JP6202744B2 - 油圧アクチュエータの速度制御装置 - Google Patents
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Description
しかし、この従来技術ではバルブ開度を大きくすると連動してエンジン回転数も大きくなるので、燃料消費が多くなり騒音も大きくなるので好ましくなく、また必要以上に油圧アクチュエータの作動速度が速くなって、微動操作を行い難いという問題もあった。
この従来技術は、バルブ操作レバーをエンジンのアクセル操作リンクに対し軸方向に進退変位させ、係合部と係合受部との係合位置を変化させるように構成したものである。この従来技術を用いると、操作レバーの動きに対応して直ちに切換バルブはバルブ開度を変更してもアクセル操作リンクは遅れて操作されることができ、バルブ操作レバーをエンド位置まで動かしてもエンジン回転数の上限を制限することができる。つまり、エンジン回転数の高低切換えが可能となっている。
さらに、このような高低速油圧モータを用い、速度制御を自動で行おうとすれば、制御器や多くのセンサが必要であり、設備価格が高くなる。
このため、トラック搭載型クレーンのような小型作業機に関しては、自動で速度制御する製品は未だ普及していない。
第2発明の油圧アクチュエータの速度制御装置は、第1発明において、前記カム装置は、前記高速用カムが前記操作レバーの基端部に固定されており、前記通常用カムが前記高速用カムに対しスライド可能に取付けられており、前記位置固定機構が、前記通常用カムの前進位置と後退位置で位置保持可能な2位置保持ノッチであることを特徴とする。
第3発明の油圧アクチュエータの速度制御装置は、第1または第2発明において、前記油圧アクチュエータが、高低速可変モータであり、前記高速用カムまたは通常用カムに前記高低速可変モータの高低速モードを切換える切換スイッチを作動させるスイッチ作動子を設けていることを特徴とする。
第4発明の油圧アクチュエータの速度制御装置は、第3発明において、前記スイッチ作動子が、前記通常用カムに形成された押し片であり、前記通常用カムが作用位置にあるとき、前記切換スイッチを作動させるものであることを特徴とする。
第5発明の油圧アクチュエータの速度制御装置は、第3発明において、前記スイッチ作動子が、スイッチ作動板であり、前記カム部において前記カムフォロアーに向けてスライド可能に取付けられ、かつ前記カムフォロアーに向けて付勢されていることを特徴とする。
第2発明によれば、通常用カムを前進させれば通常用カムでカムフォロアーを動かし、通常用カムを後退させれば高速用カムでカムフォロアーを動かすことができる。そして、通常用カムの前進位置と後退位置は2位置保持ノッチで保持できるので、レバー操作中に通常用カムが誤動作することもなく、確実に油圧アクチュエータを速度制御することができる。
第3発明によれば、高速用カムまたは通常用カムを選択したとき、スイッチ作動子によって自動的に高低速可変モータは高速モードまたは低速モードに切換えられるので、モード変更が簡単である。
第4発明によれば、通常用カムを作用位置にしたとき、押し片で切換スイッチを作動させ高低速可変モータの高低速モードを切換えることができる。
第5発明によれば、スイッチ作動板で切換スイッチを作動させ高低速可変モータの高低速モードを切換えることができる。
まず、本発明が適用される作業用車両の一例としてトラック搭載型クレーンを挙げ、その基本構造を説明する。
図11および図12において、CPはクレーンポスト、Bは多段ブーム、Fはフック、Jはアウトリガジャッキである。クレーンポストCPは旋回台上で旋回し、ブームBは起伏シリンダCyで起伏動作し、かつ図示しないブーム内蔵の伸縮シリンダで伸縮する。
フックFはクレーンポストCPに取付けられたウインチWでワイヤロープを巻上げ下げすることにより昇降させられる。
これら各油圧アクチュエータには、油圧ポンプ、油圧制御弁、タンク等からなる公知の油圧回路が接続されている。そして、油圧制御弁は、図12に示す複数本の手動操作レバーLvで圧油の送り方向の切換えとバルブ開度の調整ができるようになっている。
図1はウインチ用モータMの操作レバーLwまわりを示している。この操作レバーLwは図12に示す複数本の手動操作レバーLvのうちの1本である。
操作レバーLwの基部にはカム部2が取付けられている。カム部2は縦軸4で支持されていて、縦軸4まわりに操作レバーLwが左右に傾動できるようになっている。
前記カム部2に対向して、円筒状のカムフォロアー5が配置されており、カムフォロアー5はリンク6と支軸7とで支持され、支軸7まわりに揺動自在に取付けられている。このカム部2とカムフォロアー5とで特許請求の範囲にいうカム装置1が構成されている。
支軸7の下部にはアーム8が半径方向外側に延びるように取付けられていて、このアーム8に連結されたアクセルワイヤー9は、作業用車両のエンジン回転数を制御するアクセルに接続されている。このため、アクセルローラ5が揺動してアクセルワイヤー9が押し引きされると、エンジン回転数が増減し油圧ポンプの吐出量も増減して、油圧アクチュエータの駆動速度が増減速することになる。
Mはウインチ用の油圧モータ(以下、ウインチモータという)であり、このウインチモータMを正逆転させるため油圧制御弁V、油圧ポンプP、タンクTからなる公知の油圧回路が用いられている。
つぎに、第1実施形態におけるカム部2を図3〜図5に基づいて説明する。
図3に示すように、カム部2は高速用カム10と通常用カム20を含んでいる。高速用カム10は側面視でコ形に曲げ成形された板材であり、その基部が操作レバーLwの基部に取付けられている。また、高速用カム10のカム板には既述の支軸4を通す孔11とガイド溝12が形成されている。
高速用カム10は孔11を通る支軸4に固定されていて支軸4が回動自在となっていてもよく、支軸4が固定されて、孔11まわりで高速用カム(ひいてはカム部2全体)が左右に傾動するようになっていてもよい。
ガイド溝12は湾曲しており、その内部を図1に示すガイド軸3が通っていることにより、カム部2の左右方向傾動を案内し、かつストロークエンドを規制している。
前記ガイド溝22は高速用カム10のガイド溝12より溝幅が広く形成されており、通常用カム20を作用位置に押し出したときも非作用位置に引き込めたときも図1に示すガイド軸3による案内を許容するようになっている。
指環27は、人の手指を引っ掛けることができ、人の手で通常用カム20を押し引きするために設けられている。
したがって、手動により通常用カム20をカム作用位置と非作用位置との間で変更することができ、しかもいずれの位置でも勝手にカムが動かないように保持できる。このため、誤動作も防止することができる。この機構は、特許請求の範囲にいう位置固定機構である。
(通常運転)
図4(B)に示すように、通常用カム20を押し出して作用位置にする。この場合、下記のように低速域から高速域までの間で通常の運転が可能となる。
(1)カムの選択
通常用カム20を押し出すと、そのカム面23は高速用カム10のカム面13より突出しアクセルローラ5を押す作用位置となる。
このとき、非制御面14,24は通常用カム20および高速用カム10共同じ高さであるが、通常用カム20の回転数制御面25は高速用カム10の回転数制御面15より高くなっている。
通常用カム10の押し出しと同時にスイッチ作動子26が切換スイッチ40を押してONにすると、図2に示す切換シリンダCmが作動して、ウインチモータMは低速で高トルクを出力する低速モードに切り換えられる。
以上の状況で、操作レバーLwを動かし、通常用カム20を左右動させたときは、通常運転が可能となる。
通常運転の内容を図9(A)に基づき説明する。
図9(A)における上段のグラフにおいて縦軸は流量を、横軸は操作レバーLwのレバー引き量Sを示している。
中段のグラフは油圧制御弁Vのバルブ開度を示し、下段のグラフはエンジン回転数を示している。横軸上のA点以下の領域はバルブ開度制御領域であり、A点以上はエンジン回転数制御領域である。
下段グラフに示すエンジン回転数(細線e1)は、A点以下で800rpmの定回転(アイドル状態)を保ち、A点以降で線形に回転数が増加し、2000rpmに至っている。中段グラフに示す油圧制御弁Vのバルブ開度(細線v)は、0点からA点よりやや開度の大きいB点まで線形で増加し、B点以降は同一開度(このときのバルブ通過流量は、たとえば20L)で推移する。
操作レバーLwをA点以下の領域で小さく動かすとき、つまり非制御面14がアクセルローラ5と接触している間は、専用のリンク系統で油圧制御弁Vが正逆両方向に切換わりバルブ開度量を増減する。この場合、バルブ開度のみで流量が制御され、ウインチモータMに流入する流量は、0から例えば20L/minの間で変動する。このため、ウインチ速度は低く、フックFを低速で動かす微動操作が可能である。
なお、エンジン回転数は高くなるので、騒音等が大きくなる。
図5(B)に示すように、通常用カム20を引き込め高速用カム10を作用位置にする。この場合、低流量で高速運転が行われる。
(1)カムの選択
通常用カム20を引き戻して、高速用カム10を作用位置にすると、通常用カム20のカム面23は高速用カム10のカム面13より低くなっている(注:同じ高さの部分があてもよい)。
通常用カム20が引き込められたことで、スイッチ作動子26が切換スイッチ40から離れOFFとなる。このため、ウインチモータMは高速で低トルクを出力する高速モードに切り換えられる。
以上の状況で、操作レバーLwを動かし、高速用カム10を左右動させたときは高速運転が可能となる。
高速運転の内容を図9(B)に基づき説明する。
高速用カム10のカム面13は低いので、操作レバーLwを左右に大きく回動したときでも、アクセルローラ5の動く量は小さい。このため図9(B)の下段グラフに細線e2で示すようにエンジン回転数は例えば1400rpmまでしか上らない。通常運転時のエンジン回転数(最高2000rpm)を示す点線e1と比べると約3/4である。
この場合、エンジン回転数は低く抑えられているので、騒音等は抑制される。このモードは市街地や夜間での作業に適している。
なお、ウインチモータMが高速モードの場合、ウインチWの出力は高トルクとならないので軽量荷物であるなら、その巻上げに使用できる。
以上のように、フック速度は従来と同じながらもエンジン回転数を低減し燃料消費を抑えることができる。また、油圧系統の油温上昇を抑制することに対しても有効である。
第2実施形態のカム装置1を図6〜図8に基づいて説明する。
図6(A)に示すカム部2を構成する高速用カム10と通常用カム20については第1実施形態と同様である。本実施形態においては、通常用カム20にスイッチ作動子を形成しておらず、スイッチ切換操作専用のスイッチ作動板30を設けた点に特徴がある。このスイッチ作動板30には、切換スイッチ40をON−OFFさせる押し片31が形成されている。
(通常運転)
通常運転は、図7に示すように、通常用カム20を押し出して作用位置にすることにより行う。この場合、低速域から高速域までの間で通常の運転が可能となる。
図7(A)は通常用カム20の非制御面24を使っている状態を示しており、この場合、図9(A)のA点以下において操作レバーLwによるバルブ開度調整による運転が行われる。図7(B)は回転数制御面25を使っている状態を示しており、この場合、図9(A)のA点以上におけるエンジン回転数の増減を加えた運転が行われる。
このような運転の詳細は既述した第1実施形態のものと同様である。
図8(B)に示すように、通常用カム20を引き込め高速用カム10を作用位置にする。この場合、高速運転が行われる。
(1)カムの選択
通常用カム20を引き戻して、高速用カム10を作用位置にすると、通常用カム20のカム面23は高速用カム10のカム面13より低くなる(注:同じ高さの部分があってもよい)。
通常用カム20が手動操作で引き込められたとき、スイッチ作動板30はアクセルローラ5に向けて突出した位置にあるので、それがアクセルローラ5で押し戻されると、スイッチ作動板30の押し片31が切換スイッチ40を押しONとなる。このため、ウインチモータMは高速低トルクを出力する高速モードに切り換えられる。
図8(A)に示すように、高速用カム10の非制御面14でアクセルローラ5を押している状態では、図10のA点以下の運転が行われる。この場合、ウインチモータMはまだ低速モードであるので、フックFのスピード(太実線fs1)は速くはない。このため、微動操作がやりやすい。
高速用カム10のカム面13は低いので、カム部2を左右に大きく回動したときでも、アクセルローラ5の動く量は小さい。このため図10の下段グラフに細線e2で示すようにエンジン回転数は例えば1400rpmまでしかならない。通常運転時のエンジン回転数(最高2000rpm)を示す細線e1(点線で示している)と比べると約3/4である。
このようにして、図10の上段グラフに示すA点以上に動かしたときはエンジン回転数が増加するので、流量も増加する。ただし、回転数は最大で1400rpmに抑えられているので、流量も最大で例えば40L/minに抑えられている。
高速モードにおいてウインチモータMは小流量でも回転数は高くなるので、フックFのスピード(太実線fs2)はA点以降も高いスピード(例えば、通常運転と同じ最高で19m/min)を維持できる。
なお、油圧モータMが高速モードの場合、ウインチWの出力は高トルクとならないので軽量荷物であるなら、その巻上げに使用できる。
以上のように、フックスピードは通常運転と同じながらもエンジン回転数を低減し燃料消費を抑えることができる。また、油圧系統の油温上昇を抑制することに対しても有効である。
つぎに実施例を説明する。
本実施例におけるウインチモータMの仕様は以下のとおりである。
高低速モータMを切換える目安は、吊荷1.7t以上が通常モード運転で、1.7t以下が高速モード運転である。
カム:通常用カム20
高低速モータ容量:23.6cc/rev
エンジン最大回転数:2000rpm
フックスピード最大:19m/min
〈吊荷1.7t以下の高速モード運転〉
カム:高速用カム10
高低速モータ容量:14.7cc/rev
エンジン最大回転数:1400rpm
フックスピード最大:19m/min
前記各実施形態では、高速用カム10を操作レバーLwに固定したが、そうする代りに通常用カム20を操作レバーLwに固定し、高速用カム10を通常用カム20に対しスライド可能に取付けてもよい。
また、この場合は高速用カム10に切換スイッチ40を作動させるスイッチ作動子26を取付けるとよい。
本発明は、クレーンを搭載したトラックのほか、自動車搬送車両、高所作業車などにも利用できる。
2 カム部
4 縦軸
5 アクセルローラ
9 アクセルワイヤー
10 高速用カム
13 カム面
14 非制御面
15 回転数制御面
20 通常用カム
23 カム面
24 非制御面
25 回転数制御面
26 スイッチ作動子
30 スイッチ作動板
40 切換スイッチ
M ウインチモータ
P 油圧ポンプ
E エンジン
V 油圧制御弁
Claims (5)
- 作業機用の油圧アクチュエータを油圧ポンプで作動させ、該油圧ポンプをエンジンで駆動させる作業機において、
前記油圧アクチュエータの動作速度を制御する制御弁と、
前記エンジンの回転数を増減制御する回転数制御器と、
前記制御弁における圧油切換方向とバルブ開度を直接制御する手動の操作レバーと、
前記操作レバーの動きを前記回転数制御器に伝えるカム部とカムフォロアーからなるカム装置とを備えており、
前記カム装置は、前記カムフォロアーを小さく動かす高速用カムおよび前記カムフォロアーを大きく動かす通常用カムと、
前記高速用カムおよび前記通常用カムは互いに重ねられており、いずれか一方を押し出した位置で前記高速用カムまたは前記通常用カムのカム面が前記カムフォロアーを動かす作用位置に固定される位置固定機構とからなる
ことを特徴とする油圧アクチュエータの速度制御装置。 - 前記カム装置は、前記高速用カムが前記操作レバーの基端部に固定されており、
前記通常用カムが前記高速用カムに対しスライド可能に取付けられており、
前記位置固定機構が、前記通常用カムの前進位置と後退位置で位置保持可能な2位置保持ノッチである
ことを特徴とする請求項1記載の油圧アクチュエータの速度制御装置。 - 前記油圧アクチュエータが、高低速可変モータであり、
前記高速用カムまたは通常用カムに前記高低速可変モータの高低速モードを切換える切換スイッチを作動させるスイッチ作動子を設けている
ことを特徴とする請求項1または2記載の油圧アクチュエータの速度制御装置。 - 前記スイッチ作動子が、前記通常用カムに形成された押し片であり、
前記通常用カムが作用位置にあるとき、前記切換スイッチを作動させるものである
ことを特徴とする請求項3記載の油圧アクチュエータの速度制御装置。 - 前記スイッチ作動子が、スイッチ作動板であり、前記カム部において前記カムフォロアーに向けてスライド可能に取付けられ、かつ前記カムフォロアーに向けて付勢されている
ことを特徴とする請求項3記載の油圧アクチュエータの速度制御装置。
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