JP6202727B2 - 化粧シートの製造方法 - Google Patents
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Description
また、化粧シートとしては、表面層と意匠層とを備えるものが広く知られており、表面層と意匠層との間には、さらに透明層(本明細書では、「中間層」とも称する。)が積層されることもある。
特許文献1〜3には、ポリエチレンテレフタレート系樹脂を主成分とする化粧シートの製造方法が開示されている。
特許文献2には、非晶質または低晶質ポリエステル系樹脂を主成分とする着色樹脂材料の意匠層と、非晶質または低晶質ポリエステル系樹脂を主成分とする透明層(中間層)と、ポリエチレンテレフタレートフィルムに塩化ビニル−酢酸ビニル重合体を含む透明インキを塗布した表面層との積層体の製造方法が開示されている。前記表面層と、前記意匠層を積層した前記透明層(中間層)との貼着に、加熱ドラムによる加熱接着法が採用されている。
特許文献3では、ポリエチレンテレフタレート系樹脂を主成分とする化粧フィルムと、二軸延伸(共重合)ポリエチレンテレフタレートフィルムとの貼着に、ドライラミネート法が採用されている。また、ポリエチレンテレフタレート系樹脂を主成分とする化粧フィルムと、クリヤーフィルムとの貼着に、熱ラミネーション法が採用されている。
すなわち、本発明は次の構成からなる。
[1]ポリエチレンテレフタレート系樹脂を主成分とする意匠層とポリエチレンテレフタレート系樹脂を主成分とする表面層とを、中間層を介して積層する化粧シートの製造方法であって、
ポリエチレンテレフタレート系樹脂をフィルム状に溶融押出して形成された前記中間層の第1表面に前記表面層を圧着し、前記中間層の第2表面に前記意匠層を圧着する、押出ラミネート工程を含み、
前記表面層を、前記中間層と圧着する側に接着層をあらかじめ設けたものとする、
化粧シートの製造方法。
[2]前記接着層が、ポリエステル−ポリウレタン系樹脂を含む、前記[1]に記載の化粧シートの製造方法。
[3]前記表面層を、前記化粧シートの表面側にハードコート層を設けたものとする、前記[1]又は[2]に記載の化粧シートの製造方法。
[4]前記意匠層を、前記中間層と圧着する側に印刷層を設けたものとする、前記[1]〜[3]のいずれか一に記載の化粧シートの製造方法。
[5]ポリエチレンテレフタレート系樹脂を主成分とする意匠層とポリエチレンテレフタレート系樹脂を主成分とする表面層とを積層する化粧シートの製造方法であって、
ポリエチレンテレフタレート系樹脂をフィルム状に溶融押出して形成された前記意匠層に前記表面層を圧着する、押出ラミネート工程を含み、
前記表面層を、前記意匠層と圧着する側に接着層をあらかじめ設けたものとする、
化粧シートの製造方法。
[6]前記接着層が、ポリエステル−ポリウレタン系樹脂を含む、前記[5]に記載の化粧シートの製造方法。
図1に示すように、本発明により製造される化粧シート1は、表面層10と意匠層20と、これらの層に挟まれて位置する中間層30とから構成される。
表面層10は、化粧シート表面に生じる傷などを防ぐ層である。
本発明で用いられる表面層10は、表面基材層11と、該表面基材層11の中間層30と接着する側に形成された接着層12と、化粧シート1の最表面に形成されたハードコート層13とを備える(図1)。
表面基材層11としては、ポリエチレンテレフタレート系樹脂を主成分とするフィルムが用いられる。表面基材層11に用いられるフィルムは、表面硬度、耐薬品性及び透明性に優れたものがよく、具体的には、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが挙げられる。中でも、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
また、表面基材層11は、透明なものが用いられてもよく、意匠性を高めるために着色したものを用いてもよい。
表面層10は、本発明の化粧シート1の外観性及び密着強度に優れたものとするために、あらかじめ接着層12を備える。
接着層12を構成する接着剤としては、ヒートシール性樹脂が用いられる。ヒートシール性樹脂を含む接着層12を備えることで、表面基材層11と中間層30との接着性を高めることができる。
ヒートシール性樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル−ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。中でも、ポリエステル−ポリウレタン系樹脂が好ましい。これらは1種を単独で用いてもよいし、複数を併用してもよい。また、接着剤には、イソシアネート等の硬化剤を含ませてもよい。
本発明に用いられる接着剤としては、イソシアネートを硬化剤として含ませたポリエステル−ポリウレタン系樹脂が、化粧シート1の外観性及び密着強度の観点から好ましい。
塗布方法としては、グラビアコート法(マイクログラビアコート法を含む)、ロールナイフコート法、ダイコート法、リバースロールコート法、ロールコート法、キャスト塗工法などが挙げられる。
エージング方法としては、例えば、40℃で2日間養生することにより行う。
表面層10は、化粧シート表面における傷などの防止をさらに強化するために、あらかじめハードコート層13を備えてもよい。ハードコート層13は、鉛筆硬度がHBよりも硬い層であり、活性エネルギー線(紫外線または電子線)の照射によって重合する活性エネルギー線硬化性樹脂によって形成された層である。
ここで、活性エネルギー線硬化性樹脂としては、分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート、分子内に1個の(メタ)アクリロイル基を有する単官能(メタ)アクリレートが挙げられる。
単官能(メタ)アクリレートとしては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
意匠層20は、化粧シート1の意匠性を向上させる層であり、本例では、意匠基材層21と、該意匠基材層21の中間層30と接着する側に形成された印刷層22とを備える(図1)。
本発明の製造方法に用いられる意匠基材層21としては、着色ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムが好ましい。化粧シート1の2次曲面加工を容易にするという観点から、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(以下、「PETG」とも称する。)フィルムが、より好ましい。
グリコール変性ポリエチレンテレフタレートとは、ポリエチレンテレフタレートの一種であり、ポリエチレンテレフタレートのグリコール成分がエチレングリコールであるのに対し、グリコール成分として、エチレングリコールの他、ジオールが含まれている非結晶性ポリエステルである。
印刷層22において、印刷によって形成される絵柄、模様としては、例えば、木目、石目、布目、砂目、タイル貼模様、煉瓦積模様、皮絞模様、幾何学模様、文字、記号、メタリック等が挙げられる。これら絵柄および模様は組み合わせることもできる。
印刷方法としては、スクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷などが挙げられる。
印刷層22に使用されるインクは、バインダ樹脂と着色剤とを含有する。
バインダ樹脂としては、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリプロピレン、ポリエステル樹脂、セルロース系樹脂、ウレタン系樹脂などが挙げられる。
着色剤としては、例えば、チタン白、亜鉛華、カーボンブラック、鉄黒、弁柄、クロムバーミリオン、カドミウムレッド、群青、コバルトブルー、黄鉛、チタンイエロー等の無機顔料、フタロシアニンブルー、インダンスレンブルー、イソインドリノンイエロー、ベンジルジンイエロー、キナクリドンレッド、ポリアゾレッド、ベリレンレッド、アニリンブラック等の有機顔料、アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔粉等の真珠光沢(パール)顔料が挙げられる。上記着色剤は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
中間層30は、意匠層20に施された意匠に深みをだすなど、化粧シート1の意匠性をより向上させるための層である。
中間層30としては、ポリエチレンテレフタレート系樹脂が用いられる。化粧シート1の2次曲面加工を容易にするという理由から、PETGが好ましい。
中間層30は、透明なものでも、着色したものでもよい。
D.製造方法
本発明において「押出ラミネート」とは、押出機を用いてポリエチレンテレフタレート系樹脂を加熱、溶融し、Tダイから押出してフィルム状に成形した樹脂を、その成形直後にポリエチレンテレフタレート系樹脂よりなる他のフィルムに貼着し、ロールの間に挿入してラミネートすることをいう。
製造装置60は、押出機40と、表面層送出手段51と、意匠層送出手段52と、圧着ロール50a,50bとを備える。
前記押出機40は、フィルム状の中間層30を吐出するTダイ41を備える。
前記表面層送出手段51は、前記表面層10を前記圧着ロール50aに向けて供給する。前記圧着ロール50aは、前記表面層10を巻込み、その巻込んだ表面層10を中間層30の第1表面30aに圧着させる。
前記意匠層送出手段52は、前記意匠層20を前記圧着ロール50bに向けて供給する。前記圧着ロール50bは、前記意匠層20を巻込み、その巻込んだ意匠層20を中間層30の第2表面30bに圧着させる。
前記圧着ロール50a,50bは、Tダイ41の吐出下流に位置し、また、前記圧着ロール50aは、前記圧着ロール50bの下流に位置する。
押出機40における溶融温度は、150〜280℃の範囲内に設定するのが好ましい。吐出量は、上述した中間層30の厚さとなるように適宜設定する。
また、表面層10又は意匠層20を圧着させる方向は、中間層30に向かって上からでも下からでもよく、適宜設定することができる。中間層30を、押出機40のTダイ41から圧着ロール50aと圧着ロール50bの間に向けて吐出し、該中間層30を表面層10と意匠層20で横から挟み込むように圧着してもよい(図3)。
本発明の製造方法により作製した化粧シート1は、ドライラミネート法により貼着した化粧シートに比べ、外観性に優れたものとなる。また、接着剤として、ポリエステル−ポリウレタン系樹脂を含むものを用いれば、より高い密着強度が得られる。すなわち、本発明の製造方法によれば、外観性に優れ、かつ、高い密着強度を有する、高品質の化粧シート1を製造することができる。
また、本発明の製造方法によれば、中間層30を形成しつつ、表面層10と意匠層20とを、中間層30に、同一工程内で同時又は略同時に貼着できるため、製造工程の簡略化、さらには、製造時間の短縮化を図ることができる。
本発明の製造方法は、接着剤をあらかじめ設けた、ポリエチレンテレフタレート系樹脂を主成分とする表面層10と、押出機40からフィルム状に形成した、溶融状態又は半固化状態のポリエチレンテレフタレート系樹脂とを用い、押出ラミネート法により貼着した点に、本質的な技術的意義がある。
したがって、図1の表面層10において、化粧シート1の表面側に位置するハードコート層13は、中間層30との貼着に直接かかわらないため、省略することができる(図4)。この場合、ハードコート層13を有しない表面層10を用いて本発明の製造方法により化粧シート1を作製した後、ハードコート層13を貼着してもよい。
また、印刷層22の代わりに、塗布層を設けてもよい。該塗布層における塗布とは、印刷層22に使用されるインクと同様のインクを意匠基材層21の表面に塗布して、意匠基材層21の表面を均一に着色することである。
塗布方法としては、グラビアコート法(マイクログラビアコート法を含む)、ロールナイフコート法、ダイコート法、リバースロールコート法、ロールコート法、キャスト塗工法などが挙げられる。
この場合の意匠基材層21は、透明なものでも、着色したものでもよい。また、この場合の意匠基材層21の厚さは、例えば、透明PETGを用いる場合は、100〜600μmが好ましい。着色PETGを用いる場合は、100〜700μmが好ましく、200〜550μmがより好ましい。
後述の実施例1〜3では、図2に示す製造装置60を用いて、押出ラミネート法により、化粧シート1を作製した。
延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムA−4100(東洋紡(株))に、1m2当たり4g(乾燥質量)となるように接着剤を塗工した。接着剤は、主剤としてポリエステル−ウレタン系樹脂、硬化剤としてイソシアネートを含む、ディックシールA970/ディックシールA970FP−8/W−AH(80/20/3)(DICグラフィックス(株)製)を使用した。塗工後、35℃で2日間養生し、表面層10を得た。表面層10は巻取って巻取体とし、化粧シート1の作製時に、その巻取体を表面層送出手段51に取付けた。
また、透明PETG(GN071(イーストマンケミカル(株)))を主成分とする樹脂フィルムに、SXインク(昭和インク工業(株))で印刷を施し、意匠層20を得た。意匠層20は巻取って巻取体とし、化粧シート1の作製時に、その巻取体を意匠層送出手段52に取付けた。
次いで、意匠層送出手段52から圧着ロール50bに巻込まれた意匠層20を、前記中間層30の第2表面30bに圧着し、それと略同時に、表面層送出手段51から表面温度が160℃に設定された圧着ロール50aに巻込まれた表面層10を、前記中間層30の第1表面30aに圧着した。
圧着後、製造装置60から積層したフィルムを排出し、化粧シート1を得た。
実施例1で用いた接着剤に替えて、主剤としてウレタン−塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体系樹脂、硬化剤としてイソシアネートを含む接着剤である、THFプライマー(S)/XEL硬化剤(D)(100/5)(インクテック(株)製)を使用した以外は、実施例1と同様の方法で、化粧シート1を作製した。
実施例1で用いた接着剤に替えて、主剤としてウレタン−塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体系樹脂を含む接着剤である、TM−A1HS(K)(大日精化社製)を使用した以外は、実施例1と同様の方法で、化粧シート1を作製した。
実施例1と同様に、中間層を形成した。この中間層に、実施例1〜3で用いたものと同じ意匠層を下から熱貼着した。
次いで、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムA−4100(東洋紡(株))に、主剤としてポリエステル系樹脂、硬化剤としてイソシアネートを含む接着剤である、ハイボンYA790−1/コロネートL(100/10)(日立化成ポリマー(株)製)を1m2当たり10g(乾燥質量)となるように塗工し、80℃で乾燥させた。
最後に、意匠層を熱貼着した前記中間層に、接着剤を塗工した前記延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムをドライラミネート法により貼着した後、50℃で2日間エージングし、化粧シートを得た。
上述の実施例1〜3及び比較例で作製した化粧シートの評価試験を行った。
外観性は、化粧シートの表面にユズ肌を生じるか否かを目視により評価した。
密着強度は、JISK6854−2に従う180°剥離試験とJISK6854−3に従うT字剥離試験により評価した。評価にあたっては、試験温度23℃、引張速度300mm/minの条件下で、測定装置としてオートグラフAG−500D((株)島津製作所)を用いた。
これら評価試験の結果を、表1に示す。
特に、主剤としてポリエステル−ウレタン系樹脂、硬化剤としてイソシアネートを含む接着剤を用いた実施例1は、外観性に優れ、かつ、充分な密着強度を有する化粧シートであることを示している。
10…表面層
11…表面基材層
12…接着層
13…ハードコート層
20…意匠層
21…意匠基材層
22…印刷層
30…中間層
30a…第1表面
30b…第2表面
40…押出機
41…Tダイ
50a、50b…圧着ロール
51…表面層送出手段
52…意匠層送出手段
60…製造装置
Claims (5)
- ポリエチレンテレフタレート系樹脂を主成分とする意匠層とポリエチレンテレフタレート系樹脂を主成分とする表面層とを、中間層を介して積層する化粧シートの製造方法であって、
ポリエチレンテレフタレート系樹脂をフィルム状に溶融押出して形成された前記中間層の第1表面に前記表面層を圧着し、前記中間層の第2表面に前記意匠層を圧着する、押出ラミネート工程を含み、
前記表面層を、前記中間層と圧着する側に接着層をあらかじめ設けたものとする、
化粧シートの製造方法。 - 前記接着層が、ポリエステル−ポリウレタン系樹脂を含む、請求項1に記載の化粧シートの製造方法。
- 前記表面層を、前記化粧シートの表面側にハードコート層を設けたものとする、請求項1又は2に記載の化粧シートの製造方法。
- 前記意匠層を、前記中間層と圧着する側に印刷層を設けたものとする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化粧シートの製造方法。
- ポリエチレンテレフタレート系樹脂を主成分とする意匠層とポリエチレンテレフタレート系樹脂を主成分とする表面層とを積層する化粧シートの製造方法であって、
ポリエチレンテレフタレート系樹脂をフィルム状に溶融押出して形成された前記意匠層に前記表面層を圧着する、押出ラミネート工程を含み、
前記表面層を、前記意匠層と圧着する側に、ポリエステル−ポリウレタン系樹脂を含む接着層をあらかじめ設けたものとする、
化粧シートの製造方法。
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