JP5608059B2 - 二次加工用化粧シートおよびそれを用いた化粧材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、表面に紫外線硬化樹脂塗膜を有する三次元立体形状を有する化粧材を製造するための紫外線硬化性塗料層を有する二次加工用化粧シートおよび該二次加工用化粧シートを使用した化粧材およびその製造方法に関し、詳しくは、ポストキュア手法により表面硬度の高い塗膜を形成した化粧材に関するものである。
建具、家具、什器、家電製品、電子機器、自動車内装資材などの分野において、合成樹脂製化粧シートを、三次元立体的な形状を有する基材に真空成形等により貼着した製品が用いられている。しかし、合成樹脂は表面高度が比較的低いため、耐擦傷性に劣るという欠点があった。その欠点を改良するため、合成樹脂製化粧シートの表面には表面硬度を増すために活性エネルギー線硬化樹脂塗膜を形成することが行われている。
ところが、表面に硬化樹脂塗膜を形成した合成樹脂化粧シートを真空成形等の二次加工により三次元立体的に成形しようとすると、塗膜が硬過ぎるため過度の応力をかけてしまうことにより、塗膜表面に亀裂が入ってしまう。この欠点を克服するため、硬化性樹脂塗膜が未硬化のうちに、または半硬化の状態で真空成形した後、紫外線等の活性エネルギー線を照射して塗膜を硬化させる、いわゆるポストキュア手法が知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1には、成型品に耐磨耗性と耐擦傷性を付与するために、半硬化または未硬化の硬化性樹脂層を形成した化粧シートを成形品と一体化し、その後に放射線を照射して樹脂層を硬化させる手法が開示されている。また、二次成形工程およびその後の硬化塗膜を保護するため、マスキングフィルムを用いることも知られている(たとえば、特許文献2参照)。特許文献2には、シート基材上に硬化性樹脂を塗布した後、その塗料層上にマスキングフィルムを積層し、次いで放射線を照射して塗膜を硬化させる化粧シートの製造方法が開示され、マスキングフィルムの材質として、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンおよびポリテトラフルオロエチレンが挙げられている。
しかし、半硬化または未硬化の硬化性樹脂塗膜は、そのまま三次元的に加工すると表面に傷がつきやすい。また、硬化性樹脂を半硬化状態にするといっても、硬化制御が困難であるため、品質にばらつきが生じやすい。さらに、従来用いられているマスキングフィルムでは、成形条件が厳しい場合、マスキングフィルムが追随できずに亀裂や皺が発生したり、硬化性樹脂との密着性が悪くなったりすることによって、却って硬化性樹脂を傷つけてしまい、硬化樹脂塗膜の表面平滑性に問題を生じる。またさらに、上記問題が生じない場合であっても、硬化後、マスキングフィルムが剥がれにくくなってしまうという新たな問題が生じている。
出願人は、未硬化の硬化性樹脂層の表面に、非結晶性または低結晶性ポリエステル系樹脂からなる外層と結晶性のポリブチレンテレフタレート系樹脂からなる厚さ3〜15μmの内層を積層してなる総厚さ20〜100μmの複層フィルムをマスキングフィルムとして用いることを提案した(特許文献3参照)。
しかし、内層と外層の熱物性が異なるため、安定してフィルムとして複層化するのが困難であるし、高コストという問題もある。また、二次加工工程で比較的圧力のかかりやすい角部の塗膜が薄くなるという欠点があった。
合成樹脂製化粧シートを用いてポストキュア手法により表面に硬化塗膜を形成した立体的な成型品を製造する際、二次成形工程およびその後の塗膜を保護するためにマスキングフィルムを用いる場合、その選定基準として、a)基材シートの塑性変形に追随して伸びること、b)塗膜を硬化させるために照射する紫外線を透過すること、c)塗膜の硬化後に容易に剥離できる離型性があること、d)塗膜が光沢を付与するためにフィルムに均一性があること、e)低コストであること、を考慮しなければならないが、かかる基準をクリアーするためにどのような材質のマスキングフィルムを選択すればよいかについては、特許文献1および2には開示がない。また、二次加工時またはその後に成型品表面に設けられているマスキングフィルムが部分的に剥がれて浮きが発生するスプリングバック(以下「SB」という)と呼ばれる現象が起き、その後の紫外線照射により硬化した塗膜の表面状態が不均一となる。このようなSB現象が生じないようにするため、マスキングフィルムにおいていかなる対策を講ずるべきかについても、従来全く知られていなかった。
特許第3033189号公報(第5欄第47行〜第6欄第2行) 特許第2874774号公報(第4欄第15〜24行) 特開2006−110722号公報
したがって、本発明の目的は、表面に硬化塗膜を形成した立体的な化粧材をポストキュア手法により製造するにあたり、硬化塗膜の表面平滑性に優れ、良好な外観を有する化粧材を得るための二次加工用化粧シートおよび二次加工用化粧シートを用いて化粧材を製造する方法を提供することである。
本発明の二次加工用化粧シートは、合成樹脂製装飾性シートと、該装飾性シートの表面に形成された紫外線硬化性塗料層と、該紫外線硬化性塗料層の表面に積層されたマスキングフィルムとを有する二次加工用化粧シートにおいて、前記紫外線硬化性塗料層は、紫外線を照射されることにより硬化する層であり、前記マスキングフィルムが、易成形性ポリエステル系樹脂フィルムからなる保護層と厚さ0.7〜4μmのアクリル系粘着剤層からなり、前記保護層は80℃での100%延伸時の応力が60N/mm 以下のフィルムで形成され、前記アクリル系粘着剤層を前記紫外線硬化性塗料層側に形成してなることを特徴とする。
前記装飾性シートと前記紫外線硬化性塗料層との間にホットメルト接着剤層を形成してなることが好ましい。
また、前記紫外線硬化性塗が、ウレタンアクリレートオリゴマーとアクリル系モノマーを含むウレタンアクリレート系樹脂塗料からなるものが好ましい。このウレタンアクリレート系樹脂塗料は、耐候性が良好であり、化粧シートの二次加工において熱変形を阻害しにくい。
また、本発明のマスキングフィルム付き化粧材は、合成樹脂装飾性シートの表面に紫外線硬化性塗料層を形成した後、該紫外線硬化性塗料層上にマスキングフィルムを積層して二次成形用化粧シートを作成し、次いで三次元立体形状を有する基材に該二次成形用化粧シートを真空成形、圧空成形、真空・圧空成形またはメンブレンプレス成形により貼着した後、紫外線を照射して該紫外線硬化性塗料層を硬化せしめ、硬化樹脂層とする、マスキングフィルム付き化粧材の製造方法において、前記マスキングフィルムが、易成形性ポリエステル系樹脂フィルムからなる保護層厚さ0.5〜5μmのアクリル系粘着剤層からなり、前記アクリル系粘着層を前記紫外線硬化性塗料層側に形成してなることを特徴とする。マスキングフィルムは不要になり次第、アクリル系粘着剤層ごと剥離され、化粧材表面に硬化樹脂層を露出させる。そのタイミングは化粧材を用いて家具等を組み立てる前でも、工程の際であっても、完成した後であっても構わない。
また、前記紫外線硬化性塗料層が、剥離層を設けた二軸延伸PETフィルムからなるキャリアフィルムの上に、紫外線硬化性塗料を塗布、乾燥して紫外線硬化性塗料層を形成した後、該紫外線硬化性塗料層の表面にホットメルト樹脂を塗布、乾燥してホットメルト樹脂層を形成した転写箔を使用して、前記合成樹脂製装飾性シートの表面に熱圧着し、積層した後、該キャリアフィルムを剥離することにより、該合成樹脂製装飾性シート表面に熱転写形成されるのが好ましい。
本発明によれば、ポストキュア手法を採用したことにより、二次加工時における化粧シートの熱変形が硬化塗膜によって阻害されることがなく、また、マスキングフィルムは、易成形性ポリエステル系樹脂フィルムを用い、厚さ0.5〜5μmのアクリル系粘着剤層が形成されているので、紫外線硬化性塗料層付き化粧シートにマスキングフィルムとして貼着することができ、かつ、三次元的に加工後は容易に剥離できるという効果もあり、易成形性ポリエステル系樹脂フィルムは、二軸延伸処理がされているので極めて平滑であるので従来のマスキングフィルムに比べて硬化塗膜の表面性に悪影響を及ぼすことがない。また、前記非粘着性紫外線硬化性塗料層は、二軸延伸PETフィルムに剥離層を設けたキャリアフィルムの上に、紫外線硬化性塗料層を形成し、さらに、ホットメルト樹脂層を形成した転写箔を用いることで、溶剤で希釈された低粘度の紫外線硬化性塗料を使用することができ、乾燥後には非粘着性紫外線硬化性塗料層を形成することができ、必要に応じて二軸延伸PETフィルムの表面形状を変化させることにより、鏡面や、砂目等のエンボス加工をすることができるという効果もある。
図1は本発明の第1の実施形態である二次加工用化粧シートの断面図である。 図2は本発明の第2の実施形態である二次加工用化粧シートの断面図である。 図3は本発明の第2の実施形態である二次加工用化粧シートの製造工程を模式化した説明図である。
〔第1の実施形態〕
第1の実施形態のよる二次加工用化粧シートを図1に示した。第1の実施形態において用いられる合成樹脂製装飾性シート11は、着色剤を配合した着色シートであり、塩化ビニル樹脂、非結晶性ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ABS樹脂等が用いられる。好ましくは、硬質若しくは半硬質塩化ビニル樹脂または非結晶性若しくは低結晶性ポリエステル樹脂が用いられ、顔料、その他添加剤を混合した樹脂組成物をカレンダー成形法や押出成形法等によってシート状に成形する。その厚さは、0.075〜0.7mm、好ましくは0.1〜0.5mm程度である。この装飾性シートは、複層であってもよい。
本発明において前記装飾性シート11の表面に形成する非粘着性紫外線硬化性塗料層12に用いられる塗料は、アクリル系樹脂塗料、ポリエステル系樹脂塗料などが挙げられる。アクリル系樹脂塗料としては、アクリル系オリゴマーとアクリル系モノマーを主成分とした無溶剤系塗料を使用することができる。
前記アクリル系オリゴマーとしては、ウレタンアクリレートオリゴマー、エステルアクリレートオリゴマー、エポキシアクリレートオリゴマー、アクリル樹脂アクリレートなどが挙げられるが、ウレタンアクリレートオリゴマーが好ましい。
ウレタンアクリレートオリゴマーとは、高分子量のイソシアネートとヒドロキシル基を有するアクリレートとが化学結合したものであって、その重量平均分子量は通常2000〜12000程度が好ましい。
前記高分子量のイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネートなどの芳香族系イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネートなどの脂肪族・脂環属イソシアネートが挙げられる。また、前記ヒドロキシル基を有するアクリレートとしては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ペンタエリスリトールアクリレートなどか挙げられる。
また、アクリル樹脂アクリレートとは、ポリメチルメタクリレートを主成分とするアクリル共重合樹脂中に、予め、カルボキシル基、エポキシ基、ヒドロキシル基などの官能基を持つ(メタ)アクリレートモノマーを共重合せしめ、それぞれの官能基に対応して付加反応する官能基を持つ(メタ)アクリレート系モノマーと付加反応させて二重結合を導入したものである。
上記アクリル系モノマーとしては、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソオクチルアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートなどが挙げられる。
ウレタンアクリレートオリゴマーとしては、耐候性、可撓性、密着性が特に優れることから、脂肪族イソシアネートとヒドロキシル基を有するアクリレートとからなる脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマーが好ましい。脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマーと重合性モノマーとを含む無溶剤型の放射線硬化型塗料としては、例えば、ダイセルUCB社製「KRM7818」「KRM7842」「KRM7946」などを挙げることができる。また、ウレタンアクリレートオリゴマーは、3官能以下であることが好ましい。
前記紫外線硬化性塗料層12には、紫外線を照射して架橋硬化させるために光開始剤を添加することが好ましい。この場合、照射された紫外線によって光開始剤がラジカルを発生し、このラジカルによってアクリレートが重合して硬化する。
本発明においては、非粘着性紫外線硬化性樹脂塗料層を形成する方法については特に制限がなく、たとえば、バーコート法、ロールコート法、ブレードコート法、リバースコート法、グラビアコート法、ダイコート法などを使用することができる。
前記マスキングフィルム13は、易成形性ポリエステル系樹脂フィルムからなる保護層14と粘着剤層15からなる。
易成形性ポリエステル系樹脂フィルムとは、芳香族ジカルボン酸成分と脂肪族ジオール又は脂環族ジオールを含むジオール成分から構成される共重合ポリエステルである。
芳香族ジカルボン酸成分としては、たとえば、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸またはそれらのエステルが挙げられる。
脂肪族ジオールとしては、たとえば、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコールが挙げられる。また、脂環族ジオールとしては、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメチロールが挙げられる。なかでも、ネオペンチルグリコールや1,4−シクロヘキサンジメタノールが特に好ましい。
さらに、上記ジオール成分に加えて1,3−プロパンジオールや1,4−ブタンジオールを共重合成分とすることがより好ましい。これらのジオールを共重合成分として使用することによって、化粧シートの二次成形時に熱変形を阻害しない。さらに、透明性や耐熱性、接着性も良好である。
また、保護層14に使用される易成形性ポリエステル系樹脂フィルムは、80℃での100%延伸時の応力が60N/mm以下のものが好ましい。具体的には、帝人デュポンフィルム社製の「テフレックスFT7」「テフレックスFT3」、東洋紡績社製「ソフシャインA1535」「ソフシャインA1551」、東レ社製「25QR46」「50FL10」等が挙げられる。
粘着剤層15としては、アクリル系粘着剤が用いられる。アクリル系粘着剤は、アクリル重合体と粘着付与剤とを含有するアクリル系粘着剤が挙げられる。ここで、アクリル系粘着剤のアクリル重合体を構成する単量体単位としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどが挙げられる。ここに、(メタ)アクリル酸は、メタクリル酸又はアクリル酸を意味する。また、粘着付与剤としては、ロジン系、テルペン系、フェノール系、クマロン系などの粘着付与剤が挙げられる。
粘着剤層15の厚さは、0.5〜5μm、好ましくは0.7〜4μmである。粘着剤層15の厚さが0.5μm未満であると、マスキングフィルム13を非粘着性紫外線硬化性塗料層に粘着させた際、粘着強度が不十分となるおそれがあり、5μmを超えると、二次成形し、硬化後の塗膜層との剥離が困難となるので好ましくない。
本発明においては、前記合成樹脂製装飾性シートの表面に非粘着性紫外線硬化性樹脂塗料層を形成した後、その塗料層上に、上記マスキングフィルムのアクリル系粘着剤層が塗料層に密着するようにして積層して、二次成形用化粧シートが得られる。
次いで前記化粧シートを立体的な基材に真空成形、圧空成形、メンブレンプレス成形等により貼着加工する。この成形加工に使用される立体的な基材としては、中密度繊維板(MDF)、金属成型品や射出成形された樹脂成型品等を挙げることができる。貼着加工後、表面のマスキングフィルムを通して紫外線を照射し、未硬化の塗料層を硬化させる。
硬化前の塗料層を保護するマスキングフィルムは、硬化後、必要な時点で最終的に剥離して取り除き硬化膜を有する化粧材が完成する。化粧材の外観は、ポストキュア手法とそれに加えて適切なマスキングフィルムを用いたことにより、良好なものものとなる。
〔第2の実施形態〕
第2の実施形態による二次成形用化粧シート1’は、図2に示した。また、その成形工程を図3に模式的に示した。第1の実施例と同じ符号が付されたものについては、その組成および成形法などは共通している。
第2の実施形態において用いられる合成樹脂製装飾性シート21は、着色シート16の表面に柄模様が印刷された印刷層17の上にさらに透明シート18を形成した易加工性の装飾性シート21である。着色シート16は、第1の実施形態における着色シートと同様に得られる。また、透明シート18も着色シート16と同様な樹脂を用いることができるが、添加すると不透明化する顔料は配合されていない。透明シート18の厚さは、0.075〜0.7mm、好ましくは0.1〜0.5mm程度である。
印刷層17は、たとえば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、アクリル樹脂およびウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂の少なくとも1つを含む熱可塑性樹脂25重量%以上、好ましくは50重量%以上含有するバインダ成分と、着色成分とを含有する着色インキにより印刷模様を有して、意匠を向上させるものである。印刷層はべた塗りでも良いし、単色または多色の模様や絵柄を印刷したものであってもよい。
バインダ成分として使用される塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂としては特に制限されないが、インキ用として適していることから、共重合樹脂中の塩化ビニル/酢酸ビニルの重量比が92/8〜75/25、重量平均分子量が2.5万〜4万の範囲であることが好ましい。また、アクリル系樹脂は、インキ用として適したアクリルポリオール系のアクリル系樹脂などが好ましい。
このように、印刷層17のバインダ成分に塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、アクリル樹脂、ウレタン系樹脂およびポリエステル系樹脂の少なくとも1つを含む熱可塑性樹脂が25重量%以上含有されていると、着色シート16および透明シート18との密着性を向上させることができるので、粘着転着性を低下させることができる。なお、着色インキのバインダ成分において、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、アクリル樹脂、ウレタン系樹脂およびポリエステル系樹脂の少なくとも1つを含む熱可塑性樹脂が100重量%であってもよい。
印刷層17に含有可能な着色成分としては、例えば、ラーベン420(コロンビアン社製)、カーボンブラックFW200(デグッサ社製)、モナーク1000(キャボット社製)、カーボンブラック2400B(三菱化学社製)などの黒色のカーボン系顔料、ヘリオゲンブルーL−6900、ヘリオゲングリーンL−8605(以上、BASF社製)、パロマーンブルーB−4806(バイエル社製)、ファーストゲンブルー5030F、ファーストゲングリーンS(大日本インキ化学工業)などのブルー系、グリーン系の顔料、酸化チタンなどの白色系顔料、他の色の顔料などが挙げられる。
さらに、意匠性をさらに高めることを目的として、光輝顔料を添加することもできる。光輝顔料としては、例えば、アルミペースト8820YF、アルミペースト7130N(東洋アルミニウム社製)、SAP210N、SAPFM4000(昭和アルミパウダー社製)などのアルミニウム系メタリック顔料、イリオジン101、イリオジン205、イリオジン321(以上、メルク社製)、エクステリアマーリンブライトホワイト1389X、エクステリアマーリンスーパーゴールド239Z、エクステリアマーリンスーパーブロンズ259X(以上、マール社製)などのパール顔料が挙げられる。
以上に例示した着色成分は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。このような着色成分を含む印刷層17を設けることにより、化粧シート1’の意匠性を向上させることができる。
第2の実施形態おいては、前記装飾性シート21の表面に形成する非粘着性紫外線硬化性塗料層12は、二軸延伸PETフィルムからなるキャリアフィルム31に剥離層32を設けた剥離フィルムに、紫外線硬化性塗料を塗布、乾燥して非粘着性塗料層12を形成した後、ホットメルト樹脂層19を塗布、乾燥して形成した転写箔3を、合成樹脂製装飾性シートの表面に熱転写し、剥離フィルムを剥がすことにより、合成樹脂製装飾性シート上に形成する。紫外線硬化性塗料が有機溶剤を用いている場合、第1の実施形態のように直接塗布すると装飾性シートにダメージを与えてしまうおそれがあるので、耐溶剤性の良好な二軸延伸PETフィルムを用いたこの方法によることが好ましい。また、キャリアフィルム31として平滑性の優れたものを使用すれば、硬化後の硬化膜表面を鏡面とすることができる。またさらに、キャリアフィルム31表面をエンボス加工等の凹凸を形成しておけば、硬化膜表面をそれに応じた表面形状とすることも可能である。
前記ホットメルト樹脂としては、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂などが挙げられる。これらは溶剤で希釈して塗布、乾燥して薄膜のホットメルト樹脂層19が形成され、転写箔3となる。
第2の実施形態におけるマスキングフィルム13は、第1の実施形態と同様に形成する。
なお、上記した各層には、必要に応じて、上記した以外の添加剤、たとえば、着色料、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、老化防止剤、レベリング剤、帯電防止剤、保存安定剤、可塑剤、滑剤、無機系充填剤、有機系充填剤、紫外線吸収能や近赤外線吸収能を有する酸化チタン、酸化亜鉛、ITOなどの金属(複合)酸化物微粒子等を添加することもできる。
以下、本発明の実施例を挙げるが、本発明はかかる実施例によって何ら限定されるものではない。また、本発明においては、成型加工性および離型性は、以下に示す試験方法により評価した。
(1)成型加工性
二次加工用化粧シート1を加熱して軟化させ、接着剤を表面に塗布した下記形状の基材の天頂面および4つの側面を覆うように真空成形して貼着した。その後マスキングフィルム13を通して紫外線硬化性塗料層12に紫外線を照射して硬化させ、マスキングフィルム付き化粧材サンプルを得た。各基材について10個ずつ化粧材サンプルを作成し、マスキングフィルム13の形状追随性(フィルムにおける亀裂や皺の発生の有無)および硬化層との密着性(マスキングフィルム13と硬化層との間における浮きの発生の有無)を目視により確認し、以下の基準で評価した。
[基材]
厚さ18mm、縦115mm、横350mmのMDF板の天頂面および4つの側面同士が形成する8つの稜線の全てを3mmφ、5mmφ、8mmφ、10mmφのいずれかで面取りした4種類のMDF板を基材として用意した。
(1−1)形状追随性
○:いずれの基材においてもマスキングフィルムの亀裂や皺の発生率が10%以下。
△:1〜2種類の基材において、マスキングフィルムの亀裂や皺の発生率が10%を超えた。
×:3種類以上の基材において、マスキングフィルムの亀裂や皺の発生率が10%を超えた。
(1−2)密着性(SB現象の有無)
○:いずれの基材においてもマスキングフィルムと硬化膜間における浮きの発生率が10%以下。
△:1〜2種類の基材において、マスキングフィルムと硬化膜間における浮きの発生率が10%を超えた。
×:3種類以上の基材において、マスキングフィルムと硬化膜間における浮きの発生が10%を超えた。
(2)剥離性
上記(1)で得たサンプルを、マスキングフィルムを通して未硬化塗膜に紫外線を照射して硬化させた硬化膜からマスキングフィルムを剥離の状況を以下の基準で評価した。
○:ほとんど問題なく容易に剥離できる。
△:かなり抵抗があるが剥離できる。
×:抵抗が大きく剥離できない。
実施例および比較例でマスキングフィルムの保護層として使用したのは、次のとおり。
・商品名「テフレックスFT3」、帝人デュポンフィルム社製、易成形性ポリエステル系樹脂フィルム、厚さ:50μm
・商品名「ソフシャインA1535」、東洋紡績社製、易成形性ポリエステル系樹脂フィルム、厚さ:50μm
・商品名「S−50」、ユニチカ社製、二軸延伸PETフィルム、厚さ:50μm
[実施例1]
二軸延伸PETフィルムに剥離層を設けた剥離フィルムの上に、紫外線硬化性ウレタンアクリレート系樹脂塗料(大日精化社製、「CI−S01」、固形分25%、光開始剤入り)をバーコーターで塗布、乾燥後、厚さ5μmの非粘着性紫外線硬化性塗料層を形成し、さらに前記塗料層上に、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体の塗料(大日精化社製、TM−A1HS(K) 固形分20%)を塗布、乾燥して、厚さ1μmのホットメルト樹脂を形成し、転写箔を得た。
塩化ビニル樹脂95質量%、アクリルゴム系改質剤(三菱レイヨン社製、商品名「メタブレンW−300」)5質量%からなる樹脂成分100質量部に白色顔料(酸化チタン)10質量部、可塑剤(DOP)16部、安定剤(Ca−Znステアレート系)3質量部を添加した樹脂組成物を押出機で厚さ200μmの着色した半硬質塩化ビニル樹脂製化粧シートを押出し、前記転写箔に押出ラミネート法で積層した。その後、転写箔の剥離フィルムを剥がした後、4本ロールラミネーターを用い、化粧シートの前記非粘着性紫外線硬化性塗料層上に、厚さ1μmのアクリル樹脂系粘着剤を形成した易成形性ポリエステル系樹脂フィルム(東レ社製、「25QR46」、フィルム厚さ25μm)からなるマスキングフィルムの粘着層が密着するように、80℃のロール温度でラミネートして紫外線硬化性塗料層付き化粧シートを得た。
得られた紫外線硬化性塗料層付き化粧シートを用いて、立体的な基材に貼着被覆するにあたり、基材として30cm×50cm、厚さ15mmのMDF製扉を用い、前記化粧シートを90℃の温度に加熱して軟化させ、真空成形により基材の上面と四面の側面を化粧シートで貼着被覆した。
高圧水銀灯(強度120W/cm)を搭載した紫外線照射装置(アイグラフィックス社製、「アイグランデージ」ECS−401GX)を用い、水銀灯の点灯下において、通過速度10m/分、通過回数2回の条件で上記成型品を通過させることにより、マスキングフィルムを通して紫外線を照射して未硬化の塗膜を硬化させた。塗膜の硬化後、マスキングフィルムを剥離して取り除き、表面に硬化樹脂塗膜を有する立体成型品を得た。
紫外線照射による塗膜の硬化前後における各評価試験を行ったところ、形状追随性、密着性および剥離性は、全て○の評価であった。
[実施例2]
前記実施例1において、押出機で厚さ150μmの透明非晶質ポリエステル系樹脂(イーストマンケミカル社製、「イースターGN071」)を押出しながら、裏側面に木目印刷された厚さ100μmの着色非晶質ポリエステル系樹脂シートを、表側面に実施例1で用いた転写箔をそれぞれ押出ラミネートで積層した。その後、転写箔のキャリアフィルムを剥がした後、4本ロールラミネーターを用い、化粧シートの前記非粘着性紫外線硬化性塗料層上に、厚さ1μmのアクリル樹脂系粘着剤を形成した易成形性ポリエステル系樹脂フィルム(東レ社製、「25QR46」、フィルム厚さ25μm)からなるマスキングフィルムの粘着層が密着するように、80℃のロール温度でラミネートして紫外線硬化性塗料層付き化粧シートを得たこと以外は、実施例1と同様にして表面に硬化塗膜を有する立体成型品を得た。紫外線照射による塗膜の硬化前後における各評価試験を行い、評価結果を表1に示す。
[実施例3〜5、比較例1〜3]
前記実施例2において、粘着層付きマスキングフィルムの保護層として、フィルムの種類およびアクリル樹脂系粘着剤の厚さを変更したこと以外は、実施例2と同様にして表面に硬化塗膜を有する立体成型品を得た。実施例2と同じ各評価試験を行い、評価結果を表1に示す。
[実施例6]
前記実施例1において、装飾性フィルムとして、塩化ビニル樹脂95質量%、アクリルゴム系改質剤(三菱レイヨン社製、商品名「メタブレンW−300」)5質量%からなる樹脂成分100質量部に白色顔料(酸化チタン)10質量部、可塑剤(DOP)16部、安定剤(Ca−Znステアレート系)3質量部を添加し、カレンダー成形して得た厚さ100μmの着色シートを用い、この着色シートに、ウレタンアクリレートオリゴマー(昭和インク工業所製「CSEB5メジューム」)50質量部(樹脂成分中の50質量%)と、アクリル樹脂アクリレート(昭和インク工業所製「CSEB12メジューム」、固形分含有量:40質量%)30質量部(樹脂成分中の30質量%)と、アクリル系樹脂(昭和インク工業所製「MKAメジューム」)20質量部(樹脂成分中の20質量%)と、これらの混合物100質量部に対して3.0質量部の光開始剤(チバスペシャリティケミカルズ社「IRGACURE819」)と、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(チバスペシャリティケミカルズ社製「チヌビン400」)1.0質量部と、ヒンダードアミン系光安定剤(チバスペシャリティケミカルズ社製「チヌビン290」)1.0質量部とを含有する紫外線硬化性塗料を、ダイコート法により塗布し、厚さ150μmの紫外線硬化性塗料層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして表面に硬化塗膜を有する立体成型品を得た。実施例2と同じ各評価試験を行い、評価結果を表1に示す。
実施例2〜6は、紫外線照射による塗膜の硬化前後における各評価試験を行ったところ、形状追随性、密着性および剥離性は、全て○の評価であったが、比較例1は、真空成形時にマスキングフィルムの浮きが発生し、硬化樹脂塗膜の表面にムラが生じた。また比較例2は、硬化樹脂塗膜からの剥離抵抗が大きく、完全に剥離することが出来なかった。比較例3は、加工性に欠点があった。
本発明の二次加工用化粧シートは、建具、家具、什器、家電製品、電子機器、自動車内装資材などの分野において、扉、壁体などに化粧性を付与するための化粧シートとして有用である。特に、立体成形性が良好であり、かつ、硬化塗膜の表面平滑性に優れ、良好な外観を有するため、立体成形体表面への適用が好適である。
1,1’ 二次加工用化粧シート
3 転写箔
11,21 合成樹脂性装飾性シート
12 紫外線硬化性塗料層
13 マスキングフィルム
14 保護層
15 粘着剤層
16 着色シート
17 印刷層
18 透明シート
19 ホットメルト樹脂層
31 キャリアフィルム
32 剥離層

Claims (5)

  1. 合成樹脂製装飾性シートと、該装飾性シートの表面に形成された紫外線硬化性塗料層と、該紫外線硬化性塗料層の表面に積層されたマスキングフィルムとを有する二次加工用化粧シートにおいて、
    前記紫外線硬化性塗料層は、紫外線を照射されることにより硬化する層であり、
    前記マスキングフィルムが、易成形性ポリエステル系樹脂フィルムからなる保護層と厚さ0.7〜4μmのアクリル系粘着剤層からなり、前記保護層は80℃での100%延伸時の応力が60N/mm 以下のフィルムで形成され、前記アクリル系粘着剤層を前記紫外線硬化性塗料層側に形成してなることを特徴とする二次加工用化粧シート。
  2. 前記装飾性シートと前記紫外線硬化性塗料層との間にホットメルト接着剤層を形成してなることを特徴とする請求項1記載の二次加工用化粧シート。
  3. 記紫外線硬化性塗が、ウレタンアクリレートオリゴマーとアクリル系モノマーを含むウレタンアクリレート系樹脂塗料からなることを特徴とする請求項1に記載の二次加工用化粧シート。
  4. 合成樹脂装飾性シートの表面に紫外線硬化性塗料層を形成した後、該紫外線硬化性塗料層上にマスキングフィルムを積層して二次成形用化粧シートを作成し、次いで三次元立体形状を有する基材に該二次成形用化粧シートを真空成形、圧空成形、真空・圧空成形またはメンブレンプレス成形により貼着した後、紫外線を照射して該紫外線硬化性塗料層を硬化せしめ、硬化樹脂層とする、マスキングフィルム付き化粧材の製造方法において、
    前記マスキングフィルムが、易成形性ポリエステル系樹脂フィルムからなる保護層厚さ0.5〜5μmのアクリル系粘着剤層からなり、前記アクリル系粘着層を前記紫外線硬化性塗料層側に形成してなることを特徴とするマスキングフィルム付き化粧材の製造方法。
  5. 記紫外線硬化性塗料層が、剥離層を設けた二軸延伸PETフィルムからなるキャリアフィルムの上に、紫外線硬化性塗料を塗布、乾燥して紫外線硬化性塗料層を形成した後、該紫外線硬化性塗料層の表面にホットメルト樹脂を塗布、乾燥してホットメルト樹脂層を形成した転写箔を使用して、前記合成樹脂製装飾性シートの表面に熱圧着し、積層した後、該キャリアフィルムを剥離することにより、該合成樹脂製装飾性シート表面に熱転写形成されることを特徴とする請求項4記載のマスキングフィルム付き化粧材の製造方法。
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