JP4124073B2 - 木材の結合金具 - Google Patents

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Description

本発明は、特に木造建築物の梁と柱、柱と土台、梁と梁等の結合に好適な木材の結合金具に関する。
古来より、日本の木造建築物は、軸組み工法で建築され、材木の力を巧みに利用して強度と共に美しさも追求してきている。一方、現代の木造建築は、合理化や工期短縮、職人の不足等の理由で結合部に金物を多用している。即ち、柱と梁との結合部に使用される軸組み工法の美点である仕口にアリとアリ溝(穴)を用いた工法は、女木(柱)のアリ溝加工の難しさを簡略化して角穴を穿設し、男木(梁)の木口に形成した角形の嵌合突部を嵌合し、羽子板ボルトで補強するのが一般的になっている。また、地震時のエネルギ吸収能力を高めた木造建築物における梁と柱とを鋼板とドリフトピンとにより連結する結合構造も提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、柱と土台との結合構造においては、結合部にT形をなし、水平部が土台に固定され、垂直部が柱の木口に設けられたスリットに挿入されてアンカーピンで固定される鋼板製の組付プレートが使用されている(例えば、特許文献2参照。)。
特開2002−38591号公報(図1) 特開2002―115339号公報(図7)
しかしながら、羽子板ボルトや、組付プレートとドリフトピン等を使用した場合、美感が悪くなるばかりでなく、ボルト穴や、ナットを埋め込むための座堀加工や、ドリフトピンを多数打ち込むための多数の穴加工による木材の欠損も大きくなり、強度も低下する。また、パネル工法等においては、パネルを取り付ける際に金物やボルトが邪魔になることがある。
また、柱と土台との結合に鋼板製の組付プレートを使用した場合、この組付プレートが災いして木痩せしたときに隙間が生じるという問題もある。更に、ドリフトピンを使用する場合、木材の強度上木口からドリフトピンまで所定距離、具体的にはピン径の約7倍程度の距離を必要とされる等の制約もある。
このため、本発明では、梁と柱、柱と土台、梁と梁等の木材同士を結合にする際にアリ結合を簡単に実現することができ、しかも木材の持つ強度を最大限に引き出すことができる木材の結合金具を提供することを目的する。
上記目的を達成するため、請求項1の発明では、第1の木材の端面に設けられたアリと、第2の木材の側面に設けられて前記アリが嵌合する角穴との間に介在されてこれらを結合する木材の結合金具であって、前記結合金具は、前記アリに対応して両側板が底板の一側に直角に折曲され、内側に先端から底板に向かって前記アリと係合する楔部が設けられ、前記アリに嵌合装着されて前記第2の木材の角穴に嵌合され、且つ前記第2の木材に固定されて前記第1の木材と第2の木材と結合することを特徴としている。
請求項2の発明では、前記アリは、端面に長手方向に沿って少なくとも1本のスリットが設けられ、前記結合金具は、底板に前記スリットに嵌合する支持板が垂設されていることを特徴としている。
請求項3の発明では、第1の木材の端面に設けられた平ほぞと、第2の木材の側面に設けられて前記平ほぞが嵌合する角穴との間に介在されてこれらを結合する木材の結合金具であって、前記結合金具は、前記平ほぞに対応して両側板が底部の一側に直角に折曲され、外側に先端から底板に向かってテーパ状に拡開する楔部が設けられ、前記平ほぞに固定される第1の結合金具と、前記第1結合金具に対応して両側板が底板の一側に直角に折曲され、内側に先端から底板に向かって前記第1の結合金具の楔部と係合する楔部が設けられ、前記第1の結合金具に外嵌装着される第2の結合金具とから成り、前記第1、第2の結合金具が前記平ほぞに装着されて前記第2の木材の角穴に嵌合され、且つ前記第2の結合金具が前記第2の木材に固定されて前記第1の木材と第2の木材とを結合することを特徴としている。
請求項4の発明では、第1の木材の端面に設けられたアリと、第2の木材の側面に設けられて前記アリが嵌合する角穴との間に介在されてこれらを結合する木材の結合金具であって、前記アリは、端面に長手方向に沿って少なくとも1本のスリットが設けられ、前記結合金具は、前記アリに対応して両側板が底板の一側に直角に折曲され、内側に先端から底板に向かって前記アリと係合する楔部が設けられ、前記底板に前記アリのスリットと対応してスリットが設けられて前記アリに嵌合装着される第1の結合金具と、前記第2の木材の角穴底面に固定される底板と、該底板に垂設されて前記第1の結合金具のスリットを貫通して前記アリのスリットに嵌合する支持板とを具備する第2の結合金具とから成り、前記第1の結合金具が前記アリに嵌合装着されて前記第2の木材の角穴に嵌合され、前記第2の結合金具の支持板が前記第1の金具のスリットを貫通して前記アリのスリットに嵌合し、且つ前記第1の結合金具が前記第2の木材に固定されて前記第1の木材と第2の木材とを結合することを特徴としている。
請求項5の発明では、前記第1の木材が梁であり、前記第2の木材が柱であることを特徴としている。
請求項6の発明では、前記第1の木材が柱であり、前記第2の木材が土台であることを特徴としている。
請求項1の発明によれば、結合金具を第1の木材の端面に設けられたアリに楔部を介して嵌合装着して第2の木材の角穴に嵌合し、且つ前記結合金具を前記第2の木材に固定して第1の木材と第2の木材と結合することで、前記アリと嵌合する第2の木材の穴を単なる角穴とすることができ、穴加工が容易となり、作業性の向上が図られる。また、前記アリを前記角穴に真っ直ぐに差し込むことができ、組付性が向上する。これにより、木造建築物におけるアリ構造を簡単に実現することができ、第1、第2の木材をアリ構造により結合することができ、結合部の強度が確保されると共に木材の持つ強度を最大限に引き出すことができる。更に、結合部の穴や切り込みや結合金具が見えなくなり見栄えが向上すると共に錆びや火災に対しても有効である。
請求項2の発明では、アリの端面に設けたスリットに前記結合金具の底板に設けた支持板を嵌合させることで、アリに引張荷重が作用したときに前記支持板を挟持する力が発生して結合部の強度が更に向上する。
請求項3の発明によれば、第1の木材の端面に設けられた平ほぞに楔部を有する第1の結合金具を固定してアリを形成し、このアリに楔部を有する第2の結合金具を嵌合装着して第2の木材の角穴に嵌合し、且つ第2の結合金具を第2の木材に固定することで、第1、第2の木材をアリ構造により簡単に結合することができる。また、第1の木材の嵌合凸部を平ほぞとし、第2の木材の穴を角穴とすることができるために加工が極めて容易となり作業性の大幅な向上が図られる。
請求項4の発明によれば、第1の結合金具が第1の木材のアリに嵌合装着されて第2の木材の角穴に嵌合され、第2の木材の角穴に固定された第2の結合金具の支持板が前記第1の金具のスリットを貫通して前記アリのスリットに嵌合し、前記第1の結合金具が前記第2の木材に固定されて前記第1の木材と第2の木材とを結合することで、前記第1、第2の木材をアリ構造により結合することができ、且つ前記アリに引張荷重が作用したときに前記支持板を挟持する力が発生して結合部の強度が更に向上する。
請求項5の発明によれば、木造建築物において梁と柱とを簡単にアリ構造で結合することができ、しかも結合金具が柱の穴内に嵌合されることで外部から見えなくなり、見栄えが向上する。また、結合金具が錆びに難く、火災に対しても有効である。
請求項6の発明によれば、木造建築物において柱と土台とを簡単にアリ構造で結合することができ、結合金具が穴内に収納されることで、パネル工法等において結合金具が邪魔になることがなく、作業性の向上や見栄えの向上が図られる。また、建方時に結合金具の取り付けが終了し、作業能率が向上する。
図1は、本発明に係る木材の結合金具を適用した実施例1を示し、木造建築物の梁と柱との結合部の組立斜視図である。梁1は、柱2と直交して組み付けられ、木口1aの中央に嵌合凸部としてのアリ1bが形成されている。柱2は、側面2aにアリ1bが嵌合する穴2bが設けられており、アリ1bと穴2bとの間に結合金具3が介在される。梁1のアリ1bは、両側面1c、1cが平行な面をなし、上下両面1d、1dが木口1aから先端に向かってテーパをなして拡開する側面視逆台形状をなしている。
柱2の穴2bは、アリ1bに結合金具3を装着した状態でアリ1bが嵌合する大きさの角穴とされ、梁1の木口1aが柱2の側面2aに当接するようになっている。また、柱2の側面2cには穴2bの底面2dと上下の内面2eとの隅部近傍に沿ってピン穴2f、2fが貫通して設けられている。穴2bは、角穴とされることで、穴加工が容易となる。
結合金具3は、梁1のアリ1bに外嵌し、且つ柱2の穴2bに嵌合する形状とされており、図2乃至図4に示すように側面視角形のU字状をなし、両側板3aが底板3bの一側(図中上方)に直角に折曲され、更に内側に直角に折曲されて肩部3cとされ、更に側板3aと底板3bとの連設部近傍に向かって斜め下方に向かって折曲されて傾斜部3dとされ、当該傾斜部3dの先端(下端)が側板3aの内面下部に当接している。傾斜部3d、3dの肩部3c、3cに対する傾斜は、アリ1bの上下面1d、1dの木口1aに対するテーパと同じとされ、アリ1bの上下面1d、1dに当接するようになっている。即ち、結合金具3は、両側板3a、3aと肩部3c、3cと傾斜部3d、3dとによりアリ1bに嵌合する楔部3e、3eが形成されている。
図2及び図3に示すように結合金具3の側板3aの略中央に上部(肩部3c側)から底板3b側に延出する略く字状の係止爪3fが切り起こして形成され、付根から折曲部まで側板3aの外側に斜めに張り出し、先端部が内側に延びて傾斜部3dの不図示の穴に遊嵌されている。この係止爪3fは、結合金具3をアリ1bに装着した際に仮止めして逸脱を防止するためのものである。尚、係止爪3fは、必ずしも必要とするものではなく、設けなくともよい。
また、側板3aの下部位置に係止爪3fの両側に係止爪3g、3gが切り起こして形成されている。これらの係止爪3gは、側板3aの下部から上部に向かい、且つ外側に向かって斜め上方に延出しており、結合金具3が柱2の穴2bに嵌合されたときに当該穴2bの対向する内面2eに食い込んで結合金具3の抜けを防止するためのものである。
図4に示すように底板3bは、図中左右2つに分割されており、夫々略櫛状をなして係合されている。即ち、係合片3hと、この係合片3hと係合する係合凹部(切欠)3iとが交互に複数例えば、2つづつ形成され、左右の各係合片3hと各係合凹部3iとが突き合わされて摺動自在に係合されている。これにより、左右の側板3a、3aが夫々矢印A、A'方向に移動自在とされている。この結合金具3は、鋼板をプレス加工して形成されている。
以下に梁1と柱2と結合金具3との結合について説明する。
図1に示すように梁1のアリ1bの側方から結合金具3を嵌め込んで両側板3a、3aの係止爪3f、3fをアリ1bの上下面1d、1dに打ち込んで固定する。これにより、結合金具3がアリ1bに仮止めされ、逸脱が防止される。この状態において結合金具3は、両肩部3c、3cがアリ1bの付根部において木口3aに当接し、傾斜部3d、3dがアリ1bの上下面1d、1dに当接し、底板3bがアリ1bの端面から僅かに具体的には、ピン4の外径程度離隔している。結合金具3は、梁1のアリ1bに予め装着しておくことで、建築現場での梁1と柱2との組み付けの作業性が向上する。
また、結合金具3の底板3bが左右2つに分割されていることでアリ1bの寸法に合わせて両側板3a、3aの間隔を調整することができ、傾斜部3d、3dをアリ1bの上下両面1d、1dに良好に接触させることが可能となる。従って、梁1の太さに応じて加工されるアリ1bの大きさの違い等に容易に対処することが可能となる。尚、アリ1bの大きさに応じた結合金具3を使用する場合には底板3bを必ずしも2つに分割する必要はなく一体としてもよい。
次いで、図5に示すように結合金具3が装着された梁1のアリ1bを柱2の穴2bに真っ直ぐに差し込み嵌合する。この状態において結合金具3の底板3bが穴2bの底面2dに、両側板3aが穴2の上下内面2eに、アリ1bの両側面1cが穴2bの対応する両側面に夫々当接し、且つ梁1の木口1aが柱2の側面2aに当接する。そして、両側板3aの各係止爪3gが穴2bの上下面2e、2eに食い込み、抜けが防止される。尚、係止爪3gに替えて接着材で両側板3aを穴2bの上下面2eに接着して固定するようにしてもよい。通常の雄アリと雌アリ(アリ溝)とは真っ直ぐに差し込むことができないが、本願発明においては梁1のアリ1bを柱2の穴2bに真っ直ぐに差し込むことができるため組付性が向上する。
次いで、柱2の側面2cのピン穴2f、2fにピン4、4を打ち込み、アリ1bの先端面と結合金具3の側板3a、3aと底板3bとの各内側隅部に当接させて貫通させる。結合金具3は、これら2本のピン4により柱2に強固に固定される。このようにして、梁1が柱2に結合される。結合金具3は、柱2の穴2b内に嵌挿されて外部から全く見えなくなり見栄えが向上する。更に、結合金具3は、穴2b内に収納されることで大気に触れることがないために錆び難く、また火災の際にも直接火炎に晒されることがなく耐久性の向上が図られる。
この結合状態において、梁1に矢印方向Bの引張荷重が作用した場合、アリ1bのテーパをなす上下面1d、1dが結合金具3の傾斜部3d、3dを押し開くように摺動し、前記引張荷重の大部分が傾斜部3d、3d即ち、楔部3e、3eに伝達される。楔部3eに伝達された前記引張荷重は、更に穴2bの上下面2e、2eに伝達され、楔効果によりこれら上下面2e、2eを大きな力で押し開くように作用する。結合金具3は、ピン4、4により柱2に固定されており、底板3bが2分割されていることで両側板3a、3aがアリ1bの矢印B方向への摺動に伴い穴2bの上下面2e、2e側に移動可能となる。これによりアリ1bの抜け方向の摺動に対する側板3a、底板3bの反りや変形が抑えられ、更に穴2bの内面2eと側板3aとの間に摩擦力が作用し、楔部3eに作用する引張荷重が柱2に有効に伝達される。これにより、アリ1bに作用する引張荷重が軽減され、アリ1bが穴2bから抜けることが防止される。従って、地震等により柱が揺れた際に梁1が柱2から外れることが防止される。結合金具3に作用する引張荷重は、楔部3eにおいて柱2側に有効に伝達されることでピン4に加わる荷重が小さく、従って、ピン4は細いピン、或いは釘等を使用することが可能であり、柱2の負担が軽減されると共に軽量化、コストの低減を図ることが可能である。
尚、アリ1bと柱2とを更に強固に結合すべく図5に2点鎖線で示すようにドリフトピンをアリ1bと柱2とを貫通させるようにしてもよい。アリ1bは、上下両面1d、1dが楔部3e、3eにより締め付けられていることで、ドリフトピンによる木割れが防止される。従って、ドリフトピンの打ち込み位置の制約が緩和される。この場合も、細いドリフトピンを使用することができアリ1b、柱2の負担を軽くすることができる。
図6は、本発明に係る木材の結合金具を適用した実施例2を示す梁と柱との結合部の断面図で、アリ1bは、付根部1b'を太くして強度を持たせた形状とされており、これに応じて結合金具3の肩部3cと傾斜部3dとの連設部に、付根部1b'と対応する係合部3d'を形成したものである。他の構成及び作用効果については実施例1と同様である。
図7は、本発明に係る木材の結合金具を適用した実施例3を示す梁と柱との結合部の断面図で、アリ1bは、上下面1d、1dの各先端に凸部1d'、1d'を設けて両側板3a、3aの内面に当接させ軽度の揺れに有効に対処するように形成されており、これに応じて結合金具3の傾斜部3dの長さを突部1d'、1d'の肩部に当接する長さとしたものである。他の構成は実施例1と同様である。柱2の揺れが大きく凸部1d'、1d'が破損した場合でも、アリ1bの上下面1d、1dと結合金具3の楔部3e、3eとの間で前述した楔効果が得られ、アリ1bが穴2bから外れることが防止される。
図8及び図9は、本発明に係る木材の結合金具を適用した実施例4を示す梁と柱との結合部の断面図である。尚、接続金具5は、図2に示す接続金具3と対応する部位に対応する符号を付して詳細な説明を省略する。アリ1bは、両側面1c、1cに先端から略中央までテーパ状に傾斜して細くなるように切り込まれて第2のアリ1c'、1c'が形成されている。これによりアリ1bの欠損を少なくしている。一方、結合金具5は、図中上下両側板5aに第1のアリ1dと係合する第1の楔部5eが、左右両側板5a'に第2のアリ1c'と係合する第2の楔部5e'が形成されている(図9)。結合金具5は、図8に示すように左右両側板5a'の略中央位置で上下に二分割されてアリ1bへの装着が可能とされている(図8)。また、両側板5a'の両側板5aと底板5bとの連設部近傍にピン穴5jが穿設されている。
この結合金具5は、図示のようにアリ1bに装着されて係止爪5fにより仮止め固定されて柱2の穴2bに嵌合され、ピン穴5jにピン4が貫通されて柱2に固定される。アリ1bは、上下左右の4面をアリ構造とされていることで、当該アリ1bと結合金具5と柱2との間に作用する楔作用の効果が増大してアリ1bが穴2bから外れることがより有効に防止される。
図10は、本発明に係る木材の結合金具を適用した実施例5を示す梁と柱との結合部の断面図ある。尚、図中結合金具6は、図2に示す接続金具3と対応する部位に対応する符号を付して詳細な説明を省略する。結合金具6は、図中上下両側板6aに梁1のアリ1bと係合する楔部6eが形成されており、底板6bに両側板6aと6aとの間に楔部6eの幅方向に沿って幅広い支持板6kが例えば、等間隔で2枚垂設されている。一方、梁1のアリ1bの端面には前記支持板6kが嵌合するスリット1fが梁1の長手方向に沿って設けられている。
結合金具6は、アリ1bの側方から挿入され、楔部3eがアリ1bの上下両面1dと係合し、支持板6kがスリット1fに嵌合して装着される。アリ1bは、結合金具6が装着された状態で柱1の穴2bに嵌合され、結合金具6がピン4により当該柱2に固定される。アリ1bは、梁1に矢印B方向の引張荷重が加わった際に両側の楔部6e、6eから受ける圧縮力により結合金具6の支持板6kを強固に挟み込むこととなり、結合金具6に係止される力が大きくなり、引張荷重に有効に対抗可能とされる。尚、結合金具6は、支持板6kに代えてピンを垂設してもよい。
図11は、本発明に係る木材の結合金具を適用した実施例6を示す梁と柱との結合部の断面図である。尚、図中結合金具7は、図2に示す接続金具3と対応する部位に対応する符号を付して詳細な説明を省略する。アリ1bは、上下両面が平行な面とされ、左右の両側面1cに先端から略中央までテーパ状に傾斜して細くなるように切り込み(アリ)1c'が設けられて形成されている。これによりアリ1bの欠損を少なくしている。また、アリ1bの端面中央に梁1の長手方向に沿ってスリット1fが設けられている。
一方、結合金具7は、第1の結合金具8と第2の結合金具9とから成り、第1の結合金具8は、両側壁8aにアリ1bの切り込み1c'と係合する楔部8eが形成されている。また、両側板8aの底板8bの左右近傍にピン穴8jが穿設されている。第2の結合金具9は、底板9aがアリ1bの端面と同じ大きさとされ、中央部の両面に支持板9b、9cが垂設されて端面視略十字形状をなしている。一側の支持板9bは、両面に係止爪9dが切り起こして形成されアリ1bのスリット1fに嵌合可能とされている。他側の支持板9cは、ピン4の直径よりも僅かに長い程度とされており、ピン穴8jと対応してピン穴9eが設けられている。
第2の結合金具9は、支持板9bがアリ1bのスリット1fに嵌合され、且つ底板9aがアリ1bの端面に当接されて取り付けられる。次いで、第1の金具8がアリ1bの側方から装着されて切り込み1c'に両側板8aの楔部8eが係合される。結合金具7が装着されたアリ1bは、柱2の穴2bに嵌合され、結合金具8がピン穴2f、8j、9eを貫通するピン4により柱2に固定される。アリ1bは、梁1に矢印方向Bの引張荷重が加わった際に両側の楔部8e、8eから受ける圧縮力により結合金具9の支持板9bを強固に挟み込むこととなり、結合金具9に係止される力が大きくなり、引張荷重に有効に対抗可能とされる。また、結合金具は、支持板9bの係止爪9dにより木痩せした際のガタツキが防止される。
図12は、本発明に係る木材の結合金具を適用した実施例7を示す梁と柱との結合部の断面図ある。梁1は、木口1aにアリに代えて角形の嵌合突部(以下「平ほぞ」という)1gが設けられており、当該平ほぞ1gの内部中央にアリ溝(嵌合穴)1hが設けられている。アリ溝1hは、略二等辺三角形状をなし、平ほぞ1gの付根側から端面に向かってテーパをなして先細りして端面にスリット状に開口している。このアリ溝1hは、平ほぞ1gを一側面から他側面に貫通している。即ち、平ほぞ1gは、内側にアリ溝1hが設けられた形状とされている。柱2は、平ほぞ1gが嵌合する角穴2bが穿設され、両側面下部の底部近傍にピン穴2fが貫設されている。
結合金具11は、底板11aが平ほぞ1gと同じ大きさとされ、中央にアリ溝1hに嵌合する逆三角形状の楔部11bが形成されている。また、楔部11bの付根部にはピン穴2fと対応してピン穴11cが穿設されている。この結合金具11は、平ほぞ1gの側方から楔部11bをアリ溝1hに嵌合されて平ほぞ1gに装着される。次いで、平ほぞ1gが柱2の穴2bに嵌合され、ピン穴2f、11cを貫通するピン4により固定される。
図13は、本発明に係る木材の結合金具を適用した実施例8を示す柱と土台との結合部の断面図である。尚、図中結合金具21は、図2に示す接続金具3と対応する部位に対応する符号を付して詳細な説明を省略する。柱15の木口(下端)15aにアリ15bが形成され、当該アリ15bに結合金具21が装着され、土台16の上面16aに結合金具21が装着されたアリ15bが嵌合される角穴16bが設けられている。また、角穴16bの底面中央にボルト穴16cが設けられている。
結合金具21は、両側板21aに肩部21c、傾斜部21dから成る楔部21eが形成され、底板21bの両側部21a'が直角に図中上方(楔部側)に立設されて係止部とされ、上端がアリ15bの端面に当接するようになっている。また、底板21bの中央にボルト用の長穴21mが穿設されている。側部21a'の高さは、ボルト17の頭部の高さよりも僅かに高く設定されている。
結合金具21は、楔部21e側からボルト穴21mにボルト17を挿通した後アリ15bに装着し係止爪21fにより仮止め固定する。次いで、アリ15bを土台16の穴16bに嵌合し、且つボルト17をボルト穴16cに挿通する。ボルト17は、先端が土台16の下面から突出して固定ナット(図示せず)が螺合される。これにより、結合金具21が土台16に強固に固定される。尚、土台16は、布基礎(基礎コンクリート)上に適宜間隔で配置されたパッキン(何れも図示せず)を介して載置されており、土台16の下面と前記布基礎上面との間に通気用の隙間が設けられている。従って、前記固定ナットは、土台16の下面から前記隙間に突出したボルト17の先端に螺合される。
更に結合金具21は、土台16の側面に設けられたピン穴から打ち込まれて底板21bの上面と両側板21aの内面との隅部を貫通するピン4により固定される。結合金具21は、ボルト17により土台16に強固に固定されることで、ピン4は、細いピン或いは釘を使用することができる。この場合、結合金具21は、両側部21a'を立設させてアリ1bの係止部としたり、底板21bにボルト穴を設けなくともよい。
図14は、本発明に係る木材の結合金具を適用した実施例9を示し、柱と土台との結合部の断面図で、図13に示す実施例4の柱15の木口15aにアリ15bに代えて平ほぞ15cを形成し、当該平ほぞ15cにアリを形成するための結合金具22を装着したものである。平ほぞ15cを角柱状としてアリ加工をなくし、代わりに結合金具22によりアリを構成することで、加工を容易にしたものである。そして、結合金具21と結合金具22とにより柱15と土台16とを結合するようにしたものである。この場合、結合金具21が雌金具、結合金具22が雄金具とされる。
結合金具22は、両側板22aが底板22bに対して内側に傾斜して折曲され、更に底板22b側に当該底板22bと垂直をなすように折曲されて係合部22dとされ、先端が底板22bに当接している。係合部22dには内側に向かい且つ上方から底板22b側に向かって斜め下方に係止爪(図示せず)が切り起こして形成されている。また、左右の側板22a及び係合部22dの略中央に夫々ピン穴が穿設されている。平ほぞ15cの前記ピン穴と対応する位置にもピン穴が穿設されている。そして、底板22bの縁部と側板22aと係合部22dとにより楔部22eが形成されている。
結合金具22は、柱15の平ほぞ15cに先端側から嵌合装着される。そして、係合部22dが平ほぞ15cの側面に当接し、前記係止爪が食い込んで仮止めされる。次いで、側板22a、係合面22dの各ピン穴からピン23を打ち込み、平ほぞ15cに結合金具22を固定する。これにより、平ほぞ15cがアリ形状とされる。この結合金具22にボルト17を取り付けた結合金具21を側方から嵌合装着する。結合金具21と結合金具22とは楔部21eと22eとにより係合する。
結合金具21、22を装着した平ほぞ15cを土台16の穴16bに嵌合し、ボルト17をボルト穴16cに挿通し、土台16の下面から突出する先端部に固定ナット(図示せず)を螺合する。これにより、結合金具21が土台16に強固に固定される。更に結合金具21は、下端の両隅部を土台16の側面に設けられたピン穴を貫通するピン4により土台16に固定される。尚、結合金具22の平ほぞ15cへの取り付けは、ピン23に代えて結合金具22の底板22bに穴を設け、結合金具22を平ほぞ15cの端面に釘で固定するようにしてもよい。
図15は、本発明に係る木材の結合金具を適用した実施例10を示し、柱と土台との結合部の断面図である。尚、図中結合金具26は、図2に示す接続金具3と対応する部位に対応する符号を付して詳細な説明を省略する。柱15の木口15aにアリ15bが形成され、このアリ15bの端面には柱15の長手方向に沿ってスリット15fが複数例えば、2本間隔を存して設けられている。
結合金具25は、第1の結合金具26と第2の結合金具27とから成り、結合金具26は、左右両側板26aの内側にアリ15bと係合する楔部26eが一体に形成されている。底板26bには、アリ15bのスリット15fと対応してスリットが設けられている。結合金具27は、底板27aが結合金具26の底板26よりも僅かに幅狭とされ、上面にアリ15bのスリット15fと嵌合する支持板27bが垂設されている。また、底板27aには支持板27bの外側近傍に穴27cが設けられている。
第1の結合金具26は、アリ15bの側方から嵌合装着される。また、第2の結合金具27は、土台16の穴16bに収納されて底板27aがビス18により土台16に固定される。次いで、結合金具26を装着されたアリ15bが穴16bに嵌合される。このとき結合金具27の支持板27bを、結合金具26の底板26bのスリットを貫通させてアリ15bのスリット15fに嵌合させる。次いで、土台16の側面に設けられたピン穴からピン4を打ち込んで、結合金具26の底板26bの上面と両側板26aの内面との隅部に当接貫通させて土台16に結合金具26を固定する。これにより、柱15が土台16にアリ構造により固定される。尚、結合金具27をビス18に代えて前述したボルト17(図14)により土台16に固定するようにしてもよい。
アリ15bは、柱15に矢印C方向の引張荷重が加わった際に両側の楔部26eから受ける圧縮力により結合金具27の支持板27bを強固に挟み込むこととなり、結合金具27に係止される力が大きくなり、引張荷重に対して有効である。
図16は、本発明に係る木材の結合金具を適用した実施例11を示し、柱と土台との結合部の断面図である。柱15の木口15aには前記アリ15bに代えて平ほぞ15cが設けられており、当該平ほぞ15cの中央にアリ溝(嵌合穴)15hが複数例えば、2つ幅方向に並設されている。アリ溝15hは、略二等辺三角形状をなし、平ほぞ15cの付根側から端面に向かってテーパをなして先細りして端面にスリット状に開口している。このアリ溝15hは、平ほぞ15cを一側面から他側面に貫通している。土台16には平ほぞ15cが嵌合する角穴16bが設けられている。
結合金具29は、底板29aが平ほぞ15cの端面と同じ大きさとされ、中央にアリ溝15hに嵌合する逆三角形状の楔部29bが形成されている。この楔部29bは、2枚の板体29c、29cが付根を互いに当接されて底板29aに固定され、上端が夫々内側に折曲されて対向する先端が当接されて形成されて下方に凸の逆三角形をなし、内部に空間部29dが形成されている(図16の右側)。楔部29bは、左右の板体29c、29cが付根から左右両側に拡開可能とされており、図示の閉じた状態においてアリ溝15hの下端開口から当該アリ溝15hに挿入可能とされている。底板29aの中央には、ボルト穴29eが設けられている。また、土台16の側面にはアリ溝15hの上部中央位置と対応する位置にピン穴(図示せず)が穿設されている。
結合金具29は、土台16の穴16bに収納されてボルト17により土台16に固定される。柱15の平ほぞ15cは、穴16bに嵌合され、結合金具29の楔部29bが平ほぞ15cのアリ溝15hに下方から嵌合される。次いで、土台16の側面の前記ピン穴に大径のピン19を打ち込み、楔部29bの内部空間部29dの上部を貫通させる。このピン19は、楔部29bの左右の板体29c、29cを左右に押し広げてアリ溝15hの対抗する内面に圧接させる。更にピン19の下側にピン19よりも小径のピン20を打ち込んで楔部29bの左右の板体29c、29cの下部を更に拡開させる(図16の左側)。これにより、楔部29bをアリ溝15hに結合することができる。そして、柱15が土台16に強固に嵌合固定される。尚、ピン19として金属パイプを使用すると内部に配線を挿通させることが可能となる。また、結合金具29の底板29aを、ボルト17に代えて前記布基礎に植設されて土台16を固定するたアンカーボルトにより土台と共に固定するようにしてもよい。
図17及び図18は、本発明に係る木材の結合金具を適用した実施例12を示し、柱と土台との結合部の断面図である。柱15の木口15aにアリ15bが形成され、端面に柱15の長手方向に沿ってスリット15fが複数例えば、2本間隔を存して設けられている。アリ15bは、結合金具31が装着されて土台16の上面16aに形成された角穴16bに嵌合される。
結合金具31は、第1の結合金具32と第2の結合金具33とから成り、結合金具32は、左右両側板32aの内側にアリ15bと係合する楔部32eが一体に形成されている。底板32bにはアリ15bのスリット15fと対応してスリット(図示せず)が設けられている。底板32bは、両側縁部の両側部32a'、32a'が上方に直角に折曲されて係止部とされ、左右の隅部にピン穴32jが穿設されている。また、底板32bの中央にボルト17の頭部よりも大径の穴32mが設けられている(図18)。
結合金具33は、底板33aの上面にアリ15bのスリット15fと嵌合する支持板33bが垂設されており、両側部33a'、33a'が上方に直角に折曲されて係止部とされ、左右の隅部にピン穴32jと対応してピン穴33jが穿設されている。また、底板33aの中央にボルト穴33mが設けられている(図18)。支持板33bは、結合金具32の底板32bの前記スリットを貫通可能とされ、側縁部33a'、33a'は、結合金具32の底板32aの側縁部32a'、32a'に外嵌可能とされている(図18)。
第1の結合金具32は、アリ15bの側方から嵌合装着される。また、第2の結合金具33は、土台16の穴16bに収納されて底板33bがボルト17により土台16に固定される。次いで、結合金具32を装着されたアリ15bが穴16bに嵌合される。このとき結合金具33の支持板33bを結合金具32の底板32bの前記スリットを貫通させてアリ15bのスリット15fに嵌合させる。次いで、土台16の側面に設けられたピン穴からピン4を打ち込んで、結合金具33の32の左右両側部33a'、32a'の各左右のピン穴33j、32jを貫通させて土台16に結合金具33と結合金具32とを固定する(図18)。これにより、柱15が土台16にアリ構造により固定される。
図19及び図20は、本発明に係る木材の結合金具の実施例13を示し、図19は結合金具の一部切欠組立斜視図、図20は図19に示す結合金具の使用状態を示す断面図である。結合金具35は、第1の結合金具36、第2の結合金具37、及び第3の結合金具38から成る。
第1の結合金具36は、柱15のアリ15b(図20)に嵌合するためのもので、左右両側板36aの内側に夫々アリ15bと係合する楔部36eが一体に形成されており、底板36bの両側縁部36a'、36a'が上方に直角に折曲され、左右の両隅部に夫々ピン穴36jが穿設されている。底板36bには大きな角穴36nが設けられ、この角穴36nを左右方向に横切って両側板36a、36aの下端から上端近傍までスリット36pが設けられている。両側板36aの上部の幅は下部の両側縁部36c、36cの幅よりも板厚程度幅広とされている。
第2の結合金具37は、板状をなし、第1の結合金具36のスリット36pに嵌挿可能とされ、両側部近傍にスリット37a、37aが設けられている。両側部の下部位置にはピン穴36jと対応してピン穴37dが、上部位置には第1の結合金具36の楔部36eの内部空間部の上部と対応してピン穴37eが穿設され、中央部には上下にピン穴37f、37fが穿設されている。結合金具37の中央部は、ボルト17(図20)の頭部の逃げ分だけ両側部よりも短く設定されている。
第3の結合金具38は、土台16の穴16bにアリ15bを嵌合固定するためのもので、底板38aの両側縁部38bが上方に直角に折曲されて第1の結合金具36の下部の両側縁部36a'、36a'に外嵌可能とされ、底板38aの中央にボルト穴38cが穿設され、当該ボルト穴38cの両側に支持板38dが垂設されている。これらの支持板38dは、第1の結合金具36の底板36bの角穴36fを貫通して結合金具37のスリット37aに嵌挿可能とされている。また、両側縁部38bにはピン穴36j、37dと対応してピン穴38eが穿設されている。
一方、図20に示すようにアリ15bの端面には結合金具38の支持板38d及び結合金具37が嵌合するスリット15f、15f'が柱15の長手方向に沿って設けられている。また、アリ15b及び土台16の側面にはピン穴37fに対応してピン穴が穿設され、土台16の側面には各ピン穴36j、37d、38eに対応してピン穴(図示せず)が穿設されている。
図20に示すように柱15のアリ15bに第1の結合金具36を嵌合し、第2の結合金具37をアリ15bの前記スリット15f'及び結合金具36のスリット36pに差し込む。一方、土台16の穴16bに結合金具38を嵌合してボルト17により固定する。次いで、結合金具36、37を装着したアリ15bを、土台16の穴16bに嵌合する。このとき、結合金具38の各支持板38dを結合金具36の角穴36nを貫通させてアリ15bのスリット15f及び結合金具37のスリット37aに差し込む。次に、土台16の側面の前記ピン穴からアリ15bの前記ピン穴及び結合金具37の中央のピン穴37f、37fに夫々ピン40、40'を打ち込んで固定する。
次いで、土台16の側面に穿設されたピン穴にピン41、42を打ち込み、ピン41を、土台16と、結合金具38のピン穴38eと、結合金具36のピン穴36jと、結合金具37のピン穴37dを貫通させてこれらを固定し、ピン42を、土台16と、結合金具36の楔部36eの内部空間部と、結合金具37の上部のピン穴37eとを貫通させてこれらを固定する。結合金具36の楔部36eは、ピン42により土台16に強固に固定される。
アリ15bと土台16とを固定する上側のピン40と下側のピン40'は、結合金具37を介して木口からの距離を交換した形になっており、柱15に上向きの荷重が加わったときに上側のピン40がアリ15bの割れを防止し、下側のピン40'が土台16の割れを防止する。また、アリ15bは、ピン40、40'の両側方に支持板38dが配置されていることにより割れが防止され、ピン40、40'の位置の制約が緩和され、アリ15bの先端近傍に打ち込むことが可能となる。
図21は、本発明に係る木材の結合金具の実施例14を示し、柱と土台との結合部の断面図である。結合金具45は、底板45aがアリ15bよりも楔部側に幅広とされ、左右にアリ15bと対応する位置に逆三角形状の楔部45eが両側に拡げて形成されており、アリ15bに下方から装着可能とされ、装着後内側に折り込んだときにアリ15bと嵌合可能とされている。底板45aの中央にボルト穴45mが穿設され、当該ボルト穴45mの両側に支持板45k、45kが垂設されている。
一方、アリ15bは、端面が結合金具45の底板45aに当接する長さとされ、端面に各支持板45kが嵌合するスリット15fが設けられている。結合金具45は、土台16の穴16bに嵌合され、ボルト17により前述と同様に固定される。左右の楔部45eは両側に拡げられており、上方からアリ15bが挿入可能とされている。また、アリ15bの端面中央の2枚の支持板45k間は切り欠かれてボルト17の頭部の逃げ部が設けられている。
土台16の穴16bに柱15のアリ15bを嵌合してスリット15fに支持板45kを差し込み、アリ15bの端面を結合金具45の底板45aに当接させた後、左右の楔部45eを矢印のように内側に折り曲げてアリ15bに嵌合させる。次いで、これらの楔部45eの外側面と穴16bの内側面との間の角筒状の空間に角形の埋木46を圧入嵌合し、土台16の側面からピン47を打ち込み、角形の埋木46を土台16に固定する。更に、土台16の側面に設けられたピン穴からピン48を打ち込み、アリ15bの下部の楔部45eと2枚の支持板45k、45kとの間を貫通させて当該土台16にアリ15bを固定する。これにより、アリ15bと土台16とが強固に結合される。この場合、埋木46と穴16bの内面と接着剤で接着すると更に結合力が増大して好ましい。また、角形の埋木46に代えて角形の鉄棒又は角筒形の鉄箱等を使用してもよい。
図22及び図23は、本発明に係る木材の結合金具の実施例15を示し、図22は柱と土台との結合部の断面図、図23は、図22の矢線XXIII−XXIIIに沿う断面図である。図22及び図23に示すように柱15の木口15aに平ほぞ15cが形成されており、当該平ほぞ15cの両側付根部に角形の嵌合凹部15c'、15c'が設けられている。一方、土台16の上面には平ほぞ15cが嵌合する角穴16bが設けられている。
結合金具51は、底板51bが平ほぞ15cの端面と同じ大きさとされ、左右の側板51aが夫々上方に直角に折曲され、上端に嵌合凹部15c'と係合する嵌合凸部51cが角筒状に形成されており、左右の側板51a及び嵌合凸部51cにピン穴51d、51d'が設けられている。底板51bの両側に係止部51a'、51a'が間隔を存して上方に垂直に延出して形成されており、これらの係止部51a'の高さは、嵌合凸部51cの上面と同じ高さとされており、上部にピン穴51eが設けられている。柱15の平ほぞ15cの高さは係止部51a'の高さよりも後述するピン52の太さ程度短く、ピン穴51d、51eに対応してピン穴が設けられている。
結合金具51は、左右の嵌合凸部51cが柱15の平ほぞ15cに装着されて嵌合凸部15c'に嵌合され、これら左右の側板51a及び嵌合凸部51cの各ピン穴51d、51d'及び平ほぞ15cのピン穴にピン52が打ち込まれて固定され、更に、図23に示すように両側の係止部51a'のピン穴51e間に平ほぞ15cを貫通するピン53が打ち込まれている。ピン52の両端は、両側の嵌合凸部51cのピン穴51d'に支持され、ピン523両端は、平ほぞ15cのピン穴内に僅かに没入している。そして、ピン52と53とは直交し、ピン53の下側がピン52の上側に接触している。
結合金具51が装着された平ほぞ15cを土台16の穴16bに嵌合し、土台16の側面に角穴16bの底部の左右隅部に穿設されたピン穴にピン54、54を打ち込む。これらのピン54は、結合金具51の底板51bと左右両側部51aとの折曲部内側と平ほぞ15cの端面との間を貫通して結合金具51を土台16に固定する。これにより、柱15の平ほぞ15cが土台16の角穴16bに固定される。
柱15に上方への荷重が加わり、平ほぞ15cを貫通して両端が結合金具51の嵌合凸部51cに支持されているピン52に前記荷重が加わる。ピン52は、平ほぞ15cを貫通しているピン53と接触していることで、前記荷重がピン53に分散され、この結果、平ほぞ15cに加わる荷重が軽減され、損傷が軽減される。
図24及び図25は、本発明に係る木材の結合金具の実施例16を示し、図24は柱と土台との結合部の断面図、図25は、図24の矢線XXV−XXVに沿う断面図である。図22及び図23に示すように柱15の木口15aに平ほぞ15cが形成されており、当該平ほぞ15c端面中央にスリット15fが設けられている。一方、土台16の上面には平ほぞ15cが嵌合する角穴16bが設けられている。
結合金具55は、板状の第1の結合金具56と第2の結合金具57及びバネ58から成り、平ほぞ15cのスリット15fに嵌合可能とされている。また、結合金具55の高さは平ほぞ15cの高さ(長さ)よりもピン60の太さ程度高く、且つその幅が平ほぞ15cの幅よりも僅かに狭く設定されている。第1の結合金具56は、略V形をなし、一側が垂直部56aとされ、他側が下端から斜め上方に延出して係合凸部56bとされている。この係合凸部56bは、垂直部56aよりも僅かに低く設定されている。また、下端には平ほぞ15cの厚みと同じ長さの角柱状の脚部56c(図25)、小孔56d(図24)が設けられている。
第2の結合金具57は、一側に第1の結合金具56の係合凸部56bと嵌合する係合凹部57bが設けられ、下端に切欠57c、57dが設けられている。また、上部及び下部にピン穴57e、57fが夫々複数設けられている。平ほぞ15cにはピン穴57eと対応してピン穴15jが設けられており、土台16の側面にはピン穴57fと対応して夫々ピン穴16jが設けられている(図25)。
バネ58は、図26(a)、(b)に示すように平面視略S形をなし、一端部58aが結合金具56の連結部とされ、他端部58bが穴16bの底面との当接部とされ且つ中央部58cから下方に傾斜している。図24に示すように第1の結合金具56の係合凸部56bが第2の結合金具57の係合凹部57bに係合され、バネ58の一側58aが結合金具56の下端の小孔56dに挿通され、中央部58cが結合金具57の切欠57cに係止されて結合金具56と57とを連結し、結合金具55を構成している。
結合金具55は、柱15の平ほぞ15cのスリット15fに嵌合装着され、ピン穴15j、57eにピン59が打ち込まれて固定される。このとき第1の結合金具56の垂直部56aの一端面が平ほぞ15cの一側端面と面一とされ、第2の結合金具57の他端が平ほぞ15cの他側端面から僅かに内方に位置している(図24)。この平ほぞ15cは、土台16の角穴16bに嵌合される。第1の結合金具56は、脚部56cにより穴16bの底面に垂直に立設し、第2の結合金具57は、下端面が角穴16bの底面に当接する。そして、平ほぞ15cの端面が角穴16bの底面と間隔を存して対向する。
バネ58は、他端部58bがばね力に抗して穴16bの底面に圧接して結合金具57の切欠57dに係合し、一端部58aがばね力により第1の結合金具56の下端を穴16bの底面に圧接させる。次に、土台16の側面のピン穴からピン60を打ち込み第2結合金具57のピン穴57fを貫通させ、土台16に結合金具55を固定する。
平ほぞ15cと土台16とを固定する上側のピン59と下側のピン60は、結合金具56を介して木口からの距離を交換した形になっており、柱15に上向きの引張荷重が加わったときに上側のピン59が平ほぞ15cの割れを防止し、下側のピン60が土台16の割れを防止する。
また、柱15に引張荷重が加わり、柱15が上方に引っ張られると、これに伴い第1の結合金具56の係合凸部56bと、第2の結合金具57の係合凹部57bの傾斜面により、これらの結合金具56と57とが離反する方向に押圧力を受け、平ほぞ15cの他側面を穴16bの対向する内面に圧接させる。このとき、第1の結合金具56は、バネ58により浮き上がりが防止される。圧接する平ほぞ15cの側面と角穴16bの内面とは木材同士の圧接となり摩擦抵抗が大きく、柱15の引張に対して有効に作用する。また、係合凸部56bの上部は、係合凹部57bの端面に形成されている係止部57b'により規制されて変形を防止される。尚、第1結合金具56の脚部に代えて垂直部56aの下部に切欠を設け、ピンにより結合金具56を角穴16bに固定するようにしてもよい。
図27は、本発明に係る木材の結合金具の実施例17を示し、梁同士の結合部の断面図である。梁62と梁63は、夫々継手としての平ほぞ(嵌合突部)62aと角穴(嵌合孔)62b、平ほぞ(嵌合突部)63aと角穴(嵌合孔)63bが設けられており、梁62の平ほぞ62aが梁63の角穴63bに、梁63の平ほぞ63aが梁62の角穴62bに嵌合可能とされ、これらの梁62と63とが結合されるようになっている。平ほぞ62a、63aの付け根には嵌合凹部62c、63cが設けられている。嵌合凹部62c、63cの内面62d、63dは、開口部から底面に向かって広がるように傾斜しており、係止効果が高くされている。尚、内面62d、63dは、垂直でも良い。
結合金具64は、L形状をなし、一側端に平ほぞ62aの嵌合凹部62cと嵌合する嵌合凸部64aが角筒状に設けられており、嵌合凸部64aが嵌合凹部62cに嵌合して平ほぞ62aに取り付けられ、他側端が平ほぞ62aの端面にビス66で固定される。これにより、結合金具64は、平ほぞ62aの先端方向に引き抜き不能に固定される。結合金具65も結合金具64と同様に形成されており、梁63の平ほぞ63aに取り付けられる。平ほぞ62a、63aの先端、且つ結合金具64、65の折曲部内側隅部にピン穴62d、63dが設けられており、梁62、63の対応する位置に側面からピン穴62e、63eが設けられている。
そして、梁62の平ほぞ62aが梁63の角穴63bに、梁63の平ほぞ63aが梁62の角穴62bに嵌合され、梁62、63の側面のピン穴62e、63eからピン67、68を打ち込んで、これらの梁62と63とを結合する。平ほぞ62a、63aは、夫々結合金具64、65及びピン67、68により互いに引き抜き不能に固定される。
図28は、本発明に係る木材の結合金具の実施例18を示し、梁同士の結合部の断面図である。梁71の木口71aには平ほぞ71bが、梁72の木口72aに平ほぞ71bが嵌合する角穴72bが設けられており、平ほぞ71bには、端面中央からスリット71c設けられている。結合金具73は、板体とされ、スリット71cに嵌挿可能とされ、両端近傍にピン穴73a、73bが設けられている。また、平ほぞ71b及び梁72には結合金具73のピン穴73a、73bと対応してピン穴71d、71e、72dが設けられている。
結合金具73は、平ほぞ71bのスリット71cに挿入され、ピン穴71d、73aを貫通するピン74により固定される。この結合金具73が設けられた平ほぞ71bは、梁72の角穴72bに嵌合され、ピン穴72c、71e、73bを貫通するピン75により固定される。これにより、梁71と72とが結合される。
図29は、本発明に係る木材の結合金具の実施例19を示し、梁同士の結合部の断面図である。梁81の木口81aには平ほぞ81bが、梁82の木口82aに平ほぞ81bが嵌合する角穴82bが設けられている。結合金具83は、第1の結合金具84と第2の結合金具85から成る。第1の結合金具84は、板状をなし、平ほぞ81bと同じ幅とされ、長さが平ほぞ81bの長さよりも短く設定されている。この第1の結合金具84は、平ほぞ81bの両面に一端が当該平ほぞ81bの端面に合わせてビス86で装着固定されている。これにより、第1の結合金具84の他端と梁81の木口81aとの間に凹部が形成される。即ち、平ほぞ81bの付け根部分に嵌合凹部81cが形成される。
第2の結合金具85は、両側板85aが一側に直角に折曲されて端面視略角形のU字形状をなし、第1の結合金具84が装着された平ほぞ81aに外嵌可能とされ、上端に前記嵌合凹部81cと嵌合する嵌合凸部85cが角筒状に設けられている。側板85aの高さは平ほぞ81aの高さよりもピン86の外径程度高く設定されている。この第2の結合金具85は、平ほぞ81bの側方から装着され、嵌合凸部85cが嵌合凹部81cに嵌合される。次いで、梁82の角穴82bに嵌合され、当該梁82の側面に設けられたピン穴からピン87を打ち込み、平ほぞ81bの端面と第2の結合金具85の底面との間、且つ両側板85aとの折曲部内側に当接貫通させて、角穴82bに第2の結合金具85を固定する。このようにして、梁81と82とを固定する。
尚、上記した各実施例においては、木造建築における梁と柱、柱と土台、梁と梁等の結合について説明したが、これに限るものではなく、他の例えば、コンクリート部材同士の結合にも適用し得ることは勿論である。
本発明に係る木材の結合金具を適用した梁と柱との結合部の組立斜視図である。(実施例1) 図1に示す結合金具の正面図である。 図2に示す結合金具の側面図である。 図2に示す結合金具の底面図である。 図1に示す梁と柱を結合金具により結合した状態における結合部の断面図である。 本発明に係る木材の結合金具を適用した柱と土台との結合部の断面図である。(実施例2) 本発明に係る木材の結合金具を適用した梁と柱との結合部の断面図である。(実施例3) 本発明に係る木材の結合金具を適用した梁と柱との結合部の断面図である。(実施例4) 図8の矢線IX―IXに沿う断面図である。 本発明に係る木材の結合金具を適用した梁と柱との結合部の断面図である。(実施例5) 本発明に係る木材の結合金具を適用した梁と柱との結合部の断面図である。(実施例6) 本発明に係る木材の結合金具を適用した梁と柱との結合部の断面図である。(実施例7) 本発明に係る木材の結合金具を適用した柱と土台との結合部の断面図である。(実施例8) 本発明に係る木材の結合金具を適用した柱と土台との結合部の断面図である。(実施例9) 本発明に係る木材の結合金具を適用した柱と土台との結合部造の断面図である。(実施例10) 本発明に係る木材の結合金具を適用した柱と土台との結合部の断面図である。(実施例11) 本発明に係る木材の結合金具を適用した柱と土台との結合部の断面図である。(実施例12) 図17の矢線XVIII―XVIIIに沿う断面図である。 本発明に係る木材の結合金具を適用した柱と土台との結合部の一部切欠組立斜視図である。(実施例13) 図19に示す結合金具の使用状態を示す断面図である。 本発明に係る木材の結合金具を適用した柱と土台との結合部の断面図である。(実施例14) 本発明に係る木材の結合金具を適用した柱と土台との結合部の断面図である。(実施例15) 図22の矢線XXIII−XXIIIに沿う断面図である。 本発明に係る木材の結合金具を適用した柱と土台との結合部の断面図である。(実施例16) 図24の矢線XXV−XXVに沿う断面図である。 図24のばねを示し、図26(a)は平面図、図26(b)は側面図である。 本発明に係る木材の結合金具を適用した梁と梁との結合部の断面図である。(実施例17) 本発明に係る木材の結合金具を適用した梁と梁との結合部の断面図である。(実施例18) 本発明に係る木材の結合金具を適用した梁と梁との結合部の断面図である。(実施例19)
符号の説明
1 梁
1b、15b アリ
15c 係合突起部
2、15 柱
2b、16b 角穴
3、5〜7、11、21、22、25、29、31、35、41、45 結合金具
4、19、20、23、41〜43、47、48 ピン
16 土台
17 ボルト
62、63、71、72、81、82 梁

Claims (6)

  1. 第1の木材の端面に設けられたアリと、第2の木材の側面に設けられて前記アリが嵌合する角穴との間に介在されてこれらを結合する木材の結合金具であって、
    前記結合金具は、
    前記アリに対応して両側板が底板の一側に直角に折曲され、内側に先端から底板に向かって前記アリと係合する楔部が設けられ、前記アリに嵌合装着されて前記第2の木材の角穴に嵌合され、且つ前記第2の木材に固定されて前記第1の木材と第2の木材と結合することを特徴とする木材の結合金具。
  2. 前記アリは、端面に長手方向に沿って少なくとも1本のスリットが設けられ、前記結合金具は、底板に前記スリットに嵌合する支持板が垂設されていることを特徴とする請求項1記載の木材の結合金具。
  3. 第1の木材の端面に設けられた平ほぞと、第2の木材の側面に設けられて前記平ほぞが嵌合する角穴との間に介在されてこれらを結合する木材の結合金具であって、
    前記結合金具は、
    前記平ほぞに対応して両側板が底部の一側に直角に折曲され、外側に先端から底板に向かってテーパ状に拡開する楔部が設けられ、前記平ほぞに固定される第1の結合金具と、前記第1結合金具に対応して両側板が底板の一側に直角に折曲され、内側に先端から底板に向かって前記第1の結合金具の楔部と係合する楔部が設けられ、前記第1の結合金具に外嵌装着される第2の結合金具とから成り、
    前記第1、第2の結合金具が前記平ほぞに装着されて前記第2の木材の角穴に嵌合され、且つ前記第2の結合金具が前記第2の木材に固定されて前記第1の木材と第2の木材とを結合することを特徴とする木材の結合金具。
  4. 第1の木材の端面に設けられたアリと、第2の木材の側面に設けられて前記アリが嵌合する角穴との間に介在されてこれらを結合する木材の結合金具であって、
    前記アリは、端面に長手方向に沿って少なくとも1本のスリットが設けられ、
    前記結合金具は、
    前記アリに対応して両側板が底板の一側に直角に折曲され、内側に先端から底板に向かって前記アリと係合する楔部が設けられ、前記底板に前記アリのスリットと対応してスリットが設けられて前記アリに嵌合装着される第1の結合金具と、前記第2の木材の角穴底面に固定される底板と、該底板に垂設されて前記第1の結合金具のスリットを貫通して前記アリのスリットに嵌合する支持板とを具備する第2の結合金具とから成り、
    前記第1の結合金具が前記アリに嵌合装着されて前記第2の木材の角穴に嵌合され、前記第2の結合金具の支持板が前記第1の金具のスリットを貫通して前記アリのスリットに嵌合し、且つ前記第1の結合金具が前記第2の木材に固定されて前記第1の木材と第2の木材とを結合することを特徴とする木材の結合金具。
  5. 前記第1の木材が梁であり、前記第2の木材が柱であることを特徴とする請求項1乃至4記載の木材の結合金具。
  6. 前記第1の木材が柱であり、前記第2の木材が土台であることを特徴とする請求項1乃至4記載の木材の結合金具。
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