JP6211378B2 - 橋梁制震構造 - Google Patents

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Description

本発明は、山岳橋梁、都市内高架橋、鉄道高架橋など、橋梁全般の制震構造に関する。
既設橋梁の耐震性能を高めるため、免震・制震技術を適用して、橋梁に作用する地震力や応答を低減する方法がある。この方法については、既設橋梁の支承を免震支承へ交換したり、同部分へエネルギー吸収装置としてダンパー装置を設置したりする方法が一般的である。
免震支承やダンパー装置は、既に多くの種類のものが実用化されている。例えば特許文献1記載のように既設の支承をすべり支承とした上で、高減衰復元装置としてゴム支承を設置することで、橋梁全体の固有周期を長周期化して地震力を低減しつつ、エネルギー吸収性能の付与により応答変位の低減を図ることができる。
特開平09−041321号公報
免震・制震化による耐震補強は、橋梁に作用する地震力と応答を低減して、下部構造や基礎の地震時における負担を軽減するという思想である。そのため、下部構造や基礎の耐震補強を不要としたり、地震後における補修を軽微とできるなどのメリットがある。しかしながら、免震・制震化で必要となるゴム支承やダンパー装置は一般に高価であることから、補強工事のコスト増に繋がっていた。
本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたもので、橋梁の耐震性能を低コストで向上できる橋梁制震構造を提供することを目的とする。
前述した課題を解決するための第1の発明は、橋脚とその上部構造の間に、鋼材の塑性変形によりエネルギーを吸収するダンパーを用いた制震装置を配置してなることで、平面の2方向の揺れに対する制震を行い、前記制震装置は、前記ダンパーの変形を復元するための復元機構を有し、前記復元機構は、前記ダンパーに取り付けた上下一対の治具の間を横方向に連結するように設けた線材であることを特徴とする橋梁制震構造である。
第2の発明は、橋脚とその上部構造の間に、鋼材の塑性変形によりエネルギーを吸収するダンパーを用いた制震装置を配置してなることで、平面の2方向の揺れに対する制震を行い、前記制震装置は、前記ダンパーの変形を復元するための復元機構を有し、前記復元機構は、前記ダンパーに取り付けた上下の治具の間に、対角線状に交差して複数設けられる線材であることを特徴とする橋梁制震構造である。
第3の発明は、橋脚とその上部構造の間に、鋼材の塑性変形によりエネルギーを吸収するダンパーを用いた制震装置を配置してなることで、平面の2方向の揺れに対する制震を行い、前記制震装置は、前記ダンパーの変形を復元するための復元機構を有し、前記復元機構は、前記ダンパーに取り付けた上下一対の治具を用いて横方向に設けられ、一端が前記治具を貫通する棒材と、前記棒材の前記一端と前記治具の間に設けられた弾性材と、を有することを特徴とする橋梁制震構造である。
第4の発明は、橋脚とその上部構造の間に、鋼材の塑性変形によりエネルギーを吸収するダンパーを用いた制震装置を配置してなることで、平面の2方向の揺れに対する制震を行い、前記制震装置は、前記ダンパーの変形を復元するための復元機構を有し、前記復元機構は、前記ダンパーに取り付けた板バネであることを特徴とする橋梁制震構造である。
第5の発明は、橋脚とその上部構造の間に、鋼材の塑性変形によりエネルギーを吸収するダンパーを用いた制震装置を配置してなることで、平面の2方向の揺れに対する制震を行い、前記制震装置は、前記ダンパーの面外変形を抑制するため、前記ダンパー全体を面外方向へ移動可能とする面外変形抑制機構を有し、前記面外変形抑制機構は、前記ダンパー全体を面外方向へスライド移動可能とするものであり、前記面外変形抑制機構では、前記ダンパーの上下の端部のそれぞれに、L字プレートの一辺が取り付けられ、各L字プレートの他辺が、前記他辺の長孔に通されたボルトによって、それぞれ前記橋脚と前記上部構造に取り付けられ、前記長孔を介して連結された、前記L字プレートと前記橋脚及び前記L字プレートと前記上部構造が面外方向に相対移動可能であることを特徴とする橋梁制震構造である。
第6の発明は、橋脚とその上部構造の間に、鋼材の塑性変形によりエネルギーを吸収するダンパーを用いた制震装置を配置してなることで、平面の2方向の揺れに対する制震を行い、前記制震装置は、前記ダンパーの面外変形を抑制するため、前記ダンパー全体を面外方向へ移動可能とする面外変形抑制機構を有し、前記面外変形抑制機構は、前記ダンパー全体を面外方向に回転可能とするものであり、前記面外変形抑制機構は、前記ダンパーの上下の端部を前記上部構造と前記橋脚のそれぞれと接続する、面外方向の一対の板バネであることを特徴とする橋梁制震構造である。
第7の発明は、橋脚とその上部構造の間に、鋼材の塑性変形によりエネルギーを吸収するダンパーを用いた制震装置を配置してなることで、平面の2方向の揺れに対する制震を行い、前記制震装置は、複数の前記ダンパーを井桁状に組んだものであることを特徴とする橋梁制震構造である。
第8の発明は、橋脚とその上部構造の間に、鋼材の塑性変形によりエネルギーを吸収するダンパーを用いた制震装置を配置してなることで、平面の2方向の揺れに対する制震を行い、前記制震装置は、下部が前記橋脚に取り付けられ、上部がプレートに取り付けられた、並列配置された複数の前記ダンパーと、上部が前記上部構造に取り付けられ、下部がプレートに取り付けられた、並列配置された複数の前記ダンパーと、を有し、下部を前記橋脚に取り付けた前記ダンパーの配置方向と、上部を前記上部構造に取り付けた前記ダンパーの配置方向は互いに直交し、各プレートが接続されることを特徴とする橋梁制震構造である。
第9の発明は、橋脚とその上部構造の間に、鋼材の塑性変形によりエネルギーを吸収するダンパーを用いた制震装置を配置してなることで、平面の2方向の揺れに対する制震を行い、前記ダンパーが、前記ダンパーの面を水平方向にして配置され、前記制震装置は、前記橋脚もしくは前記上部構造のいずれか一方に取り付けられた前記ダンパーと、前記橋脚もしくは前記上部構造の前記ダンパーの取り付けられていない他方に取り付けられ、前記橋脚と前記上部構造の平面位置が相対変位した際に前記ダンパーに水平方向からの力を伝達するためのサイドブロックと、前記ダンパーに取付けられ、前記サイドブロックに当接して水平方向の力を受けるスライドプレートと、を有することを特徴とする橋梁制震構造である。
本発明で用いるダンパーは、鋼材の塑性変形によりエネルギーを吸収することで、制震効果を発揮する。このようなダンパーは安価であり建築構造物での実績は多いが、これまで橋梁での適用実績はなかった。本発明では、このようなダンパーを橋梁に用いることで、既設もしくは新設の橋梁を安価に制震化できる。
前記ダンパーは、ハニカムダンパーであることが望ましい。
本発明で用いるダンパーとしては、例えばハニカムダンパーがあり、これにより橋梁の制震化が好適に実現できる。
前記橋脚と前記上部構造の間に滑り支承が設けられることが望ましい。
これにより、免震・制震化された橋梁を実現できる。
第1から第4の発明では、制震装置は、前記ダンパーの変形を復元するための復元機構を有する。
鋼材を用いたダンパーは安価であるが降伏後の復元力が小さく、地震後に大きな残留変位を生じて使用性が損なわれやすい。建築構造物ではダンパーの周囲のフレーム構造が復元機構となるが、橋梁にはそれがない。したがって、ダンパーに復元機構を設けることで、残留変位を低減し、制震性能を維持できる。
第1の発明の復元機構は、前記ダンパーに取り付けた上下一対の治具の間を横方向に連結するように設けた線材である。
こうして横方向に設けた線材の弾性力により、復元力を発揮させることができる。
第2の発明の復元機構は、前記ダンパーに取り付けた上下の治具の間に、対角線状に交差して複数設けられる線材である。
こうして線材を複数設けておけば、ダンパーの正逆方向の塑性変形に対しそれぞれ復元力を発揮させることができる。
第3の発明の復元機構は、前記ダンパーに取り付けた上下一対の治具を用いて横方向に設けられ、一端が前記治具を貫通する棒材と、前記棒材の前記一端と前記治具の間に設けられた弾性材と、を有する。また、第4の発明の復元機構は、前記ダンパーに取り付けた板バネである。
これによっても復元機構を構成でき、前者の場合では弾性材の復元力により、後者の場合では板バネの復元力により、残留変位を低減することができる。
第1から第4の発明では、前記復元機構は、前記ダンパーを挟んで両側に配置されることが望ましい。
これにより両面の復元機構にて復元力を付与できる。また、両面の復元機構で正逆方向の塑性変形に対し復元力を発揮させることも可能である。
前記制震装置は、前記ダンパーの面外座屈を抑制するための面外座屈抑制機構を有することが望ましい。
ハニカムダンパーなどのダンパーは、面内方向の塑性変形により地震エネルギーを吸収するが、橋梁にこれを用いる場合、建築構造物よりも大きな変形性能が必要であり、そのために高さ寸法が大きくなりやすい。高さ寸法が大きくなると面外座屈が生じやすく、これによりエネルギー吸収性能が損なわれる。そこで、制震装置にダンパーの面外座屈を抑制する機構を設けることで、エネルギー吸収性能を維持できる。
前記面外座屈抑制機構は、前記ダンパーを挟む一対の板材であることが望ましい。
このように一対の板材でダンパーを挟むことにより、面外座屈を抑制できる。
第5および第6の発明の制震装置は、前記ダンパーの面外変形を抑制するため、前記ダンパー全体を面外方向へ移動可能とする面外変形抑制機構を有する。
ハニカムダンパーなどのダンパーを用いて二方向の地震力に対応するには、面内方向をそれぞれの方向に合わせて複数のダンパーを配置する必要がある。ただし、この場合では、一方向のダンパーが面内方向に塑性変形する前に、他方向のダンパーが面外変形し、ダンパーのエネルギー吸収性能が損なわれる恐れがある。そこで、ダンパー自体を面外方向に移動可能とすることで、ダンパーの面外変形を防ぎ、エネルギー吸収性能を維持できる。
第5の発明の面外変形抑制機構は、前記ダンパー全体を面外方向へスライド移動可能とする。
ンパー全体を面外方向へスライド移動させることで、ダンパーの面外変形を防ぐことができる。
第5の発明の面外変形抑制機構では、前記ダンパーの上下の端部のそれぞれに、L字プレートの一辺が取り付けられ、各L字プレートの他辺が、前記他辺の長孔に通されたボルトによって、それぞれ前記橋脚と前記上部構造に取り付けられ、前記長孔を介して連結された、前記L字プレートと前記橋脚及び前記L字プレートと前記上部構造が面外方向に相対移動可能である。
上記の構成によってダンパー自体をスライド移動させることで、安価な構成でダンパーの面外変形を防ぐことができる。
第6の発明の面外変形抑制機構は、前記ダンパー全体を面外方向に回転可能とする。
このように、ダンパー自体が回転することによってもダンパーの面外変形を防ぐことができる。
第6の発明の面外変形抑制機構は、前記ダンパーの上下の端部を前記上部構造と前記橋脚のそれぞれと接続する、面外方向の一対の板バネである。
この構成によりダンパー自体を回転可能とし、面外変形を抑制できる。また、地震時に上部構造が回転するような挙動を起こしたり、支承が沈下したりして橋脚と上部構造の間隔が増減しても、ダンパーへの上下方向の力の作用を限られた範囲内とできる。
第7の発明の制震装置は、複数の前記ダンパーを井桁状に組んだものである。
こうしてダンパーを井桁状に配置することで、省スペースで2方向の地震力に対応できる。
第8の発明の制震装置は、下部が前記橋脚に取り付けられ、上部がプレートに取り付けられた、並列配置された複数の前記ダンパーと、上部が前記上部構造に取り付けられ、下部がプレートに取り付けられた、並列配置された複数の前記ダンパーと、を有し、下部を前記橋脚に取り付けた前記ダンパーの配置方向と、上部を前記上部構造に取り付けた前記ダンパーの配置方向は互いに直交し、各プレートが接続される。
これにより、井桁状に組んだ場合と同等のダンパー配置を制震装置の高さを低減しつつ実現できる。
第7および第8の発明では、平面において隣り合う複数の前記ダンパーの面外変形に対する耐力を高めるためのブレース材が設けられることが望ましい。
こうしてダンパーの面外変形を防ぎ、他のダンパーの面内方向の塑性変形を先行させることで、制震装置の制震性能を好適に発揮させることができる。
第1から第4の発明では、前記ダンパーが、前記ダンパーの面を水平方向にして配置されることが望ましい。また、第9の発明では、ダンパーが、前記ダンパーの面を水平方向にして配置される。
これにより制震装置の高さを更に低減し、橋脚と主桁間など、狭い隙間でも制震装置の設置が容易になる。
第9の発明では、制震装置は、前記橋脚もしくは前記上部構造のいずれか一方に取り付けられた前記ダンパーと、前記橋脚もしくは前記上部構造の前記ダンパーの取り付けられていない他方に取り付けられ、前記橋脚と前記上部構造の平面位置が相対変位した際に前記ダンパーに水平方向からの力を伝達するためのサイドブロックと、前記ダンパーに取付けられ、前記サイドブロックに当接して水平方向の力を受けるスライドプレートと、を有する。
これにより、水平配置したダンパーに好適に地震力を作用させ、ダンパーの塑性変形により地震エネルギーを吸収できる。
第9の発明では、前記ダンパーに取り付けた前記スライドプレートと、これと当接するサイドブロックとの間に遊間を設けることが望ましい。
これにより、上部構造等の温度変形によりダンパーに力が作用するのを防止できる。
第9の発明では、前記ダンパーに取り付けた前記スライドプレートと前記上部構造との間に遊間を設けることが望ましい。
これにより、支承の沈下、上部構造のたわみ、回転などにより上部構造がスライドプレートに接触するのを防ぎ、ダンパーの制震性能への影響を防ぐことができる。
本発明により、橋梁の耐震性能を低コストで向上できる橋梁制震構造を提供することができる。
橋梁制震構造10を示す図 制震装置20の配置の例を示す図 ハニカムダンパー11を示す図 制震装置20を示す図 制震装置20aを示す図 制震装置20bを示す図 制震装置20cを示す図 制震装置30を示す図 制震装置40を示す図 制震装置40aを示す図 制震装置40bを示す図 制震装置50を示す図 制震装置50aを示す図 橋梁制震構造10aを示す図 制震装置60を示す図
以下、図面に基づいて本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
[第1の実施形態]
(1.橋梁制震構造10)
本実施形態の橋梁制震構造10は、図1に示す橋梁1に設けられる。図1(a)は橋梁1の鉛直方向断面図、図1(b)は橋脚100上の平面図であり、図1(a)は図1(b)の線A−Aに沿った断面を示す。
橋梁1では、橋脚100の上に、主桁200a、および主桁200a間の床版200bが設けられ、主桁200aによって橋梁上面の床版210が支持される。主桁200aは図1(b)の上下方向で示す橋軸方向に設けられる。
本実施形態の橋梁制震構造10は、橋梁1の制震を行うものであり、主桁200aと橋脚100の間の滑り支承140と、床版200bと橋脚100の間の制震装置20を有する。
ただし、制震装置20の配置はこれに限ることはなく、図2(a)の橋脚100上の平面図に示すように主桁200aと橋脚100の間に設けることも可能である。また、図2(b)の鉛直方向断面に示すように、主桁200aの間に横桁200cが渡されている場合では、横桁200cと橋脚100の間に設けることも可能である。いずれにせよ、橋脚100とその上部構造の間に制震装置20が設けられれば良い。
図1に示す滑り支承140は、地震時に橋脚100と主桁200aの相対変位を許容し地震力の作用を弱め免震効果を発揮するものである。制震装置20については後述する。
(2.ハニカムダンパー11)
本実施形態では、制震装置20に、鋼材からなる板材等を加工することで、面内方向の塑性変形による地震エネルギーの吸収を可能としたダンパーを用いる。このようなダンパーとしては、特開平03−156075のような鋼板を特殊な形状に加工したハニカムダンパー、特開2008-179950のようなLENS型せん断パネルダンパー等があるが、これらに限られるものではない。以下の実施形態では、ハニカムダンパーを用いる例を説明する。
図3(a)はハニカムダンパー11の正面および側面を示す図である。図に示すように、ハニカムダンパー11は上下端の矩形状の接合部111の間を連結部112で連結した形状を有し、連結部112の途中が減幅している。本実施形態では、連結部112が、ハニカムダンパー11の面内の左右方向(以下、単に面内方向という)に一対設けられる。
図3(b)に示すように、ハニカムダンパー11は、上下端の接合部111の両面にL字プレート11aの一辺を取付け、L字プレート11aの他辺を上下の構造体に取り付けて固定される。ハニカムダンパー11の接合部111やL字プレート11aには取付用の孔(不図示)が設けられ、上記の取付けは、これらの孔を利用してボルト等(不図示)により行われる。
(3.制震装置20)
ハニカムダンパー11は、地震が生じた際に、連結部112が面内方向に塑性変形することで地震エネルギーを吸収し、制震効果を発揮するものであるが、降伏後の剛性が小さく単体では復元性を有しない。そのため地震時に大変形を起こした場合は大きな残留変位が生じ、地震後の橋梁としての使用性が損なわれることがある。
一般的な建築構造物ではハニカムダンパーの周囲のフレーム構造が復元性を有しているためシステム全体としての復元力が確保されるが、橋梁1ではそのような復元力が期待できない。そこで、本実施形態の制震装置20では、ハニカムダンパー11に復元性を付与する復元機構を別途設ける。
図4は本実施形態の制震装置20を示す図であり、図4(a)は制震装置20の正面、背面、および側面を示す図である。また図4(b)はハニカムダンパー11の塑性変形時の正面および背面を示す図である。
図4(a)に示すように、制震装置20では、復元機構として、ハニカムダンパー11を挟んだ両面において、上方の接合部111の左右方向の一端と、下方の接合部111の左右方向の他端にそれぞれブラケット121(治具)を設け、これら一対のブラケット121の間を連結するように横方向の線材122を設ける。
また、正面と背面の対応する位置では、一方の面で上方の接合部111にブラケット121を設け、他方の面では下方の接合部111にブラケット121を設ける。
図4(b)に示すように、ハニカムダンパー11の塑性変形時には、変形の方向に応じてどちらか一方の面の線材122が伸びる。線材122は、ハニカムダンパー11の塑性変形時においても弾性を保つように所定の強度に定められ、これにより、線材122の弾性による復元力を発揮できる。
線材122としては、例えば直径33mm,長さ1〜2m程度の合成繊維ロープ等を用いる。この場合、伸びが10%以上でも弾性的な挙動を示すものを用いると、長さ2m程度でハニカムダンパー11の200mmの変形に追従し、弾性による復元力を発揮させることができ、地震後の残留変位が大きく低減される。
なお、他方の線材122は、上記の塑性変形時に弛み、抵抗しない。この線材122は、ハニカムダンパー11に逆方向の変形が生じた場合に伸びて復元力を発揮する。
このようにして2本の線材122を両面に設けることで、正逆方向の塑性変形に対して復元力を発揮できる。なお、図の例では当初の制震装置20において線材122が張り詰められているが、弛ませて配置してもよい。これにより、線材122による復元力が生じ始めるハニカムダンパー11の変形量を調整できる。例えば、ハニカムダンパー11は降伏するまで大きい剛性を有していることから、同ダンパー11の降伏時の変位において線材122に張力が作用し始めるようにあらかじめ緩めておくことで、ハニカムダンパー11の降伏後に、線材122の小さい伸び量で復元力を発揮させることができる。
図1(b)に示すように、制震装置20は、面内方向を橋軸方向に合わせた一対と、面内方向をこれと直交する橋軸直交方向に合わせた一対を1セットとして配置され、これらの制震装置20により、平面の2方向の地震力に対して制震効果を発揮させ、上記の復元機構によってハニカムダンパー11の降伏後でもシステム全体として一定の剛性を付与できる。また、橋脚100と床版200bとを制震装置20で繋ぐことで、床版200b等の浮き上がり防止にもつながる。
以上説明したように、本実施形態では、鋼材の塑性変形により地震エネルギーを吸収することで制震効果を発揮するハニカムダンパー11を制震装置20に用い、これを橋梁1に設ける。このようなダンパーは安価であり建築構造物での実績は多いが、これまで橋梁での適用実績はなかった。本実施形態では、このようなダンパーを滑り支承140と合わせて用い、橋梁制震構造10とすることで、既設あるいは新設の橋梁1を安価かつ好適に免震・制震化できる。
さらに、本実施形態では、ハニカムダンパー11に復元機構を設けて制震装置20とすることで、残留変位を低減し制震性能を維持できる。復元機構としては、上記したように横方向に配置した線材132の弾性力を利用することができる。また線材132による復元機構が制震装置20の両面に設けられるので、両面の線材132により復元力を付与でき、正逆方向の塑性変形に対し復元力を発揮できる。
続いて、本発明のその他の実施形態について説明する。以下の実施形態は制震装置の構成において第1の実施形態と異なる例である。各実施形態は第1の実施形態と異なる点について主に説明し、同様の点については説明を省略する。
[第2の実施形態]
図5は第2の実施形態に係る制震装置20aの正面と側面を示す図である。
この制震装置20aでは、復元機構として、ハニカムダンパー11の両面において、上方の接合部111の左右方向の両端と、下方の接合部111の左右方向の両端にそれぞれブラケット131が設けられる。そして、対角線上の上下一対のブラケット131の孔131aに前記の線材122と同様の線材132の両端部をそれぞれ通してリング状に加工し、結びつける。これにより、2本の線材132を対角線状に交差するように設ける。線材132については、例えば合成繊維ロープの場合、アイスプライス加工やロック加工で端部をリング状に加工でき、ブラケット131の孔131aに容易に定着できる。
本実施形態では、これらの線材132によって前記と同様の復元力をハニカムダンパー11に付与でき、第1の実施形態と同様の効果が得られる。本実施形態では、ハニカムダンパー11に面内方向の一方への塑性変形が生じた場合、交差した線材132の一方が伸びて復元力を発揮し、他方の線材132が弛む。逆方向の塑性変形が生じた場合には、この他方の線材132が伸びて復元力を発揮し、前記一方の線材132が弛む。
このようにして、交差して配置した2本の線材132により正逆方向の塑性変形に対して復元力を発揮できる。また、線材132を弛んだ状態で取り付けたり、ブラケット131の孔131aに線材132の端部を余裕を持って結び付けたりすることで、第1の実施形態と同様に、復元力が生じ始めるハニカムダンパー11の変形量を調整できる。なお、本実施形態では、ハニカムダンパー11の一方の面において、2本の線材132を交差して設けているが、線材132の本数はこれに限らず、複数あればよい。
[第3の実施形態]
図6は第3の実施形態に係る制震装置20bの正面と側面を示す図である。
この制震装置20bでは、復元機構として、ハニカムダンパー11の両面において、上方の接合部111の左右方向の一端と、下方の接合部111の左右方向の他端にそれぞれブラケット141を取り付ける。そして、これらのブラケット141の間に棒材144を設ける。棒材144の一方の端部は、一方のブラケット141内を摺動可能に貫通し、その先端に端部部材142が設けられる。端部部材142と上記ブラケット141の間にはバネ143(弾性材)が設けられる。棒材144の他方の端部は、ナット等で他方のブラケット141に定着する。棒材144には、十分な強度や弾性係数を有するPC鋼棒、炭素繊維ロッド、アラミド繊維ロッド等を用いることができる。
また、正面と背面の対応する位置では、一方の面で上方の接合部111にブラケット141を設け、他方の面では下方の接合部111にブラケット141を設ける。さらに、両面の棒材144では、端部部材142およびバネ143が設けられる位置が逆となる。
本実施形態では、棒材144に設けたバネ143によって、前記と同様の復元力をハニカムダンパー11に付与でき、第1の実施形態と同様の効果が得られる。すなわち、本実施形態では、ハニカムダンパー11の面内方向の塑性変形が生じた場合、一方の面で端部部材142とブラケット141の間隔が縮まってバネ143が収縮し、他方の面では上記の間隔が拡がりバネ143が伸長することにより双方のバネ143が復元力を発揮する。本実施形態は、第1、第2の実施形態の線材122、132に比べ高強度の棒材144を用いるので、破断等の恐れも小さい。
[第4の実施形態]
図7は、第4の実施形態に係る制震装置20cの正面と側面を示す図である。この制震装置20cでは、復元機構として、ハニカムダンパー11の両面において、連結部112に沿った一対の板バネ151が設けられる。
本実施形態では、これらの板バネ151によって前記と同様の復元力をハニカムダンパー11に付与でき、第1の実施形態と同様の効果が得られる。すなわち、ハニカムダンパー11の面内方向の塑性変形が生じた場合、本実施形態では、一対の板バネ151が弾性変形し、これにより復元力を付与できる。板バネ151については、高さや厚さ、幅を定めることで任意の変形性能、復元力を設定できる。例えば板バネ151の高さを高くすれば許容変形量が大きくなり、厚さや幅を大きくすれば復元力を大きくできる。さらに、板バネ151をハニカムダンパー11の連結部112に密着するように設置すれば、同部分の面外座屈の抑制効果も期待できる。
[第5の実施形態]
ハニカムダンパー11は、連結部112が面内方向に塑性変形することで地震エネルギーを吸収する。しかしながら、通常の建築構造物などに比べ、橋梁1などにハニカムダンパー11を用いる場合では大きな変形性能が必要になり、そのために高さ寸法が大きくなりやすい。高さ寸法が大きくなると面外座屈が生じやすく、これにより所定のエネルギー吸収性能が確保できなくなる恐れがある。そこで、第5の実施形態では、ハニカムダンパー11に面外座屈を抑制するための面外座屈抑制機構を設ける例を説明する。
図8は、第5の実施形態に係る制震装置30の正面と側面を示す図である。この制震装置30では、面外座屈抑制機構として、ハニカムダンパー11の連結部112を、一対の鋼板162で両面から挟み、これらをボルト161とナット163で連結する。なお、ボルト161の位置が連結部112に近いと、連結部112の塑性変形時に両者が干渉するので、ボルト161と連結部112の間では、少なくとも連結部112の最大変形量以上のクリアランスは確保しておく。
鋼板162はハニカムダンパー11の面外座屈を防ぐため十分な強度、剛性を有するものとする。例えば、ハニカムダンパー11の連結部112の厚さや強度以上であれば良い。また、鋼板162と連結部112の間には若干の隙間を設け、鋼板162との摩擦によりハニカムダンパー11の面内変形を拘束しないようにする。ただし隙間が大きいと面外座屈の抑制効果が小さくなるので、隙間の大きさは縁が切れる程度の必要最小限とするのが良い。
このようにして、ハニカムダンパー11に、鋼板162による面外座屈抑制機構を設けることで、ハニカムダンパー11の面外座屈を抑制でき、エネルギー吸収性能を好適に発揮させることができる。
[第6の実施形態]
ハニカムダンパー11は、単体では面内方向しかエネルギー吸収効果を発揮しない。これに対し、橋梁1では橋軸方向と橋軸直角方向の2方向の地震力に対応する必要がある。これについては、前記の通りそれぞれの方向に面内方向を合わせて必要な性能と数のハニカムダンパー11を設置すれば良い。
しかしながら、単純に従来の方法でハニカムダンパー11を固定した場合、ハニカムダンパー11の面内方向の塑性変形に先行して、他のハニカムダンパー11が面外変形する恐れがある。面外変形が大きいと、面内方向の地震力に対してハニカムダンパー11が想定通りの機能を発揮するかは不明な点が多い。
そこで、第6の実施形態では、ハニカムダンパー11の面外変形を抑制するため、ハニカムダンパー11全体を面外方向へ移動可能とする面外変形抑制機構を設ける。
図9は、第6の実施形態に係る制震装置40を示す図である。図9(a)は制震装置40の正面および側面を示す図であり、図9(b)は図9(a)の側面図の線B−Bによる水平方向断面を示す。
制震装置40では、面外変形抑制機構として、ハニカムダンパー11の上下を前記したようにL字プレート11aを用いて床版200bと橋脚100に固定するに際し、L字プレート11aに面外方向を長軸方向とした長孔175を設け、長孔175にボルト173を通して該ボルト173により床版200b、橋脚100への取付を行う。
これにより、長孔175を介して連結されたL字プレート11aと床版200b、L字プレート11aと橋脚100がハニカムダンパー11の面外方向に相対移動可能となり、安価な構成にてハニカムダンパー11全体が面外方向にスライド可能となる。従って、面外方向の地震動による床版200bと橋脚100の相対変位を吸収して地震力の作用を防ぎ、面外変形を抑制できる。例えば長孔175の長軸方向の長さを200mmとすれば±200mmの変位に対応できる。
なお、本実施形態では、ボルト173の軸と長孔175との間で、面内方向にも若干の隙間を設け、床版200b等の温度伸縮相当の微小な変形を吸収するようにしておく。
すなわち、床版200b等は、温度変化による伸縮により、常時でも微小な変形量で伸縮を繰り返している。そのため、床版200bと橋脚100の間にハニカムダンパー11を設置すると、伸縮の繰り返しが作用することによる疲労で、地震時に所定の性能を発揮できない恐れがある。そこで、上記のように面内方向にある程度の隙間を設けておくことで、温度伸縮相当の変位を吸収し、地震力が作用する場合にダンパーとして好適に機能するようにしておく。なお、ハニカムダンパー11の連結部112を大きくすることでも、温度伸縮相当の変形量がダンパーの最大変形量に対して問題とならないようにすることは可能である。
なお、制震装置40のスライド移動時にL字プレート11aと床版200bや橋脚100との間の摩擦が大きくなることが想定される場合には、L字プレート11aの床版200bや橋脚100に接する面にフッ素樹脂板などの摩擦低減材を設置しても良い。
[第7の実施形態]
図10は、第7の実施形態に係る制震装置40aの正面と側面を示す図である。制震装置40aは、面外変形抑制機構として、ハニカムダンパー11の上下端でヒンジ結合を行い、ハニカムダンパー11全体を面外方向に回転可能とすることで、面外変形を抑制するものである。
すなわち、この制震装置40aでは、ハニカムダンパー11の上下がL字プレート11aによってピン保持部183に取り付けられる。ピン保持部183は櫛状に突出した軸受183aを有する。一方、床版200bと橋脚100には取付部185が設けられる。取付部185も、同じく櫛状に突出した軸受185aを有する。
ハニカムダンパー11の上下において、ピン保持部183の軸受183aと取付部185の軸受185aは互いに噛み合うように配置されており、それぞれにピン188を通すための孔187a、187bが設けられる。各孔187a、187bにピン188を通すことでハニカムダンパー11の上下がヒンジ結合され、面外方向に回転可能となる。これにより、前記と同様、地震時に、床版200bと橋脚100の面外方向の相対変位を吸収して地震力の作用を防ぎ、面外変形を抑制できる。
本実施形態では、孔187bを上下方向を長軸方向とした長孔としており、ピン188の上下方向の移動が許容される。これにより、ハニカムダンパー11が面外方向に回転する際に、上下方向に引張力が生じることがない。また、滑り支承140の沈下、床版200bのたわみ、地震時の床版200b等の回転などにより床版200bと橋脚100の間隔が増減した場合に、ハニカムダンパー11に上下方向の圧縮力や引張力が作用するのも防がれる。こうして上下方向の力の影響を防ぐことにより、エネルギー吸収性能を維持できる。
なお、本実施形態でも、軸受183a、185aの間で面内方向に若干の隙間を設けておくことで、床版200b等の温度伸縮による常時の微小変位を吸収できる。
[第8の実施形態]
図11(a)に第8の実施形態に係る制震装置40bの側面を示す。この制震装置40bも、ハニカムダンパー11全体を面外方向に回転可能として面外変形を抑制するものであり、このための面外変形抑制機構として、ハニカムダンパー11の上下端にプレート192を取付け、これらのプレート192と床版200b、橋脚100とを、面外方向の一対の板バネ193によってそれぞれ接続したものである。
この制震装置40bでは、地震によって床版200bと橋脚100の相対変位が生じた場合、図11(b)に示すように面外方向の一対の板バネ193の一方が伸長し、他方が収縮することで、ハニカムダンパー11全体が回転し、面外変形を抑制できる。
また、ハニカムダンパー11を板バネ193を介して床版200bや橋脚100と接続し、ハニカムダンパー11の上下には隙間が設けられるので、前記したような上下方向の力の作用も限られた範囲とできる。なお、面内方向の塑性変形による地震エネルギーの吸収効果を発揮させるためには、ハニカムダンパー11の最大耐力以上の定着力で板バネ193の取付を行う必要があるが、これについては面内方向の板バネ193の長さを大きくして、板バネ固定用のボルト(不図示)の数を多くすることで調整できる。
[第9の実施形態]
図12は、本発明の第9の実施形態に係る制震装置50の正面と側面を示す図である。この制震装置50は、上下にプレート203を取付け複数並列したハニカムダンパー11を、プレート204を介して上下に2段設置したものである。上下のハニカムダンパー11の面内方向の配置(配置方向)は直交し、全体として井桁状に構成される。
また、各段の隣り合うハニカムダンパー11の上下のプレート203に取り付けたブラケット201の間に、2本のブレース材202が交差するように設けられる。
このようにしてハニカムダンパー11を井桁状に配置することで設置面積を小さくでき省スペースとなる。また、隣り合うハニカムダンパー11同士をブレース構造で連結することで、面外変形に対する耐力が高まり、一方の段のハニカムダンパー11の面内方向の塑性変形を、他段のハニカムダンパー11の面外変形に先行して生じさせることができ、好適にエネルギー吸収性能を発揮させることができる。
[第10の実施形態]
ただし、第9の実施形態では、制震装置50の高さが高くなり場所によっては設置できなくなる問題がある。そこで、本実施形態では、第9の実施形態と同等のダンパー配置を、高さを低減しつつ実現する例を示す。
図13は、本発明の第10の実施形態に係る制震装置50aを示す図であり、図13(a)は制震装置50aの正面、図13(b)は図13(a)の線C−Cによる鉛直方向断面、図13(c)は図13(a)の矢印Dに示す方向から見た側面を示す。
この制震装置50aでは、並列配置した中央部の複数のハニカムダンパー11の下端をプレート207を介して橋脚100に取り付けるとともに、上端をπ形状のプレート205の中央部に固定する。
さらに、中央部のハニカムダンパー11の両側で、並列配置した複数のハニカムダンパー11の上端をプレート206を介して床版200bに取り付けるとともに、下端を上記のプレート205の側部に固定する。中央部のハニカムダンパー11と両側部のハニカムダンパー11の配置方向は互いに直交する。
隣り合うハニカムダンパー11は、前記と同様交差配置したブレース材202によって面外変形に対する耐力が高められる。これにより、中央部あるいは両側部のハニカムダンパー11の面内方向の塑性変形が、他方のハニカムダンパー11の面外変形に先行して生じ、エネルギー吸収性能が好適に発揮される。また、中央部と側部が接続されたπ形状のプレート205を用いることで、制震装置50aの設置高さを低減できる。
[第11の実施形態]
以上の実施形態では、ハニカムダンパー11を立てて配置したが、ハニカムダンパー11はその面を水平方向にして配置した場合でもその機能を発揮させることができる。このようなケースでは設置高さをさらに低減でき、主桁200aと橋脚100の間など、滑り支承140や積層ゴム支承等が存在する狭い隙間にも容易に設置できる。
図14は第11の実施形態の制震装置60の配置を示す図であり、橋梁1aの鉛直方向断面を示したものである。
本実施形態では、例えば橋梁1aにおいて、橋脚100の上に4本の主桁200aが設けられ、これにより橋梁上面の床版210が支持される。また、橋梁制震構造10aとして、橋脚100の両側端部の主桁200aと橋脚100の間に滑り支承140が設けられるとともに、内側の2つの主桁200aと橋脚100の間にそれぞれ制震装置60が設けられる。
図15はこの制震装置60を示す図である。図15(a)は制震装置60の斜視図、図15(b)は制震装置60の平面図、図15(c)は図15(b)の線E−Eによる断面図である。
この制震装置60では、一対の連結部112を二列に配置してその間と両端部に矩形状の接合部111を設けたハニカムダンパー11を用いる。ハニカムダンパー11は、面内方向を水平方向として配置され、両端部の接合部111が、橋脚100に固定した高さ調整用のプレート11bに取り付けられる。また、連結部112の間の接合部111の上面には、スライドプレート211が取り付けられる。
スライドプレート211と主桁200aの間には図15(c)に示す遊間220が設けられる。遊間220は数ミリ程度であり、これにより、滑り支承140の沈下や主桁200aのたわみ、主桁200aの回転などによって主桁200aとスライドプレート211が接触してハニカムダンパー11が変形したり、制震性能に影響を与えたりしないようにする。また、スライドプレート211上の雨水・ゴミなどは遊間220を通ってスムーズに排出され、プレート上に堆積することもない。
一対の連結部112を結ぶハニカムダンパー11の面内方向(図15(b)、(c)の左右方向に対応する)の両側では、図15(c)に示すように、スライドプレート211と遊間230を空けて、主桁200a下面にサイドブロック212が固定される。
この遊間230により、主桁200aの温度伸縮等によってサイドブロック212がスライドプレート211に接触して力が作用するのを防ぐ。なお、以上のプレート等の取付、固定はボルト70を用いて行われる。
制震装置60では、地震により、上記面内方向に主桁200aと橋脚100の平面位置の相対変位が生じると、主桁200aに設けたサイドブロック212がハニカムダンパー11に設けたスライドプレート211に当接し、水平方向の地震力をハニカムダンパー11に作用させ、その塑性変形により地震エネルギーの吸収が可能になる。
一方、上記面内方向と直交する方向(図15(b)の上下方向、図15(c)の紙面法線方向に対応する)に主桁200aと橋脚100の相対変位が生じた場合には、サイドブロック212がスライドプレート211に接触せず、ハニカムダンパー11は作用しない。
本実施形態では、図14に示す2つの制震装置60を、上記面内方向が互いに直交するようにして配置する。一方は上記面内方向を橋軸方向にして配置し、他方は橋軸直交方向にして配置する。これにより各制震装置60で機能を分離させて2方向変位に対応させ、想定される地震動などに応じてそれぞれ最適なダンパー諸元を適用できる。
なお、制震装置60の設置方法は図14等に示したものに限らない。例えば、ハニカムダンパー11を主桁200a下面に、サイドブロック212を橋脚100に設けることも可能である。また、滑り支承140とハニカムダンパー11を近接して設け、サイドブロック212の代わりに滑り支承140の上部のプレートを利用することもできる。
また、本実施形態では2つの制震装置60を、それぞれ主桁200aと橋脚100の間に設けたが、前記した床版200bと橋脚100の間に設けたり、横桁200cと橋脚100の間に設けることも可能である。
例えば、橋梁を、両端の主桁200aの間で主桁200aと横桁200cが橋軸直交方向に交互に繰り返す構造とした場合、橋軸方向に作用する制震装置60を主桁200aと橋脚100の間に設置し、橋軸直交方向に作用する制震装置60を横桁200cと橋脚100の間に設置すると、主桁200aの本数をn本とすれば、橋軸方向に作用する制震装置60はn個設置し、橋軸直交方向の制震装置60はn−1個となる。
いずれにせよ、一般的には、橋軸方向の左右対称に、橋軸方向に作用する制震装置60と橋軸直交方向に作用する制震装置60を配置するのがよい。また、制震装置60の数は多い方が、一般的には反力が分散されるので好ましく、また制震装置60を小型化できるので設置の自由度も高い。
なお、以上の実施形態で説明した復元機構や面外座屈抑制機構、面外変形抑制機構は、必要に応じて互いに組み合わせて用いることができ、また、復元機構や面外座屈抑制機構は、第9、第10の実施形態のハニカムダンパーの並列配置構造や、第11の実施形態のハニカムダンパーの水平配置構造にも必要に応じて適用可能である。
以上、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1、1a;橋梁
10、10a;橋梁制震構造
11;ハニカムダンパー
20、20a、20b、20c、30、40、40a、40b、50、50a、60;制震装置

Claims (18)

  1. 橋脚とその上部構造の間に、鋼材の塑性変形によりエネルギーを吸収するダンパーを用いた制震装置を配置してなることで、平面の2方向の揺れに対する制震を行い、
    前記制震装置は、前記ダンパーの変形を復元するための復元機構を有し、
    前記復元機構は、前記ダンパーに取り付けた上下一対の治具の間を横方向に連結するように設けた線材であることを特徴とする橋梁制震構造。
  2. 橋脚とその上部構造の間に、鋼材の塑性変形によりエネルギーを吸収するダンパーを用いた制震装置を配置してなることで、平面の2方向の揺れに対する制震を行い、
    前記制震装置は、前記ダンパーの変形を復元するための復元機構を有し、
    前記復元機構は、前記ダンパーに取り付けた上下の治具の間に、対角線状に交差して複数設けられる線材であることを特徴とする橋梁制震構造。
  3. 橋脚とその上部構造の間に、鋼材の塑性変形によりエネルギーを吸収するダンパーを用いた制震装置を配置してなることで、平面の2方向の揺れに対する制震を行い、
    前記制震装置は、前記ダンパーの変形を復元するための復元機構を有し、
    前記復元機構は、
    前記ダンパーに取り付けた上下一対の治具を用いて横方向に設けられ、一端が前記治具を貫通する棒材と、
    前記棒材の前記一端と前記治具の間に設けられた弾性材と、
    を有することを特徴とする橋梁制震構造。
  4. 橋脚とその上部構造の間に、鋼材の塑性変形によりエネルギーを吸収するダンパーを用いた制震装置を配置してなることで、平面の2方向の揺れに対する制震を行い、
    前記制震装置は、前記ダンパーの変形を復元するための復元機構を有し、
    前記復元機構は、前記ダンパーに取り付けた板バネであることを特徴とする橋梁制震構造。
  5. 橋脚とその上部構造の間に、鋼材の塑性変形によりエネルギーを吸収するダンパーを用いた制震装置を配置してなることで、平面の2方向の揺れに対する制震を行い、
    前記制震装置は、前記ダンパーの面外変形を抑制するため、前記ダンパー全体を面外方向へ移動可能とする面外変形抑制機構を有し、
    前記面外変形抑制機構は、前記ダンパー全体を面外方向へスライド移動可能とするものであり、
    前記面外変形抑制機構では、
    前記ダンパーの上下の端部のそれぞれに、L字プレートの一辺が取り付けられ、
    各L字プレートの他辺が、前記他辺の長孔に通されたボルトによって、それぞれ前記橋脚と前記上部構造に取り付けられ、
    前記長孔を介して連結された、前記L字プレートと前記橋脚及び前記L字プレートと前記上部構造が面外方向に相対移動可能であることを特徴とする橋梁制震構造。
  6. 橋脚とその上部構造の間に、鋼材の塑性変形によりエネルギーを吸収するダンパーを用いた制震装置を配置してなることで、平面の2方向の揺れに対する制震を行い、
    前記制震装置は、前記ダンパーの面外変形を抑制するため、前記ダンパー全体を面外方向へ移動可能とする面外変形抑制機構を有し、
    前記面外変形抑制機構は、前記ダンパー全体を面外方向に回転可能とするものであり、
    前記面外変形抑制機構は、前記ダンパーの上下の端部を前記上部構造と前記橋脚のそれぞれと接続する、面外方向の一対の板バネであることを特徴とする橋梁制震構造。
  7. 橋脚とその上部構造の間に、鋼材の塑性変形によりエネルギーを吸収するダンパーを用いた制震装置を配置してなることで、平面の2方向の揺れに対する制震を行い、
    前記制震装置は、複数の前記ダンパーを井桁状に組んだものであることを特徴とする橋梁制震構造。
  8. 橋脚とその上部構造の間に、鋼材の塑性変形によりエネルギーを吸収するダンパーを用いた制震装置を配置してなることで、平面の2方向の揺れに対する制震を行い、
    前記制震装置は、
    下部が前記橋脚に取り付けられ、上部がプレートに取り付けられた、並列配置された複数の前記ダンパーと、
    上部が前記上部構造に取り付けられ、下部がプレートに取り付けられた、並列配置された複数の前記ダンパーと、
    を有し、
    下部を前記橋脚に取り付けた前記ダンパーの配置方向と、上部を前記上部構造に取り付けた前記ダンパーの配置方向は互いに直交し、
    各プレートが接続されることを特徴とする橋梁制震構造。
  9. 橋脚とその上部構造の間に、鋼材の塑性変形によりエネルギーを吸収するダンパーを用いた制震装置を配置してなることで、平面の2方向の揺れに対する制震を行い、
    前記ダンパーが、前記ダンパーの面を水平方向にして配置され、
    前記制震装置は、
    前記橋脚もしくは前記上部構造のいずれか一方に取り付けられた前記ダンパーと、
    前記橋脚もしくは前記上部構造の前記ダンパーの取り付けられていない他方に取り付けられ、前記橋脚と前記上部構造の平面位置が相対変位した際に前記ダンパーに水平方向からの力を伝達するためのサイドブロックと、
    前記ダンパーに取付けられ、前記サイドブロックに当接して水平方向の力を受けるスライドプレートと、
    を有することを特徴とする橋梁制震構造。
  10. 前記ダンパーは、ハニカムダンパーであることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の橋梁制震構造。
  11. 前記橋脚と前記上部構造の間に滑り支承が設けられることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の橋梁制震構造。
  12. 前記復元機構は、前記ダンパーを挟んで両側に配置されることを特徴とする請求項乃至請求項のいずれかに記載の橋梁制震構造。
  13. 前記制震装置は、前記ダンパーの面外座屈を抑制するための面外座屈抑制機構を有することを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれかに記載の橋梁制震構造。
  14. 前記面外座屈抑制機構は、前記ダンパーを挟む一対の板材であることを特徴とする請求項1に記載の橋梁制震構造。
  15. 平面において隣り合う複数の前記ダンパーの面外変形に対する耐力を高めるためのブレース材が設けられることを特徴とする請求項または請求項に記載の橋梁制震構造。
  16. 前記ダンパーが、前記ダンパーの面を水平方向にして配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれかに記載の橋梁制震構造。
  17. 前記ダンパーに取り付けた前記スライドプレートと、これと当接するサイドブロックとの間に遊間を設けたことを特徴とする請求項に記載の橋梁制震構造。
  18. 前記ダンパーに取り付けた前記スライドプレートと前記上部構造との間に遊間を設けたことを特徴とする請求項または請求項17に記載の橋梁制震構造。
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