産物の精製液を5〜20ng/μlになるように滅菌蒸留水で希釈し、このうちの2μlにSequence premix(Big dye)を8μlと1μMに希釈した各プライマーをそれぞれ単独(プライマーセットのうちのいずれか一方)で3.2μl添加し、滅菌蒸留水にて最終20μlに調整したサイクルシークエンス反応液を得た。これを0.2ml容のマイクロチューブ(PCR用)に入れ、PCR装置(DNA Thermal Cycler GeneAmp PCR System 9600;旧Perkin Elmer社製)にセットして、変性(96℃、1分)を行った後、変性(96℃、10秒)、アニーリング(50℃、5秒)、鎖伸長(60℃、4分)の反応を25回繰り返した。なお、反応終了後、サンプルをすぐに取り出せない場合には、サンプルブロックの温度を4℃に下げて保持した。
シークエンス産物は、CENTRI-SEP Spin Column(Life Technologies)にて精製した。すなわち、充填剤を室温で2時間以上膨潤させて前処理の完了しているCENTRI-SEP Spin Columnの中心部に上記シークエンス産物(約20μl)を載せるように添加し、1.5ml容のマイクロチューブを下部に受け、2,700rpm(約500×g)、2分間遠心分離を行い、マイクロチューブ内に集まった溶液を精製DNAとして回収した。この溶液を減圧下で乾燥させた後、20μlのTSR又はHi-Di formamideを添加し、10分間程度放置した後、よく混和した。この液を0.2ml容のマイクロチューブ(PCR用)に移し、DNA Thermal Cycler GeneAmp PCR System 9600にて変性(95℃、2分)を行い、直ちに氷中に挿入して急冷し、そのまま10分間以上放置した。
(7)DNAシークエンス
ABI PRISM 310 Genetic Analyzerを使用し、「ABI PRISM 310 Genetic Analyzer操作ガイド」に基づいて実施した。すなわち、上記の急冷後の試料をサンプルチューブに移し、チューブセプタで蓋をし、48穴サンプルトレーにセットした。その後は、操作ガイドに従ってDye Terminator法によりシークエンスを実施した。なお、解析装置によって異なるがシークエンスできる範囲には限界がある。従ってA1−2領域は断片の大きさが約1500bpであるため、シークエンスデータは、5’側(プライマーL)から約500bpのA1−2−L領域と、3’側(プライマーR)から約800bpのA1−2−R領域の2領域のデータが得られた。
(8)塩基配列の決定
5’側(プライマーL)と3’側(プライマーR)からそれぞれ得られたシークエンスデータを照合して正確な塩基配列を決定した。
(g)識別マーカーの決定
上記(f)で決定された14品種の塩基配列について、各識別領域ごとにアラインメントを行い、SNPの箇所を検出した。
識別対象品種として選んだ14品種のホップについて、A1領域の塩基配列を決定した。各品種におけるA1領域の塩基配列を表す配列番号を以下の表7に示す。
これらの塩基配列についてアラインメントを行い、A1領域のコンセンサス配列(配列番号9)を決定した。表7に示す各品種について決定された塩基配列について、A1領域の24箇所のSNP、すなわち、配列番号9の74、77、87、103、116、118、121、125、134、135、148、192、195、197、199、203、204、226、230、235、306、316、330、532番目の位置に対応するSNPを評価した。識別対象品種の14種のホップは、A1領域における24箇所のSNPについて、タイプ1〜タイプ9の9通りの組み合わせを示した。その結果を図1に示した。
次に、識別対象品種として選んだ14品種のホップについて、B1領域の塩基配列を決定した。各品種におけるB1領域の塩基配列を表す配列番号を以下の表8に示す。
これらの塩基配列についてアラインメントを行い、B1領域のコンセンサス配列(配列番号10)を決定した。表8に示す各品種について決定された塩基配列について、B1領域の10箇所のSNP、すなわち、配列番号10の178、204、227、234、370、426、439、547、562、624番目の位置に対応するSNPを評価した。識別対象品種の14種のホップは、B1領域における10箇所のSNPについて、タイプa〜タイプgの7通りの組み合わせを示した。その結果を図2に示した。
そして、識別対象品種として選んだ14品種のホップについて、C1領域の塩基配列を決定した。各品種におけるC1領域の塩基配列を表す配列番号を以下の表9に示す。
これらの塩基配列についてアラインメントを行い、C1領域のコンセンサス配列(配列番号11)を決定した。表9に示す各品種について決定された塩基配列について、C1領域の29箇所のSNP(このうち6箇所は挿入欠失部分)、すなわち、配列番号11の3、13、17、87、88、129、130、131、132、133、134、254、331、356、375、380、396、398、399、421、460、474、475、476、477、480、481、500、547番目(129〜134番目がindel部分)の位置に対応するSNPを評価した。識別対象品種の14種のホップは、C1領域における29箇所のSNP又はindel部分について、タイプi〜タイプiiiの3通りの組み合わせを示した。その結果を図3に示した。
A1領域の24箇所のSNP、B1領域の10箇所のSNP、C1領域の29箇所のSNP又はindel部分の解析を経て、14品種のうち、Perle及びNorthern Brewerを除く12品種までを異なるタイプに分類することができた(図5)。
Perle及びNorthern Brewerを識別するために、さらにA1−2領域の塩基配列を解析した。Perle由来のDNA試料におけるA1−2―L領域及びA1−2−R領域の塩基配列はそれぞれ配列番号58及び配列番号60に、Northern Brewer由来のDNA試料におけるA1−2―L領域とA1−2−R領域の塩基配列はそれぞれ配列番号59及び配列番号61に示す通りであった。これらの配列についてアラインメントを行い、A1−2−L及びA1−2−R領域のコンセンサス配列(それぞれ配列番号12及び14)を決定した。Perle及びNorthern Brewerについて決定された塩基配列について、配列番号12及び14について図4で特定される位置に対応するSNPを評価した。その結果、図4に示すように、複数箇所でSNPの相違が観察された。
よって、A1領域、B1領域、C1領域のSNPに加えて、A1−2−L領域とA1−2−R領域の少なくとも1つのSNPを組み合わせることにより、表4に示す14品種すべての識別が可能な識別マーカーを作製することができた(図5)。
さらに、Sladeck、Spaltar、Perle、Tettnang、Northern Brewerの5品種について、A1−2−L領域およびA1−2−R領域の識別マーカーの決定を行った。
上記5品種のホップについて、A1−2−L領域の塩基配列を決定した。各品種におけるA1−2−L領域の塩基配列を表す配列番号を以下の表10に示す。
これらの塩基配列についてアラインメントを行い、A1−2−L領域のコンセンサス配列(配列番号13)を決定した。表10に示す各品種について決定された塩基配列について、A1−2−L領域の23箇所のSNP(このうち11箇所は挿入欠失部分)、すなわち、配列番号13の2、12、31、98、115、121、161、165、168、183、184、185、186、187、188、189、190、191、389、395、396、456、499番目(12、183〜191、及び396番目はindel部分)の位置に対応するSNPを評価した。識別対象品種の5種のホップは、A1−2−L領域における23箇所のSNP又はindel部分について、タイプ(1)〜タイプ(5)の5通りの組み合わせを示した。その結果を図6に示した。
A1−2−L領域のSNP又はindel部分の組み合わせにより、表10に示す5品種の識別が可能な識別マーカーを作製することができた。
また、上記5品種のホップについて、A1−2−R領域の塩基配列を決定した。各品種におけるA1−2−R領域の塩基配列を表す配列番号を以下の表11に示す。
これらの塩基配列についてアラインメントを行い、A1−2−R領域のコンセンサス配列(配列番号15)を決定した。表11に示す各品種について決定された塩基配列について、A1−2−R領域の28箇所のSNP(このうち1箇所は挿入欠失部分)、すなわち、配列番号15の2、6、12、13、18、20、22、24、26、36、52、87、88、125、139、140、160、162、167、188、223、249、273、284、326、339、421、437番目(437番目のindel部分)の位置に対応するSNPを評価した。識別対象品種の5種のホップは、A1−2−R領域における28箇所のSNP又はindel部分について、タイプ(a)〜タイプ(d)の4通りの組み合わせを示した。その結果を図6に示した。
A1−2−R領域のSNP又はindel部分の組み合わせにより、表10に示す5品種のうち4品種(3品種と、2品種からなる1グループ)の識別が可能な識別マーカーを作製することができた。
実施例2:DNA試料の調製方法の比較
実施例1(f)の(2)のDNA抽出において、DNA試料をホップペレットから抽出した場合とホップ乾燥毬花から抽出した場合とで結果を比較した。
その結果、ホップペレットを出発材料とした場合、ホップ乾燥毬花を出発材料とした場合のいずれのDNA試料でも、DNA抽出及びシークエンスが可能であることを確認した。また、得られるDNA解析結果も同じであることを確認した。
よって、ホップ乾燥毬花を用いる場合でもペレットと同様にDNA解析が可能であり、加工工程での検査(ペレット加工工程でのコンタミ検証など)が技術的に可能であることを確認した。
実施例3:クローン間での比較
Saazクローン3種(Osvald’s clone 31, 72, 114)の乾燥毬花を約1g、液体窒素存在下で乳鉢中で磨砕し、その約50mgから実施例1(f)の(2)と同様にCTAB法によってDNAを抽出した。抽出したDNA試料について、実施例1(f)の(3)〜(7)と同様に、A1、B1、及びC1領域のDNA断片を増幅し、増幅したDNA断片の配列決定を行った。クローン3品種の塩基配列について、各領域ごとにアライメントを行い、比較した。
その結果、Saazクローン3種間で解析した領域の塩基配列に差異がないことが確認された。すなわち、上記の品種識別領域を利用する解析では、いずれのクローンが用いられたとしても、Saazとして識別されることが明らかとなった。この結果から、A1、B1、及びC1領域を品種識別領域として利用する解析では、クローン別判定の必要がないことが確認された。
実施例4:他品種混入のモデル実験
SaazとPremiant混合試料の分析(A1領域)を実施した。それぞれのペレットを実施例1にしたがって粉砕した後、表12のような重量比率で混合したサンプルを調製した。
サンプル(1)〜(5)それぞれを用いて、実施例1と同様の操作によりDNA抽出、PCRによるA1領域の増幅、シークエンス、データ解析を実施した。その結果、図8に示すように両者の混合比率がエレクトロフェログラム(波形)にどのように反映されているかを調べることで、混入割合のおおよその検出下限を5%と求めることができた。例えば、配列番号9の199番目の塩基に対応するSNP箇所では、SaazがTであるのに対して、PremiantがCであり、それぞれの品種の混合割合に応じて、それぞれの塩基のピークの形状(高さ)が変化していることがわかる。すなわち、Saazが100%の場合のエレクトロフェログラムでは、T以外の波形が認められないのに対し、Premiantが混合されている場合には、Tの波形にCの波形が重なって認められる。そしてPremiantが5%混合された場合のエレクトロフェログラムでは、混合されていない場合と比較して、Cの波形がわずかではあるが認められている。
実施例5:アメリカ品種の識別
A1、B1、C1及びA1−2の各領域(及び含まれるSNP)の解析が、アメリカ品種の識別にも適用可能か検討を行った。
A.方法
1.供試品種
識別対象品種として、表13に記したアメリカホップ8品種(Cascade、Zeus、Summit、Galena、Super Galena、Nugget、Columbus、Tomahawk)を用いた。
2.DNA抽出
実施例1の「b.ホップ乾燥毬花からの抽出」の欄に記載した方法に準じて各乾燥毬花約1gを液体窒素存在下で乳鉢中で磨砕し、その10〜50mgからDNA試料を調製した。
3.PCRおよび増幅の確認、増幅産物の精製
A1領域、B1領域、C1領域、A1−2領域の各プライマーを用いて、実施例(3)PCR〜(5)PCR産物の精製の欄に記載の手順に従ってPCRを実施し、増幅の確認後、増幅産物の精製を行った。
4.DNAシークエンス
PCR産物精製品と各プライマー(プライマーペアーのうち、シークエンスしたい側の1本鎖を指定するプライマー)と純水を混合して14μLとし、オペロンバイオテクノロジー社にシークエンシングを委託しシークエンス結果(生データ、エレクトロフェログラム、エレクトロフェログラムからPCで処理されたシークエンスデータ)を得た。
5.シークエンス結果の解析
上記4で得られた5’側(プライマーL)と3’側(プライマーR)からのデータを照合して正確な塩基配列を決定した。
B.結果
結果を以下に記す。
1.A1領域のマーカーを用いた検討
いずれの品種についてもA1領域用プライマーによるPCR増幅が可能であり、シークエンスを行った結果、8品種を計4タイプに分類できた(表14)。
尚、各品種におけるA1領域の塩基配列を表す配列番号を以下の表15に示す。
2.B1領域のマーカーを用いた検討
いずれの品種についてもB1領域用プライマーによるPCR増幅が可能であり、シークエンスを行った結果、8品種を計4タイプに分類できた(表16)。
尚、各品種におけるB1領域の塩基配列を表す配列番号を以下の表17に示す。Galenaは配列が2通りあり、その相違(塩基番号245〜248)に基づき識別能力を持たせることもできる。
アメリカ品種を含めた識別の際のB1領域のコンセンサス配列(A,G,C,Tで表示)およびSNP箇所(Nで表示)を配列番号105として配列表に記載した。
3.C1領域のマーカーを用いた検討
いずれの品種についてもC1領域用プライマーによるPCR増幅が可能であり、シークエンスを行った結果、8品種を計3タイプに分類できた(表18)。
尚、各品種におけるC1領域の塩基配列を表す配列番号を以下の表19に示す。CascadeおよびSuper Galenaは配列が2通りあり、その相違に基づき識別能力を持たせることもできる。
アメリカ品種を含めた識別の際のC1領域のコンセンサス配列(A,G,C,Tで表示)およびSNP箇所(Nで表示)を配列番号106として配列表に記載した。
3領域の解析結果を総合すると、いずれの品種についてもプライマーによるPCR増幅が可能であり、シークエンスを行った結果、8品種のうち6品種から得られたDNA型は互いに異なり、またいずれも欧州品種にないタイプであったので、これらの品種間での識別が可能であった。しかし、ZeusとSummitの2品種については、チェコのPremiantと同じCタイプのDNA型を示した(表14、16、18)。
4.A1−2領域のマーカーを用いた解析
A1、B1、C1領域解析でチェコのPremiantと同じDNAタイプCとなったZeusとSummitに対し、A1−2−R領域の解析を行った結果、3者間でindelやSSR、SNPsの存在が認められた。特にindelとSSRについて顕著に異なっていた(表20)。表20は配列番号14の塩基番号に基づいており、上からそれぞれPremiant、Zeus、Summitの順に配列を記載し、それらの下にPerleとNorthern Brewerの識別の際のコンセンサス配列(A,G,C,Tで表示)およびSNP箇所(Nで表示)を記載した。アメリカ品種の識別の際のA1−2領域のコンセンサス配列(A,G,C,Tで表示)およびSNP箇所(Nで表示)を配列番号107して配列表に記載した。
表20より明らかなように、塩基番号64−85の22塩基挿入がPremiantとSummitには認められたのに対し、Zeusには認められなかった。しかも、更に詳細に観察すると、上記22塩基の挿入配列の中にもPremiantとSummitの間で3箇所(塩基番号64番目、67番目、75番目)のSNPが認められた。この領域で3品種間に違いが認められたが、更に顕著な違いとして、この挿入配列に続いて塩基番号141にまで達する、(CA)もしくは(TA)の繰り返し配列において、Summitだけが他の2品種に比べて12塩基長い構造になっていた。以上の結果を合わせ、これら3品種の間での識別が可能となった。
5.まとめ
以上の結果を総合すると、A1、B1、C1及びA1−2の各領域の解析の結果、アメリカ産のホップ8品種の識別が可能であった。これらにチェコ3品種、ドイツ11品種を加えた全22品種の識別が可能になった(表21)。
配列番号1: プライマーA1−3L
配列番号2: プライマーA1−3R
配列番号3: プライマーB1−1L
配列番号4: プライマーB1−1R
配列番号5: プライマーC1−1L
配列番号6: プライマーC1−1R
配列番号7: プライマーA1−2−1L
配列番号8: プライマーA1−2−1R

Claims (14)

  1. ホップ品種の識別方法であって、以下の工程:
    (i)被検体のホップ由来のDNAについて、品種識別領域を含むDNA断片を増幅する工程であって、当該品種識別領域はホップ品種間で相違する少なくとも一つの一塩基多型(SNP)で構成される識別マーカーを含む、前記工程;
    (ii)上記工程(i)で増幅したDNA断片について、一塩基多型の遺伝子型を同定する工程;
    (iii)上記工程(ii)で同定された被検体のホップのDNAについての品種識別領域中の一塩基多型の遺伝子型と、既知のホップ品種のDNAについての対応する領域中の一塩基多型の遺伝子型を比較し、当該領域の中の一塩基多型の遺伝子型について被検体のホップと既知のホップ品種の間での一致又は不一致を解析する工程;
    (iv)上記工程(iii)の解析結果に基づいて被検体のホップの品種を特定する工程;
    を含み、
    前記品種識別領域が、配列番号9で表される塩基配列、配列番号10で表される塩基配列、配列番号11で表される塩基配列、配列番号12で表される塩基配列、配列番号13で表される塩基配列、配列番号14で表される塩基配列、及び配列番号15で表される塩基配列からなる群より選択される1以上の塩基配列の一部又は全部であって、図1、図2、図3、図4及び図6で特定されている一塩基多型又は挿入欠失部分の少なくとも一つを含む領域である、
    前記方法。
  2. 工程(ii)が、工程(i)で増幅したDNA断片について品種識別領域の塩基配列を同定することにより行われ、そして
    工程(iii)が、工程(ii)で同定された被検体のホップのDNAについての品種識別領域の塩基配列と、既知のホップ品種のDNAについての対応する領域の塩基配列を比較し、当該領域の中の識別マーカーについて被検体のホップと既知のホップ品種の間での一致又は不一致を解析することにより行われる、
    請求項1に記載の方法。
  3. 工程(ii)が、工程(i)で増幅したDNA断片について、ホップ品種間で相違する一塩基多型を検出するプローブ及び/又はプライマーと接触させることにより、一塩基多型の遺伝子型を同定する工程である、請求項1に記載の方法。
  4. 品種識別領域が、配列番号9で表される塩基配列を含む領域、配列番号10で表される塩基配列を含む領域、配列番号11で表される塩基配列を含む領域、配列番号12で表される塩基配列を含む領域、配列番号13で表される塩基配列を含む領域、配列番号14で表される塩基配列を含む領域、及び配列番号15で表される塩基配列を含む領域からなる群より選択される1以上の領域である、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 品種識別領域が、以下:
    配列番号9で表される塩基配列を含む領域、配列番号10で表される塩基配列を含む領域、及び配列番号11で表される塩基配列を含む領域;の3種の領域に加えて、以下:
    配列番号12及び/又は配列番号14で表される塩基配列の一部又は全部であって、図4で特定されている一塩基多型又は挿入欠失部分の少なくとも一つを含む領域;
    である、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
  6. 工程(i)が、配列番号1及び配列番号2の組み合わせ、配列番号3及び配列番号4の組み合わせ、配列番号5及び配列番号6の組み合わせ、及び配列番号7及び配列番号8の組み合わせからなる群より選択されるプライマーセットを用いたPCR反応により行われる、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
  7. 工程(i)が、以下:
    配列番号1及び配列番号2の組み合わせ、配列番号3及び配列番号4の組み合わせ、並びに、配列番号5及び配列番号6の組み合わせ;の3種のプライマーセットに加えて、配列番号7及び配列番号8の組み合わせ、のプライマーセットを用いたPCR反応により行われる、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
  8. ホップ品種間で相違する一塩基多型の組み合わせで構成される識別マーカーの作製方法であって、以下の工程:
    (a)2以上の異なる品種のホップを用いて、トランスクリプトーム解析を行う工程;
    (b)上記工程(a)の結果得られたDNA断片の塩基配列を元に、品種ごとにアセンブルする工程;
    (c)上記工程(b)の結果得られたコンティグ及び/又はシングレットを品種間で比較して、品種間で相違する一塩基多型(SNP)の探索を行う工程;
    (d)上記工程(c)のSNP探索の結果、SNPが含まれる領域を選択し、該領域を増幅するためのプライマーを設計する工程;
    (e)上記工程(d)で設計したプライマーを用いて、ホップから抽出したDNAを鋳型として上記工程(d)で選択した領域が増幅しうることを確認し、その塩基配列を決定することにより、識別領域とそれを増幅しうるプライマーを決定する工程;
    (f)上記工程(e)で決定したプライマーを用いて、識別対象品種のホップから抽出したDNAを鋳型として識別領域を増幅し、識別領域の塩基配列を決定する工程、ここで前記識別領域の塩基配列が、配列番号9で表される塩基配列、配列番号10で表される塩基配列、配列番号11で表される塩基配列、配列番号12で表される塩基配列、配列番号13で表される塩基配列、配列番号14で表される塩基配列、及び配列番号15で表される塩基配列からなる群より選択される1以上の塩基配列の一部又は全部であって、図1、図2、図3、図4、及び図6で特定されている一塩基多型又は挿入欠失部分の少なくとも一つを含むものである;及び
    (g)上記工程(f)で決定した識別領域の塩基配列を品種間で比較して、識別対象品種を識別するために必要なSNPの組み合わせで構成される識別マーカーを決定する工程;
    を含む、前記方法。
  9. プライマーであって、配列番号1〜8のいずれかに記載された塩基配列からなり、ここで当該プライマーはホップの品種識別のために用いられる、前記プライマー。
  10. プローブであって、配列番号9で表される塩基配列、配列番号10で表される塩基配列、配列番号11で表される塩基配列、配列番号12で表される塩基配列、配列番号13で表される塩基配列、配列番号14で表される塩基配列、及び配列番号15で表される塩基配列からなる群より選択される1以上の塩基配列において、図1、図2、図3、図4又は図6で特定される位置における少なくとも一つの一塩基多型又は挿入欠失部位を検出することができ、そしてそれによりホップ品種間で相違する一塩基多型を検出する、前記プローブ。
  11. ホップ試料における異品種の混入を検出する方法であって、以下の工程:
    (i)被検体のホップ試料から抽出したDNAについて、品種識別領域を含むDNA断片を増幅する工程であって、当該品種識別領域はホップ品種間で相違する少なくとも一つの一塩基多型(SNP)で構成される識別マーカーを含む、前記工程;
    (ii)上記工程(i)で増幅したDNA断片について品種識別領域の塩基配列を解析し、シークエンスデータを得る工程;
    (iii)上記工程(ii)で得られたシークエンスデータについて、識別マーカーを構成する一塩基多型部位の情報を、正常品の対応する一塩基多型部位の情報と比較する工程;及び
    (iv)ホップ試料における異品種の混入の有無を決定する工程、ここで、上記工程(ii)で得られたシークエンスデータの一塩基多型部位の情報が、正常品の対応する一塩基多型部位の情報と一致する場合は、異品種の混入はないと判断し、あるいは、上記工程(ii)で得られたシークエンスデータの一塩基多型部位の情報が、正常品の対応する一塩基多型部位の情報と一致しない場合は、異品種の混入があると判断する;
    を含み、
    前記品種識別領域が、配列番号9で表される塩基配列、配列番号10で表される塩基配列、配列番号11で表される塩基配列、配列番号12で表される塩基配列、配列番号13で表される塩基配列、配列番号14で表される塩基配列、及び配列番号15で表される塩基配列からなる群より選択される1以上の塩基配列の一部又は全部であって、図1、図2、図3、図4及び図6で特定されている一塩基多型又は挿入欠失部分の少なくとも一つを含む領域である、
    前記方法。
  12. 工程(iv)に引き続いて以下の工程:
    (v)上記工程(iv)で、上記工程(ii)で得られたシークエンスデータの一塩基多型部位の情報が、正常品の対応する一塩基多型部位の情報と一致しない場合は、上記工程(ii)で得られたシークエンスデータの一塩基多型部位に出現している正常品以外に由来する情報から、その塩基を特定する工程;及び
    (vi)上記工程(v)で特定された一塩基多型部位の正常品とは異なる塩基を、識別マーカーと照合し、混入品種を推定又は特定する工程;
    をさらに含む、請求項11に記載の方法。
  13. 工程(iv)に引き続いて以下の工程:
    (v)上記工程(iv)で、上記工程(ii)で得られたシークエンスデータの一塩基多型部位の情報が、正常品の対応する一塩基多型部位の情報と一致しない場合は、上記工程(ii)で得られたシークエンスデータの一塩基多型部位に出現している正常品以外に由来する情報から、その塩基を特定し、混入割合を求める工程;及び
    (vi)上記工程(v)で特定された一塩基多型部位の正常品とは異なる塩基を、識別マーカーと照合し、混入品種とその混入割合を推定又は特定する工程;
    をさらに含む、請求項11に記載の方法。
  14. 工程(iii)において、19〜25塩基の挿入配列の有無の解析を含む、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の方法。
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