以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
まず、図1〜図4を参照して、本発明の第1実施形態によるエンジン100の構成について説明する。なお、図1では、エンジン100の主な構成要素に対して符号を付す一方、図2〜図4において、シリンダブロック2および補機ブラケット5まわりの詳細な構造に対して符号を付している。また、以下では、クランクシャフト40の延びる方向をX方向(前後方向)とし、クランクシャフト40に直交する方向をY方向(左右方向)とし、シリンダ2aの延びる方向をZ方向(上下方向)として説明を行う。
本発明の第1実施形態による自動車用のエンジン100は、図1に示すように、シリンダヘッド1、シリンダブロック2およびクランクケース3を含むアルミニウム合金製のエンジン本体10を備えている。また、ガソリン機関からなるエンジン100は、エンジン本体10のX2側の側端部に組み付けられるチェーンカバー20と、シリンダヘッド1の上側(Z1側)に組み付けられるヘッドカバー30とを備えている。なお、エンジン100は、本発明の「内燃機関」の一例である。
シリンダヘッド1の内部には、カムシャフトおよびバルブ機構(図示せず)などが配置されている。シリンダヘッド1の下方(Z2側)に接続されるシリンダブロック2の内部には、ピストン11(図2参照)がZ方向に往復動するシリンダ2a(図2参照)と、隔壁を隔ててシリンダ2aを取り囲むとともにシリンダ2aを冷却するための冷却水(冷却液(不凍液))が流通されるウォータジャケット2bとが形成されている。また、シリンダヘッド1の一方側(Y2側)には、シリンダブロック2に形成された複数のシリンダ2aのそれぞれに吸気を導入する吸気装置(図示せず)が接続されている。
また、シリンダブロック2とシリンダブロック2の下方(Z2側)に接続されるクランクケース3とによって、エンジン本体10の内底部にクランク室3aが形成されている。また、クランク室3aには、ピストン11(図2参照)およびコンロッド12(図2参照)を介してX軸まわりに回転可能に接続されたクランクシャフト40が配置されている。なお、図1においては、クランクシャフト40を概略棒形状に図示しているが、実際には、クランクシャフト40は、各シリンダ2aの直下において回転軸が偏心されたクランクピン41(図2参照)とこのクランクピン41を軸方向に挟み込むバランスウェイト42(図2参照)とがクランクジャーナル43(図2参照)に接続されて構成されている。また、クランク室3aの下部(Z2側)には、エンジンオイル(以下、単にオイルと呼ぶ)を溜めるオイル溜め部3bが設けられている。オイルは、図示しないオイルポンプによりオイル溜め部3bからエンジン本体10内の上部に汲み上げられてカムシャフトなどの動弁系タイミング部材(図示せず)やピストン11の外周面などの摺動部を潤滑にした後、自重により落下してオイル溜め部3bに戻される。
また、図1に示すように、エンジン100は、補機ブラケット5を備えている。アルミニウム合金製の補機ブラケット5は、本体部50aの外縁部に複数の固定孔5bが形成されたシリンダブロック取付部5aと、エンジン100に対する補機類としての冷却水循環用のウォータポンプ70が固定される固定穴5w(たとえばネジ穴)を含むウォータポンプ取付部5cとを有する。ここで、X−Z平面に配置されるシリンダブロック取付部5aとY−Z平面に配置されるウォータポンプ取付部5cとは、互いに直交する関係にある。なお、補機ブラケット5は、本発明の「補機取付部材」の一例である。また、ウォータポンプ70は、本発明の「補機」の一例である。
補機ブラケット5は、シリンダブロック取付部5aをシリンダブロック2に対向させた状態でボルト91が固定孔5bに挿通されて締め込まれることにより側壁2cの所定位置に取り付けられている。なお、補機ブラケット5とシリンダブロック2(側壁2c)との間には、メタルガスケットなどのシール部材93(図2参照)が配置されている。シール部材93は、図3における側壁2cの合わせ面Aの部分(後述する突出壁部2eの先端部2fを除いた周状の接合面(ハッチング領域))と、図4における補機ブラケット5の合わせ面Aの部分(後述する突出壁部5eの先端部5fを除いた周状の接合面(ハッチング領域))とに挟まれている。また、ウォータポンプ70は、取付部71に複数の取付孔72を有している。そして、ボルト92が取付部71の取付孔72を介して補機ブラケット5のウォータポンプ取付部5cに設けられた固定穴5wに締め込まれることにより、ウォータポンプ70は、メタルガスケットなどのシール部材94を介してウォータポンプ取付部5cに取り付けられている。ここで、図4に示すように、ウォータポンプ70は、ハウジング73の内部に羽根車(インペラ)74(破線で示す)が回転可能に構成されている。そして、ハウジング73の外部に設けられたプーリ75が所定方向に回転されることによって羽根車74が回転されてポンプ機能が発揮される。また、図2に示すように、補機ブラケット5は、ウォータポンプ70に加えて図示しないオルタネータ(発電装置)および車内空調用のコンプレッサ(圧縮機)などの他の補機類をエンジン本体10のY2側の側方部に固定するためにも使用される。
詳細については後述するが、シリンダブロック2の側壁2cのY2側の表面は、所定の凹凸形状を有するように形成されている。また、補機ブラケット5のシリンダブロック取付部5aのY1側の表面も、所定の凹凸形状を有するように形成されている。そして、補機ブラケット5は、シリンダブロック取付部5aを側壁2cの所定位置に向き合わせてシール部材93(図2参照)を介してシリンダブロック2に取り付けられている。
また、図2に示すように、シリンダブロック2に補機ブラケット5が取り付けられた状態で、側壁2cのY2側の表面とシリンダブロック取付部5aのY1側の表面との間に、所定の形状を有する内部空間が形成されている。また、この内部空間によってエンジン100におけるセパレータ部6が構成されている。言い換えると、セパレータ部6は、シリンダブロック2と補機ブラケット5との両方に跨るように設けられている。
エンジン100では、シリンダ(シリンダライナ)2aの内壁面とピストンリング13との隙間からシリンダ2a下部のクランクケース3(クランク室3a)に漏れ出したブローバイガス(未燃焼の混合気)が、シリンダ2aに空気を吸入する吸気系80に再び導入される。より具体的には、図2に示すように、エンジン本体10には、クランクケース3と吸気系80に接続されるPCV(Positive Crankcase Ventilation)バルブ81とを連通するようなブローバイガスの流路が設けられており、セパレータ部6は、このブローバイガスの流路の一部を構成している。したがって、クランクケース3(クランク室3a)に漏れ出したブローバイガスは、セパレータ部6を下部側から上部側に流通してPCVバルブ81に導かれた後、吸気系80に導入される。
なお、炭化水素を含むブローバイガスには、クランク室3aにおいて発生したオイルミストが混合される。したがって、図2に示すように、ブローバイガスがセパレータ部6を通過する際に、凹凸形状を有して入り組んだ内壁(内壁面6d)により流路長が往復蛇行状に引き延ばされたセパレータ部6の内部空間に滞留するブローバイガスから、微粒子状のオイルミストが効率よく捕集される。また、凹凸形状を有して入り組んだ内壁面6dに対する慣性衝突を利用してブローバイガスからオイルが気液分離されるように構成されている。気液分離されて液滴となったオイルは、セパレータ部6の下部に配置された入口部6a(貫通部4a)からクランクケース3(オイル溜め部3b(図1参照))に自然落下される。以下に、セパレータ部6を構成する構造について詳細に説明する。
セパレータ部6は、図2に示すように、シリンダブロック2の側壁2cの下部(クランクケース3の上方)にZ方向に貫通するように形成された貫通孔からなる入口部6aと、補機ブラケット5のシリンダブロック取付部5aに形成された貫通孔からなる出口部6bとを有する。この場合、入口部6aを介してクランクケース3側とセパレータ部6とが連通され、出口部6bを介してPCVバルブ81側とセパレータ部6とが連通されている。また、セパレータ部6は、シリンダブロック2の側壁2cの一部となる内壁面2dと、補機ブラケット5のシリンダブロック取付部5aの一部となる内壁面5dとによってラビリンス構造を有する内部空間が形成されている。なお、内壁面2dと内壁面5dとによってセパレータ部6の内壁面6dが構成されている。また、内壁面2dは、シリンダブロック2が単独ではその外側の表面の一部を構成しているが、ここでは、セパレータ部6の内壁面6dを構成する意味で、「内壁面」と称する。
具体的には、シリンダブロック2の内壁面2dは、板状に形成された突出壁部2eを含んでいる。突出壁部2eは、セパレータ部6におけるシリンダブロック2側の内壁面2dの部分からY方向に対向する補機ブラケット5側の内壁面5d側に突出するように延びている。また、補機ブラケット5の内壁面5dは、板状に形成された突出壁部5eを含んでいる。突出壁部5eは、セパレータ部6における補機ブラケット5側の内壁面5dの部分からY方向に対向するシリンダブロック2側の内壁面2d側に突出するように延びている。また、図2および図3に示すように、シリンダブロック2の突出壁部2eは、上下方向(Z方向)に2箇所形成されるとともに、図2および図4に示すように、補機ブラケット5の突出壁部5eは、上下方向(Z方向)に2箇所形成されている。また、2つの突出壁部2eおよび2つの突出壁部5eは、互いにZ方向に所定の間隔を隔てた状態でX方向(紙面に垂直な方向)に沿って平行に延びている。また、突出壁部2eおよび突出壁部5eの上面(Z1側)および下面(Z2側)は、それぞれY−Z平面と平行な平坦面によって構成されている。なお、図3では、合わせ面Aの位置で補機ブラケット5(図2参照)側からシリンダブロック2をY1方向に見た状態を図示している。
また、図2に示すように、補機ブラケット5がシリンダブロック2に組み付けられた状態において、シリンダブロック2に設けられた板状の突出壁部2eは、シリンダブロック2と補機ブラケット5との合わせ面Aまで延びている。また、補機ブラケット5に設けられた板状の突出壁部5eについても合わせ面Aまで延びている。すなわち、突出壁部2eの先端部2fと突出壁部5eの先端部5fとは、共に、合わせ面Aに揃うように配置されている。なお、図2おいては、110−110線における断面が、合わせ面Aに相当する。また、先端部2fがY2方向に延びる突出壁部2eと、先端部5fがY1方向に延びる突出壁部5eとは、セパレータ部6におけるZ2側(入口側)からZ1側(出口側)に向かって、突出壁部2e、突出壁部5e、突出壁部2e、突出壁部5eの順に交互に配置されている。また、シリンダブロック2に設けられた板状の突出壁部2eのうちの下側(Z2側)の突出壁部2eは、セパレータ部6の入口部6aの上部領域を覆うようにして内壁面2dから補機ブラケット5側の内壁面5d(合わせ面A)に向けてY2方向に延びている。
したがって、クランクケース3(クランク室3a)に漏れ出たブローバイガスの流れとしては、下部の入口部6aからセパレータ部6に矢印Pで示されるように流入して下側(Z2側)の突出壁部2eの下面に衝突するとともに、突出壁部2eの下面とセパレータ部6の内底面との間の領域(空間)をY2方向に流れ、補機ブラケット5の内壁面5dに衝突しながらその近傍で180度上向きに折り返される。そして、下側(Z2側)の突出壁部5eの下面と下側(Z2側)の突出壁部2eの上面とに沿ってY1方向に流れ、シリンダブロック2の内壁面2dに衝突しながらその近傍で再び180度上向きに折り返される。そして、上側(Z1側)の突出壁部2eの下面と下側(Z2側)の突出壁部5eの上面とに沿ってY2方向に流れ、補機ブラケット5の内壁面5dに衝突しながらその近傍で再び180度上向きに折り返される。
ブローバイガスは、Y方向に沿った往復蛇行を複数回繰り返した後、セパレータ部6の天井部(後述する上方内壁面22dおよび52d)と上側(Z1側)の突出壁部5eの上面との間の領域(空間)をY2方向に流れて、上部の出口部6bからPCVバルブ81側に放出される。このように、セパレータ部6内では、2つの突出壁部2eおよび2つの突出壁部5eによってラビリンス(迷路)構造が構成されており、滞留するブローバイガスがセパレータ部6の内壁面6d(内壁面2dおよび内壁面5d)に衝突してブローバイガスからオイルが気液分離されるように構成されている。また、オイルが気液分離されたブローバイガスはPCVバルブ81に導かれて吸気系80に還流される。
また、補機ブラケット5がシリンダブロック2に組み付けられた状態において、エンジン本体10には、所定のレイアウトを有する冷却水通路7が形成されている。
冷却水通路7は、図2および図4に示すように、補機ブラケット5内をX方向に延びる流路部7aおよび流路部7bと、補機ブラケット5内を斜め上方向(概略矢印Z1方向)に延びる流路部7c(図4参照)と、補機ブラケット5およびシリンダブロック2内をY方向に延びる流路部7dとを含んでいる。この場合、冷却水通路7は、冷却水(冷却液(不凍液))が流れる向きに沿って、流路部7a、ウォータポンプ70(図4参照)、流路部7c、流路部7bおよび流路部7dの順に接続されている。また、図2に示すように、流路部7dは、シリンダブロック2の内部でウォータジャケット2bの下端部近傍に接続されており、流路部7dもウォータジャケット2bの一部を兼ねている。なお、流路部7aは、本発明の「第1の冷却水通路」の一例である。また、流路部7bおよび7dは、本発明の「第2の冷却水通路」の一例である。また、流路部7cは、本発明の「第3の冷却水通路」の一例である。
ここで、冷却水(冷却液)の流れについて説明する。図4に示すように、エンジン100(図1参照)が定常的に駆動されている際には、図示しないラジエータにより冷やされた冷却水(冷却液)が、ラジエータから延びる管路(ホース部材)に接続された補機ブラケット5内の流路部7aを矢印X2方向に流れてウォータポンプ70に吸い込まれる。ウォータポンプ70により吐出された冷却水は、補機ブラケット5内の流路部7cを斜め上方向(概略矢印Z1方向)に流れた後、補機ブラケット5内の流路部7bを矢印X1方向に流れる。さらに、流路部7bを流れた冷却水は、水平面(X−Y平面)に沿って90度だけ向きを変えて補機ブラケット5内の流路部7d(図2参照)を矢印Y1方向に流れてウォータジャケット2b(図2参照)へと流入される。そして、シリンダヘッド1およびシリンダブロック2の熱を受け取った冷却水はシリンダヘッド1から放出されるとともにラジエータに戻されて冷却される。このように、流路部7a〜7dからなる冷却水通路7は、エンジン100が定常的に駆動されている際にはシリンダヘッド1およびシリンダブロック2を冷却するための流路の一部を担う。
また、補機ブラケット5内の冷却水通路7は、エンジン100の始動直後においては、エンジン100により暖められた冷却水の熱を利用してエンジン本体10に内包されるセパレータ部6を暖める役割を有する。この場合、図示しない流路切替弁が駆動されることによって、シリンダヘッド1およびシリンダブロック2から放出された冷却水がラジエータを経由することなく(冷却されることなく)補機ブラケット5内の流路部7a(冷却水通路7)に還流される。これにより、エンジン100の始動直後おいては、エンジン100により暖められた冷却水の熱を効率的に利用してセパレータ部6が暖められる。また、これによって、始動直後に発生しセパレータ部6を通過するブローバイガスが暖められる。したがって、ブローバイガスに含まれる水蒸気成分がセパレータ部6の冷えた内壁面6d(突出壁部2eを含む内壁面2dおよび突出壁部5eを含む内壁面5d)の部分で結露するのが抑制されている。
ここで、第1実施形態では、セパレータ部6を暖めるための冷却水通路7は、セパレータ部6に突出することなくセパレータ部6の外側に近接するようにしてセパレータ部6の内壁面6dに沿って配置されている。
より詳細には、図2に示すように、X2方向に延びる流路部7aは、補機ブラケット5の側方内壁面51dからセパレータ部6側の内部空間に横向きに突出することなくセパレータ部6の外側の近傍に補機ブラケット5の側方内壁面51dに沿って配置されている。なお、側方内壁面51dは実質的に内壁面5dに含まれるが、ここでは、流路部7aに沿って形成された補機ブラケット5の内壁面5dの部分を側方内壁面51dと称する。また、流路部7aがセパレータ部6の内部空間に張り出されないのでセパレータ部6の内部空間は流路部7aによって圧迫されていない。なお、側方内壁面51dは、本発明の「第1の側方内壁面」の一例である。
また、X1方向に延びる流路部7bは、補機ブラケット5の上方内壁面52dからセパレータ部6側の内部空間に下向きに突出することなくセパレータ部6の外側の近傍に補機ブラケット5の上方内壁面52dに沿って配置されている。また、Y1方向に延びる流路部7dは、補機ブラケット5の上方内壁面52dおよびシリンダブロック2の上方内壁面22dからセパレータ部6側の内部空間に下向きに突出することなくセパレータ部6の外側の近傍に補機ブラケット5の上方内壁面52d(シリンダブロック2の上方内壁面22d)に沿って配置されている。また、流路部7bおよび流路部7dがセパレータ部6の内部空間に張り出されないのでセパレータ部6の内部空間は流路部7bおよび流路部7dによって圧迫されていない。なお、上方内壁面52dは実質的に内壁面5dに含まれるが、ここでは、流路部7bに沿って形成された補機ブラケット5の内壁面5d(天井部)の部分を上方内壁面52dと称する。
また、図4に示すように、ウォータポンプ70の吐出部から流路部7bの接続部までの区間を斜め上方向(概略矢印Z1方向)に延びる流路部7cについても、補機ブラケット5の側方内壁面53dからセパレータ部6側の内部空間に横向きに突出することなくセパレータ部6の外側の近傍に補機ブラケット5の側方内壁面53dに沿って配置されている。なお、側方内壁面53dは実質的に内壁面5dに含まれるが、ここでは、流路部7cに沿って形成された補機ブラケット5の内壁面5dの部分を側方内壁面53dと称する。また、流路部7cがセパレータ部6の内部空間に張り出されないのでセパレータ部6の内部空間は流路部7cによって圧迫されていない。なお、側方内壁面53dは、本発明の「第2の側方内壁面」の一例である。このように、第1実施形態では、冷却水通路7は、セパレータ部6に突出することなくセパレータ部6の外側を取り囲むようにしてセパレータ部6の内壁面6d(側方内壁面51d、上方内壁面52d(22d)、側方内壁面53d)に沿って配置されている。
また、第1実施形態では、図2および図4に示すように、補機ブラケット5の上下に2つ並ぶ突出壁部5eのうちの下側(Z2側)の突出壁部5eは、流路部7aの近傍において流路部7aの延びるX方向に沿って延びるように配置されている。すなわち、下側(Z2側)の突出壁部5eにおけるZ1側の上面およびZ2側の下面は、流路部7aからY1方向に水平に延びるとともに、流路部7aの延びるX方向に沿っても水平に延びている。なお、上側(Z2側)の突出壁部5eについても、上面および下面は、X−Y平面方向に拡がっている。また、各々の突出壁部5eの上面および下面によって、流路部7aを流通する冷却水の熱をブローバイガスに熱伝達するための伝熱面が構成されている。
また、この場合、図4に示すように、下側(Z2側)の突出壁部5eは、矢印Y2方向に見て奥側の流路部7a(破線で示す)に対して紙面手前側(Y1側)に重なる位置において、流路部7aの延びるX方向に沿って延びるように配置されている。これにより、図2に示すように、流路部7aを流通するエンジン100により暖められた冷却水の熱が流路部7aの近傍に配置された下側(Z2側)の突出壁部5eに迅速に熱伝導されることが図られている。なお、図4では、合わせ面Aの位置でシリンダブロック2(図2参照)側から補機ブラケット5をY2方向に見た状態を図示している。
また、第1実施形態では、図2に示すように、冷却水通路7における流路部7aは、セパレータ部6の内壁面6dのうちのセパレータ部6の入口部6aが設けられる下部(Z2側)に配置されている。すなわち、エンジン100により暖められた直後の相対的に高温の冷却水が流通される流路部7aが、セパレータ部6の下部(Z2側)に配置されている。したがって、流路部7aの近傍に配置された下側(Z2側)の突出壁部5eは、相対的に高温となった状態で入口部6aから流入するブローバイガスを暖めるように構成されている。これにより、入口部6a近傍のブローバイガスに含まれる水蒸気が結露しにくくなるように構成されている。
このように、セパレータ部6のラビリンス構造を有する内壁面6d(内壁面2dおよび内壁面5d)の一部分を構成する突出壁部2eおよび突出壁部5eは、ブローバイガスを慣性衝突させてオイル成分を気液分離する機能のみならず、冷却水の熱を気液分離中のブローバイガスに効率よく伝達してブローバイガスを暖める(所定温度に維持する)熱伝達部材としての役割も兼ねている。ここに、冷却水通路7(流路部7a〜7d)がセパレータ部6に張り出さないので、セパレータ部6の内容積は冷却水通路7によって圧迫されることなく適切な内容積が確保されている。
また、図1に示すように、チェーンカバー20の内部においては、クランクシャフト40に取り付けられたクランクシャフトタイミングスプロケット(図示せず)と、シリンダヘッド1の内部に組み込まれたカムシャフト駆動用のカムシャフトタイミングスプロケット(図示せず)とが、タイミングチェーン(図示せず)によって繋がれている。また、チェーンカバー20の外部においては、クランクシャフト40の前端部40aにクランクプーリ(図示せず)が回転可能に取り付けられている。そして、ウォータポンプ70や車内空調用のコンプレッサなどの補機類は、クランクプーリに掛けられたベルトにより駆動される。また、クランクシャフト40の後端部40bは、変速機などからなる動力伝達部(図示せず)に接続されている。第1実施形態におけるエンジン100における補機ブラケット5まわりの構造は、上記のように構成されている。
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
すなわち、第1実施形態では、上記のように、シリンダブロック2および補機ブラケット5に設けられ、セパレータ部6に突出することなくセパレータ部6の外側の近傍にセパレータ部6の内壁面6d(補機ブラケット5の内壁面5d)に沿って配置された冷却水通路7(流路部7a〜7d)を備えることによって、セパレータ部6の近傍に設けられた冷却水通路7(流路部7a〜7d)により、エンジン100により暖められた冷却水の熱を効果的にセパレータ部6の内部空間に伝達してセパレータ部6を暖めることができる。また、流路部7a〜7dはセパレータ部6の内部空間に突出することなくセパレータ部6の外側の近傍に配置されるので、流路部7a〜7dの配置の影響を受けることなく内容積が十分に確保されたセパレータ部6の内部空間にセパレータ構造を設けることができる。これらの結果、セパレータ部6への効果的な熱伝達によりセパレータ部6を流通するブローバイガス中の水蒸気の結露防止を図りつつ、内容積が十分に確保されたセパレータ部6の内部空間により、オイルを気液分離するセパレータ機能を十分に発揮させることができる。
また、第1実施形態では、セパレータ部6における補機ブラケット5側の内壁面5dからY方向に対向するシリンダブロック2側の内壁面2d側に突出して延びる板状の突出壁部5eを補機ブラケット5に設ける。そして、冷却水通路7(流路部7a)の近傍に板状の突出壁部5eを配置する。これにより、流路部7aの近傍に配置された板状の突出壁部5eがセパレータ部6の内部空間に向かって延びるので、エンジン100により暖められた冷却水の熱を利用して流路部7aの近傍に位置するセパレータ部6の内壁面5dのみならずこの内壁面5dから内壁面2d側に突出する板状の突出壁部5eも暖めることができる。したがって、セパレータ部6の内壁面5d近傍を流通するブローバイガスのみならず、板状の突出壁部5eを介してセパレータ部6内の中央部(中心部領域(合わせ面A付近))を流通するブローバイガスも効率よく暖めることができる。これにより、セパレータ部6の温度が非常に低下するエンジン100の冷間始動直後においても、セパレータ部6(補機ブラケット5)の板状の突出壁部5eを含む内壁面5dでブローバイガス中の水蒸気が結露するのをより抑制するのみならず、内部の空間においてもブローバイガスから水滴が分離されるのを抑制することができるので、気液分離されたオイルに結露水が混入するのを効果的に抑制することができる。
また、第1実施形態では、突出壁部5eのみならず、セパレータ部6におけるシリンダブロック2側の内壁面2dからY方向に対向する補機ブラケット5側の内壁面5d側に突出して延びる板状の突出壁部2eをシリンダブロック2に設ける。これにより、セパレータ部6の内部空間に向けて延びる板状の突出壁部2eおよび突出壁部5eによって、セパレータ部6のオイル分離機能(セパレータ機能)を有効に得ることができる。
また、第1実施形態では、板状の突出壁部2eおよび突出壁部5eを2個ずつ設けるとともに、突出壁部2eの先端部2fおよび突出壁部5eの先端部5fを、シリンダブロック2と補機ブラケット5との合わせ面A(110−110線)まで延びるように構成する。これにより、シリンダブロック2と補機ブラケット5との合わせ面Aまで先端部2fおよび先端部5fが延びる板状の突出壁部2eおよび突出壁部5eによって、シリンダブロック2および補機ブラケット5の各々の内壁面2dおよび内壁面5dが入り組んだ内部空間を、セパレータ部6に容易に形成することができる。
また、第1実施形態では、セパレータ部6においては複数の板状の突出壁部2eおよび突出壁部5eの各々を、ラビリンス構造を構成するように配置する。これにより、セパレータ部6の内部空間がラビリンス(迷路)構造となるので、複数の板状の突出壁部2eおよび突出壁部5eにより形成され入口部6aから出口部6bまでの流路長が延ばされた内部空間にブローバイガスを滞留させてブローバイガスに含まれる微粒子状のオイルミストを効率よく捕集することができる。また、ブローバイガスが流通される過程で突出壁部2eおよび突出壁部5eにオイルミストを繰り返し衝突させることによってもオイルミストを効率よく捕集することができる。
また、第1実施形態では、2つの突出壁部5eのうちの1つを冷却水通路7における流路部7aの近傍において流路部7aの延びるX方向に沿って延びるように配置する。これにより、セパレータ部6内に流路部7aのX方向に沿った形成領域に沿って板状の突出壁部5eを連続的に設けることができるので、エンジン100により暖められた冷却水の熱を流路部7a(冷却水通路7)の形成領域にわたって板状の突出壁部5eを介してブローバイガスに伝達することができる。これにより、セパレータ部6を流通するブローバイガスを確実に暖めることができる。
また、第1実施形態では、2つの突出壁部5eのうちの1つを側面視(矢印Y2方向に見て)で冷却水通路7における流路部7aと重なる位置において、流路部7aの延びるX方向に沿って延びるように配置する。これにより、セパレータ部6の内部空間に向かって延びる複数の板状の突出壁部5eの少なくとも1つが流路部7a(冷却水通路7)と重なる位置で流路部7aと略平行に配置されるので、エンジン100により暖められた冷却水の熱を利用してこの板状の突出壁部5eを確実に暖めることができる。したがって、流路部7a(冷却水通路7)の近傍に配置された板状の突出壁部5eを介して冷却水の熱をブローバイガスに確実に伝達することができる。
また、第1実施形態では、セパレータ部6の内壁面6d(補機ブラケット5の内壁面5d)のうちのセパレータ部6の入口部6aが設けられる下部(Z2側の最下部)に冷却水通路7における流路部7aを配置する。これにより、シリンダ2a下部からクランクケース3に漏れ出るブローバイガスがセパレータ部6の入口部6aを介してセパレータ部6の下部領域(上流部)に導入された直後にこのブローバイガスを冷却水の熱により直ちに暖めることができるので、セパレータ部6の入口部6a付近におけるブローバイガス中の水蒸気の結露を効果的に抑制することができる。したがって、クランクケース3の下部のオイル溜め部3bへ結露水が落下することがなく、結露水混入によるオイル劣化を効果的に抑制することができる。
また、第1実施形態では、セパレータ部6の内壁面6dは、補機ブラケット5の側方内壁面51dと上方内壁面52d(22d)とを含み、冷却水通路7は、側方内壁面51dの側方外側の近傍に側方内壁面51dに沿って配置された流路部7aと、上方内壁面52d(22d)の上側の近傍に上方内壁面52d(22d)に沿って配置された流路部7bおよび7dとを含む。また、セパレータ部6の内壁面6dは、補機ブラケット5の側方内壁面51dと交差する側方内壁面53dをさらに含み、冷却水通路7は、流路部7aと流路部7bとを接続するように設けられ、側方内壁面53dの側方外側の近傍に側方内壁面53dに沿って配置された流路部7cをさらに含む。これにより、エンジン100に流路部7a、7c、7bおよび7dをこの順に接続して一連の冷却水通路7を構成した場合であっても、セパレータ部6の近傍に設けられた流路部7a、7c、7bおよび7dにより、エンジン100により暖められた冷却水の熱を効果的にセパレータ部6の内部空間に伝達してセパレータ部6を暖めることができる。また、流路部7a、7c、7bおよび7dは、各々がセパレータ部6の内部空間に突出することなく側方内壁面51d、側方内壁面53dおよび上方内壁面52d(22d)の外側の近傍に配置されるので、冷却水通路7(流路部7a、7c、7bおよび7d)の配置の影響を受けることなく内容積が十分に確保されたセパレータ部6の内部空間にセパレータ構造を設けることができる。したがって、冷却水通路7による側方内壁面51d、側方内壁面53dおよび上方内壁面52d(22d)を介してのセパレータ部6への効果的な熱伝達によりセパレータ部6を流通するブローバイガス中の水蒸気の結露防止を図りつつ、内容積が十分に確保されたセパレータ部6にセパレータ機能を十分に発揮させることができる。
また、第1実施形態では、シリンダブロック2に設けられた板状の突出壁部2eのうちの下側(Z2側)の突出壁部2eを、入口部6aの上部領域を覆うようにして内壁面2dから補機ブラケット5側の内壁面5d(側方内壁面51d)に向けて合わせ面AまでY2方向に延びるように構成する。これにより、シリンダ2aの下部(Z2側の最下部)からクランクケース3に漏れ出るブローバイガスをセパレータ部6の入口部6aを介してセパレータ部6に導入した直後に入口部6aの上部領域を覆うように延びる突出壁部2eに確実に衝突させることができるので、気液分離されたオイルを迅速に入口部6aからクランクケース3(オイル溜め部3b)に落下させることができる。また、セパレータ部6ではオイル成分が迅速に分離されたブローバイガスを暖めることができるので、ブローバイガスの水滴分(凝縮水)が混入したオイルがクランクケース3に戻されるのを効果的に抑制することができる。
(第2実施形態)
次に、図2、図5および図6を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、上記第1実施形態と異なり、板状の突出壁部205eを冷却水通路7(流路部7a)の延びる方向に対して交差する方向に複数配置した例について説明する。なお、図中において、上記第1実施形態と同様の構成には、第1実施形態と同じ符号を付して図示している。
本発明の第2実施形態によるエンジン200においては、図5に示すように、シリンダブロック2の側壁2cに対して補機ブラケット205がシール部材93を介して取り付けられている。補機ブラケット205は、所定の凹凸形状を有する内壁面205dを本体部250aに含んでおり、シリンダブロック2の側壁2cの一部となる内壁面2dと、補機ブラケット205の内壁面205dとによってラビリンス構造を有する内部空間が形成されている。また、この内部空間によってセパレータ部206が構成されている。
ここで、第2実施形態では、補機ブラケット205は、水平面(X−Y平面)に沿って延びる上側(Z1側)の突出壁部5eと、突出壁部5eと所定の間隔を隔てて下側(Z2側)に形成された板状の突出壁部205eとを有する。また、図6に示すように、板状の突出壁部205eは、複数箇所(4箇所)に配置されており、各々の突出壁部205eは、セパレータ部206における補機ブラケット205側の内壁面205dからY方向に対向するシリンダブロック2の内壁面2d(図5参照)側にY1方向(紙面手前側)に突出するように延びている。すなわち、各々の突出壁部205eにおけるX1側の表面およびX2側の表面は、Z方向に所定の幅(高さ)を有した状態で流路部7aからY1方向に延びている。したがって、突出壁部205eにおけるX1側の表面およびX2側の表面は、Y−Z平面内に拡がっている。また、各々の突出壁部205eの一対の表面によって、冷却水の熱をブローバイガスに熱伝達するための伝熱面が構成されている。なお、突出壁部205eのZ方向の幅(高さ)は、流路部7a(破線で示す)の内径にほぼ等しい。
また、第2実施形態では、図6に示すように、複数の突出壁部205eの各々は、矢印Y2方向に見て奥側の流路部7a(破線で示す)に対して紙面手前側に重なる位置において、流路部7aの延びるX方向に対して直交するY1方向(紙面手前側)に延びるように配置されている。すなわち、突出壁部205eは、X方向に沿って互いに所定のピッチを有した状態で全体が内壁面205dから紙面手前側に平行に延びる伝熱フィンのような形状を有している。個々の突出壁部205eの伝熱面(一対の表面)の面積は小さいが、突出壁部205eが流路部7aに沿って複数個(4つ)配置されているので、全体としての伝熱面積は、上記第1実施形態の突出壁部5e(図2参照)よりも増加されている。
また、図5に示すように、補機ブラケット205がシリンダブロック2に組み付けられた状態において、補機ブラケット205に設けられた板状の突出壁部205eは、シリンダブロック2と補機ブラケット205との合わせ面Aまで延びている。この場合、突出壁部205eの先端部205fとシリンダブロック2の下側の突出壁部2eの先端部2fとは、シール部材93を介して互いに対向配置(当接)されている。また、下側の突出壁部2eは、セパレータ部6の入口部6aの上部領域を覆うようにして内壁面2dから突出壁部205eまで延びている。また、補機ブラケット205に設けられた上側(Z1側)の突出壁部5eの先端部5fは、合わせ面Aよりも若干シリンダブロック2側に突出した位置まで延びている。なお、図5おいては、210−210線における断面が、合わせ面Aに相当する。
したがって、クランクケース3に漏れ出たブローバイガスの流れとしては、下部の入口部6aからセパレータ部206に矢印Pで示されるように流入して下側(Z2側)の突出壁部2eの下面に衝突するとともに、突出壁部2eの下面とセパレータ部206の内底面との間の領域をY2方向に流れ、補機ブラケット205の内壁面205dに衝突しながらその近傍で180度上向きに折り返される。この際、ブローバイガスは、流路部7aに沿って複数個(4つ)配置された突出壁部205eの上下方向に延びる一対の表面(X1側およびX2側)に接触することによって流路部7aを流通する冷却水の熱がブローバイガスに効率よく熱伝達される。
その後、効率よく暖められたブローバイガスは、上側(Z1側)の突出壁部5eの下面と突出壁部2eの上面とに沿ってY1方向に流れ、シリンダブロック2の内壁面2dに衝突しながらその近傍で再び180度上向きに折り返される。そして、セパレータ部206の天井部(上方内壁面22dおよび52d)と上側(Z1側)の突出壁部5eの上面との間の領域をY2方向に流れて、上部の出口部6bからPCVバルブ81側に放出される。
このように、セパレータ部206においては、内壁面206d(内壁面2dおよび内壁面205d)の一部分を構成しブローバイガスの上流側に位置する複数(4つ)の突出壁部205eに対して冷却水の熱をブローバイガスに効率よく伝達してブローバイガスを暖める役割を主に担わせる一方、ブローバイガスの下流側に位置する他のシリンダブロック2の突出壁部2eおよび補機ブラケット205の突出壁部5eによってブローバイガスを慣性衝突させてオイル成分を気液分離させる役割を主に担わせている。また、流路部7aの近傍に配置された下側(Z2側)の突出壁部205eは、冷却水の熱で相対的に高温となった状態で入口部6aから流入するブローバイガスを即座に暖めることが図られている。これにより、入口部6a近傍のブローバイガスに含まれる水蒸気が結露しにくくなるように構成されている。なお、第2実施形態によるエンジン200のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
すなわち、第2実施形態では、上記のように、板状の突出壁部205eを側面視(矢印Y2方向に見て)で冷却水通路7における流路部7aと重なる位置において、流路部7aの延びるX方向に対して直交(交差)するY方向に延びるように複数(4つ)配置する。すなわち、1つの突出壁部205eにおけるX1側の表面およびX2側の表面がZ方向に所定の幅(高さ)を有した状態で流路部7aからY1方向に延びるように構成する。これにより、セパレータ部206内に流路部7aの形成領域(X1側からX2側までの領域)に沿って流路部7aの延びるX方向と直交するY方向に延びる板状の突出壁部205eを複数箇所にわたって設けることができるので、ブローバイガスに接触する板状の突出壁部205eの流路部7aからの熱を受ける伝熱面積(フィン部分の表面積)を容易に増加させることができる。したがって、エンジン200により暖められた冷却水の熱を伝熱面積が十分に確保された合計4つの板状の突出壁部205eを介してブローバイガスに効率よく伝達することができる。これにより、セパレータ部206を流通するブローバイガスを確実に暖めることができる。
また、第2実施形態では、セパレータ部206の内壁面206d(補機ブラケット205の内壁面205d)のうちのセパレータ部206の入口部6aが設けられる下部(Z2側の最下部)に冷却水通路7における流路部7aを配置する。そして、この部分に、板状の突出壁部205eを4つ配置する。これにより、シリンダ2aの下部からクランクケース3に漏れ出るブローバイガスがセパレータ部206の入口部6aを介してセパレータ部206の下部領域(上流部)に導入された直後にこのブローバイガスを冷却水の熱により効率よく暖めることができるので、セパレータ部206の入口部6a付近におけるブローバイガス中の水蒸気の結露を効果的に抑制することができる。したがって、クランクケース3の下部のオイル溜め部3bへ結露水が落下することがなく、結露水混入によるオイル劣化を効果的に抑制することができる。
また、第2実施形態では、セパレータ部206においては、内壁面206d(内壁面2dおよび205d)の一部を構成する4つの突出壁部205eに対して冷却水の熱をブローバイガスに効率よく伝達してブローバイガスを暖める役割を主に担わせる。そして、他のシリンダブロック2の突出壁部2eおよび補機ブラケット205の突出壁部5eによってブローバイガスを慣性衝突させてオイル成分を気液分離させる役割を担わせる。これにより、1つのセパレータ部206にオイル成分を気液分離させるラビリンス構造の部分と、ブローバイガスを暖める加温部とをすみ分けて配置することができるので、各々の構造を最適化することでセパレータ部206の機能をより向上させることができる。なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
(第3実施形態)
次に、図2および図6〜図8を参照して、第3実施形態について説明する。この第3実施形態では、フィン状の突出壁部305eの形成箇所を上記第2実施形態における突出壁部205eの位置とは異ならせて補機ブラケット305を構成した例について説明する。また、図中において、上記第2実施形態と同様の構成には、第2実施形態と同じ符号を付して図示している。
本発明の第3実施形態によるエンジン300においては、図7に示すように、シリンダブロック2の側壁2cに対して補機ブラケット305がシール部材93を介して取り付けられている。補機ブラケット305は、所定の凹凸形状を有する内壁面305dを本体部350aに含んでおり、シリンダブロック2の内壁面2dと、補機ブラケット305の内壁面305dとによってラビリンス構造を有する内部空間が形成されている。また、この内部空間によってセパレータ部306が構成されている。
ここで、第3実施形態では、補機ブラケット305は、水平面(X−Y平面)に沿って延びる下側(Z2側)の突出壁部5eと、突出壁部5eと所定の間隔を隔てて上側(Z1側)に形成された板状の突出壁部305eとを有する。また、図8に示すように、板状の突出壁部305eは、複数箇所(4箇所)に配置されており、各々の突出壁部305eは、セパレータ部306における補機ブラケット305側の内壁面305dからY方向に対向するシリンダブロック2の内壁面2d(図7参照)側にY1方向(紙面手前側)に突出するように延びている。この場合、各々の突出壁部305eにおけるX1側の表面およびX2側の表面は、Z方向に所定の幅(高さ)を有した状態で流路部7bからZ2方向(下方向)にも延びている。したがって、突出壁部305eにおけるX1側の表面およびX2側の表面は、Y−Z平面内に拡がっている。また、各々の突出壁部305eの一対の表面によって、冷却水の熱をブローバイガスに熱伝達するための伝熱面が構成されている。この点については、上記第2実施形態における突出壁部205e(図6参照)と同様である。
また、第3実施形態では、図8に示すように、複数の突出壁部305eの各々は、矢印Y2方向に見て奥側の流路部7b(破線で示す)に対して紙面手前側に重なる位置において、流路部7bの延びるX方向に対して直交するY1方向(紙面手前側)に延びるように配置されている。すなわち、突出壁部305eは、X方向に沿って互いに所定のピッチを有した状態で全体が内壁面305dから紙面手前側に平行に延びる伝熱フィンのような形状を有している。個々の突出壁部305eの伝熱面(一対の表面)は小さいが、突出壁部305eが流路部7bに沿って複数個(4つ)配置されているので、全体としての伝熱面積は、上記第1実施形態の突出壁部5e(図2参照)よりも増加されている。
また、図7に示すように、補機ブラケット305がシリンダブロック2に組み付けられた状態において、補機ブラケット305に設けられた板状の突出壁部305eの先端部305fは、シリンダブロック2と補機ブラケット305との合わせ面Aまで延びている。また、補機ブラケット305に設けられた上側(Z1側)の突出壁部5eの先端部5fは、合わせ面Aよりも若干シリンダブロック2側(Y1側)に突出した位置まで延びている。また、シリンダブロック2に設けられた突出壁部2eの先端部2fは、合わせ面Aよりも若干補機ブラケット305側(Y2側)に突出した位置まで延びている。なお、図7おいては、310−310線における断面が、合わせ面Aに相当する。
したがって、クランクケース3に漏れ出たブローバイガスの流れとしては、下部の入口部6aからセパレータ部306に矢印Pで示されるように流入して下側(Z2側)の突出壁部2eに衝突するとともに突出壁部2eの下面とセパレータ部306の内底面との間の領域をY2方向に流れ、補機ブラケット305の内壁面305dに衝突しながらその近傍で180度上向きに折り返される。そして、セパレータ部306の天井部(上方内壁面22dおよび52d)と上側(Z1側)の突出壁部5eの上面との間の領域をY2方向に流れて、出口部6bからPCVバルブ81側に放出される。
この際、第3実施形態では、ブローバイガスは、流路部7bに沿って複数(4つ)配置された突出壁部305eの上下方向に延びる一対の表面(X1側およびX2側)に接触することによって流路部7bを流通する冷却水の熱がブローバイガスに効率よく熱伝達される。これにより、出口部6b近傍のブローバイガスに含まれる水蒸気が結露しにくくなる。また、複数(4つ)の突出壁部305eにおいてブローバイガス中の水蒸気が結露するのが抑制されるので、水分(水滴)が出口部6bから吸気系80に吸引されるのが抑制される。
このように、セパレータ部306においては、内壁面306d(内壁面2dおよび内壁面305d)の一部分を構成しブローバイガスの下流側に位置する複数(4つ)の突出壁部305eに対して冷却水の熱をブローバイガスに効率よく伝達してブローバイガスを十分に暖める役割を主に担わせる一方、ブローバイガスの上流側に位置する他のシリンダブロック2の突出壁部2eおよび補機ブラケット305の突出壁部5eによってブローバイガスを慣性衝突させてオイル成分を気液分離させる役割を主に担わせている。なお、第3実施形態によるエンジン300のその他の構成は、上記第2実施形態と同様である。
第3実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
すなわち、第3実施形態では、上記のように、板状の突出壁部305eを側面視(矢印Y2方向に見て)で冷却水通路7における流路部7bと重なる位置において、流路部7bの延びるX方向に対して直交(交差)するY方向およびZ方向に延びるように複数配置する。すなわち、1つの突出壁部305eにおけるX1側の表面およびX2側の表面がZ方向に所定の幅(高さ)を有した状態で流路部7bからZ2方向(下方向)に延びるように構成する。これにより、セパレータ部306内に流路部7bの形成領域(X1側からX2側までの領域)に沿って流路部7bの延びるX方向と直交するZ方向に延びる板状の突出壁部305eを複数箇所にわたって設けることができるので、ブローバイガスに接触する板状の突出壁部305eの流路部7bからの熱を受ける伝熱面積(フィン部分の表面積)を容易に増加させることができる。したがって、エンジン300により暖められた冷却水の熱を伝熱面積が十分に確保された板状の突出壁部305eを介してブローバイガスに効率よく伝達することができるので、ブローバイガスを確実に暖めることができる。
また、第3実施形態では、セパレータ部306の内壁面306d(補機ブラケット305の内壁面305d)のうちのセパレータ部306の出口部6bが設けられる上部(Z1側)に板状の突出壁部305eを複数配置する。これにより、エンジン300により暖められた冷却水の熱を利用してセパレータ部306の出口部6b近傍を効果的に暖めることができるので、出口部6b近傍を流れるブローバイガスを効果的に暖めることができる。これにより、出口部6b近傍においてブローバイガス中の水蒸気が結露するのが抑制されるので、水分(水滴)がセパレータ部306から吸気系80に吸引されるのが抑制される。その結果、水分が吸気系80に吸引されることに起因して混合気の燃焼が不安定になるのを防止することができる。なお、第3実施形態のその他の効果は、上記第2実施形態と同様である。
(第4実施形態)
次に、図9および図10を参照して、第4実施形態について説明する。この第4実施形態では、内部空間を複数(2つ)のセパレータ部屋407および408に区画し、各々が連通されるようにセパレータ部406を構成した例について説明する。なお、セパレータ部屋407およびセパレータ部屋408は、それぞれ、本発明の「第1セパレータ部屋」および「第2セパレータ部屋」の一例である。また、図中において、上記第1実施形態と同様の構成には、第1実施形態と同じ符号を付して図示している。
本発明の第4実施形態によるエンジン400においては、図9に示すように、シリンダブロック402の側壁402cに対して補機ブラケット405がシール部材93を介して取り付けられている。シリンダブロック402の側壁402cは、所定の凹凸形状を有する内壁面402dを有し、補機ブラケット405は、所定の凹凸形状を有する内壁面405dを本体部450aに含む。そして、シリンダブロック402の側壁402cの一部となる内壁面402dと、補機ブラケット405の内壁面405dとによってラビリンス構造を有する内部空間が形成されている。また、この内部空間によってセパレータ部406が構成されている。
ここで、第4実施形態では、シリンダブロック402の内壁面402dは、板状に形成された1つの突出壁部402eを含んでいる。突出壁部402eは、セパレータ部406におけるシリンダブロック402側の内壁面402dからY方向に対向する補機ブラケット405側の内壁面405d側に突出するように延びている。また、補機ブラケット405の内壁面405dは、板状に形成された1つの突出壁部405eを含んでいる。突出壁部405eは、セパレータ部406における補機ブラケット405側の内壁面405dからY方向に対向するシリンダブロック402側の内壁面402d側に突出するように延びている。なお、突出壁部402eおよび突出壁部405eは、それぞれ、本発明の「第1突出壁部」および「第2突出壁部」の一例である。
そして、補機ブラケット405がシリンダブロック402に組み付けられた状態において、突出壁部402eの先端部402fと、突出壁部405eの先端部405fとは、合わせ面Aにおいてシール部材93を介して互いに対向配置(当接)されている。なお、図9おいては、410−410線における断面が、合わせ面Aに相当する。これにより、第4実施形態では、突出壁部402eと突出壁部405eとにより、セパレータ部406が、セパレータ部屋407とセパレータ部屋408とに2分割されるように構成されている。
また、第4実施形態では、図10に示すように、セパレータ部屋407とセパレータ部屋408とを区画する板状の突出壁部405eの先端部405fには、切欠部405gが形成されている。そして、図9に示すように、突出壁部405eの先端部405fが突出壁部402eの平坦な先端部402fにシール部材93を介して対向配置された状態で、切欠部405g(図10参照)と先端部402fとによってセパレータ部屋407とセパレータ部屋408とをZ方向に連通する貫通孔406cが形成されている。これにより、セパレータ部406では、セパレータ部屋407からブローバイガスが取り込まれるとともに、セパレータ部屋408からブローバイガスが放出されるように構成されている。この際、貫通孔406cを介してセパレータ部屋407からセパレータ部屋408へとZ1方向にブローバイガスが通過可能となるように構成されている。なお、貫通孔406cは、本発明の「連絡通路」の一例である。
また、ブローバイガスが放出されるセパレータ部屋408の内容積は、ブローバイガスが取り込まれるセパレータ部屋407の内容積よりも大きい。また、冷却水通路7における流路部7aは、相対的に内容積の大きいセパレータ部屋408の近傍に配置されている。なお、流路部7aの高さ位置(Z方向)の変更に伴ってウォータポンプ70および流路部7cの位置も若干変更されている。その一方で、流路部7bおよび流路部7dは、上記第1実施形態と同様に配置されている。
これにより、図9に示すように、貫通孔406cを介してセパレータ部屋408に流入されるブローバイガスの流速は、相対的に内容積の小さいセパレータ部屋407内を流れるブローバイガスの流速よりも低下される。また、セパレータ部屋408では、流速が低下される分、ブローバイガスの滞留時間が増加される。そして、エンジン100により暖められて流路部7aを流通する相対的に高温の冷却水の熱がセパレータ部屋408のブローバイガスの温度を上昇させる。この際、ブローバイガスに含まれる微粒子状のオイルミストが温度上昇とともに粘性(表面張力)を低下させ粒子同士が互いに結合しやすくなる。その結果、セパレータ部屋408では、オイルミストの粒径が徐々に増大してブローバイガスから液滴状のオイルがより多く分離される。
また、第4実施形態では、図9に示すように、シリンダ2aを中心に左右に一対設けられたウォータジャケット2bのうち、冷却水通路7に接続される側(Y2側)のウォータジャケット2bの下端部2gは、Y1側のウォータジャケット2bの下端部2hよりも低い位置まで延びている。すなわち、Y2側のウォータジャケット2bは、下端部2gがセパレータ部屋408の内壁面406dの裏側まで延びている。したがって、セパレータ部屋408は、流路部7a、流路部7b、流路部7dおよびウォータジャケット2bの下端部2gの領域によって、内壁面405d、内壁面402dおよび上方内壁面52d(上方内壁面22d)のいずれからも内部空間が十分に暖められるように構成されている。このように、セパレータ部406では、セパレータ部406を2つのセパレータ部屋407とセパレータ部屋408とに分割し、セパレータ部屋408を十分に暖められるように構成されている。ここに、冷却水通路7がセパレータ部406に張り出さないので、セパレータ部406の内容積は冷却水通路7によって圧迫されることなく適切な容積が確保されている。なお、第4実施形態によるエンジン400のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
第4実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
すなわち、第4実施形態では、上記のように、シリンダブロック402の板状の突出壁部402eと、補機ブラケット405の板状の突出壁部405eとにより、セパレータ部406をセパレータ部屋407とセパレータ部屋408とに2分割する。そして、セパレータ部屋407からブローバイガスが取り込まれるとともに、セパレータ部屋408からブローバイガスが放出されるようにセパレータ部406を構成する。これにより、冷却水の熱を利用して1つの大きな内容積を有する内部空間(第1実施形態におけるセパレータ部6の内部空間)を暖める場合と比較して、2つのセパレータ部屋407とセパレータ部屋408とに区分けされて各々が小さな内容積を有するセパレータ部406を効果的に暖めることができる。これにより、各々が小さな内容積を有するセパレータ部屋407およびセパレータ部屋408をこの順に流通するブローバイガスを確実に暖めることができるので、ブローバイガス中の水蒸気がセパレータ部406内で結露するのを効果的に抑制することができる。
また、第4実施形態では、シリンダブロック402から補機ブラケット405側に向かって延びる突出壁部402eと、突出壁部402eとシール部材93を介して当接するように補機ブラケット405からシリンダブロック402側に向かって延びる突出壁部405eとをセパレータ部406に設ける。そして、突出壁部402eの先端部402fと突出壁部405eの先端部405fとをシール部材93を介して互いに対向配置(当接)させることによって、2つのセパレータ部屋407とセパレータ部屋408とが形成されるように構成する。これにより、シリンダブロック402の側壁402cに対して補機ブラケット405を取り付けるだけで、シリンダブロック402から補機ブラケット405側に延びる突出壁部402eと補機ブラケット405からシリンダブロック402側に延びる突出壁部405eとの先端部402fおよび先端部405f同士がシール部材93を介して突き合わされた状態となってセパレータ部406内に互いに区分けされたセパレータ部屋407およびセパレータ部屋408を容易に形成することができる。
また、第4実施形態では、ブローバイガスが放出されるセパレータ部屋408の内容積を、ブローバイガスが取り込まれるセパレータ部屋407の内容積よりも大きく構成する。これにより、セパレータ部屋408に流入するブローバイガスの流速をセパレータ部屋407内を流れるブローバイガスの流速よりも低下させることができるので、流速が低下されて滞留時間が増加されたセパレータ部屋408において、ブローバイガスに含まれる微粒子状のオイルミストを効率よく捕集することができる。
また、第4実施形態では、内容積が相対的に大きいセパレータ部屋408の近傍に冷却水通路7における流路部7aを配置するように構成する。これにより、エンジン400により暖められた冷却水の熱を利用してセパレータ部屋408を効果的に暖めることができるので、セパレータ部屋408に滞留するブローバイガスを効果的に暖めることができる。したがって、セパレータ部屋408においてブローバイガス中の水蒸気が結露するのが抑制されるので、水分(水滴)がセパレータ部屋408から吸気系80に著しく吸引されるのが抑制される。その結果、水分が吸気系80に吸引されることに起因して燃焼室(シリンダ2aの上部)における混合気の燃焼が不安定になるのを防止することができる。
また、第4実施形態では、セパレータ部屋407とセパレータ部屋408とを区画する板状の突出壁部405eの先端部405fに切欠部405gを形成する。そして、突出壁部405eの先端部405fが突出壁部402eの先端部402fにシール部材93を介して対向配置された状態で切欠部405gと先端部402fとによってセパレータ部屋407とセパレータ部屋408とを貫通する貫通孔406cが形成されるように構成する。これにより、セパレータ部屋407に取り込まれたブローバイガスを貫通孔406cを介してセパレータ部屋408に流通させることができるので、セパレータ部屋407で暖められたブローバイガスを貫通孔406cを介してセパレータ部屋408に導入してさらにセパレータ部屋408でも暖めることができる。したがって、ブローバイガス中の水蒸気がセパレータ部屋407およびセパレータ部屋408内で結露するのを確実に抑制することができる。
また、第4実施形態では、冷却水通路7に接続されるY2側のウォータジャケット2bの下端部2gを、セパレータ部屋408の内壁面406dの裏側まで延ばすように構成する。これにより、内容積の大きいセパレータ部屋408を、流路部7a、流路部7c、流路部7b、流路部7dおよびウォータジャケット2bの下端部2gの領域によって取り囲むとともに、各々に対応する内壁面405d、内壁面402dおよび上方内壁面52d(上方内壁面22d)のいずれからも内部空間を十分に暖めることができる。したがって、セパレータ部406の温度が非常に低下するエンジン400の冷間始動直後においても、内容積の大きいセパレータ部屋408内でブローバイガス中の水蒸気が結露するのを確実に抑制することができる。なお、第4実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、上記第1〜第3実施形態では、セパレータ部6(206、306)に互いに対向する内壁面6dに向けて延びる突出壁部2e(5e、205e、305e)を設けた例について示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、セパレータ部6に突出することなくセパレータ部6の外側の近傍にセパレータ部6の内壁面6dに沿って冷却水通路7が配置されていればよく、したがって、セパレータ部6(206、306)に板状の突出壁部2e(5e、205e、305e)を設けなくてもよい。
また、上記第1実施形態では、突出壁部2eの先端部2fおよび突出壁部5eの先端部5fを、シリンダブロック2と補機ブラケット5との合わせ面A(110−110線)に揃えるように構成した例について示すとともに、上記第3実施形態では、突出壁部2eの先端部2fおよび突出壁部305eの先端部305fを、シリンダブロック2と補機ブラケット5との合わせ面A(310−310線)を各々が若干超える位置まで延びるように構成した例について示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、突出壁部2eおよび突出壁部5eが、合わせ面Aの近傍まで延びていればよく、この場合、先端部2fおよび先端部5fの各々が、合わせ面Aまで到達させずに合わせ面Aの若干手間の位置(Y方向)に配置されるようにしてセパレータ部6を構成してもよい。これによっても、セパレータ部6にはラビリンス構造が形成される。
また、上記第1実施形態では、1つの突出壁部5eを補機ブラケット5内の流路部7aの近傍において流路部7aの延びるX方向に沿って延びるように配置した例について示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、複数本の突出壁部5eを流路部7aの近傍において所定間隔(Z方向)を隔てて上下(Z方向)に並べた状態でX方向に沿って延びるように配置してもよい。X−Y平面(水平面)においてX方向に延びる突出壁部5eであっても流路部7aの近傍に配置される突出壁部5eの数を増やすことによって、セパレータ部6に流入した直後のブローバイガスに接触する突出壁部5eの伝熱面積(フィン部分の表面積)を容易に増加させることができるので、上記第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、上記第1実施形態では、突出壁部2eおよび突出壁部5eを水平方向(X方向およびY方向)に延びるように形成した例について示したが、本発明はこれに限られない。突出壁部の上面および下面は、水平面(X−Y平面)に対して傾斜していてもよい。また、突出壁部の上面および下面は、Y−Z平面と平行な平坦面である必要もなく、セパレータ部6にラビリンス構造を形成するにあたって上下方向に波打つような曲面を少なくともその一部に含んでいてもよい。
また、上記第2実施形態では、伝熱面が上下方向(Y−Z平面)に拡がる4つの突出壁部205e(図6参照)を流路部7aに沿って配置するとともに、上記第3実施形態では、伝熱面が上下方向(Y−Z平面)に拡がる4つの突出壁部305e(図8参照)を流路部7bに沿って配置した例について示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、伝熱面が上下方向(Y−Z平面)に拡がる突出壁部の個数は、4つ以外であってもよい。流路部7a(7b)の長さ(補機ブラケット205(305))の大きさに応じて突出壁部の個数は適宜設定可能に構成されていればよい。
また、上記第3実施形態では、4つの突出壁部305eを補機ブラケット305にのみ形成した例について示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、突出壁部305eに加えて、流路部7bが存在するシリンダブロック2の上方内壁面22dからZ方向に所定の幅(高さ)を有した状態でZ2方向(下方向)に延びるような突出壁部をシリンダブロック2側にも設けてもよい。これにより、突出壁部305eとシリンダブロック2側の突出壁部とによって、流路部7bを流通する冷却水の熱を利用して出口部6bから放出される直前のブローバイガスをより十分に暖めることができる。
また、上記第4実施形態では、互いに対向する板状の突出壁部402eおよび405eにより、セパレータ部406をセパレータ部屋407とセパレータ部屋408とに2分割した例について示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、内容積をより小さくして特定のセパレータ部屋を効果的に暖めることが可能であるのであれば、セパレータ部406を3分割や4分割にして構成してもよい。
また、上記第4実施形態では、補機ブラケット405の突出壁部405eの先端部405fに切欠部405gを形成した状態でシリンダブロック402の突出壁部402eの平坦な先端部402fにシール部材93を介して対向配置させて貫通孔406cを形成した例について示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、シリンダブロック402の突出壁部402eの先端部402fに切欠部を形成して補機ブラケット405の突出壁部405eの平坦な先端部405fにシール部材93を介して対向配置させて本発明の「連絡通路」を設けてもよい。また、突出壁部405eの先端部405fおよび突出壁部402eの先端部402fの双方に切欠部を形成して互いに対向させて本発明の「連絡通路」を構成してもよい。
また、上記第4実施形態では、貫通孔406cを1つ設けた例について示したが、本発明はこれに限られない。ブローバイガスの流量に応じて、本発明の「連絡通路」を複数箇所設けるように構成してもよい。
また、上記第1〜第4実施形態では、ガソリン機関からなる自動車用のエンジン100〜400に本発明を適用した例について示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、内燃機関であるならば、ガソリン機関以外のガス機関(ディーゼルエンジンおよびガスエンジンなどの内燃機関)に対して本発明を適用してもよい。また、自動車用以外のたとえば設備機器の駆動源(動力源)として搭載されるような内燃機関に対して本発明を適用してもよい。