JP6209135B2 - 狭開先タンデムサブマージアーク溶接方法 - Google Patents

狭開先タンデムサブマージアーク溶接方法 Download PDF

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Description

本発明は、サブマージアーク溶接法に関し、より詳しくは、改良9Cr−1Mo鋼についての狭開先内のタンデムサブマージアーク溶接方法に関する。
脱硫、重油分解を行う化学反応容器(リアクタ)は、重油の有効利用、石油精製の効率化に使用される圧力容器である。リアクタは、高温、高圧で運転されるため、材料としては、1.25Cr−0.5Mo,2.25Cr−1.0Mo,2.25Cr−1.0Mo−V鋼などのフェライト系耐熱鋼が適用される。現在、2.25Cr−1.0Mo−V鋼が主要材料で、その設計温度は一般に454℃までである。近年、重油の有効利用や石油精製において、さらなる高効率化が求められており、設計温度500℃前後での運転が可能とされる、改良9Cr−1Mo鋼製のリアクタの研究開発が積極的に進められている。
改良9Cr−1Mo鋼は、9Cr−1Mo鋼にNbおよびVを添加し、高温強度の向上を図った鋼である。例えば、ASTM(American Society for Testing and Materials:米国材料試験協会)あるいはASME(American Society of Mechanical Engineers:米国機械協会)規格に規定されたSA335Gr.P91およびSA213Gr.T91などがある。改良9Cr−1Mo鋼は、その多くは火力発電用のボイラ分野で実績がある。
リアクタは、板厚50mm以上、内径3〜5m、全長数十m、重量数百トンの縦型円筒状の圧力容器である。リアクタの胴体は、板巻きで溶接したリングあるいは鍛造リングの端部を機械加工し、リング同士を周溶接することで製造される。そのため、構造上、圧力容器に占める溶接部の割合が大きくなるため、溶接材料の低減、溶接の高能率化が強く求められている。一般的に、溶接材料の低減に対しては、開先幅を狭くかつ開先角度を小さくすることで、溶接部を減らす方法がある。また、高能率化に対しては、初層から最終層までをタンデム電極でサブマージアーク溶接する方法がある。しかしながら、溶接時の高温割れに対しては、いずれも不利な条件となるため、その抑制技術の開発が過去に検討されている。
例えば、特許文献1には、開先幅が10〜25mm、開先角度が15度以下である狭開先をサブマージアーク溶接により1層1パスで溶接するに当たり、先行電極として1.6〜3.2mmφの電極を、又後行電極として4.0〜4.8mmφの電極を夫々使用すると共に、電極間距離を50〜150mmとし、焼結型フラックスを用いて溶接することを特徴とするナロウギャップサブマージアーク溶接方法が開示されている。
この溶接方法では、タンデム溶接で電極間距離を50〜150mmとすることで、ビード形状比(ビード深さH/ビード幅W)を抑えている。その際、先行電極のワイヤ径を1.6〜3.2mmφ、後行電極のワイヤ径を4.0〜4.8mmφとしている。これにより、高温割れの発生を抑制している。
特開昭60−177966号公報
しかしながら、従来の技術においては以下の問題がある。
特許文献1において、実施例に記載されている溶接用ソリッドワイヤは、軟鋼である。ここで、改良9Cr−1Mo鋼と共材で構成された溶接用ソリッドワイヤは軟鋼と共材で構成された溶接用ソリッドワイヤと比較し、ジュール発熱が大きいため、溶着量が大きくなり高温割れの感受性が高まる。つまり、特許文献1に記載の方法のみで、改良9Cr−1Mo鋼の溶接における高温割れについての課題を解決することは難しい。また、先行の電極で形成したスラグが、後行の電極で十分溶融しきれないリスクもあり、リアクタの周溶接のような高品質を要求される箇所に適さない。
また、厚板を高能率で溶接するためには、溶接入熱を上げる、すなわち、溶接電流、アーク電圧を高め、溶接速度を低めにすることが有効である。しかし、溶接入熱を上げると、特に狭開先ではビード形状がなし型となりやすく、高温割れの発生リスクが高まる。ここで問題となる高温割れは、溶接金属中に含まれるP、S、Si、Nbなどの低融点化合物が凝固時にデンドライト間やオーステナイト結晶粒界に偏析し、溶接収縮ひずみが加わって発生するいわゆる凝固割れである。
そのため、高温割れの抑制策として、ワイヤの成分、具体的には、P、S等の不純物を超高純度(Extra High Purity)溶解で100ppm以下に抑えることも効果的である。しかしながら、超高純度溶解は電子ビーム溶解や専用の特殊炉壁耐火材を使わざるを得ないことから経済的に難点がある。このため、一般的な不純物レベルでも、高温割れの発生を抑制できる技術が求められている。
また、本発明で対象にする改良9Cr−1Mo鋼と共材で構成された溶接用ソリッドワイヤは、1.25Cr−0.5Mo,2.25Cr−1.0Mo,2.25Cr−1.0Mo−V鋼と共材で構成された各溶接用ソリッドワイヤと比較し、ジュール発熱が高く、溶着量が大きくなるため、高温割れ感受性がより高まっている。したがって、改良9Cr−1Mo鋼に対して高温割れの発生を抑制できる技術が求められている。
また、タンデムサブマージアーク溶接では、溶接能率の向上に加え、良好なスラグ剥離性や、ビードの状態が良好であることも求められる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その課題は、改良9Cr−1Mo鋼の狭開先タンデムサブマージアーク溶接において、溶接能率に優れるとともに、スラグ剥離性およびビードの状態が良好であり、溶接金属の高温割れの発生を抑制できる溶接方法を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究した結果、以下の事項を見出した。
狭開先タンデム溶接について鋭意研究を重ねた結果、本発明で規定した成分の母材、溶接ワイヤ、溶接フラックスを使用し、先行極および後行極のワイヤの送給速度、溶接速度、両者の比で算出される単位長さ当りの溶着量を規定することにより、高温割れの発生を抑制できることがわかった。
すなわち、本発明に係る狭開先タンデムサブマージアーク溶接方法は、C:0.08〜0.12質量%、Si:0.20〜0.50質量%、Mn:0.30〜0.60質量%、P:0.020質量%以下、S:0.010質量%以下、Ni:0.40質量%以下、Cr:8.00〜9.50質量%、Mo:0.85〜1.05質量%、V:0.18〜0.25質量%、Nb:0.06〜0.10質量%、Al:0.02質量%以下、Ti:0.01質量%以下、Zr:0.01質量%以下、N:0.030〜0.070質量%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物である改良9Cr−1Mo鋼を母材として、C:0.03〜0.08質量%、Si:0.05〜0.30質量%、Mn:0.50〜2.20質量%、P:0.015質量%以下、S:0.010質量%以下、Ni:0.30〜1.00質量%、Cr:8.00〜10.50質量%、Mo:0.80〜1.20質量%、V:0.10〜0.40質量%、Nb:0.020〜0.080質量%、N:0.016〜0.055質量%、O:0.03質量%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物であり、ワイヤ径が4.0mmφの溶接ワイヤを用い、前記溶接ワイヤと、下記式(1)で示す塩基度が2.3〜2.7の溶接フラックスの組合せで、垂下特性を示す交流電源を用いて、先行極のワイヤ送給速度Vを45〜90g/min、後行極のワイヤ送給速度Vを60〜110g/min、溶接速度vを30〜55cm/min、単位長さ当りの溶着量を2.8〜3.8g/cmとする条件で溶接することを特徴とする。
塩基度=(CaF+CaO+MgO+SrO+NaO+LiO+1/2(MnO+FeO))/(SiO+1/2(Al+TiO+ZrO))・・・・(1)
ここで、各化合物はフラックス全質量あたりの各化合物の含有量(質量%)を示す。
かかる溶接方法によれば、改良9Cr−1Mo鋼を母材とする狭開先タンデムサブマージアーク溶接方法(以下、適宜、サブマージアーク溶接方法あるいは、単に溶接方法という)は、ワイヤ成分を規定することで、溶接金属のクリープ破断強度、靭性、耐酸化性、高温強度が向上するとともに、溶接金属の高温割れ感受性が低下する。また、ワイヤ径を規定することで、溶着量が適度となり、溶接能率が向上するとともに溶接金属の高温割れや靭性の劣化が抑制される。
また、フラックスの塩基度を規定することで、溶接金属の靭性が向上するとともに、ビード外観やビード形状が良好となる。また、垂下特性を示す交流電源を用いることで、安定した溶接を行うことができる。さらに、ワイヤの送給速度、溶接速度、単位長さ当りの溶着量を規定することにより、溶接能率、ビードの状態およびスラグ剥離性が向上するとともに溶接金属の高温割れの発生が抑制される。
本発明の狭開先タンデムサブマージアーク溶接方法は、改良9Cr−1Mo鋼の溶接において、溶接能率に優れるとともに、ビードの状態が良好であり、スラグ剥離性、耐高温割れ性に優れた溶接金属を得ることができる。
本発明の溶接方法における先行極と後行極の状態を示す正面図である。 本発明の溶接方法における溶接チップの形状を示す正面図である。 図2に示す溶接チップの側面図である。 図2に示す溶接チップのチップ先端部側の端面図である。 本発明の溶接方法における溶接チップの状態を示す正面図である。 本発明の溶接方法における溶接チップの状態を示す正面図である。 本発明の溶接方法における溶接チップの状態を示す正面図である。 本発明の溶接方法における溶接チップの状態を示す正面図である。 本発明の溶接方法における溶接チップの状態を示す正面図である。 本発明の溶接方法における溶接チップの状態を示す正面図である。 実施例で用いた試験体および溶接金属の積層状態を示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の溶接方法は、狭開先の溶接を対象とする狭開先タンデムサブマージアーク溶接方法である。タンデムサブマージアーク溶接方法とは、例えば図1に示すように、改良9Cr−1Mo鋼で構成された母材10を、ワイヤ12a、12bがそれぞれ内挿された溶接チップ11a、11bと、図示しない溶接フラックスを用いてアーク溶接で溶接する方法である。すなわち、本発明の溶接方法は、図1に示すように、先行極15aおよび後行極15bの2電極で溶接するものである。ここで、本発明において、母材10の狭開先は、板厚tが50mm以上、開先角度θが0〜5°の開先と定義する(図11参照)。例えば、後述する実施例で用いる図11の試験体20では、板厚tが250mm、開先角度θが、2°+2°の4°である。
また、チップ形状は、図1に示すような直管状、図2〜4に示すようなベンド角材状、あるいは特公昭62−58827公報のFig.3bに示されるような形状でも構わず、ワイヤ送給性と給電位置安定化を確保する観点から適宜選択される。特に、図2〜4に示すような、ワイヤ送給を阻害しない範囲でチップ先端部30aが曲げられたベンド角材状チップでは、給電位置が安定化して、結果としてワイヤ送給速度が安定化する。
なお、図2〜10は先行極あるいは後行極を示しており、便宜上、これらをまとめて図示している。
ここで、チップ/母材間距離は、図1、図5〜7、図8〜10に示すように、ワイヤ12a、12b、40が最終的に溶接チップ11a、11b、30から突出する部分であるチップ先端部13a、13b、30aと、母材10との間の垂直な距離Lである。
チップ角度は、図1、図5〜7、図8〜10に示すように、母材10の表面に対して垂直な線と、ワイヤ12a、12b、40が最終的に溶接チップ11a、11b、30から突出する部分であるチップ先端部13a、13b、30aでの軸線とがなす角度である。
なお、符号αはチップ角度における後退角、符号βはチップ角度における前進角である。
電極間距離は、図1に示すように、先行極15aのワイヤ12aの先端と後行極15bのワイヤ12bの先端との水平な距離Wである。
本発明の狭開先タンデムサブマージアーク溶接方法は、C、Si、Mn、P、S、Ni、Cr、Mo、V、Nb、Al、Ti、Zr、Nを所定量含有し、残部がFeおよび不可避的不純物である改良9Cr−1Mo鋼を母材として、C、Si、Mn、P、S、Ni、Cr、Mo、V、Nb、N、Oを所定量含有し、残部がFeおよび不可避的不純物であり、ワイヤ径が4.0mmφの溶接ワイヤを用いるものである。
そして、サブマージアーク溶接方法は、前記溶接ワイヤと、所定の塩基度の溶接フラックスの組合せで、垂下特性を示す交流電源を用いて、先行極のワイヤ送給速度V、後行極のワイヤ送給速度V、溶接速度v、単位長さ当りの溶着量を所定とする条件で溶接する方法である。
以下、母材およびワイヤの成分限定理由、溶接条件等について説明する。なお、以下に説明する母材の各成分含有量は、母材全体に対するものであり、溶接ワイヤの各成分含有量は、溶接ワイヤ全体に対するものである。
[母材の化学成分]
母材の化学成分は、C:0.08〜0.12質量%、Si:0.20〜0.50質量%、Mn:0.30〜0.60質量%、P:0.020質量%以下、S:0.010質量%以下、Ni:0.40質量%以下、Cr:8.00〜9.50質量%、Mo:0.85〜1.05質量%、V:0.18〜0.25質量%、Nb:0.06〜0.10質量%、Al:0.02質量%以下、Ti:0.01質量%以下、Zr:0.01質量%以下、N:0.030〜0.070質量%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物である改良9Cr−1Mo鋼である。
本発明は被溶接材(母材)として改良9Cr−1Mo鋼を対象とする。これには各種の規格があり改良9Cr−1Mo鋼(以下、Mod.9Cr−1Mo鋼ともいう)は、9Cr−1Mo鋼にNb及びVを添加したものであり、例えば、ASTM規格あるいはASME規格に規定されたSA335Gr.P91およびSA213Gr.T91、EN規格(European standards:欧州規格)に規定されたX10CrMoVNb9−1、並びに火力技術規準に規定された火STBA28、火STPA28、火SCMV28及び火SFVAF28がある。
本発明で規定している母材の成分はこれらの規格を満足する範囲である。
[溶接ワイヤの化学成分およびサイズ]
<C:0.03〜0.08質量%>
Cは、Cr、Mo、VおよびNbと結合して各種炭化物を析出し、クリープ破断強度を向上させる効果がある。ただし、C含有量が0.03質量%未満では十分な効果が得られない。一方、Cを過剰に添加すると、具体的には、C含有量が0.08質量%を超えると、耐高温割れ性が劣化する。よって、溶接ワイヤのC含有量は0.03〜0.08質量%とする。C含有量は、前記効果をより向上させる観点から、好ましくは0.04質量%以上、より好ましくは0.045質量%以上である。また、耐高温割れ性をより向上させる観点から、好ましくは0.07質量%以下、より好ましくは0.065質量%以下である。
<Si:0.05〜0.30質量%>
Siは、脱酸剤として作用し、溶接金属中の酸素量を低減して溶接金属の靱性を改善する効果がある。ただし、Si含有量が0.05質量%未満では十分な効果が得られない。一方、Siはフェライト生成元素であり、過剰に添加すると、具体的には、Si含有量が0.30質量%を超えると、溶接金属におけるδ−フェライトの残留を引き起こし、溶接金属の靱性が劣化する。よって、溶接ワイヤのSi含有量は0.05〜0.30質量%とする。Si含有量は、前記効果をより向上させる観点から、好ましくは0.10質量%以上である。また、溶接金属の靱性の劣化をより抑制する観点から、好ましくは0.25質量%以下である。
<Mn:0.50〜2.20質量%、Ni:0.30〜1.00質量%>
Mnは脱酸剤として作用し、溶接金属中の酸素量を低減して靱性を改善する効果がある。また、MnおよびNiはオーステナイト生成元素であり、いずれも溶接金属におけるδ−フェライトの残留による靱性劣化を抑制する効果がある。ただし、Mn含有量が0.50質量%未満の場合、または、Ni含有量が0.30質量%未満の場合は、これらの効果は得られず溶接金属の靱性が劣化する。一方、Mn含有量が2.20質量%を超える場合、または、Ni含有量が1.00質量%を超える場合は、溶接金属の靱性が劣化する。よって、溶接ワイヤのMn含有量は0.50〜2.20質量%、溶接ワイヤのNi含有量は0.30〜1.00質量%とする。
Mn含有量は、前記効果をより向上させる観点から、好ましくは0.80質量%以上、より好ましくは1.10質量%以上である。また、溶接金属の靱性の劣化をより抑制する観点から、好ましくは1.90質量%以下、より好ましくは1.60質量%以下である。
Ni含有量は、前記効果をより向上させる観点から、好ましくは0.40質量%以上、より好ましくは0.50質量%以上である。また、溶接金属の靱性の劣化をより抑制する観点から、好ましくは0.90質量%以下、より好ましくは0.80質量%以下である。
<Cr:8.00〜10.50質量%>
Crは、本発明で用いる溶接ワイヤが対象としているMod.9Cr−1Mo鋼の主要元素であり、耐酸化性、高温強度を確保するために不可欠な元素である。ただし、Cr含有量が8.00質量%未満では、耐酸化性および高温強度が不十分になる。一方、Crはフェライト生成元素であり、過剰に添加すると、具体的には、Cr含有量が10.50質量%を超えると、δ−フェライトの残留を引き起こし、溶接金属の靱性が劣化する。よって、溶接ワイヤのCr含有量は8.00〜10.50質量%とする。これにより、優れた耐酸化性および高温強度が得られる。Cr含有量は、前記効果をより向上させる観点から、好ましくは8.40質量%以上、より好ましくは8.60質量%以上である。また、溶接金属の靱性の劣化をより抑制する観点から、好ましくは9.40質量%以下、より好ましくは9.20質量%以下である。
<Mo:0.80〜1.20質量%>
Moは、固溶強化元素であり、クリープ破断強度を向上させる効果がある。ただし、Mo含有量が0.80質量%未満では、十分なクリープ破断強度が得られない。一方、Moはフェライト生成元素であるため、過剰に添加すると、具体的には、Moを含有量が1.20質量%を超えると、溶接金属におけるδ−フェライトの残留を引き起こし、溶接金属の靱性が劣化する。よって、溶接ワイヤのMo含有量は0.80〜1.20質量%とする。Mo含有量は、前記効果をより向上させる観点から、好ましくは0.90質量%以上である。また、溶接金属の靱性の劣化をより抑制する観点から、好ましくは1.10質量%以下である。
<V:0.10〜0.40質量%>
Vは、析出強化元素であり、炭窒化物として析出してクリープ破断強度を向上させる効果がある。ただし、V含有量が0.10質量%未満では、十分なクリープ破断強度が得られない。一方、Vはフェライト生成元素でもあり、過剰に添加すると、具体的には、V含有量が0.40質量%を超えると、溶接金属におけるδ−フェライトの残留を引き起こし、溶接金属の靱性が劣化する。よって、溶接ワイヤのV含有量は0.10〜0.40質量%とする。V含有量は、前記効果をより向上させる観点から、好ましくは0.15質量%以上、より好ましくは0.20質量%以上である。また、溶接金属の靱性の劣化をより抑制する観点から、好ましくは0.35質量%以下、より好ましくは0.30質量%以下である。
<Nb:0.020〜0.080質量%>
Nbは、固溶強化および窒化物として析出してクリープ破断強度の安定化に寄与する元素である。ただし、Nb含有量が0.020質量%未満では、十分なクリープ破断強度が得られない。一方、Nbはフェライト生成元素でもあり、過剰に添加すると、具体的には、Nb含有量が0.080質量%を超えると、溶接金属におけるδ−フェライトの残留を引き起こし、溶接金属の靱性が劣化する。よって、溶接ワイヤのNb含有量は0.020〜0.080質量%とする。Nb含有量は、前記効果をより向上させる観点から、好ましくは0.030質量%以上、より好ましくは0.035質量%以上である。また、溶接金属の靱性の劣化をより抑制する観点から、好ましくは0.070質量%以下、より好ましくは0.065質量%以下である。
<P:0.015質量%以下>
Pは、高温割れ感受性を高める元素である。P含有量が0.015質量%を超えると、耐高温割れ性が劣化する。よって、溶接ワイヤのP含有量は0.015質量%以下に規制する。P含有量は、耐高温割れ性の劣化をより抑制する観点から、好ましくは0.010質量%以下、より好ましくは0.005質量%以下である。なお、P含有量は0質量%が好ましいが、実質的に、0.003質量%が下限値となる。
<S:0.010質量%以下>
Sは、高温割れ感受性を高める元素である。S含有量が0.010質量%を超えると、耐高温割れ性が劣化する。よって、溶接ワイヤのS含有量は0.010質量%以下に規制する。S含有量は、耐高温割れ性の劣化をより抑制する観点から、好ましくは0.008質量%以下、より好ましくは0.005質量%以下である。なお、S含有量は0質量%が好ましいが、実質的に、0.003質量%が下限値となる。
<N:0.016〜0.055質量%>
Nは、固溶強化および窒化物として析出してクリープ破断強度の安定化に寄与する元素である。ただし、N含有量が0.016質量%未満では、十分なクリープ破断強度が得られない。一方、Nを過剰に添加すると、具体的には、N含有量が0.055質量%を超えると、ブローホールが発生する。よって、溶接ワイヤのN含有量は0.016〜0.055質量%とする。N含有量は、前記効果をより向上させる観点から、好ましくは0.025質量%以上である。また、ブローホールの発生をより抑制する観点から、好ましくは0.045質量%以下である。
<O:0.03質量%以下>
Oは、溶接金属中に酸化物として残存して溶接金属の靱性を劣化させる。具体的には、O含有量が0.03質量%を超えると、残存酸化物が増加して溶接金属の靱性が劣化する。よって、溶接ワイヤのO含有量は0.03質量%以下に規制する。O含有量は、溶接金属の靱性の劣化をより抑制する観点から、好ましくは0.02質量%以下、より好ましくは0.015質量%以下である。なお、O含有量は0質量%が好ましいが、実質的に、0.002質量%が下限値となる。
<残部:Feおよび不可避的不純物>
溶接ワイヤの成分の残部は、Feおよび不可避的不純物である。不可避的不純物としては、例えば、Cu、As、Sb、Sn等が挙げられる。Cuはワイヤ表面に銅めっきする事により含まれる。
<溶接ワイヤのワイヤ径>
本発明で用いるワイヤ径は4.0mmφが必須となる。本発明において、ワイヤ径は先行極、後行極ともに4.0mmφを使用する。ワイヤ径が3.2mmφでは、十分な溶着量を得ることができず、溶接能率が犠牲になる。一方、4.8φmmでは、溶着量が多いため、高温割れを抑制する溶着量のコントロールが難しくなる。また、4.8mmφでは、層厚が大きくなるため、溶接金属の靭性が劣化する問題もある。よって、ワイヤ径は、先行極、後行極ともに、4.0mmφとする。
<溶接フラックスの塩基度>
本発明で使用するサブマージアーク溶接用フラックスは、塩基度が2.3〜2.7であることが必須である。塩基度が2.3未満では、溶接金属中の酸素量が十分に下がらず低靭性となる。一方、塩基度が2.7を超えると、ビード外観やビード形状が劣化する。よって、塩基度は2.3〜2.7の範囲内とする。塩基度は、溶接金属の靱性の劣化をより抑制する観点から、好ましくは2.4質量%以上である。また、ビード外観やビード形状の劣化をより抑制する観点から、好ましくは2.6質量%以下である。
なお、本発明での塩基度は下記式(1)による。
塩基度=(CaF+CaO+MgO+SrO+NaO+LiO+1/2(MnO+FeO))/(SiO+1/2(Al+TiO+ZrO))・・・・(1)
ここで、各化合物はフラックス全質量あたりの各化合物の含有量(質量%)を示す。
なお、本発明で用いるフラックスとしては、塩基度が前記範囲を満たすものであれば、成分などの他の条件は特に規定されるものではない。
[溶接条件]
高温割れの発生を抑制する手法の一つとして、入熱を制限するという手法がとられる。しかしながら、溶接電流やアーク電圧は、ワークの状態、通電点などの溶接環境により、ワイヤの溶融に使われるエネルギーが変わってしまう傾向がある。すなわち、同じ入熱で溶接しても、高温割れの発生の有無に差が出る可能性がある。そこで、本発明者らは、ワイヤの送給速度、溶接速度、単位長さ当りの溶着量を規定することにより、その課題を解決した。
<ワイヤの送給速度:先行極のワイヤ送給速度Vが45〜90g/min、後行極のワイヤ送給速度Vが60〜110g/min>
先行極のワイヤの送給速度が45g/min未満、または、後行極のワイヤ送給速度が60g/min未満では、溶接電流が小さすぎてアークが不安定となり、溶込不良が発生する。一方、先行極のワイヤの送給速度が90g/minを超える、または、後行極のワイヤ送給速度が110g/minを超えると、溶着量が多すぎて高温割れが発生すると共に、スラグ剥離性も劣化する。よって、ワイヤ送給速度は、先行極のワイヤ送給速度Vを45〜90g/min、後行極のワイヤ送給速度Vを60〜110g/minとする。
先行極のワイヤ送給速度は、溶込不良の発生をより抑制する観点から、好ましくは50g/min以上、より好ましくは55g/min以上である。また、高温割れの発生、スラグ剥離性の劣化をより抑制する観点から、好ましくは85g/min以下、より好ましくは80g/min以下である。後行極のワイヤ送給速度は、溶込不良の発生をより抑制する観点から、好ましくは65g/min以上、より好ましくは70g/min以上である。また、高温割れの発生、スラグ剥離性の劣化をより抑制する観点から、好ましくは105g/min以下、より好ましくは100g/min以下である。
ワイヤの送給速度について、先行極のワイヤ送給速度の範囲と、後行極のワイヤ送給速度の範囲とを比較すると、先行極のワイヤ送給速度の範囲のほうが小さめである。ここで、先行極による溶接金属量と後行極による溶接金属量は、先行極によるものと後行極によるものとで等分にするより、先行極による溶接金属量が少なめとなることで、ビード深さを小さく、ビード幅を大きくできる。このため、高温割れに対し有利となる。したがって、ワイヤの送給速度は、「先行極V<後行極V」が好ましい。
<溶接速度v:30〜55cm/min>
溶接速度が30cm/min未満では、溶着量が多すぎて高温割れが発生する。一方、溶接速度が55cm/minを超えると、溶融金属の供給が間に合わず、ビード形状が不安定となって、融合不良やスラグ巻き込みが発生する。よって、溶接速度vは30〜55cm/minとする。溶接速度は、高温割れの発生をより抑制する観点から、好ましくは35cm/min以上である。また、ビード形状安定化と融合不良・スラグ巻込み防止の観点から、好ましくは50cm/min以下である。なお、溶接速度とは、図1に示すように、溶接機の溶接チップ11a、11bの溶接方向への移動速度である。
<単位長さ当りの溶着量:2.8〜3.8g/cm>
単位長さ当りの溶着量は、「ワイヤの送給速度/溶接速度」により計算される。すなわち、単位長さ当りの溶着量は、ワイヤの送給速度と溶接速度との比で求める。なお、ワイヤの送給速度は、先行極のワイヤ送給速度と、後行極のワイヤ送給速度との合計である。
本発明のポイントはこの単位長さ当りの溶着量を適切に制御することである。単位長さ当りの溶着量が2.8g/cm未満では、溶着量が少なすぎて溶接能率が悪化する。一方、単位長さ当りの溶着量が3.8g/cmを超えると、収縮に伴う力が大きくなる。また、ビードの形状は、なし形に近くなるため、溶接金属の凝固方向がビード中央に向かって水平になり、収縮力のかかる方向が最終凝固部に対し垂直となる。そのため、高温割れが発生しやすくなる。よって、単位長さ当りの溶着量は2.8〜3.8g/cmとする。単位長さ当りの溶着量は、溶接能率をより向上させる観点から、好ましくは2.9g/cm以上、より好ましくは3.0g/cm以上である。また、高温割れの発生をより抑制する観点から、好ましくは3.7g/cm以下、より好ましくは3.6g/cm以下である。
<垂下特性を示す交流溶接機>
溶接電流およびアーク電圧は、上記ワイヤ送給速度を適正範囲にコントロールする一手段として調整される。
本発明で使用する溶接機は、垂下特性を示す交流溶接機である。垂下特性とは、アーク長が変動しても、電流の変化が少なく安定した溶接ができる電源の特性のことである。具体的には、アーク長が長くなった場合は、一時的にワイヤの送給速度が速くなり、アーク長が短くなった場合はワイヤの送給速度が遅くなる。つまり、電源特性がワイヤ送給速度に影響を及ぼすため、ワイヤ送給速度は、本発明の範囲で管理する必要がある。一般的には施工条件は溶接電流、アーク電圧で決定されるが、それでは不十分で本発明においてワイヤ送給速度で管理する必要があることを見出した。溶接電流が一定でもアークの状態、ワイヤの角度等で変化するためワイヤ送給速度をパラメータとする必要がある。
そして本発明では、垂下特性を示す交流電源を用いることとした。
以上のとおり、本発明は、脱硫、重油分解を行う化学反応容器(リアクタ)に使用される改良9Cr−1Mo鋼のサブマージアーク溶接に適したものである。
以下、本発明の範囲に入る実施例について、その効果を本発明の範囲から外れる比較例と比較して説明する。
表1に示す化学成分の母材を用い、ASTM SA335Gr.P91の化学成分に合致した改良9Cr−1Mo鋼を3種類用意した。この改良9Cr−1Mo鋼について、図11に示すように、板厚tが250mm、溝底の曲率半径Rが10mm、開先角度θが、2°+2°の4°の狭開先を機械加工で形成して改良9Cr鋼の試験体20とした。
また、表2に示す化学成分のワイヤを3種類使用した。ワイヤ径は4.0mmφである。また、表3に示す粒度、化学成分、塩基度のフラックスを3種類使用した。
Figure 0006209135
Figure 0006209135
Figure 0006209135
そして、図11に示す試験体20の狭開先内を、表2に記載のワイヤと表3に記載のフラックスを用いて、ワイヤ送給速度および溶接速度を変化させサブマージアーク溶接を実施した。ワイヤ送給速度は、溶接電流、溶接速度を変化させることによりコントロールした。なお、本溶接において、溶接金属21は、図中の矢印方向に積層される。
溶接条件は以下のとおりである。また、その他の条件は表4に示す。なお、表中、本発明の範囲を満たさないものは数値に下線を引いて示す。
<溶接条件>
チップ/母材間距離:先行極25mm、後行極30mm
チップ角度:先行極;−5°(後退角5°)、後行極;40°(前進角40°)
電極間距離:20mm
極性:AC−ACタンデム
電源特性:垂下特性
溶接姿勢:下向き
積層方法:初層1パス、以降1層2パス
この溶接を行った試験体20について、スラグ剥離性、ビードの状態、溶接能率、耐高温割れ性を評価した。
<スラグ剥離性の評価>
溶接終了後、ビード表面に付着したフラックスをハンマーで3回たたき、容易に剥離した条件は○、剥離しなかった条件は×と判定した。
<ビードの状態の評価>
前記スラグ剥離性の評価においてスラグを剥離した後の表面外観を目視で確認し、溶接欠陥がなく、ビード形状が良好であれば○、溶接欠陥が発生した場合またはビード形状が不安定な場合は×と判定した。
<溶接能率の評価>
溶接能率は、積層方法が1層当たり2パスで溶接可能であれば○、溶着量が減り1層当たり3パス以上で溶接が必要になった場合は×と評価した。
<耐高温割れ性の評価>
溶接ビードのスタート、エンド部を除外した300mmの範囲で、50mmごとの断面でマクロ組織を観察した。計5つの断面全てで、割れが発生していない条件を○、割れが発生した条件を×と判定した。
これらの結果を表4に示す。なお、表中、「−」は、評価を行わなかったものである。
Figure 0006209135
表4に示すように、No.1〜7は本発明の範囲を満たしており、スラグ剥離性、ビードの状態、溶接能率に問題なく、高温割れが未発生であった。
No.8は、先行極および後行極のワイヤの送給速度が本発明の下限を外れている。No.8では、溶接電流が小さくワイヤの送給速度が少ないため、アークが安定せず、開先面とビードの境界で溶込不良が発生した。また、単位長さ当りの溶着量が本発明の下限を外れた。なお、ビードの状態が不良のため、溶接能率および耐高温割れ性の評価は行わなかった。
No.9は、先行極および後行極のワイヤの送給速度が本発明の上限を外れている。溶接電流が大きくワイヤの送給速度が大きいため、溶着量が多すぎて高温割れが発生すると共に、スラグ剥離性も低下した。また、単位長さ当りの溶着量が本発明の上限を外れ、高温割れが発生した。なお、スラグ剥離性が不良のため、ビードの状態および溶接能率の評価は行わなかった。
No.10は、溶接速度が本発明の下限を外れている。溶接速度が遅いため、溶着量が多すぎて高温割れが発生した。また、単位長さ当りの溶着量が本発明の上限を外れ、高温割れが発生した。
No.11は、溶接速度が本発明の上限を外れている。よって、ワイヤの送給が溶接速度に対して間に合わず、ビード幅が不安定となった。なお、ビードの状態が不良のため、溶接能率および耐高温割れ性の評価は行わなかった。
No.12、14、15は、単位長さ当りの溶着量が本発明の上限を外れている。よって、ビード形状がなし型に近くなり、高温割れが発生した。
No.13は、単位長さ当りの溶着量が本発明の下限を外れている。よって、溶着量が小さいため、開先内部の溶接回数が増え、溶接能率が低下した。なお、溶接能率が不良のため、耐高温割れ性の評価は行わなかった。
なお、本発明は、先行極および後行極のワイヤ送給速度、溶接速度、単位長さ当りの溶着量を規定したことに特徴を有するため、ワイヤ成分等、その他の要件の比較例は省略した。ワイヤ成分等、その他の要件の限定理由は、本明細書中に記載のとおりである。
以上、本発明について実施の形態および実施例を示して詳細に説明したが、本発明の趣旨は前記した内容に限定されることなく、その権利範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて広く解釈しなければならない。なお、本発明の内容は、前記した記載に基づいて広く改変・変更等することが可能であることはいうまでもない。
10 母材(被溶接材)
11a、11b、30 溶接チップ
12a、12b、40 溶接ワイヤ
13a、13b、30a チップ先端部
15a 先行極
15b 後行極
20 試験体

Claims (1)

  1. C:0.08〜0.12質量%、Si:0.20〜0.50質量%、Mn:0.30〜0.60質量%、P:0.020質量%以下、S:0.010質量%以下、Ni:0.40質量%以下、Cr:8.00〜9.50質量%、Mo:0.85〜1.05質量%、V:0.18〜0.25質量%、Nb:0.06〜0.10質量%、Al:0.02質量%以下、Ti:0.01質量%以下、Zr:0.01質量%以下、N:0.030〜0.070質量%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物である改良9Cr−1Mo鋼を母材として、
    C:0.03〜0.08質量%、Si:0.05〜0.30質量%、Mn:0.50〜2.20質量%、P:0.015質量%以下、S:0.010質量%以下、Ni:0.30〜1.00質量%、Cr:8.00〜10.50質量%、Mo:0.80〜1.20質量%、V:0.10〜0.40質量%、Nb:0.020〜0.080質量%、N:0.016〜0.055質量%、O:0.03質量%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物であり、ワイヤ径が4.0mmφの溶接ワイヤを用い、
    前記溶接ワイヤと、下記式(1)で示す塩基度が2.3〜2.7の溶接フラックスの組合せで、
    垂下特性を示す交流電源を用いて、先行極のワイヤ送給速度Vを45〜90g/min、後行極のワイヤ送給速度Vを60〜110g/min、溶接速度vを30〜55cm/min、単位長さ当りの溶着量を2.8〜3.8g/cmとする条件で溶接することを特徴とする狭開先タンデムサブマージアーク溶接方法。
    塩基度=(CaF+CaO+MgO+SrO+NaO+LiO+1/2(MnO+FeO))/(SiO+1/2(Al+TiO+ZrO))・・・・(1)
    ここで、各化合物はフラックス全質量あたりの各化合物の含有量(質量%)を示す。
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