JP6197655B2 - 永久磁石同期モータの制御装置 - Google Patents
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Description
ベクトル制御においては、永久磁石同期モータの電機子巻線(固定子巻線)に流れる電流のd軸成分とq軸成分の指令値を与える。したがって、当該指令値を適切に定めることが求められる。ここで、d軸とは、回転子に含まれる永久磁石が作る磁束に平行な軸をいい、q軸とは、d軸から電気角で90°進んだ軸をいう。尚、永久磁石同期モータの電機子巻線に流れる電流のd軸成分、q軸成分は、それぞれ一般に、d軸電流Id、q軸電流Iqと称されているので、以下でもこのように称する。同様に、永久磁石同期モータの電機子巻線の端子間の電圧のd軸成分、q軸成分も、それぞれ一般に、d軸電圧Vd、q軸電圧Vqと称されており、以下でもこのように称する。
図4は、d軸電流Idとq軸電流Iqの動作点とトラジェクトリの一例を示す図である。
最大トルク制御は、同一トルクを発生させる電流ベクトルの振幅を最小にする制御をいう。図4において、定電流円が定トルク曲線と接する点が最大トルク制御の動作点であり、この動作点を通る曲線がトラジェクトリとなる。
尚、最大トルク制御において使用されるモータパラメータは、電機子巻線のインダクタンスのd軸成分及びq軸成分と、永久磁石の有効鎖交磁束φmである。電機子巻線のインダクタンスのd軸成分、q軸成分は、それぞれ一般に、d軸インダクタンスLq、q軸インダクタンスLqと称されるので、以下ではこのように称する。
第2に、永久磁石同期モータの温度上昇による永久磁石の温度上昇は、d軸インダクタンスLqの変動や、永久磁石の有効鎖交磁束φm(誘導電圧定数Kとも表現される)の低下の原因になる。
尚、U相の電機子巻線の電流IU、V相の電機子巻線の電流IV、W相の電機子巻線の電流IWは、それぞれ一般に、U相電流IU、V相電流IV、W相電流IWと称されるので、以下ではこのように称する。
第3に、永久磁石同期モータの電機子巻線の温度上昇は、電機子巻線の直流抵抗Rの増加の原因になる。以下の説明では、電機子巻線の直流抵抗Rを必要に応じて巻線抵抗Rと称する。
第5に、永久磁石同期モータの生産・組立時の寸法のばらつき等は、全てのモータパラメータの変動の原因になる。
図5は、小型電動二輪車に適用した場合の永久磁石同期モータの回転数(モータ回転数)と低トルクの頻度との関係の実験結果の一例を示す図である。ここでは、6Nm以下を低トルク域とした。
図5に示すように、小型電動二輪車に適用した場合の永久磁石同期モータは、高速回転域で使用される頻度が高い傾向にある。このような高速回転域での使用は、永久磁石同期モータの内部の発熱、すなわち温度上昇が起こりやすい。そうすると、前述したようにモータパラメータが変動し、トルク指令を正確に反映したd軸電流Id及びq軸電流Iqを最大トルク制御で得ることができなくなる。これにより、トルク指令に対し、永久磁石同期モータの実際のトルクが低下する場合がある。このように、高速回転域、すなわち永久磁石同期モータの角速度ωが大きい領域でトルク制御が適正に行われなくなると、モータ効率が低下する。電力Pは、トルクTと角速度ωとの積に比例するので、角速度ωが大きくなると、トルクTのわずかな低下で電力Pが大きく低下してしまうからである。したがって、小型電動二輪車のような高速回転域での使用の頻度が高いものに適用する永久磁石同期モータでは、モータパラメータを正確に同定しないと、モータ効率が低下し、電力損失が大きくなる。
特許文献1には、永久磁石同期モータの有効電力に着目して、巻線抵抗Rを同定すると共に、永久磁石同期モータの無効電力に着目して、q軸インダクタンスLq、d軸インダクタンスLd及び永久磁石の有効鎖交磁束φm(誘導電圧係数K)を同定することが記載されている。
具体的に説明すると、d軸電流Idの指令値が「ゼロ」である区間と「正」又は「負」である区間の2段階の区間を設け、d軸電流Idの指令値が「正」又は「負」の区間における有効電力の絶対値から、「ゼロ」の区間における有効電力の絶対値を減算した値を、「正」又は「負」の区間におけるd軸電流Idの指令値を2乗した値で、巻線抵抗Rを同定する。
また、d軸電流Idの指令値が「正」の区間と「負」の区間の各々の区間において演算した無効電力の演算値を用いて、永久磁石の有効鎖交磁束φm(誘導電圧係数K)を同定する。
また、d軸電流Idの指令値が「正」の区間において演算した無効電力と、「負」の区間において演算した無効電力と、「ゼロ」の区間において演算した無効電力を2倍した値との和の絶対値を、モータ周波数とq軸電流Iqの検出値を2乗した値との乗算値に「2」を更に乗算した値で除算することにより、d軸インダクタンスLdを同定する。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、特殊な条件での測定を行わなくても、永久磁石同期モータのモータパラメータを正確に同定することを目的とする。
永久磁石同期モータの電圧方程式は、以下の(1)式及び(2)式で表される。
この誘導起電力には、電機子巻線(電機子コイル)の自己の電流変化が要因で電機子巻線を貫く磁束が変化することにより発生する誘導起電力と、隣接する電機子コイルや外部磁石からの磁束が要因で電機子巻線を貫く磁束が変化することにより発生する誘導起電力がある。前者(電機子コイルの自己の電流変化が要因で電機子巻線を貫く磁束が変化すること)は一般的に自己誘導と称されるので、ここでは後者(隣接する電機子コイルや外部磁石からの磁束が要因で電機子巻線を貫く磁束が変化すること)を外部誘導と称することとする。
以上のようにしてパラメータベクトル(モータパラメータ)を同定するために、以下に説明する実施形態の永久磁石同期モータの制御装置を構成した。以下に、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
図1において、電流センサS1は、永久磁石同期モータMのU相、V相、W相の電機子巻線に流れる電流をそれぞれ個別に測定するためのものである。
回転位置センサS2は、永久磁石同期モータMの回転子の位置を測定し、永久磁石同期モータMの回転子の回転角θや角速度ωを導出する。尚、永久磁石同期モータMの回転子の回転角θや角速度ωの導出は、永久磁石同期モータの制御装置100で行ってもよい。
図1において、AD変換部101は、電流センサS1から、永久磁石同期モータMのU相、V相、W相の電機子巻線に流れる電流の検出値を示すアナログデータを入力し、デジタルデータに変換する回路である。以下では、このデジタルデータをU相電流IU、V相電流IV、W相電流IWと表記する。
IU+IV+IW=0 ・・・(6)
Iα=IU ・・・(7)
Iβ=(IU+2×IV)÷31/2 ・・・(8)
Id=Iα×cosθ+Iβ×sinθ ・・・(9)
Iq=−Iα×sinθ+Iβ×cosθ ・・・(10)
同様に、PI制御部105は、最大トルク制御部104で導出されたd軸電流Idの指令値から、後述するようにして固定座標変換部103で導出されたd軸電流Idの検出値を減算してd軸電流Idの偏差を導出する。そして、PI制御部105は、PI制御を行って、d軸電流Idの偏差を打ち消すd軸電圧Vdを導出する。
Vα=Vd×cosθ+Vq×sinθ ・・・(13)
Vβ=Vd×sinθ+Vq×cosθ ・・・(14)
3相/2相変換部102、固定座標変換部103、最大トルク制御部104、PI制御部105、回転座標変換部106、及び2相/3相変換部107のハードウェアは、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD、及び各種のインターフェースを備えたコンピュータや専用のハードウェアにより実現できる。
モータドライバ108は、例えばパルス幅変調(PWM;Pulse Width Modulation)を行うインバータ回路を備え、U相電圧VUの操作量、V相電圧VVの操作量、W相電圧VWの操作量に基づいて、永久磁石同期モータMのU相、V相、W相の電機子巻線に印加する電圧をそれぞれ導出し、各電機子巻線に当該電圧を出力する。この電圧が、U相電圧VU、V相電圧VV、W相電圧VWになる。
角速度変化導出部109は、回転位置センサS2から、永久磁石同期モータMの回転子の角速度ωの情報を(一定の周期で)継続的に入力する。角速度変化導出部109は、今回入力した永久磁石同期モータMの回転子の角速度ωから、一定時間Δt前に入力した永久磁石同期モータMの回転子の角速度ωを減算した値を、角速度変化量Δωとして導出する。一定時間Δtは、計算周期である。本実施形態では、永久磁石同期モータMの回転周期を上回る時間(永久磁石同期モータMの回転周期の整数倍程度)が計算周期として適宜設定される。
本実施形態では、角速度条件判定部110は、まず、角速度変化量Δωが「ゼロ」でないか否かを判定する。この判定の結果、角速度変化量Δωが「ゼロ」である場合、角速度条件判定部110は、モデルパラメータを更新する条件を満たしていないと判定する。この場合には、モデルパラメータの更新を行わない。角速度変化量Δωが「ゼロ」である場合には、(5a)〜(5c)を解くことができないからである。
電流変化導出部112は、最大トルク制御部104で導出されたq軸電流Iq及びd軸電流Idを(一定の周期で)継続的に入力する。電流変化導出部112は、今回入力したq軸電流Iqから、一定時間Δt前に入力したq軸電流Iqを減算した値を、q軸電流変化量ΔIqとして導出する。同様に、電流変化導出部112は、今回入力したd軸電流Idから、一定時間Δt前に入力したd軸電流Idを減算した値を、d軸電流変化量ΔIdとして導出する。
変換行列導出部113は、回転位置センサS2で検出された「永久磁石同期モータMの回転子の角速度ω」と、最大トルク制御部104で導出された「q軸電流Iq及びd軸電流Idの指令値」と、角速度変化導出部109により導出された「角速度変化量Δω」と、電流変化導出部112により導出された「q軸電流変化量ΔIq及びd軸電流変化量ΔId」と、を(5b)式の各行、各列に当て嵌めて、変換行列Aを導出する。
一方、行列式の絶対値|det(A)|が所定値を上回る場合、電流条件判定部115は、最大トルク制御部104で導出されたq軸電流Iq及びd軸電流Idの時間変化が線形変化であるか否か(q軸電流Iq及びd軸電流Idが時間に対し直線的に変化しているか否か)を判定する。例えば、それぞれが同一時間からなる複数の期間であって、連続する複数の期間におけるq軸電流Iq及びd軸電流Idの変化量が所定の範囲内にあるか否かを判定することにより、q軸電流Iq及びd軸電流Idの時間変化が線形変化であるか否かを判定することができる。前記所定の範囲内としては、例えば「ゼロ」を採用したり、−X〜+X(Xは正数)の範囲を採用したりすることができる。この他、q軸電流Iq及びd軸電流Id(の時間関数)の2階微分の値が所定の範囲(「ゼロ」や、−X〜+X(Xは正数))内である場合に、q軸電流Iq及びd軸電流Idの時間変化が線形変化であると判定することができる。
一方、q軸電流Iq及びd軸電流Idの時間変化が線形変化である場合、電流条件判定部115は、モデルパラメータを更新する条件を満たしていると判断する。すなわち、モデルパラメータを更新するとモデルパラメータの精度が向上する可能性が高い時期であると判断する。
尚、電流条件判定部115による判定を行ってから、行列式条件判定部114による判定を行うようにしてもよい。
逆行列導出部116は、変換行列導出部113により導出された変換行列Aの逆行列A-1を導出する((5b)式を参照)。この場合、q軸電流Iq及びd軸電流Idの時間変化が線形変化となるので、(3)式及び(4)式において2階微分の項((3)式の右辺の第2項(=d2Iq/dt2・dt/dω)と(4)式の右辺の第3項(=d2Id/dt2・dt/dω))は「ゼロ」となる。すなわち、(5b)式の3行1列と4行2列とが「ゼロ」になる。
変換ベクトル導出部117は、逆行列導出部116により逆行列A-1が導出されると起動する。
変換ベクトル導出部117は、PI制御部105により導出された「q軸電圧Vq及びd軸電圧Vd」と、電圧変化導出部111により導出された「q軸電圧変化量ΔVq及びd軸電圧変化量ΔVd」と、電流変化導出部112により算出された「q軸電流変化量ΔIq及びd軸電流変化量ΔId」とを、(5c)式の各列に当て嵌めて、変換ベクトルVを導出する。
図2は、図3は、永久磁石同期モータMの回転動作のシミュレーションを行って、本実施形態の手法でモータパラメータを同定した結果の一例を示す図である。
図2(a)は、d軸電流Idの時間変化を示す図であり、図2(b)は、q軸電流Iqの時間変化を示す図であり、図2(c)は、角速度ωの時間変化を示す図であり、図2(d)は、変換行列Aの行列式det(A)の時間変化を示す図である。また、図3は、モータパラメータの推定精度の時間変化を示す図である。
ここでは、以下の(15)式〜(17)式に、各パラメータの設定値を与えて永久磁石同期モータのモデルを作成し、当該モデルを用いて、前述した手法によりモータパラメータの同定を行うシミュレーションを行った。
そして、各時刻におけるd軸電流Id、q軸電流Iq、角速度ω、行列式det(A)をグラフで示したものが、それぞれ、図2(a)、図2(b)、図2(c)、図2(d)である。また、モータパラメータの同定値の、設定値に対する誤差率を、モータパラメータの推定精度とし、このモータパラメータの推定精度の時間変化をグラフで示したものが図3である。
この理由として、まず、図2(b)に示すように、この期間において、q軸電流Iqが線形変化(直線的に変化)している(図2(b)の破線を参照)ことが挙げられる。また、永久磁石同期モータMの回転の慣性のため、電流を減らしても、角速度ωの時間変化が大きいことが挙げられる(図2(c)の破線を参照)。
そこで、本実施形態では、変換行列Aの行列式の絶対値|det(A)|が所定値を上回ることを、モータパラメータを更新するための条件とした。例えば、変換行列Aの行列式の絶対値|det(A)|が1000を上回ることを、モータパラメータを更新するための条件とすることができる。
角速度変化量Δωの絶対値|Δω|が所定値を上回るか否かの判定と、変換行列Aの行列式の絶対値|det(A)|が所定値を上回るか否かの判定と、q軸電流Iq及びd軸電流Idの時間変化が線形変化であるか否かの判定との全てを行えば、モータパラメータの同定精度が向上することがより確実なタイミングでモータパラメータの同定することができるので好ましいが、これらの判定のうちの少なくとも1つを行わなくてもよい。
本実施形態では、演算量を少なくするために、(3)式及び(4)式において2階微分の項((3)式の右辺の第2項(=d2Iq/dt2・dt/dω)と(4)式の右辺の第3項(=d2Id/dt2・dt/dω))を「ゼロ」とした。すなわち、(5b)式の3行1列と4行2列とを「ゼロ」とした。しかしながら、必ずしもこのようにする必要はない。q軸電流Iq及びd軸電流Idの時間変化が線形変化でない場合であっても、(5a)式の「q軸インダクタンスLq、d軸インダクタンスLd、永久磁石の有効鎖交磁束φm及び巻線抵抗R」をモータパラメータとして更新してもよい。
最大トルク制御においては、巻線抵抗Rを使用しないので、巻線抵抗Rについては、本実施形態とは別の手法(推定や測定)によって導出してもよい。この場合には、以下の(18)式のように3つの方程式で3つのモータパラメータ(q軸インダクタンスLq、d軸インダクタンスLd、及び永久磁石の有効鎖交磁束φm)を導出することになる。尚(18)式は、(1)式〜(3)式から得られるものであり、(3)式において2階微分の項((3)式の右辺の第2項(=d2Iq/dt2・dt/dω))を「ゼロ」とした場合の表記をしている(変形例2を参照)。
(5a)式、(5b)式の代わりに、以下の(20a)式、(20b)式を採用してもよい。すなわち、(3)式、(4)式の代わりに、(1)式、(2)式の各項を角速度ωではなく時間tで微分した方程式を採用してもよい。この場合には、変換行列導出部113が、(5b)式ではなく、(20a)式の各行、各列の値を導出して、変換行列Aを導出することになる。尚、(20a)式では、(3)式及び(4)式において2階微分の項((3)式の右辺の第2項(=d2Iq/dt2・dt/dω)と(4)式の右辺の第3項(=d2Id/dt2・dt/dω))を「ゼロ」とした場合の表記をしている(変形例2を参照)。
(変形例5)
ベクトル制御の方法は、前述した方法に限定されない。例えば、特許文献1の手法を用いてもよい。また、モータパラメータは、必ずしも最大トルク制御において使用しなくてもよい。例えば、d軸電流Id、q軸電流Iqの指令値から(1)式、(2)式によりq軸電圧Vq、d軸電圧Vdを導出する場合には、(1)式、(2)式に、更新後のモータパラメータを与えるようにしてもよい。
電圧導出手段は、例えば、PI制御部105を用いることにより実現される(変形例5も参照)。
角速度変化量導出手段は、例えば、角速度変化量導出部109を用いることにより実現される。
電流変化量導出手段は、例えば、電流変化導出部112を用いることにより実現される。
電圧変化量導出手段は、例えば、電圧変化量導出部111を用いることにより実現される。
モータパラメータ導出手段は、例えば、逆行列導出部116、変換ベクトル導出部117、及びパラメータ更新部118を用いることにより実現される。
ここで、第1の方程式は例えば(1)式、第2の方程式は例えば(2)式、第3の方程式は例えば(3)式、第4の方程式は例えば(4)式により実現される(変形例2〜4も参照)。
行列式条件判定手段は、例えば、行列式条件判定部114を用いることにより実現される。
角速度条件判定手段は、例えば、角速度条件判定部110を用いることにより実現される。
電流条件判定手段は、例えば、電流条件判定部115を用いることにより実現される。
電流導出手段は、例えば、最大トルク制御部104を用いることにより実現される(変形例5も参照)。
Claims (6)
- 永久磁石同期モータのモータパラメータを同定する永久磁石同期モータの制御装置であって、
q軸電流Iq及びd軸電流Idの指令値に応じた、q軸電圧Vq及びd軸電圧Vdを導出する電圧導出手段と、
前記永久磁石同期モータの角速度ωの一定時間における変化量を導出する角速度変化量導出手段と、
前記q軸電流Iqの一定時間における変化量と、前記d軸電流Idの一定時間における変化量と、を導出する電流変化量導出手段と、
前記q軸電圧Vqの一定時間における変化量と、前記d軸電圧Vdの一定時間における変化量との少なくとも何れか一方を導出する電圧変化量導出手段と、
前記永久磁石同期モータの角速度ωの一定時間における変化量と、前記q軸電流Iqの一定時間における変化量と、前記d軸電流Idの一定時間における変化量と、前記q軸電圧Vqの一定時間における変化量と、を用いて、q軸インダクタンスLqと、d軸インダクタンスLdと、前記永久磁石の有効鎖交磁束φmと、を少なくとも導出するモータパラメータ導出手段と、を有し、
前記モータパラメータ導出手段は、
q軸インダクタンスLq、d軸インダクタンスLd、永久磁石の有効鎖交磁束φm及び電機子巻線の巻線抵抗Rと、d軸電流Id及びq軸電流Iqと、永久磁石同期モータの角速度ωと、を少なくとも用いてq軸電圧Vqを表現する第1の方程式と、
q軸インダクタンスLq、d軸インダクタンスLd、及び電機子巻線の巻線抵抗Rと、d軸電流Id及びq軸電流Iqと、永久磁石同期モータの角速度ωと、を少なくとも用いてd軸電圧Vdを表現する第2の方程式と、
前記第1の方程式を、永久磁石同期モータの角速度ω又は時間tで微分した形で表現される第3の方程式と、前記第2の方程式を、永久磁石同期モータの角速度ω又は時間tで微分した形で表現される第4の方程式と、の少なくとも何れか一方と、
の少なくとも3つの方程式に基づいて導出される演算式の演算を行って、前記q軸インダクタンスLqと、前記d軸インダクタンスLdと、前記永久磁石の有効鎖交磁束φmと、を少なくとも導出することを特徴とする永久磁石同期モータの制御装置。 - 前記電圧変化量導出手段は、
前記q軸電圧Vqの一定時間における変化量と、前記d軸電圧Vdの一定時間における変化量とを導出し、
前記モータパラメータ導出手段は、
前記第1の方程式と、前記第2の方程式と、前記第3の方程式と、前記第4の方程式と、の4つの方程式に基づいて導出される演算式の演算を行って、前記q軸インダクタンスLqと、前記d軸インダクタンスLdと、前記永久磁石の有効鎖交磁束φmと、前記電機子巻線の巻線抵抗Rと、を導出することを特徴とする請求項1に記載の永久磁石同期モータの制御装置。 - 前記永久磁石同期モータの角速度の一定時間における変化量に基づいて、前記モータパラメータ導出手段による導出を行うか否かを判定する角速度条件判定手段を更に有し、
前記角速度条件判定手段は、
前記永久磁石同期モータの角速度の一定時間における変化量がゼロである場合と、前記永久磁石同期モータの角速度ωの一定時間における変化量の絶対値が所定値を上回らない場合に、前記モータパラメータ導出手段による導出を行わないと判定することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の永久磁石同期モータの制御装置。 - 前記q軸電流Iqの時間変化と前記d軸電流Idの時間変化に基づいて前記モータパラメータ導出手段による導出を行うか否かを判定する電流条件判定手段を更に有し、
前記電流条件判定手段は、前記q軸電流Iqの時間変化と、前記d軸電流Idの時間変化が、ともに線形変化でない場合に、前記モータパラメータ導出手段による導出を行わないと判定することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の永久磁石同期モータの制御装置。 - q軸インダクタンスLqとd軸インダクタンスLdと永久磁石の有効鎖交磁束φmとを用いて、トルク指令に応じたq軸電流Iq及びd軸電流Idの指令値を最大トルク制御に従って導出する電流導出手段を更に有し、
前記電圧導出手段は、
前記電流導出手段により導出された、前記q軸電流Iq及び前記d軸電流Idに応じた、q軸電圧Vq及びd軸電圧Vdを導出し、
前記電流導出手段は、
前記モータパラメータ導出手段により導出された前記q軸インダクタンスLq、前記d軸インダクタンスLd、及び前記永久磁石の有効鎖交磁束φmを用いて、トルク指令に応じたq軸電流Iq及びd軸電流Idの指令値を最大トルク制御に従って導出することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の永久磁石同期モータの制御装置。
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