JP6218516B2 - レーダ装置及びパルス送受信方法 - Google Patents
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Description
レーダ装置においては、マグネトロンやクライストロンと比べて、周波数特性が優れている固体化(半導体化)送信機が普及し始めているが、ピーク電力が前者よりも劣るため、最大探知距離を確保する目的で、信号処理段でパルス圧縮処理を行うことが一般的となっている。
レーダ装置では、一般的に、パルス圧縮後のサイドローブレベルの低減や、利得(例えば、信号対雑音比(S/N))の向上を図るため、そのサイドローブレベルや利得などを指標として、観測対象に向けて放射するパルス信号の波形を整形する。
ただし、レーダ装置がパルス信号を観測対象に向けて放射する際、そのパルス信号の送信経路上に存在しているデバイス(例えば、増幅器、周波数変換器、混合器、フィルタなど)の影響でパルス信号の波形に歪みを生じるが、そのパルス信号の波形の歪みを定式化することは一般に困難であるため、圧縮波形の逆特性を得ることも困難である。このため、圧縮波形の逆特性を持つ波形の送信パルス信号を生成することは困難である。
このレーダ装置では、パルス信号の波形の歪みを定式化する必要がないため、容易に経路上のデバイスの影響を低減することができるが、実際に観測対象に向けて放射されるパルス信号をフィードバックするものであるため、構成品を連接する前の製造段階では実現できず、もし構成品の一部に問題があり、構成品もしくは装置構成を変更する場合には、多大な時間やコストがかかる。また、送信パルス信号及び経路上のデバイスの特性を同時に調整しながら装置構成を設計する場合には、そもそも特許文献2の方式は適用することは不可能である。
図1はこの発明の実施の形態1によるレーダ装置を示す構成図である。
図1において、パルス生成器1は例えばCPUを実装している半導体集積回路、あるいは、ワンチップマイコンなどから構成されており、送信パルス信号を生成して、その送信パルス信号を振幅変調する一方、振幅変調後の送信パルス信号の波形特性が予め設定された許容波形特性の範囲内であるか否かを判定し、そのパルス信号の波形特性が許容波形特性の範囲内であれば、振幅変調後の送信パルス信号を送信機2及び信号処理装置6に出力するが、そのパルス信号の波形特性が許容波形特性の範囲を逸脱していれば、そのパルス信号の波形特性が許容波形特性の範囲内になるまで、送信パルス信号の波形を繰り返し調整する処理を実施する。
送受切替器3は送信機2から出力されたRF信号を空中線4に出力する一方、空中線4から出力されたRF信号を受信機5に出力する処理を実施する。
空中線4は送受切替器3から出力されたRF信号を観測対象(空間)に向けて放射する一方、その観測対象に反射されて戻ってきた上記RF信号の反射波を受信する処理を実施する。
なお、送信機2、送受切替器3及び空中線4から信号送信手段が構成されている。
なお、送受切替器3、空中線4及び受信機5から信号受信手段が構成されている。
この実施の形態1では、送信機2と受信機5を実装している例を示しているが、送信機2と受信機5の代わりに、送信機能と受信機能を備えている送受信機を実装するようにしてもよい。この場合、送受切替器3は不要になる。
また、信号処理装置6は圧縮処理後の受信パルス信号に対する不要波抑圧処理や目標検出処理等を実施して、観測対象の検知などを行う。なお、信号処理装置6はパルス圧縮手段を構成している。
表示器7は例えば液晶ディスプレイなどの表示装置であり、信号処理装置6による圧縮処理後の受信パルス信号や、観測対象の検知結果などを表示する。
例えば、レーダ装置の一部(例えば、パルス生成器1、信号処理装置6、表示器7)がコンピュータで構成されている場合、パルス生成器1、信号処理装置6及び表示器7の処理内容を記述しているプログラムをコンピュータのメモリに格納し、当該コンピュータのCPUが当該メモリに格納されているプログラムを実行するようにすればよい。
図3はこの発明の実施の形態1によるレーダ装置の処理内容(パルス送受信方法)を示すフローチャートである。
図2において、パルス生成部11は予め基準とする送信波形のパルス幅及び周波数挿引幅が設定されており、そのパルス幅及び周波数挿引幅を有する矩形の送信パルス信号(ベースバンドもしくはIF周波数帯域のパルス信号)を生成する処理を実施する。
なお、周波数挿引幅は、パルス圧縮後の分解能(もしくはパルス幅)を基準に定めるものであり、光の速度を周波数挿引幅で割り、更に2で割ったものがパルス圧縮後の分解能(パルス幅)となることから、周波数挿引幅の代わりに、パルス圧縮後の分解能(パルス幅)を用いてもよい。
ここで、パルス生成部11は、信号処理装置6が周波数変調波形を用いてパルス圧縮を行う場合、上記の周波数挿引幅を有する送信パルス信号を生成するが、信号処理装置6が符号変調波形を用いてパルス圧縮を行う場合、周波数挿引幅の代わりに、符号系列や符号長に基づいて送信パルス信号を生成する。
なお、パルス生成部11及び振幅変調部12からパルス生成手段が構成されている。
まず、パルス生成器1のパルス生成部11は、予め基準とする送信波形のパルス幅Pw及び周波数挿引幅Fwが設定されており、そのパルス幅Pw及び周波数挿引幅Fwを有する矩形の送信パルス信号PT(ベースバンドもしくはIF周波数帯域のパルス信号)を生成する(図3のステップST1)。
パルス生成器1の振幅変調部12は、予め基準とする振幅変調方式(係数)が設定されており、パルス生成部11が送信パルス信号PTを生成すると、その振幅変調方式(係数)で、その送信パルス信号PTを振幅変調する(ステップST2)。
送信パルス信号PTの時間波形に対して振幅変調を行うことで、周波数軸上のスペクトル形状が変化する。
振幅変調の方法としては、例えば、Humming窓、Kaiser窓、Raised−Cosine窓などの窓関数を送信パルス信号PTに乗ずる方法、任意の時系列を送信パルス信号PTに乗ずる方法や、所望の周波数特性を逆フーリエ変換して得られた係数を送信パルス信号PTに乗ずる方法などが考えられる。
送信パルス信号PTの波形特性が許容波形特性の範囲内であるか否かを判定する処理の具体的な内容は後述する。
波形特性判定部13は、送信パルス信号PTの波形特性が許容波形特性の範囲内であれば、振幅変調後の送信パルス信号PTを送信機2に出力し、その参照信号を信号処理装置6に出力する(ステップST4)。
一方、送信パルス信号PTの波形特性が許容波形特性の範囲を逸脱していれば、送信パルス信号PTの波形調整をパルス生成部11又は振幅変調部12に指示する(ステップST5)。
例えば、パルス幅Pw又は周波数挿引幅Fwを変更することで、送信パルス信号PTの波形を調整させる場合には、送信パルス信号PTの波形調整指示をパルス生成部11に出力し、振幅変調方式(係数)を変更することで、送信パルス信号PTの波形を調整させる場合には、送信パルス信号PTの波形調整指示を振幅変調部12に出力する。
振幅変調部12は、パルス生成部11が送信パルス信号PTを生成すると、その送信パルス信号PTを振幅変調し、振幅変調後の送信パルス信号PTを波形特性判定部13に出力する。
振幅変調部12は、波形特性判定部13から送信パルス信号PTの波形調整指示を受けると、予め設定されている基準振幅変調方式(係数)を微小量だけ変更し(変更する微小量は予め設定されているものとする)、変更後の振幅変調方式(係数)で送信パルス信号PTを振幅変調し、振幅変調後の送信パルス信号PTを波形特性判定部13に出力する。
これにより、送信パルス信号PTの波形が調整され(ステップST6)、波形調整後の送信パルス信号PTが波形特性判定部13に与えられる。
波形特性判定部13は、その送信パルス信号PTの波形特性が許容波形特性の範囲内であれば、その送信パルス信号PTを送信機2に出力するが(ステップST4)、その送信パルス信号PTの波形特性が許容波形特性の範囲を逸脱していれば、再度、その送信パルス信号PTの波形調整をパルス生成部11又は振幅変調部12に指示する(ステップST5)。
したがって、送信パルス信号PTの波形特性が許容波形特性の範囲内になるまで、送信パルス信号PTの波形を調整する処理が繰り返され、送信パルス信号PTの波形特性が許容波形特性の範囲内になった時点で、その送信パルス信号PTが送信機2に出力される。
送受切替器3は、送信機2からRF信号を受けると、そのRF信号を空中線4に出力する。
これにより、空中線4からRF信号が観測対象(空間)に向けて放射される(ステップST7)。
また、空中線4から放射されたRF信号の一部は観測対象に反射され、その観測対象に反射されたRF信号(反射波)が空中線4に入射される(ステップST8)。
受信機5は、送受切替器3からRF信号を受けると、そのRF信号に対する増幅処理や周波数変換処理等を実施して、処理後のRF信号を受信パルス信号PRとして信号処理装置6に出力する。
また、信号処理装置6は、圧縮処理後の受信パルス信号PRに対する不要波抑圧処理や目標検出処理等を実施して、観測対象の検知などを行う。
表示器7は、信号処理装置6による圧縮処理後の受信パルス信号PRや、観測対象の検知結果などを表示する。
[波形特性の判定指標として占有周波数帯域幅を用いる場合]
送信パルス信号PTの波形特性を判定する際の指標として、例えば、送信パルス信号PTの占有周波数帯域幅を用いることができる。
送信パルス信号PTの占有周波数帯域幅を用いる場合、波形特性判定部13は、振幅変調部12から振幅変調後の送信パルス信号PTを受けると、その送信パルス信号PTの時間波形をフーリエ変換(FFT)してパワースペクトルを求める。
次に、波形特性判定部13は、パワースペクトルを微小区間に分け、複数の微小区間のピーク位置から両側にパワースペクトルを積算していき、全信号の99%となったときの周波数の区間を占有帯域幅として推定する。
波形特性判定部13は、振幅変調後の送信パルス信号PTの占有周波数帯域幅が基準占有周波数帯域幅より狭ければ、その送信パルス信号PTの波形特性が許容波形特性の範囲内であると判定し、振幅変調後の送信パルス信号PTの占有周波数帯域幅が基準占有周波数帯域幅より広ければ、その送信パルス信号PTの波形特性が許容波形特性の範囲を逸脱していると判定する。
送信パルス信号PTの波形特性を判定する際の指標として、例えば、送信パルス信号PTのパワースペクトルもしくはスペクトル振幅値を用いることができる。
送信パルス信号PTのパワースペクトルもしくはスペクトル振幅値を用いる場合、波形特性判定部13は、振幅変調部12から振幅変調後の送信パルス信号PTを受けると、その送信パルス信号PTの時間波形をフーリエ変換(FFT)してパワースペクトルもしくはスペクトル振幅値を求める。以降、スペクトル振幅値を例に説明する。
ここで、図4は送信パルス信号PTの周波数とスペクトル振幅値との対応例を示す説明図である。
図4において、実線は送信パルス信号PTのスペクトル振幅値を示し、破線は予め設定された不要輻射要求値を示している。不要輻射要求値については、各無線通信機器の不要輻射に対する規制の基準値などが考慮されて事前に設定されているものとする。
波形特性判定部13は、全ての周波数において、そのスペクトル振幅値が不要輻射要求値より小さければ、その送信パルス信号PTの波形特性が許容波形特性の範囲内であると判定し、いずれかの周波数において、そのスペクトル振幅値が不要輻射要求値より大きければ、その送信パルス信号PTの波形特性が許容波形特性の範囲を逸脱していると判定する。
パルス信号の送受信を同じ空中線4で行う場合、パルス信号の送信時間は、パルス信号を受信することができないため、パルス幅は近距離の探知性能に影響する。近距離の探知性能を確保するためには、パルス幅は短いことが望ましい。
よって、送信パルス信号PTの波形特性を判定する際の指標として、送信パルス信号PTのパルス幅を用いることができる。
送信パルス信号PTのパルス値を用いる場合、波形特性判定部13は、振幅変調部12から振幅変調後の送信パルス信号PTを受けると、例えば、その送信パルス信号PTの立ち上がりエッジと立ち下りエッジを検出することで、その送信パルス信号PTのパルス幅を特定する。
ここで、図5は送信パルス信号PTの時間波形の一例を示す説明図である。
図5において、実線は送信パルス信号PTの時間波形を示し、破線は送信パルス信号PTのパルス幅を示している。
波形特性判定部13は、その送信パルス信号PTのパルス幅が基準パルス幅より狭ければ、もしくは、その送信パルス信号PTのパルス幅と基準パルス幅との差が所定値未満であれば、その送信パルス信号PTの波形特性が許容波形特性の範囲内であると判定し、その送信パルス信号PTのパルス幅が基準パルス幅より広ければ、その送信パルス信号PTの波形特性が許容波形特性の範囲を逸脱していると判定する。
近距離の探知性能を確保するためには、パルス幅が短い方が望ましいことは先に言及しているが、パルス立ち上がり時間やパルス立ち下がり時間についても短い方が望ましい。
よって、送信パルス信号PTの波形特性を判定する際の指標として、送信パルス信号PTのパルス立ち上がり時間又はパルス立ち下がり時間を用いることができる。
送信パルス信号PTのパルス立ち上がり時間又はパルス立ち下がり時間を用いる場合、波形特性判定部13は、振幅変調部12から振幅変調後の送信パルス信号PTを受けると、その送信パルス信号PTの立ち上がりエッジを検出して、その立ち上がりに要している時間(パルス立ち上がり時間)を特定する。
また、その送信パルス信号PTの立ち下がりエッジを検出して、その立ち下がりに要している時間(パルス立ち下がり時間)を特定する。
基準時間については、各無線通信機器の不要輻射に対する規制の基準値などが考慮されて事前に設定されているものとする。なお、パルス立ち上がり時間に対する基準時間と、パルス立ち下がり時間に対する基準時間とは、同一の時間であってもよいし、異なる時間であってもよい。
波形特性判定部13は、その送信パルス信号PTのパルス立ち上がり時間及びパルス立ち下がり時間の双方が基準時間より短ければ、その送信パルス信号PTの波形特性が許容波形特性の範囲内であると判定し、その送信パルス信号PTのパルス立ち上がり時間又はパルス立ち下がり時間のいずれか一方が基準時間より長ければ、その送信パルス信号PTの波形特性が許容波形特性の範囲を逸脱していると判定する。
ここでは、パルス立ち上がり時間及びパルス立ち下がり時間の双方が基準時間より短い場合に、その送信パルス信号PTの波形特性が許容波形特性の範囲内であると判定する例を示しているが、どちらか一方だけが基準時間より短ければ、その送信パルス信号PTの波形特性が許容波形特性の範囲内であると判定するようにしてもよい。もしくは、パルス立ち上がり時間と予め設定された基準パルス立ち上がり時間との差が所定値未満、あるいは、パルス立ち下がり時間と予め設定された基準パルス立ち下がり時間との差が所定値未満であれば、許容波形特性の範囲内であると判定するようにしてもよい。
送信パルス信号PTの波形特性を判定する際の指標として、パルス圧縮後のパルス幅を用いることができる。
ここでは、パルス圧縮後のパルス幅として、例えば、圧縮波形のピークから3dB下がっている位置のパルス幅を用いるものとする。
波形特性判定部13は、送信パルス信号PTと参照波形を用いて相関演算を実施し、得られた波形(振幅)のピーク値から3dB下がっている位置の幅を求めることで、パルス圧縮後のパルス幅を推定する。
波形特性判定部13は、パルス圧縮後のパルス幅が予め設定された基準パルス幅より狭ければ、もしくは、パルス圧縮後のパルス幅と基準パルス幅との差が所定値未満であれば、振幅変調後の送信パルス信号PTの波形特性が許容波形特性の範囲内であると判定し、パルス圧縮後のパルス幅が予め設定された基準パルス幅より広ければ、振幅変調後の送信パルス信号PTの波形特性が許容波形特性の範囲を逸脱していると判定する。
送信パルス信号PTの波形特性を判定する際の指標として、パルス圧縮後のサイドローブレベルを用いることができる。
パルス圧縮後のサイドローブレベルとして、全てのサイドローブの中で、最も高いピークサイドローブレベル(PSL)を用いることができるが、サイドローブが及ぶ全領域におけるサイドローブを表す指標として、インテグレーティドサイドローブレベル(ISL)を用いることもできる。
波形特性判定部13は、波形特性の判定指標として、PSLを用いる場合、パルス圧縮波形のメインローブ以外で、最も高い振幅値を持つ位置を検出し、その振幅値とメインローブのピーク値との差をPSLとして算出する。
また、波形特性判定部13は、波形特性の判定指標として、ISLを用いる場合、メインローブ以外の全領域の振幅値を積算することでISLを算出する。
波形特性判定部13は、パルス圧縮後のサイドローブレベルが基準サイドローブレベルより小さければ、もしくは、取り得るパルス信号の中で、サイドローブレベルが最小となるときの、振幅変調後の送信パルス信号PTの波形特性が許容波形特性の範囲内であると判定し、パルス圧縮後のサイドローブレベルが基準サイドローブレベルより大きければ、振幅変調後の送信パルス信号PTの波形特性が許容波形特性の範囲を逸脱していると判定する。
波形特性の判定指標としてパルス圧縮後の反射波の利得(または損失)を用いることができる。
反射波の利得は、送信パルス信号PTのパルス幅と周波数挿引幅の積から、その送信パルス信号PTに施している振幅変調に伴う損失を減じたものである。ただし、パルス波形生成器1から送信機2に出力される振幅変調後の送信パルス信号PTの送信波形と、パルス波形生成器1から信号処理装置6に出力される振幅変調後の送信パルス信号PTの参照波形とが異なる場合は、さらに、その送信波形と参照波形のミスマッチ損失を減じたものとなる。
反射波の損失は、送信パルス信号PTに施している振幅変調に伴う損失と、上記のミスマッチ損失とを加算したものである。
波形特性判定部13は、反射波の利得が予め設定された基準利得より高ければ、もしくは、取り得るパルス信号の中で、利得が最大となるときの、振幅変調後の送信パルス信号PTの波形特性が許容波形特性の範囲内であると判定し、反射波の利得が予め設定された基準利得より低ければ、振幅変調後の送信パルス信号PTの波形特性が許容波形特性の範囲を逸脱していると判定する。
波形特性判定部13は、反射波の損失が予め設定された基準損失より小さければ、もしくは、取り得るパルス信号の中で、損失が最小となるときの、振幅変調後の送信パルス信号PTの波形特性が許容波形特性の範囲内であると判定し、反射波の損失が予め設定された基準損失より大きければ、振幅変調後の送信パルス信号PTの波形特性が許容波形特性の範囲を逸脱していると判定する。
当該レーダ自信も含め、当該レーダに対して干渉の可能性がある無線通信機器が存在する場合は、波形特性の判定指標として干渉波との干渉特性を用いることができる。
波形特性判定部13は、送信パルス信号PTと当該レーダに対して干渉の可能性がある信号を用いて相関演算を実施し、得られた波形(振幅)のピーク値を求めることで、干渉特性を推定する。
波形特性判定部13は、干渉特性を推定すると、その干渉特性の値と予め設定された基準の干渉特性の値を比較する。基準の干渉特性については、各無線通信機器の設計値などが考慮されて事前に設定されているものとする。
波形特性判定部13は、干渉特性の値が予め設定された基準の干渉特性の値より小さければ、もしくは、取り得る干渉特性の値の中で最小であれば、振幅変調後の送信パルス信号PTの波形特性が許容波形特性の範囲内であると判定し、干渉特性の値が予め設定された基準の干渉特性の値より大きければ、振幅変調後の送信パルス信号PTの波形特性が許容波形特性の範囲を逸脱していると判定する。
複数の指標を組み合わせて用いる場合には、例えば、パルス立ち上がり時間を短くして、矩形に近くなるほど、パルス圧縮後のPSLが増大するなど、トレードオフの関係となる指標があることから、指標毎に優先度を設けて、所望の波形を生成するようにする。
また、この実施の形態1によれば、一般のレーダ装置ではフィルタを用いることで実現していた不要輻射の低減や、パルス圧縮時のPSLの低減などを、送信パルス信号PTの振幅変調を行うことで実現できるため、装置規模を小さくすることができるとともに、コストや消費電力の低減を図ることができる。
図6はこの発明の実施の形態2によるレーダ装置のパルス生成器1を示す構成図であり、図において、図2と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
波形特性模擬部14は送信パルス信号PTにおける送信経路上のデバイスの入出力特性(例えば、送信機2に実装されている周波数変換器、増幅器及びフィルタ、送受切替器3、空中線4などの入出力特性)を考慮して、パルス生成器1により振幅変調された送信パルス信号PTが送信機2に入力された場合に、空中線4から放射される送信パルス信号PTの波形特性を模擬する処理を実施する。
なお、波形特性模擬部14が考慮する入出力特性としては、例えば、送信機2に入力される送信パルス信号PTの振幅と空中線4から放射される送信パルス信号PTの振幅との関係、送信機2に入力される送信パルス信号PTの振幅と空中線4から放射される送信パルス信号PTの位相変動量との関係、送信機2に入力される送信パルス信号PTの振幅と空中線4から放射される送信パルス信号PTの周波数変動量との関係などが考えられる。
ただし、波形特性模擬部14及び波形特性判定部15以外は上記実施の形態1と同様であるため、ここでは、波形特性模擬部14及び波形特性判定部15の処理内容だけを説明する。
ここで、図7は送信機2に入力される送信パルス信号PTの振幅(電力)と空中線4から放射される送信パルス信号PTの振幅(電力)との関係(入出力特性)を示す説明図である。
例えば、波形特性模擬部14は、図7に示すような入出力特性を事前に取得して、その入出力特性をデータベース化して保持しており、あるいは、図7に示すような入出力特性を示す近似式を保持しており、振幅変調部12から振幅変調後の送信パルス信号PTを受けると、そのデータベースを参照して、その送信パルス信号PTの入力振幅(電力)に対応する出力振幅(電力)を模擬する。あるいは、振幅変調部12から出力された送信パルス信号PTを近似式に代入して、その送信パルス信号PTの入力振幅(電力)に対応する出力振幅(電力)を模擬する。
波形特性判定部15は、その送信パルス信号PTの出力振幅(電力)の特性が許容波形特性の範囲内であれば、振幅変調部12による振幅変調後の送信パルス信号PTを送信機2に出力するが、その送信パルス信号PTの出力振幅(電力)の特性が許容波形特性の範囲を逸脱していれば、送信パルス信号PTの波形調整をパルス生成部11又は振幅変調部12に指示して、その送信パルス信号PTの波形を調整させる。
パルス生成部11又は振幅変調部12による送信パルス信号PTの波形調整は、上記実施の形態1と同様である。
図8は送信機2に入力される送信パルス信号PTの振幅(電力)と空中線4から放射される送信パルス信号PTの位相変動量との関係を示す説明図である。
図9は送信機2に入力される送信パルス信号PTの振幅(電力)と空中線4から放射される送信パルス信号PTの周波数変動量との関係を示す説明図である。
この場合、定式化が困難な送信経路及び受信経路上のデバイス特性を加味して、送信パルス信号PTの波形を適切に調整することができる効果を奏する。
Claims (14)
- パルス信号を生成して、前記パルス信号を振幅変調するパルス生成手段と、
前記パルス生成手段から受けた振幅変調後のパルス信号の波形特性が予め設定された許容波形特性の範囲内であるか否かを判定し、前記パルス信号の波形特性が前記許容波形特性の範囲を逸脱していれば、前記パルス信号の波形調整を前記パルス生成手段に指示して、前記パルス信号の波形を調整させる波形特性判定手段と、
前記波形特性判定手段により許容波形特性の範囲内であると判定された振幅変調後のパルス信号に対して処理を実施し、処理後のパルス信号をRF信号として観測対象に向けて放射する信号送信手段と、
前記信号送信手段により放射されたのち、前記観測対象に反射されて戻ってきた前記パルス信号の反射波を受信する信号受信手段と、
前記信号受信手段により受信された反射波のパルス波形を圧縮するパルス圧縮手段と
を備えたレーダ装置。 - 前記波形特性判定手段は、前記パルス生成手段による振幅変調後のパルス信号の占有周波数帯域幅を推定し、前記パルス信号の占有周波数帯域幅が予め設定された基準占有周波数帯域幅より狭ければ、もしくは、前記パルス信号の占有周波数帯域幅と前記基準占有周波数帯域幅との差が予め設定された基準値未満であれば、前記パルス信号の波形特性が予め設定された許容波形特性の範囲内であると判定することを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
- 前記波形特性判定手段は、前記パルス生成手段による振幅変調後のパルス信号におけるスペクトル振幅値を算出し、前記スペクトル振幅値が予め設定された不要輻射要求値より小さければ、前記パルス信号の波形特性が予め設定された許容波形特性の範囲内であると判定することを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
- 前記波形特性判定手段は、前記パルス生成手段による振幅変調後のパルス信号のパルス幅を特定し、前記パルス幅が予め設定された基準パルス幅より狭ければ、もしくは、前記パルス幅と前記基準パルス幅との差が予め設定された基準値未満であれば、前記パルス信号の波形特性が予め設定された許容波形特性の範囲内であると判定することを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
- 前記波形特性判定手段は、前記パルス生成手段による振幅変調後のパルス信号のパルス立ち上がり時間又はパルス立ち下がり時間を特定し、前記パルス立ち上がり時間又は前記パルス立ち下がり時間が予め設定された基準時間より短ければ、もしくは、前記パルス立ち上がり時間と予め設定された基準パルス立ち上がり時間との差が予め設定された基準値未満であれば、もしくは、前記パルス立ち下がり時間と予め設定された基準パルス立ち下がり時間との差が予め設定された基準値未満であれば、前記パルス信号の波形特性が予め設定された許容波形特性の範囲内であると判定することを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
- 前記波形特性判定手段は、前記パルス圧縮手段によりパルス波形が圧縮された反射波のパルス幅を特定し、前記パルス幅が予め設定された基準パルス幅より狭ければ、もしくは、前記パルス幅と前記基準パルス幅との差が予め設定された基準値未満であれば、前記パルス生成手段による振幅変調後のパルス信号の波形特性が予め設定された許容波形特性の範囲内であると判定することを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
- 前記波形特性判定手段は、前記パルス圧縮手段によりパルス波形が圧縮された後のサイドローブレベルを特定し、前記サイドローブレベルが予め設定された基準サイドローブレベルより小さければ、前記パルス生成手段による振幅変調後のパルス信号の波形特性が予め設定された許容波形特性の範囲内であると判定することを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
- 前記波形特性判定手段は、前記パルス圧縮手段によりパルス波形が圧縮された後の反射波の利得を特定し、前記利得が予め設定された基準利得より高ければ、前記パルス生成手段による振幅変調後のパルス信号の波形特性が予め設定された許容波形特性の範囲内であると判定することを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
- 前記波形特性判定手段は、前記パルス圧縮手段によりパルス波形が圧縮された後の反射波の損失を特定し、前記損失が予め設定された基準損失より小さければ、前記パルス生成手段による振幅変調後のパルス信号の波形特性が予め設定された許容波形特性の範囲内であると判定することを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
- 前記波形特性判定手段は、前記パルス生成手段による振幅変調後のパルス信号と、自身もしくは他の無線通信機器からの干渉波との干渉特性を推定し、前記干渉特性が基準の干渉特性より低ければ、前記パルス信号の波形特性が予め設定された許容波形特性の範囲内であると判定することを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。
- 前記波形特性判定手段は、前記信号送信手段の入出力特性を考慮して、前記パルス生成手段により振幅変調されたパルス信号が前記信号送信手段に入力された場合に、前記信号送信手段から放射されるパルス信号の波形特性を模擬する波形特性模擬部を備え、
前記波形特性模擬部により模擬されたパルス信号の波形特性が予め設定された許容波形特性の範囲内であるか否かを判定し、前記パルス信号の波形特性が前記許容波形特性の範囲を逸脱していれば、前記パルス信号の波形調整を前記パルス生成手段に指示して、前記パルス信号の波形を調整させることを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。 - 前記波形特性判定手段は、前記信号送信手段及び前記信号受信手段の入出力特性を考慮して、前記パルス生成手段により振幅変調されたパルス信号が前記信号送信手段に入力された場合に、前記信号受信手段から前記パルス圧縮手段に出力されるパルス信号の波形特性を模擬する波形特性模擬部を備え、
前記波形特性模擬部により模擬されたパルス信号の波形特性が予め設定された許容波形特性の範囲内であるか否かを判定し、前記パルス信号の波形特性が前記許容波形特性の範囲を逸脱していれば、前記パルス信号の波形調整を前記パルス生成手段に指示して、前記パルス信号の波形を調整させることを特徴とする請求項1記載のレーダ装置。 - 前記波形特性模擬部は、前記入出力特性として、入力されるパルス信号の振幅と出力されるパルス信号の振幅との関係、入力されるパルス信号の振幅と出力されるパルス信号の位相変動量との関係、または、入力されるパルス信号の振幅と出力されるパルス信号の周波数変動量との関係を考慮することを特徴とする請求項11または請求項12記載のレーダ装置。
- パルス生成手段が、パルス信号を生成して、前記パルス信号を振幅変調するパルス生成処理ステップと、
波形特性判定手段が、前記パルス生成処理ステップによる振幅変調後のパルス信号の波形特性が予め設定された許容波形特性の範囲内であるか否かを判定し、前記パルス信号の波形特性が前記許容波形特性の範囲を逸脱していれば、前記パルス信号の波形調整を前記パルス生成手段に指示して、前記パルス信号の波形を調整させる波形特性判定処理ステップと、
信号送信手段が、前記波形特性判定処理ステップで許容波形特性の範囲内であると判定された振幅変調後のパルス信号に対して処理を実施し、処理後のパルス信号をRF信号として観測対象に向けて放射する信号送信処理ステップと、
信号受信手段が、前記信号送信処理ステップによって放射されたのち、前記観測対象に反射されて戻ってきた前記パルス信号の反射波を受信する信号受信処理ステップと、
パルス圧縮手段が、前記信号受信処理ステップで受信された反射波のパルス波形を圧縮するパルス圧縮処理ステップと
を備えたパルス送受信方法。
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