以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
まず、図1を参照して、本実施形態における樹脂成形装置について説明する。図1は、本実施例における樹脂成形装置の概略構成図であり、樹脂成形装置として、図1(a)はトランスファ成形装置100、図1(b)は圧縮成形装置200をそれぞれ示している。
図1(a)、(b)に示されるように、樹脂成形装置(トランスファ成形装置100、圧縮成形装置200)は、基板(被成形品)をプレス部に搬入するローダー106、206と、成形基板(成形品)をプレス部から成形基板取出部へ取り出すアンローダー107、207とが移動レール部108、208を共用して樹脂成形(樹脂封止)するように構成されている。
図1(a)において、トランスファ成形装置100は、基板供給ユニット101、成形基板収納ユニット102、プレスユニット103、104、及び、樹脂供給ユニット105を備えて構成される。基板供給ユニット101において、111は基板供給部であり、供給マガジン(不図示)に収納された基板(半導体チップが搭載されたリードフレームや樹脂基板などの板状のワーク)をフレームインデックス(不図示)へ搭載させた後、プレヒートレール112へ向きを揃えて送り出される。プレヒートレール112では、基板がプレヒートされて、ローダー106に受け渡される。なお、基板供給ユニット101において、樹脂タブレットをローダー106に供給してもよい。
成形基板収納ユニット102において、成形基板取出部(不図示)は、プレスユニット103、104の一つからアンローダー107により取り出された成形基板(成形品)を、下方に待機している移動テーブル121へ受け渡すように動作する。アンローダー107は、成形基板を成形基板取出部に待機している移動テーブル121へ受け渡すと、次の成形基板の取出し動作に移行する。移動テーブル121は、成形基板を載置してディゲート部122へ搬送する。ディゲート部122は、移動テーブル121へ載置されて搬送された成形基板をゲートブレイクする。そして移動テーブル121は、ゲートブレイク後の成形基板を載置して、収納部123へ搬送する。
プレスユニット103、104、及び、樹脂供給ユニット105は、基板供給ユニット101と成形基板収納ユニット102との間に設けられている。ローダー106及びアンローダー107は、移動レール部108を共用することにより、プレスユニット103、104、及び、樹脂供給ユニット105の間を移動可能に構成されている。
樹脂供給ユニット105において、151は樹脂供給部である。樹脂供給部151は、液状樹脂を保持するシリンジ(不図示)を有する。液状樹脂は、シリンジをプレスユニット103に進入させて先端から後述するポット63に樹脂を供給する。
プレスユニット103、104は、プレス部131、141をそれぞれ備える。プレス部131、141は、それぞれ、モールド金型132、142、モールド金型132、142を型締め型開きする型開閉機構、及び、モールド金型132、142のキャビティに樹脂圧を印加しながら封止樹脂を送り出すトランスファ機構などを備えて構成される。この封止樹脂は、樹脂供給ユニット105からモールド金型132、142の後述のポット63に供給された状態からキャビティに送り出されることでトランスファ成形される。プレス部131、141には、それぞれ、必要に応じてモールド金型132、142の金型面を覆うリリースフィルムを張設するフィルムユニット133、143が設けられる。
ローダー106は、プレヒートレール112で基板を受け取って保持し、プレス部131、141のいずれかへ、進退移動して搬入する。また、樹脂封止後の成形品は、モールド金型132、142から離型され、アンローダー107により成形基板取出部を介して移動テーブル121へ搬出されるように構成されている。移動テーブル121に搬出されて載置された成形基板は、ディゲート部122でゲートブレイクされて収納部123へ収納される。
図1(b)において、圧縮成形装置200は、基板供給ユニット201、成形基板収納ユニット202、プレスユニット203、及び、樹脂供給ユニット205を備えて構成される。基板供給ユニット201は、図1(a)の基板供給ユニット101と同様の構成を有する。
成形基板収納ユニット202において、成形基板取出部(不図示)は、プレスユニット203からアンローダー207により取り出された成形基板(成形品)を、下方に待機している移動テーブル221へ受け渡すように動作する。アンローダー207は、成形基板を成形基板取出部に待機している移動テーブル221へ受け渡すと、次の成形基板の取出し動作に移行する。移動テーブル221は、成形基板を載置して測定部224へ搬送する。測定部224は、移動テーブル221へ載置されて搬送された成形基板の測定(成形厚の測定等)を行う。そして移動テーブル221は、測定後の成形基板を載置して収納部123へ搬送する。
プレスユニット203、及び、樹脂供給ユニット205は、図1(a)のプレスユニット103、及び、樹脂供給ユニット105と同様に、基板供給ユニット201と成形基板収納ユニット202との間に設けられている。ローダー206は、基板供給ユニット201とプレスユニット203との間を移動可能に構成されている。アンローダー207は、プレスユニット203と成形基板収納ユニット202との間を移動可能に構成されている。図1(a)と同様に、ローダー206及びアンローダー207は、移動レール部208を共用している。
樹脂供給ユニット205において、251は樹脂供給部である。樹脂供給部251は、圧縮成形を行うための樹脂(液状樹脂)を基板(被成形品)に供給する。基板に樹脂を供給した後、ローダー206は、その基板を後述のプレス部231へ移動させる。
プレスユニット203は、プレス部231を備える。プレス部231は、モールド金型232、及び、モールド金型232を型締め型開きする型開閉機構(圧縮成形機構)などを備えて構成される。この型開閉機構は、樹脂(樹脂供給ユニット205により基板上に供給された樹脂)を圧縮成形することにより、モールド金型232のキャビティに樹脂を充填する。プレス部231には、図1(a)のプレス部131、142と同様に、リリースフィルムを張設するフィルムユニット233が設けられている。
後述のように、図1(a)に示されるトランスファ成形装置100は、主に、リフレクタを形成するための樹脂(白樹脂)を成形するために用いられる。また、図1(b)に示される圧縮成形装置200は、主に、レンズを形成するための樹脂(レンズ樹脂、透光性樹脂)を成形するために用いられる。
以下、各実施例において、本実施形態におけるLED装置の製造方法について詳述する。
まず、図2A乃至図2Jを参照して、本発明の実施例1におけるLED装置及びその製造方法について説明する。図2A乃至図2Jは、本実施例におけるLED装置の製造工程図である。
図2A乃至図2Dは、基板にリフレクタを形成する工程(一次成形工程)を示している。本実施例における被成形品は、基板10上に複数のLEDチップ40(発光素子)をフリップチップ実装して構成されたLED用基板である。LEDチップ40は、アノード電極及びカソード電極 の一対の電極を備え、これらの電極の間に順バイアスの所定電圧を印加することにより光を放出する素子である。LEDチップ40は、その下面に形成された2つの電極を、それらの電極のそれぞれに対応するパッド部にボンディングして実装される。このため本実施例において、ボンディングワイヤは不要である。ただし、フリップチップ実装に代えて、ボンディングワイヤを用いて実装してもよい。なお本実施例では、図2A乃至図2C中の一点鎖線160を挟んだ左側にも同様の構成が配置されることにより、一度の成形で2枚の基板10(LED用基板)に対する樹脂成形が行われる。
本実施例において、基板10は、樹脂基板上に金属配線を形成して構成される。ただし、本実施例はこれに限定されるものではなく、例えば、銅系フレーム材の表面に、ニッケル、パラジウム、銀、又は金などで構成されるメッキ層(例えばNi−Agメッキ)を形成して構成されたリードフレームを基板10として用いてもよい。このように、本実施例における基板10は、必ずしも樹脂基板、セラミックス基板または金属基板などの一般的な基板である必要はなく、リードフレームやウエハどの板状でチップを搭載可能な部材を含む。
本実施例において、基板10上には複数のLEDチップ40が実装されているが、これに限定されるものではない。本実施例は、単数のLEDチップ40を実装して構成されたLED用基板にも適用可能である。
図2Aに示されるように、LED用基板に対して一次成形を行う際には、一次成形用の金型にLED用基板を設置する。この際、ポット63には樹脂供給部151により液状樹脂が供給される。続いて図2Bに示されるように、金型でLED用基板をクランプする。その後、図2Cに示されるように、基板10に対して樹脂成形(樹脂封止)が行われる。そして金型を離型することにより、図2Dに示されるようなLED用基板が得られる。
本実施例において、一次成形時に用いられる金型は、トランスファ成形金型であり、図1(a)に示されるようなトランスファ成形装置にて用いられる。本実施例の金型は、上金型50(第1の金型)及び下金型60(第2の金型)を備えて構成されている。上金型50には、環状に突起する凸部51が設けられている。凸部51は、平面視環形に凹んだキャビティ57と、平面視丸形に凹んだキャビティ58(凹部)とを仕切るように突出し、上金型50の下面(パーティング面)と同じ高さとなっている。上金型50の凸部51は、基板10をクランプするクランプ面となる。
また、上金型50のキャビティ57の内部には、ポット63から圧送された樹脂71が充填される。キャビティ57の内部に充填された樹脂71は、LEDチップ40からの光を反射させるリフレクタとしての機能を有する。すなわち、樹脂71(第1の樹脂)は、LEDチップ40を基板10に実装した状態で少なくともLEDチップ40を囲むように形成され、LEDチップ40から側方に放射された光を上方に反射させるように構成されている。また本実施例では、キャビティ57の形状に応じて、互いに隣接するリフレクタの間を連結する樹脂71a(連結部)が形成される。このため、キャビティ57の間には樹脂71aを形成するための溝部が形成されている。
上金型50のキャビティ58は、基板10上に実装された複数のLEDチップ40に上金型50が接触するのを避けるように(クランプ面がLEDチップ40を避けるように)凹んだ形状で設けられている。またキャビティ58は、キャビティ57と連通していない。このため、キャビティ58の内部(すなわち、複数のLEDチップ40)は樹脂71で封止されることはなく、予めLEDチップ40を実装しておくことができる。
上金型50には、カル55及びランナ56が形成されており、ランナ56はキャビティ57に連通している。上金型50は、樹脂成形時において、凸部51により基板10を上面側(一方面側、第1の面側)から押さえ付ける。一方、下金型60は、樹脂成形時において、基板10を下面側(他方面側、第2の面側)から押さえ付ける。このように本実施例の金型は、上金型50と下金型60とを主体として構成されている。樹脂成形時には、上金型50と下金型60とで基板10をクランプし(挟み)、キャビティ57の内部に一次成形樹脂としての樹脂71を充填する。
本実施例において、基板10と上金型50との間にはフィルム材20(リリースフィルム)が設けられている。上金型50は、フィルム材20を介して基板10を押さえ付けることにより、基板10面におけるフラッシュばりの発生を防止して、樹脂成形後に基板10を金型から容易に取り外す(離型する)ことが可能になる。
70は、樹脂供給部151によってポット63に供給された液状の熱硬化性樹脂である。また、液状樹脂に替えて、タブレット(円柱)状に成形した樹脂タブレットを供給してもよい。樹脂成形時には、図2Bに示されるように、下金型60のポット63の中で液状樹脂70を加熱する。そして、トランスファ機構(不図示)によってポット63に沿って上下に摺動可能に構成されたプランジャ64を上動させて加熱した樹脂71を圧送することにより、図2Cに示されるように、上金型50と下金型60との空間(キャビティ57の内部)が樹脂71で充填される。図2C中において、理解が容易になるように、樹脂71が充填されている領域を点模様で示している。なお、液状樹脂70に代えて、円柱状の樹脂タブレットをローダー106により供給することもできる。また、粒状、顆粒状やゲル状の樹脂を用いることもできる。
プランジャ64によって樹脂71が圧送されることにより、加熱された樹脂71は、カル55及びランナ56を介して、キャビティ57の内部に供給される。すなわち樹脂71は、ランナ56に近いキャビティ57から、ランナ56から離れた(遠い)キャビティ57に向けて順次供給されていく。このようにして、液状樹脂70が加熱されて樹脂71となり、上金型50と下金型60で形成された空間(キャビティ57の内部)に注入される。この結果、図2Cに示されるように、上金型50と下金型60の間の空間(キャビティ57の内部)は、樹脂71により充填される。
樹脂71の充填後、樹脂71を硬化させるために所定時間だけ待機し、上金型50及び下金型60の型閉状態を開放する。そして、樹脂成形されたLED用基板が搬出された後に金型面をクリーニングし、1回の樹脂モールド工程が終了する。上記工程を経ると、図2Dに示されるように本実施例のLED用基板が形成される。
図2Dに示されるように、一次成形後のLED用基板には、互いに隣接するリフレクタの間を連結する樹脂71a(連結部)が形成されている。また、上金型50のランナ56に対応する位置には、樹脂71d(ランナ部)が形成されている。また、ランナ56と反対側の端位置には、樹脂71e(エアベント部)が形成されている。本実施例では、以下の工程(図2Eに示される工程)に移行する前に、これらの不要な部位の樹脂を除去する。ただし本実施例は、これに限定されるものではなく、これらの部位を残した状態で、以下の工程に移行してもよい。
一次成形樹脂としての樹脂71(白樹脂)は、例えば酸化チタン(Ti2O3等)やアルミナ(Al2O3)等の白色粉末及びシリカなどを含有したシリコーン樹脂やエポキシ樹脂からなる熱硬化性樹脂である。前述のように、樹脂71は、トランスファ成形により樹脂を流し込んで硬化させることにより、基板10上にリフレクタを形成することができる。リフレクタは、LEDチップ40から発せられた光を上方に反射させる機能を有する。更に樹脂71は、LED用基板(最終製品としてのLED装置)の強度を向上させるという機能も有する。なお本実施例において、樹脂71は、基板10上のLEDチップ実装領域18には形成されない。LEDチップ実装領域18は、LEDチップ40が実装されている領域であり、一次成形後において基板10の表面が露出する。
続いて、図2E乃至図2Jに示されるように、LED用基板に対する二次成形が行われる。図2E乃至図2Jは、一次成形後のLED用基板に透光性樹脂(レンズ樹脂)を形成する工程(二次成形工程)を示している。本実施例において、二次成形は圧縮成形で行われる。
二次成形の際には、まず、LED用基板を二次成形用のモールド金型に搬入する前に、二次成形樹脂(透光性樹脂)としてのレンズ樹脂77(液状樹脂)を、樹脂71の内側、すなわちLED用基板のLEDチップ実装領域18(リフレクタ(樹脂71)で囲まれる領域)に供給(ディスペンス)する。すなわち、レンズ樹脂77(第2の樹脂)は、LEDチップ40の発光面(上面)を覆う。具体的には、図2Eに示されるように、樹脂供給部251において、ディスペンサ75から液状樹脂76をLEDチップ実装領域18に向けて供給する。この場合、液状樹脂76は、一次成形による樹脂71にせき止められるため、レンズ成形に必要量を供給することができる。これにより、図2Fに示されるように、供給されたレンズ樹脂77がLED用基板上のLEDチップ実装領域18内において、複数のLEDチップ40を充填し、発光面を覆う。
本実施例において、レンズ樹脂77としては、透光性を有するシリコーン樹脂(透光性樹脂)が用いられる。シリコーン樹脂は、LEDチップ40の発光波長が青色光等の短波長である場合や、LEDチップが高輝度LEDであり多量の熱を発生する場合に、その光や熱による変色や劣化に対する耐久性に優れている。ただし本実施例はこれに限定されるものではなく、例えばエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂等の透光性を有する熱硬化性樹脂を用いてもよい。これらの樹脂に、フィラー、蛍光体、内部離型剤などの各種添加物を必要に応じて添加して用いることができる。例えば、レンズ樹脂77に蛍光体を含有させることにより、LEDチップ40からの光の波長変換を行うことが可能である。
レンズ樹脂77は、LEDチップ40を覆い、かつ、後述の圧縮成形によりLED装置のレンズ部を構成する。本実施例のLED用基板にはダム部としても機能する樹脂71が成形されているため、粘度が低いレンズ樹脂でも必要十分な量を供給することができる。
次に、図2G乃至図2Iを参照して、本実施例におけるLED用基板を二次成形樹脂(レンズ樹脂77)で樹脂封止する際に用いられる金型について説明する。まず、図2Gに示されるように、LED用基板を二次成形(圧縮成形)に用いられる金型に設置する。続いて図2Hに示されるように、金型でLED用基板をクランプする。そして、図2Iに示されるように、金型で圧縮成形を行う。
本実施例において、二次成形時に用いられる金型は、圧縮成形金型であり、図1(b)に示されるような圧縮成形装置にて用いられる。図2G乃至図2Iに示されるように、本実施例において、二次成形時(圧縮成形時)に用いられる金型は、上金型80(第1の金型)及び下金型90(第2の金型)を備えて構成されている。
上金型80は、LED用基板を上面側(第1の面側)から押さえ付ける。また下金型90は、LED用基板を下面側(第2の面側)から押さえ付ける。二次成形時(圧縮成形時)においては、上金型80はフィルム材22(リリースフィルム)を介してLED用基板をクランプする。
上金型80は、キャビティの底面を構成するキャビティブロック81(キャビティ駒)、キャビティブロック81が挿入される貫通孔が設けられたクランパ82、及び、キャビティブロック81及びクランパ82のそれぞれに接続された調整機構83、84を備えている。調整機構83、84は、キャビティブロック81及びクランパ82の背面に配置されたブロックとの間に配置されて、クランプ時にキャビティブロック81及びクランパ82のそれぞれの圧力を調整する。この場合、調整機構83、84によりクランパ82に対するキャビティブロック81の高さが調整されるため、キャビティの深さも調整可能である。本実施例において、調整機構83、84は弾性部材(ばね)であるが、これに限定されるものではなく、調整機構83、84は、例えば一対のクサビ状部材の斜面を向い合わせに配置し一方のくさびを移動させることで全体の厚みを可変に構成されたクサビ機構などを用いてもよい。この場合、例えばキャビティブロック81及びクランパ82の少なくとも一方のクサビ機構を駆動してキャビティ深さを調整した後でクランプすることにより、適切な圧力に調整しながら成形可能である。
キャビティブロック81の大きさは、例えば、LEDチップ実装領域18を囲うリフレクタの端部における内径と同一又はわずかに小さくすることができる。このような構成により、クランプ時において、キャビティブロック81は、フィルム材22を介して、LEDチップ実装領域18に充填されたレンズ樹脂77に対して適切な成形圧力を加えることができる。このとき、クランパ82は、フィルム材22を介して、リフレクタとしての樹脂71の上面と基板10の上面に所定の圧力で当接する。これにより、圧縮成形時において、キャビティブロック81により押し付けられてLEDチップ実装領域18から溢れ出ようとするレンズ樹脂77がリフレクタとしての樹脂71の外側に漏れ出す(オーバーフローする)ことを防ぐことができる。この場合、クランパ82にはリフレクタとしての樹脂71の成形領域外に基板10をクランプするための突起部が下方に突出するように成形されている。この突起部は、例えばリフレクタとしての樹脂71の高さ(換言すれば、一次成形の上金型50aにおけるキャビティ底面57aの深さ)と同一またはわずかに小さくなるように構成されている。したがって、リフレクタとしての樹脂71の樹脂漏れを防止できる適度なクランプ圧でクランプ可能として、過大なクランプ圧による樹脂71の破損を防止することもできる。
このように本実施例の二次成形樹脂の成形用の金型は、上金型80と下金型90とを主体として構成されている。樹脂封止時(圧縮成形時)には、上金型80と下金型90とでLED用基板をクランプし(挟み)、二次成形樹脂としてのレンズ樹脂77を圧縮成形により形成する。すなわち、図2Iに示されるように、調整機構83(弾性部材)を介して保持されたキャビティブロック81によりLEDチップ実装領域18に充填されたレンズ樹脂77を押し付けることにより、レンズ樹脂77は適切な圧力で成形される。そして金型を離型することにより、図2Jに示されるようなLED装置が得られる。この場合、図2Jに示されるようにキャビティブロック81をリフレクタ(樹脂71)に挿入可能なサイズとしたときには、図2Jに示されるように、レンズ樹脂77の表面は、リフレクタ(樹脂71)の表面と同一、又は、リフレクタの表面よりも低い位置に形成することができる。また、キャビティブロック81の端面に凹部を設けることで、レンズ樹脂77を用いて凸レンズを成形してもよい。
図6は、実施例1乃至4におけるLED装置の概略斜視図である。図6において、1は本実施例のLED装置を示している。なお図6では、1つの環状リフレクタの内部に5つのLEDチップ40が実装されているが、各実施例はこれに限定されるものではない。単数のLEDチップ40又は5つ以外の複数のLEDチップ40を実装するように構成してもよい。また、同図において、実際には複数のLEDチップ40を覆うようにレンズ樹脂77がリフレクタ(樹脂71)内に形成されているが、内部構造の理解のため、レンズ樹脂77の図示は省略している。
このように、本実施例の樹脂71(第1の樹脂)は、一つのLEDチップ40(第1のLEDチップ)を囲むように形成された第1のリフレクタ部と、第1のLEDチップに隣接する第2のLEDチップを囲むように形成された第2のリフレクタ部とを有する。更に、樹脂71は、第1のリフレクタ部と第2のリフレクタ部との間を連結する樹脂71a(連結部)を有する。
本実施例によれば、リフレクタで囲まれたLEDチップ実装領域18に圧縮成形によって二次成形樹脂(レンズ樹脂)を充填できるため、二次成形樹脂の使用量を低減でき、コストの低減が可能となる。
なお本実施例では、上金型50のキャビティ58の形状を変えて、キャビティ58の表面がLEDチップ40の上面に当接するように構成してもよい。このような構成により、図6に示されるLED装置2のように、環状リフレクタの内部(LEDチップ実装領域)にも樹脂71を充填させることができる。このとき、LED装置2において、樹脂71(充填部)の上面71cは、LEDチップ40の上面(発光面)と同一平面上に位置する。ここで、同一平面上とは、厳密に同一平面上に位置することに限定されるものでなく、ほぼ同一平面上(略同一平面上)に位置する場合も含む。このように樹脂71は、LEDチップ40の側面を覆うように、LEDチップ40の発光面と同一(略同一)の高さの充填部を有する。
この場合、リフレクタ(樹脂71)の接地面を増やして基板10により強固に密着させることができ、リフレクタ(樹脂71)の脱落を防止することもできる。さらに、放熱性の高いフィラーを充填した樹脂71を用いることで、LEDチップ40の放熱を効率的に行うこともできる。また、基板10を露出させないため、均一な色のリフレクタ(樹脂71)のみでLEDチップ40からの光を反射させることができ、基板10の色に関係なく所望の発光色を得ることもできる。
次に、図3A乃至図3Eを参照して、本発明の実施例2におけるLED装置及びその製造方法について説明する。図3A乃至図3Eは、本実施例におけるLED装置の製造工程図である。
本実施例は、リフレクタを構成する一次成形樹脂(樹脂71)を基板10上に成形する際に、中間プレート15を用いる点で、実施例1の製造方法とは異なる。なお、中間プレート15は、キャビティを構成する要素として機能するため「キャビティプレート」と呼称されたり、金型外から搬入されて用いられるため「キャリアプレート」と呼称されることもある金型の構成要素の一つである。本実施例では、一次成形樹脂用の金型として、上金型50a(第1の金型)、中間プレート15、及び、下金型60a(第2の金型)を備えた金型が用いられる。後述のように、中間プレート15は、基板10に実装されたLEDチップ40の周囲において基板10を第1の面側(LEDチップ実装面側)から押さえる。他の基本的な構成及び製造工程は実施例1と同様な部分については、これらの説明は省略する。
まず、図3Aに示されるように、基板10上に複数のLEDチップ40を実装して構成されたLED用基板に対して、一次成形を行う。本実施例において、下金型60aにはLED用基板を載置するための凹部61が設けられている。一次成形の際には、下金型60aの凹部61上に基板10が設置される。この場合、前述の実施例の下金型60における基板10の搭載位置を昇降可能とすることで、本実施例の下金型60aとして使用することもできる。
また本実施例においては、一次成形の際に、基板10(LED用基板)上に中間プレート15が載置される。中間プレート15には、孔部17が形成されている。孔部17は、基板10上の複数のLEDチップ40に対応する領域に設けられており、後述のLEDチップ実装領域18を囲うリフレクタを形成する型形状の一部を構成する。また、孔部17は、後述する中間プレート15の取り外しの際に樹脂71の注入位置及び排出位置においてリフレクタの円環形状が破損するのを防止するためにその部分を突起させるように形成するための凹みを有する。
本実施例の上金型50aは、キャビティ底面57aを有する。キャビティ底面57aは、平面視環状に形成され、中間プレート15の孔部17の側壁17aと凸部51の外周面とともに、型閉じ状態で樹脂71(一次成形樹脂)が充填される環状の空間(キャビティ)を形成し、リフレクタの外形を決定する。キャビティ底面57aには、樹脂71が通過する空間を形成するためのスルーゲート57d及びエアベント部57eが接続されている。また、中間プレート15には、上金型50aとの間で樹脂71が通過する空間を形成するための凹部17bが孔部17に接続される位置に設けられている。樹脂71は、凹部17b及びスルーゲート57dを介して、上金型50aと中間プレート15との間に形成される環状の各空間の間を流れて充填する。
このような構成の金型を用いて、図3Bに示されるようにLED用基板をクランプする。続いて、図3Cに示されるように、LED用基板に対して樹脂成形(トランスファ成形)が行われ、上金型50a(キャビティ底面57a及び凸部51の外周面)と中間プレート15の孔部17(側壁17a)とにより形成された空間の内部に樹脂71が充填され、リフレクタが形成される。そして金型を離型することにより、図3Dに示されるような樹脂成形後のLED用基板が得られる。これにより、LED用基板には、実施例1と同様にLEDチップ実装領域18が形成される。
本実施例において、図3Dに示されるように、離型直後のLED用基板には、中間プレート15が取り付けられている。このため、図3Eに示されるように、中間プレート15を図中の上方向(矢印方向)に移動させ、LED用基板から中間プレート15を取り外す。このとき、上金型50aのカル55及びランナ56の領域に成形された樹脂71(樹脂71f)、スルーゲート57dに対応する領域に成形された樹脂71(樹脂71g)、及び、エアベント部57eに対応する領域に成形された樹脂71(樹脂71h)は、LED用基板から中間プレート15を取り外す際に同時に切断され、中間プレート15側に保持される。また、本実施例のリフレクタ(樹脂71)には、LEDチップ実装領域18の外側において、中間プレート15の形状に応じた形状を有する突起部71bが形成されている。
更に、LEDチップ実装領域18の内部に、実施例1と同様の二次成形樹脂(レンズ樹脂)を圧縮成形で(例えば圧縮成形装置200を用いて)充填することにより、図6に示されるようなLED装置3が製造される。このように、本実施例の樹脂71(第1の樹脂)は、あるLEDチップ40(第1のLEDチップ)を囲むように形成された第1のリフレクタ部と、第1のLEDチップに隣接する第2のLEDチップを囲むように形成された第2のリフレクタ部とを有する。また、これらのリフレクタ部は、図6に示されるように、一対の突起部71bが横方向に突出した形状となっている。本実施例の構成では、これらの突起部71bを介して樹脂71の注入及び排出を行うために、基板10の端部に向けて突起部71bが突起するような配置で設けられている。また、樹脂71の流れ方向に並べられたリフレクタの間においては、突起部71bが隣接するリフレクタに向けて突起するような配置で設けられている。
本実施例において、上金型50aと下金型60aは、中間プレート15を介して基板10をクランプすることにより、LEDチップ40を基板10に実装した状態で少なくともLEDチップ40を囲むように、LEDチップ40からの光を反射させるための樹脂71を成形するように構成されている。
本実施例によれば、中間プレートを用いてリフレクタを構成する樹脂(一次成形樹脂)を成形するため、基板10上に樹脂71aが形成されない。このため、不要な樹脂71aの部分を基板10から除去する工程が不要となる。したがって、基板10上に樹脂71aの跡が残らず、二次成形の圧縮成形金型の型閉じに影響を及ぼすおそれがなく確実に適切なクランプを行うことができる。さらに、樹脂71aの除去という基板10の処理工程を削減して生産性を向上することもできる。また、基板10上に樹脂71aが形成されるときには、基板10にダメージを与えることなく樹脂71aを除去するために、樹脂71aの位置に金メッキを付けることがあるが、これを削減して製品コストを低減することもできる。
また、リフレクタを構成する環状の樹脂71から突起するように形成された突起部71bを介して樹脂71が注入されると共に排出されるため、中間プレート15を除去するときにリフレクタの環形状が破損してしまうことを防止することもできる。
次に、図4A乃至図4Cを参照して、本発明の実施例3におけるLED装置及びその製造方法について説明する。図4A乃至図4Cは、本実施例におけるLED装置の製造工程図である。
本実施例は、一次成形樹脂(樹脂71)を基板10上に成形する際に中間プレート15(キャビティプレート)を用いる点で、実施例2の製造方法と同様である。一方、本実施例の上金型50bは、キャビティブロック53、及び、クランプ時にキャビティブロック53の圧力を調整する調整機構59を備えてLEDチップ40をクランプしながら一次成形を行う点で、実施例2の構成とは異なる。なお、上述した図6に示されるようなLED装置2を成形する際にも、同様の調整機構を備えることでLEDチップ40をクランプしながら一次成形を行うことで、環状リフレクタの内部にも樹脂71を充填させる成形が可能である。この調整機構59は、キャビティブロック53により必要以上のストレスがLEDチップ40に加えられることなく、LEDチップ40端面へのフラッシュばりの発生も防止しながら成形可能とするために設けられている。
本実施例において、調整機構59は弾性部材(ばね)であるが、これに限定されるものではなく、例えば前述のクサビ機構などを用いてLEDチップ40の高さに合わせるようキャビティブロック53の高さを調整してもよい。また本実施例において、キャビティブロック53の下面53aは、クランプ時に基板10上に実装された複数のLEDチップ40に所定の圧力を加えながら押圧する押圧部である。なお、他の基本的な構成及び製造工程は実施例2と同様であり、これらの説明は省略する。
まず、図4Aに示されるように、基板10上に複数のLEDチップ40を実装して構成されたLED用基板に対して、一次成形を行う。本実施例の下金型としては、実施例2と同様に下金型60aが用いられる。一次成形の際には、下金型60aの凹部61上に基板10が設置される。
また一次成形の際には、実施例2と同様に、LED用基板上に中間プレート15が載置される。本実施例の上金型50bは、キャビティ外周底面57bを有する。キャビティ外周底面57bは、中間プレート15の孔部17の側壁17a、及び、キャビティブロック53の下面53bとともに、樹脂71(一次成形樹脂)の充填空間(キャビティ)を形成し、リフレクタの外形の一部を決定する。したがって、本実施例ではキャビティ外周底面57bとキャビティブロック53の下面53bとによってキャビティ底面が構成される。
このような構成の金型を用いて、図4Bに示されるようにLED用基板をクランプする。このとき、キャビティブロック53の下面53a(押圧部)は、基板10上に実装された複数のLEDチップ40に所定の圧力を加えながら押圧する。この状態で、LED用基板に対して樹脂成形(トランスファ成形)が行われる。このため本実施例では、上金型50b(キャビティ外周底面57b、及び、キャビティブロック53の下面53b)と中間プレート15の孔部17(側壁17a)とにより形成された空間の内部に樹脂71が充填されることで、同図に示されるようなフリップチップ実装されたLEDチップ40にアンダーフィルしながらリフレクタが形成される。そして、金型を離型することにより、図4Cに示されるような樹脂成形後のLED用基板が得られる。
図4Cに示されるように、本実施例では、LEDチップ40の周囲にも樹脂71が充填される。すなわち、実施例2のようなLEDチップ実装領域(すなわち、LEDチップ40の周囲において、実施例2では一次成形後に樹脂71が充填されずに基板10が露出する領域)も封止される。ただし本実施例においては、LEDチップ40の上面は、樹脂成形時(クランプ時)にキャビティブロック53の下面53aで押圧されている。このため、LEDチップ40の上面は、樹脂71で覆われることなく露出している。これは、LEDチップ40を上面の発光面を樹脂71で覆うことなく、LEDチップ40からの光を射出可能に封止するためである。本実施例において、樹脂71の上面71cは、LEDチップ40の上面と同一平面上に位置する。また、本実施例のリフレクタ(樹脂71)にも、中間プレート15の形状に応じた形状を有する突起部71bが形成されている。
続いて、複数のLEDチップ40の上側に、二次成形樹脂(レンズ樹脂)を圧縮成形で(例えば圧縮成形装置200を用いて)充填することにより、図6に示されるようなLED装置4が製造される。
本実施例によれば、実施例2と同様に、中間プレートを用いてリフレクタを構成する樹脂(一次成形樹脂)を成形するため、不要な樹脂71aの部分を基板10から除去する必要がなくなり、これによる上述した効果を奏することができる。また、LEDチップ40の上面を露出させながら、LEDチップ40の実装領域を封止することにより、図6に示されるようなLED装置2と同様の効果も奏することができる。
次に、図5A乃至図5Gを参照して、本発明の実施例4におけるLED装置及びその製造方法について説明する。図5A乃至図5Gは、本実施例におけるLED装置の製造工程図である。
本実施例では、リフレクタ樹脂を成形する前に、トランスファ成形により(例えばトランスファ成形装置100を用いて)、透光性樹脂79で複数のLEDチップ40を覆う。すなわち透光性樹脂79は、LEDチップ40を基板10に実装した状態でLEDチップ40を覆うように成形される。また本実施例において、透光性樹脂79は、例えば蛍光体を含有しない透明樹脂である。なお、透光性樹脂79は、トランスファ成形により成形されるため、蛍光体を含有しない透明樹脂を用いることがコストの面で好ましいが、蛍光体を含有した透明樹脂を用いることも可能である。
図5A乃至図5Cは、基板10に透光性樹脂を成形する工程を示している。透光性樹脂79による成形を行う際には、まず図5Aに示されるように、透光性樹脂成形用の金型に、基板10上にLEDチップ40を実装して構成されたLED用基板を設置する。本実施例において、透光性樹脂成形用の金型は、上金型380(第1の金型)及び下金型390(第2の金型)を備えて構成される。LED用基板は、下金型390上の所定の位置に載置される。
続いて図5Bに示されるように、金型でLED用基板をクランプする。上金型380は、LED用基板を上面側(一方面側、第1の面側)から押さえ付ける。また下金型90は、LED用基板を下面側(他方面側、第2の面側)から押さえ付ける。このとき上金型380は、フィルム材24(リリースフィルム)を介してLED用基板をクランプする。
クランプ後、前述と同様に、予熱したポット63の中に液状樹脂78を供給して、加熱する。そして、トランスファ機構(不図示)によってポット63に沿って上下に摺動可能に構成されたプランジャ64を上動させて加熱した透光性樹脂79を圧送することにより、上金型50と下金型60との空間(キャビティ357の内部)が透光性樹脂79で充填される。なお、液状樹脂78に代えて、タブレット状の熱硬化性樹脂を供給することもできる。
プランジャ64によって透光性樹脂79が圧送されることにより、加熱した透光性樹脂79は、カル355、ランナ356、及び、スルーゲート360を介して、キャビティ357の内部に供給される。また、下流側に配置されたキャビティ357にはエアベント361が接続されている。これにより、キャビティ357の充填された透光性樹脂79は、余剰分がエアベント361に押し出される。このようにして、上金型380と下金型390の間の空間(キャビティ357の内部)は、透光性樹脂79により充填されることで、基板10に対して樹脂成形(樹脂封止)が行われる。そして金型を離型することにより、図5Cに示されるようなLED用基板(透光性樹脂封止後のLED用基板)が得られる。
本実施例のキャビティ357には、各々のLEDチップ40に対応する位置(上部位置)に、半球状の凹部358が形成されている。このため、透光性樹脂79が充填されることにより、図5Cに示されるように、各々のLEDチップ40の上側が半球状に突出した突起部79aが形成される。また、クランプ時において、ランナ356、スルーゲート360、及び、エアベント361にも樹脂が充填されるため、基板10上のLEDチップ40の封止位置に接続するように透光性樹脂79が成形される。
透光性樹脂79の成形後、LED用基板の上にリフレクタ樹脂を成形する。図5D乃至図5Gは、透光性樹脂79を成形した基板10の上に、リフレクタ樹脂(樹脂71)を成形する工程を示している。本実施例において、樹脂71は、実施例1の白樹脂である。また、本実施例の樹脂71は、実施例1の金型(上金型50、下金型60)を用いて、透光性樹脂79が成形されたLED用基板の上に成形することができる。
具体的には、まず図5Dに示されるように、下金型60の上に、透光性樹脂79が成形されたLED用基板を設置する。続いて図5Eに示されるように、金型でLED用基板をクランプする。その後、図5Fに示されるように、基板10に対して樹脂成形(リフレクタ樹脂の成形)が行われる。そして金型を離型することにより、図5Gに示されるようなLED用基板が得られる。
この場合、本実施例における樹脂71成形用の上金型50では、透光性樹脂79成形用の上金型380におけるランナ356、スルーゲート360、及び、エアベント361の溝部にそれぞれ対応して、ランナ56、スルーゲート56a、及び、エアベント56bの溝部がそれぞれ成形される。ランナ56、スルーゲート56a、及び、エアベント56bは、透光性樹脂79成形用の上金型380において対応する溝部よりも断面形状が大きく形成されている。このため、透光性樹脂79が成形されたLED用基板10をクランプした状態のランナ56、スルーゲート56a、及び、エアベント56b内において、透光性樹脂79の上を樹脂71が流されることで、キャビティ57の内部に樹脂71(リフレクタ樹脂)が充填される。
また、本実施例における樹脂71成形用の上金型50では、透光性樹脂79に対応する位置の凸部51おいて、凹ませて溝部とすることで透光性樹脂79の厚み分だけ逃がしながらクランプすることができる。この場合、透光性樹脂79が形成された基板10の適切なクランプが可能となり、樹脂71の樹脂漏れを防止することができる。なお、樹脂71の樹脂漏れが問題にならない場合には、凸部51に凹みを設けずに透光性樹脂79を押しつぶしてクランプするようにしてもよい。
このように、透光性樹脂79を適切にクランプすることで、図5Fに示されるように、上金型50のキャビティ58の内部には、樹脂71(リフレクタ樹脂)が充填されない。このため、図5Gに示されるように、樹脂71が成形されていない領域(LEDチップ実装領域18a)が形成される。LEDチップ実装領域18aの内部において、樹脂71は充填されていない。このため、透光性樹脂79(突起部79a)が露出している。
続いて、複数のLEDチップ40の上側(透光性樹脂79の上側)に、レンズ樹脂77を圧縮成形で(例えば圧縮成形装置200を用いて)充填することにより、本実施例のLED装置が製造される。この場合、例えば蛍光体を含有しない透光性樹脂79を用いることにより、蛍光体を含まない透明な樹脂79でLEDチップ40を所望のレンズ形状に封止した後に、蛍光体を含む樹脂77で封止することができる。これによれば、透明な樹脂79による凸レンズ形状で任意の方向に射出させた光を、蛍光体を含む樹脂79により波長変換することができるため、射出方向や発光色などの発光状態を細かく調整したLEDパッケージを提供することができる。
また、このように本実施例では、リフレクタ樹脂(樹脂71)の成形前に、LEDチップ40を覆うように透光性樹脂79を成形するため、より信頼性の高いLED装置を提供することができる。また、透光性樹脂79は、LEDチップ40と基板10との間の空隙を適切に充填することができるため、アンダーフィルとしても機能する。
また、例えば蛍光体を含有する透光性樹脂79を用いることにより、蛍光体を含有する樹脂79でLEDチップ40を波長変換可能なレンズで封止した後に、蛍光体を含まない樹脂77で封止することができる。これによれば、蛍光体を含む樹脂79による凸レンズ形状で波長変換しながら任意の方向に射出可能なレンズを、透明な樹脂77により保護することができる。
上記各実施例によれば、低コストで製造可能なLED装置、LED装置の製造方法、および、金型を提供することができる。
以上、本発明の実施例について具体的に説明した。ただし、本発明は上記実施例として記載された事項に限定されるものではなく、本発明の技術思想を逸脱しない範囲内で適宜変更が可能である。
レンズ樹脂77としては、液状樹脂の他にも、パウダー状等の顆粒樹脂を用いることができる。例えば、顆粒樹脂では静止状態では安息角によって決定される形状に積み上げて基板上に供給することもできるが、搬送時の振動や衝撃などにより形状が崩れて金型クランプ面へ飛び出してしまうことが考えられる。これに対して、顆粒樹脂であってもリフレクタにより外部への飛び出しをせき止めることができるため、成形装置内の汚染を防止し安定して成形することができ、搬送の速度を上げて生産性を向上することもできる。
また、各実施例の方法と同様の方法により、受光素子などの光学系のチップ等、LEDチップ以外の半導体素子を備えた半導体装置を製造することもできる。
なお、図1(a)、(b)に示される樹脂成形装置としてのトランスファ成形装置100及び圧縮成形装置200は、互いに別の装置として設けられるが、これに限定されるものではない。例えば、トランスファ成形装置100の機能(トランスファ成形)及び圧縮成形装置200の機能(圧縮成形)を一台の樹脂成形装置として提供することもできる。例えば、図2Aに示されるようなキャビティに樹脂を注入可能な構成と、図2Hに示されるようなキャビティの深さを可変可能な構成と、を有する金型を用いることで両方の成形を実施することができる。例えば、一次成形として、ポット63に供給された樹脂71をキャビティに注入することでトランスファ成形を行い、二次成形として、基板10上に供給された樹脂79をクランプして圧縮成形することができる。この場合、トランスファ成形及び圧縮成形を一台の樹脂成形装置で行うことができるため、装置の付加価値を向上することができる。即ち、一台の樹脂成形装置で2種類の成形が可能となり、製品要件によって樹脂成形装置を使い分けることができるため、装置稼働率を上げると共に、半導体製造工場における樹脂成形装置の設置面積を最小限にすることができる。また、トランスファ成形装置100及び圧縮成形装置200の各ユニットを備えることで、一台の樹脂成形装置でトランスファ成形と圧縮成形とを行ってもよい。
また、図6に示されるようなLED装置1、3のように、LEDチップ実装領域18aの内部において樹脂71が充填されない実施例において、一次成形前に基板10にチップ実装されていなくてもよい。この場合、一次成形後にLEDチップ40を基板10にチップ実装される。