JP2005329995A - 易開封性包装体、易開封性包装体の製造方法、及びヒートシール体 - Google Patents

易開封性包装体、易開封性包装体の製造方法、及びヒートシール体 Download PDF

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昌美 村田
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Abstract

【課題】易開封性及び密封性を備えた易開封性包装体であって、シールずれが起こった場合でも常時安定した易開封性を得ることができ、生産性も良好な易開封性包装体、当該易開封性包装体の製造方法、及びヒートシール体を提供すること。
【解決手段】最内層21と次層22との層間以降が剥離可能な多層容器2のフランジ部25と蓋材3とが環状ヒートシール部255を形成し、フランジ部25に内周側切り込み251及び必要により外周側切り込み部252が形成され、フランジ部25の開封開始部4における環状ヒートシール部255には、他の部分よりも外方向に突き出した開封開始凸部255aが形成され、開封開始凸部255aの両脇付近から開封進行方向に続く環状ヒートシール部255の外端が、開封進行方向に櫛歯形状部253を含んでいる易開封性包装体1、易開封性包装体1の製造方法、及びヒートシール体。
【選択図】図2

Description

本発明は、易開封性包装体、易開封性包装体の製造方法、及びヒートシール体に関する。
従来、食品類の包装形態としては、食品類を容器の内部に収納した後、容器本体の開口部周縁にフランジ部を設けた容器本体とフィルム状の蓋材を備える構成とし、かかる容器本体のフランジ部と蓋材をヒートシールして密封包装した蓋付き容器が広く用いられている。
このような蓋付き容器は、容器の内部に収納される食品類を安全に保存するという観点から、容器本体に設けられたフランジ部と蓋材となる材料とをヒートシールして、かかるヒートシールにより形成されたシール部を剥がれにくくするといった高い密封性が必要とされる一方、蓋材を開封する際にあっては、当該蓋材を容器本体から簡便に剥離可能とする易開封性が必要とされ、かかる密封性と易開封性といった相反する性能を同時に具備することが求められていた。
一方、かかる2つの相反する性能を具備するために、多層構造とされた容器本体の層間接着力をフランジ部と蓋材の接着力よりも弱く設定し、フランジ部と蓋材をヒートシールしたシール部の内側のフランジ部内層に切り込みを形成して、開封の際には容器本体の内層をフランジ部の外縁から切り込みまで層間剥離させて開封を行う蓋付き容器が用いられていた。また、このフランジ部は、その形状から、スカートフランジ、カールフランジ(カーリングフランジ)、フラットフランジ等が知られており、この中でも、フランジ部の剛性を向上させた、スカートフランジを備えた蓋付き容器が広く用いられている。
このようなスカートフランジを有する蓋付き容器としては、例えば、蓋材とヒートシールされる部分の外側及び内側に周状の切り込みが設けられており、開封開始部に位置するヒートシール部が外周側切り込み位置より外方向に突出するようにシールされて、突出した当該シール部の外縁部の内層に蓋材を介して凹部が形成された易開封性容器が提案されている(例えば、特許文献1)。
特許2724355号公報([特許請求の範囲],[図1]〜[図4])
しかしながら、前記した特許文献1に記載された易開封性容器は、ヒートシール部の外端と外周側切り込みとの距離が短い(例えば、0.5mm程度)場合にあっては、密封性及び易開封性に優れた易開封性容器となる。その一方、ヒートシールにおけるシール精度が悪く、いわゆるシールずれが起こり、ヒートシール部の外端と外周側切り込みとの距離が長い(例えば、0.5mm以上)場合にあっては、剥離に必要とされる力が強すぎるため、無理に開封しようとすると、シール外端部において開封開始に続く初期開封の過程において蓋材が破断してしまって、容器フランジの剥離される層が良好に開封されないという問題が生じていた。
また、同様に、ヒートシールにおけるシール精度が悪く、ヒートシール部の外端が外周側切り込みをはみ出して形成されてしまった場合にあっては、はみ出し面積が大きいと、容器の開封をするのは困難であった。そして、ヒートシール部の外端が外周側切り込みに一致して形成された場合にあっては、開封性は良好となるが、容易に開封されることとなり、例えば、輸送時など、内容物を入れて容器を移動させた際に開封しやすい状態となってしまうといった問題が生じていた。
従って、本発明の目的は、易開封性及び密封性を併せ持った易開封性包装体であって、シールずれが起こった場合であっても、常時安定した易開封性を得ることができ、生産性も良好な易開封性包装体、当該易開封性包装体の製造方法、及びヒートシール体を提供することにある。
前記の課題を解決するために、本発明の易開封性包装体は、開口部の周縁にフランジ部を配設し、最内層と次層との層間以降が剥離可能な多層容器を備え、当該フランジ部と蓋材とが環状ヒートシール部を形成してヒートシールされる易開封性包装体であって、前記フランジ部の環状ヒートシール部の内端とフランジ部内端の間に、前記開口部を囲む内周側切り込みが形成され、前記フランジ部に形成された開封開始部における環状ヒートシール部には、他の部分よりも外方向に突き出した開封開始凸部が形成されているとともに、当該開封開始凸部の両脇付近から開封進行方向に続く環状ヒートシールの外端が、開封進行方向に櫛歯形状部を含んでいることを特徴とする。
この本発明は、多層容器に形成されたフランジ部の環状ヒートシール部の内端とフランジ内端の間に、多層容器の開口部を囲む内周側切り込みが形成され、フランジ部に形成された開封開始部における環状ヒートシール部には、他の部分よりも外方向に突き出した開封開始凸部が形成されているとともに、当該開封開始凸部の両脇付近から開封進行方向に続く環状ヒートシールの外端が、開封進行方向に櫛歯形状部を含む構成を採用している。
従って、蓋材を多層容器から剥離する場合にあっては、開封開始凸部が、当該剥離の開始点となり、多層容器に形成されたフランジ部の最内層と次層との層間以降を剥離するようにして、ヒートシールした部分の全周を剥離することができるとともに、開封開始凸部の両脇付近から開封進行方向に対して形成された櫛歯形状部が、フランジ部の最内層と次層との層間以降の剥離層を持ち上げて剥離していくことになるので、ヒートシール部の外端の位置にかかわらず、良好な開封性を維持することができる。このような本発明によれば、シール精度が悪く、ヒートシールの位置ずれが生じた場合でも、易開封性を阻害することなく、密封性と易開封性を両立することが可能な易開封性包装体を提供することができることとなる。
また、このような構成としているので、シール条件にも幅を持たせることができるため、包装体の易開封性も安定させることが可能となるとともに、品質向上にも繋がる。
そして、この結果、易開封性包装体の生産性も向上するため、低コスト化を図ることができる。
なお、本発明において、「最内層と次層との層間以降が剥離可能」となる例としては、蓋材とヒートシールされる多層容器の最内層とそれに接する次層との層間剥離や次層、次次層を有する場合の次層の凝集剥離や、また、次層と次々層間の層間剥離や、これらの剥離形態を組み合わせたものが挙げられる。3層以上の場合には、一般的に、最内層や次層の厚みは、それぞれ3〜100μm程度とされる。
本発明の易開封性包装体は、前記したフランジ部における環状ヒートシール部外端からフランジ外端の間に、前記開口部を囲む外周側切り込みが形成され、前記開封開始凸部の先端部が、前記外周側切り込みに接するか、若しくは当該外周側切り込みを超えて形成されていることが好ましい。
この本発明によれば、前記した作用・効果を更に好適に享受するとともに、フランジ部における環状ヒートシール部外端からフランジ外端の間に、開口部を囲む外周側切り込みが形成されているため、蓋材と多層容器の剥離が当該外周側切り込みと、フランジ部の環状ヒートシール部の内端とフランジ内端の間に形成された内周側切り込みとの間で良好に行われ、この結果、包装体の易開封性がより一層優れたものとなる。
また、開封開始凸部の先端部が、前記外周側切り込みに接するか、若しくは当該外周側切り込みを超えて形成されているので、剥離の開始点としての役割を好適に発揮することができ、包装体の開封を効率よく行うことが可能となる。
本発明の易開封性包装体は、前記した開封開始凸部の両脇付近における前記櫛歯形状部を構成する歯の少なくとも1つが、前記外周側切り込みに接するか、当該切り込みを超えて形成されていることが好ましい。
この本発明によれば、環状ヒートシール部において、フランジ部の開封開始部に対応する位置に形成された開封開始凸部の両脇付近における櫛歯形状部を構成する歯の少なくとも1つが、フランジ部に形成された外周側切り込みに接するか、切り込みを超えて形成されているため、開封開始部に形成された開封開始凸部からの剥離の開始点に続いて、櫛歯形状部における当該外周側切り込みに接する部分(あるいは切り込みを越えた部分)が、開封進行方向に対する開封の基点となり、ここから連続して櫛歯形状部に沿って蓋材と最内層が一体となって剥離していくことになる。これにより、前記した効果をより確実に達成できることとなる。
本発明の易開封性包装体は、前記した櫛歯形状部を構成する歯の先端方向と開封進行方向とのなす角度が80度以下であることが好ましく、10〜80度であることが特に好ましい。
この本発明によれば、開封開始凸部の両脇付近から開封進行方向に形成された櫛歯形状部を構成する歯の先端方向と開封進行方向とのなす角度が80度以下であるので、開封進行方向に対する蓋材の剥離がより円滑に行われることとなり、易開封性包装体の易開封性が向上する。
本発明の易開封性包装体は、前記した環状ヒートシール部が、幅広シール部と、当該幅広シール部の領域内部に当該幅広シール部に沿って前記開口部を囲むように配設され、前記幅広シール部よりも幅が狭い幅狭シール部からなり、前記幅広シール部が前記櫛歯形状部を備えており、前記幅狭シール部が前記開封開始凸部を備えていることが好ましい。
この本発明によれば、環状ヒートシール部が、幅広シール部と、当該幅広シール部の領域内部に当該幅広シール部に沿って前記開口部を囲むように配設され、前記幅広シール部よりも幅が狭い幅狭シール部からなり、このうち幅広シール部が櫛歯形状部を備え、幅狭シール部が開封開始凸部を備えているようにしたので、幅狭シール部が、易開封性包装体の密閉性を保つとともに開封開始に寄与し、幅広シール部が櫛歯形状部を備えているので、包装体の開封進行部分の易開封性を特に良好なものとする。
また、環状ヒートシール部に幅狭シール部を備え、この幅狭シール部に開封開始凸部を形成しているから、当該シール部が蓋材剥離の際の開始点と作用して、包装体の易開封性がより安定したものとなる。
そして、ヒートシール部が幅広シールと幅狭シールからなるので、ヒートシールが強力となり、包装体の密封性も向上する。
本発明の易開封性包装体の製造方法は、開口部の周縁にフランジ部を配設し、最内層と次層との層間以降が剥離可能な多層容器を備え、当該フランジ部と蓋材とが環状ヒートシール部を形成してヒートシールされる易開封性包装体の製造方法であって、前記フランジ部に、前記開口部を囲む内周側切り込み、及び必要により前記開口部を囲む外周側切り込みが形成された多層容器の開口部に対して蓋材を載置した後、前記フランジ部に形成された開封開始部に、他の部分よりも外方向に突き出した開封開始凸部と、当該開封開始凸部の両脇付近から開封進行方向に続く外端に、開封進行方向に対して櫛歯形状部を含む環状ヒートシール部を、前記内周側切り込みの外側に形成して、多層容器に形成されたフランジ部と蓋材をヒートシールすることを特徴とする。
この本発明の易開封性包装体の製造方法によれば、内周側切り込み(及び必要により外周側切り込み)が形成された多層容器のフランジ部と蓋材を、フランジ部に形成された開封開始部に、他の部分よりも外方向に突き出した開封開始凸部と、当該開封開始凸部の両脇付近から開封進行方向に続く外端に、開封進行方向に対して櫛歯形状部を含む環状ヒートシール部を内周側切り込みの外側に形成するようにしてヒートシールするようにしているので、前記した本発明の易開封性包装体を好適に製造することができる。
そして、このようにして得られた易開封性包装体も、前記した作用・効果を好適に享受することができる。
本発明のヒートシール体は、開口部の周縁にフランジ部を配設する多層容器と、当該開口部を覆う蓋材を、前記蓋材の上方から加熱状態で押圧して、前記フランジ部と蓋材とを環状ヒートシール部を形成してヒートシールするためのヒートシール体であって、前記フランジ部に形成された開封開始部に対して、他の部分よりも外方向に突き出した開封開始凸部を形成する部分と、当該開封開始凸部の両脇付近から開封進行方向に続く外端が、開封進行方向に対して櫛歯形状部を形成する部分を備えたことを特徴とする。
この本発明のヒートシール体は、多層容器のフランジ部に形成された開封開始部に対して、他の部分よりも外方向に突き出した開封開始凸部を形成する部分と、当該開封開始凸部の両脇付近から開封進行方向に続く外端が、開封進行方向に対して櫛歯形状部を形成する部分を備えている。従って、本発明のヒートシール体を用いて、多層容器のフランジ部と蓋材を、環状ヒートシール部を形成することによりヒートシールする場合にあっては、フランジ部に形成された開封開始部における環状ヒートシール部に、他の部分よりも外方向に突き出した開封開始凸部、及び当該開封開始凸部の両脇付近から開封進行方向に続く環状ヒートシールの外端に対して、開封進行方向に対して櫛歯形状部を含んだ環状ヒートシール部を好適に形成することができる。
また、本発明のヒートシール体は、前記開封開始凸部を形成する部分を備えた幅狭シール体と、櫛歯形状部を形成する部分を備えた幅広シール体を備えた、2つのヒートシール体から形成されるようにしてもよく、このような幅狭ヒートシール体と幅広ヒートシール体を用いることにより、2段ヒートシールを行う場合であっても、他の環状ヒートシール部よりも外方向に突き出した開封開始凸部、及び当該開封開始凸部の両脇付近から開封進行方向に続く環状ヒートシールの外端に対して、開封進行方向に対して櫛歯形状部を含んだ環状ヒートシール部を好適に形成することができる。
また、本発明のヒートシール体は、開口部の周縁にフランジ部を配設する多層容器と、当該開口部を覆う蓋材を、前記蓋材の上方から加熱状態で押圧して、前記フランジ部と蓋材とを環状ヒートシール部を形成してヒートシールするためのヒートシール体であって、
前記フランジ部に形成された開封開始部に対応する部分から開封進行方向に続く外端が、開封進行方向に対して櫛歯形状部を形成する部分を備えたことを特徴とする。
この本発明によれば、ヒートシール体が、フランジ部に形成された開封開始部に対応する部分から開封進行方向に続く外端が、開封進行方向に対して櫛歯形状部を形成する部分を備えているので、開封進行方向に続く環状ヒートシールの外端に対して、開封進行方向に対して櫛歯形状部を含んだ環状ヒートシール部を好適に形成することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の易開封性包装体1の一態様(第1実施形態)を示した概略図であり、図1(A)は蓋材3で密封された状態、図1(B)は開封開始部4から蓋材3を剥離して開封させた状態、をそれぞれ示している。
また、図2ないし図4は、図1に示した易開封性包装体1において、多層容器2の開口部24に蓋材3を載置して、ヒートシールした場合における開封開始部4周辺を示した概略図であり、図2は開封開始部4周辺の部分拡大図であり、図3は図2のIII−III断面図、図4は図2のIV−IV断面図である。
そして、図5は、蓋材3を多層容器2のフランジ部25から剥離させて開封した状態を示している。
図1ないし図5に示される易開封性包装体1は、多層容器2と蓋材3を備えており、このうち、多層容器2を構成する積層体として、最内層21と次層22が設けられている積層構成とされており、最内層21と次層22(基層)との層間で剥離するように構成されている。
そして、開封時には、蓋材3を引き上げていくに従って、ヒートシール部の蓋材3と最内層21が接着されたまま、最内層21と次層22との層間剥離が進行して、易開封性包装体1における多層容器2と蓋材3の開封が行われることになる。
多層容器2を構成する材料として、まず、最内層21としては、蓋材3と環状ヒートシール部255(以下、「ヒートシール部255」とすることもある)を形成してヒートシールされることから、ヒートシール性を有する材料とすることが好ましく、例えば、ポリプロピレン(PP)系樹脂、ポリエチレン(PE)系樹脂等のポリオレフィン系樹脂を使用することが好ましい。
次に、次層22としては、前記した最内層21を構成する材料と同様な材料を好適に使用することができ、例えば、最内層21が高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)の場合、ポリプロピレン系樹脂(PP)50〜100質量%と低密度ポリエチレン(LDPE)0〜50質量%のブレンド物等を用いることができる。
図1ないし図5に示される多層容器2を得るには、前記した種々の構成材料を通常の共押出成形法のほか、ラミネート加工に慣用されている成形方法、例えばエキストルージョンラミネート(押出ラミネート)法、ホットメルトラミネート法、ドライラミネート法、ウェットラミネート法等、中でも共押出成形手段により得られたシート状の積層体を熱成形することにより簡便に製造することができる。また、かかる熱成形の方法としては、真空成形法、圧空成形法、真空圧空成形法、プラグアシスト真空成形法等の各種熱成形方法を採用することができる。
多層容器2を構成する積層体の厚さとしては、一般に、200〜3000μmの範囲内とすることが好ましく、500〜1500μmの範囲内とすることがより好ましい。積層体の厚さをかかる範囲内とすることにより、強度及び加工性等に優れた多層容器2を提供することができる。
また、多層容器2の形状は、所謂トレー形状、カップ形状等の各種形状とすることができる。また、多層容器2の開口部24の形状も、円形状、角形状、楕円形状等の各種形状とすることができる。
このようにして得られた多層容器2の開口部24周縁には、蓋材3とヒートシールされるための鍔状のフランジ部25が配設される。当該フランジ部25の形状としては、当該開口部24の属する面と水平外側方向に延出し、最外縁で垂下して形成される断面コ字形のスカートフランジや、当該開口部24の属する面と水平外側方向に延出して形成されるフラットフランジや、当該開口部24の属する面と水平外側方向に延出し、最外縁で垂下して、端部をカール状とするカーリングフランジ等が挙げられる。
ここで、例えば、開口部24の形状が角形状等の隅角を備えたものである場合には、当該開口部24の隅角の少なくとも1ヶ所を開封開始部4とすることができる。そして、かかる開封開始部から、蓋材3を剥離させて、易開封性包装体1を開封するようにすればよい。
また、多層容器2に形成されるフランジ部25の幅は、多層容器2の大きさにより適宜決定すればよいが、たとえば4〜30mmの範囲内とすることが好ましく、8〜20mmの範囲内とすることがより好ましい。フランジ部25の幅をかかる範囲内とすることにより、剛性や開封性に優れたフランジ部25を備えた多層容器2となるため好ましい。
なお、本実施形態の多層容器2は、図1ないし図5に示すように、所定の深さを有する略長方形のトレー形状であって、略長方形状の開口部24を有し、当該開口部24の周縁には、外側に張り出すようにフランジ部25であるスカートフランジが配設されている態様を示している。
本発明の易開封性包装体1において、多層容器2の開口部24に配設されたフランジ部25の上面には、内周側切り込み251と外周側切り込み252の2本の周状の切り込みが設けられている。本実施形態において、この2本の切り込み251,252は、多層容器2のフランジ部25に蓋材3がヒートシールされ、蓋材3の開封時に内周側切り込み251と外周側切り込み252との間の最内層21と次層22との層間が易剥離して、最内層21が蓋材3側に移ることを可能とするものである。
かかる周状の切り込み251,252は、断面形状をV字状、U字状、矩形状等の各種形状とすることができる。ここで切り込みとは、多層容器の少なくとも最内層が剥離した場合に最内層が切断してヒートシール部分が蓋材と一体となって移行可能となるものであればよい。また、この場合、好ましくは、切り込みの深さは次層22まで達しており、このことにより最内層21の剥離を確実に行うことができる。なお、多層容器2としては、図示はしないが、多層構成中にガスバリアー樹脂層を有するガスバリアー多層容器が好適である。
一方、前記した多層容器2の開口部24に載置され、当該開口部24周縁のフランジ部25にヒートシールすることにより当該開口部24を密封する蓋材3を構成する樹脂材料としては、単層または多層構成のフィルムまたはシート(以下、「フィルム等」とすることもある)を使用することができる。
このフィルム等を構成する材料としては、フィルム等の形状となるものであれば特に制限はないが、ポリプロピレン(PP)系樹脂、ポリエチレン(PE)系樹脂、ナイロン(ポリアミド)系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂、アルミ箔、紙、接着性樹脂等の1種または2種以上の材料を用い、公知の成形方法を採用して、単層または積層のフィルム等とすればよい。
また、蓋材3は、多層容器2の開口部24の周縁に設けられたフランジ部25に対してヒートシールされるため、シーラント層を設けることが好ましく、かかるシーラント層としては、多層容器2とのヒートシール性、接着強度が高い樹脂、例えば、ポリプロピレン(PP)系樹脂、ポリエチレン(PE)系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂等の樹脂材料で形成することができる。
そして、包装体がガスバリアーである場合には、この蓋材3には、ガスバリアー性を向上させるべく、ガスバリアー層を設けることが好ましく、例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂、ナイロン(ポリアミド)系樹脂等や、酸化アルミニウム等の金属酸化物蒸着層、アルミ箔で形成されたガスバリアー層を設けることができる。
なお、本実施形態で示す蓋材3は、多層容器2がガスバリアー性多層容器である場合と仮定して、3層構成としており、例えば、延伸ナイロン(ポリアミド)層/エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)層/ポリエチレンシーラント等の組み合わせ等を採用することができる、
また、蓋材3を形成するフィルム等を積層フィルムとする場合には、このほか、例えば、下記(I)〜(IV)に示すような構成とすることができる。
(I)延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)層/金属酸化物コーティング層/延伸ナイロン(ポリアミド)層/ポリプロピレンシーラント
(II)延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)層/金属酸化物コーティング層/延伸ナイロン(ポリアミド)層/ポリエチレンシーラント
(III)延伸ナイロン(ポリアミド)層/エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)層/ポリプロピレンシーラント
(IV)延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)層/金属酸化物コーティング層/延伸ナイロン層/非晶ポリエチレンテレフタレート(PET)シーラント
また、蓋材3を構成するフィルム等の厚さは、20〜150μmの範囲内であることが好ましく、40〜80μmの範囲内であることがより好ましい。蓋材3を構成するフィルムの厚さをかかる範囲内とすることにより、強度、密封性及び易開封性に優れた蓋材3とすることができる。
また、図2ないし図5に示すように、本実施形態の如くフランジ部25に2本の切り込み251,252を形成した場合において、例えば、多層容器2の大きさを縦が約200mm、横が約100mm、フランジの幅が約5〜20mmとした場合にあっては、内周側切り込み251のフランジ部25の内縁からの距離aは、0.5〜5mm程度とすることが好ましく、外周側切り込み252のフランジ部25の外縁からの距離bは、0.5〜5mm程度とすることが好ましい。
また、内周側切り込み251と外周側切り込み252との間隔cは、3〜15mm程度とすることが好ましい。この内周側切り込み251と外周側切り込み252との間に、ヒートシール部255が形成されることになる。
なお、これらの距離a、距離b、間隔cは、多層容器2の大きさや形状に応じて、適宜決定することができる。
更には、フランジ部25の開封開始部4以外の部分における断面は、図4に示されるように、内周側切り込み251と外周側切り込み252との間隔cが、3〜15mm程度の間隔となるように形成されている。
なお、この2本の切り込み251,252は、例えば、内周側切り込み251を形成する刃と、外周側切り込み252を形成する図示しない加工刃をフランジ部25に押圧することによって形成することができる。かかる加工刃は、常温状態のものや、あるいは50〜300℃程度に加熱したものを使用することが好ましい。
また、環状ヒートシール部255は、開封開始部4から開封進行方向(図2中の矢印方向)以外の位置にあっては、内周側切り込み251と外周側切り込み252との間に帯状に形成されている。また、内周側切り込み251とヒートシール部255の内縁、及び外周側切り込み252とヒートシール部255の外縁との間には、幅d、eが0.5〜5mm程度の非融着部256を形成することが好ましい。
一方、開封開始部4における環状ヒートシール部255には、他の部分よりフランジ部25の外側方向(フランジ部25の角方向)に向かって突出した開封開始凸部255aが形成されている。ヒートシール部255に対してこのような開封開始凸部255aを設けることにより、多層容器2から蓋材3を引き上げて易開封性包装体1を開封しようとする場合において、当該開封開始凸部255aが、多層容器2のフランジ部25に対して蓋材3が剥離する際の開始点となり、蓋材3の開封が効率よく行われることになる。
なお、フランジ部25の外側方向に突出する開封開始凸部255aの形状は、本実施形態にあっては、図2に示すように、先端になるほど徐々に細く尖っていく形状となっている。
本実施形態にあっては、この開封開始凸部255aの先端部255abが外周側切り込み252を越えるようにして、フランジ部25の外側方向に突出した状態で形成されている。このように、開封開始凸部255aの先端部255abが外周側切り込み252を越えることにより、例えばヒートシールが内側にずれた場合にあっても、当該開封開始凸部255aの蓋材3の剥離の開始点としての役割が好適に享受されることになる。
なお、このように、開封開始凸部255aの先端部255abが外周側切り込み252を越える場合にあって、かかる外周側切り込み252から突出する部分の長さは、0〜5mm程度とすればよい。
そして、本発明の易開封性包装体1は、図2に示すように、開封開始部4における環状ヒートシール部255の、開封開始凸部255aの両脇付近から開封進行方向に続く外端が、開封進行方向(図2の矢印方向)に櫛歯形状部253を含むようにして形成されている。
具体的には、この櫛歯形状部253は、複数の歯253xから構成されるとともに、
歯の先端はフランジ部25の外側に向かって突き出すようにして、開封開始凸部255aの両脇から開封進行方向に形成されている。この場合櫛歯形状部253は、図2に示すように連続的に形成されていることが好ましい。
また、本実施形態における櫛歯形状部253は、開封開始凸部255aの両脇付近における歯253xの開封開始凸部に隣接する253a(図示では2本(計4本)は、その先端が外周側切り込み252を越えるようにして形成されており、また、この開封開始凸部隣接部253a以外の櫛歯形状部253を構成する歯253xは、その先端がフランジ部25に形成された外周側切り込み252を越えないようにして形成されている。
このようにして、開封開始凸部255aに隣接する両脇付近の櫛歯形状部253の開封開始凸部隣接部253aが、外周側切り込み252を越えるようして形成されることにより、当該開封開始凸部隣接部253aが開封進行方向に対する開封の基点となり、外周側切り込みに沿って多層容器2の最内層(表面層)21を持ち上げ蓋材3と一体になって剥離されていくため好ましい。
この櫛歯形状部253は、櫛歯形状部253を構成する歯253xの先端方向と開封進行方向とのなす角度が80度以下であることが好ましく、具体的には、開封開始凸部隣接部253a、中間部253b、後部(直線部)253cにおいて、10〜80度の範囲、好ましくは30〜80度の範囲で容器の形状などを考慮して適宜選定すればよく、必要によりそれぞれの部分でその角度を変更することもできる。櫛歯形状部253を構成する歯253xの先端方向と開封進行方向とのなす角度をかかる範囲とすることにより、開封進行方向に対する蓋材3の剥離がより円滑に行われることとなり、易開封性包装体1の易開封性がより向上することになる。
なお、櫛歯形状部253を構成する歯253xの巾は、0.2〜1mm、長さは、1〜10mm、櫛歯形状部253同士の間隔(ピッチ)は、例えば、1〜5mm程度としておけばよい。
かかる櫛歯形状部253を含んだ環状ヒートシール部255を備えた本実施形態の易開封性包装体1を製造する方法の一例を説明すると、まず、多層容器2のフランジ部25に対して、所定の加工刃を押圧することにより、多層容器2の開口部24を囲むように内周側切り込み251、及び外周側切り込み252が形成される。
次に、2本の切り込み251,252が形成された多層容器2に内容物を入れた後、開口部24に対して蓋材3を載置した後、フランジ部25に形成された開封開始部4に対して、開封開始凸部255aと、当該開封開始凸部255aの両脇付近から開封進行方向に続く外端に、開封進行方向に櫛歯形状部253を含む環状ヒートシール部255を形成するようにして、多層容器2に形成されたフランジ部25と蓋材3をヒートシールすればよい。
なお、環状ヒートシール部255を形成する場合にあっては、前記したように、開封開始部4における開封開始凸部255a、及び当該開封開始凸部255aの両脇付近の開封開始凸部隣接部253aを構成する歯253xの先端部が、外周側切り込み252を越えるようにして形成されていることが好ましい。
なお、蓋材3と多層容器2のフランジ部25をヒートシールするには、例えば、図6にその部分拡大図(開封開始部4をヒートシールする部分の図)を示す形状のヒートシール体260、具体的には、多層容器2に形成された開封開始部4に対して、内周側切り込み251と外周側切り込み252との間に環状ヒートシール部255を形成するに際して、環状ヒートシール部255の他の部分よりも外方向に突き出した開封開始凸部255aを形成する部分(開封開始凸部形成部261)と、この開封開始凸部255aの両脇付近から開封進行方向に続く外端が、開封進行方向に対して櫛歯形状部253を形成する部分(櫛歯形状部形成部262)を備えたヒートシール体260を用いてヒートシールすればよい。
ここで、ヒートシール温度としては、多層容器2及び蓋材3といったヒートシールされる材料の種類等により適宜決定すればよいが、一般に、150℃〜250℃程度とすればよい。なお、ヒートシール後の環状ヒートシール部255のパターンは、図2に斜線で示すようになる。
また、図6に示したものは、ヒートシールを1回で行う一段シールの場合を示したが、
図7に示すような環状ヒートシール部255のパターンの255X、255Yをそれぞれ形成する場合にあっては、ヒートシール体260として、図8、図9に示すものを用いて二段でヒートシールすることもできる。
すなわち、図8に示す形状のヒートシール体260aで一段目のヒートシールを行い、図9に示す形状のヒートシール体260bで二段目のヒートシールを行えば、図7に示すヒートシール部のパターンの255X、255Yをそれぞれ形成することができる。この場合、二段シールにおけるヒートシール体260a,260bの順番は特に限定されない。また、開封開始凸部255aの形成も図示に限定されるものではない。
そして、このようにヒートシールされて密閉状態となっている易開封性包装体1を、開封開始部4から開封するには、まず蓋材3を引き上げていき、外周側切り込み252に達したところで、蓋材3と最内層21との層間剥離が起こることなく、最内層21と次層22との層間で剥離が起こり、蓋材3を引き上げていくに従って、最内層21と蓋材3が一体となって剥離が進行し、易開封性包装体1における多層容器2と蓋材3との開封が好適に行われていくことになる。
前記したような第1実施形態の易開封性包装体1によれば、次のような効果を奏することができる。
(1)本発明の易開封性包装体1は、多層容器2のフランジ部25に形成された開封開始部4における環状ヒートシール部255に対して、当該環状ヒートシール部255の他の部分よりも外方向に突き出した開封開始凸部255aが形成されているとともに、この開封開始凸部255aの両脇付近から開封進行方向に続く環状ヒートシール255の外端が、開封進行方向に櫛歯形状部253を含んでいるので、蓋材3を多層容器2から、多層容器2の最内層21と次層22との層間で剥離する場合にあって、開封開始凸部255aが剥離の開始点、櫛歯形状部253が誘導部となって、フランジ部25の最内層21の剥離をスムースに行うことができるため、ヒートシールした部分の全周を容易に剥離することができる。
(2)開封開始凸部255aの両脇付近から開封進行方向に対して(連続して)形成されたシールの櫛歯形状部253が、フランジ部25の最内層21を持ち上げて剥離していくので、環状ヒートシール部255の外端の位置にかかわらず、良好な開封性を維持することができる。従って、シール精度が悪く、ヒートシールの位置ずれが生じた場合でも、易開封性を阻害することなく、密封性と易開封性を両立することが可能な易開封性包装体1を提供することができる。
(3)また、前記したような構成によれば、シール条件にも幅を持たせることができるため、易開封性包装体1の易開封性も安定させることが可能となるとともに、品質向上にも繋がる。この結果、易開封性包装体1の生産性が向上して、低コスト化を図ることができる。
(4)フランジ部25における、環状ヒートシール部255の内端とフランジ部25内端の間に内周側切り込み251を、また、環状ヒートシール部255の外端からフランジ部25外端の間に外周側切り込み252を形成しているので、蓋材3と多層容器2の剥離が、この外周側切り込み252と内周側切り込み251との間で良好に行われ、易開封性包装体1の易開封性がより一層優れたものとなる。
(5)開封開始凸部255aの先端部255abが、外周側切り込み252を超えて形成されているので、開封時の剥離の開始点としての役割を好適に発揮することができ、易開封性包装体1の開封を効率よく行うことが可能となる。
(6)環状ヒートシール部255における、フランジ部25の開封開始部4に対応する位置に形成された開封開始凸部255aの両脇付近における開封開始凸部隣接部253aを構成する歯253xが、フランジ部25の外周側切り込み252を超えて形成されているため、開封開始凸部255aにより剥離の開始点となるとともに、開封開始凸部隣接部253aが、開封進行方向に対する開封の基点、誘導点となり、ここから連続して櫛歯形状部253に沿って蓋材3が最内層21と共に剥離していくことになり、前記した効果をより確実に達成できることとなる。
(7)開封開始凸部255aの両脇付近から開封進行方向に(連続して)形成された櫛歯形状部253を構成する歯253xの先端方向と開封進行方向とのなす角度が80度以下とすることにより、開封進行方向に対する蓋材3の剥離がより円滑に行われ、易開封性包装体1の易開封性が向上することとなる。
[第2実施形態]
図10、図11は、本発明の第2実施形態における易開封性包装体1を構成する開封開始部4付近を示す図であり、蓋材3を多層容器2のフランジ部25から剥離させて開封する前と開封を開始した状態を示す。
前記した第1実施形態の易開封性包装体1は、多層容器2がスカートフランジを有するものであった。これに対して、第2実施形態の易開封性包装体1は、図10、図11に示すように、フラットフランジである点で相違する。
また、前記した第1実施形態の易開封性包装体1は、当該包装体1を多層容器2のフランジ部25に対して、多層容器2の開口部24を囲むようにして内周側切り込み251と外周側切り込み252の2本の周状の切り込みが形成されていた。
これに対して、第2実施形態の易開封性包装体1は、多層容器2のフランジ部25に対しては、外周側切り込み252は形成されず、内周側切り込み251のみが形成されているという点で相違する。
なお、本実施形態においては、前記した第1実施形態と同一構造及び同一部材については、同一符号を付すとともに、その説明は省略又は簡略化している。
まず、多層容器2の最内層21と次層22を構成する樹脂材料としては、前記した第1実施形態における多層容器2を構成するものと実質的に変わらず、同様なものを適用することができる。
また、前記したように、多層容器2のフランジ部25には、内周側切り込み251のみが形成されている。かかる内周側切り込み251は、前記した第1実施形態等と同様に、内周側切り込み251を形成する図示しない加工刃をフランジ部25に押圧することによって形成することができる。
本実施形態においては、多層容器2の形状、切り込みが環状ヒートシール部255の内側のみにある点以外において、ヒートシールの形成は第1実施形態と実質同様である。
かかる構成の易開封性包装体1を開封開始部4から開封するには、図11に示されるように、蓋材3を上方に引き上げるようにすると、内層21と次層22との間で層間剥離が進行して、易開封性包装体1における多層容器2と蓋材3との開封が好適に行われることになる。
前記したような第2実施形態の易開封性包装体1によれば、第1実施形態の易開封性包装体1により奏される効果を有する。
なお、第2実施形態にあっては、第1実施形態の外周側切り込みの位置がフランジ外周部として置き換えたものに相当するものである。
なお、以上説明した態様は、本発明の一態様を示したものであって、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的及び効果を達成できる範囲内での変形や改良が、本発明の内容に含まれるものであることはいうまでもない。また、本発明を実施する際における具体的な構造及び形状等は、本発明の目的及び効果を達成できる範囲内において、他の構造や形状等としても問題はない。
例えば、前記した実施形態は、多層容器2について、最内層21と次層22との層間以降が剥離する態様の例として、内周側切り込み251と外周側切り込み252を形成して、最内層21が次層22との層間で剥離する態様(第1実施形態)及び内周側切り込み251のみを形成して最内層21と次層22とが層間剥離する態様(第2実施形態)を示したが、これには限定されず、最内層21と次層22、及び当該次層22と接する次次層(基層)を設け、次層22内の凝集破壊剥離、次層22と次次層との間の層間剥離、またはこれらが組み合わさった剥離形態であってもよい。また、多層容器2が3層以上の場合における最内層21、次層22は一般的に100μm以下とされる。すなわち、多層容器2表面と蓋材3面のヒートシール強度よりも少なくとも最内層21を含む層のフランジ25からの剥離強度が低くなるような多層容器2であればよい。
また、内周側切り込み251、外周側切り込み252としては、蓋材3を開封する際に切断可能な機能有するものであればよく、特に限定されるものではない。さらに、多層容器2は2層以上であればよく、必要に応じてガスバリアー性、強度、剛性など必要な特性に応じて他の樹脂層を設けてもよい。
また、前記した実施形態においては、多層容器2を形成する積層体の構成や、蓋材3を形成する積層体の構成、及び2本の切り込み251,252の位置関係等を、具体的な材料や数値等を挙げて示したが、これらはいずれも任意の材料等を採用しても全く問題はない。
前記した実施形態においては、環状ヒートシール部255の開封開始凸部255aに隣接する両脇付近の櫛歯形状部253の歯の先端が、外周側切り込み252を越えた態様を示したが、これには限定されず、当該先端部は外周側切り込み252と接していてもよいし、接せず越えない状態であってもよい。
その他、本発明の実施における具体的な構造及び形状等は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造等としてもよい。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例等の記載内容に何ら制約されるものではない。
[実施例1]
下記の材料及び方法を用いて、図1、図3ないし図9(第1実施形態)に示す本発明の易開封性包装体を製造した。
なお、ヒートシール部の形成については、後記するように、幅狭シールと幅広シールの2段シールにより実施した。
共押出成形により、次の内層/次層からなる積層体(多層シート)を成形した。
内層:高密度ポリエチレン(HDPE)樹脂〔出光ポリエチレン440M(出光石油
化学(株)製)、密度0.96g/cm、MFR(メルトフローレートの略、
以下同じ)0.9g/10分〕 厚さ 100μm
次層:ポリプロピレン樹脂(PP)層〔ポリプロピレン樹脂:出光ポリプロE−10
5GM(出光石油化学(株)製)、MFR 0.6g/10分、80重量%と、
低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂:〔FZ−038(日本ポリケム(株)製)、
MFR 0.3g/10分、20質量%の混合物〕 厚さ 900μm
この多層シートを用いてプラグアシスト真空成形により、150mm×100mm×30mm(高さ)のフランジ付多層容器を成形した。なお、この多層容器は、開口部に対して幅8mmのフランジ部を有し、略長方形のトレー状に形成されている。また、フランジ部の外縁には、本体底部側に向かう曲折部としてのスカートが形成されているスカートフランジが採用されている。
次に、多層容器のフランジ部の外縁から1mm、内縁から1mmのところに、2本の周状の切り込みを200℃に加熱した加工刃を用いて形成した。
なお、これらの切り込みは、最内層を安全にカットするように形成されており、2本の周状の切り込みの間隔は6mmとなっている。
このようにして得られた多層容器に対して、水200gを入れた後、多層容器の開口部に対して、延伸ナイロン(ポリアミド)/無水マレイン酸変性ポリエチレン/ポリエチレン(PE)層(厚さ15μm/12μm/50μm)からなる多層フィルムを載置して、下記のヒートシール条件を用いて、蓋材をフランジ部に対してヒートシールして、図7に示すような形状の環状ヒートシール部を形成することにより、本発明の易開封性包装体を得た。
なお、ヒートシールを行うヒートシール体としては、図8及び図9に示される形状の、幅広シール部を形成し、かつ、櫛歯形状部を形成する部分を備えた幅広ヒートシール体と、幅狭シール部を形成し、かつ、開封開始凸部形成部を備えた幅狭ヒートシール体の、2つのヒートシール体を用いた。
また、ヒートシールは、この2本のヒートシール体により、まず、幅狭シールを行って、その後幅広シールを行う2段シールにより実施した。
( ヒートシール条件 )
シール温度 195℃
シール圧力 1500N/1容器
時間 0.5秒
ヒートシールの回数 幅広シール及び幅狭シールそれぞれ1回ずつ
ここで、ヒートシールは、2本の切り込みとの間で蓋材とフランジ部が、図7に示すように帯状にシールされおり、シールの開封位置にて凸部シールされている。内周側切り込みとシール部内縁の間隔は2mm、外周側切り込みとシール部外縁の間隔は1mmとなるようにシールされている。
また、環状ヒートシール部は、開封開始凸部を除き、開封開始凸部に隣接して約50mmの櫛歯形状部が外周側切り込みからはみ出さず(開封開始凸部隣接部を除く)、外周側切り込みの線上に一致してヒートシールされている。この櫛歯形状部は、その幅を0.3mm、ピッチを2mm、長さを2mmとした。そして、櫛歯形状部の歯の先端方向と開封進行方向とのなす角度は、開封開始凸部隣接部では55度、中間部では70度、後部(直線部)では60度となるようにした。
このようにして得られた本発明の易開封性包装体を開封して、人感に従い、開封時の感触(開封感)を判定したところ、シールエッジ部におけるいわゆるエッジ切れの発生もなく、良好な開封感が得られた。また、易開封性包装体の開封後の外観も、非常に滑らかであった。
[実施例2]
実施例1において、櫛歯形状部の歯の先端方向と開封進行方向とのなす角度が、中間部及び後部(直線部)について略直角(90度)となるように櫛歯形状部を形成した以外は実施例1に従い、本発明の易開封性包装体を製造した。
このようにして得られた本発明の易開封性包装体を開封して、前記した実施例1と同様に、人感に従い、開封時の感触(開封感)を判定したところ、開封部の外観は滑らかで良好であるが、環状ヒートシール部である櫛歯形状部が開封時に若干ではあるが抵抗となり、実施例1と比較して開封感がわずかに重く感じられた。
[比較例1]
実施例1において、櫛歯形状部を設けない以外は実施例1と同様にして、易開封性包装体1を製造した。なお、環状ヒートシール部の外端と、外周側切り込み部との間隔は0.5mmとした。
比較例1で得られた易開封性包装体を、前記した実施例と同様にして、人感に従い、開封時の感触(開封感)を判定したところ、開封開始後において開封開始凸部隣接部で容器最内層を持ち上げる際の抵抗が重く開封がスムースに行われなかった。また、急激に剥離しようとすると蓋材のシールエッジ切れが起こり開封困難なものもあった。
本発明は、例えば、レトルト食品等の各種食品や薬品等の包装容器として広く利用することができる易開封性包装体、当該易開封性包装体の製造方法、及びこれらに用いられるヒートシール体として広く利用することができるものである。
本発明の第1実施形態の易開封性包装体を示した図であって、(A)は蓋材で密封された状態、(B)は開封開始部から蓋材を開封した状態を示す概略図である。 図1に示す易開封性包装体の開封開始部周辺の拡大図である。 図2のIII−III断面図である。 図2のIV−IV断面図である。 第1実施形態の易開封性包装体について、開封開始部で多層容器のフランジ部と蓋材とを剥離した状態を示した断面図である。 ヒートシール体の概略形状を示した部分拡大図である。 図1に示す易開封性包装体の開封開始部周辺の他の態様を示した拡大図である。 ヒートシール体の他の概略形状を示した部分拡大図である。 ヒートシール体の他の概略形状を示した部分拡大図である。 第2実施形態の易開封性包装体について、開封開始部の多層容器のフランジ部を示した断面図である。 第2実施形態の易開封性包装体について、開封開始部の多層容器のフランジ部と蓋材とを剥離した状態を示した断面図である。
符号の説明
1…易開封性包装体、2…多層容器、3…蓋材、4…開封開始部、21…最内層、22…次層、24…開口部、25…フランジ部、251…内周側切り込み、252…外周側切り込み、253…櫛歯形状部、253a…開封開始凸部隣接部、253b…中間部、253c…後部(直線部)、253x…歯、255…環状ヒートシール部、255a…開封開始凸部、255ab…先端部、255x…幅広シール部、255y…幅狭シール部、256…非融着部、260…ヒートシール体,260a…幅広ヒートシール体,260b…幅狭ヒートシール体、261…開封開始凸部形成部、262…櫛歯形状部形成部

Claims (9)

  1. 開口部の周縁にフランジ部を配設し、最内層と次層との層間以降が剥離可能な多層容器を備え、当該フランジ部と蓋材とが環状ヒートシール部を形成してヒートシールされる易開封性包装体であって、
    前記フランジ部の環状ヒートシール部の内端とフランジ部内端の間に、前記開口部を囲む内周側切り込みが形成され、
    前記フランジ部に形成された開封開始部における環状ヒートシール部には、他の部分よりも外方向に突き出した開封開始凸部が形成されているとともに、
    当該開封開始凸部の両脇付近から開封進行方向に続く環状ヒートシールの外端が、開封進行方向に櫛歯形状部を含んでいることを特徴とする易開封性包装体。
  2. 請求項1に記載の易開封性包装体において、
    前記フランジ部における環状ヒートシール部外端からフランジ部外端の間に、前記開口部を囲む外周側切り込みが形成され、
    前記開封開始凸部の先端部が、前記外周側切り込みに接するか、若しくは当該外周側切り込みを超えて形成されていることを特徴とする易開封性包装体。
  3. 請求項2に記載の易開封性包装体において、
    前記開封開始凸部の両脇付近における前記櫛歯形状部を構成する歯の少なくとも1つが、
    前記外周側切り込みに接するか、当該切り込みを超えて形成されていることを特徴とする易開封性包装体。
  4. 請求項1ないし請求項3の何れかに記載の易開封性包装体において、
    前記櫛歯形状部を構成する歯の先端方向と開封進行方向とのなす角度が80度以下であることを特徴とする易開封性包装体。
  5. 請求項1ないし請求項4の何れかに記載の易開封性包装体において、
    前記環状ヒートシール部が、
    幅広シール部と、
    当該幅広シール部の領域内部に当該幅広シール部に沿って前記開口部を囲むように配設され、前記幅広シール部よりも幅が狭い幅狭シール部からなり、
    前記幅広シール部が前記櫛歯形状部を備えており、
    前記幅狭シール部が前記開封開始凸部を備えていることを特徴とする易開封性包装体。
  6. 開口部の周縁にフランジ部を配設し、最内層と次層との層間以降が剥離可能な多層容器を備え、当該フランジ部と蓋材とが環状ヒートシール部を形成してヒートシールされる易開封性包装体の製造方法であって、
    前記フランジ部に、前記開口部を囲む内周側切り込み、及び必要により前記開口部を囲む外周側切り込みが形成された多層容器の開口部に対して蓋材を載置した後、
    前記フランジ部に形成された開封開始部に、他の部分よりも外方向に突き出した開封開始凸部と、当該開封開始凸部の両脇付近から開封進行方向に続く外端に、開封進行方向に櫛歯形状部を含む環状ヒートシール部を、前記内周側切り込みの外側に形成して、
    多層容器に形成されたフランジ部と蓋材をヒートシールすることを特徴とする易開封性包装体の製造方法。
  7. 開口部の周縁にフランジ部を配設する多層容器と、当該開口部を覆う蓋材を、前記蓋材の上方から加熱状態で押圧して、前記フランジ部と蓋材とを環状ヒートシール部を形成してヒートシールするためのヒートシール体であって、
    前記フランジ部に形成された開封開始部に対して、他の部分よりも外方向に突き出した開封開始凸部を形成する部分と、
    当該開封開始凸部の両脇付近から開封進行方向に続く外端が、開封進行方向に対して櫛歯形状部を形成する部分を備えたことを特徴とするヒートシール体。
  8. 請求項7に記載のヒートシール体において、
    前記開封開始凸部を形成する部分を備えた幅狭シール体と、
    前記櫛歯形状部を形成する部分を備えた幅広シール体を備えたことを特徴とするヒートシール体。
  9. 開口部の周縁にフランジ部を配設する多層容器と、当該開口部を覆う蓋材を、前記蓋材の上方から加熱状態で押圧して、前記フランジ部と蓋材とを環状ヒートシール部を形成してヒートシールするためのヒートシール体であって、
    前記フランジ部に形成された開封開始部に対応する部分から開封進行方向に続く外端が、開封進行方向に対して櫛歯形状部を形成する部分を備えたことを特徴とするヒートシール体。
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