JP6210896B2 - 缶蓋用アルミニウム合金板およびその製造方法 - Google Patents

缶蓋用アルミニウム合金板およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、飲料缶等の缶蓋用材料に適した缶蓋用アルミニウム合金板およびその製造方法に関する。
従来、特に飲料用の包装容器として、有底円筒状の胴部と蓋部からなる2ピースタイプのアルミニウム缶が広く使用されている。
このようなアルミニウム缶を構成する缶蓋は、次に述べるような製造工程で製造される。図2および図3は、アルミニウム合金板による缶蓋の製造工程や構成を説明するための図であり、これらの図を参照しつつ説明する。アルミニウム缶蓋の製造工程では、先ず、素材となる缶蓋用アルミニウム合金板に、耐食性を確保するためのクロメート処理等の化成処理が施される。その後、前記化成処理が施された缶蓋用アルミニウム合金板の片面、或いは両面に塗装および焼付が行われる。次に、塗装、焼付された前記缶蓋用アルミニウム合金板1が所定の形状にブランキングされた後、シェル成形が行われる。シェル成形工程は、フォーム工程、リフォーム工程からなる。前記シェル成形された缶蓋用アルミニウム合金板1に、缶胴と巻締めするための巻締め部(カール部)2が成形されて(カーリング成形工程)、缶蓋とされる(図2参照)。この缶蓋の巻締め部2にラバーが注入されるコンパウンドライニングが行われる。その後、バブル成形およびボタン成形が施されるリベット成形工程、開口部の溝加工が施されるスコア加工、凹凸および文字等の加工が施されるビード・エンボス成形工程、およびタブ付けが施されるステイク成形工程を含めたコンバージョン成形が行われる。最後に、缶胴に内容物が充填された後、前記缶胴と前記成形加工が施された缶蓋の巻締めが行われ、洗浄および殺菌が行われる。
このような缶蓋用に使用されるアルミニウム合金板には、缶蓋製造工程における割れ、亀裂等の成形不良が生じないことが要求される。また、缶蓋5へ成形され、缶胴と巻き締めされた後、殺菌工程の加熱によって内圧が上昇しても反転(バックリング)しないだけの耐圧強度や、内圧によってスコア7の加工部が破断(スコア割れ)しないことが要求される。更に、消費者の手に渡った後も、タブ8を起こし(或は引っ張り)開缶する際に、リベット部6からタブ8が外れることなく、正常かつ簡単に開けられるための開缶性が求められる(図3参照)。
従来より、このようなアルミニウム缶に関して低コスト化の要求が強く、そのため、缶蓋についても薄肉化が志向されている。薄肉化に対する課題として、缶蓋の重要な性能である耐圧強度が低下してしまう問題がある。そのため、缶蓋の薄肉化においては、種々の高耐圧形状(例えばフルフォーム・エンド)が開発されてきた。このような高耐圧形状蓋は、例えばカウンターシンク部(缶蓋溝部)3を小R形状とすることが多く、シェル成形が従来以上に厳しくなる。また、内圧によって蓋が反転した際、亀裂が発生し易くなる傾向にある。そのため、材料となるアルミニウム合金板に対しては、強度と成形性を両立させ、かつ割れ難い特性が要求されており、様々なアルミニウム合金板が開発されている。
例えば、特許文献1には、Mg、Mn、Siを所定量、およびTiを単独あるいはBとともに所定量含有し、さらにCu、Cr、Zn、Feのうち1種または2種以上を所定量含有するアルミニウム合金板であって、所定の結晶粒径、所定の金属間化合物分布とすることで、従来材以上の強度を有し、かつカウンターシンク部3を有する缶蓋を成形してもカウンターシンク部3に成形欠陥が生じないとするアルミニウム合金板が公開されている。
また、特許文献2には、Mg、Mn、Si、Cu、Fe、Tiを所定量含有するアルミニウム合金板であって、所定の集合組織とすることで、強度異方性が小さく、内圧により缶蓋が変形した際均等に変形することで局部的な応力集中が生じず、亀裂が発生し難くなるとするアルミニウム合金板が公開されている。
また、特許文献3には、Mg、Mn、Fe、Si、Tiを所定量含有するアルミニウム合金板であって、所定の金属間化合物分布とし、所定の最大局部伸び、所定の最大耐力異方差とすることで、リベット成形性および開缶性がともに良好であり、しかも内圧により缶蓋が変形した際、亀裂が発生し難くなるとするアルミニウム合金板が公開されている。
特開平5−302139号公報 特開2001−152271号公報 特開2001−164347号公報
しかしながら、近年更に缶蓋の薄肉化要求が高まっており、缶蓋形状だけでなく、缶蓋の外径を縮小することで耐圧強度を確保し、更なる薄肉化を進める動きが活発になっている。アルミニウム合金板は、このような薄肉となると、特にリベット成形が厳しくなり、成形時に割れやクビレが発生し易くなる。そのため、アルミニウム合金板は、薄肉化に必要な強度や開缶性等の特性を確保した上で、リベット成形性を向上させる必要があるが、これらの成形性や特性を両立させるのは困難であった。
例えば、特許文献1に記載のアルミニウム合金板では、曲げ加工性に優れるが、連続鋳造法にて作製しているため、ある程度大きい寸法(例えば最大長5μm以上)の金属間化合物が過少であり、開缶の際にスコア加工部が破断し難く、スコア脱線等の開缶不良が発生し易い。
また、特許文献2に記載のアルミニウム合金板の製造方法では、所定の集合組織を得るために最終冷間圧延前の初期結晶粒径を250μm以下としているが、最終冷間圧延では結晶粒が圧延方向に伸びるのみであるため、前記初期結晶粒径はこれ以上小さくなることはない。このような結晶粒径は成形性に影響を及ぼす重要な因子である。前記初期結晶粒径では上限が大き過ぎるため、薄肉化や高強度化された缶蓋でのリベット成形に対しては成形性が不十分である。
また、特許文献3に記載のアルミニウム合金板の製造方法では、最終冷間圧延直前の平均結晶粒径を250μm以下としているが、特許文献2と同様に、前記平均結晶粒径では上限が大き過ぎるため、薄肉化や高強度化された缶蓋でのリベット成形に対しては成形性が不十分である。
本発明は、前記問題点を鑑みてなされたものであり、薄肉化および高強度化されたアルミニウム合金板であって、優れた成形性を備え、且つ開缶性に優れた缶蓋用アルミニウム合金板およびその製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明者らはリベット成形時の割れやクビレ、肌荒れといった成形欠陥の発生挙動を調査したところ、以下の知見を得た。すなわち、前期成形欠陥は、リベット成形工程のうち、特にボタン成形の際に、リベット成形部中心の周縁部の、アルミニウム合金板の圧延方向と直角を成す部位にて圧延方向に沿って発生すること、そして、アルミニウム合金板の圧延方向と直角を成す方向の結晶粒幅が大きいほどリベット成形時の前記成形欠陥が発生し易いこと、である。そこで、本発明者らは、リベット成形性を向上させるために、アルミニウム合金板の圧延方向と直角を成す方向の結晶粒幅を制御するという技術的思想に至った。
すなわち、本発明に係る缶蓋用アルミニウム合金板は、Mg:3.8〜5.5質量%、Fe:0.1〜0.5質量%、Si:0.05〜0.3質量%を含有し、Mn:0.01〜0.6質量%およびCu:0.01〜0.3質量%以下のうち一種または二種を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなるアルミニウム合金板であって、板表面における圧延方向に対して直角方向の平均結晶粒幅が20μm以下、板表面の最大長5μm以上の金属間化合物が150〜600個/mm、板表面の金属間化合物の最大長が20μm以下であることを特徴とする。
このように、Mgを所定範囲で含有し、さらにMn、Cuのうち一種または二種を所定範囲で含有することにより、缶蓋用アルミニウム合金板の強度を適度に向上させ、薄肉化された缶蓋でも耐圧強度を確保することができる。また、Fe、Siを所定範囲で含有し、さらにMnを所定の範囲で含有することにより、缶蓋用アルミニウム合金板中にAl−Fe(−Mn)系、Al−Fe(−Mn)−Si系、Mg−Si系金属間化合物を適度に分布させることができる。さらに、板表面における圧延方向に対して直角方向の平均結晶粒幅を所定範囲に制限することで、リベット成形性を向上させることができる。また、前記金属間化合物の分布状態を所定範囲に限定することで、缶蓋の良好な開缶性を保持し、リベット成形性を向上させることができる。
本発明に係る缶蓋用アルミニウム合金板は、さらに、板表面における圧延方向に対して直角方向の平均結晶粒幅を15μm以下とすることが好ましい。このように、さらに前記平均結晶粒幅を小さく制限することで、リベット成形性をいっそう向上させることができる。
また、本発明に係る缶蓋用アルミニウム合金板の製造方法は、Mg:3.8〜5.5質量%、Fe:0.1〜0.5質量%、Si:0.05〜0.3質量%を含有し、Mn:0.01〜0.6質量%およびCu:0.01〜0.3質量%以下のうち一種または二種を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなるアルミニウム合金の鋳塊を半連続鋳造法にて作製する第1工程と、前記第1工程で作製されたアルミニウム合金鋳塊に均質化熱処理を施す第2工程と、前記第2工程で均質化熱処理を施された鋳塊を熱間圧延する第3工程と、前記第3工程で熱間圧延されたアルミニウム合金圧延板を冷間圧延する第4工程と、前記第4工程で冷間圧延されたアルミニウム合金圧延板を焼鈍する第5工程と、前記第5工程で焼鈍されたアルミニウム合金圧延板を冷間圧延する第6工程とを含み、前記第4工程における冷間圧延の総圧延率を50〜80%、かつ最終パスの巻取り温度を100℃以下とし、前記第5工程における焼鈍が、100℃/min以上で加熱する工程、380〜550℃で10分間以内保持する工程、および100℃/min以上で冷却する工程を有することを特徴とする。
さらに、前記第4工程における冷間圧延を複数パスで行い、総圧延率を50〜80%、かつ最終パスの一つ前のパスの巻取り温度を100〜180℃、最終パスの巻取り温度を100℃以下とすることが好ましい。
このように、前記第4工程にて、総圧延率、圧延パスごとの巻取り温度を所定範囲に制限することにより、前記第5工程の焼鈍にて再結晶粒が微細になり、前記第6工程の冷間圧延後の圧延方向に対して直角方向の平均結晶粒幅を小さく制御することが可能となる。
本発明の缶蓋用アルミニウム合金板は、薄肉化および高強度化されたアルミニウム合金板であって、優れた成形性を備え、且つ開缶性に優れたものである。また、本発明の缶蓋用アルミニウム合金板の製造方法は、薄肉で高強度化され、優れた成形性を備え、且つ開缶性に優れたアルミニウム合金板を製造することができる。
本発明の実施形態の缶蓋用アルミニウム合金板の製造方法の製造工程Sを示すフローチャートである。 アルミニウム合金板による缶蓋の製造工程を示す断面模式図である。 アルミニウム合金板による缶蓋の平面図である。 リベット成形性を評価する方法を説明するための評価用治具の断面模式図である。 開缶性の評価時に使用する缶蓋のスコアの断面図である。 開缶性の評価時に使用する開缶荷重測定機(Pop−Tearテスター)の概要図である。図6(a)は開缶荷重測定機の斜視図である。図6(b)は開缶荷重測定機の測定時の缶蓋付近の断面模式図である。図6(c)は開缶荷重測定機に缶蓋を設置するときの缶蓋の向きを示す正面模式図である。
以下、本発明に係る缶蓋用アルミニウム合金板を実現するための実施形態について説明する。
〔合金成分について〕
本発明に係る缶蓋用アルミニウム合金板は、Mg:3.8〜5.5質量%、Fe:0.1〜0.5質量%、Si:0.05〜0.3質量%を含有し、Mn:0.01〜0.6質量%およびCu:0.01〜0.3質量%のうち一種または二種を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなるアルミニウム合金より構成される。
以下、本発明に係る缶蓋用アルミニウム合金板に含まれる合金成分の前記範囲での限定理由について説明する。
(Mg:3.8〜5.5質量%)
Mgは、アルミニウム合金板の強度を向上させる効果がある。Mgの含有量が3.8質量%未満の場合、アルミニウム合金板の強度が不十分であり、缶蓋に成形されたときの耐圧強度が不足する。一方、Mgの含有量が5.5質量%を超える場合、アルミニウム合金板の強度が過剰となり、缶蓋への成形性が低下する。したがって、Mgの含有量は3.8〜5.5質量%とする。
(Fe:0.1〜0.5質量%)
Feは、アルミニウム合金板中にAl−Fe(−Mn)系、Al−Fe(−Mn)−Si系金属間化合物を形成させ、缶蓋に成形されたときのスコア部の引裂き性を高め、開缶性を向上させる効果がある。Feの含有量が0.1質量%未満の場合、スコア部の引裂き性が低下し、開缶時にスコア脱線や開缶力の増大によるタブ折れといった開缶不良が生じ易くなる。一方、Feの含有量が0.5質量%を超える場合、アルミニウム合金板中の金属間化合物が大きく、また過剰に形成され、リベット成形性を低下させる。したがって、Feの含有量は0.1〜0.5質量%とする。
(Si:0.05〜0.3質量%)
Siは、アルミニウム合金板中にMg−Si系、Al−Fe(−Mn)−Si系金属間化合物を形成させ、缶蓋に成形されたときのスコア部の引裂き性を高め、開缶性を向上させる効果がある。Siの含有量が0.05質量%未満の場合、Feと同様に開缶性が低下する。また、アルミニウム合金板の原材料に使用できるスクラップ量が減少し、またアルミニウム地金の必要純度が高くなるため、コストが増大する。一方、Siの含有量が0.3質量%を超える場合、アルミニウム合金板中の金属間化合物が大きく、また過剰に形成され、リベット成形性を低下させる。したがって、Siの含有量は0.05〜0.3質量%とする。
(Mn:0.01〜0.6質量%)
Mnは、アルミニウム合金板の強度を向上させる効果があるとともに、アルミニウム合金板中にAl−Fe−Mn系、Al−Fe−Mn−Si系金属間化合物を形成させ、缶蓋に成形されたときのスコア部の引裂き性を高め、開缶性を向上させる効果がある。Mnの含有量が0.01質量%未満のときは、前記効果を十分に得ることができない。一方、Mnの含有量が0.6質量%を超えるときは、アルミニウム合金板中の金属間化合物が大きく、また過剰に形成され、リベット成形性を低下させる。したがって、Mnを含有させる場合は、Mnの含有量は0.01〜0.6質量%とする。好ましくは0.03〜0.6質量%である。
(Cu:0.01〜0.3質量%)
Cuは、アルミニウム合金板の強度を向上させる効果がある。Cuの含有量が0.01質量%未満のときは、前記効果を十分に得ることができない。一方、Cuの含有量が0.3質量%を超えるときは、アルミニウム合金板の強度が過剰となり、缶蓋への成形性が低下する。したがって、Cuを含有させる場合は、Cuの含有量は0.01〜0.3質量%とする。好ましくは0.03〜0.3質量%である。
上記のMnとCuは、いずれもアルミニウム合金板の強度を向上させる効果があるものであり、Mn:0.01〜0.6質量%およびCu:0.01〜0.3質量%のうち、一種または二種を含有させるものとする。
(その他成分)
その他の成分として、さらに、Cr:0.001〜0.3質量%、Zn:0.05〜1.0質量%から選択された一種または二種を、必要に応じて含有させてもよい。また、鋳塊微細化を目的に、Ti:0.005〜0.2質量%を単独で、またはB:0.0001〜0.05質量%と併せて含有させてもよい。
(残部:Alおよび不可避的不純物)
本発明に係る缶蓋用アルミニウム合金板は、前記の他、残部がAlおよび不可避不純物からなるものである。不可避的不純物としては、例えば、Zr、V、Ga、In、Sn、Ni等が挙げられる。これらの元素はいずれも0.05質量%以下の含有量であれば、本発明の効果を妨げるものではなく、含有することが許容される。
〔組織について〕
本発明に係る缶蓋用アルミニウム合金板は、その板表面における圧延方向に対して直角方向の平均結晶粒幅が20μm以下であり、好ましくは15μm以下である。また、板表面の最大長5μm以上の金属間化合物が150〜600個/mmであり、金属間化合物の最大長は20μm以下である。
以下、本発明に係る缶蓋用アルミニウム合金板の結晶粒幅や金属間化合物分布に対する前記範囲での限定理由について説明する。
(平均結晶粒幅が20μm以下)
前記したように、リベット成形工程のうち、特にボタン成形の際に、リベット成形部中心の周縁部の、アルミニウム合金板の圧延方向と直角を成す部位にて、圧延方向に沿って肌荒れやクビレ、割れといった成形欠陥が発生することがある。アルミニウム合金板の板表面における圧延方向に対して直角方向の平均結晶粒幅が20μmを超える場合、薄肉化された缶蓋へ成形する過程において、リベット成形の際に前記部位にて成形欠陥が発生し易くなる。したがって、板表面における圧延方向に対して直角方向の平均結晶粒幅は20μm以下、さらに好ましくは15μm以下とする。
ここで、平均結晶粒幅は、以下に説明する方法で測定する。アルミニウム合金板の表面を研磨にて鏡面とした後、表面を電解エッチングし、光学顕微鏡によって結晶粒組織を写真撮影する。この顕微鏡写真において、圧延方向に対して直角となる方向に、写真上で0.3mm以上の長さの線分を引き、線分の長さを、線分によって切断された結晶粒の数で除することによって、結晶粒1個当たりの結晶粒幅を求める。複数の場所で同様の測定を繰り返し行い、その平均値を求めて、平均結晶粒幅とする。
(金属間化合物が150〜600個/mm
金属間化合物は、アルミニウム合金板中に適度に分布させることにより、缶蓋に成形されたときのスコア部の引裂き性を高め、開缶性を向上させる効果がある。アルミニウム合金板の板表面において、最大長5μm以上の金属間化合物が150個/mm未満の場合、スコア部の引裂き性が低下し、開缶性が悪化する。一方、板表面において、最大長5μm以上の金属間化合物が600個/mmを超える場合、リベット成形の際に金属間化合物によって亀裂が発生、伝播し易くなり、成形性が低下する。したがって、板表面の最大長5μm以上の金属間化合物を150〜600個/mmとする。さらに好ましくは、板表面の最大長5μm以上の金属間化合物を200〜450個/mmとすることで、より優れたバランスでリベット成形性と開缶性を両立させることができる。
ここで、金属間化合物は、以下に説明する方法で測定する。アルミニウム合金板の表面を研磨して鏡面とする。この鏡面化された面において、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、組成像(COMPO)を撮影する。この組成像の内、母相より白いコントラストで得られる粒子をAl−Fe(−Mn)系、Al−Fe(−Mn)−Si系金属間化合物と見なし、母相より黒いコントラストで得られる粒子をMg−Si系金属間化合物と見なす。画像処理によって最大長5μm以上の金属間化合物の個数をカウントして、1mm当たりの金属間化合物の個数(個数密度)が算出される。
(金属間化合物の最大長が20μm以下)
アルミニウム合金板の板表面において、アルミニウム合金板中に最大長が20μmを超える金属間化合物が存在する場合においても、成形性が低下する。したがって、板表面の金属間化合物の最大長は20μm以下とする。さらに好ましくは、板表面の金属間化合物の最大長を17μm以下とすることで、より優れたバランスでリベット成形性と開缶性を両立させることができる。
ここで、前記の観察した金属間化合物のうち、最も大きな最大長を有する金属間化合物の最大長でもって、当該アルミニウム合金板の板表面の金属間化合物の最大長とする。金属間化合物の最大長とは、金属間化合物の不定形の形状に対して、差し渡しの長さが最大となる方角で測定したときの長さをいう。
板表面における圧延方向に対して直角方向の平均結晶粒幅が20μm以下であり、板表面の最大長5μm以上の金属間化合物が150〜600個/mmであり、板表面の金属間化合物の最大長は20μm以下である、というようなアルミニウム合金板の組織は、前記アルミニウム合金組成中にMg、Fe、Si、Mn、Cuを所定量含有し、後記するアルミニウム合金板の製造方法によって製造することによって制御することができる。
〔製造方法について〕
本発明に係る缶蓋用アルミニウム合金板の製造方法は、前記組成を有する鋳塊を半連続鋳造法にて作製する第1工程と、前記第1工程で作製されたアルミニウム合金鋳塊に均質化熱処理を施す第2工程と、前記第2工程で均質化熱処理を施された鋳塊を熱間圧延する第3工程と、前記第3工程で熱間圧延されたアルミニウム合金圧延板を、総圧延率50〜80%、かつ最終パスの巻取り温度を100℃以下として冷間圧延する第4工程と、前記第4工程で冷間圧延されたアルミニウム合金圧延板を、100℃/min以上で加熱する工程、380〜550℃で10分間以内保持する工程、および100℃/min以上で冷却する工程にて焼鈍する第5工程と、前記第5工程で焼鈍されたアルミニウム合金圧延板を冷間圧延する第6工程とを含む製造方法である。
さらに好ましい製造方法は、前記第4工程において、冷間圧延を複数パスで行い、総圧延率を50〜80%、かつ最終の一つ前のパスの巻取り温度を100〜180℃、最終パスの巻取り温度を100℃以下とする製造方法である。
以下、本発明に係るアルミニウム合金板の製造方法について、各工程および製造条件範囲の限定理由を説明する。図1は、本発明の実施形態の缶蓋用アルミニウム合金板の製造方法の製造工程Sを示すフローチャートである。
(第1工程:鋳造工程S1)
第1工程:鋳造工程S1は、前記組成を有するアルミニウム合金を溶解した溶湯から、DC鋳造法等の半連続鋳造法によってアルミニウム合金を鋳造する工程である。本発明では、アルミニウム合金の鋳塊は半連続鋳造法によって鋳造することができる。
(第2工程:均質化熱処理工程S2、第3工程:熱間圧延工程S3)
鋳造された鋳塊は、鋳塊表層の不均一な組織となる領域を面削にて除去した後、第2工程:均質化熱処理工程S2で、均質化熱処理が施される。均質化熱処理の条件は特に限定されないが、好ましくは400〜550℃の温度範囲で1〜10時間保持すると良い。均質化熱処理後、冷却することなく続けて、第3工程:熱間圧延工程S3において、熱間圧延が行われ、熱間圧延板が作製される。
(第4工程:冷間圧延工程S4)
第4工程:冷間圧延工程S4は、前記熱間圧延板を冷間圧延(粗延べ)する工程であり、総圧延率50〜80%、かつ最終パスの巻取り温度を100℃以下とする。総圧延率が50%未満の場合、圧延による蓄積歪みが不足し、次工程の焼鈍にて小さな再結晶粒が得られず、缶蓋用アルミニウム合金板の前記平均結晶粒幅が所定の範囲に入らない。一方、総圧延率が80%を超える場合、圧延パス数が多くなり生産性が低下する。また、最終パスの巻取り温度が100℃を超える場合、冷間圧延終了後の自己焼鈍によって圧延による蓄積歪みが低減され、次工程の焼鈍にて小さな再結晶粒が得られず、缶蓋用アルミニウム合金板の前記平均結晶粒幅が所定の範囲に入らない。したがって、前記熱間圧延板を冷間圧延する工程S4は、総圧延率50〜80%、かつ最終パスの巻取り温度を100℃以下とする。
即ち、本発明の製造方法においては、焼鈍工程S5に入る前の冷間圧延工程S4において、総圧延率を比較的高くし、比較的低い温度で最終パスの巻取りを行うことによって、アルミニウム合金中に歪みを蓄積させ、その後焼鈍工程を行うことによって、平均結晶粒幅を微細化させることが可能となる。
さらに、前記冷間圧延を複数パスで行い、総圧延率を50〜80%、かつ最終パスの一つ前のパスの巻取り温度を100〜180℃、最終パスの巻取り温度を100℃以下とすることが好ましい。最終パスの一つ前のパスの巻取り温度を100〜180℃とすることで、自己焼鈍による適度な回復によって加工硬化性が向上し、最終パス終了後の蓄積歪みをさらに高めることができる。これにより、次工程の焼鈍にて再結晶粒を小さくすることができ、缶蓋用アルミニウム合金板の前記平均結晶粒幅をさらに小さく制御することができる。この最終パスの一つ前のパスの巻取り温度が100℃未満の場合、前述の自己焼鈍による回復が不足し、効果が得られない。一方、180℃を超える場合、前述の自己焼鈍によって過度に回復してしまい、加工硬化性の向上効果は得られるものの、最終パス終了後の蓄積歪み量は向上しない。したがって、さらに好ましくは、冷間圧延を複数パスで行い、総圧延率を50〜80%、かつ最終パスの一つ前のパスの巻取り温度を100〜180℃、最終パスの巻取り温度を100℃以下とする。
(第5工程:焼鈍工程S5)
第5工程:焼鈍工程S5は、前記冷間圧延板を焼鈍(中間焼鈍)する工程であり、前記冷延板を再結晶させるとともに、特にCuを含有する場合、Cuを固溶させ、塗装・焼付け後の缶蓋用アルミニウム合金板の強度を高めることができる。加熱速度が100℃/min未満の場合、保持温度が550℃を超える場合、保持時間が10分間を超える場合、そして冷却速度が100℃/min未満の場合、それぞれ焼鈍工程S5終了後の再結晶粒が大きくなり、缶蓋用アルミニウム合金板の前記平均結晶粒幅が所定の範囲に入らない。また、保持温度が380℃未満の場合、焼鈍工程S5終了後のアルミニウム合金板に加工組織が残留し、缶蓋用アルミニウム合金板の成形性を悪化させる。したがって、前記冷間圧延板を焼鈍する工程S5は、100℃/min以上で加熱する工程、380〜550℃で10分間以内保持する工程、および100℃/min以上で冷却する工程を有する工程とする。このように、焼鈍工程S5において特に、急昇温、急冷却させることによって、平均結晶粒幅を微細化させることを可能としている。
(第6工程:冷間圧延工程S6)
第6工程:冷間圧延工程S6は、前記焼鈍した冷間圧延板を再度冷間圧延する工程である。ここで、総圧延率が60%未満の場合、圧延による加工硬化が小さく缶蓋用アルミニウム合金板の強度が低下し、缶蓋へ成形されたときの耐圧強度が不足する懸念がある。一方、総圧延率が85%を超える場合、缶蓋用アルミニウム合金板の強度が高くなり過ぎ、成形性が低下する懸念がある。したがって、総圧延率は60〜85%とすることが好ましい。
〔缶蓋の製造〕
以上のような缶蓋用アルミニウム合金板は、クロメート系やジルコン系などの表面処理が施され、エポキシ系樹脂や塩ビゾル系、ポリエルテル系などの有機塗料が塗布され、PMT(メタル到達温度)が230〜280℃程度で焼付け処理された後、缶蓋へと成形される。
以上説明してきたように、本発明に係る缶蓋用アルミニウム合金板によれば、リベット成形の際の成形欠陥を発生させることなく、十分な耐圧強度と開缶性を備え、薄肉化された缶蓋を製造することが可能となる。そして、本発明に係る缶蓋用アルミニウム合金板の製造方法によれば、前記の効果を有する缶蓋用アルミニウム合金板を生産性よく製造することができる。
以上、本発明を実施するための形態について述べてきたが、以下に、本発明の効果を確認した実施例を、本発明の要件を満たさない比較例と対比して具体的に説明する。なお、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
(試験材1〜33)
表1に示すMg、Fe、Si、Mn、Cuの含有量が本発明の組成の範囲内となるアルミニウム合金を半連続鋳造法(DC)にて鋳造し、鋳塊表層を面削してスラブを作製した。このスラブに500℃×5時間の均質化熱処理を施した後、熱間圧延を行って熱間圧延板とし、この熱間圧延板に対し、表1に示す本発明の製造条件にて冷間圧延(粗延べ)、焼鈍、冷間圧延を順次行い、板厚0.215mmの缶蓋用アルミニウム合金板を作製した(試験材1〜16)。さらに、表3に示す所定の成分の含有量が本発明の組成の範囲外となるアルミニウム合金から構成されたアルミニウム合金板(試験材17〜25)と、冷間圧延(粗延べ)以降の製造条件が本発明の製造条件の範囲外となる条件で作製されたアルミニウム合金板(試験材26〜32)と、連続鋳造法(CC)にて鋳造し、530℃×6時間の均質化熱処理を施した後、熱間圧延を行って冷間圧延(粗延べ)以降の製造条件が本発明の製造条件の範囲内となる条件にて作製したアルミニウム合金板(試験材33)を作製し、後記項目について比較評価した。
〔評価項目〕
(平均結晶粒幅)
表1、表3の各条件で作製したアルミニウム合金板の表面を研磨にて鏡面とした後、表面を電解エッチングし、光学顕微鏡により倍率100倍で結晶粒組織を観察、写真撮影した。この写真を用いて、直線交切法によって平均結晶粒幅を測定した。即ち、圧延方向に対して直角となる方向に、写真上で0.3mm以上となる長さの線分を引き、線分の長さを、線分により切断された結晶粒の数で除することにより、結晶粒1個当たりの結晶粒幅を求めた。場所を変えて同様の測定を繰返し行い(5箇所)、その平均値を平均結晶粒幅とした。平均結晶粒幅の適性範囲は20μm以下であり、さらに好ましくは15μm以下とする。
(金属間化合物)
表1、表3の各条件で作製したアルミニウム合金板の表面を、バフ研磨によりちょうど圧延目が消えるまで研磨して鏡面とし、この鏡面化された面において、走査型電子顕微鏡(SEM)にて、加速電圧15kVで倍率500倍の組成像(COMPO)を20視野(合計面積0.75mm以上)撮影した。この組成像の内、母相より白いコントラストで得られる粒子をAl−Fe(−Mn)系、Al−Fe(−Mn)−Si系金属間化合物と見なし、黒いコントラストで得られる粒子をMg−Si系金属間化合物と見なして、画像処理により最大長5μm以上の金属間化合物の個数をカウントし、1mm当たりの個数(個数密度)を算出した。最大長5μm以上の金属間化合物の適正個数密度は150〜600個/mmとする。また、観察した視野全てにおける最も大きな最大長を有する金属間化合物の最大長を測定した。最も大きな最大長を有する金属間化合物の最大長の適正範囲は20μm以下とする。金属間化合物の最大長とは、金属間化合物の不定形の形状に対して、差し渡しの長さが最大となる方角で測定したときの長さをいう。
(0.2%耐力)
表1、表3の各条件で作製したアルミニウム合金板について、塗装・焼付け工程を模擬したオイルバスによる250℃×20秒の熱処理を施した。その後、JIS Z2241に準じ、引張方向が圧延方向と平行になるようにJIS5号引張試験片を作製して、引張試験を行い、0.2%耐力を求めた。0.2%耐力の適性範囲は300〜360MPaとし、この範囲であれば、薄肉化された缶蓋であっても成形性を低下させることなく耐圧強度を満足する。
(リベット成形性)
リベット成形工程は、缶蓋中央部を張り出させるバブル工程と、前記張り出し部を1〜3工程で縮径しつつ急峻な突起とするボタン工程と、そして最後にタブを組付けた後に前記突起を押し潰してタブをかしめるステイク工程とで構成される。タブが開缶時に外れないように、またタブが蓋面上で回転しないように、タブを正常に固定するためには、ステイク後のリベット径の大きさを確保する必要があり、そのため、ボタン工程終了後の突起高さを十分に高く成形することができるアルミニウム合金板が求められる。ここでは、バブル工程、ボタン工程を模擬した試験によって、リベット成形性を評価した。
表1、表3の各条件で作製したアルミニウム合金板に対して、塗装・焼付け工程を模擬したオイルバスによる250℃×20秒の熱処理を施した後、以下に記載のバブル工程、第1ボタン工程、第2ボタン工程に相当する成形性の評価を行った。
図4(a)、(b)、(c)は、リベット成形性を評価する方法を説明するための評価用治具の断面模式図である。これらの評価用治具を組み込んだ金型をプレス機にセットする。
中央部分に所定の寸法の円柱状の空洞を有する上下のダイスを用いて、評価対象のアルミニウム合金板の周囲を挟んで固定する。空洞部の下側から肩部が所定のRで丸く成形された所定の寸法の円柱状のポンチを押し上げていく。ポンチを下側から上方へ所定の距離だけ押し出して、アルミニウム合金板の張出成形を行う。成形された部分において、割れやクビレが発生していないかを目視にて判定し、割れやクビレが発生しない最大の押し上げ距離を限界成形高さ(mm)とする。
最初に、最もポンチの外径が大きい図4(a)のバブル工程の治具を用いて、最大の押し上げ距離である限界成形高さ(mm)を求める。その後、この限界成形高さの90%の高さに成形したものを作製する。この限界成形高さの90%の高さに成形されたアルミニウム合金板を用いて、次工程の図4(b)の第1ボタン工程の治具を用いて、同様に、成形を行い、限界成形高さを求める。
その後、図4(b)の第1ボタン工程の治具を用いて、この限界成形高さの90%の高さに成形したアルミニウム合金板を作製する。この限界成形高さの90%の高さに成形されたアルミニウム合金板を用いて、次工程の図4(c)の第2ボタン工程の治具を用いて、同様に、成形を行い、限界成形高さを求める。
この最後に得られた図4(c)の第2ボタン工程における限界成形高さ(mm)を表2、表4にリベット成形性として示した。第2ボタン工程の限界成形高さの適正範囲は1.40mm以上とする。
(開缶性)
図5は、開缶性の評価時に使用する缶蓋のスコア7の断面図である。
図6(a)は、開缶時の荷重を測定する開缶荷重測定機(Pop−Tearテスター)の概要図である。図6(a)は開缶荷重測定機9の斜視図である。図6(b)は開缶荷重測定機9の測定時の缶蓋5付近の断面模式図である。図6(c)は開缶荷重測定機9に缶蓋5を設置するときの缶蓋5の向きを示す正面模式図である。缶蓋5をスコア7に対してタブ8が上方となるように、開缶荷重測定機9に缶蓋5を設置する(図6(c))。缶蓋5のタブ8に掛止具10を引っ掛けて、掛止部11とする(図6(b))。掛止具10を水平方向へ引っ張って3Nの引張荷重を負荷し、その状態で掛止具10を静止させた後、缶蓋5をX方向に回転させて、Pop、Tearが発生したときの荷重をそれぞれ測定する。
評価用の缶蓋として、図3の形状を有する缶蓋5を、スコア7の断面が図5の断面図となるように成形した。開缶荷重測定機9にて開缶荷重(Pop値、Tear値)を測定した。評価基準は、簡単に開けられること、また意図しない開缶を発生させないことを考慮して、Pop値、Tear値の何れも15.0〜20.0Nであることを合格「○」とする。Pop値、Tear値の何れかが、15.0N未満、あるいは20.0Nを超える場合は不合格「×」とする。また、開缶途中に破断線がスコアから脱線した場合も開缶不良となるため、スコア脱線有りの場合を不合格、無しの場合を合格とする。なお、タブを取り付けるリベット部については、実施例の第2ボタン工程の成形高さは1.40mmとし、比較例の第2ボタン工程の成形高さは、第2ボタン工程の限界成形高さが1.40mm以上の場合は1.40mm、1.40mm未満の場合はそれぞれの限界成形高さとした。
実施例、比較例に用いたアルミニウム合金の組成、アルミニウム板の製造条件、評価結果を表1〜4に示した。本発明のアルミニウム合金組成から外れている組成、本発明の製造条件から外れている条件および本発明の効果を発現していない評価結果は、下線を引いて示した。尚、表1と表3において、アルミニウム合金を構成するMnまたはCuの含有量が、0.01質量%未満の場合には「−」と表示した。
Figure 0006210896
Figure 0006210896
Figure 0006210896
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表1、表2から分かるように、本発明の組成のアルミニウム合金を用いて、本発明の製造方法の条件で製造したアルミニウム合金板(試験材1〜16)はいずれも、平均結晶粒幅および金属間化合物の分布が本発明の規定を満足するものであり、0.2%耐力、リベット成形性および開缶性において、優れた性能を有したものであり、薄肉で高強度化され、優れた成形性を備え、且つ開缶性に優れたアルミニウム合金板であった。
一方、表3、表4から分かるように、本発明の組成とは異なるアルミニウム合金から構成されたアルミニウム合金板(試験材17〜25)は、0.2%耐力、リベット成形性および開缶性のうち、いずれか1つ以上の性能において劣るものであった。また、本発明の製造方法とは異なる条件の製造方法で作製されたアルミニウム合金板(試験材26〜33)は、0.2%耐力、リベット成形性および開缶性のうち、いずれか1つ以上の性能において劣るものであった。尚、試験材27は、再結晶せず、平均結晶粒幅の測定ができなかったため、「−」と記載した。
1 缶蓋用アルミニウム合金板
2 巻締め部
3 カウンターシンク部
5 缶蓋
6 リベット部
7 スコア
8 タブ
9 開缶荷重測定機

Claims (5)

  1. Mg:3.8〜5.5質量%、Fe:0.1〜0.5質量%、Si:0.05〜0.3質量%を含有し、Mn:0.01〜0.6質量%およびCu:0.01〜0.3質量%のうち一種または二種を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなるアルミニウム合金板であって、
    板表面における圧延方向に対して直角方向の平均結晶粒幅が20μm以下、
    板表面の最大長5μm以上の金属間化合物が150〜600個/mm
    板表面の金属間化合物の最大長が20μm以下であることを特徴とする缶蓋用アルミニウム合金板。
  2. 前記アルミニウム合金板が、Mn:0.01〜0.6質量%を含有することを特徴とする請求項1に記載の缶蓋用アルミニウム合金板。
  3. 前記板表面における圧延方向に対して直角方向の平均結晶粒幅が15μm以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の缶蓋用アルミニウム合金板。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の缶蓋用アルミニウム合金板の製造方法であって、
    Mg:3.8〜5.5質量%、Fe:0.1〜0.5質量%、Si:0.05〜0.3質量%を含有し、Mn:0.01〜0.6質量%およびCu:0.01〜0.3質量%のうち一種または二種を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなるアルミニウム合金組成を有する鋳塊を半連続鋳造法にて作製する第1工程と、
    前記第1工程で作製されたアルミニウム合金鋳塊に均質化熱処理を施す第2工程と、
    前記第2工程で均質化熱処理を施された鋳塊を熱間圧延する第3工程と、
    前記第3工程で熱間圧延されたアルミニウム合金圧延板を冷間圧延する第4工程と、
    前記第4工程で冷間圧延されたアルミニウム合金圧延板を焼鈍する第5工程と、
    前記第5工程で焼鈍されたアルミニウム合金圧延板を冷間圧延する第6工程とを含み、
    前記第4工程における冷間圧延の総圧延率を50〜80%、かつ最終パスの巻取り温度を100℃以下とし、
    前記第5工程における焼鈍が、100℃/min以上で加熱する工程、380〜550℃で10分間以内保持する工程、および100℃/min以上で冷却する工程を有することを特徴とする缶蓋用アルミニウム合金板の製造方法。
  5. 前記第4工程における冷間圧延を複数パスで行い、総圧延率を50〜80%、かつ最終の一つ前のパスの巻取り温度を100〜180℃、最終パスの巻取り温度を100℃以下とすることを特徴とする請求項に記載の缶蓋用アルミニウム合金板の製造方法。
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