JP6211723B1 - 木材の結合構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】木材の有する強度を最大限に引き出すことにより、ほぞ及びほぞ穴による高耐力の結合部を安価且つ容易に、美観を損なうことなく、且つ、高い施工性で実現することができる、木材の結合構造を提供する。【解決手段】第2の木材4は、ほぞ穴8の少なくとも一部を介して嵌合領域22の延設方向に穿孔されたピン孔10a〜10cを有し、木材の結合構造は、ほぞ穴8にほぞ6を嵌合した状態で、ピン孔10a〜10cに打ち込まれるピン12と、ピン孔10a〜10cの一方開口側からのピン12の打ち込みにより、ほぞ穴8の少なくとも一部においてピン12がほぞ6の少なくとも一部を貫通し、ピン12をピン孔10a〜10cの他方開口側に至らしめることで形成されるピン結合14a〜14cとを備え、ピン結合14a〜14cは、各嵌合領域22近傍にそれぞれ設けられた主ピン結合16A、16Bを含む。【選択図】図1

Description

本発明は、木材の結合構造に関し、特に木造建築物の柱と土台、柱と梁等の結合に好適な木材の結合構造に関する。
古来より、日本の木造建築物は、木造軸組工法(在来工法)で建築され、木材の力を巧みに利用して強度と共に美しさも追求してきている。一方、現代の木造建築は、合理化や工期短縮、職人の不足等の理由で結合部に金物を多用している。例えば、柱と土台との結合部には、柱の端面に設けられたほぞを土台に設けられたほぞ穴に嵌合させ、柱及び土台の結合部をコーナー金物等の組付プレートで補強するのが一般的になっている(例えば特許文献1参照)。
特開2015−96677号公報
しかしながら、従来の組付プレートを使用した木材の結合構造では、組付プレートを柱及び土台に取り付けるために、多数のビスや釘等を木材に打ち込む必要がある。このため、施工に時間がかかると共に、作業も容易ではなく、また、建築物の美観を損なうおそれがある。また、木材の欠損が大きくなり、その強度も低下するおそれがある。また、パネル工法等においては、パネルを取り付ける際に組付プレートが邪魔になることがある。
更には、従来の組付プレートを使用した結合部では、多数のビスや釘等を木材に打ち込む必要があるため、作業員による打ち込み忘れを招くことが懸念される。この場合には、建築物の耐力が低下するおそれがある。また、施工時に、現場においてビスや釘等の打ち込み箇所に配慮しなければ、柱や土台に生じる剪断力により木材に割れが生じ、特に地震などで柱に引抜力が生じた場合、当該割れが促進され、建築物の耐力が著しく低下するおそれもある。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、木材の有する強度を最大限に引き出すことにより、ほぞ及びほぞ穴による高耐力の結合部を安価且つ容易に、美観を損なうことなく、且つ、高い施工性で実現することができる、木材の結合構造を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の木材の結合構造は、第1の木材の端面に設けられたほぞを第2の木材に設けられたほぞ穴に互いの対向する嵌合領域で直接に嵌合させ、これら第1及び第2の木材を結合する木材の結合構造であって、第2の木材は、ほぞ穴を介して嵌合領域の延設方向に穿孔されたピン孔を有し、結合構造は、ほぞ穴にほぞを嵌合した状態で、ピン孔に打ち込まれるピンと、ピン孔の一方開口かピン孔を介したほぞへの直接のピンの打ち込みにより、ほぞ穴においてピンがほぞに食い込んで貫通し、ピンをピン孔の他方開口に至らしめることで形成されるピン結合とを備え、ピン結合は、各嵌合領域からピン孔の孔径の2倍値以下に離間した位置にそれぞれ設けられた主ピン結合を含む。
一方、本発明の別の木材の結合構造は、第1の木材の端面に設けられたほぞを第2の木材に設けられたほぞ穴に互いの対向する嵌合領域で直接に嵌合させ、これら第1及び第2の木材を結合する木材の結合構造であって、第2の木材は、ほぞ穴を介して嵌合領域の延設方向に穿孔されたピン孔を有し、結合構造は、ほぞ穴にほぞを嵌合した状態で、ピン孔に打ち込まれるピンと、ピン孔の一方開口からピン孔を介したほぞへの直接のピンの打ち込みにより、ほぞ穴の少なくとも一部においてピンがほぞの少なくとも一部に食い込んで貫通し、ピンをピン孔の他方開口に至らしめることで形成されるピン結合とを備え、ピン結合は、各嵌合領域を含む位置にそれぞれ設けられた主ピン結合を含む。
好ましくは、各主ピン結合は、各嵌合領域の対向方向に並設されている。
好ましくは、ピン結合は、各嵌合領域の対向方向において、各主ピン結合の間に設けられた補助ピン結合を含む。
好ましくは、補助ピン結合は、第2の木材におけるほぞ穴の延設方向にて各主ピン結合とずれた位置に設けられる。
好ましくは、補助ピン結合は、各嵌合領域の対向方向において、各主ピン結合の中間に位置付けられる。
好ましくは、ピンは、ほぞの少なくとも一部に打ち込まれる鋭角円錐状の先端部と、打ち込みが行われる頭部とを有する。
好ましくは、ピンは、ピン孔と中間嵌めの嵌め合いとなるピン径を有する。
好ましくは、ピンは、頭部が第2の木材の両側面のうちの一側面と実質的に面一になるまで打ち込みが行われた結果、先端部がピン孔から両側面のうちの他側面の外方に非突出となる長さを有する。
本発明の木材の結合構造によれば、木材の有する強度を最大限に引き出すことにより、ほぞ及びほぞ穴による高耐力の結合部を安価且つ容易に、美観を損なうことなく、且つ、高い施工性で実現することができる。
本発明の第1実施形態に係る木材の結合構造を適用した柱と土台との結合部の組立斜視図である。 図1の結合部の分解斜視図である。 図1の結合部の側面図である。 図3の結合部のA−A断面矢視図である。 図1の(a)ピンの側面図、(b)ピンをその先端部から見た図、(c)ピン12をその頭部から見た図である。 図3に示した結合部に作用する力を概略的に示した図である。 図6の状態から、柱に引抜力が作用したときの結合部に作用する力を概略的に示した図である。 図7の主ピン結合に作用する押圧力の分力を拡大して示した図である。 本発明の第1実施形態の変形例において、柱に引抜力が作用したときの結合部に作用する力を概略的に示した図である。 本発明の第1実施形態の別の変形例において、柱に引抜力が作用したときの結合部に作用する力を概略的に示した図である。 本発明の第2実施形態に係る木材の結合構造を適用した柱と土台との結合部の側面図である。 図11の結合部のB−B断面矢視図である。 図11に示した結合部に作用する力を概略的に示した図である。 図13の状態から、柱に引抜力が作用したときの結合部に作用する力を概略的に示した図である。 図14の主ピン結合で作用する押圧力の分力を拡大して示した図である。 本発明の第2実施形態の変形例において、柱に引抜力が作用したときの結合部に作用する力を概略的に示した図である。 本発明の第3実施形態に係る木材の結合構造を適用した柱と土台との結合部において、柱に引抜力が作用したときの結合部に作用する力を概略的に示した図である。
以下、図面に基づき本発明の各実施形態について説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る木材の結合構造を適用した柱(第1の木材)2と土台(第2の木材)4との結合部1の組立斜視図を示す。この木材の結合構造は、建築物の例えば木造軸組工法(在来工法)で建築され、柱2の木口としての端面2aにほぞ6を設け、このほぞ6が土台4に設けられたほぞ穴8に嵌合されている。
柱2及び土台4は、木口寸法が例えば縦横105mmとなる角材である。土台4は、図1に示す長手方向(嵌合領域の対向方向)X、ほぞ穴8の延設方向となる高さ方向Y、幅方向(嵌合領域の延設方向)Zの姿勢を有して配置され、ほぞ穴8を介して土台4の幅方向Zに対向する側面4c、4dを有している。ほぞ6及びほぞ穴8は、製材所にて柱2及び土台4をプレカット加工することにより形成される。
図2は結合部1の分解斜視図を示す。ほぞ6は、柱2の端面2aの中央に直方体状の嵌合凸部として形成された、いわゆる平ほぞであって、下面6a、長手方向Xに対向する側面6b、6c、幅方向Zに対向する側面6d、6eを有している。一方、ほぞ穴8は、土台4の上面4aに開口されると共に土台4の下面4bに非貫通となる有底角穴である。ほぞ穴8は、底面8a、長手方向Xに対向する側壁8b、8c、幅方向Zに対向する側壁8d、8eを有している。
ほぞ穴8は、これら各壁8a〜8eに、対向するほぞ6の各面6a〜6eが当接ひいては嵌合可能な嵌合凹部として形成されている。また、ほぞ6及びほぞ穴8の長手方向X、高さ方向Y、幅方向Zの寸法は、例えば、それぞれ70mm、80mm、30mm程度である。
土台4の幅方向Zに対向する両側面4c、4dには、3つのピン孔10a、10b、10cが開口されている。各ピン孔10a〜10cには、それぞれピン12が打ち込まれる。ピン12は、いわゆるドリフトピンであって詳細は後述する。各ピン孔10a〜10cは、土台4の幅方向Zにほぞ穴8を介して一貫されたピン12の挿通孔(孔長105mm)を形成している。
結合部1の形成に際しては、先ず、図2に一点鎖線矢印で示すように柱2を土台4に立設させ、ほぞ穴8にほぞ6を嵌合する。次に、ほぞ穴8にほぞ6が嵌合した状態で、図2に二点鎖線矢印で示すように、ピン12をピン孔10a、10bの一方が開口された土台4の側面4c側からハンマーなどで打撃して打ち込む。
これらピン12の打ち込みにより、図1に示すように、各ピン12がほぞ穴8においてほぞ6を貫通し、ほぞ6及びほぞ穴8において3つのピン結合14a、14b、14cが形成される。各ピン孔10a〜10cは、各ピン12をほぞ6の適所に打ち込んで、ほぞ6の適所を貫通させるためのガイド孔として機能する。これにより、結合部1において各ピン結合14a〜14cを所望位置に形成することができる。
図3は結合部1の側面図を示し、図4は結合部1の図3におけるA−A断面矢視図を示す。ピン孔10a〜10cは、それぞれ等しい孔径d(例えばd=10mm)を有する円形状断面を有し、ほぞ6及びほぞ穴8の場合と同様に、製材所にて土台4をプレカット加工することにより形成される。本実施形態の場合、ピン孔10a、10bは、ほぞ6の両側面6b、6c近傍に位置付けられ、長手方向Xに並設されている。
ピン孔10a〜10cを含む木材のプレカット加工は、製材所にて、木材加工の工程をコンピュータ制御で自動実行可能なプレカット加工機により行われる。プレカット加工機は、加工寸法や加工態様等のプログラムを予め登録可能であり、当該登録されたプログラムに基づいて木材を自動加工する。具体的には、プレカット加工機はドリルを備えており、土台4を加工する際には、先ずドリルにより土台4の上面4aにほぞ穴8を形成する。
次に、ドリルを土台4の側面4cからほぞ穴8の側壁8dを貫通するまで幅方向Zに進行させ、土台4の側面4c側にピン孔10a〜10cの一端部を穿孔する。次に、ドリルを土台4の側面4dからほぞ穴8の側壁8eを貫通するまで幅方向Zに進行させ、土台4の側面4d側にピン孔10a〜10cの他端部を穿孔する。これにより、ほぞ穴8を介して幅方向Zに一貫され、土台4の両側面4c、4dに円形状に開口したピン孔10a〜10cが形成される。
ピン孔10a、10bの中心は、土台4の上面4aから距離L(例えばL=35mm)を有して位置付けられている。一方、ピン孔10cは、土台4の長手方向Xにおいて、ピン孔10a、10bの間に位置付けられている。また、ピン孔10cは、土台4におけるほぞ穴8の延設方向、つまり高さ方向Yにてピン孔10a、10bとずれた位置、本実施形態の場合は高さ方向Yにてピン孔10a、10bの下側に設けられている。
このように形成されたピン孔10a〜10cに、それぞれピン12を打ち込むことにより、ほぞ6を土台4に結合するためのピン結合14a〜14cがそれぞれ形成される。結合部1は、ほぞ穴8へのほぞ6を嵌合と、ピン結合14a〜14cとから構成される。ピン結合14a、14bは、ほぞ6の両側面6b、6c近傍に位置付けられ、長手方向Xに並設された主ピン結合16Aとして機能する。
これら主ピン結合16Aは、後で詳述するが、結合部1の主たる結合機能を発揮する。本実施形態の場合、各主ピン結合16Aは、土台4の長手方向Xおいて、ほぞ6の両側面6b、6cからそれぞれ離間した位置に設けられている。これら離間距離D1は、好ましくは、ピン孔10a〜10cの孔径dの2倍値以下、更に好ましくは孔径d以下(例えばD1=5mm)にそれぞれ規定されている。
一方、ピン結合14cは、土台4の長手方向Xにおいて、ピン結合14a、14bの間に位置付けられる補助ピン結合18として機能する。この補助ピン結合18は、高さ方向Yにてピン結合14a、14bとずれた位置、本実施形態の場合には高さ方向Yにて各主ピン結合16Aの下側に設けられ、後で詳述するが、結合部1の補助的な結合機能を発揮する。
補助ピン結合18と各主ピン結合16Aとは、等しい離間距離D2で離間している。即ち、補助ピン結合18は各主ピン結合16Aの中間に位置付けられている。また、主ピン結合16Aと補助ピン結合18との高さ方向Yにおける離間距離D3は、例えばピン孔10a〜10cの孔径dの2倍値以下(例えばD3=15mm)である。
このように、各主ピン結合16A及び補助ピン結合18は、ほぞ穴8にほぞ6を嵌合した状態で、ピン孔10a〜10cの一方からそれぞれピン12を打ち込むことにより、ほぞ穴8においてピン12がほぞ6を貫通し、ピン12をピン孔10a〜10cの他方に至らしめることで形成される。
図5は、(a)ピン12の側面図、(b)ピン12をその先端部12aから見た図、(c)ピン12をその頭部12bから見た図を示す。ピン12の先端部12aは、鋭角円錐状をなしており、先端に45°以下、好ましくは30°〜45°、更に好ましくは40°程度の尖った尖頭12cを有している。ピン12をピン孔10a〜10cの一方に挿入し、ハンマーなどでピン12の頭部12bを打撃してほぞ6に打ち込むことで、ピン12をほぞ6に食い込ませ、ほぞ6を貫通させることができる。一方、ピン12の頭部12bは平坦面をなしている。また、ピン21は好ましくは鉄等の金属製であるが、ほぞ6への打ち込みが可能であれば、ポリカーボネート等の高強度のプラスチックから形成しても良い。
ピン12は、ピン径d1、全長L1、先端部長L2、頭部長L3、頭部径d2を有している。d1、L1、L2、L3、d2の寸法は、例えば、それぞれ、9.9mm、103mm、15mm、10mm、10.5mmである。このように、ピン径d1をピン孔10a〜10cの孔径dの10mmよりも若干小さい9.9mmとすることにより、ピン12とピン孔10a〜10cとは、これらの間に微小隙間を確保した中間嵌めの嵌め合いとなる。このような寸法でピン12を形成することにより、ほぞ6に対するピン12の拘束力を高めることができるため、強固な結合部1を実現することができるのは勿論のこと、ほぞ6にピン12を打ち込む際の土台4の割れを効果的に抑制することができる。
また、ピン12の全長L1を土台4の幅方向Zの長さである105mmよりも小さい103mmとすることにより、頭部12bが土台4の両側面4c、4dのうちの一側面(図4では側面4c)と実質的に面一になるまでピン12の打ち込みが行われた結果、先端部12aがピン孔10a〜10cから両側面4c、4dのうちの他側面(図4では側面4d)の外方に非突出となる。これにより、土台4の側面4dから視認されるのは、ほぼピン孔10a〜10cの開口だけである。
一方、土台4の側面4cから視認されるのは、ピン孔10a〜10cの開口と、ピン12の頭部12bだけである。また、ピン12の頭部径d2は10.5mmであって、ピン孔10a〜10cの孔径dの10mmよりも若干大きい。このため、ピン12は、頭部12bにおいてはピン孔10a〜10cとの間に隙間のない締まり嵌めの嵌め合いで嵌合される。
更には、頭部12bが土台4の側面4cと実質的に面一になることを相俟って、土台4の側面4cからは、ピン12の打ち込みが行われていることは定かではなく、一見してピン12の頭部12bしか見えない。これにより、結合部1の形成により柱2及び土台4の結合構造の美観が損われることはない。
図6は、図3に示した結合部1に作用する力を概略的に示した図である。主ピン結合16A及び補助ピン結合18では、各ピン12がほぞ6に打ち込まれることにより、各ピン12はほぞ6を部分的に割りながら貫通する。この際、ほぞ6を構成する木材には、各ピン12から、図6に矢印で示すように、長手方向X及び高さ方向Yを含む四方に当該木材を押し退ける力が生じる。
このため、ほぞ6は、ほぞ6を貫通したピン12の容積分だけ長手方向X及び高さ方向Yを含む四方に拡張しようとする。しかし、各主ピン結合16Aにおけるほぞ6の長手方向X以外の四方への拡張変位は、ほぞ6の木材の内部に伝達される過程にて、木材自体が有する空隙の潰れにより、ほぼ全て吸収される。一方、長手方向Xにおけるほぞ6の拡張は図6に実線矢印で示した押圧力F0に変換される。
詳しくは、押圧力F0は、ほぞ6の両側面6b、6cがそれぞれほぞ穴8の両側壁8b、8cを押圧する力であり、各主ピン結合16Aの形成によってほぞ6が長手方向Xに拡張することにより発生する。各主ピン結合16Aは、ほぞ6の両側面6b、6c近傍、好ましくはピン孔10a〜10cの孔径d以下となる離間距離D1に位置付けられ、また、ほぞ6がほぞ穴8に嵌合されて長手方向Xにて拘束されている。このため、各主ピン結合16Aによるほぞ6の長手方向Xにおける拡張が、ほぞ穴8の両側壁8b、8cに押圧力F0として効率的に伝達される。
換言すると、ピン12の打ち込みに伴うほぞ6の両側面6b、6c近傍の木材の圧縮力増大により、ほぞ6の両側面6b、6c近傍には、ほぞ穴8に対するほぞ6の締め代(嵌合代)が幅方向Zの全域に亘って形成されることとなる。また、ほぞ6はほぞ穴8に拘束されているため、押圧力F0が生じてもほぞ6の拡張は実質的に行われない。
このため、ほぞ6の両側面6b、6c、ひいては、ほぞ穴8の両側壁8b、8cの長手方向Xにおける変位は微小となり、各主ピン結合16Aの形成に伴うほぞ6ひいては土台4の割れが効果的に抑制される。このように、各主ピン結合16Aの形成に伴い発生した押圧力F0によって、結合部1において、ほぞ穴8に対するほぞ6の嵌合力(拘束力)が増大し、各主ピン結合16Aが結合部1の主たる結合機能を発揮する。
一方、補助ピン結合18におけるほぞ6の四方への拡張変位は、ほぞ6の木材の内部に伝達される過程にて、木材自体が有する空隙の潰れにより、ほぼ全て吸収される。しかし、補助ピン結合18においては、ピン12のほぞ6への打ち込みに伴い、ほぞ6にはピン12の剪断力が作用する。この剪断力の作用により、補助ピン結合18は結合部1の補助的な結合機能を発揮する。
図7は、図6の状態から、柱2に引抜力fが作用したときの結合部1に作用する力を概略的に示した図である。柱2に上向きの引抜力fが作用すると、図6に示した各主ピン結合16Aの押圧力F0は、図7で見て、力のベクトルがほぞ6から斜め下方外側に向けて変化し、押圧力F1となる。
図8は、図7の主ピン結合16Aに作用する押圧力F1の分力を拡大して示した図である。主ピン結合16Aでは、柱2への引抜力fの作用に伴い、ほぞ6の割れが若干促進され、長手方向Xにおけるほぞ6の拡張変位が図6の初期状態から更に増大する。しかし、ほぞ6はほぞ穴8に嵌合されて長手方向Xにて依然として拘束されている。このため、ほぞ6の拡張変位の増大は、ピン12とほぞ6の側面6bとの間に網目状に示した木材自体の圧縮領域20の圧縮率を図6の初期状態よりも更に増大する。
この結果、ほぞ6の側面6bかからほぞ穴8の側壁8bに長手方向Xの押圧力f1が作用する。この押圧力f1は、圧縮領域20の圧縮率が高まったことにより、図6の初期状態における押圧力F0よりも大きな力である。また、柱2に引抜力fが作用することにより、ほぞ6はほぞ穴8に対して破線矢印で示す上方向に移動しようとする。しかし、引抜力fの発生により、上述したようにほぞ6の割れが若干進行することで、ほぞ6が長手方向Xに更に拡張する。
このため、ほぞ8の側壁8bに対するほぞ6の側面6bが図6の場合に比してより一層緊密に当接する。この結果、引抜力fの反対方向である下方に向けてほぞ6の側面6bに動的な摩擦力f2が発生する。このように、引抜力fの発生時に主ピン結合16Aに作用する押圧力F1は押圧力f1と摩擦力f2との合力から形成され、この押圧力F1によってほぞ6がほぞ穴8を斜め下方外側に押圧する。
土台4は、長手方向Xに割れを生じ易いが、摩擦力f2の発生に伴い主ピン結合16Aが発生する押圧力F1のベクトルが斜め下方外側に偏向されたことにより、土台4の長手方向Xの割れを効果的に抑制することができる。また、上述したように、ピン孔10a、10bの中心から土台4の上面4aまでの距離Lを35mm程度に長めに確保したことで、柱2自体の重量によりほぞ6が拘束されていることも相俟って、各主ピン結合16Aの形成に伴うほぞ6の高さ方向Yにおける割れの伝搬は、木材自体の変位吸収により効果的に抑制される。
また、主ピン結合16Aと補助ピン結合18との土台4の高さ方向Yにおける離間距離D3をピン孔10a〜10cの孔径dの2倍値以下である15mm程度を確保したことにより、主ピン結合16A及び補助ピン結合18の形成に伴うほぞ6の割れの伝搬を互いに相殺しながら効果的に抑制可能である。
以上のように本実施形態では、各主ピン結合16Aをほぞ6の両側面6b、6c近傍、即ちほぞ6の両側面6b、6cとほぞ穴8の両側壁8b、8cとの各嵌合領域の近傍に設ける。これにより、木材の有する強度を最大限に引き出すことができ、ほぞ6及びほぞ穴8による高耐力の結合部1を安価且つ容易に、美観を損なうことなく、且つ、高い施工性で実現することができる。具体的には、木材の圧縮力を利用した押圧力F1によって、ほぞ穴8に対するほぞ6の全体的な嵌合力を高めた結合部1を形成することができる。
また、ほぞ6をプレカット加工した柱2と、ほぞ穴8及びピン孔10a〜10cをプレカット加工した土台4とを用意し、予め加工されたピン孔10a〜10cにそれぞれピン12を施工現場にて打ち込むだけの簡単な作業により結合部1を形成可能である。このため、組付プレート等の金物を柱及び土台に取り付けるために、多数のビスや釘等を木材に打ち込む必要はなく、施工時間を短縮することができ、組付プレートが邪魔になることもない。また、建築物の美観を損なうことなく、木材の欠損も極力抑制することができ、木材の強度低下の抑制も可能である。
更には、従来の組付プレートを使用した結合部では、多数のビスや釘等を木材に打ち込む必要があるため、作業員によるビスの打ち込み忘れを招くことが懸念される。しかし、本実施形態では、このような懸念は払拭され、作業員の熟練度に左右されることなく結合部1の強度品質を均一に確保しながら、建築物の耐力を向上することができる。また、施工時に、現場においてビスや釘等の打ち込み箇所に配慮しなくても良いため、柱2や土台4に生じる剪断力による木材に割れを防止することができる。また、地震などで柱2に引抜力fが生じた場合であっても、木材の圧縮力及び摩擦力を利用した押圧力F1によって、木材の割れを抑制しながら、引抜力fに十分に耐え得る結合部1を形成することができる。
図9及び図10は、第1実施形態の変形例において、柱2に引抜力fが作用したときの主ピン結合16Aから生じる力を概略的に示した図である。図9の場合には、補助ピン結合18は、高さ方向Yにて各主ピン結合16Aの上側に設けられている。この場合であっても、結合部1の耐力を確保することが可能である。また、この場合には、図7の場合と同様に、補助ピン結合18を形成するピン孔10cの中心は、土台4の上面4aから距離L(例えばL=35mm)を確保して位置付けられる。
また、主ピン結合16Aと補助ピン結合18との土台4の高さ方向Yにおける離間距離D3は、ピン孔10a〜10cの孔径dの2倍値以下(例えばD3=15mm)である。従って、各主ピン結合16Aの形成に伴うほぞ6の高さ方向Yにおける割れの伝搬は、木材自体の変位吸収により効果的に抑制され、また、主ピン結合16A及び補助ピン結合18の形成に伴うほぞ6の割れの伝搬を互いに相殺可能である。
一方、図10に示したように、結合部1が各主ピン結合16Aの形成だけで引抜力fに十分に耐え得るのであれば、補助ピン結合18は必ずしも要しない。この場合であっても、図7の場合と同様のベクトル及び大きさとなる押圧力F1を発生させることが可能だからである。
<第2実施形態>
図11は、本発明の第2実施形態に係る木材の結合構造を適用した柱2と土台4との結合部1の側面図を示す。また、図12は、結合部1の図11におけるB−B断面矢視図を示す。第2実施形態では、結合部1における各主ピン結合16Bの長手方向Xにおける位置を変更した以外は第1実施形態と同様の構成をなしている。このため、当該相違点を主として説明し、その他は第1実施形態と同符号を付す等して説明を省略することがある。
本実施形態の各主ピン結合16Bは、長手方向Xにおける、ほぞ6の両側面6b、6cとほぞ穴8の両側壁8b、8cとの嵌合領域22を含む位置にそれぞれ設けられている。その他の各主ピン結合16B及び補助ピン結合18の結合部1における位置関係は、第1実施形態の場合と同様である。
本実施形態の場合、ピン孔10a〜10cをプレカット加工機にて形成する際には、第1実施形態の場合と基本的には同様の加工工程となる。しかし、本実施形態の場合には、各主ピン結合16Bを形成するためのピン孔10a、10bの形成に際し、先ず、土台4の側面4cから嵌合領域22に沿ってドリルを進行させることにより、ほぞ穴8の側壁8dに半円形状に開口されたピン孔10a、10bの一端部を穿孔する。次に、土台4の側面4dから嵌合領域22に沿ってドリルを進行させることにより、ほぞ穴8の側壁8eに半円形状に開口されたピン孔10a、10bの他端部を穿孔する。
即ち、本実施形態の場合、第1実施形態の場合の様に、ピン孔10a、10bの形成する際に、ほぞ穴8を完全に貫通させるまでドリルを進行させる必要がない。このため、第1実施形態の場合と同様の工程ながら、第1実施形態の場合に比して短時間でピン孔10a、10bを形成することが可能である。こうして、ほぞ穴8の一部を介して一貫されたピン孔10a〜10c、ひいては各主ピン結合16B及び補助ピン結合18が形成される。
また、特に本実施形態の各主ピン結合16Bでは、ほぞ穴8にほぞ6を嵌合した状態で、ピン孔10a、10bの一方が開口された土台4の側面4c側からピン12を打ち込むことにより、ピン12はほぞ6の両側面6d、6eの一部とほぞ穴8の両側壁8d、8eの一部との双方を半円形状断面に割り砕きながら、ピン孔10a、10bの他方まで打ち込まれる。
即ち、各主ピン結合16Bは、ピン孔10a、10bの一方からのピン12の打ち込みにより、ほぞ穴8の一部においてピン12がほぞ6の一部のみならず、ほぞ穴8の一部をも貫通してピン12をピン孔10a、10bの他方に至らしめることで、上述した嵌合領域22を含む位置に形成される。この際、ピン12の打ち込みに伴う嵌合領域22近傍の木材の圧縮力増大により、嵌合領域22近傍には、ほぞ6に対するほぞ穴8、ほぞ穴8に対するほぞ6の双方にとっての互いの締め代(嵌合代)が幅方向Zの全域に亘って形成されることとなる。
図13は、図11に示した結合部1に作用する力を概略的に示した図である。上述したように、各主ピン結合16Bの嵌合領域22に、ほぞ6及びほぞ穴8の双方にとっての締め代が形成されることにより、ほぞ6の両側面6d、6eとほぞ穴8の両側壁8b、8cとの双方でピン12を絞り合う形で強固に拘束され、結合部1の嵌合力が増大する。この結合部1の嵌合力を構成する一部の力として、矢印で示すように、ピン12から長手方向Xに直接にほぞ穴8の両側壁8b、8cを押圧する押圧力F2が生じる。しかし、ほぞ6はほぞ穴8に拘束されているため、長手方向Xにおけるほぞ穴8の両側壁8b、8cの過度な拡張は抑制され、各主ピン結合16Bの形成に伴うほぞ6ひいては土台4の割れは効果的に抑制される。
このように、第2実施形態においても、各主ピン結合16Bの形成に伴い発生したピン12からの押圧力F2によって、結合部1におけるほぞ穴8に対するほぞ6の嵌合力が増大し、各主ピン結合16Bが結合部1の主たる結合機能を発揮する。一方、補助ピン結合18におけるほぞ6の四方への拡張変位は木材自体によりほぼ全て吸収される。しかし、補助ピン結合18においては、ピン12のほぞ6への打ち込みに伴い、ほぞ6にはピン12の剪断力が作用する。これにより、補助ピン結合18は結合部1の補助的な結合機能を発揮する。
図14は、図13の状態から、柱2に引抜力fが作用したときの結合部1に生じる力を概略的に示した図である。柱2に上向きの引抜力fが作用すると、図13に示した各主ピン結合16Bで発生する押圧力F2は、図14で見て、力のベクトルがほぞ6から斜め下方外側に向けて変化した押圧力F3となる。
図15は、図14の主ピン結合16Bで生じる押圧力F3の分力を拡大して示した図である。主ピン結合16Bでは、柱2への引抜力fの作用に伴い、ほぞ6及びピン12はほぞ穴8に対して破線矢印で示す上方向に移動しようとするため、ピン12がほぞ穴8の両側壁8b、8cに更に押し付けられる。これにより、ほぞ穴8に対するピン12ひいてはほぞ6の嵌合力が更に増大する。
しかし、ほぞ6がほぞ穴8に嵌合されて長手方向Xにて拘束されているため、ほぞ6の嵌合力の増大は、ピン12とほぞ6の側面6bとの間の網目状に示した圧縮領域20の木材自体の圧縮率を図13の初期状態よりも更に増大させる。なお、本実施形態では、ピン12がほぞ6の両側面6d、6eとほぞ穴8の両側壁8b、8cとの双方に強固に拘束された結果、主としてピン12のほぞ穴8側の上方とピン12のほぞ6側とに圧縮領域20が形成されている。
この結果、ピン12からほぞ穴8の側壁8bに長手方向Xの押圧力f3が作用する。この押圧力f3は、圧縮領域20の圧縮率の増大により、図13の初期状態における押圧力F2よりも大きくなる。また、圧縮領域20の圧縮率の増大により、ほぞ8の側壁8bに対してほぞ6の側面6bが図13の場合に比してより一層緊密に当接する。この結果、引抜力fの反対方向である下方に向けてほぞ6の側面6bに動的な摩擦力f4が発生する。このように、引抜力fの発生時に主ピン結合16Bに作用する押圧力F3は、押圧力f3と摩擦力f4との合力から形成され、その結果、ピン12自体がほぞ穴8を斜め下方外側に押圧することとなる。
また、第1実施形態の場合と同様に、摩擦力f4の発生によって、主ピン結合16Bに作用する押圧力F3が斜め下方外側に偏向されるため、土台4の長手方向Xの割れを効果的に抑制することができる。また、ピン孔10a、10bの中心から土台4の上面4aまでの距離Lを確保したことで、柱2自体の重量によりほぞ6が拘束されていることも相俟って、各主ピン結合16Bの形成に伴うほぞ6の高さ方向Yにおける割れの伝搬は、木材自体の変位吸収により効果的に抑制される。
また、主ピン結合16Bと補助ピン結合18との土台4の高さ方向Yにおける離間距離D3をピン孔10a〜10cの孔径dの2倍値以下である15mm程度を確保したことにより、主ピン結合16B及び補助ピン結合18の形成に伴うほぞ6の割れの伝搬を互いに相殺しながら効果的に抑制可能である。
以上のように本実施形態では、第1実施形態の場合と同様に、木材の有する強度を最大限に引き出すことにより、ほぞ6及びほぞ穴8による高耐力の結合部1を安価且つ容易に、美観を損なうことなく、且つ、高い施工性で実現することができる。具体的には、予めプレカット加工した柱2及び土台4を用意し、施工現場にてピン孔10a〜10cにそれぞれピン12を打ち込むだけの簡単な施工により、木材の圧縮力を利用した押圧力F2によって、ほぞ穴8に対するほぞ6の全体的な嵌合力を高めることができる。更に、柱2に引抜力fが生じたとしても、木材の圧縮力及び摩擦力を利用した押圧力F3によって、木材の割れを抑制しながら、引抜力fに十分に耐え得る結合部1を形成することができる。
図16は、第2実施形態の変形例において、柱2に引抜力fが作用したときの主ピン結合16Bから生じる力を概略的に示した図である。図16に示したように、各主ピン結合16Bの形成だけで引抜力fに十分に耐え得るのであれば、補助ピン結合18は必ずしも要しない。また、図示しないが、補助ピン結合18を高さ方向Yにて各主ピン結合16Bの上側に設けても良い。
<第3実施形態>
図17は、本発明の第3実施形態に係る木材の結合構造を適用した柱2と土台4との結合部1において、柱2に引抜力fが作用したときの結合部1に作用する力を概略的に示した図を示す。第3実施形態は、第1及び第2実施形態を組み合わせた構成をなしているため、同内容は同符号を付す等して説明を省略することがある。
本実施形態の結合部1は、ほぞ6の両側面6b、6c近傍に設けた主ピン結合16Aと、各嵌合領域22に設けた主ピン結合16Bとから構成されている。主ピン結合16Bは、上述したように、ほぞ6及びほぞ穴8の双方の木材圧縮によりピン12を絞り合う形で結合部1の耐力を増大させる。従って、主ピン結合16Bは、主ピン結合16Aのように、ほぞ6を完全に貫通して形成するものではなく、主ピン結合16Bのピン孔10a、10bの中心は、土台4の上面4aからの距離Lは25mm程度でも良い。これにより、ほぞ6及びほぞ穴8がの高さ方向Yに短い場合にも、ほぞ6の割れを抑制しながら主ピン結合16Bを形成可能である。
以上のように本実施形態では、第1及び第2実施形態の場合と同様に、木材の有する強度を最大限に引き出すことにより、ほぞ6及びほぞ穴8による高耐力の結合部1を安価且つ容易に、美観を損なうことなく、且つ、高い施工性で実現することができる。具体的には、予めプレカット加工したピン孔10a〜10cにそれぞれピン12を打ち込むだけの簡単な施工により、木材の圧縮力を利用した押圧力F0、F2によって、ほぞ穴8に対するほぞ6の全体的な嵌合力を高めることができる。
更に、柱2に引抜力fが生じたとしても、木材の圧縮力及び摩擦力を利用した押圧力F1、F3によって、木材の割れを抑制しながら、引抜力fに十分に耐え得る結合部1を形成することができる。なお、図示しないが、補助ピン結合18を高さ方向Yにて各主ピン結合16Bの上側、又は各主ピン結合16Aの下側に設けても良い。
本発明は上記各実施形態に制約されるものではなく、種々の変形が可能である。
例えば、上記各実施形態で示した木材の結合構造の適用は、柱2及び土台4で形成される結合部1の形成に限定されるものではなく、梁や根太を含む2本の木材の結合構造に広く適用可能である。また、2本の木材の少なくとも一方は、角材に限らず丸太等であっても良く、また、棒材に限らず継手材等の木部材であっても良い。
また、ほぞ6及びほぞ穴8の形状は上記各実施形態に限定されない。具体的には、ほぞ6及びほぞ穴8の嵌合領域22の近傍に主ピン結合16Aが形成されれば良く、また、ほぞ6及びほぞ穴8の嵌合領域22を含む位置に主ピン結合16Bが形成されれば良い。
また、ピン12の頭部12bとピン孔10a〜10cとの嵌め合いは締まり嵌めに限定されるものではない。
また、ピン12とピン孔10a〜10cとの嵌め合いは中間嵌めに限定されるものではない。具体的には、中間嵌めは、ピン孔10a〜10cの最大許容寸法よりピン12の最小許容寸法が小さく、ピン孔10a〜10cの最大許容寸法よりピン12の最小許容寸法が大きいという状態を意味する。しかし、実際には、ピン12とピン孔10a〜10cとの間に隙間が生じたり、締め代が生じたりしても良い。
また、主ピン結合16A、16Bや補助ピン結合18の数は、或いは、補助ピン結合18の位置は、上記各実施形態に限定されず、結合部1に要求される耐力に応じて適宜変更可能である。
また、1つの結合部1に、対向する2組の嵌合領域22が存在する場合、一方の対向する嵌合領域22の延設方向にピン12を打ち込んで主ピン結合16A又は16Bを形成し、他方の対向する嵌合領域22の延設方向にピン12を打ち込んで別の主ピン結合16A又は16Bを形成しても良い。
また、当該木材の結合構造の適用は、木造軸組工法に厳密に限定されるものではなく、ドリフトピン工法等を含む他の工法に適用することも可能である。
2 柱(第1の木材)
2a 端面
4 土台(第2の木材)
6 ほぞ
8 ほぞ穴
10a、10b、10c ピン孔
12 ピン
12a 先端部
12b 頭部
14a、14b、14c ピン結合
16A、16B 主ピン結合
18 補助ピン結合
22 嵌合領域

Claims (9)

  1. 第1の木材の端面に設けられたほぞを第2の木材に設けられたほぞ穴に互いの対向する嵌合領域で直接に嵌合させ、これら第1及び第2の木材を結合する木材の結合構造であって、
    前記第2の木材は、前記ほぞ穴を介して前記嵌合領域の延設方向に穿孔されたピン孔を有し、
    前記結合構造は、
    前記ほぞ穴に前記ほぞを嵌合した状態で、前記ピン孔に打ち込まれるピンと、
    前記ピン孔の一方開口から前記ピン孔を介した前記ほぞへの直接の前記ピンの打ち込みにより、前記ほぞ穴において前記ピンが前記ほぞに食い込んで貫通し、前記ピンを前記ピン孔の他方開口に至らしめることで形成されるピン結合と
    を備え、
    前記ピン結合は、前記各嵌合領域から前記ピン孔の孔径の2倍値以下に離間した位置にそれぞれ設けられた主ピン結合を含む、木材の結合構造。
  2. 第1の木材の端面に設けられたほぞを第2の木材に設けられたほぞ穴に互いの対向する嵌合領域で直接に嵌合させ、これら第1及び第2の木材を結合する木材の結合構造であって、
    前記第2の木材は、前記ほぞ穴を介して前記嵌合領域の延設方向に穿孔されたピン孔を有し、
    前記結合構造は、
    前記ほぞ穴に前記ほぞを嵌合した状態で、前記ピン孔に打ち込まれるピンと、
    前記ピン孔の一方開口から前記ピン孔を介した前記ほぞへの直接の前記ピンの打ち込みにより、前記ほぞ穴の少なくとも一部において前記ピンが前記ほぞの少なくとも一部に食い込んで貫通し、前記ピンを前記ピン孔の他方開口に至らしめることで形成されるピン結合と
    を備え、
    前記ピン結合は、前記各嵌合領域を含む位置にそれぞれ設けられた主ピン結合を含む、木材の結合構造。
  3. 前記各主ピン結合は、前記各嵌合領域の対向方向に並設されている、請求項1又は2に記載の木材の結合構造。
  4. 前記ピン結合は、前記各嵌合領域の対向方向において、前記各主ピン結合の間に設けられた補助ピン結合を含む、請求項1からの何れか一項に記載の木材の結合構造。
  5. 前記補助ピン結合は、前記第2の木材における前記ほぞ穴の延設方向にて前記各主ピン結合とずれた位置に設けられる、請求項に記載の木材の結合構造。
  6. 前記補助ピン結合は、前記各嵌合領域の対向方向において、前記各主ピン結合の中間に位置付けられる、請求項5に記載の木材の結合構造。
  7. 前記ピンは、前記ほぞの少なくとも一部に打ち込まれる鋭角円錐状の先端部と、前記打ち込みが行われる頭部とを有する、請求項1からの何れか一項に記載の木材の結合構造。
  8. 前記ピンは、前記ピン孔と中間嵌めの嵌め合いとなるピン径を有する、請求項に記載の木材の結合構造。
  9. 前記ピンは、前記頭部が前記第2の木材の両側面のうちの一側面と実質的に面一になるまで前記打ち込みが行われた結果、前記先端部が前記ピン孔から前記両側面のうちの他側面の外方に非突出となる長さを有する、請求項又はに記載の木材の結合構造。
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