JP6625492B2 - エンジンのオイル冷却構造 - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンのオイル冷却構造に係り、詳しくは、エンジン本体の一端壁にエンジン冷却ファン及び伝動ケースが取付けられ、伝動ケースに補機駆動用の伝動機構が設けられているエンジンのオイル冷却構造に関するものである。
通常、エンジンには、動弁装置などの各伝動部やシリンダとピストンとの摺動部に必要となる潤滑用のエンジンオイル(以下、単にオイルと呼ぶ)を圧送するために、クランク軸になどにより駆動されるオイルポンプが装備されている。オイルポンプからのオイルは、各部を潤滑するだけでなく、同時に熱吸収によって冷却も行えることになるので、エンジン稼動中のオイルは高温となっている。
そのため、エンジンの機種によっては、オイルの温度を下げるために別体のオイルクーラを設けたり、空冷作用が見込める冷却フィンをオイル通路周辺に設けたりする手段が採られていた。例えば、特許文献1においては、フロントケース(40)の前面に円弧状のオイルクーラ(80)を設ける構成を開示している。
また、特許文献2においては、圧送油路を備えたフロントケース(2)の前面に、圧送油路(6)の前側や横側に位置させた多数の冷却フィン(7)が形成されており、それら冷却フィン(7)に送風機(10)による冷却風が当たるように構成されている。
特開2009−138621号公報 特開2003−097239号公報
特許文献1や特許文献2が開示する手段では、オイルの冷却効果をある程度は見込める。しかしながら、そのための配置スペースが必要になって寸法面で大型化するとともに、専用のオイルクーラや送風機などを追加装備させる必要があり、部品点数が増加し、それによって大幅なコストアップを招くおそれがあるため、改善の余地が残されていた。
本発明の目的は、さらなる構造工夫により、部品点数の増加や必要スペースの増大を極力伴うことがないようにしながら、オイルの冷却性能を向上させることができるエンジンのオイル冷却構造を提供する点にある。
請求項1に係る発明は、エンジン本体1の一端壁1aにエンジン冷却ファン6及び伝動ケース9が取付けられ、前記伝動ケース9に補機駆動用の伝動機構2Aが設けられているエンジンのオイル冷却構造において、
前記伝動ケース9に、オイルポンプPにより循環されるオイルの移送通路Wが形成されるとともに、前記伝動ケース9の外面側に、前記エンジン冷却ファン6による冷却風を取り込んで前記伝動ケース9の外面に導く導風ガイド38が取付けられ
前記導風ガイド38には、外側に折り曲げられた取込み促進部42aが形成されていることを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のエンジンのオイル冷却構造において、
前記伝動ケース9は、複数のリブ壁9B〜9Hを有する伏鍋状の構造体に形成され、前記伝動ケース9における前記リブ壁9B〜9Hにより仕切られているケース内室部20,22,24,30が、前記オイルポンプPにより循環されるオイルの移送通路Wとなる状態に構成されていることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載のエンジンのオイル冷却構造において、
前記導風ガイド38は、前記伝動ケース9を前記一端壁1aに取付けるボルト41により共締め固定されていることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、エンジン本体1の一端壁1aにエンジン冷却ファン6及び伝動ケース9が取付けられ、前記伝動ケース9に補機駆動用の伝動機構2Aが設けられているエンジンのオイル冷却構造において、
前記伝動ケース9に、オイルポンプPにより循環されるオイルの移送通路Wが形成されるとともに、前記伝動ケース9の外面側に、前記エンジン冷却ファン6による冷却風を取り込んで前記伝動ケース9の外面に導く導風ガイド38が取付けられ、
前記導風ガイド38による導風路39は、前記導風路39の断面積が冷却風の流れ方向で下流側ほど狭くなる先細り形状となるように構成されていることを特徴とする。
請求項5に係る発明は、エンジン本体1の一端壁1aにエンジン冷却ファン6及び伝動ケース9が取付けられ、前記伝動ケース9に補機駆動用の伝動機構2Aが設けられているエンジンのオイル冷却構造において、
前記伝動ケース9に、オイルポンプPにより循環されるオイルの移送通路Wが形成されるとともに、前記伝動ケース9の外面側に、前記エンジン冷却ファン6による冷却風を取り込んで前記伝動ケース9の外面に導く導風ガイド38が取付けられ、
前記エンジン本体1のクランク軸2が前記伝動ケース9を貫通して突出し、その突出軸部2aに補機駆動プーリ4が取付けられ、
前記補機駆動プーリ4が、前記導風ガイド38により導かれた導風の下流側の端部に位置する状態に構成されているとともに、前記補機駆動プーリ4に、前記導風を吸い出す吸引ファン40が構成されていることを特徴とする。
請求項6に係る発明は、請求項5に記載のエンジンのオイル冷却構造において、
前記伝動ケース9に、前記クランク軸2により駆動される前記オイルポンプPが設けられ、前記移送通路Wは、前記オイルポンプPに対する吐出オイル又は/及び戻りオイルの移送通路に設定されていることを特徴とする。
請求項1,4,5の発明によれば、伝動ケースにオイルの移送通路が形成されているので、オイルの熱が伝動ケースを伝わって広い面積にて放熱されて冷却させることができる。加えて、エンジン冷却ファンの冷却風を取り込んで伝動ケースに導く導風ガイドを設けてあるので、伝動ケースを強制空冷によってより効率良く冷却することができ、従って、オイルの冷却効果を一段と強力なものにすることができる。
その結果、さらなる構造工夫により、導風ガイドを付設する軽微な改造により、部品点数の増加や必要スペースの増大を極力伴うことがないようにしながら、オイルの冷却性能を向上させ得るエンジンのオイル冷却構造を提供することができる。
請求項2の発明によれば、リブ壁を適宜に設ける構造工夫により、伝動ケースのデッドスペースをオイルの貯留箇所及び通り道に利用し、伝動ケースをオイルの大容量な放熱器として機能させることができる。
伝動ケースにはデッドスペースが多いことに着目して、伝動ケースの内側をリブ壁によって仕切ってケース内室部を形成し、ケース内室部をオイルの貯留や通り道となるように構成したものである。従って、オイルは大容量を有するケース内室部から伝動ケースに効率よく熱伝導でき、外部露出している伝動ケースを放熱器として機能させることが可能になる。その結果、オイルの冷却効果がさらに強化されるエンジンのオイル冷却構造を提供することができる。
請求項3の発明によれば、導風ガイドは、伝動ケースを一端壁に取付けるボルトにより共締め固定されており、専用の取付手段が省略でき、経済的に導風ガイドを装着できる利点がある。
請求項4の発明によれば、導風路の断面積が冷却風の流れ方向で下流側ほど狭くなる先細り形状となるように構成されているから、導風路を流れる導風の風速が、導風の上流側より下流側の方が速くなるようにされており、従って、伝動ケースの空冷作用が強化される利点がある。
請求項5の発明は、伝動ケースを貫通して突出するクランク軸に設けられる補機駆動プーリの存在に着目した工夫であり、その補機駆動プーリを吸引ファンとしても機能するように構成したものであり、導風ガイドにより取り込まれる冷却風の勢いを増大させることが可能になる。その結果、補機駆動プーリを吸引ファンとして兼用させることにより、伝動ケースの空冷作用を一層強化でき、オイルの冷却性能向上が図れる利点がある。
請求項6の発明によれば、伝動ケースに、吐出オイルの移送通路や戻りオイルの移送通路だけでなくオイルポンプ自体も設けられているので、オイルの冷却作用が強化されるとともに、オイルが別の場所に設けられている場合に比べて、伝動ケースの移送通路とオイルポンプとを連通させる経路を設ける必要がなく、部品点数の削減やコスト削減が可能となる利点がある。
ディーゼルエンジンの正面図 図1のディーゼルエンジン前端部の右側面図 フロントカバー単品の背面図 図3のフロントカバーであって、ケース内室部を示す背面図 図4のA−A線で切ったエンジン前部の概略の断面図 図3のフロントカバーの正面図 ポンプカバー単品の平面図 導風板の正面図 図8の導風板を示し、(a)右側面図、(b)図8のB−B線断面図 図8の導風板の背面図
以下に、本発明によるエンジンのオイル冷却構造の実施の形態を、農機や建機に用いられる立形水冷直列ディーゼルエンジンの場合について、図面を参照しながら説明する。なお、本エンジンにおいては、クランク軸方向でエンジン冷却ファンが装備されている側を前、その反対側を後、オルタネータ側を右、その反対側を左と定義する。
立形水冷直列ディーゼルエンジンEは、図1,図2に示されるように、クランク軸2を備えるエンジン本体1、エンジン本体1の下側に組付けられているオイルパン3、クランク軸2に装備されている補機駆動プーリ4、クランク軸2の後端部に装備されているフライホイール5、エンジン本体1の前側に配備されているエンジン冷却ファン6、オルタネータ7などを備えて構成されている。なお、符記は省略するが、エンジン本体1の一例は、クランクケース部とその上側のシリンダ部とを備えるシリンダブロックであり、その上にシリンダヘッドが組み付けられている。
補機駆動プーリ4と、エンジン冷却ファン6のファンプーリ6aと、オルタネータ7のオルタネータプーリ7aとに亘って無端ベルト8を巻回してあり、エンジン冷却ファン6とオルタネータ7とが駆動回転されるように構成されている。クランク軸2は、エンジン本体1の前壁(一端壁の一例)1aに組み付けられているフロントカバー(伝動ケース)9を貫通して前に突出する突出軸部2aを有しており、その突出軸部2aに補機駆動プーリ4が取付けられている。なお、突出軸部2aは、クランク軸2の前壁1aから前側の軸前端部2Aの先端部である。ファンプーリ6aには、冷却水を循環させるウォータポンプ13が伝動連結されている。
ここで、図1,2中の符号10はオイル(エンジンオイル)の冷却装置、Pはオイルを圧送するオイルポンプ、11はオイルフィルタ、12はラジエータ(図示省略)からの冷却水戻り管、14はラジエータへの冷却水圧送管、15はシリンダヘッドの上に組付けられているシリンダヘッドカバー、16は燃料噴射ポンプ、38は導風ガイドをそれぞれ示している。
次に、オイル冷却装置10及びオイル冷却構造について説明する。オイル冷却装置10は、図1〜図4に示されるように、オイルの移送通路Wが大容量のものとして内部形成されているフロントカバー9、及びフロントカバー9の前面の取付けられている導風ガイド38により構成されている。
つまり、フロントカバー9の表面から大量に熱放散されること、及びエンジン冷却ファン6による冷却風を効率よくフロントカバー9へ導いての空冷作用により、フロントカバー9内を流れるオイルを効率よく冷却できるオイル冷却装置10となっている。
図1、図2に示されるように、フロントカバー9の外面側に、エンジン冷却ファン6による冷却風を取り込んでフロントカバー9の外面に導く導風ガイド38が取付けられている。導風ガイド38は、フロントカバー9の右下部の前側を覆うような形状であり、その上部はエンジン冷却ファン6と、かつ、その左下部は補機駆動プーリ4とそれぞれ前後方向視で若干重なる状態に配置構成されている。
図8〜図10に示されるように、導風ガイド38は、ガイド本体板38Aと、上部仕切り板38Bと、下部仕切り板38Cとを備えるアルミ合金製又は銅製の板金部品に構成されている。
ガイド本体板38Aは、前後左右に拡がる面を持つ主壁部42と、右側壁部43と、底壁部44とを有する正面視で略矩形の部材である。右側壁部43の上端部は左側に傾くように折り曲げられた側壁上部43aに形成されており、その側壁上部43aと右側壁部43の下部、及び底壁部44の左端との3箇所に、ボルト止め用の第1〜第3取付片45〜47が形成されている。また、主壁部42の上端部は、左が大幅となる正面視で略三角形を呈して若干角度外側(前側)に折り曲げられた取込み促進部42aに形成されている。
下部仕切り板38Cは、前後左右に拡がる面を持つ仕切り主壁部48と、右側壁部49と、逆折り曲げ底壁部50とを備える板金部品に構成されている。この下部仕切り板38Cは、逆折り曲げ底壁部50が底壁部44に載置され、かつ、右側壁部49の前端縁が主壁部42の裏面42bに当接し、かつ、仕切り主壁部48がガイド本体板38Aの前後幅の中間に位置する状態で、ガイド本体板38Aに適宜の一体化手段(スポット溶接など)によって取付けられている。
上部仕切り板38Bは、その下部に横向き切欠き部52を有する一枚の板材により形成されている。そして、上部仕切り板38Bは、右側壁部49の上端縁49a、及び仕切り主壁部48の右下がり上端縁48aに載せ付けられる斜め姿勢で、主壁部42の裏面42bに当接する状態で適宜の一体化手段により取付けられている。なお、この上部仕切り板38Bと下部仕切り板38Cとが、板金製の一部品で形成されても良い。
このような構成により、導風ガイド38による導風路39、即ち、主壁部42と右側壁部43と上部仕切り板38Bとで囲まれた部分(図10の粗いハッチング部分)は、導風路39の断面積が冷却風の流れ方向で下流側ほど狭くなる先細り形状となるように構成されている。従って、導風路39を流れる導風の風速は、導風の上流側より下流側の方が速くなり、フロントカバー9の空冷作用が強化される利点がある。導風ガイド38における上部仕切り板38Bの下側部分(図10で粗いハッチングの無い部分)は、やや右寄りの下方に向いて流れてくる冷却風を、向きを変えて左方に流す第2導風路51に形成されている。
下部仕切り板38Cの右側壁部49と主壁9Aとの間は、冷却風を第2導風路51へ流すための縦長間隙53〔図9(a)を参照〕に形成され、上部仕切り板38Bの横向き切欠き部52は、冷却風の一部は短絡させて第2導風路51へ流す短絡ルートに形成されている。図1に示されるように、導風ガイド38は、フロントカバー9を前壁1a(エンジン本体1)に取付けるボルト41により共締め固定されている。
図1,図2に示されるように、エンジン冷却ファン6の羽根部6Aの先端部が取込み促進部42aの前側に配置されて、前後方向視で重なる状態に構成されている。また、補機駆動プーリ4の右端部が、上部仕切り板38Bと干渉しない範囲で、ガイド本体板38Aの主壁部42の裏側に入り込んで重なる状態に設定されている。
補機駆動プーリ4は、図1、図10に示されるように、その外周部後側に多数の風向リブ54を設けることと、プーリスポーク部4Aに多数の通孔55を設けることとにより、吸引ファン40としても構成されている。そして、補機駆動プーリ4が、導風ガイド38により導かれた導風の下流側の端部に位置する状態に構成されている。このような構成8により、補機駆動プーリ4は、その回転により、補機駆動プーリ4とフロントカバー9との間の空気を吸出し、通孔55を通して前方に排風させる吸引ファンとして機能するように構成されている。
従って、エンジン冷却ファン6による生起された冷却風は、その一部が導風ガイドにより取り込まれ、その取り込まれた冷却風は、その大部分が導風路39を吹き降りて、フロントカバー9の主に主壁9Aを冷却する。そして、導風路39の風は、下部仕切り板38Cの右側壁部49と主壁9Aとの間の縦長間隙50〔図9(a)を参照〕を通って第2導風路51へ流れ、補機駆動プーリ4の吸引ファン40により吸込まれて排風される。また、取り込まれた冷却風の一部は、上部仕切り板38Bの横向き切欠き部52を通って第2導風路51へ流れる短絡ルートを通る。
図3〜図6に示されるように、フロントカバー9は、左右上下に向く主壁9A、共に前後に向くリブである外周リブ壁9B及び内周リブ壁9Cを有するアルミ合金製で伏鍋状の構造体に形成されている。一般に、各種ポンプや動弁装置を駆動するための伝動機構を収容する伝動ケースは、アルミ合金や鋳鉄、鍛鉄などの金属製で、複数のリブ壁で補強された伏鍋状のものに形成されている。従って、本来的に伝動ケースには、伝動機構などの配置場所以外の部分に比較的デッドスペース(死空間)が多く存在している部品である。
外周リブ壁9B及び内周リブ壁9Cは、エンジン本体1やポンプカバー18(後述)を取付ける平坦面に形成されている。外周リブ壁9Bの下部には、オイルの戻り経路を設けるためのループ状リブ壁9Eが形成されている。
また、フロントカバー9には、外周リブ壁9Bと内周リブ壁9Cとを同一平面状に連結する2箇所の連結リブ壁9Dや複数箇所の補強リブ9rなどが形成されているとともに、軸前端部2Aが通る部分に、トロコイド型のオイルポンプPを収容するためのポンプチャンバ17が凹入形成されている。
内周リブ壁9Cは、ポンプチャンバ17を仕切るためのチャンバリブ壁9Fの一部を含んでおり、また、吐出路を形成するための第1及び第2仕切りリブ壁9G,9Hが、内周リブ壁9Cとチャンバリブ壁9Fとに跨る状態で形成されている。第1,第2仕切りリブ壁9G,9H及びチャンバリブ壁9Fは、内周リブ壁9Cと同一平面状のリブに形成されている。内周リブ壁9Cには、これと互いに同じ外郭形状を有する鋼板製のポンプカバー18がボルト止めされ、内周リブ壁9Cの内側部位を閉塞させる蓋として機能している。
図3に示されるように、オイルポンプPから吐出されたオイルは、二つの移送通路W1,W2を通ってフロントカバー9から出てゆく。第1経路W1(W)は、図3に破線の矢印で示されるように、ポンプチャンバ17の吐出側部位17aに開口する状態でフロントカバー9に形成されている屈曲トンネル路26を通り、外周リブ壁9Bに形成されている取出し孔27から、エンジン本体1の各部(オイルギャラリなど)に流れてゆく。
第2経路W2(W)は、図3に示されるように、実線の矢印で示す次のルートである。即ち、チャンバリブ壁9Fに形成されている吐出切欠き19→第1ケース内室部20→第1仕切りリブ壁9Gの第1切欠き21→第2ケース内室部22→内周リブ壁9Cに形成されている第3切欠き23→第3ケース内室部24→エンジン本体1のオイル受部25。
また、オイルパン3のオイルはストレーナ28から、ループ状リブ壁9Eに形成されている戻し口29Fを有する戻しトンネル路29(「移送通路W」の一例)を通ってポンプチャンバ17の吸入側部位17bに流れてゆく。なお、トンネル路29の右横は、リリーフバルブを組み込む管路用の突出部(符記省略)である。
第1ケース内室部20は、内周リブ壁9C、第1及び第2仕切りリブ壁9G,9H、及びチャンバリブ壁9Fに囲まれた左右に細長いスペースである。第2ケース内室部22は、内周リブ壁9C、チャンバリブ壁9F、及び第1仕切りリブ壁9Gで囲まれた大面積で大容量のスペースである。第3ケース内室部24は、外周リブ壁9Bの右側部分と内周リブ壁9Cの右側部分との間に形成されている細長いスペースである。また、第2仕切りリブ壁9H、内周リブ壁9C、及びチャンバリブ壁9Fで囲まれた第4ケース内室部30が形成されており、第2仕切りリブ壁9Hに形成されている第2切欠き31により、第1ケース内室部20に連通されている。
図3,図4に示されるように、オイルポンプP(図1参照)は、チャンバリブ壁9Fにより仕切られてフロントカバー9に凹入形成されているポンプチャンバ17と、チャンバリブ壁9Fの先端面に取付けられるポンプカバー18とにより囲まれるスペースに配置されている。オイルポンプPは、一例として、図4に示されるように、軸先端部2Aで回転駆動されるインナロータ36と、インナロータ36と咬合するアウタロータ37とを有するトロコイド型のポンプに構成されている。なお、オイルポンプPは、図1,3においては、その外郭線のみ示すものとする。
ポンプカバー18は、図4,図5,図7に示されるように、ほぼ内周リブ壁9Cの外郭形状に沿った形状を有する平坦な一枚の鋼板により構成され、複数のボルト通し孔18a、軸前端部2Aを通す大孔18b、ボルト頭逃げ孔18c、カバー隆起部逃げ孔18d、軸逃げ孔18eが形成されている。複数のボルト(図示省略)によりポンプカバー18が内周リブ壁9Cなどに取付けられた状態では、オイルポンプPの内側枠体として機能するだけでなく、移送通路W2(W)となる第1ケース内室部20、第2ケース内室部22、及び第4ケース内室部30の一端壁1a側の開口部を閉塞する蓋となる閉塞部材を兼ねる構成されている。
複数のリブ壁9B〜9Hのうち、第1ケース内室部20、第2ケース内室部22、第4ケース内室部30を形成するための内周リブ壁9C、第1仕切りリブ壁9G、及び第2仕切りリブ壁9Hのそれぞれの先端面が、チャンバリブ壁9Fの先端面と同一面となる状態に構成されている。そして、単一の鋼板よりなるポンプカバー18は、チャンバリブ壁9F、内周リブ壁9C、第1仕切りリブ壁9G、及び第2仕切りリブ壁9Hそれぞれの先端に、ガスケット32を介して密接する状態でボルト止め装着されている。
図5に示されるように、フロントカバー9は、その外周リブ壁9Bが前壁1aに、ガスケット35介してのシール状態でエンジン本体1にボルト止めされている。従って、ポンプカバー18による閉塞作用の及ばない第3ケース内室部24は、外周リブ壁9B、内周リブ壁9C、連結リブ壁9D、ループ状リブ壁9E、及びエンジン本体1により囲まれてなるスペース(移送通路W2)である。
なお、図5に示される33は、下側の給排気カムギヤと上側のアイドルギヤとが咬合する補機駆動用の伝動機構(燃料噴射ポンプや動弁装置などを駆動するギヤ伝動機構)であり、前壁1aに配備されてフロントカバー9により覆われている。また、34は、フロントカバー9におけるポンプチャンバ17から前側に突設される筒状の軸カバー部である。
図4に仮想線で示されるように、前壁1aとフロントカバー9との間に介装されるガスケット35は、フロントカバー9の外郭ラインより外方にはみ出る外冷却フィン(フィンの一例)35a、及び/又は、外周リブ壁9Bの先端面より内側にはみ出る内冷却フィン(フィンの一例)35bを備えたものでも良い。加えて、そのフィン35a,35b付きのガスケット35を、熱伝導性に優れる銅製とすれば、よりオイルの冷却性向上に寄与できて好都合である。
また、図示は省略するが、フロントカバー9などに付設されるオイル給排用の接続パイプを、熱の放散性に優れるヒートシンク付ヒートパイプで構成すれば好都合である。
オイルポンプPから吐出されたオイルは、第1ケース内室部20から第2ケース内室部22及び第3ケース内室部24を通るが、第4ケース内室部30にも吐出オイルが満たされる。オイルが、それら4つのケース内室部20,22,24,30に満たされるので、フロントカバー9にオイルの熱が素早く、効率よく熱伝導され、フロントカバー9自体が大容量の放熱器(オイルクーラ)として機能できるものとなる。なお、細長い湾曲したオイルの移送通路W2である第3ケース内室部24は、ポンプチャンバ17の向こう側までオイルが入り込み可能な形状になっている。
第4ケース内室部30は、オイルが貯まるだけであるが、貯まっているオイルからの熱伝導により、フロントカバー9の良好な方熱作用が期待できる。なお、第1ケース内室部20と第4ケース内室部30とを連通する第2切欠き31を、互いに離して2箇所以上設け、第4ケース内室部30をオイルが流れて通過可能となる構成としても良い。
従って、フロントカバー9の内部スペースを、オイルの貯留及び移送通路として有効利用することにより、フロントカバー9自体が放熱器になり、部品点数の増加や専用の油路を設けることなくオイルの冷却効果を高めることが可能になる。しかも、フロントカバー9の外表面には、導風ガイド38によってエンジン冷却ファン6による冷却風が十分に当り、強力な空冷作用も加わってより一層オイルの冷却効果が増大する利点がある。
〔別実施形態〕
導風ガイド38は、鋼板や合成樹脂により成形されたものでも良い。また、導風ガイド38における排風場所を下方は右下に設け、自然排出させる構造としても良い。また、導風ガイド38の(主壁部42の)フロントカバー9からの前方への離れ距離を、下に行くほど短くして、」導風路39が先細りとなる構成としても良い。
1 エンジン本体
1a 前壁(一端壁)
2 クランク軸
2A 伝動機構
2a 突出軸部
4 補機駆動プーリ
6 エンジン冷却ファン
9 伝動ケース
9B〜9H リブ壁
20 第1ケース内室部
22 第2ケース内室部
24 第3ケース内室部
30 第4ケース内室部
38 導風ガイド
39 導風路
40 吸引ファン
41 ボルト
42a 取込み促進部
P オイルポンプ
W オイルの移送通路

Claims (6)

  1. エンジン本体の一端壁にエンジン冷却ファン及び伝動ケースが取付けられ、前記伝動ケースに補機駆動用の伝動機構が設けられているエンジンのオイル冷却構造であって、
    前記伝動ケースに、オイルポンプにより循環されるオイルの移送通路が形成されるとともに、前記伝動ケースの外面側に、前記エンジン冷却ファンによる冷却風を取り込んで前記伝動ケースの外面に導く導風ガイドが取付けられ
    前記導風ガイドには、外側に折り曲げられた取込み促進部が形成されているエンジンのオイル冷却構造。
  2. 前記伝動ケースは、複数のリブ壁を有する伏鍋状の構造体に形成され、前記伝動ケースにおける前記リブ壁により仕切られているケース内室部が、前記オイルポンプにより循環されるオイルの移送通路となる状態に構成されている請求項1に記載のエンジンのオイル冷却構造。
  3. 前記導風ガイドは、前記伝動ケースを前記一端壁に取付けるボルトにより共締め固定されている請求項1又は2に記載のエンジンのオイル冷却構造。
  4. エンジン本体の一端壁にエンジン冷却ファン及び伝動ケースが取付けられ、前記伝動ケースに補機駆動用の伝動機構が設けられているエンジンのオイル冷却構造であって、
    前記伝動ケースに、オイルポンプにより循環されるオイルの移送通路が形成されるとともに、前記伝動ケースの外面側に、前記エンジン冷却ファンによる冷却風を取り込んで前記伝動ケースの外面に導く導風ガイドが取付けられ、
    前記導風ガイドによる導風路は、前記導風路の断面積が冷却風の流れ方向で下流側ほど狭くなる先細り形状となるように構成されているエンジンのオイル冷却構造。
  5. エンジン本体の一端壁にエンジン冷却ファン及び伝動ケースが取付けられ、前記伝動ケースに補機駆動用の伝動機構が設けられているエンジンのオイル冷却構造であって、
    前記伝動ケースに、オイルポンプにより循環されるオイルの移送通路が形成されるとともに、前記伝動ケースの外面側に、前記エンジン冷却ファンによる冷却風を取り込んで前記伝動ケースの外面に導く導風ガイドが取付けられ、
    前記エンジン本体のクランク軸が前記伝動ケースを貫通して突出し、その突出軸部に補機駆動プーリが取付けられ、
    前記補機駆動プーリが、前記導風ガイドにより導かれた導風の下流側の端部に位置する状態に構成されているとともに、前記補機駆動プーリに、前記導風を吸い出す吸引ファンが構成されているエンジンのオイル冷却構造。
  6. 前記伝動ケースに、前記クランク軸により駆動されるオイルポンプが設けられ、前記移送通路は、前記オイルポンプに対する吐出オイル又は/及び戻りオイルの移送通路に設定されている請求項5に記載のエンジンのオイル冷却構造。
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