JP6215661B2 - 容器本体および容器 - Google Patents

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Description

本発明は、被包装物を収納する容器本体のフランジ部に蓋体が取り付けられる容器本体および容器に関する。
従来、例えば即席やきそばなどの食品の容器として、トップフィルムを多層シートで形成して層間剥離させる構成が知られている。
具体的には、トップフィルムの一部を開封し、調理のために開口から熱湯を注入して仮封止する。所定時間経過後に、開封していない側のトップフィルムの表層のみを層間剥離することで、湯切り用の多孔アルミシートを臨ませ、内部の熱湯のみを排出する。その後、トップフィルム全体を剥離して、各種調味料などを加えて調理が完成する(例えば、非特許文献1参照)。
日本食糧新聞 2009/02/060113号03面(http://news.nissyoku.co.jp/Contents/urn/newsml/nissyoku.co.jp/20090206/WAKUI20090122055643080/1)
ところで、従来の即席やきそばの容器では、トップフィルムの一部を開封する際の開封位置を表す表示が設けられ、利用者は表示に従ってトップフィルムの一部を開封する。
しかしながら、トップフィルムの一部を開封する際、表示を見ながら開封する作業は煩雑であり、利用者が各人の感覚で開封するので、勢いよく開封するなど、開封状況によっては、大きく開封してしまい、その後の調理が良好に行えなくなる不都合がある。
本発明は、開口部が一部開口する状態に蓋体を開封することが容易な容器本体および容器を提供する。
本発明の容器本体は、被包装物を収納する開口部を有した収納凹部と、前記開口部の外周縁から延出して形成されたフランジ部と、を備えた多層構造の容器本体であって、前記容器本体は、前記フランジ部における前記蓋体が取り付けられる取付領域より前記開口部側に位置して、前記開口部の開口縁に沿って設けられ、前記フランジ部における少なくとも前記蓋体が取り付けられる面に臨む一層を切断する曲線状または折れ線形状の切込溝からなる切込部を少なくとも2以上有し、前記2つ以上の切込部の端部は、離間されまたは直線状あるいは曲線状の切込溝からなる切込変更部により繋がっていることを特徴とする。
ここで、当該切込変更部は、直線状あるいは曲線状の切込溝で構成されており、当該切込変更部に係る切込溝の深度は、特に限定されないが、容器開封時の開封感の観点から、前記2つ以上の曲線状または折れ線形状の切込溝の深度と略同一であることが好ましい。
この発明では、2以上の切込部を、離間されまたは直線状あるいは曲線状の切込溝からなる切込変更部により繋がった構成としている。このことにより、蓋体を開封して層間剥離すると、切込溝の切込変更部の位置まで開封が到達した際、層間剥離される部分が切込変更部により急激に変更することとなり、開封感が急激に変更する。
このため、利用者は開封停止位置を容易に認識でき、一部開口状態を所定の位置に容易に設定でき、安定した一部開口状態を提供できる。
ここで、切込変更部としては、周方向で切込が欠落した不連続部、周方向で外周側から内周側に折り返すように屈曲する屈曲部などが例示できる。
そして、本発明では、前記切込変更部は、周方向で前記切込部が離間された不連続部であることが好ましい。
この発明では、切込変更部を不連続部とすることで、蓋体の開封が不連続部に達した時点で、層間剥離が停止され、それ以上の開封が困難となる。このことにより、所定の位置での開封規制が切込部を不連続とする簡単な構成で容易に得られる。
また、本発明では、前記切込変更部は、前記2つ以上の切込部の端部を繋ぐ切込溝からなり、前記切込溝前記フランジ部の外周側から内周側に直線状あるいは曲線状に周方向で折り返して形成された屈曲部であることが好ましい。
この発明では、切込変更部として周方向で切込溝を折り返させる屈曲部とすることで、蓋体の開封が屈曲部に達した時点で、層間剥離する面積が急激に変更することとなり、開封に必要な力が急激に変更となり、開封感が急激に変更となる。このため、切込溝を折り返させる簡単な構成で、利用者は開封停止位置を容易に把握でき、一部開口状態を所定の位置に容易に設定でき、安定した一部開口状態を提供できる。
さらに、本発明では、前記開口部の中心と前記切込部の2つの端部とを結ぶ直線とが鋭角を形成することが好ましい。
この発明では、開口部の中心と切込部の2つの端部とを結ぶ2つの直線のなす角を鋭角とすることで、一部開口状態の開口部の面積を小さくすることができ、例えば湯切りなどが効果的に得られる。
また、本発明では、前記切込変更部は、開封が開始される開封開始位置を通る前記開口部の中心線と、当該切込変更部のいずれかの端部を通る前記開口部の中心線とがなす角θが、10°以上170°以下となる位置に設けられたことが好ましい。
この発明では、切込変更部を開封開始位置に対して所定の位置関係に設けることで、蓋体を切込変更部まで開封した状態で、開口部の少なくとも一部が開口する状態が確実に得られる。
ここで、なす角θが10°未満では、切込変更部まで開封しても開口部が開口されない、もしくは開口しても極めて小さい開口であり、一部開口の用をなさないおそれがある。一方、なす角θが170°より大きくなると、開口部のほぼ半分が開口された状態となり、一部開口の用をなさないおそれがある。
そして、本発明では、前記切込変更部は、複数箇所設けられたことが好ましい。
この発明では、蓋体の開封の際、2箇所の切込変更部により、利用者はより確実に開封感の変更を認識できる。また、3箇所以上設けることで、他の開封位置から所定の開封位置まで開封規制することが可能となり、一部開口を複数箇所で実施でき、各種利用方法に対応した汎用性の向上が図れる。
また、本発明では、開封が開始される開封開始位置が、隣接するいずれか2つの前記切込変更部を結ぶ直線に対して、当該開封開始位置および前記開口部の中心を通る直線が直交する位置に設けられたことが好ましい。
この発明では、隣接するいずれか2つの切込変更部と開封開始位置とを所定の位置関係に設けることで、所定の一部開口状態に開封することが、簡単な構造で確実に得られる。
ここで、容器本体に取り付けられる蓋体に、開封が開始される開封開始位置を示す開封開始部を設けることで、利用者が一部開封させる開封開始位置を容易に認識できる。
なお、開封開始部は、舌片状に突出形成した部分の他、開封開始位置を示す表示などが例示できる。
また、本発明では、前記容器本体は、前記開口部の開口縁の一部に少なくとも2つの前記切込変更部を結ぶ直線に沿って設けられた壁面を有する異形部が設けられたことが好ましい。
この発明では、容器本体の開口部の開口縁の一部に、切込変更部を結ぶ直線に沿って設けられた壁面を有する異形部を設けることで、切込変更部にて一部開封が規制された状態で、開口部の一部が僅かに開口する状態が得られる。このことにより、例えば容器本体内の固体が排出されることなく容器本体内の液体を排出することが容易に得られる。
さらに、本発明では、前記壁面は、前記切込変更部を結ぶ直線に対して前記開口部の内側に位置して設けられ、前記異形部は、前記壁面に前記収納凹部から外方に向けて突出した凹状の窪み部が設けられたことが好ましい。
この発明では、切込変更部を結ぶ直線より開口部の内側に位置して設けられた壁面に、収納凹部から外方に向けて凹状の窪み部を設けることで、切込変更部にて一部開封が規制された状態で、窪み部のみが開口する状態が得られる。このことにより、例えば容器本体内の固体が排出されることなく容器本体内の液体を排出することが容易に得られる。
そして、本発明では、前記異形部は、前記窪み部が複数設けられたことが好ましい。
この発明では、窪み部を複数設けることで、切込変更部にて一部開封が規制された状態で、複数の窪み部のみが開口する状態が得られる。このことにより、例えば容器本体内の固体が排出されることなく容器本体内の液体を効率よく排出することが容易に得られる。
また、本発明では、前記異形部は、前記壁面が前記切込変更部を結ぶ直線に対して前記収納凹部から外側に位置して設けられたことが好ましい。
この発明では、切込変更部を結ぶ直線に対して収納凹部から外側に位置して壁面を設けた構成とすることで、切込変更部にて一部開封が規制された状態で、異形部がスリット状に開口する状態が容易に得られる。このことにより、例えば容器本体内の固体が排出されることなく容器本体内の液体を排出することが簡単な構造で容易に得られる。
本発明の容器は、本発明の容器本体と、前記容器本体のフランジ部に取り付けられ前記開口部を閉塞する蓋体と、を具備し、前記容器本体は、前記フランジ部と前記蓋体との接着力より前記容器本体を構成する多層構造の少なくとも一つの層間接着力が小さく形成されたことを特徴とする。
この発明では、開封感が所定の位置で急激に変更する切込変更部を有した容器本体を用いるので、利用者は開封停止位置を容易に認識でき、一部開口状態を所定の位置に容易に設定でき、安定した一部開口状態を提供できる。
本発明の容器に係る実施形態の易開封性容器を示す一部を開封した斜視図。 前記易開封性容器を示す平面図。 前記易開封性容器を示す側面図。 図2中I−Iの位置の断面図。 図2中II−IIの位置の断面図。 前記易開封性容器の容器本体を示す平面図。 本発明の他の実施形態の易開封性容器を示す一部を開封した斜視図。 前記易開封性容器の容器本体を示す平面図。 本発明のさらに他の実施形態における易開封性容器の容器本体を示す平面図。 本発明のさらに他の実施形態における易開封性容器の容器本体を示す平面図。 本発明のさらに他の実施形態における易開封性容器の容器本体を示す平面図。 本発明のさらに他の実施形態における易開封性容器の容器本体を示す斜視図。 前記容器本体を示す平面図。 本発明のさらに他の実施形態における易開封性容器の容器本体を示す平面図。 本発明のさらに他の実施形態における易開封性容器の容器本体を示す平面図。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本実施形態では、円形の容器を例示するが、この限りではない。
[易開封性容器の構成]
図1〜3は、本発明の容器である易開封性容器1で、この易開封性容器1は、被包装物が収納される容器本体2と、容器本体2に取り付けられる蓋体3と備えている。
易開封性容器1は、図1および図2に示すように、蓋体3の一部が舌片状に突出した開封開始端3Aを把持してヒートシール部23でシールされた蓋体3をフランジ部25から剥離して開封されるものである。なお、ヒートシール部23は、開封開始端3Aの位置である開封開始位置で、フランジ部23の外周縁に亘ってヒートシール部23の外周側から外方に膨出するように、蓋体3が取り付けられる膨出部23Aを有し、この膨出部23Aから層間剥離が開始されて開封される。なお、膨出部23Aが設けられていない部分は、ヒートシール部23の外周縁がフランジ部25の外周縁から離間する位置に設けられていることが好ましい。このような形態とすることで、膨出部23Aが設けられていない位置からは層間剥離にて開封することを防止できることが期待できる。
(容器本体の構成)
容器本体2は、多層シートを成形、具体的には加熱により成形してなるもので、剥離層21および表下層22の2層がこれらの順で積層された積層体である(図4,5参照)。
ここで、剥離層21は、易開封性容器1に封入される被包装物と接触し、かつ蓋体3のシーラントとヒートシールされる層である。詳細は後述するが、蓋体3とヒートシールされた部分である取付領域としてのヒートシール部23は、蓋体3と共に容器本体2から剥離される。
剥離層21としては、例えば蓋体3とヒートシールされる材料、好ましくはポリオレフィン系樹脂が好適に用いられる。具体的には、ホモポリプロピレン(HPP)、ランダムポリプロピレン(RPP)、ブロックポリプロピレンなどのポリプロピレン系樹脂や、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)などのポリエチレン系樹脂、直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体などが用いられる。
表下層22は、剥離層21に隣接して剥離層21の下層を構成し、易開封性容器1の開封に際して剥離層21との間で層間剥離される。
表下層22を構成する具体的な材料としては、例えばオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、および、ポリエステル系樹脂の群から選ばれる少なくともいずれか1種からなる構成とすることが好ましい。
そして、オレフィン系樹脂としては、具体的にはポリプロピレン、ポリエチレンなどが用いられ、特にポリプロピレンが広く流通されて容易に入手でき安価であるとともに高強度である点から好適に用いられる。
ポリスチレン系樹脂としては、具体的には汎用の透明で剛性のあるGPグレードのポリスチレンや、耐衝撃性のHIグレードのポリスチレンなどが用いられ、特にHIグレードのポリスチレンが容器などとして利用する際に要求される耐衝撃性の点から好適に用いられる。
ポリエステル系樹脂としては、具体的には非晶性ポリエステル、結晶性ポリエステルなどが用いられ、特に非晶性ポリエステルが加工性の理由から好適に用いられる。
特に、表下層22として、プロピレン単位を少なくとも一部に含む重合体(以下ポリプロピレン系樹脂といい、適宜PPと表す)と、エチレン単位を少なくとも一部に含む重合体(以下ポリエチレン系樹脂といい、適宜PEと表す)とを、PP:PE=30質量%以上99質量%以下:1質量%以上70質量%以下で配合された樹脂組成物を用いることが好ましい。
ここで、質量比PP/PEが0.67より小さくなるとヒートシール時に樹脂溜りが発生して開封不良を発生するという不都合を生じるおそれがある。特に、質量比PP/PEが0.429より少なくなると剛性不足を生じるおそれがあり、質量比PP/PEが99より多くなると柔軟性不足を生じるおそれがある。
そして、ポリプロピレン系樹脂とは、具体的には、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、およびこれらの混合物の4種類のうちのいずれかから選択されたものである。そして、耐熱性を考慮する場合には、ホモポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、ランダムポリプロピレンの順で好ましい。また、他の層とのシール性を考慮する場合には、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、ホモポリプロピレンの順で好ましい。
また、ポリエチレン系樹脂とは、具体的には、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンなどが用いられ、特に低密度ポリエチレンが成形加工安定性の理由から好適に用いられる。
なお、表下層22には、タルクなどの無機フィラーが添加されてもよい。
また、表下層22は、剥離層21に直接隣接して積層形成されているが、剥離層21と表下層22との間に、接着層などのヒートシールにより流動しない、もしくは流動しにくい比較的に薄膜な層が設けられていてもよい。
そして、容器本体2は、所定の深さを有する略円形のカップ形状であって、略円形状の開口部24Aを開口し被包装物が収納される収納凹部24を有し、当該開口部24Aの周縁には、外側に張り出すようにフランジ部25が配設されている。
また、容器本体2のフランジ部25の厚さ寸法は、好ましくは200μm以上2000μm以下、より好ましくは250μm以上600μm以下、特に好ましくは300μm以上500μm以下とする。
ここで、フランジ部25の厚さ寸法が200μmより薄くなると容器としての剛性が下がるという不都合を生じるおそれがあり、2000μmより厚くなると、多くの材料が必要となって製造コスト(原料費)が上がるという不都合を生じるおそれがあることから、上記範囲に設定される。
また、フランジ部25には、切込溝からなる切込部としてのノッチ28が、フランジ部25における少なくとも蓋体3が取り付けられる面に臨む一層である剥離層21を切り込む状態に設けられている(図4,5参照)。
ここで、ノッチ28は、剥離層21のノッチ28の位置における厚さ方向の一部が残る状態でも、蓋体3を開封した際に剥離層21がノッチ28の位置で切断され、ノッチ28より開口部24A側の剥離層21まで層間剥離しないような深さ以上であれば特に限定されない。特に、表下層22に達する深さ、すなわち剥離層21の厚さ寸法以上の深さに設けられていることが好ましい。
ノッチ28は、図6に示すように、周方向の少なくとも一箇所、例えば2箇所に開口部の開口縁からの距離を変更、具体的にはノッチ28が周方向で欠落して不連続となる切込変更部である不連続部28Aを有する。
不連続部28Aの間隔は、例えば0.5mm以上30mm以下で設けられることが好ましい。0.5mmより狭くなると、蓋体3の開封時における剥離層21の層間剥離の変化による開封感を利用者が認識しにくくなる。30mmより広くなると、蓋体3をフランジ部25から取り外す際に不連続部28Aで剥離層21を破く領域が広くなり、大きな開封力が必要となって蓋体3の取り外しが困難となるおそれがある。
そして、対をなす2つのノッチ28は、詳細は後述するが、開口部24Aの中心Oと開封開始位置Xとを結ぶ直線Lで対象に設けられている。
また、2つの不連続部28Aは、開封開始位置Xを通る開口部24Aの中心Oを通る直線Lと、不連続部28Aおよび開口部24Aの中心Oを通る直線Nとのなす中心角θが、10°以上170°以下、好ましくは30°以上135°以下、特に好ましくは45°以上90°以下となる位置に設けられている。
ここで、中心角θが10°未満では、不連続部28Aまで開封しても開口部24Aが開口されない、もしくは開口しても極めて小さい開口であり、一部開口の用をなさないおそれがある。一方、中心角θが170°より大きくなると、開口部24Aのほぼ半分が開口された状態となり、一部開口の用をなさないおそれがある。これらのことから、中心角θが10°以上170°以下となる位置に、不連続部28Aを設けることが好ましい。
特に、開口部24Aの中心Oと不連続部28Aの2つの端部とを結ぶ2つの直線Nがなす角、すなわち、中心角2θは、鋭角となることが好ましい。鋭角とすることで、一部開口状態の開口部の面積を小さくすることができ、例えば湯切りなどが効果的に得られる。
なお、不連続部28Aの2つの端部とを結ぶ直線Mが開口部24Aの開口縁より開口側に位置し、直線Mの位置まで蓋体3が開口された際に、開口部24Aが開口するように、中心角2θの下限値が設定される。
そして、易開封性容器1は、フランジ部25と、開口部24Aに対してフランジ部25に載置された蓋体3とがヒートシールされて環状の取付領域としてのヒートシール部23がノッチ28より外周側に位置して形成され、易開封性容器1の内部が密封状態とされる。
なお、環状とは、丸形状の他、複数の角部を有する多角形状、波形状なども含む。
(蓋体の構成)
蓋体3は、本実施形態にあっては、易開封性容器1の外部に現れる外層32と、容器本体2の剥離層21とヒートシールされるシール層31からなる積層体である。
蓋体3を構成する外層32は、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、二軸延伸ナイロンフィルム(O−Ny)などを使用することができる。また、シール層31は、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)などの樹脂組成物を使用することができる。
そして、容器本体2と蓋体3とをヒートシールすることで、剥離層21とシール層31とが融着してヒートシール部23が形成され、開封の際には、応力に対して弱い容器本体2の剥離層21がノッチ28から外周側で表下層22と層間剥離される。
そして、蓋体3の外周縁には、舌片状に延出する開封開始部3Aが直径方向に位置して一対設けられている。
ここで、図6に示すように、ノッチ28の不連続部28Aを結ぶ直線Mに対して、開口部24Aの中心Oおよび開封開始部3Aによる開封開始位置Xを通る直線Lが垂直二等分線となる位置関係に、蓋体3がフランジ部25に取り付けられる。
[蓋体の取付]
次に、容器本体2に蓋体3を取り付ける取付動作について説明する。
易開封性容器1を製造するにあって、従来から利用されている図示しない環状シール盤を備えたシール装置を用いる。
容器本体2のフランジ部25と蓋体3とを融着して易開封性容器1を密封状態とするには、容器本体2のフランジ部25に蓋体3を重ね合わせ、この蓋体3の上面から、加熱状態の環状シール盤を下降して押圧することによりヒートシールが実施される。このヒートシールにより、フランジ部25と蓋体3とがヒートシールされて環状の取付領域としてのヒートシール部23がノッチ28より外周側に位置して形成されるとともに、ヒートシール部23に連続する膨出部23Aがフランジ部25の外周縁に亘って形成され、易開封性容器1の内部が密封状態とされる。
[開封動作]
密封状態の易開封性容器1を開封するには、図1に示すように、蓋体3の開封開始部3Aにおいて蓋体3を上部に引き上げるようにする。例えば、容器本体2や蓋体3に印刷などにより設けられた表示に従って、利用者は不連続部28Aの間隔が狭い側に位置する開封開始部3A(図2における右側の開封開始部3A)から蓋体3を開封させる。この開封作業により、多層構造の容器本体2の剥離層21と表下層22との層間で剥離し、ノッチ28の位置まで剥離層21が剥離する。そして、ノッチ28の位置に層間剥離が至ってから蓋体3のみが剥がされる。このため、蓋体3と容器本体2のフランジ部25とが強固に接着されていてもイージーピールが可能となり、易開封性容器1が簡便に開封される。
さらに蓋体3を開封すると、ノッチ28の不連続部28Aの位置まで層間剥離されると、剥離層21がノッチ28により切断されていないため、不連続部28Aを超えてノッチ28の位置まで剥離層21を破くことにより蓋体3を開封する必要がある。このため、開封開始位置Xから層間剥離が開始されて不連続部28Aまで蓋体3が開封されると、イージーピールの状態から急激に開封のための剥離層21を破く大きな力が必要となる状態となり、開封感が急激に変化する。
このことにより、利用者は開封が規制されていることを容易に認識でき、蓋体3が不用意に大きく開封されることが防止される。
そして、例えば、内部の液体分を開封する部分から外部に排出する。
一方、内部の固形物を取り出すために開口部24Aを大きく開封する場合には、不連続部28Aの間隔が広い側に位置する開封開始部3A(図2における左側の開封開始部3A)から蓋体3を開封させればよい。なお、蓋体3を完全に取り外す場合には、層間剥離が停止した不連続部分28Aにおける剥離層21を破くような比較的に大きな力を作用させることで取り外し可能である。
[実施形態の効果]
上述したように、上記実施形態では、ノッチ28に開口部24Aの開口縁からの距離を変更する不連続部28Aを設けている。このことにより、蓋体3を開封して層間剥離すると、ノッチ28の不連続部28Aの位置まで開封が到達した際、層間剥離される部分が不連続部28Aにより急激に変更することとなり、開封感が急激に変更する。
このため、利用者は開封停止位置を容易に認識でき、一部開口状態を所定の位置に容易に設定できることから、不用意に大きく開口されてしまう不都合がなく、安定した一部開口状態を提供できる。
そして、上記実施形態では、開封停止位置を利用者に開封感で報知する構成として、ノッチ28を周方向で欠落させて不連続とした不連続部28Aを設けた構成としている。
このため、蓋体3の開封が不連続部28Aに達した時点で、層間剥離が停止され、それ以上の開封が困難となる。このことにより、所定の位置での開封規制がノッチ28を不連続とする簡単な構成で容易に得られる。
また、上記実施形態では、不連続部28Aを2箇所設けている。
このため、蓋体3の開封の際、2箇所の不連続部28Aにより、利用者はより確実に開封感の変更を認識できる。不連続部28Aを1箇所設ける場合に比して、開封停止位置を所定の位置に設定することがより確実となる。
さらに、上記実施形態では、2箇所の不連続部28Aは、開封開始位置Xを通る開口部24Aの中心Oを通る直線Lと、不連続部28Aおよび開口部24Aの中心Oを通る直線Nとのなす中心角θが、10°以上170°以下、好ましくは30°以上135°以下、特に好ましくは45°以上90°以下となる位置に設けている。
このため、不連続部28Aを開封開始位置Xに対して所定の位置関係に設けることで、蓋体3を不連続部28Aまで開封した状態で、開口部24Aが所望の開口量で開口する状態が確実に得られる。
特に、開口部24Aの中心Oと不連続部28Aの2つの端部とを結ぶ2つの直線Nがなす角2θを鋭角としているので、一部開口状態の開口部の面積を小さくすることができ、例えば湯切りなどが効果的に得られる。
また、上記実施形態では、隣接する不連続部28Aを結ぶ直線Mに対して、開封開始位置Xおよび開口部24Aの中心Oを通る直線Lが直交する位置関係としている。
このため、開封規制により開口部24Aが所望の開口量で開口する状態がより確実に得られる。
そして、上記実施形態では、開封するための開封開始部3Aを蓋体3に設けている。
このため、開封開始位置Xを特定でき、不連続部28Aとにより所定の一部開口状態を得ることが簡単な構成で得られる。特に、開封開始部3Aを舌片状に形成しているので、蓋体3の開封時につまみとして利用され、開封作業が容易にできる。
[変形例]
なお、本発明を実施するための最良の構成などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
したがって、上記に開示した材質、層構成などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの材質などの限定の一部若しくは全部の限定を外した名称での記載は、本発明に含まれるものである。
例えば、易開封性容器1として円形の開口部24Aを有した構成に限らず、例えば図7,8に示すような四角形、さらには楕円型、多角型、ひょうたん型、涙型、キャラクター型など、各種形状のものに適用できる。
なお、図7,8に示す四角形のような角部分がある場合では、角の全ての位置を開封開始位置とする場合に限らず、少なくともいずれか一箇所を開封開始位置とすればよい。
また、異なる開封感を報知する為にノッチ28に設けられる切込変更部としては、不連続部28Aに限られるものではなく、例えば図9に示すように、ノッチ28をフランジ部の外周側から内周側に周方向でノッチ28を折り返す平面視でZ字状の屈曲部28Bとしたり、図10に示すように、周方向でノッチ28を折り返す平面視でS字状の屈曲部28Cとしたりしてもよい。
屈曲部28B,28Cは、開口部24Aの中心Oおよび屈曲部28B,28Cの折返し位置を通る直線N(開口部24Aの中心線)より鋭角にノッチ28を折り返すZ字状やS字状に形成されている。すなわち、屈曲部28B,28Cを開口部24Aの中心線Nより鋭角にノッチ28を折り返す、いわゆるZ字状やS字状とすることで、層間剥離する面積が急激に変更する状態が得られ、簡単な構造で利用者に開封感が変更したことをより明確に報知できる。
なお、図9に示す構成や図10に示す構成では、蓋体3の開封が屈曲部28B,28Cにおけるノッチ28が折り返される位置に到達した際に、層間剥離する面積が急激に大きくなる状態となるので、同様に開封感が急激に変化し、開封規制の位置を利用者に報知できる。これらの構成では、層間剥離する面積が変更するので、上記実施形態の場合に比して小さい力で蓋体3を容器本体2から取り外すことができる。
一方、剥離層21を破くようにする不連続部28Aを用いる場合では、図9に示す構成や図10に示す構成より、開封規制後の開封に大きな力が必要となるので、より強固な開封規制が得られる。
なお、屈曲部28B,28Cとしては、直線Nに対して鋭角にノッチ28を折り返すように形成する場合に限らず、直線Nに沿って折り返したり、直線Nを乗り越えて鈍角に折り返したりしてもよい。
さらに、本発明の複数の切込変更部として、不連続部28A、屈曲部28B、屈曲部28Cを組み合わせて用いてもよい。
そして、切込変更部としては、図11に示すように、4箇所設けるなど、3箇所以上設けた構成としてもよい。
なお、複数箇所設ける場合では、上述したように、隣接する2箇所の切込変更部間に開封開始位置Xを設定可能となるので、複数箇所に開封開始位置Xを設けることが可能となる。
また、容器本体2の収納凹部24として、例えば図12,13に示すように、開口部24Aの開口縁の一部に対をなす不連続部28Aを結ぶ直線Mに沿った辺27Aを含む壁面27Bを有する異形部27が設けられてもよい。
異形部27は、収納凹部24の内面の一部に設けられ、辺27Aを含む壁面27Bを有し、壁面27Bの中央にスリット状に凹状の窪み部としての液切り部27Cを有している。異形部27は、不連続部28Aで開封規制された際に、辺27Aの位置は開封されず、液切り部27Cのみが開口されるように形成されている。
このような構成によれば、不連続部28Aにて一部開封が規制された状態で、開口部24Aの一部が僅かに開口する状態、すなわちスリット状の液切り部27Cのみが開口する状態が得られる。このため、例えば、容器本体2内の固体が排出されることなく容器本体2内の液体を排出することが容易にできる。
そして、異形部27としては、例えば図14に示すように、複数の液切り部27Cを設けた構成としたり、図15に示すように、不連続部28Aを結ぶ直線Mに対して収納凹部24から外側に位置して壁面27Bを設け、開封規制された際に壁面27Bの辺27Aが臨み開口部24Aの一部がスリット状に開口するように設けた構成としたりしてもよい。この構成では、簡単な構造で容器本体2内の固体が排出されることなく容器本体2内の液体を排出することが容易にできる。
また、切込変更部としては、中心角θが10°以上170°以下となるように設ける場合に限られない。
そして、開封開始部として、蓋体3の外周縁に舌片状に設けた開封開始部3Aに限らず、開封開始位置を示す表示などとしてもよい。
また、ヒートシール部23は、ノッチ28から離間して設けることがより好ましいが、ノッチ28のフランジ外周側方向の端部の位置から設けたりしてもよい。
1………容器である易開封性容器
2………容器本体
3………蓋体
23………取付領域であるヒートシール部
24………収納凹部
24A……開口部
25………フランジ部
27………異形部
27B……壁面
27C……窪み部としての液切り部
28………切込溝であるノッチ
28A……切込変更部としての不連続部
28B……切込変更部としての屈曲部
28C……切込変更部としての屈曲部

Claims (12)

  1. 被包装物を収納する開口部を有した収納凹部と、前記開口部の外周縁から延出して形成されたフランジ部と、を備えた多層構造の容器本体であって、
    前記容器本体は、前記フランジ部における蓋体が取り付けられる取付領域より前記開口部側に位置して、前記開口部の開口縁に沿って設けられ、前記フランジ部における少なくとも前記蓋体が取り付けられる面に臨む一層を切断する曲線状または折れ線形状の切込溝からなる切込部を少なくとも2以上有し、
    前記2つ以上の切込部の端部は、離間されまたは直線状あるいは曲線状の切込溝からなる切込変更部により繋がっている
    ことを特徴とした容器本体。
  2. 請求項1に記載の容器本体であって、
    前記切込変更部は、周方向で前記切込部が離間された不連続部である
    ことを特徴とした容器本体。
  3. 請求項1に記載の容器本体であって、
    前記切込変更部は、前記2つ以上の切込部の端部を繋ぐ切込溝からなり、前記切込溝前記フランジ部の外周側から内周側に直線状あるいは曲線状に周方向で折り返して形成された屈曲部である
    ことを特徴とした容器本体。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の容器本体であって、
    前記開口部の中心と前記切込部の2つの端部とを結ぶ直線とが鋭角を形成する
    ことを特徴とした容器本体。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の容器本体であって、
    前記切込変更部は、開封が開始される開封開始位置を通る前記開口部の中心線と、当該切込変更部のいずれかの端部を通る前記開口部の中心線とがなす角θが、10°以上170°以下となる位置に設けられた
    ことを特徴とした容器本体。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の容器本体であって、
    前記切込変更部は、複数箇所設けられた
    ことを特徴とした容器本体。
  7. 請求項6に記載の容器本体であって、
    開封が開始される開封開始位置が、隣接するいずれか2つの前記切込変更部を結ぶ直線に対して、当該開封開始位置および前記開口部の中心を通る直線が直交する位置に設けられた
    ことを特徴とした容器本体。
  8. 請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の容器本体であって、
    前記容器本体は、前記開口部の開口縁の一部に少なくとも2つの前記切込変更部を結ぶ直線に沿って設けられた壁面を有する異形部が設けられた
    ことを特徴とした容器本体。
  9. 請求項8に記載の容器本体であって、
    前記壁面は、前記切込変更部を結ぶ直線に対して前記開口部の内側に位置して設けられ、
    前記異形部は、前記壁面に前記収納凹部から外方に向けて突出した凹状の窪み部が設けられた
    ことを特徴とした容器本体。
  10. 請求項9に記載の容器本体であって、
    前記異形部は、前記窪み部が複数設けられた
    ことを特徴とした容器本体。
  11. 請求項8に記載の容器本体であって、
    前記異形部は、前記壁面が前記切込変更部を結ぶ直線に対して前記収納凹部から外側に位置して設けられた
    ことを特徴とした容器本体。
  12. 請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の容器本体と、
    前記容器本体のフランジ部に取り付けられ前記開口部を閉塞する蓋体と、を具備し、
    前記容器本体は、前記フランジ部と前記蓋体との接着力より前記容器本体を構成する多層構造の少なくとも一つの層間接着力が小さく形成された
    ことを特徴とする容器。
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