JP6201610B2 - 電子装置の製造方法及び回路基板 - Google Patents
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図1〜図2は、本実施形態による半導体装置の製造方法を工程順に示す概略断面図である。
詳細には、支持基板1として、例えばSi基板を用意する。
先ず、支持基板1上に第1の剥離層2aを形成する。
次に、第1の剥離層2aの全面(表面及び側面)を覆うように、支持基板1上に第2の剥離層2bを形成する。第1の剥離層2aは、第2の剥離層2bにより外部に対して非露出状態とされる。第1の剥離層2a及び第2の剥離層2bにより、剥離膜2が構成される。
第1の剥離層2aは、急速な剥離性を発揮すべく、例えば3.0g/cm3以下の低密度であることが好ましい。これは、アルカリ性溶剤が第1の剥離層2a内へ急速に浸入し、アルカリによる溶解剥離を加速する効果を得るためである。更に、アルカリ溶剤による溶解性及び浸透性を維持するために、主骨格であるシロキサン結合の他に、シラノール基やアルコキシ基を多く含有することが好ましい。これに対して、アルキル基等の非極性官能基は撥水特性を有しており、アルカリ性溶剤の浸透を阻害する働きを示すため、多く含有しない方が好ましい。しかしながら、第1の剥離層2aの厚みとの関係から、第1の剥離層2aの内部応力の低減及びクラック発生の防止のために、アルキル基等の非極性官能基を多少含んでいても構わない。
剥離膜2は、剥離工程までの間では、支持基板1上に配線樹脂層を確実に保持する。配線樹脂層は、これと直接的に接触する接着性の高い第2の剥離層2bにより保持される。そのため、配線樹脂層を形成する工程及び配線樹脂層等にバンプを形成する工程で第1の剥離層2aを保護し、第2の剥離層2bによる配線樹脂層の十分な保持力を確保すべく、第1の剥離層2aの表面を非露出状態とする様態で第2の剥離層2bが形成されている。
剥離膜2は、剥離工程では、後述する配線樹脂層へのダメージを可及的に抑制した短時間での剥離が可能である。第1の剥離層2aは、特定の剥離方法、ここではアルカリ性溶剤剥離方法により、第2の剥離層2bよりも剥離性の高い層である。第1の剥離層2aにより、剥離膜2の優れた剥離性を得ることができる。
詳細には、セミアディティブ法等により、第2の剥離層2b上又は絶縁樹脂上に例えばCu配線3Aを形成する工程を繰り返し行い、例えば3層の配線構造を形成する。最下層の配線構造では、剥離膜2上にランド部3aが形成される。最上層の配線構造では、ランド部3bが配線樹脂層3の表面で露出する。以上により、支持基板1上に剥離膜2を介して配線樹脂層3が形成される。配線樹脂層3は、剥離膜2の第2の剥離層2bと接着された状態に形成される。
詳細には、配線樹脂層3の表面で露出するランド部3b上に、ハンダボール等のバンプ4を形成する。バンプ4の形成には、無電界メッキ法、バンプボールマウント法、電界メッキ法、印刷法等を用いる。
この回路基板は、支持基板1上に、第1の剥離層2aとこれを非露出状態で覆う第2の剥離層2bとからなる剥離膜2が形成され、剥離膜2上に配線樹脂層3が形成され、配線樹脂層3上にバンプ4が形成されて構成されている。
この回路基板では、剥離性の高い第1の剥離層2aの表面を非露出状態に覆う接着性の高い第2の剥離層2bが形成されて剥離膜2が形成されており、第1の剥離層2aの高い剥離性が発現されない状態で保持されている。
図1(d)では、ダイシングにより剥離膜2が加工され、小片化された回路基板において、剥離膜2の側面部位で第1の剥離層2aが露出している。本実施形態では、このダイシング工程が、剥離膜2で第1の剥離層2aの一部を露出させる、後述する剥離工程のうちの第1の剥離工程を兼ねている。
詳細には、配線樹脂層3をビルドアップ基板6と対向させ、配線樹脂層3上のバンプ4をビルドアップ基板6のランド部と当接させる。リフロー炉により所定温度でバンプ4を溶融させ、配線樹脂層3をビルドアップ基板6と接合する。配線樹脂層3とビルドアップ基板6との間にアンダーフィル材を注入し、アンダーフィル材を加熱硬化させる。
剥離膜2の剥離工程は、第1〜第3の剥離工程からなる。
第1の剥離工程は、剥離膜2において、第1の剥離層2aの少なくとも一部を露出させる工程であり、本実施形態では上述のダイシング工程が兼ねている。ダイシング工程において剥離膜2の一部が除去され、剥離膜2の側面部位で第2の剥離層2bから第1の剥離層2aが露出する。
第2の剥離工程においては、第1の剥離工程により第2の剥離層2bから第1の剥離層2aの一部が露出した状態とされており、アルカリ性溶剤が第1の剥離層2aの露出した部位から低密度の第1の剥離層2a内に急速に浸入し、第1の剥離層2aが溶解されて除去される。
第2の剥離層2bは、アルカリ不溶の材料からなり、第1の剥離層2aよりも剥離性が低い。第3の剥離工程においては、第2の剥離層2bは、酸又は有機溶剤等を用いたウェット処理又はドライエッチング等により、比較的容易に除去される。
詳細には、配線樹脂層3の表面で露出するランド部3a上に、ハンダボール等のバンプ5を形成する。バンプ5の形成には、無電界メッキ法、バンプボールマウント法、電界メッキ法、印刷法等を用いる。
詳細には、配線樹脂層3上にバンプ5を介して電子部品、ここでは半導体チップ7を配置し、バンプ5を溶融させて配線樹脂層3と半導体チップ7とを接合する。
先ず、このSi基板上に、第1の剥離層として多孔質シリカ膜(セラメートNCS)を回転数2000rpm、30秒間の条件でスピンコート法により塗布し、200℃のホットプレートで3分の仮硬化を行った。スピンコートの際には、Si基板の外周5mmにイソプロピルアルコールを噴射し、Si基板が露出するようにした。
次に、Si基板を酸素濃度100ppm以下の窒素雰囲気の電気炉に配置し、400℃、30分間の条件で焼成を行い、第1の剥離層を形成した。このときの第1の剥離層の厚みは約1μm程度であった。
以上により、第1の剥離層及び第2の剥離層からなる剥離膜が形成された。
次に、N−メチル−2−ピロリジノンを用いてレジストを剥離した後、レジストの被覆によってメッキされなかった部分のシード層Cuを過硫酸アンモニウムにてエッチングいた。以上により、ランド部が形成された。
以上により、支持基板上に第1の剥離層及び第2の剥離層からなる剥離膜を介して、表面にバンプを有する配線樹脂層が形成されてなる回路基板が形成された。
次に、ビルドアップ基板の所定のランド部上にフラックスを塗布した後、小片化された回路基板のバンプをビルドアップ基板に押し当て、ランド部間を当接させた状態でリフロー炉に設置し、バンプを溶融させてランド部間を接合した。
次に、ビルドアップ基板と配線樹脂層との間にアンダーフィル材を注入し、150℃、2時間の条件でアンダーフィルを加熱硬化した。
以上により、バンプ及びアンダーフィルを介してビルドアップ基板と小片化された回路基板とを貼り合わせた構造体が得された。
続いて、第3の剥離工程として、この構造体を10%濃度のフッ化アンモニウム水溶液に1分間浸漬し、第2の剥離層を溶解剥離する。
以上により、剥離膜が剥離除去されて支持基板が配線樹脂層から分離した。このとき、配線樹脂層の表面には、φ100μm程度のランド部が露出した。
次に、配線樹脂層と半導体チップとの間にアンダーフィル材を注入し、150℃、2時間の条件でアンダーフィルを加熱硬化した。以上により、Fan-out WLP構造の半導体装置が得られた。
本実施例における剥離膜の代わりに、一層のみの剥離層とし、剥離層として厚み1μm程度のCuを形成した。剥離層上に配線樹脂層を形成した後、この構造体を10%濃度の硝酸水溶液に浸漬し、剥離層の溶解剥離を実施した。その結果、1時間経過した後でも、外周部に一部剥離が生じる程度であり、十分な剥離性は得られなかった。その後、22時間経過した後に配線樹脂層と支持基板とを剥離することができた。続いて、本実施例と同様にして半導体装置を形成した。
本実施例における剥離膜の代わりに、一層のみの剥離層とし、剥離層として厚み1μm程度の、加熱により剥離性を生じる樹脂層を形成した。剥離層上に配線樹脂層を形成したところ、配線樹脂層の硬化工程において剥離層が剥離してしまい、配線樹脂層を形成することができなかった。
前記第1の剥離層を覆って前記第1の剥離層を非露出状態とする第2の剥離層を形成する工程と、
前記第2の剥離層上に配線を備えた樹脂層を形成する工程と、
基板に前記樹脂層を接続する工程と、
前記第1の剥離層及び前記第2の剥離層を除去して前記支持体を剥離し、前記樹脂層の表面を露出させる工程と、
前記樹脂層上に電子部品を接続する工程と
を含むことを特徴とする電子装置の製造方法。
前記第1の剥離層の少なくとも一部を露出させる第1の剥離工程と、
前記第1の剥離層を除去する第2の剥離工程と、
前記第2の剥離層を除去する第3の剥離工程と
を含むことを特徴とする付記3に記載の電子装置の製造方法。
前記支持体上に形成された第1の剥離層と、
前記第1の剥離層を覆って前記第1の剥離層を非露出状態とする第2の剥離層と、
前記第2の剥離層上に形成された、配線を備えた樹脂層と
を含み、
前記支持体と前記樹脂層とは前記第1の剥離層及び前記第2の剥離層により接合されており、前記第1の剥離層及び前記第2の剥離層を除去することで前記支持体が剥離可能とされていることを特徴とする回路基板。
2 剥離膜
2a 第1の剥離層
2b 第2の剥離層
3 配線樹脂層
3A Cu配線
3a,3b ランド部
4,5 バンプ
6 ビルドアップ基板
7 半導体チップ
Claims (5)
- 支持体上に、主骨格をシロキサン結合とする無機絶縁材料からなる第1の剥離層を形成する工程と、
前記第1の剥離層を覆って前記第1の剥離層を非露出状態とする、前記第1の剥離層よりも薄い膜である第2の剥離層を形成する工程と、
前記第2の剥離層上に配線を備えた樹脂層を形成する工程と、
基板に前記樹脂層を接続する工程と、
前記第1の剥離層及び前記第2の剥離層を除去して前記支持体を剥離し、前記樹脂層の表面を露出させる工程と、
前記樹脂層上に電子部品を接続する工程と
を含むことを特徴とする電子装置の製造方法。 - 前記第1の剥離層はアルカリ可溶の材料からなり、且つ前記第2の剥離層はアルカリ不溶の材料からなることを特徴とする請求項1に記載の電子装置の製造方法。
- 前記支持体を剥離する工程は、
前記第1の剥離層の少なくとも一部を露出させる第1の剥離工程と、
前記第1の剥離層を除去する第2の剥離工程と、
前記第2の剥離層を除去する第3の剥離工程と
を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子装置の製造方法。 - 支持体と、
前記支持体上に形成された、主骨格をシロキサン結合とする無機絶縁材料からなる第1の剥離層と、
前記第1の剥離層を覆って前記第1の剥離層を非露出状態とする、前記第1の剥離層よりも薄い膜である第2の剥離層と、
前記第2の剥離層上に形成された、配線を備えた樹脂層と
を含み、
前記支持体と前記樹脂層とは前記第1の剥離層及び前記第2の剥離層により接合されており、前記第1の剥離層及び前記第2の剥離層を除去することで前記支持体が剥離可能とされていることを特徴とする回路基板。 - 前記第1の剥離層はアルカリ可溶の材料からなり、且つ前記第2の剥離層はアルカリ不溶の材料からなることを特徴とする請求項4に記載の回路基板。
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