本発明は、用紙情報に基づいて送風装置を用紙搬送方向に直交する方向へ移動させて送風し、用紙間の密着を低減して用紙の座屈及び貼り付きを防止し、良好な用紙の揃え精度を得るようにしたものである。
以下、本発明の実施形態について実施例を挙げ、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施例の説明において、同一若しくは同一と見なせる各部には同一の参照符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
図1は本実施形態の実施例1に係る用紙処理装置としての用紙後処理装置PDと画像形成装置PRとからなる画像形成システムを示すシステム構成図である。
図1において、画像形成装置PRは、入力された画像データを印字可能な画像データに変換する画像処理回路、画像処理回路から出力される画像信号に基づいて感光体に光書き込みを行う光書き込み装置、光書き込みにより感光体に形成された潜像をトナー現像する現像装置、現像装置によって顕像化されたトナー像を用紙に転写する転写装置、及び用紙転写されたトナー像を定着する定着装置を少なくとも備え、トナー画像が定着された用紙を用紙後処理装置PDに送り出し、用紙後処理装置PDによって所望の後処理が行われる。画像形成装置PRはここでは前述のように電子写真方式のものであるが、インクジェット方式、熱転写方式などの公知の画像形成装置が全て使用できる。なお、この実施形態では、前記画像処理回路、光書き込み装置、現像装置、転写装置、及び定着装置が画像形成手段を構成している。
用紙後処理装置PDは、画像形成装置PRの側部に取り付けられており、画像形成装置PRから排出された用紙は用紙後処理装置PDに導かれる。用紙後処理装置PDは、搬送路A、搬送路B、搬送路C、搬送路D及び搬送路Hを備え、前記用紙は、1枚の用紙に後処理を施す後処理手段(この実施形態では穿孔手段としてのパンチユニット50)を有する搬送路Aへまず搬送される。
搬送路Bは搬送路Aを通り、上トレイ201へ導く搬送路であり、搬送路Cはシフトトレイ202へ導く搬送路Cである。搬送路Dは整合及びステープル綴じ等を行う処理トレイF(以下「端面綴じ処理トレイ」とも称する)に導く搬送路Dである。搬送路Aから搬送路B,C,Dへは、それぞれ分岐爪15及び分岐爪16によって振り分けられるように構成されている。
この用紙後処理装置では、用紙に対して、穴明け(パンチユニット50)、用紙揃え+端部綴じ(ジョガーフェンス53、端面綴じステープラS1)、用紙揃え+中綴じ(中綴じ上ジョガーフェンス250a、中綴じ下ジョガーフェンス250b、中綴じステープラS2)、用紙の仕分け(シフトトレイ202)、中折り(折りプレート74、折りローラ81)などの各処理を行うことができる。そのため、搬送路Aと、これに続く搬送路B、搬送路C及び搬送路Dが処理に応じて選択される。また、搬送路Dは用紙収容部Eを含み、搬送路Dの下流側には端面綴じ処理トレイF、中綴じ中折り処理トレイG、排紙搬送路Hが設けられている。
搬送路B、搬送路C及び搬送路Dの上流で各々に対し共通な搬送路Aには、画像形成装置PRから受け入れる用紙を検出する入口センサ301、その下流に入口ローラ1、パンチユニット50、パンチかすホッパ50a、搬送ローラ2、第1及び第2の分岐爪15,分岐爪16が順次配置されている。第1及び第2の分岐爪15,16は図示しないバネにより図1の状態に保持されており(初期状態)、図示しない第1及び第2のソレノイドをONすることにより、分岐爪15、16をそれぞれ駆動し、第1及び第2のソレノイドのON/OFFを選択することにより、第1及び第2の分岐爪15,16の分岐方向の組み合わせを変更し、搬送路B、搬送路C、搬送路Dへ用紙を振り分ける。
搬送路Bへ用紙を導く場合は図1の状態、すなわち、第1のソレノイドをOFF(第1の分岐爪15は下向きが初期状態)状態のままとする。これにより、用紙は搬送ローラ3から上排紙ローラ4を経て上トレイ201に排出される。
搬送路Cへ用紙を導く場合は、図1の状態から第1及び第2のソレノイドをON(第2の分岐爪16は上向きが初期状態)とすることにより、分岐爪15は上方に、分岐爪16は下方にそれぞれ回動した状態となる。これにより、用紙は搬送ローラ5及び排紙ローラ対6(6a,6b)を経てシフトトレイ202側に搬送される。この場合には、用紙の仕分けが行われる。用紙の仕分けは、シフト排紙ローラ対6(6a,6b)と、戻しコロ13と、紙面検知センサ330と、シフトトレイ202と、シフトトレイ202を用紙搬送方向に直交する方向に往復動させる図示しないシフト機構と、シフトトレイ202を昇降させるシフトトレイ昇降機構とによって行われる。
搬送路Dへ用紙を導く場合は、第1の分岐爪15を駆動する第1のソレノイドをON、第2の分岐爪を駆動する第2のソレノイドをOFFとすることにより、分岐爪15及び分岐爪16ともに上方に回動した状態となり、用紙は搬送ローラ2から搬送ローラ7を経て搬送路D側に導かれる。搬送路Dに導かれた用紙は、端面綴じ処理トレイFへ導かれ、この端面綴じ処理トレイFで整合及びステープル等を施された用紙は、ガイド部材44により、シフトトレイ202へ導く搬送路C、折り等を施す中綴じ・中折り処理トレイG(以下、単に「中綴じ処理トレイ」とも称する)へ振り分けられる。シフトトレイ202に導かれる場合には、用紙束PBは排紙ローラ対6からシフトトレイ202に排紙される。また、中綴じ処理トレイG側に導かれた用紙束PBは、中綴じ処理トレイGで折り及び綴じを施され、排紙搬送路Hを通り下排紙ローラ83から下トレイ203へ排紙される。
他方、搬送路D内には分岐爪17が配置され、図示しない低荷重バネにより図の状態に保持されており、搬送ローラ7によって搬送される用紙の後端が前記分岐爪17を通過した後、搬送ローラ9,10、ステープル排紙ローラ11のうち少なくとも搬送ローラ9を逆転させ、用紙をターンガイド8に沿って逆行させることができる。これにより、用紙後端から用紙を用紙収容部Eへ導いて滞留(プレスタック)させ、次用紙と重ね合せて搬送することが可能なように構成されている。この動作を繰り返すことによって2枚以上の用紙を重ね合せて搬送することも可能である。なお、符号304は用紙をプレスタックさせる際の逆送タイミングを設定するためのプレスタックセンサである。
搬送路Dに導かれ、用紙揃えと端部綴じを行う場合、ステープル排紙ローラ11によって端面綴じ処理トレイFへ導かれた用紙は、端面綴じ処理トレイF上に順次積載される。この場合、用紙毎に叩きコロ12と後端基準フェンス51で縦方向(用紙搬送方向)の整合が行われ、ジョガーフェンス53によって横方向(用紙搬送方向と直交する方向−用紙幅方向とも称す)の整合が行われる。ジョブの切れ目、すなわち、用紙束PBの最終紙から次の用紙束先頭紙までの間で、後述のCPU101からのステープル信号により綴じ手段としての端面綴じステープラS1が駆動され、綴じ処理が行われる。綴じ処理が行われた用紙束PBは、直ちに放出爪52aが突設された放出ベルト52(図2参照)により(シフト)排紙ローラ対6へ送られ、受け取り位置にセットされているシフトトレイ202に排紙される。
放出ベルト52は図2及び図4に示すように用紙幅方向の整合中心に位置し、プーリ62間に張架され、放出ベルト駆動モータ157により駆動される。また、複数の放出ローラ56が前記放出ベルト52に関して対称に配置され、駆動軸に対して回転自在に設けられ、従動コロとして機能している。
放出爪52aは、放出ベルトHPセンサ311によりホームポジションが検知されるようになっており、この放出ベルトHPセンサ311は放出ベルト52に設けられた放出爪52aによりオン・オフする。放出ベルト52の外周上には対向する位置に2つの放出爪52aが配置され、端面綴じ処理トレイFに収容された用紙束PBを交互に移動搬送する。また必要に応じて放出ベルト52を逆回転させ、これから用紙束PBを移動させるように待機している放出爪52aと対向側の放出爪52aの背面で端面綴じ処理トレイFに収容された用紙束PBの搬送方向先端を揃えるようにすることもできる。
なお、図1において、符号110は後端押さえレバーであり、後端基準フェンス51に収容された用紙束PBの後端を押さえることができるように後端基準フェンス51の下端部に位置し、端面綴じ処理トレイFに対してほぼ垂直な方向に往復動する。端面綴じ処理トレイFに排出された用紙Pは、用紙毎に叩きコロ12で縦方向(用紙搬送方向)の整合が行われるが、端面綴じ処理トレイFに積載された用紙後端がカールしていたり、腰が弱かったりすると用紙自身の重量によって後端が座屈し膨らむ傾向にある。さらに、その積載枚数が増えることによって、後端基準フェンス51内の次の用紙が入る隙間が小さくなり、縦方向の揃えが悪くなる傾向にある。そこで、用紙後端PTの膨らみを少なくして用紙Pが後端基準フェンス51に入りやすくするようにしたのが、後端押さえ機構であり、用紙P若しくは用紙束PBを直接押さえるのが後端押さえレバー110である。
また、図1において、符号302,303,304,305,310はそれぞれ用紙検知センサであり、設けられた位置における用紙の通過の有無、若しくは用紙の積載の有無を検知する。
図2は端面綴じ処理トレイFをトレイの積載面側から見た概略構成図で、図1の右側面側から見た場合に相当する。同図において、上流側の画像形成装置PRより受け入れた用紙の幅方向の整合はジョガーフェンス53a及び53bによって実施され、縦方向は後端基準フェンス51a,51b(図1では符号51で示す)に突き当てて整合される。後端基準フェンス51a,51bは、それぞれ内側に用紙後端PTが当接し、保持されるスタック面51a1,51b1を備え、用紙後端PTを2点で支持するようになっている。整合動作完了後は、端面綴じステープラS1により綴じ処理が施され、図4の放出ベルトの動作を示す斜視図から分かるように、放出ベルト52が放出ベルト駆動モータ157によって反時計方向に駆動され、綴じ処理後の用紙束PBは、後端基準フェンス51a,51bによって所定位置まで持ち上げられ、放出ベルト52に取り付けられた放出爪52aによってすくわれ、端面綴じ処理トレイFから放出される。なお、符号64a,64bは前側板及び後側板である。また、本動作は整合処理後に綴じ処理を実施しない未綴じ束においても同様の動作が可能である。
図3は端面綴じ処理トレイF及びその付属機構の概略構成を示す斜視図である。同図に示すように、ステープル排紙ローラ11により端面綴じ処理トレイFへ導かれた用紙Pは順次端面綴じ処理トレイF上に積載される。このとき、端面綴じ処理トレイFに排出される用紙Pの枚数が1枚の場合、用紙毎に叩きコロ12と後端基準フェンス51との間で縦方向(用紙搬送方向)の整合が行われ、ジョガーフェンス53a,53bによって幅方向(用紙搬送方向と直交する用紙幅方向)の整合が行われる。叩きコロ12は支点12aを中心に叩きSOL170によって振り子運動を与えられ、端面綴じ処理トレイFへ送り込まれた用紙に間欠的に作用して用紙後端PTを後端基準フェンス51に突き当てる。なお、叩きコロ12自身は図示反時計回りに回転する。ジョガーフェンス53は、図2及び図3に示すように前後一対(53a,53b)設けられ、正逆転可能なジョガーモータ158によりタイミングベルトを介して駆動され、用紙幅方向に対称に近接・離間するように往復移動する。
図1に戻って、端面綴じ処理トレイFの用紙搬送方向下流側には、用紙束偏向機構が設けられている。端面綴じ処理トレイFから中綴じ処理トレイGへ、また端面綴じ処理トレイFからシフトトレイ202へ用紙束PBを送る搬送路、及び用紙束PBを搬送する搬送手段は、用紙束PBに搬送力を与える搬送機構35、用紙束PBをターンさせる放出ローラ56、用紙束PBをターンさせるためのガイドを行うガイド部材44とから構成されている。
各々の詳細な構成を説明すると、搬送機構35のローラ36には駆動軸37の駆動力がタイミングベルトによって伝達される構成となっており、ローラ36と駆動軸37はアームによって連結支持され、駆動軸37を回転支点として揺動可能となっている。搬送機構35のローラ36の揺動駆動はカム40によって行われ、カム40は回転軸を中心に回転し、図示しないモータによって駆動される。搬送機構35では、ローラ36の対向する位置には従動ローラ42が配置され、従動ローラ42とローラ36によって用紙束PBを挟み、弾性材によって加圧し、搬送力を与えている。
端面綴じ処理トレイFから中綴じ処理トレイGへ用紙束PBをターンさせる搬送路は、放出ローラ56と放出ローラ56に対向する側のガイド部材44の内面との間に形成される。ガイド部材44は支点を中心に回動し、その駆動は束分岐駆動モータ161(図2参照)から伝達される。端面綴じ処理トレイFからシフトトレイ202へ用紙束PBを搬送する場合には、ガイド部材44が支点を中心に図示時計方向に回動し、ガイド部材44の外面(放出ローラ56と対向しない側の面)とその外側のガイド板間の空間が搬送路として機能する。端面綴じ処理トレイFから中綴じ処理トレイGへ用紙束PBを送る場合、端面綴じ処理トレイFで整合された用紙束PBの後端を放出爪52aで押し上げ、搬送機構35のローラ36と、これに対向する対向する従動ローラ42との間で用紙束PBを挟み、搬送力を与える。このとき搬送機構35のローラ36は、用紙束PBの先端にぶつからないような位置で待機している。次に、用紙束先端が通過してから用紙表面に搬送機構35のローラ36を接触させ、搬送力を与える。このときガイド部材44と放出ローラ56とでターン搬送路のガイドを形成し、用紙束PBを下流の中綴じ処理トレイGへと搬送する。
中綴じ処理トレイGは、図1に示すように搬送機構35、ガイド部材44及び放出ローラ56からなる用紙束偏向機構の下流側に設けられている。中綴じ処理トレイGは、前記用紙束偏向機構の下流側にほぼ垂直に設けられており、中央部に中折り機構が、その上方に束搬送ガイド板上92が、また、下方に束搬送ガイド板下91が配置されている。
また、束搬送ガイド板上92の上部には束搬送ローラ上71が、下部には束搬送ローラ下72がそれぞれ設けられているとともに、両ローラ71,72間を跨ぐように束搬送ガイド板上92の側面に沿って両側に中綴じ上ジョガーフェンス250aが配置されている。同様に束搬送ガイド板下91の側面に沿って両側に中綴じ下ジョガーフェンス250bが設けられ、この中綴じ下ジョガーフェンス250bが設置されている個所に中綴じステープラS2が配置されている。中綴じ上ジョガーフェンス250a及び中綴じ下ジョガーフェンス250bは図示しない駆動機構により駆動され、用紙搬送方向に直交する方向(用紙の幅方向)の整合動作を行う。中綴じステープラS2は、クリンチャ部とドライバ部とが対となったもので、用紙の幅方向に所定の間隔をおいて二対設けられている。
また、束搬送ガイド板下91を横切るように可動後端基準フェンス73が配置され、タイミングベルトとその駆動機構とを備えた移動機構により用紙搬送方向(図において上下方向)に移動可能となっている。駆動機構は図1に示すように前記タイミングベルトが掛け渡された駆動プーリと従動プーリと、駆動プーリを駆動するステッピングモータとにより構成されている。同様に束搬送ガイド板上92の上端側には、後端叩き爪251と、その駆動機構が設けられている。後端叩き爪251はタイミングベルト252と図示しない駆動機構とによって前記用紙束偏向機構から離れる方向と用紙束PBの後端(用紙束導入時に後端に当たる側)を押す方向とに往復移動可能となっている。
中折り機構は、中綴じ処理トレイGのほぼ中央部に設けられ、折りプレート74と折りローラ81と、折られた用紙束PBを搬送する搬送路Hとからなっている。なお、図1において、符号326は後端叩き爪251のホームポジションを検出するためのホームポジションセンサ、符号323は中折りされた用紙を検出するための折り部通過センサ、符号321は用紙束PBが中折り位置に到達したことを検知する束検出センサ、符号322は可動後端基準フェンス73のホームポジションを検出する可動後端基準フェンスホームポジションセンサである。
また、この実施形態では、下トレイ203に中折りされた用紙束PBの積層高さを検出する検出レバー501が支点501aによって揺動自在に設けられ、この検出レバー501の角度を紙面センサ505によって検出し、下トレイ203の昇降動作及びオーバーフロー検出を行っている。
図5はシフトトレイ202の排紙部を示す要部正面図で、図5(a)は排紙時の待機状態を示す図であり、同図(b)は同図(a)の丸で示した部分の要部をさらに拡大して示す図である。用紙は前述のように排紙ローラ対6(6a,6b)を経てシフトトレイ202側に搬送され、シフトトレイ202で用紙の仕分けが行われる。用紙の仕分けは、前述のように特にシフト排紙ローラ対6(6a,6b)、戻しコロ13、シフトトレイ202と、シフト機構と、シフトトレイ昇降機構とによって行われる。
図6は搬送方向の揃え動作を示す動作説明図である。揃え動作は、用紙排出後、戻しコロ13が用紙Pをエンドフェンス210方向へ戻す方向(矢印R1方向)に回転しながら用紙Pに接触し、積極的に用紙Pをエンドフェンス210方向に戻す動作を行うことにより行われる。戻しコロ13は、ここでは図示しないが、後述の戻しコロ駆動モータ223によって駆動され、駆動力はタイミングベルト13a(図12参照)によって伝達される。
図7はシフトトレイ及び排紙ローラを含む排紙部の斜視図である。同図から分かるようにシフトトレイ202の上側には、シフトトレイ202上で用紙Pの幅方向の揃えを行う一対のジョガー205a,205bが設けられている。ジョガー205a,205bは、ジョガー駆動機構206によって用紙Pの幅方向に可動である。なお、ジョガー駆動機構206自体は公知の構造であり、駆動機構自体は本願発明と直接関係がないので、詳細は省略する。なお、図5等において符号202aはジョガー205a,205bの移動を許容するための逃げ部(凹部)である。
図8はシフトトレイ202上における用紙幅方向の揃え動作を示す図である。用紙排出後、手前側ジョガー205a及び奥側ジョガー205bにより用紙幅方向手前側からと奥側から用紙Pの幅方向を揃える。しかし、コート紙のように平滑度が高い用紙Pの場合には、図9のようにシフトトレイ202に先行の用紙P1が積載された状態で後行の用紙P2が排出されると、用紙間密着による貼り付きが発生し、図10に示すように後行の用紙P2が先行の用紙P1に接触した状態でそのまま先行の用紙P1を押し出してしまう。
このような先行の用紙P1の押し出しを防止するために、本実施形態では、送風装置を設け、後行の用紙P2が排出される際、先行の用紙P1との間に風を送り込み、先行の用紙P1に対する後行の用紙P2の貼り付きを防止するようにした。
図11は本実施形態における送風装置を備えた排紙部の構成を示す要部正面図、図12は図11の右側面から見た要部拡大断面図である。図11及び図12において、送風装置400は、用紙の幅方向に4個設けられている排紙ローラ対6のさらに外側に一対設けられている。送風装置400は図12に示すように送風ファン411及び送風ガイド412からなり、送風ファン411は図示しないモータによって駆動され、送風ガイド412の送風口413からモータの回転速度に応じた風速の風を送風する。なお、本実施形態では、送風装置400は2個設けられているが、例えば広幅の用紙に対応するようにそれ以上設けてもよいことはいうまでもない。
送風口413は図12に示すように排紙ローラ対6よりも下方であって、シフトトレイ202よりも上の位置に開口している。これにより、シフトトレイ202の上面と排紙ローラ対6から排紙される用紙との間に風を送り込むことが可能である。送風は一義的には送風ファン411を駆動するモータが駆動されることにより行われるが、モータの駆動は用紙後処理装置PDのCPU101によって制御される。すなわち、画像形成装置PRからの用紙情報に基づいて用紙後処理装置PDのCPU101が通風の是非を判断し、モータを駆動することにより送風が行われる。
図13、図14及び図15は、送風装置400の動作を示す説明図である。図13に示すように用紙P1がシフトレイ202上に排出される際、送風装置400の送風ファン411が駆動され、用紙P1の裏面側に風Wが送り込まれる。この送風動作によってシフトトレイ202と用紙P1間に空気層ALが形成される。用紙P1が空気層ALを排除しながらシフトトレイ202上に落下し、戻しコロ13の下側に移動すると、用紙P1は戻しコロ13によって搬送方向と逆方向に搬送され、用紙後端がエンドフェンス210に突き当たって用紙の搬送方向が揃えられる。
次いで、ジョガー205a,205bによって用紙の幅方向の揃えが行われる。搬送方向及び幅方向の揃え動作完了後、図14のように後行紙P2が先行紙P1に接触する場合も送風装置400が駆動され、後行紙P2の裏面側に風Wを送り込む。これにより先行紙P1と後行紙P2との間に空気層ALが形成され、用紙間密着を防止し、若しくは低減する。
送風を行う場合、用紙後処理装置PDのCPU101は、画像形成装置PRから用紙情報を受信し、用紙情報に応じて最適な風速への切り替えを行う。用紙情報は、普通紙、コート紙、トレーシングペーパーなどの紙種情報、厚紙、薄紙などの紙厚情報、及びA3、A4、B4などの用紙サイズ情報を含む。そのため、図14に示したように先行紙P1と後行紙P2との間に風Wを送り込む場合には、画像形成装置PRから送信されてくる用紙の紙種、紙厚、紙サイズを含む用紙情報から貼り付きを防止するに最適な風量への切り替えを行い、紙面全体に空気層ALが行き渡るようにする。
送風は、画像形成装置PRによって給紙が開始するのと同時に開始され、図15に示すように最終紙Pnの後端が用紙検知センサ303を通過したΔt秒後に停止する。Δt秒は風速と同様に紙種、紙厚及び用紙サイズなどの用紙情報に応じて設定される。Δt秒は例えば、用紙が確実に排紙ローラ対6を抜け、シフトトレイ202に着地するまでの時間である。
図16は送風方向を示す図である。送風装置400から送風される風Wは、用紙搬送方向(矢印D1方向)と平行あるいは用紙搬送方向に対して所定角内側に向けて(矢印D2方向)送風される。送風方向は送風口413の向きで設定することができる。そのため、送風口413は回転方向に固定でも、可動でもよい。
また、本実施形態では、送風装置400を主走査方向に移動させる移動機構450を設けた。図17はこの移動機構450の概略構成を示す平面図である。移動機構450は、駆動モータ420、駆動プーリ421、従動プーリ422、及び第1及び第2の一対の送風装置400を支持するタイミングベルト423から基本的に構成されている。
駆動モータ420は、排紙部の幅方向(用紙搬送方向と直交する方向)の平面視一方の端部側に配置され、他方の端部側に従動プーリ422が配置されている。タイミングベルト423は無端状であり、駆動モータ420の駆動軸に取り付けられた駆動プーリ421と従動プーリ422との間に張設されている。そして、張設されたタイミングベルトの一方の側に第1の送風装置400aが、他方の側に第2の送風装置400bが取り付けられている。これにより、駆動モータ420が一方向に回転すると、第1及び第2の送風装置400a,400bは例えば互いに近接する方向D3に、他方向に回転すると、遠ざかる方向D4に移動する。このような近接離間動作は公知の機構であるので、詳細は省略する。
なお、タイミングベルト423に代えて、例えば一本の軸部材に右ねじと左ねじを切って軸部材を使用して近接、離間動作を行わせることも可能であり、送風装置400の移動機構450がタイミングベルト423を使用した機構に限定されるものではない。
このように移動機構450を構成すると、用紙サイズのうち、搬送方向と直交する方向の寸法が予め設定された寸法よりも小さい場合には、図16(a)の位置から図18に示すように内側の予め設定された位置まで移動し、その位置で例えば用紙搬送方向と平行な矢印D1方向に送風する。
なお、図18は用紙が中央基準で搬送されている場合の例であるが、端部基準で搬送される場合にも適用するには、第1及び第2の送風装置400a,400bの移動機構を独立した機構に構成すれば、用紙サイズに応じて一方の移動量を他方の移動量よりも大きく設定することも可能である。
図19はシート後処理装置PDと画像形成装置PRからなる画像形成システムの制御構成を示すブロック図である。シート後処理装置PDはCPU101、I/Oインターフェイス102等を有するマイクロコンピュータを搭載した制御回路を備え、CPU101には、画像形成装置PRのCPUあるいは操作パネル105の各スイッチ等、及び図示しない各センサからの信号が通信インターフェイス103を介して入力され、CPU101は入力された信号に基づいて所定の制御を実行する。さらに、CPU101は、ドライバ、モータドライバを介してソレノイド及びモータを駆動制御し、インターフェイスから装置内のセンサ情報を取得する。また、制御対象やセンサに応じてI/0インターフェイス102を介してモータドライバによってモータの駆動制御を行い、センサからセンサ情報を取得する。なお、前記制御は、図示しないROMに格納されたプログラムコードをCPU101が読み込んで図示しないRAMに展開し、当該RAMをワークエリア及びデータバッファとして使用しながら前記プログラムコードで定義されたプログラムに基づいて実行される。
図20は図19に示した制御構成によって図17に示した移動機構によって送風装置400を例えば図18の位置に移動させ、送風して用紙の貼り付けを防止する制御手順を示すフローチャートである。
図14を参照して説明した場合と同様に、送風を行う場合、用紙後処理装置PDのCPU101は、画像形成装置PRから用紙情報を受信し、用紙情報に応じて最適な風速に加え、送風位置を変更する。すなわち、画像形成装置PR内で給紙が開始されると、送風装置400a,400bの排紙方向と直交する方向へ移動開始し(ステップS101)、用紙が排紙部から排紙される時点で(ステップS104)、送風を開始する(ステップS105)。
その際、普通紙、コート紙、トレーシングペーパーなどの紙種情報、厚紙、薄紙などの紙厚情報、及びA3、A4、B4などの用紙サイズ情報を含む用紙情報に基づいてCPU101は排紙装置400a,400bの主走査方向の最適位置を設定し、その位置まで送風装置400a,400bを移動させる(ステップS102,S103)。この位置が、例えば図18に示す位置である。
最適な位置は、予め実験室で用紙の紙種、紙厚、紙サイズを変数として紙面全体に空気層ALが行き渡る最適な位置と最適な風速(若しくは風量)を計測し、その計測データをテーブル化してメモリに記憶させておく。そして、送風装置400a,400bの位置及び風速を設定する際にCPU101がメモリを参照して駆動モータ420の回転量と送風ファン411を駆動するモータの回転速度を設定する。なお、位置、風速(若しくは風量)はユーザが後述の画像形成装置PRの操作パネル105から数値入力若しくは選択入力によりマニュアルで調整することも可能である。
ステップS102では、その設定された位置まで送風装置400a,400bが移動したか否かを判断し、ステップS103では、設定位置に移動した時点で停止させることになる。
この状態で用紙が最終紙になるまで送風を継続し(ステップS106)、最終紙が排出されると(ステップS106:YES)、最終紙が検知されたΔt秒後に送風を停止し(ステップS107)、送風装置400a,400bを初期位置まで移動させる(ステップS108)。そして、初期位置まで戻ると、その位置で、次のジョブに備えることになる。
このように制御すると、貼り付きを防止するに最適な主走査方向の位置を設定し、その位置まで送風装置400a,400bを移動させ、これと並行して貼り付きを防止するに最適な風量への切り替えを行うことができる。その結果、風量だけの切り替えで貼り付きを防止するものに比べて、送風位置が貼り付き防止に最適な位置となっているので、より効率的に貼り付き防止のための空気層LAを形成することができる。これにより、例えば風量も送風位置が固定場合よりも少なくすることが可能となり、その分の省エネ化を図ることもできる。
図21は画像形成装置の操作パネルからの送風モードの選択処理の処理手順を示すフローチャート、図22は選択処理時の操作パネルの選択画面を示す図である。
この送風モードの選択処理では、図22の操作パネル105の送風モードの指示画面105aから「あり」105bを選択すると、送風モードの処理が開始される。送風モードの処理が開始されると、ユーザが操作パネル105上の操作画面が図示しない用紙の種類の選択画面に切り替わる。この選択画面には、図示しないが、紙種が選択ボタンとして表示される。そこで、紙種を選択すると(ステップS201)、普通紙以外では、送風強制OFFの選択画面に切り替わる。普通紙の場合はデフォルトでは、送風OFFである。
普通紙以外の場合、送風強制OFFの選択画面からユーザがYESあるいはNOを選択する。ステップS202では、この選択結果が判断され、強制OFFが選択された場合には、送風ファンをOFFし(ステップS205:YES)、OFFが選択されなかった場合(送風強制ONが選択された場合:ステップS205:NO)には、送風量及び風向きの選択画面に切り替わる。その画面で、送風量と風向きの方向を選択すると(ステップS203)、送風ファンがONされ(ステップS204)、選択した送風量、風向きで、前記自動的に設定された送風位置から送風が開始される。
なお、普通紙の場合はデフォルトでは、送風OFFであるが、ステップS202で強制ONを選択すると、ステップS203及びステップS204に進んで、送風を行うことができる。
また、送風モード画面で「なし」105cを選択すると、送風モードに入らずに通常の排紙処理が実行される。
このように、本実施例では、送風モードでは、ユーザが操作パネル105上で紙種情報を選択した場合にONになる設定であるが、強制OFFを選択することで、送風を行わないことができる。また、普通紙の場合デフォルトでは、送風は行わないが、強制ONにすることで送風を行うことができる。
図9のようにシフトトレイ202に先行の用紙P1が積載された状態で後行の用紙P2が排出され、用紙間密着による貼り付きが発生すると、図10に示すように後行の用紙P2が先行の用紙P1に接触した状態でそのまま先行の用紙P1を押し出してしまう。そこで、実施例1では、このような先行の用紙P1の押し出しを防止するために、送風装置を設け、後行の用紙P2が排出される際、先行の用紙P1との間に風を送り込み、先行の用紙P1に対する後行の用紙P2の貼り付きを防止するようにした。
しかし、図23の排紙部の要部正面図に示すように、送風部が常に開口していると(図13ないし図15も同様)、送風装置400へのゴミ等の異物侵入によって送風装置400が破損することがある。また、全ての用紙Pの種類(紙種、用紙サイズ、紙厚)について送風時の風量が同一であると、用紙Pの種類によっては風量不足により排出不良防止あるいは積載不良防止の効果が得られないことがある。あるいは風量過多による用紙Pの吹き飛ばしが発生ことがある。また、排出される用紙Pが排紙ローラ対6のニップを抜けた後も送風を行っていると、排出される用紙Pがシフトトレイ202へ落下する際に、風W若しくは気流によって用紙後端PEがバタつき、落下位置が定まらないため積載不良を起こすことがある。図24はこの状態を示す排紙部の要部斜視図である。
図25及び図26は本実施例2における排紙部の構成を示す要部正面図である。図25は送風口413を閉じた状態を、図26は開放した状態をそれぞれ示す。本実施例では、このような異物侵入防止及び積載不良防止のために、図25に示すように送風装置400の送風口413の前面であって、当該送風口413を塞ぐ位置に遮蔽・押圧部材431が設けられている。なお、図25に示した遮蔽・押圧部材431は一例であって、送風口413の遮蔽機能と用紙Pの押圧機能とを備えていればよく、図示した形状に限定されるものではない。
遮蔽・押圧部材431は駆動モータ432の駆動により中継ギヤ433を介して駆動プーリ434aの駆動側ギヤ434を駆動する。駆動プーリ434aには、従動プーリ434bとの間にタイミングベルト435が巻き掛けられ、タイミングベルト435に連結された遮蔽・押圧部材431を駆動モータ432の駆動方向に応じて上昇及び下降させることができる。
このように遮蔽・押圧部材431をタイミングベルト435の動作に合わせて上昇下降させることによって送風口413の開口量を可変制御し、送風口413から吐出される風量を調節することができる。なお、開口量を可変制御は、駆動モータ432の回転駆動制御によって行われ、この駆動モータ432の駆動制御は、用紙後処理装置PDのCPU101によって実行される。
用紙排出部待機時は遮蔽・押圧部材431は図25に示すように送風口413を閉じた状態にあり、また、用紙後端PEを押さえた状態ともなっている。これにより、送風による用紙後端PEのバタつきを遮蔽・押圧部材431が押圧し、積載品質を良好な状態に保持する。同時に待機時に送風口413を閉じることにより、ゴミなどの異物が送風口413内に入るのを防ぐことができる。その結果、ゴミなどの異物の侵入が原因となる送風装置400の破損を防ぐことが可能となる。また、ユーザが送風口413に触れることができないのでユーザに対して不測の事態が発生するおそれもなくなる。
画像形成装置PRから用紙Pが排出されると送風装置400は送風を始めるが、その時点では、図25に示すように遮蔽・押圧部材431はシート束PBの後端側を押さえ、シフトトレイ202上への送風は遮蔽されている。この状態から排紙ローラ対6の上流に備えた用紙検知センサ303が用紙先端PFを検知すると、図26に示すように検知からΔt1秒後に遮蔽・押圧部材431が上昇することによって送風口413を閉鎖状態から開放し、シフトトレイ202上へ送風する。その後、Δt2秒後に下降して送風口413を再び閉鎖する。
図27は遮蔽・押圧部材431の動作の制御手順を示すフローチャートである。この制御は、用紙後処理装置PDのCPU101によって実行される。
図27において、まず、送風装置400から送風が開始される。次いで、用紙後処理装置PDが画像形成装置PRから用紙情報(紙種、用紙サイズ、紙厚:In301)を受け取ると、用紙後処理装置PDは、遮蔽・押圧部材431(図では、単に遮蔽部材と記す。)の上昇量(送風口413の開口量)Lmmを決定する(ステップS302)。また、用紙検知センサ303から排紙ローラ対6のニップまでの搬送距離Xmm、線速Vmm/sの情報(In302)に基づいて開口開始時間Δt1、開口時間Δt2を決定する(ステップS303,S304)。
用紙検知センサ303が用紙Pの先端を検知すると(ステップS305:YES)、その時点からΔt1秒後に遮蔽・押圧部材431を前記上昇量分だけ上昇させ(ステップS306)、用紙Pを排紙ローラ対6から排紙する(ステップS307)。その後、Δt2秒経過すると、遮蔽・押圧部材431を下降させ(ステップS308)、送風口413を遮蔽するとと共に、用紙P又は用紙束PBの後端(部)PEを押さえ、処理を終える。
図28はステップS302の遮蔽・押圧部材431の上昇量決定のサブルーチンの制御手順を示すフローチャートである。
用紙Pの種類としては、例えばコート紙、普通紙、薄紙などがあり、用紙サイズも異なってくる。そこで、本実施例では、CPU101が紙種情報(In401)を受け取ると、その紙種情報に基づいて搬送されてくる用紙がコート紙か否かを判定する(ステップS401)。そして、コート紙(ステップS401:YES)であると、紙サイズ情報(In402)に基づいて用紙サイズを判定する。そして、用紙サイズが、縦Xmm・横Ymm以上(ステップS402:YES)であると、さらに紙厚情報(In403)に基づいて、紙厚を判定する。この判定で紙厚がTg/m2以上(ステップS403:YES)であれば、遮蔽・押圧部材431の上昇量をL1mmに設定する(ステップS404)。
同様に、コート紙(ステップS401:YES)であり、用紙サイズが縦Xmm・横Ymm以上(ステップS402:YES)、紙厚Tg/m2未満(ステップS403:NO)のとき、遮蔽・押圧部材431の上昇量L2mmをステップS404で設定した上昇量L1mm以下に設定する(ステップS405)である。
同様に、コート紙(ステップS401:YES)であり、用紙サイズが縦Xmm・横Ymm未満(ステップS402:NO)のとき遮蔽・押圧部材431の上昇量L3mmをステップS405で設定した遮蔽・押圧部材431の上昇量L2mm以下に設定する(ステップS406)。
また、コート紙でなければ、すなわち非コート紙であれば(ステップS401:NO)、遮蔽・押圧部材の上昇量L4mmをステップS406で遮蔽・押圧部材431の上昇量L3mm以下に設定する。
送風装置400からの風量の調節ができない場合、例えばコート紙、用紙サイズ縦Xmm・横Ymm以上、紙厚Tg/m2以上の条件に合わせた風量で、コート紙、用紙サイズ縦Xmm・横Ymm未満の条件に合わせた風量を送風しても風量過多のため用紙を吹き飛ばしてしまう可能性がある。また、コート紙、用紙サイズ縦Xmm・横Ymm未満の条件に合わせた風量でコート紙、用紙サイズ縦Xmm・横Ymm以上、紙厚Tg/m2以上の条件に送風しても風量不足のため張り付き防止の効果が得られないことがある。しかし、本実施例では、用紙情報In301に応じて遮蔽・押圧部材431の上昇量(開口量)を変化させることにより送風口413からシフトトレイ202上に送り出される風量を調節できるため、風量不足及び風量過多を防止することができる。これにより風量不足に起因する排出不良、積載不良の発生、及び風量過多に起因する用紙吹き飛ばしを防止することができる。
また、用紙検知センサ303により検出されたシート検知情報に基づいて用紙先端検知のΔt1秒後に送風口413を開口し、シート先端検知からΔt2秒後に送風口413を閉じることにより、用紙排出タイミングに合わせて送風口413を開閉することができる。これにより2枚目の排出用紙P2がシフトトレイ202へ落下する際、送風は行われないので、送風装置400からの送風気流による用紙Pの積載不良を防止することができる。
なお、最適な上昇量L、L1、L2、L3、L4mm及び送風口413の開放開始タイミングΔt1、閉鎖開始タイミングΔt2は、実施例1と同様にメモリに記憶させたテーブルのデータを参照して決定する。前記データは、予め実験室で送風量一定の条件の下で用紙の紙種、紙厚、紙サイズを変数としてシート同士の張り付きによる座屈あるいは押し出しなどの排出不良あるいは積載不良が生じない上昇量とタイミングをデータとして取っておき、テーブル化したものである。これにより、図27及び図28の制御を実行する際に、CPU101はメモリを参照して適切な駆動モータ432の回転量と駆動タイミングを設定することができる。その際、遮蔽・押圧部材431の上昇量Lmmは操作パネル105からユーザがマニュアルで操作入力するように設定することもできる。
また、本実施例では、遮蔽・押圧部材431は、図面上送風口413の前面であって、送風口413からある程度離れた位置に設けられている。そして、その位置で送風口413から送風される送風経路を遮断し、あるいは送風経路の開口量を設定するようになっている。したがって、送風口413の開口部を直接遮蔽し、開口量を設定するように構成されてはいないが、これは、気流の乱れを考慮したものである。そのため、遮蔽・押圧部材431は、風速と開口面積との関係に基づいて送風経路のいずれかの位置に設けられ、遮蔽機能、送風量制御機能、及び押圧機能を備えていればよい。
このように、本実施例によれば、用紙排出部の送風口413に遮蔽・押圧部材431を設けたので、送風口413への異物侵入を防ぐことができる。
さらに、本実施例では、用紙後処理装置PDが画像形成装置PRから用紙情報In301、搬送距離Xmm、線速Vmm/sの情報In302を取得し、これらの情報に基づいて送風口413の開閉タイミングを制御し、遮蔽・押圧部材431の上昇量(開口量)を可変制御するようになっている。これにより、排出される用紙Pの後端からの送風を最適に制御することが可能となり、用紙同士の張り付きによる座屈あるいは押し出しなどの発生を抑え、排出不良あるいは積載不良の発生を防止することができる。
その他、特に説明しない各部は実施例1と同様に構成され、同様に機能する。
以上のように、本実施形態によれば、次のような効果を奏する。
1)搬送されてきた用紙を排紙する排紙ローラ対6と、排紙ローラ対6によって排紙される前記用紙を積載するシフトトレイ202と、前記用紙の用紙面に対して略平行な方向から送風する送風装置400と、送風装置400を用紙搬送方向と直交する方向に移動させる移動機構450と、を備え、移動機構に450により、貼り付きを防止するに最適な位置に送風装置400を移動させて送風するので、効率的に紙面全体に空気層ALが行き渡るようにすることが可能となり、積載紙間の用紙間密着を低減し、良好な揃え精度を得ることができる。
2)送風装置400の送風口413の前面に配置され、送風口413を開閉すると共に、閉鎖時にシフトトレイ202上の用紙Pを押圧する遮蔽・押圧部材431を備えたので、送風を遮蔽する同時に用紙Pを押圧可能なため、送風による用紙Pのバタつきを抑えることができる。また、非用紙排紙時には、送風口413が遮蔽されているので、送風口413への異物侵入を防ぐことも可能である。
3)CPU101が、送風装置400の移動量、送風量及び風向きの少なくとも1つを可変に設定するので、3つの要素を勘案して最適な送風位置、送風量、風向きを設定することができる。その結果、より効率的に紙面全体に空気層ALを行き渡らせることができ、前記1)の効果を得ることができる。
4)CPU101の送風装置400の移動量、送風量及び風向きの設定が、普通紙、コート紙、トレーシングペーパーなどの紙種情報、厚紙、薄紙などの紙厚情報、及びA3、A4、B4などの用紙サイズ情報を含む用紙情報に基づいて行われるので、処理する用紙に応じて最適な移動量、送風量及び風向きを設定することができる。
5)ユーザが例えば画像形成装置PRの操作パネル105などの操作手段から操作入力を行うことにより設定することができるので、ユーザの意図にあった移動量、送風量及び風向きの設定が可能となる。
6)操作手段、例えば操作パネル105から送風装置400の強制OFFが入力されたとき、送風ファンをOFFし、強制OFFが入力されないとき、送風ファンをONするので、デフォルトで送風ファンはONされ、自動的に積載紙間の用紙間密着を低減し、良好な揃え精度を得ることができる。
7)排紙ローラ対6の用紙搬送方向下流側の直近に用紙検知センサ303が備えられている。CPU101は、用紙先端が排紙ローラ対6に到達する前に送風ファンを起動して送風を開始させ、用紙後端が用紙検知センサ303を通過した後に送風ファンを停止させて送風を終了させる。これにより、用紙が排紙ローラ対6によってニップされる前から、確実にシフトトレイ202上に積載される間、送風することができる。
なお、特許請求の範囲における用紙は符号Pに、排紙手段は排紙ローラ対6に、積載手段はシフトトレイ202に、送風手段は送風装置400に、移動手段は移動機構450に、送風口は符号413に、遮蔽・押圧手段は遮蔽・押圧部材431に、制御手段はCPU101に、操作手段は操作パネル105に、用紙検知手段は用紙検知センサ303に、用紙処理装置は用紙後処理装置PDに、画像形成システムは画像形成装置PR及び用紙後処理装置PDからなるシステムに、それぞれ対応する。
さらに、本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。前記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。