JP6197664B2 - ボールねじ - Google Patents
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Description
その一例において、コマは、ナットの貫通孔の内側縁(ナット内周面側の縁部)に係止する係止爪と、貫通孔の外側縁(ナット外周面側の縁部)に着座するフランジとを有する。この場合、コマをナットの外周面側からナットの貫通孔に嵌合する際に、係止爪を貫通孔の内側縁に係止させると共に、フランジを貫通孔の外側縁に着座させる。これにより、コマを位置決めすると共にコマの脱落を防止している。
特許文献2には、ボールねじ装置の組立に要する作業時間を短縮すると共に製造コストを削減することを目的として、コマにナットの貫通穴に対する突縁と爪部を設けることが記載されている。
また、コマには、嵌合部の長手方向に沿った両側で嵌合部から短手方向に突出する爪部を形成し、この爪部にナットの内周面に係合する係合面を設けている。そして、コマの突縁をコマ取付穴の係止面に係止させ、爪部の係合面をナットの内周面に係合させることにより、ナットにコマを取付けている。
このように、特許文献1および2のいずれの提案においても、ボール戻し路内のボールがコマを押し上げる力が、コマの係止部(係止爪またはフランジおよび爪部)とナットとの接触部に入力されるため、ナットの径方向内側に係止されている係止部に破損が生じるおそれがある。また、この押し上げ力によりコマが撓み、コマの係止部がナットから外れるおそれもある。
この発明の課題は、加締めや別部材の使用による方法以外でコマがナットに取り付けられているコマ式ボールねじとして、ボールがコマを押し上げる力でコマのナットの貫通穴からの抜け止め部(ナットとの係止部)に破損が生じにくく、コマがナットの貫通穴から抜け落ちにくいものを提供することである。
(1) ねじ軸と、ナットと、複数のボールを有し、前記ねじ軸は前記ナットを貫通する。前記ねじ軸の螺旋溝と前記ナットの螺旋溝とにより、前記ボールが転動する転動路が形成されている。前記ナットは、前記ボールを前記転動路の終点から始点に戻すボール戻し路が形成されたコマを有する。前記コマは前記ナットを径方向に貫通する貫通穴内に配置されている。前記ボールは、前記転動路内と前記ボール戻し路内に配置されている。前記転動路内で転動する前記ボールを介して、前記ねじ軸と前記ナットとが相対移動するボールねじである。
(2) 前記コマは、前記ボール戻し路の幅方向側部に、前記ナットの内周面の前記貫通穴の周縁部に設けた凹部内に配置される突起を有する。前記コマは、前記ナットの内周面側から前記貫通穴に挿入され、前記突起を前記凹部内に配置して取り付けられる。
この態様のボールねじは、コマを、ナットの内周面側から貫通穴に嵌め、前記凹部内にコマの突起を配置し、この状態を保持しながらボールとねじ軸をナットの内部に挿入することで組み立てられる。よって、ボールねじの搬送中に、コマの突起がナットの貫通穴からの抜け止め機能を発揮する。
よって、ボール戻し路内のボールがコマを押し上げる力がコマの抜け止め部とナットとの接触部に入力される、従来のコマ式ボールねじと比較して、コマの抜け止め部である突起に破損が生じにくく、コマがナットから抜け落ちにくい。
また、従来のコマ式ボールねじでは、特に、コマが合成樹脂製の場合、コマの抜け止め部に破損が生じ易いが、この形態のボールねじでは、コマが合成樹脂製の場合でも、突起に破損が生じにくい。
前記コマをなす合成樹脂としては、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、POM(ポリアセタール)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、6ナイロン、4,6ナイロン、6,6ナイロン等が挙げられる。また、これらの合成樹脂にガラス繊維、チタン酸カリウム繊維等からなる強化材が混合された樹脂組成物で前記コマを製造してもよい。
また、金属製のコマの一例として、金属粉末射出成形法(MIM)により形成されたコマを用いることができる。使用するMIM用合金としては、例えば、Fe−Ni−C(1〜8%Ni、〜0.8%C)が挙げられる。
図1〜8に示すように、この実施形態のボールねじは、ねじ軸1、ナット2、複数のボール3、コマ(ボール戻し路41が形成されている部品)4で構成されている。ねじ軸1の外周面とナット2の内周面に、螺旋溝11,21が形成されている。ねじ軸1はナット2を貫通している。
ねじ軸1の螺旋溝11とナット2の螺旋溝21とにより、ボール3が転動する転動路が形成される。ボール3は、転動路とコマ4のボール戻し路41とからなる循環経路内に配置されている。コマ4は、ナット2の貫通穴22に配置されている。ねじ軸1とナット2は、転動路内で転動し循環経路内を循環するボール3を介して相対移動する。
突起43は、本体40の底面40a側に形成され、本体40をなす長円柱の一対の側面(ボール戻し路41の幅方向側部となる面)40bの長手方向中央部から突出している。突起43は、本体40の底面40aに連続する底面43aと、その反対側の凸状の曲面(凹部に配置される側の面)43bを有する。凸状の曲面43bは、本体40の側面40bの長手方向中央が最も高く形成されている。図4に示すように、曲面43bの最も高い位置での断面が、ナット2の螺旋溝21に嵌まる円弧である。
図4に示すように、コマ4がナット2の貫通穴22に配置されて、突起43の曲面43bが貫通穴22の周縁部の螺旋溝21に接触した状態で、本体40の外周面40dがナット2の外周面より外側に突出する。
図5は、組み立て後のボールねじを軸方向を水平にして台上に置いた場合(図1の状態)の、上側に配置されたコマ4の状態を示す。この状態で、ボール3とコマ4はねじ軸1と接触し、コマ4の外周面40dがナット2の外周面より径方向内側に存在する。突起43の曲面43bは螺旋溝21から離れている。なお、下側で台から離れている部分に配置されたコマ4は、突起43の曲面43bがナット2の螺旋溝21に接触し、突起43がコマ4の貫通穴22からの抜け止め機能を発揮している。
また、突起43を配置する凹部としてナット2の螺旋溝21を利用しているため、新たに凹部を形成する場合と比較して、コストを抑えることができる。さらに、ナット2の貫通穴22およびその周縁部が単純な形状であるため、金型コストを低減できる。
また、突起43の断面形状は、ナット2の貫通穴22の周縁部に存在する凹部内に配置可能であれば、ナット2の螺旋溝21に嵌まる円弧を有するものでなくてもよい。また、突起43の形状の例としては、凹部に配置される側の面が円形やゴシックアーク形状の断面を有するもの、凹部に配置される側の面が球面の一部であるもの等が挙げられる。
11 ねじ軸の螺旋溝
2 ナット
2A ナットの円筒部
2B ナットのフランジ部
21 ナットの螺旋溝(凹部)
22 ナットの貫通穴
24 面取り部
3 ボール
4 コマ
40 本体
40a 本体をなす長円柱の底面
40b 本体をなす長円柱の側面(ボール戻し路の幅方向側部となる面)
40d 本体の外周面
40e 本体の円弧状境界部(側面と外周面との境界部)
41 ボール戻し路
43 突起
43a 突起の底面
43b 突起の曲面(凹部に配置される側の面)
6 円環体(外嵌部材)
61 内周面
Claims (4)
- ねじ軸と、ナットと、複数のボールを有し、
前記ねじ軸は前記ナットを貫通し、
前記ねじ軸の螺旋溝と前記ナットの螺旋溝とにより、前記ボールが転動する転動路が形成され、
前記ナットは、前記ボールを前記転動路の終点から始点に戻すボール戻し路が形成されたコマを有し、
前記コマは前記ナットを径方向に貫通する貫通穴内に配置され、
前記ボールは、前記転動路内と前記ボール戻し路内に配置され、
前記転動路内で転動する前記ボールを介して、前記ねじ軸と前記ナットとが相対移動するボールねじにおいて、
前記コマは、前記ボール戻し路の幅方向側部に、前記ナットの内周面の前記貫通穴の周縁部に設けた凹部内に配置される突起を有し、
前記コマは、前記ナットの内周面側から前記貫通穴に挿入され、前記突起を前記凹部に配置して取り付けられ、
前記ナットの前記貫通穴の位置に外嵌部材が取り付けられて使用され、前記コマの前記ボール戻し路の背面部分が前記外嵌部材の内周面と接触した状態で、前記突起と前記凹部との間に隙間が存在することを特徴とするボールねじ。 - 前記凹部は前記ナットの螺旋溝である請求項1記載のボールねじ。
- 前記コマは合成樹脂製である請求項1または2記載のボールねじ。
- 前記コマは金属粉末射出成形法により形成されたものである請求項1または2記載のボールねじ。
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