本発明は、送風装置から排紙される用紙の下面に送風し、排紙中の用紙先端まで空気層を形成して積載紙間の用紙間密着を低減し、良好な用紙の揃え精度を得るようにしたものである。
実施例1は、送風装置からの送風方向を排紙中の用紙面の下面側で上下方向に偏向させ、排紙中の用紙先端に届くように制御することにより、用紙間に効率よく空気層を形成するようにした例である。
図1は本実施形態の実施例1に係る用紙処理装置としての用紙後処理装置PDと画像形成装置PRとからなる画像形成システムを示すシステム構成図である。以下、実施例1について、図面を参照しながら説明する。
図1において、画像形成装置PRは、入力された画像データを印字可能な画像データに変換する画像処理回路、画像処理回路から出力される画像信号に基づいて感光体に光書き込みを行う光書き込み装置、光書き込みにより感光体に形成された潜像をトナー現像する現像装置、現像装置によって顕像化されたトナー像を用紙に転写する転写装置、及び用紙転写されたトナー像を定着する定着装置を少なくとも備え、トナー画像が定着された用紙を用紙後処理装置PDに送り出し、用紙後処理装置PDによって所望の後処理が行われる。画像形成装置PRはここでは前述のように電子写真方式のものであるが、インクジェット方式、熱転写方式などの公知の画像形成装置が全て使用できる。
用紙後処理装置PDは、画像形成装置PRの側部に取り付けられており、画像形成装置PRから排出された用紙は用紙後処理装置PDに導かれる。用紙後処理装置PDは、搬送路A、搬送路B、搬送路C、搬送路D及び搬送路Hを備え、前記用紙は、1枚の用紙に後処理を施す後処理手段(この実施例1では穿孔手段としてのパンチユニット50)を有する搬送路Aへまず搬送される。
搬送路Bは搬送路Aを通り、上トレイ201へ用紙を導く搬送路であり、搬送路Cはシフトトレイ202へ用紙を導く搬送路である。搬送路Dは整合及びステープル綴じ等を行う処理トレイF(以下「端面綴じ処理トレイ」とも称する)に用紙を導く搬送路である。搬送路Aから搬送路B,C,Dへは、それぞれ分岐爪15及び分岐爪16によって振り分けられるように構成されている。
この用紙後処理装置PDでは、用紙に対して、穴明け(パンチユニット50)、用紙揃え+端部綴じ(ジョガーフェンス53、端面綴じステープラS1)、用紙揃え+中綴じ(中綴じ上ジョガーフェンス250a、中綴じ下ジョガーフェンス250b、中綴じステープラS2)、用紙の仕分け(シフトトレイ202)、中折り(折りプレート74、折りローラ81)などの各処理を行うことができる。そのため、搬送路Aと、これに続く搬送路B、搬送路C及び搬送路Dが処理に応じて選択される。また、搬送路Dは用紙収容部Eを含み、搬送路Dの下流側には端面綴じ処理トレイF、中綴じ中折り処理トレイG、排紙搬送路Hが設けられている。
搬送路B、搬送路C及び搬送路Dの上流で各々に対し共通な搬送路Aには、画像形成装置PRから受け入れる用紙を検出する入口センサ301、その下流に入口ローラ1、パンチユニット50、パンチかすホッパ50a、搬送ローラ2、第1及び第2の分岐爪15,分岐爪16が順次配置されている。第1及び第2の分岐爪15,16は図示しないバネにより図1の状態に保持されており(初期状態)、図示しない第1及び第2のソレノイドをONすることにより、分岐爪15、16をそれぞれ駆動し、第1及び第2のソレノイドのON/OFFを選択することにより、第1及び第2の分岐爪15,16の分岐方向の組み合わせを変更し、搬送路B、搬送路C、搬送路Dへ用紙を振り分ける。
搬送路Bへ用紙を導く場合は図1の状態、すなわち、第1のソレノイドをOFF(第1の分岐爪15は下向きが初期状態)状態のままとする。これにより、用紙は搬送ローラ3から上排紙ローラ4を経て上トレイ201に排出される。
搬送路Cへ用紙を導く場合は、図1の状態から第1及び第2のソレノイドをON(第2の分岐爪16は上向きが初期状態)とすることにより、分岐爪15は上方に、分岐爪16は下方にそれぞれ回動した状態となる。これにより、用紙は搬送ローラ5及び排紙ローラ対6(6a,6b)を経てシフトトレイ202側に搬送される。この場合には、用紙の仕分けが行われる。用紙の仕分けは、シフト排紙ローラ対6(6a,6b)と、戻しコロ13と、紙面検知センサ330と、シフトトレイ202と、シフトトレイ202を用紙搬送方向に直交する方向に往復動させる図示しないシフト機構と、シフトトレイ202を昇降させるシフトトレイ昇降機構とによって行われる。
搬送路Dへ用紙を導く場合は、第1の分岐爪15を駆動する第1のソレノイドをON、第2の分岐爪を駆動する第2のソレノイドをOFFとすることにより、分岐爪15及び分岐爪16ともに上方に回動した状態となり、用紙は搬送ローラ2から搬送ローラ7を経て搬送路D側に導かれる。搬送路Dに導かれた用紙は、端面綴じ処理トレイFへ導かれる。この端面綴じ処理トレイFで整合及びステープル等を施された用紙は、ガイド部材44により、シフトトレイ202へ導く搬送路C、折り等を施す中綴じ・中折り処理トレイG(以下、単に「中綴じ処理トレイ」とも称する)へ振り分けられる。シフトトレイ202に導かれる場合には、用紙束PBは排紙ローラ対6からシフトトレイ202に排紙される。また、中綴じ処理トレイG側に導かれた用紙束PBは、中綴じ処理トレイGで折り及び綴じを施され、排紙搬送路Hを通り下排紙ローラ83から下トレイ203へ排紙される。
搬送路D内には分岐爪17が配置され、図示しない低荷重バネにより図の状態に保持されている。この状態で、搬送ローラ7によって搬送される用紙の後端が前記分岐爪17を通過した後、搬送ローラ9,10、ステープル排紙ローラ11のうち少なくとも搬送ローラ9を逆転させ、用紙をターンガイド8に沿って逆行させることができる。これにより、用紙後端から用紙を用紙収容部Eへ導いて滞留(プレスタック)させ、次用紙と重ね合せて搬送することが可能なように構成されている。この動作を繰り返すことによって2枚以上の用紙を重ね合せて搬送することも可能である。なお、符号304は用紙をプレスタックさせる際の逆送タイミングを設定するためのプレスタックセンサである。
搬送路Dに導かれ、用紙揃えと端部綴じを行う場合、ステープル排紙ローラ11によって端面綴じ処理トレイFへ導かれた用紙は、端面綴じ処理トレイF上に順次積載される。この場合、用紙毎に叩きコロ12と後端基準フェンス51で縦方向(用紙搬送方向)の整合が行われ、ジョガーフェンス53によって横方向(用紙搬送方向と直交する方向−用紙幅方向とも称す)の整合が行われる。ジョブの切れ目、すなわち、用紙束PBの最終紙から次の用紙束先頭紙までの間で、後述のCPU101からのステープル信号により綴じ手段としての端面綴じステープラS1が駆動され、綴じ処理が行われる。綴じ処理が行われた用紙束PBは、直ちに放出爪52aが突設された放出ベルト52(図2参照)により(シフト)排紙ローラ対6へ送られ、受け取り位置にセットされているシフトトレイ202に排紙される。
放出ベルト52は図2及び図4に示すように用紙幅方向の整合中心に位置し、プーリ62間に張架され、放出ベルト駆動モータ157により駆動される。また、複数の放出ローラ56が前記放出ベルト52に関して対称に配置され、駆動軸に対して回転自在に設けられ、従動コロとして機能している。
放出爪52aは、放出ベルトHPセンサ311によりホームポジションが検知されるようになっている。この放出ベルトHPセンサ311は放出ベルト52に設けられた放出爪52aによりオン・オフする。放出ベルト52の外周上には対向する位置に2つの放出爪52aが配置され、端面綴じ処理トレイFに収容された用紙束PBを交互に移動搬送する。また必要に応じて放出ベルト52を逆回転させ、これから用紙束PBを移動させるように待機している放出爪52aと対向側の放出爪52aの背面で端面綴じ処理トレイFに収容された用紙束PBの搬送方向先端を揃えるようにすることもできる。
なお、図1において、符号110は後端押さえレバーであり、後端基準フェンス51に収容された用紙束PBの後端を押さえることができるように後端基準フェンス51の下端部に位置し、端面綴じ処理トレイFに対してほぼ垂直な方向に往復動する。端面綴じ処理トレイFに排出された用紙Pは、用紙毎に叩きコロ12で縦方向(用紙搬送方向)の整合が行われる。しかし、端面綴じ処理トレイFに積載された用紙後端がカールし、あるいは腰が弱かったりすると用紙自身の重量によって後端が座屈し膨らむ傾向にある。さらに、その積載枚数が増えることによって、後端基準フェンス51内の次の用紙が入る隙間が小さくなり、縦方向の揃えが悪くなる傾向にある。そこで、用紙後端PTの膨らみを少なくして用紙Pが後端基準フェンス51に入りやすくするようにしたのが、後端押さえ機構であり、用紙Pもしくは用紙束PBを直接押さえるのが後端押さえレバー110である。
また、図1において、符号302,303,304,305,310はそれぞれ用紙検知センサであり、設けられた位置における用紙の通過の有無、もしくは用紙の積載の有無を検知する。
図2は端面綴じ処理トレイFをトレイの積載面側から見た概略構成図で、図1の右側面側から見た場合に相当する。同図において、上流側の画像形成装置PRより受け入れた用紙の幅方向の整合はジョガーフェンス53a及び53bによって実施され、縦方向は後端基準フェンス51a,51b(図1では符号51で示す)に突き当てて整合される。後端基準フェンス51a,51bは、それぞれ内側に用紙後端PTが当接し、保持されるスタック面51a1,51b1を備え、用紙後端PTを2点で支持するようになっている。整合動作完了後は、端面綴じステープラS1により綴じ処理が施される。その後、図4の放出ベルトの動作を示す斜視図から分かるように、放出ベルト52が放出ベルト駆動モータ157によって反時計方向に駆動され、綴じ処理後の用紙束PBは、後端基準フェンス51a,51bによって所定位置まで持ち上げられる。
持ち上げられた用紙束PBは、放出ベルト52に取り付けられた放出爪52aによってすくわれ、端面綴じ処理トレイFから放出される。なお、符号64a,64bは前側板及び後側板である。また、本動作は整合処理後に綴じ処理を実施しない未綴じ束においても同様の動作が可能である。
図3は端面綴じ処理トレイF及びその付属機構の概略構成を示す斜視図である。同図に示すように、ステープル排紙ローラ11により端面綴じ処理トレイFへ導かれた用紙Pは順次端面綴じ処理トレイF上に積載される。このとき、端面綴じ処理トレイFに排出される用紙Pの枚数が1枚の場合、用紙毎に叩きコロ12と後端基準フェンス51との間で縦方向(用紙搬送方向)の整合が行われる。その後、ジョガーフェンス53a,53bによって幅方向(用紙搬送方向と直交する用紙幅方向)の整合が行われる。叩きコロ12は支点12aを中心に叩きSOL170によって振り子運動を与えられ、端面綴じ処理トレイFへ送り込まれた用紙に間欠的に作用して用紙後端PTを後端基準フェンス51に突き当てる。なお、叩きコロ12自身は図示反時計回りに回転する。ジョガーフェンス53は、図2及び図3に示すように前後一対(53a,53b)設けられ、正逆転可能なジョガーモータ158によりタイミングベルトを介して駆動され、用紙幅方向に対称に近接・離間するように往復移動する。
図1に戻って、端面綴じ処理トレイFの用紙搬送方向下流側には、用紙束偏向機構が設けられている。端面綴じ処理トレイFから中綴じ処理トレイGへ、また端面綴じ処理トレイFからシフトトレイ202へ用紙束PBを送る搬送路、及び用紙束PBを搬送する搬送手段は、用紙束PBに搬送力を与える搬送機構35、用紙束PBをターンさせる放出ローラ56、用紙束PBをターンさせるためのガイドを行うガイド部材44とから構成されている。
各々の詳細な構成を説明すると、搬送機構35のローラ36には駆動軸37の駆動力がタイミングベルトによって伝達される構成となっており、ローラ36と駆動軸37はアームによって連結支持され、駆動軸37を回転支点として揺動可能となっている。搬送機構35のローラ36の揺動駆動はカム40によって行われ、カム40は回転軸を中心に回転し、図示しないモータによって駆動される。搬送機構35では、ローラ36の対向する位置には従動ローラ42が配置され、従動ローラ42とローラ36によって用紙束PBを挟み、弾性材によって加圧し、搬送力を与えている。
端面綴じ処理トレイFから中綴じ処理トレイGへ用紙束PBをターンさせる搬送路は、放出ローラ56と放出ローラ56に対向する側のガイド部材44の内面との間に形成される。ガイド部材44は支点を中心に回動し、その駆動は束分岐駆動モータ161(図2参照)から伝達される。端面綴じ処理トレイFからシフトトレイ202へ用紙束PBを搬送する場合には、ガイド部材44が支点を中心に図示時計方向に回動し、ガイド部材44の外面(放出ローラ56と対向しない側の面)とその外側のガイド板間の空間が搬送路として機能する。
端面綴じ処理トレイFから中綴じ処理トレイGへ用紙束PBを送る場合、端面綴じ処理トレイFで整合された用紙束PBの後端を放出爪52aで押し上げ、搬送機構35のローラ36と、これに対向する従動ローラ42との間で用紙束PBを挟み、搬送力を与える。このとき搬送機構35のローラ36は、用紙束PBの先端にぶつからないような位置で待機している。次に、用紙束先端が通過してから用紙表面に搬送機構35のローラ36を接触させ、搬送力を与える。このときガイド部材44と放出ローラ56とでターン搬送路のガイドを形成し、用紙束PBを下流の中綴じ処理トレイGへと搬送する。
中綴じ処理トレイGは、図1に示すように搬送機構35、ガイド部材44及び放出ローラ56からなる用紙束偏向機構の下流側に設けられている。中綴じ処理トレイGは、前記用紙束偏向機構の下流側にほぼ垂直に設けられており、中央部に中折り機構が、その上方に束搬送ガイド板上92が、また、下方に束搬送ガイド板下91が配置されている。
また、束搬送ガイド板上92の上部には束搬送ローラ上71が、下部には束搬送ローラ下72がそれぞれ設けられているとともに、両ローラ71,72間を跨ぐように束搬送ガイド板上92の側面に沿って両側に中綴じ上ジョガーフェンス250aが配置されている。同様に束搬送ガイド板下91の側面に沿って両側に中綴じ下ジョガーフェンス250bが設けられ、この中綴じ下ジョガーフェンス250bが設置されている個所に中綴じステープラS2が配置されている。中綴じ上ジョガーフェンス250a及び中綴じ下ジョガーフェンス250bは図示しない駆動機構により駆動され、用紙搬送方向に直交する方向(用紙の幅方向)の整合動作を行う。中綴じステープラS2は、クリンチャ部とドライバ部とが対となったもので、用紙の幅方向に所定の間隔をおいて二対設けられている。
また、束搬送ガイド板下91を横切るように可動後端基準フェンス73が配置され、タイミングベルトとその駆動機構とを備えた移動機構により用紙搬送方向(図において上下方向)に移動可能となっている。駆動機構は図1に示すように前記タイミングベルトが掛け渡された駆動プーリと従動プーリと、駆動プーリを駆動するステッピングモータとにより構成されている。同様に束搬送ガイド板上92の上端側には、後端叩き爪251と、その駆動機構が設けられている。後端叩き爪251はタイミングベルト252と図示しない駆動機構とによって前記用紙束偏向機構から離れる方向と用紙束PBの後端(用紙束導入時に後端に当たる側)を押す方向とに往復移動可能となっている。
中折り機構は、中綴じ処理トレイGのほぼ中央部に設けられ、折りプレート74と折りローラ81と、折られた用紙束PBを搬送する搬送路Hとからなっている。なお、図1において、符号326は後端叩き爪251のホームポジションを検出するためのホームポジションセンサ、符号323は中折りされた用紙を検出するための折り部通過センサ、符号321は用紙束PBが中折り位置に到達したことを検知する束検出センサ、符号322は可動後端基準フェンス73のホームポジションを検出する可動後端基準フェンスホームポジションセンサである。
また、この実施例1では、下トレイ203に中折りされた用紙束PBの積層高さを検出する検出レバー501が支点501aによって揺動自在に設けられ、この検出レバー501の角度を紙面センサ505によって検出し、下トレイ203の昇降動作及びオーバーフロー検出を行っている。
図5はシフトトレイ202の排紙部を示す要部正面図で、図5(a)は排紙時の待機状態を示す図であり、同図(b)は同図(a)の丸で示した部分の要部をさらに拡大して示す図である。用紙は前述のように排紙ローラ対6(6a,6b)を経てシフトトレイ202側に搬送され、シフトトレイ202で用紙の仕分けが行われる。用紙の仕分けは、前述のように特にシフト排紙ローラ対6(6a,6b)、戻しコロ13、シフトトレイ202と、シフト機構と、シフトトレイ昇降機構とによって行われる。
図6は搬送方向の揃え動作を示す動作説明図である。揃え動作は、用紙排出後、戻しコロ13が用紙Pをエンドフェンス210方向へ戻す方向(矢印R1方向)に回転しながら用紙Pに接触し、積極的に用紙Pをエンドフェンス210方向に戻す動作を行うことにより行われる。戻しコロ13は、図示しない戻しコロ駆動モータによって駆動され、駆動力は図示しないタイミングベルトによって伝達される。
図7は排紙部の斜視図である。排紙部はシフトトレイ202及び排紙ローラ対6を含む。同図から分かるようにシフトトレイ202の上側には、シフトトレイ202上で用紙Pの幅方向の揃えを行う一対のジョガー205a,205bが設けられている。ジョガー205a,205bは、ジョガー駆動機構206によって用紙Pの幅方向に可動である。なお、ジョガー駆動機構206自体は公知の構造であり、駆動機構自体は本願発明と直接関係がないので、詳細は省略する。なお、図5等において符号202aはジョガー205a,205bの移動を許容するための逃げ部(凹部)である。
図8はシフトトレイ202上における用紙幅方向の揃え動作を示す図である。用紙排出後、手前側ジョガー205a及び奥側ジョガー205bにより用紙幅方向手前側からと奥側から用紙Pの幅方向を揃える。しかし、コート紙のように平滑度が高い用紙Pの場合には、図9のようにシフトトレイ202に先行の用紙(先行紙)P1が積載された状態で後行の用紙(後行紙)P2が排出されると、用紙間密着による貼り付きが発生し、図10に示すように後行紙P2が先行紙P1に接触した状態でそのまま先行紙P1を押し出してしまうことがある。あるいは、先端が密着した状態でそれ以上搬送されず、図11のように腰砕けの状態(座屈した状態)になってしまうこともある。いずれの現象が生じても排出不良となる。
このような先行紙P1の押し出し、あるいは座屈を防止するために、本実施例1では、送風装置を設け、後行紙P2が排出される際、先行紙P1との間(後行紙の下面側)に風を送り込み、先行紙P1に対する後行紙P2の貼り付きを防止するようにした。
図12は図10の左側面図、図13は本実施例1における送風装置を備えた排紙部の構成を示す要部正面図である。なお、図12では用紙を、図13では用紙後処理装置PDの図1における正面視中央部分をそれぞれ省略している。
図12及び図13において、送風装置400は、用紙の幅方向に4個設けられている排紙ローラ対6のさらに外側に一対設けられている。送風装置400は、図13に示すように、送風ファン411、送風ガイド412、第1の可動ルーバ421、減速機構422及び第1の可動ルーバ421の駆動モータ423から基本的に構成されている。送風ファン411は同軸上の図示しないモータによって駆動され、送風ガイド412の送風口413からモータの回転速度に応じた風速の風を送風する。第1の可動ルーバ421は減速機構422を介して駆動モータ423によって駆動され、送風口413からのシフトトレイ202の上面と略平行な方向の風向を制御する。すなわち、第1の可動ルーバ412は角度調整可能に設置され、角度調整によりシフトトレイ202の上面と略平行な方向の風向を変えることができる。
送風口413は送風ガイド412の最下流側に開口し、図13に示すように排紙ローラ対6の上側のローラよりも下方であって、シフトトレイ202よりも上の位置に開口している。これにより、シフトトレイ202の上面と排紙ローラ対6から排紙される用紙Pとの間(排紙される用紙Pの下面)に風を送り込むことが可能である。また、画像形成装置PR側から送信される用紙情報に基づき、通紙される場合のみ送風を行うようになっている。ここで、送風装置400は一対(2個)設けられているが、それ以上、設けてもよいことは言うまでもない。
送風ガイド412は搬送路Cの下側に位置し、送風ファン411によって上方に向けて送風された空気流を送風ガイド412の形状に沿って斜め上方向に偏向させ、送風口413から前述のようにして送風する。
図14は第1の可動ルーバ421の駆動機構を示す図13における要部平面図である。図14(a)は第1の可動ルーバ421が送風方向W1に対して直交する方向に回転したときの状態を、図14(b)は図14(a)の状態から送風方向W1に対して平行な方向に所定角回転(図示矢印R2方向)したときの状態を示す。
第1の可動ルーバ421は、制御用の駆動モータ423により減速機構422を介して当該第1の可動ルーバ421の回転軸421aを駆動することにより、シフトトレイ202のシート載置面(用紙面)と平行な方向の送風方向が制御される。送風方向W1は、ここでは、用紙搬送方向に対して平行な方向、あるいは前記平行な方向に対して斜めになる方向である。
減速機構422は、駆動モータ423の駆動軸423a上の第1のギア422aと、これと噛み合う第1の可動ルーバ421の回転軸421a上の第2のギア422bとを含み、駆動モータ423の回転駆動力を第1の可動ルーバ421の回転軸421aに伝達することにより制御することができる。
第1の可動ルーバ421の回転軸421a上の第2のギア422bの一部には位置検知用のフィラー424が設けられている。このフィラー424を位置検知センサ(例えば透過型光センサ)340で検知することにより第1の可動ルーラ421のホームポジションを検知することができる。そして、このホームポジションを基準に駆動モータ423の回転を制御し、第1の可動ルーバ421の回転角度を制御することができる。なお、本実施例1では、駆動モータ423をステッピングモータで構成しているので、駆動ステップ制御によって可動ルーバ421の回転角度を制御することができる。また、ステッピングモータを使用しない場合には、例えば、エンコーダを使用し、エンコーダの検出パルスに応じて駆動モータ423の回転制御を行えばよい。
送風装置400の第1の可動ルーバ421の側面には、図15に示すように3枚の第2の可動ルーバ425が設けられている。この第2の可動ルーバ425は、第1の可動ルーバ421より小さく、垂直方向に回転する(回転軸は第1の可動ルーバ421に対して垂直な方向)。第2の可動ルーラ425の駆動機構も、図14に示した第1の可動ルーバ421の駆動機構と同様であり、取り付け方向が水平方向となっている点が第1の可動ルーバ421の駆動機構と異なる。また、第2の可動ルーバ425のサイズが小さいので、その分、駆動モータの駆動トルクも小さいものが使用される。その他、ここでは図示しないが、図14に示した機構と同等である。
図15ないし図18は第2の可動ルーバを備えた送風装置の動作及び送風の状態を示す動作説明図である。
図15は1枚目の用紙(以下、先行紙とも称する。)P1がシフトトレイ202上に排紙された後、2枚目の用紙(以下、後行紙とも称する。)P2の排紙が開始された直後の状態を示す。この状態になる前、すなわち、先行用P1がシフトレイ202上に排出される際には、送風装置400の送風ファン411が駆動され、この先行紙P1の裏面側に風Wが送り込まれる。この送風動作によってシフトトレイ202と先行紙P1間に空気層ALが形成される。先行紙P1は空気層ALを排除しながらシフトトレイ202上に落下する。そして、戻しコロ13の下側に移動すると、先行紙P1は戻しコロ13によって搬送方向と逆方向に搬送され、用紙後端がエンドフェンス210に突き当たって用紙の搬送方向が揃えられる。
次いで、ジョガー205a,205bによって用紙の幅方向の揃えが行われる。搬送方向及び幅方向の揃え動作完了後、図15に示すように後行紙P2が先行紙P1に接触する場合も送風装置400が駆動され、後行紙P2の裏面側に風Wを送り込む。これにより先行紙P1と後行紙P2との間に空気層ALが形成され、用紙間密着を防止し、もしくは低減する。
用紙Pが排出される際、搬送路C上の用紙検知センサ303によって用紙Pは検知されるので、後述の用紙後処理装置PDのCPU101は用紙Pの先端、もしくは後端を検知してからの時間の情報を得ることができる。また、排紙ローラ対6を駆動しているモータのパルス、もしくは排出速度情報から用紙のシフトトレイ202側への排出(移動)量を得ることができる。これにより用紙Pの排出が開始されてから完了するまでの用紙の移動の状態が分かる。そこで、排出される用紙Pの移動動作に合わせて後行紙P2の先端に向けて送風装置400から送風する。その際、第2の可動ルーバ425の水平方向に対する角度制御を行い、風Wが効率よく後行紙P2の先端に届くように送風し、効果的に空気層ALを形成するようにする。この角度制御は、用紙面に対して上下方向の風向きの制御である。
本実施例1では、図15の排紙開始直後では、2枚目の用紙(後行紙)P2の先端の位置に合わせて第2の可動ルーバ425の角度を水平方向よりも上向きの角度(第1の方向L1)としている。図16に示すように排紙がある程度進んだ状態では、第2の可動ルーバ425の角度を水平に近い角度(第2の角度L2)まで下げている。図17に示すように排紙が最終段階に近くなった状態では、水平方向よりも下向き(第3の角度L3)とし、シフトトレイ202の上面に沿って風が流れるようにしている。このようにして、後行紙P2の排紙状態に応じて第2の可動ルーバ425の上下方向の角度を調整し、適切な空気層ALを形成する。
さらに、後行紙P2が排紙ローラ対6のニップから抜けた後は、図18に示すように第2の可動ルーバ425を完全に閉じる(第4の角度L4)ようにする。その際、送風ファン411も停止させる。しかし、送風ファン411は直ぐには停止しないので、第2の可動ルーバ425を閉止状態とすることにより、後行紙P2の排紙完了にタイミングを合わせて送風を停止することができる。これにより、落下中の排出紙(後行紙P2)がシフトトレイ202の積載面や積載紙上に落ちやすくなり、積載品質の悪化を防止することができる。
なお、図15ないし図17における送風動作において、用紙後処理装置PDのCPU101は、画像形成装置PRから用紙情報を受信し、用紙情報に応じて最適な風速への切り替えを行う。用紙情報は、普通紙、コート紙、トレーシングペーパーなどの紙種情報、厚紙、薄紙などの紙厚情報、及びA3、A4、B4などの用紙サイズ情報を含む。そのため、図16及び図17に示したように先行紙P1と後行紙P2との間に風Wを送り込む場合には、画像形成装置PRから送信されてくる用紙の紙種、紙厚、紙サイズを含む用紙情報に基づいて用紙Pの貼り付きを防止するに最適な風量への切り替えを行い、紙面全体に空気層ALをつくる。最適な風量の切り替えでは、例えば、排出用紙に対して強弱を付けて送風を行い、紙面全体に空気層ALが行き渡るようにする。
最適な風量は、予め実験室で用紙の紙種、紙厚、紙サイズを変数として紙面全体に空気層ALが行き渡る最適な風量(もしくは風速)を計測し、その計測データをテーブル化してメモリに記憶させておく。そして、送風装置400から送風する風量を設定する際にCPU101がメモリを参照して第2の可動ルーバ425の角度(回転量及び回転方向)と送風ファン411を駆動するモータの回転速度を設定する。なお、風量や第2の可動ルーラ425の角度もしくは角度変化はユーザが後述の画像形成装置PRの操作パネル105から数値入力もしくは選択入力によりマニュアルで調整することも可能である。
また、本実施例1では、第1の可動ルーバ421と第2の可動ルーバ425の上下方向425の可動方向は直交している。そのため、第1の可動ルーバ421が送風装置の出口に1個しか配置されていない場合には、両者を共に回転させても干渉しない。しかし、第1の可動ルーバ421を複数設けた場合、隣り合う第1の可動ルーバ421に設けられた第2の可動ルーバ425同士あるいは第1及び第2の可動ルーバ421,425が互いに干渉して破損することのないような寸法関係に設定する必要がある。
図19は用紙後処理装置PDと画像形成装置PRからなる画像形成システムの制御構成を示すブロック図である。用紙後処理装置PDはCPU101、I/Oインターフェイス102等を有するマイクロコンピュータを搭載した制御回路を備え、CPU101には、画像形成装置PRのCPUあるいは操作パネル105の各スイッチ等、及び図示しない各センサからの信号が通信インターフェイス103を介して入力され、CPU101は入力された信号に基づいて所定の制御を実行する。さらに、CPU101は、ドライバ、モータドライバを介してソレノイド及びモータを駆動制御し、インターフェイスから装置内のセンサ情報を取得する。また、制御対象やセンサに応じてI/0インターフェイス102を介してモータドライバによってモータの駆動制御を行い、センサからセンサ情報を取得する。なお、前記制御は、図示しないROMに格納されたプログラムコードをCPU101が読み込んで図示しないRAMに展開し、当該RAMをワークエリア及びデータバッファとして使用しながら前記プログラムコードで定義されたプログラムに基づいて実行される。
また、本実施例1においては送風モードが設定されている。送風モードでは、ユーザが操作パネル105上でコート紙を選択した場合にONになる設定となっている。しかし、強制OFFを選択することによってコート紙であっても送風を行わないようにすることができる。また、普通紙の場合、デフォルトでは、送風は行わないが、強制ONにすることによって送風を行うことができる。
図20は、この送風モードにおける送風動作の処理手順を示すフローチャート、図21は送風モード選択処理時の操作パネルの選択画面を示す図である。このフローチャートに示した処理は、用紙後処理装置PDのCPU101によって実行される。
送風モードの選択処理では、図21の操作パネル105の送風モードの指示画面105aから「あり」105bを選択すると、送風モードの処理が開始される。送風モードの処理が開始されると、操作パネル105上の操作画面が図示しない用紙の種類の選択画面に切り替わる。この選択画面には、図示しないが、紙種が選択ボタンとして表示される。そこで、紙種の選択が行われ(ステップS101)、コート紙が選択された場合には(ステップS102:YES)、送風強制OFFの選択画面に切り替わる。
すなわち、コート紙が選択された場合には、送風ファン411はONになる設定となっているので、その前に送風ファン411の強制OFFが選択されたか否かが判断される(ステップS103)。強制OFFが選択された場合には(ステップS103:YES)、送風ファン411をOFFして(ステップS104)、このルーチンから抜ける。
強制OFFが選択されていなければ(ステップS103:NO)、送風ファン411をONし(ステップS105)、空気流Wを生じさせてこのルーチンから抜ける。
コート紙以外では、デフォルトでは送風OFFとなっているので、さらに、送風強制ONが選択されたか否かを判断する(ステップS106)。送風強制ONが選択されていれば(ステップS106:YES)、送風ファン411をONし(ステップS105)、選択されていなければ(ステップS106:NO)、送風ファン411をOFFし(ステップS107)、このルーチンから抜ける。
また、送風モード画面で「なし」105cを選択すると、送風モードに入らずに通常の排紙処理が実行される。
このように、本実施例1では、送風モードでは、ユーザが操作パネル105上で紙種情報を選択した場合にONになる設定であるが、強制OFFを選択することで、送風を行わないことができる。また、普通紙の場合デフォルトでは、送風は行わないが、強制ONにすることで送風を行うことができる。
実施例2は、先行紙の排紙時は上トレイに形成されたエアー流路にエアーを入れ、先行紙の先端部のエアー排出口から先行紙の下面に風を吹き付けて上トレイと先行紙との間に空気層を形成し、後行紙では、後行紙の下面に送風し、先行紙との間に空気層を形成するようにした例である。
図22は実施例2に係る用紙後処理装置PDの全体構成を示す図で、同図(a)は斜視図、同図(b)は正面図である。用紙後処理装置PD自体の内部構成及び機能は図1に示した用紙後処理装置PDに準じている。
図22において、用紙後処理装置PDは、図1に示したように上部から下部にかけて上トレイ201、シフトトレイ202及び下トレイ203を備えている。上トレイ201、シフトトレイ202及び下トレイ203の機能及び用紙の処理は図1を参照して説明した実施例1と同様である。
図23は上トレイ201における早期満杯検知の状態を示す説明図である。上トレイ201は、用紙後処理装置PDに固定されており、用紙Pは搬送路Bを経て上排紙ローラ4から上トレイ201上に排出される。用紙Pが平滑度の高いコート紙の場合、用紙Pは上トレイ201との間で貼り付きが生じることが多い。また、用紙Pのコシが弱い場合(薄紙、長尺紙など)は図23のように用紙Pに座屈が生じることが多い。前述の図11においても同様である。座屈が生じると、用紙後端が排紙口4aの近くに留まり、満杯検知センサ306の検知範囲にかかる。このように満杯検知センサ306の検知範囲にかかると、CPU101は満杯検知センサ306の検知出力に基づいて満杯と検知することになる。この場合、上トレイ201上に満杯となるだけの用紙Pは排紙されていないため、満杯となっていないにも拘わらず満杯と誤検知する早期満杯検知となってしまう。本実施例は、このような早期満杯検知を防止するための例である。
なお、図23では、実施例1に示した第1の可動ルーバ421、送風ファン411及び送風ガイド412に代えてルーバ426、送風ファン431及び送風ガイド414を設けた例を示している。本実施例2では、ルーバ426は固定でよいので、前記第1の可動ルーバ421を駆動する減速機構422及び駆動モータ423は不要である。なお、実施例1における第1の可動ルーバ421及び第2の可動ルーバ425と組み合わせることも可能である。
図24ないし図29は、実施例2に係る送風装置400を備えた排紙部の内部構成と動作を示す図である。
図24に示すように、本実施例2では、図23に示した排紙部の構成に対して上トレイ201に、エアー流路201aを設けたものである。エアー流路201aは、排紙口4aの下流側直後にエアー流入口201bが、上トレイ201の先端側であって用紙幅方向の中央部上面にエアー排気口201cがそれぞれ設けられ、両者間を繋ぐように流路が形成されたものである。これによりエアー流入口201bから流入されるエアーが上トレイ201の中を通ってエアー排気口201cから上方に風Wとなって排気される。本実施例では、図30及び図31に示すように、エアー流入口201bは左右2箇所開口し、エアー排気口201cは1箇所開口している。このため、後述するがエアー流路201aは2箇所のエアー流入口201bからの流路が上トレイ201の内部で繋がり、1箇所にまとまってエアー排気口201cに連通している。したがって、本実施例2では、送風装置400は、ファン431、送風ガイド414、ルーバ426及びエアー流路201aから構成されている。
図24は上トレイ201に1枚目の用紙(先行紙)P1が排紙されている状態を示す。先行紙P1は、上排紙ローラ(対)4により上トレイ201上に排出される。これと並行して、用紙後処理装置PDのCPU101が用紙検知センサ(排紙センサ)302により先行紙P1の先端を検知したとき(排紙動作を確認したとき)、ファン431が駆動され、送風ガイド414の送風口414aからエアーが吹き出される。ファン431及び送風ガイド414は搬送路Bの排紙口4aの直近下方の幅方向の2箇所に設けられている。送風口414aは排紙口4aと上トレイ201との間の用紙後処理装置PDの側面(エンドフェンス201e)に開口している。
送風口414aから上トレイ201に向けて吹き出された風(エアー)Wは、エアー流路201aに吹き込み、エアー排気口201cから上トレイ201に向けて吹き出す。図24では、先行紙P1が排紙口4aから排紙を開始した時点で、風Wがすでにエアー排気口201cから吹き出している。
図25は上トレイ201上への先行紙P1の排紙完了が近い状態を示す。先行紙P1は、上排紙ローラ4により上トレイ201に排紙されるが、排紙の過程で、用紙先端が上トレイ201の先端付近に到達すると、先行紙P1は上トレイ201表面から風Wにより押し上げられる。すなわち、先行紙P1は、上トレイ201に設けられたエアー排気口201cから吹き出している(排気されている)風(エアー)Wにより押し上げられ、上トレイ201の上面との密着が防止される。さらに風Wは上トレイ201の中央付近より排気されているので、先行紙P1は搬送方向に対して直角な向きにコシを持つようになる。その結果、座屈が発生することなく、先行紙P1は排紙される。
図26は上トレイ201上に先行紙P1が積載された状態を示す。先行紙P1は自重により上トレイ201に落ちて積載される。この上トレイ201上の積載により、上トレイ201のエアー流入口201bは先行紙P1により塞がれてしまう。これにより、エアー流路201a内への風(エアー)Wの流入がなくなる。同時に上トレイ201の先端部のエアー排気口201cからの風(排気)Wもなくなる。
図27は上トレイ201上に後行紙P2が排紙されている状態を示す。後行紙P2は上排紙ローラ4により上トレイ201上に排紙される。先行紙P1の排紙時には、図24に示したようにファン431を稼働させ排紙口下部より上トレイ201の上面に向けて風Wが送風されていた。しかし、今回は先行紙P1が上トレイ201に積載されているため、排気された風Wは上トレイ201のエアー流路201aに入ることができない。そのため、風Wは上トレイ201上に積載された先行紙P1上に吹き付けられることになる。この状態は実施例1の図15に示した状態と同様である。
図28は上トレイ201上への後行紙P2の排紙完了が近い状態を示す。この状態は実施例1の図17に示した状態に対応する。この過程で図16に示した状態を経ることになる。このようにファン431によって発生した風Wは送風口414aから吹き出し、後行紙P2の先端まで届くように先行紙P1と後行紙P2との間に送風される。これにより先行紙P1と後行紙P2との間に空気層ALが形成され、後行紙P2の先行紙Pに対する密着が防止される。
図29は上トレイ201上に後行紙P2が積載された状態を示す。図28の状態から排紙ローラ4により後行紙P2が排紙ローラ4から放出されると、後行紙P2は自重により上トレイ201に落下し、積載される。この状態は、上トレイ201上に2枚積載されていることになるが、風Wの送風状態は図26の状態を同様となる。そのためさらに後行紙(3枚目以降の用紙)がある場合には、図26から図29に示した動作が繰り返され、所定枚数の用紙P1〜Pnが上トレイ201上に積載される。
図30は用紙後処理装置PDの要部斜視図、図31は上トレイ201内のエアー流路201aを透視して示す用紙後処理装置PDの要部斜視図である。
図30から分るように、上トレイ201の上面の用紙幅方向の2箇所にエアー流入口201bが設けられ、エアー流入口201b近傍の排紙口4aと上トレイ201の上面の間のエンドフェンス201eに送風口414aが2箇所開口している。送風口414aは前述のように送風ガイド414の末端であり、送風ガイド414の始端側にファン431が配置されている。また、上トレイ201の上面の用紙先端側の用紙幅方向中央部にエアー排気口201cが開口している。
図31から分るように、2箇所のエアー流入口201bと1箇所のエアー排気口201cはエアー流路201aによって連通しており、平面視V字形となって排気側で1つにまとまっている。これにより、エアー流入口201bから流入したエアーがエアー排気口201cから風Wとなって排気される。
また、図30及び図31に示すように、上トレイ201のエアー排気口201cが形成された先端側は伸長部201fとなっており、用紙サイズに応じて引き出せば、大サイズ(長尺)の用紙Pに対しても対応することができる。
本実施例2においても実施例1において図20に示した送風モードの処理手順と同様の処理で送風動作が行われる。送風モードの選択は、実施例1における図21の送風モード選択処理時の操作パネルの選択画面から行われる。ただし、その前段階で、図示はしないが、実施例1の場合にはシフトトレイ202を選択し、実施例2の場合には上トレイ201を選択する。
そのため、実施例1と実施例2の送風動作処理をまとめて行う場合には、図20のステップS101の前段にシフトトレイ202と選択するか、上トレイ201を選択するかの選択処理と、いずれが選択されたかの判定処理を付加し、シフトトレイ202か上トレイ201かの選択が確定した後で、ステップS101以降の処理を実行すればよい。
この場合、実施例1と実施例2を組み合わせ、先行紙P1については実施例2の動作を、後行紙P2〜Pnについては実施例1の動作を行わせることもできる。
その他、特に説明しない各部の構成及び各部の機能並びに動作は、実施例1と同様である。
以上のように、本実施例2では、先行紙P1の排紙時は上トレイ201に形成されたエアー流入路201aにエアーが入り、先行紙P1の先端部のエアー排出口201cから先行紙P1の下面に風Wを吹き付けることができる。これにより、用紙先端と上トレイ201の間に空気層ALが形成され、先行紙P1と上トレイ201表面との間の密着を防止することが可能となる。
また、エアー排出口201cから先行紙P1の下面に風Wを吹き付けることができるの、先行紙P1の中間部を空気圧により湾曲させて先行紙P1に対して腰付けを行うことが可能となる。これにより、用紙が座屈することなく排紙され、上トレイ201上に積載される。
2枚目以降の後行紙P2〜Pnの排紙時は、上トレイのエアー流入口201bが先行紙P1によって閉ざされるため、送風口414aからの風(エアー)Wは積載された先行紙P1あるいは先行する用紙の上面に吹き付けられる。これにより先行紙P1と後行紙P2との間、あるいは先行する用紙と後行する用紙との間に空気層ALが形成され、用紙間の密着が防止される。
この座屈防止及び用紙の密着防止に本実施例2では、複雑な制御や機構を必要とすることがない。
以上のように、本実施形態によれば、次のような効果を奏する。
1)搬送されてきた用紙を排紙する排紙ローラ対6と、当該排紙ローラ対6によって排紙される前記用紙を積載するシフトトレイ202と、排紙ローラ対6とシフトトレイ202の間から前記用紙の用紙面に対して送風する送風装置400と、当該送風装置400の送風方向を上下方向(第1ないし第4の方向L1〜L4)に偏向させる第2の可動ルーバ425と、を備えているので、排紙される前記用紙の下面の紙面全域に十分な空気層ALを形成することが可能となり、積載紙間の用紙間密着を低減し、良好な揃え精度を得ることができる。なお、上下方向の変更は、上トレイ201に形成したエアー流入口201bを有するエアー流路201aでも可能である。
2)前記第2の可動ルーバ425の上下方向の送風方向を制御するCPU101を備えているので、送風方向を用紙に応じて上下方向に変更することが可能となり、より効率的に前記空気層ALを形成することができる。
3)前記CPU101は、送風した風が排紙中の前記用紙の先端に届くように前記第2の可動ルーバ425の送風方向を制御するので、さらに効率的に前記空気層ALを形成することができる。
4)前記CPU101は、普通紙、コート紙、トレーシングペーパーなどの紙種情報に応じて前記送風方向を制御するので、積載する用紙の種類に応じて効率よく前記空気層ALを形成することができる。
5)前記CPU101は、普通紙、コート紙、トレーシングペーパーなどの紙種情報に応じて送風の有無を制御するので、デフォルトで送風の必要のない例えば普通紙では、無駄な送風動作を防止することができる。これにより、無駄な電力消費を押さえることができる。
6)前記CPU101は第2の可動ルーバ425の角度調整によって前記上下方向の送風方向を変更することができるので、簡単な構成で送風方向の制御が可能となる。
7)前記CPU101は、前記第2の可動ルーバ425によって前記送風装置400の送風口413を閉鎖し、前記シフトトレイ202側への送風を停止させるので、用紙の搬送タイミングに応じた送風停止が可能となる。
8)前記CPU101は、操作パネル105からのユーザの操作入力に基づいて前記送風制御を実行するので、ユーザの意図に沿った制御が可能となる。
なお、特許請求の範囲における用紙は本実施形態では符号P,P1,P2に、排紙手段は排紙ローラ対6あるいは上排紙ローラ(対)4に、積載手段はシフトトレイ202あるいは上トレイ201に、積載手段側はシフトトレイ202側あるいは上トレイ201側に、送風手段は送風装置400に、送風方向は第1ないし第4の方向L1,L2,L3,L4に、偏向手段は第2の可動ルーバ425に、制御手段はCPU101に、送風口は符号413、414aに、操作手段は操作パネル105に、排紙装置は用紙後処理装置PDに、画像形成システムは画像形成装置PR及び用紙後処理装置PDを含むシステムに、それぞれ対応する。
さらに、本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。前記実施例は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。