JP6198205B2 - ビニルエーテル誘導体ポリマー並びにその製造方法及び用途 - Google Patents

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本発明は、新規なビニルエーテル誘導体ホモポリマー並びにその製造方法及び用途に関し、さらに詳しくは例えばインク、塗料、レジスト、カラ−フィルタ等の用途並びに接着剤、製版材、封止材、画像形成剤の原料等に用いられる低臭気性、低揮発性、低皮膚刺激性であって、また、高機能を有する硬化性、基材密着性、透明性、剛直性に優れたカチオン重合物として有用な2,2−アダマンタンジメタノールジビニルエーテルホモポリマー(別名:2,2−ビス[(エテニロキシ)メチル]トリシクロ[3.3.1.13,7]デカンホモポリマー)
並びにその製造方法及び用途に関する。
本発明に係る2,2−アダマンタンジメタノールジビニルエーテルホモポリマーは、従来報告例がなく、新規な化合物であると考えられる。
本発明のようなジビニルエーテル化合物のポリマーについての従来技術としては、下記の特許文献1が知られている。しかしながら、この特許文献1にはジビニルエーテルの環化重合物が記載されているが、ガラス転移温度が十分に高いとは言えなかった。
特開2009−242484号公報
モノビニルエーテルを原料とするホモポリマーは、通常、ガラス転移温度が低く、単独での自立した成形体になるのは難しく、また、ジビニルエーテルは架橋剤として用いられることが多く、ホモポリマーの原料として使用される例は少ない。
従って、本発明の目的は、例えばインク、塗料、レジスト、カラ−フィルタ等の用途並びに接着剤、製版材、封止材、画像形成剤の原料等に用いられる低臭気性、低揮発性、低皮膚刺激性であって、また、高機能を有する硬化性、基材密着性、透明性、剛直性に優れたカチオン重合物として有用なポリマー並びにその製造方法及び用途を提供することにある。
本発明に従えば、式(I):
Figure 0006198205
で表される繰り返し単位を有するジビニルエーテル誘導体ホモポリマーである2,2−アダマンタンジメタノールジビニルエーテルホモポリマーが提供される。
本発明に係る2,2−アダマンタンジメタノールジビニルエーテルホモポリマーは、低臭気性、低揮発性、低皮膚刺激性であって、また、高機能を有する硬化性、基材密着性、透明性、剛直性に優れたカチオン重合物として有用な優れたポリマーである。
特に、本発明に係る2,2−アダマンタンジメタノールジビニルエーテルホモポリマーはガラス転移温度が180℃以上であり、また分解温度が300℃以上で、非常に高い値を示す(それぞれDSC(示差走査熱量分析計)により決定)。
本発明の2,2−アダマンタンジメタノールジビニルエーテルホモポリマー(I)の1H−NMRチャートである。
本発明に係るポリマー(I)は、次のような反応式に従って、2,2−アダマンタンジメタノールジビニルエーテル(A)を環化重合することによって製造することができる。
Figure 0006198205
即ち、本発明に係る式(I)(好ましくはn=8〜8000、さらに好ましくはn=10〜400)のポリマーは前記式(A)の化合物2,2−アダマンタンジメタノールジビニルエーテル(別名:トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン−2,2−ジメタノール)を、例えば次のような方法で重合させることによって製造することができる。なお、式(A)の化合物は平成24年4月18日に出願した特願2012−094803号出願に記載されており、例えば以下の方法で合成することができる。
即ち、化合物(A)の重合反応は、トルエン、キシレンなどの炭化水素系又は塩化メチレン、クロロホルムなどの塩素系の有機溶媒中で化合物(A)の濃度が0.01〜1.0モル/リットル、好ましくは0.1〜0.5モル/リットルとなるような量で行うのが好ましく、0.1〜0.5モル/リットルがより好ましい。重合条件としては、重合触媒の存在下に、−50〜10℃で0.5時間〜100時間が好ましい。より好ましくは−40〜−10℃で1時間〜50時間、最も好ましくは−35〜−25℃で2時間〜10時間である。
重合触媒としては、ルイス酸(例えばBF、BCl、BBr、AlCl、SnBr、ZnClなど)及びその錯体(例えばBFOEt、(CHCH(OiBu)OCOCH/SnBr)などを挙げることができ、分子量分布を制御する上では、これらの錯体を用いることが特に好ましい。触媒の使用量には特に限定はないが、反応溶液に対し、0.1〜10ミリモル/リットルであることが好ましく、2〜5ミリモル/リットルであるのが更に好ましい。
前記重合反応はアミン類のアルコール溶液で停止させ、その後は、添加したアルコール及び生成する塩類等を除去するために、水洗、抽出することが好ましい。さらに精製が必要な場合は、溶媒を、常法に従って、留去・乾燥後、THF(テトラヒドロフラン)、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテルで希釈し、メタノールなどのアルコールで沈殿させる。
得られる式(I)のポリマーの数平均分子量Mnは、GPCで測定して、1,500〜2,000,000であることが好ましく、2,500〜200,000であることがさらに好ましく、3,000〜20,000であることが特に好ましい。
以下、実施例によって本発明を更に説明するが、本発明の範囲をこれら実施例に限定するものでないことはいうまでもない。
実施例1
リビング重合開始剤である二成分系開始剤(HCl/ZnCl)を用いて以下の通りの重合を行った。シュレンク管に2,2−アダマンタンジメタノールジビニルエーテル溶液4.0mL、HCl溶液0.5mL、ZnCl溶液0.5mLを、この順に注射器で注入し重合を開始した。トルエン中、−30℃、モノマー濃度0.30mol/L(ガスクロマトグラフィーの内部標準としてテトラリンを含有)、HCl濃度5.0mmol/L、ZnCl濃度2.0mmol/Lで行った。重合は、30分で重合率100%に達し、重合系にアンモニア水を少量加えたメタノールを加えて停止した。
生成ポリマーは、重合を停止した溶液を分液ロートに移し塩化メチレンで希釈し、イオン交換水で3回洗浄し、次いで有機層からエバポレーターにより溶媒を除去し、減圧乾燥して回収した。M(数平均分子量)は重合率に比例して増加し,M/M(分子量分布)の比較的狭いポリマーが合成された。なお分子量の測定は以下のGPCによる方法によった。
光散乱検出器を備えたGPC(LALS−GPC)を用いて、GPC本体に株式会社島津製作所社製LC−10AD、カラムに昭和電工株式会社製ポリスチレンゲルカラム1本(Shodex KFSO6M)、光散乱検出器にMalvern社製viscotek 270を使用し、溶媒はTHFを用い、カラム温度40℃、0.1mg/mLに調製した試料溶液を装置に注入し、流速1.0mL/minでの条件で、ポリマーの分子量等の測定を行った。
さらにこのポリマー(即ち2,2−アダマンタンジメタノールジビニルエーテルホモポリマー)は、THF溶液にメタノール添加し、再沈殿することによって精製した。精製ポリマーの数平均分子量:Mは5,640(GPCにより測定)で、分子量分布:M/Mは1.48だった。ガラス転移温度:T(DSCにより測定)は、211℃で、熱分解温度:Tは310℃であった。
実施例2
モノマー濃度を0.15mol/Lに変えた以外は、実施例1と同様な反応条件で重合を行った。実施例1と同様に後処理し、精製したポリマーの数平均分子量:Mは3,010(GPCにより測定)で、分子量分布:M/Mは1.28だった。ガラス転移温度:T(DSCにより測定)は、189℃で、熱分解温度:Tは319℃であった。
比較例1
実施例4と同様な反応条件で、モノマーを1,3−アダマンタンジメタノールジビニルエーテル(別名:1,3−ビス[(エテニロキシ)メチル]トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン)に変え、同様に重合を行ったが、終盤にゲル化し、溶媒に不溶なポリマーが生成した。
実施例1で得たジビニルエーテルホモポリマーをインク原料に用いたところ、低臭気、低揮発性、低皮膚刺激性及び低毒性であり、さらにガラス転移温度が高いため、硬度が高く、硬化性に優れ、乾燥性及び耐汚染性に優れたインクが得られた。
また、実施例1で得たジビニルエーテルホモポリマーを、電子材料の一つであるフォトレジスト用原料に用いたところ、低臭気、低揮発性、低皮膚刺激性及び低毒性であり、さらにガラス転移温度が高いため、良好な硬度を有し硬化性に優れるフォトレジストが得られた。
本発明によれば、以上の通り、ガラス転移温度の高いジビニルエーテルのホモポリマーが提供できるので、インク、塗料、レジスト、カラーフィルターなどの用途並びに接着剤、製版材、封止剤、画像形成用原料など有用な、低皮膚刺激性で、高機能の硬化性、基材密着性、透明性、剛直性に優れたカチオン重合物が得られる。

Claims (6)

  1. 式(I):
    Figure 0006198205
    で表される繰り返し単位を有するジビニルエーテル誘導体ホモポリマー。
  2. 数平均分子量Mnが1,500〜2,000,000である請求項1に記載のジビニルエーテル誘導体ホモポリマー。
  3. 分子量分布(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)が1〜5である請求項1又は2に記載のジビニルエーテル誘導体ホモポリマー。
  4. 式(A):
    Figure 0006198205
    の2,2−アダマンタンジメタノールジビニルエーテルを、ルイス酸の存在下に、環化重合させることを特徴とする請求項1に記載のジビニルエーテル誘導体ホモポリマーの製造方法。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のジビニルエーテル誘導体ホモポリマーを用いたインク。
  6. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のジビニルエーテル誘導体ホモポリマーを用いた電子材料。
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