JP6197655B2 - 永久磁石同期モータの制御装置 - Google Patents

永久磁石同期モータの制御装置 Download PDF

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Description

本発明は、永久磁石同期モータの制御装置に関し、特に、永久磁石同期モータのモータパラメータを同定するために用いて好適なものである。
近年、高効率の永久磁石同期モータの利用が拡大している。三相の永久磁石同期モータにおいてはベクトル制御により導出されたU相電圧VU、V相電圧VV、W相電圧VWを永久磁石同期モータの各相の電機子巻線(固定子巻線)に供給する。
ベクトル制御においては、永久磁石同期モータの電機子巻線(固定子巻線)に流れる電流のd軸成分とq軸成分の指令値を与える。したがって、当該指令値を適切に定めることが求められる。ここで、d軸とは、回転子に含まれる永久磁石が作る磁束に平行な軸をいい、q軸とは、d軸から電気角で90°進んだ軸をいう。尚、永久磁石同期モータの電機子巻線に流れる電流のd軸成分、q軸成分は、それぞれ一般に、d軸電流Id、q軸電流Iqと称されているので、以下でもこのように称する。同様に、永久磁石同期モータの電機子巻線の端子間の電圧のd軸成分、q軸成分も、それぞれ一般に、d軸電圧Vd、q軸電圧Vqと称されており、以下でもこのように称する。
このようなd軸電流Idとq軸電流Iqの指令値を定める手法の一つとしてMTPA制御(Maximum Torque Per Ampere Control)がある。尚、MTPA制御は最大トルク制御等とも称されるので、以下では、最大トルク制御と称する。
図4は、d軸電流Idとq軸電流Iqの動作点とトラジェクトリの一例を示す図である。
最大トルク制御は、同一トルクを発生させる電流ベクトルの振幅を最小にする制御をいう。図4において、定電流円が定トルク曲線と接する点が最大トルク制御の動作点であり、この動作点を通る曲線がトラジェクトリとなる。
永久磁石同期モータを電動車両へ適用する場合には、モータの状態を表すモータパラメータ(モータ定数)を用いて最大トルク制御が行われる。しかしながら、永久磁石同期モータの使用に伴い、モータパラメータの値が、コントローラが記憶している初期値から変動することがある。この現象には、幾つかの要因がある。モータパラメータの変動要因には、例えば、以下のようなものがある。
尚、最大トルク制御において使用されるモータパラメータは、電機子巻線のインダクタンスのd軸成分及びq軸成分と、永久磁石の有効鎖交磁束φmである。電機子巻線のインダクタンスのd軸成分、q軸成分は、それぞれ一般に、d軸インダクタンスLq、q軸インダクタンスLqと称されるので、以下ではこのように称する。
第1に、永久磁石同期モータの運転電流(U相の電機子巻線の電流IU、V相の電機子巻線の電流IV、W相の電機子巻線の電流IW)の増加や、永久磁石同期モータの温度上昇による鉄心の温度上昇は、鉄心の磁気飽和をもたらし、q軸インダクタンスLqの変動の原因になる。
第2に、永久磁石同期モータの温度上昇による永久磁石の温度上昇は、d軸インダクタンスLqの変動や、永久磁石の有効鎖交磁束φm(誘導電圧定数Kとも表現される)の低下の原因になる。
尚、U相の電機子巻線の電流IU、V相の電機子巻線の電流IV、W相の電機子巻線の電流IWは、それぞれ一般に、U相電流IU、V相電流IV、W相電流IWと称されるので、以下ではこのように称する。
第3に、永久磁石同期モータの電機子巻線の温度上昇は、電機子巻線の直流抵抗Rの増加の原因になる。以下の説明では、電機子巻線の直流抵抗Rを必要に応じて巻線抵抗Rと称する。
第4に、永久磁石同期モータへの外力や振動は、部材の隙間の変化をもたらし、q軸インダクタンスLq、d軸インダクタンスLd及び永久磁石の有効鎖交磁束φmの見かけ上の変動の原因になる。
第5に、永久磁石同期モータの生産・組立時の寸法のばらつき等は、全てのモータパラメータの変動の原因になる。
以上のようにしてモータパラメータのミスマッチが生じると、指令トルクを実現するためのd軸電流Idとq軸電流Iqを正確に求めることができなくなる虞がある。これにより、永久磁石同期モータの高効率運転が妨げられる虞がある。
図5は、小型電動二輪車に適用した場合の永久磁石同期モータの回転数(モータ回転数)と低トルクの頻度との関係の実験結果の一例を示す図である。ここでは、6Nm以下を低トルク域とした。
図5に示すように、小型電動二輪車に適用した場合の永久磁石同期モータは、高速回転域で使用される頻度が高い傾向にある。このような高速回転域での使用は、永久磁石同期モータの内部の発熱、すなわち温度上昇が起こりやすい。そうすると、前述したようにモータパラメータが変動し、トルク指令を正確に反映したd軸電流Id及びq軸電流Iqを最大トルク制御で得ることができなくなる。これにより、トルク指令に対し、永久磁石同期モータの実際のトルクが低下する場合がある。このように、高速回転域、すなわち永久磁石同期モータの角速度ωが大きい領域でトルク制御が適正に行われなくなると、モータ効率が低下する。電力Pは、トルクTと角速度ωとの積に比例するので、角速度ωが大きくなると、トルクTのわずかな低下で電力Pが大きく低下してしまうからである。したがって、小型電動二輪車のような高速回転域での使用の頻度が高いものに適用する永久磁石同期モータでは、モータパラメータを正確に同定しないと、モータ効率が低下し、電力損失が大きくなる。
このような観点から、モータパラメータを同定する技術として、特許文献1に記載の技術がある。
特許文献1には、永久磁石同期モータの有効電力に着目して、巻線抵抗Rを同定すると共に、永久磁石同期モータの無効電力に着目して、q軸インダクタンスLq、d軸インダクタンスLd及び永久磁石の有効鎖交磁束φm(誘導電圧係数K)を同定することが記載されている。
具体的に説明すると、d軸電流Idの指令値が「ゼロ」である区間と「正」又は「負」である区間の2段階の区間を設け、d軸電流Idの指令値が「正」又は「負」の区間における有効電力の絶対値から、「ゼロ」の区間における有効電力の絶対値を減算した値を、「正」又は「負」の区間におけるd軸電流Idの指令値を2乗した値で、巻線抵抗Rを同定する。
また、d軸電流Idの指令値が「正」の区間と「負」の区間の各々の区間において演算した無効電力の演算値を用いて、永久磁石の有効鎖交磁束φm(誘導電圧係数K)を同定する。
また、d軸電流Idの指令値が「ゼロ」の区間において演算した無効電力の絶対値を、モータ周波数とq軸電流Iqの検出値を2乗した値とを乗算した値で除算することにより、q軸インダクタンスLqを同定する。
また、d軸電流Idの指令値が「正」の区間において演算した無効電力と、「負」の区間において演算した無効電力と、「ゼロ」の区間において演算した無効電力を2倍した値との和の絶対値を、モータ周波数とq軸電流Iqの検出値を2乗した値との乗算値に「2」を更に乗算した値で除算することにより、d軸インダクタンスLdを同定する。
特許第4730073号公報
しかしながら、前述した特許文献1に記載の技術では、電流の特異な操作が必要になるため、小型電動二輪車等の車両の運転に大きな影響を及ぼす虞があり、車載に適したものにならない虞がある。また、測定のタイミングを別途設ける必要があるため、モータパラメータをリアルタイムに同定することが容易ではない。また、電流の特異な制御が必要になるため、最大トルク制御の条件から逸脱した条件で永久磁石同期モータを制御することになり、このような条件下で動作している間は、モータ効率が低下する虞がある。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、特殊な条件での測定を行わなくても、永久磁石同期モータのモータパラメータを正確に同定することを目的とする。
本発明の永久磁石同期モータの制御装置は、永久磁石同期モータのモータパラメータを同定する永久磁石同期モータの制御装置であって、q軸電流Iq及びd軸電流Idの指令値に応じた、q軸電圧Vq及びd軸電圧Vdを導出する電圧導出手段と、前記永久磁石同期モータの角速度ωの一定時間における変化量を導出する角速度変化量導出手段と、前記q軸電流Iqの一定時間における変化量と、前記d軸電流Idの一定時間における変化量と、を導出する電流変化量導出手段と、前記q軸電圧Vqの一定時間における変化量と、前記d軸電圧Vdの一定時間における変化量との少なくとも何れか一方を導出する電圧変化量導出手段と、前記永久磁石同期モータの角速度ωの一定時間における変化量と、前記q軸電流Iqの一定時間における変化量と、前記d軸電流Idの一定時間における変化量と、前記q軸電圧Vqの一定時間における変化量と、を用いて、q軸インダクタンスLqと、d軸インダクタンスLdと、前記永久磁石の有効鎖交磁束φmと、を少なくとも導出するモータパラメータ導出手段と、を有し、前記モータパラメータ導出手段は、q軸インダクタンスLq、d軸インダクタンスLd、永久磁石の有効鎖交磁束φm及び電機子巻線の巻線抵抗Rと、d軸電流Id及びq軸電流Iqと、永久磁石同期モータの角速度ωと、を少なくとも用いてq軸電圧Vqを表現する第1の方程式と、q軸インダクタンスLq、d軸インダクタンスLd、及び電機子巻線の巻線抵抗Rと、d軸電流Id及びq軸電流Iqと、永久磁石同期モータの角速度ωと、を少なくとも用いてd軸電圧Vdを表現する第2の方程式と、前記第1の方程式を、永久磁石同期モータの角速度ω又は時間tで微分した形で表現される第3の方程式と、前記第2の方程式を、永久磁石同期モータの角速度ω又は時間tで微分した形で表現される第4の方程式と、の少なくとも何れか一方と、の少なくとも3つの方程式に基づいて導出される演算式の演算を行って、前記q軸インダクタンスLqと、前記d軸インダクタンスLdと、前記永久磁石の有効鎖交磁束φmと、を少なくとも導出することを特徴とする。
本発明によれば、特殊な条件での測定を行わなくても、永久磁石同期モータのモータパラメータを正確に同定することができる。
永久磁石同期モータの制御装置の構成の一例を示す図である。 d軸電流Id、q軸電流Iq、角速度ω、行列式det(A)の時間変化のシミュレーションの結果の一例を示す図である。 モータパラメータの推定精度の時間変化のシミュレーションの結果の一例を示す図である。 d軸電流Idとq軸電流Iqの動作点とトラジェクトリの一例を示す図である。 小型電動二輪車に適用した場合の永久磁石同期モータの回転数と低トルクの頻度との関係の実験結果の一例を示す図である。
まず、以下に説明する本発明の実施形態に至るまでの過程について説明する。
永久磁石同期モータの電圧方程式は、以下の(1)式及び(2)式で表される。
Figure 0006197655
前述したように、最大トルク制御において最低限同定する必要があるのは、q軸インダクタンスLq、d軸インダクタンスLd及び永久磁石の有効鎖交磁束φmである。また、(1)式及び(2)式には、これらに加えて巻線抵抗Rがある。このように同定すべきモータパラメータの数は「4」であるのに対し、電圧方程式の数は「2」であり、これらの数が一致しない。そこで、本発明者らは、モータパラメータを同定するための方程式の数を、同定すべきモータパラメータの数と同じにする必要があるという着想に至った。
そして、永久磁石同期モータに車両を適用した場合、永久磁石同期モータの状態は、車両の速度が変化し、電流(d軸電流Id、q軸電流Iq)や電圧(d軸電圧Vd、q軸電圧Vq)の変化があるときほど変化しやすいと考えられる。しかしながら、(1)式及び(2)式には、このような電流や電圧の変化の情報を利用していない。そこで、本発明者らは、これらの変動を考慮して、モータパラメータの同定をする必要があるとい着想に至った。
さらに、永久磁石同期モータの電圧(d軸電圧Vd、q軸電圧Vq)には、巻線抵抗Rによる電圧降下(直流成分の電圧降下)だけでなく、電機子巻線(電機子コイル)を貫く磁束の変化(誘導起電力)による電圧降下も含まれる。
この誘導起電力には、電機子巻線(電機子コイル)の自己の電流変化が要因で電機子巻線を貫く磁束が変化することにより発生する誘導起電力と、隣接する電機子コイルや外部磁石からの磁束が要因で電機子巻線を貫く磁束が変化することにより発生する誘導起電力がある。前者(電機子コイルの自己の電流変化が要因で電機子巻線を貫く磁束が変化すること)は一般的に自己誘導と称されるので、ここでは後者(隣接する電機子コイルや外部磁石からの磁束が要因で電機子巻線を貫く磁束が変化すること)を外部誘導と称することとする。
外部誘導により発生する電圧は、磁束の変化が速いほど大きくなるので、永久磁石同期モータの回転速度(すなわち角速度ω)に比例する。そこで、本発明者らは、電圧(d軸電圧Vd、q軸電圧Vq)の角速度ωでの微分値(dVd/dω、dVq/dω)を、モータパラメータを含む項で表現した方程式を用いれば、外部誘導による誘導起電力の変化を捉えることができ、モータパラメータの情報を追加できるという着想に行った。尚、ここでは、機械角速度を単に角速度と称することとする。
以上のことから、本発明者らは、(1)式、(2)式(の各項)を角速度ωで微分した方程式である以下の(3)式、(4)式を導き、(1)式〜(4)式を解くことにより、モータパラメータを同定することができるという着想に至った。
Figure 0006197655
ここで、同定する前述した4つのモータパラメータを4行1列の行列で表したものをパラメータベクトルPとし、(1)式〜(4)式の左辺を4行1列の行列で表したものを変換ベクトルVとする。そうすると、以下の(5a)式〜(5c)式の行列演算式を作成して(5a)式を解くことでパラメータベクトル(モータパラメータ)を同定することができる。
Figure 0006197655
ここで、(5a)式及び(5b)式に示すA-1は、(変換行列Aの)逆行列を示す。
以上のようにしてパラメータベクトル(モータパラメータ)を同定するために、以下に説明する実施形態の永久磁石同期モータの制御装置を構成した。以下に、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
図1は、永久磁石同期モータの制御装置100の構成の一例を示す図である。尚、各図では、説明や表記の都合上、説明に必要な部分のみを必要に応じて簡略化して示す。また、本実施形態では、永久磁石同期モータが三相同期モータである場合を例に挙げて説明する。
図1において、電流センサS1は、永久磁石同期モータMのU相、V相、W相の電機子巻線に流れる電流をそれぞれ個別に測定するためのものである。
回転位置センサS2は、永久磁石同期モータMの回転子の位置を測定し、永久磁石同期モータMの回転子の回転角θや角速度ωを導出する。尚、永久磁石同期モータMの回転子の回転角θや角速度ωの導出は、永久磁石同期モータの制御装置100で行ってもよい。
次に、永久磁石同期モータの制御装置100について説明する。
図1において、AD変換部101は、電流センサS1から、永久磁石同期モータMのU相、V相、W相の電機子巻線に流れる電流の検出値を示すアナログデータを入力し、デジタルデータに変換する回路である。以下では、このデジタルデータをU相電流IU、V相電流IV、W相電流IWと表記する。
3相/2相変換部102は、クラーク(Clarke)変換を行って、U相電流IU、V相電流IV、W相電流IWを2相の電流Iα、Iβに変換する。具体的に3相/2相変換部102は、例えば、以下の(6)式〜(8)式により2相の電流Iα、Iβを導出する。
U+IV+IW=0 ・・・(6)
Iα=IU ・・・(7)
Iβ=(IU+2×IV)÷31/2 ・・・(8)
固定座標変換部103は、固定子の回転位置を検出する回転位置センサS2から、永久磁石同期モータMの回転子の回転角θの情報を入力し、入力した回転角θの情報を用いてパーク(Park)変換を行って、2相の電流Iα、Iβの座標系を固定座標から回転座標へ変換し、q軸電流Iqの検出値とd軸電流Idの検出値とを導出する。具体的に固定座標変換部103は、例えば、以下の(9)式、(10)式により、q軸電流Iqの検出値とd軸電流Idの検出値を導出する。
d=Iα×cosθ+Iβ×sinθ ・・・(9)
q=−Iα×sinθ+Iβ×cosθ ・・・(10)
最大トルク制御部104は、トルクTの指令値と、後述するようにしてパラメータ更新部118で導出された「q軸インダクタンスLq、d軸インダクタンスLd及び永久磁石の有効鎖交磁束φm」と、を入力し、最大トルク制御により、q軸電流Iq及びd軸電流Idの指令値を導出する。具体的に最大トルク制御部104は、例えば、以下の(11)式及び(12)式により、q軸電流Iq及びd軸電流Idの指令値を導出する。
Figure 0006197655
(11)式において、pは極数を表す。尚、(11)式の4次方程式をそのまま計算してもよいが、そのようにすると計算時間が長くなるので、ニュートン法等の最適化手法を用いることにより高速に計算することができる。この場合、製造した永久磁石同期モータから、トルクTとd軸電流Idとの関係を実験的に求めておき、当該関係を示すデータから、d軸電流Idの初期値を定めることができる。尚、ニュートン法による数値解析は公知の技術で実現できるので、ここでは、その詳細な説明を省略する。また、d軸電流Idを計算するための最適化手法は、ニュートン法に限定されるものではなく、公知の種々の最適化手法を採用することができる。
PI制御部105は、最大トルク制御部104で導出されたq軸電流Iqの指令値から、固定座標変換部103で導出されたq軸電流Iqの検出値を減算してq軸電流Iqの偏差を導出する。そして、PI制御部105は、PI制御を行って、q軸電流Iqの偏差を打ち消すq軸電圧Vqを導出する。
同様に、PI制御部105は、最大トルク制御部104で導出されたd軸電流Idの指令値から、後述するようにして固定座標変換部103で導出されたd軸電流Idの検出値を減算してd軸電流Idの偏差を導出する。そして、PI制御部105は、PI制御を行って、d軸電流Idの偏差を打ち消すd軸電圧Vdを導出する。
回転座標変換部106は、回転位置センサS2から、永久磁石同期モータMの回転子の回転角θの情報を入力し、入力した回転角θの情報を用いて逆パーク(Park)変換を行って、PI制御部105で導出されたq軸電圧Vq及びd軸電圧Vdの座標系を回転座標から固定座標へ変換し、2相の電圧Vα、Vβを導出する。具体的に回転座標変換部106は、例えば、以下の(13)式、(14)式により、2相の電圧Vα、Vβを導出する。
Vα=Vd×cosθ+Vq×sinθ ・・・(13)
Vβ=Vd×sinθ+Vq×cosθ ・・・(14)
2相/3相変換部107は、空間ベクトル変換等を行って、2相の電圧Vα、Vβを、3相の電圧に変換する。この電圧が、U相電圧VUの操作量、V相電圧VVの操作量、W相電圧VWの操作量になる。
3相/2相変換部102、固定座標変換部103、最大トルク制御部104、PI制御部105、回転座標変換部106、及び2相/3相変換部107のハードウェアは、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD、及び各種のインターフェースを備えたコンピュータや専用のハードウェアにより実現できる。
モータドライバ108は、例えばパルス幅変調(PWM;Pulse Width Modulation)を行うインバータ回路を備え、U相電圧VUの操作量、V相電圧VVの操作量、W相電圧VWの操作量に基づいて、永久磁石同期モータMのU相、V相、W相の電機子巻線に印加する電圧をそれぞれ導出し、各電機子巻線に当該電圧を出力する。この電圧が、U相電圧VU、V相電圧VV、W相電圧VWになる。
次に、永久磁石同期モータの制御装置100において、モータパラメータを同定するための構成の一例を説明する。モータパラメータを同定するためのハードウェアは、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD、及び各種のインターフェースを備えたコンピュータや専用のハードウェアにより実現できる。
角速度変化導出部109は、回転位置センサS2から、永久磁石同期モータMの回転子の角速度ωの情報を(一定の周期で)継続的に入力する。角速度変化導出部109は、今回入力した永久磁石同期モータMの回転子の角速度ωから、一定時間Δt前に入力した永久磁石同期モータMの回転子の角速度ωを減算した値を、角速度変化量Δωとして導出する。一定時間Δtは、計算周期である。本実施形態では、永久磁石同期モータMの回転周期を上回る時間(永久磁石同期モータMの回転周期の整数倍程度)が計算周期として適宜設定される。
角速度条件判定部110は、角速度変化導出部109で導出された角速度変化量Δωに基づいて、モデルパラメータを更新する条件を満たしているか否かを判定する。
本実施形態では、角速度条件判定部110は、まず、角速度変化量Δωが「ゼロ」でないか否かを判定する。この判定の結果、角速度変化量Δωが「ゼロ」である場合、角速度条件判定部110は、モデルパラメータを更新する条件を満たしていないと判定する。この場合には、モデルパラメータの更新を行わない。角速度変化量Δωが「ゼロ」である場合には、(5a)〜(5c)を解くことができないからである。
一方、角速度変化量Δωが「ゼロ」でない場合、角速度条件判定部110は、角速度変化量Δωの絶対値|Δω|が所定値を上回るか否かを判定する。この判定の結果、角速度変化量の絶対値|Δω|が所定値を上回らない場合には、モデルパラメータを更新する条件を満たしていないと判定する。このような場合には、モデルパラメータを更新してもモデルパラメータの精度が向上しない虞があるからである。
電圧変化導出部111は、PI制御部105で導出されたq軸電圧Vq及びd軸電圧Vdを(一定の周期で)継続的に入力する。電圧変化導出部111は、今回入力したq軸電圧Vqから、一定時間Δt前に入力したq軸電圧Vqを減算した値を、q軸電圧変化量ΔVqとして導出する。同様に、電圧変化導出部111は、今回入力したd軸電圧Vdから、一定時間Δt前に入力したd軸電圧Vdを減算した値を、d軸電圧変化量ΔVdとして導出する。
電流変化導出部112は、最大トルク制御部104で導出されたq軸電流Iq及びd軸電流Idを(一定の周期で)継続的に入力する。電流変化導出部112は、今回入力したq軸電流Iqから、一定時間Δt前に入力したq軸電流Iqを減算した値を、q軸電流変化量ΔIqとして導出する。同様に、電流変化導出部112は、今回入力したd軸電流Idから、一定時間Δt前に入力したd軸電流Idを減算した値を、d軸電流変化量ΔIdとして導出する。
変換行列導出部113は、角速度条件判定部110により、角速度変化量の絶対値|Δω|が所定値を上回ると判定されると起動する。
変換行列導出部113は、回転位置センサS2で検出された「永久磁石同期モータMの回転子の角速度ω」と、最大トルク制御部104で導出された「q軸電流Iq及びd軸電流Idの指令値」と、角速度変化導出部109により導出された「角速度変化量Δω」と、電流変化導出部112により導出された「q軸電流変化量ΔIq及びd軸電流変化量ΔId」と、を(5b)式の各行、各列に当て嵌めて、変換行列Aを導出する。
行列式条件判定部114は、変換行列導出部113により導出された変換行列Aの行列式の絶対値|det(A)|を導出し、導出した行列式の絶対値|det(A)|が所定値を上回るか否かを判定する。この判定の結果、行列式の絶対値|det(A)|が所定値を上回らない場合には、モデルパラメータを更新する条件を満たしていないと判定する。このような場合には、モデルパラメータを更新してもモデルパラメータの精度が向上しない虞があるからである。
電流条件判定部115は、行列式条件判定部114により、行列式の絶対値|det(A)|が所定値を上回らないと判定されると起動する。
一方、行列式の絶対値|det(A)|が所定値を上回る場合、電流条件判定部115は、最大トルク制御部104で導出されたq軸電流Iq及びd軸電流Idの時間変化が線形変化であるか否か(q軸電流Iq及びd軸電流Idが時間に対し直線的に変化しているか否か)を判定する。例えば、それぞれが同一時間からなる複数の期間であって、連続する複数の期間におけるq軸電流Iq及びd軸電流Idの変化量が所定の範囲内にあるか否かを判定することにより、q軸電流Iq及びd軸電流Idの時間変化が線形変化であるか否かを判定することができる。前記所定の範囲内としては、例えば「ゼロ」を採用したり、−X〜+X(Xは正数)の範囲を採用したりすることができる。この他、q軸電流Iq及びd軸電流Id(の時間関数)の2階微分の値が所定の範囲(「ゼロ」や、−X〜+X(Xは正数))内である場合に、q軸電流Iq及びd軸電流Idの時間変化が線形変化であると判定することができる。
この判定の結果、q軸電流Iq及びd軸電流Idの時間変化が線形変化でない場合には、モデルパラメータを更新する条件を満たしていないと判定する。このような場合には、モデルパラメータを更新してもモデルパラメータの精度が向上しない虞があるからである。
一方、q軸電流Iq及びd軸電流Idの時間変化が線形変化である場合、電流条件判定部115は、モデルパラメータを更新する条件を満たしていると判断する。すなわち、モデルパラメータを更新するとモデルパラメータの精度が向上する可能性が高い時期であると判断する。
尚、電流条件判定部115による判定を行ってから、行列式条件判定部114による判定を行うようにしてもよい。
逆行列導出部116は、電流条件判定部115により、q軸電流Iq及びd軸電流Idの時間変化が線形変化であると判定された場合に起動する。
逆行列導出部116は、変換行列導出部113により導出された変換行列Aの逆行列A-1を導出する((5b)式を参照)。この場合、q軸電流Iq及びd軸電流Idの時間変化が線形変化となるので、(3)式及び(4)式において2階微分の項((3)式の右辺の第2項(=d2q/dt2・dt/dω)と(4)式の右辺の第3項(=d2d/dt2・dt/dω))は「ゼロ」となる。すなわち、(5b)式の3行1列と4行2列とが「ゼロ」になる。
変換ベクトル導出部117は、逆行列導出部116により逆行列A-1が導出されると起動する。
変換ベクトル導出部117は、PI制御部105により導出された「q軸電圧Vq及びd軸電圧Vd」と、電圧変化導出部111により導出された「q軸電圧変化量ΔVq及びd軸電圧変化量ΔVd」と、電流変化導出部112により算出された「q軸電流変化量ΔIq及びd軸電流変化量ΔId」とを、(5c)式の各列に当て嵌めて、変換ベクトルVを導出する。
パラメータ更新部118は、逆行列導出部116により算出された逆行列A-1と、変換ベクトル導出部117により算出された変換ベクトルVと、に基づいて(5a)式の「q軸インダクタンスLq、d軸インダクタンスLd、永久磁石の有効鎖交磁束φm及び巻線抵抗R」をモータパラメータとして導出する。そして、パラメータ更新部118は、導出したモータパラメータのうち、q軸インダクタンスLq、d軸インダクタンスLd、及び永久磁石の有効鎖交磁束φmを最大トルク制御部104に出力する。前述したように、最大トルク制御部104は、このようにして更新されたモータパラメータ(q軸インダクタンスLq、d軸インダクタンスLd、及び永久磁石の有効鎖交磁束φm)を用いて最大トルク制御により、q軸電流Iq及びd軸電流Idの指令値を導出する。また、前述したように、モータパラメータの導出の際には、ニュートン法等の最適化手法を用いることができる。
ここで、角速度変化量の絶対値|Δω|、行列式の絶対値|det(A)|、及びq軸電流Iq及びd軸電流Idの時間変化を用いてモータパラメータを更新しているのは、本発明者らが行ったシミュレーションの結果、これらが前述した条件を満たしている場合に、モータパラメータの推定精度が向上したからである。
図2は、図3は、永久磁石同期モータMの回転動作のシミュレーションを行って、本実施形態の手法でモータパラメータを同定した結果の一例を示す図である。
図2(a)は、d軸電流Idの時間変化を示す図であり、図2(b)は、q軸電流Iqの時間変化を示す図であり、図2(c)は、角速度ωの時間変化を示す図であり、図2(d)は、変換行列Aの行列式det(A)の時間変化を示す図である。また、図3は、モータパラメータの推定精度の時間変化を示す図である。
ここでは、以下の(15)式〜(17)式に、各パラメータの設定値を与えて永久磁石同期モータのモデルを作成し、当該モデルを用いて、前述した手法によりモータパラメータの同定を行うシミュレーションを行った。
Figure 0006197655
(15)式においてDは、永久磁石同期モータMの回転減衰(ダンパ)係数であり、Jは、永久磁石同期モータMのイナーシャである。ωeは、電気角速度である。
そして、各時刻におけるd軸電流Id、q軸電流Iq、角速度ω、行列式det(A)をグラフで示したものが、それぞれ、図2(a)、図2(b)、図2(c)、図2(d)である。また、モータパラメータの同定値の、設定値に対する誤差率を、モータパラメータの推定精度とし、このモータパラメータの推定精度の時間変化をグラフで示したものが図3である。
図2(a)においてd軸電流Idが負の極大から変化する前後付近の期間において、図3に示すモータパラメータの推定精度が高い(1%以下になる)ことが分かった。
この理由として、まず、図2(b)に示すように、この期間において、q軸電流Iqが線形変化(直線的に変化)している(図2(b)の破線を参照)ことが挙げられる。また、永久磁石同期モータMの回転の慣性のため、電流を減らしても、角速度ωの時間変化が大きいことが挙げられる(図2(c)の破線を参照)。
そこで、本実施形態では、q軸電流Iq及びd軸電流Idの時間変化が線形変化であることと、角速度変化量Δωの絶対値|Δω|が所定値を上回ることと、を、モータパラメータを更新するための条件とした。例えば、角速度変化量Δωの絶対値|Δω|が20rad/sを上回ることを、モータパラメータを更新するための条件とすることができる。
また、図2(d)に示すように、変換行列Aの行列式の絶対値|det(A)|が大きい期間において、モータパラメータの推定精度が高い。
そこで、本実施形態では、変換行列Aの行列式の絶対値|det(A)|が所定値を上回ることを、モータパラメータを更新するための条件とした。例えば、変換行列Aの行列式の絶対値|det(A)|が1000を上回ることを、モータパラメータを更新するための条件とすることができる。
尚、図2(a)では、d軸電流Idの時間変化が線形変化である場合を例に挙げて説明したが、d軸電流Idの時間変化は線形変化にならない場合もある。トルクTの指令値に対して、(11)式を満たすd軸電流Idの時間変化は線形変化するとは限らないからである。
以上のように本実施形態では、q軸インダクタンスLq、d軸インダクタンスLd、永久磁石の有効鎖交磁束φm及び巻線抵抗Rと、d軸電流Id、q軸電流Iqと、角速度ωと、を用いてq軸電圧Vqを表現する方程式と、q軸インダクタンスLq、d軸インダクタンスLd、及び巻線抵抗Rと、d軸電流Id、q軸電流Iqと、角速度ωと、を用いてとd軸電圧Vdを表現する電圧方程式と、これら2つの電圧方程式(の各項)を角速度ωで微分した方程式と、の4つの方程式に基づく演算を行って、q軸インダクタンスLq、d軸インダクタンスLd、永久磁石の有効鎖交磁束φm及び巻線抵抗Rを導出する。したがって、特殊な条件での測定を行わなくても、永久磁石同期モータのモータパラメータを正確に同定することができる。特に、小型電動二輪車の駆動用モータのように、高速回転を行う頻度が高い永久磁石同期モータMに対して有効となるモータパラメータの同定方法を提供することができる。この他、船外機の駆動用モータに適用しても好適である。
本実施形態の手法では、同定するモータパラメータの数と方程式の数とが共に4つであるので、モータパラメータの全てを同時に且つ高精度に同定することができる。また、永久磁石同期モータMの回転周期を上回る周期で、d軸電流Id、q軸電流Iqと、角速度ωを得るので、ノイズ等の影響を小さくし、安定した微分値を得ることができる。また、q軸電圧Vqとd軸電圧Vdとの微分を取り入れることで、永久磁石同期モータMを車両に適用した場合に、車速が変動した際の永久磁石同期モータMの状態を考慮することができ、モータパラメータの変動が最も起こりやすい走行時におけるモータパラメータの同定精度を向上させることができる。
これに対し、電圧方程式のみを用いた場合には、巻線抵抗Rや永久磁石の有効鎖交磁束φm等、複数のモータパラメータの仮定をしなければならず、モータパラメータの同定精度を向上させることが容易でない。さらに、方程式の数が不足しているため、前述した4つのモータパラメータを同時に同定することができない。また、永久磁石同期モータMを車両に適用した場合、q軸電圧Vqとd軸電圧Vdの時間変化を考慮しないので、永久磁石同期モータMの状態を正確に反映したモータパラメータの同定をすることが容易ではない。
(変形例1)
角速度変化量Δωの絶対値|Δω|が所定値を上回るか否かの判定と、変換行列Aの行列式の絶対値|det(A)|が所定値を上回るか否かの判定と、q軸電流Iq及びd軸電流Idの時間変化が線形変化であるか否かの判定との全てを行えば、モータパラメータの同定精度が向上することがより確実なタイミングでモータパラメータの同定することができるので好ましいが、これらの判定のうちの少なくとも1つを行わなくてもよい。
(変形例2)
本実施形態では、演算量を少なくするために、(3)式及び(4)式において2階微分の項((3)式の右辺の第2項(=d2q/dt2・dt/dω)と(4)式の右辺の第3項(=d2d/dt2・dt/dω))を「ゼロ」とした。すなわち、(5b)式の3行1列と4行2列とを「ゼロ」とした。しかしながら、必ずしもこのようにする必要はない。q軸電流Iq及びd軸電流Idの時間変化が線形変化でない場合であっても、(5a)式の「q軸インダクタンスLq、d軸インダクタンスLd、永久磁石の有効鎖交磁束φm及び巻線抵抗R」をモータパラメータとして更新してもよい。
(変形例3)
最大トルク制御においては、巻線抵抗Rを使用しないので、巻線抵抗Rについては、本実施形態とは別の手法(推定や測定)によって導出してもよい。この場合には、以下の(18)式のように3つの方程式で3つのモータパラメータ(q軸インダクタンスLq、d軸インダクタンスLd、及び永久磁石の有効鎖交磁束φm)を導出することになる。尚(18)式は、(1)式〜(3)式から得られるものであり、(3)式において2階微分の項((3)式の右辺の第2項(=d2q/dt2・dt/dω))を「ゼロ」とした場合の表記をしている(変形例2を参照)。
Figure 0006197655
同様に、(1)式、(2)式、及び(4)式から、3つの方程式で3つのモータパラメータ(q軸インダクタンスLq、d軸インダクタンスLd、及び永久磁石の有効鎖交磁束φm)を導出するようにしてもよい。この場合も、以下の(19)式のように3つの方程式で3つのモータパラメータ(q軸インダクタンスLq、d軸インダクタンスLd、及び永久磁石の有効鎖交磁束φm)を導出することになる。尚(19)式は、(4)式において2階微分の項((4)式の右辺の第3項(=d2d/dt2・dt/dω))を「ゼロ」とした場合の表記をしている(変形例2を参照)。
Figure 0006197655
(変形例4)
(5a)式、(5b)式の代わりに、以下の(20a)式、(20b)式を採用してもよい。すなわち、(3)式、(4)式の代わりに、(1)式、(2)式の各項を角速度ωではなく時間tで微分した方程式を採用してもよい。この場合には、変換行列導出部113が、(5b)式ではなく、(20a)式の各行、各列の値を導出して、変換行列Aを導出することになる。尚、(20a)式では、(3)式及び(4)式において2階微分の項((3)式の右辺の第2項(=d2q/dt2・dt/dω)と(4)式の右辺の第3項(=d2d/dt2・dt/dω))を「ゼロ」とした場合の表記をしている(変形例2を参照)。
Figure 0006197655
本変形例のようにしても、本実施形態と同様の効果が得られる。同定するモータパラメータの数と方程式の数とが共に4つであるので、モータパラメータの全てを同時に且つ高精度に同定することができる。また、q軸電圧Vqとd軸電圧Vdとの微分を取り入れることで、永久磁石同期モータMを車両に適用した場合、車速が変動した際の永久磁石同期モータMの状態を考慮することができ、モータパラメータの変動が最も起こりやすい走行時におけるモータパラメータの同定精度を向上させることができる。また、q軸電圧Vq、d軸電圧Vd、d軸電流Id、q軸電流Iq、角速度ωにはノイズや各種変動が重畳しているので、永久磁石同期モータMの回転周期を上回る時間(永久磁石同期モータMの回転周期の整数倍程度)に一定時間Δtを設定すれば、このようなノイズや各種変動をキャンセルすることができる。
(変形例5)
ベクトル制御の方法は、前述した方法に限定されない。例えば、特許文献1の手法を用いてもよい。また、モータパラメータは、必ずしも最大トルク制御において使用しなくてもよい。例えば、d軸電流Id、q軸電流Iqの指令値から(1)式、(2)式によりq軸電圧Vq、d軸電圧Vdを導出する場合には、(1)式、(2)式に、更新後のモータパラメータを与えるようにしてもよい。
尚、前述した実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
(請求項との関係)
電圧導出手段は、例えば、PI制御部105を用いることにより実現される(変形例5も参照)。
角速度変化量導出手段は、例えば、角速度変化量導出部109を用いることにより実現される。
電流変化量導出手段は、例えば、電流変化導出部112を用いることにより実現される。
電圧変化量導出手段は、例えば、電圧変化量導出部111を用いることにより実現される。
モータパラメータ導出手段は、例えば、逆行列導出部116、変換ベクトル導出部117、及びパラメータ更新部118を用いることにより実現される。
ここで、第1の方程式は例えば(1)式、第2の方程式は例えば(2)式、第3の方程式は例えば(3)式、第4の方程式は例えば(4)式により実現される(変形例2〜4も参照)。
行列式条件判定手段は、例えば、行列式条件判定部114を用いることにより実現される。
角速度条件判定手段は、例えば、角速度条件判定部110を用いることにより実現される。
電流条件判定手段は、例えば、電流条件判定部115を用いることにより実現される。
電流導出手段は、例えば、最大トルク制御部104を用いることにより実現される(変形例5も参照)。
100;永久磁石同期モータの制御装置、104;最大トルク制御部、109;角速度変化導出部、110;角速度条件判定部、111;電圧変化導出部、112;電流変化導出部、113;変換行列導出部、114;行列式条件判定部、115;電流条件判定部、116;逆行列導出部、117;変換ベクトル導出部、118;パラメータ更新部

Claims (6)

  1. 永久磁石同期モータのモータパラメータを同定する永久磁石同期モータの制御装置であって、
    q軸電流Iq及びd軸電流Idの指令値に応じた、q軸電圧Vq及びd軸電圧Vdを導出する電圧導出手段と、
    前記永久磁石同期モータの角速度ωの一定時間における変化量を導出する角速度変化量導出手段と、
    前記q軸電流Iqの一定時間における変化量と、前記d軸電流Idの一定時間における変化量と、を導出する電流変化量導出手段と、
    前記q軸電圧Vqの一定時間における変化量と、前記d軸電圧Vdの一定時間における変化量との少なくとも何れか一方を導出する電圧変化量導出手段と、
    前記永久磁石同期モータの角速度ωの一定時間における変化量と、前記q軸電流Iqの一定時間における変化量と、前記d軸電流Idの一定時間における変化量と、前記q軸電圧Vqの一定時間における変化量と、を用いて、q軸インダクタンスLqと、d軸インダクタンスLdと、前記永久磁石の有効鎖交磁束φmと、を少なくとも導出するモータパラメータ導出手段と、を有し、
    前記モータパラメータ導出手段は、
    q軸インダクタンスLq、d軸インダクタンスLd、永久磁石の有効鎖交磁束φm及び電機子巻線の巻線抵抗Rと、d軸電流Id及びq軸電流Iqと、永久磁石同期モータの角速度ωと、を少なくとも用いてq軸電圧Vqを表現する第1の方程式と、
    q軸インダクタンスLq、d軸インダクタンスLd、及び電機子巻線の巻線抵抗Rと、d軸電流Id及びq軸電流Iqと、永久磁石同期モータの角速度ωと、を少なくとも用いてd軸電圧Vdを表現する第2の方程式と、
    前記第1の方程式を、永久磁石同期モータの角速度ω又は時間tで微分した形で表現される第3の方程式と、前記第2の方程式を、永久磁石同期モータの角速度ω又は時間tで微分した形で表現される第4の方程式と、の少なくとも何れか一方と、
    の少なくとも3つの方程式に基づいて導出される演算式の演算を行って、前記q軸インダクタンスLqと、前記d軸インダクタンスLdと、前記永久磁石の有効鎖交磁束φmと、を少なくとも導出することを特徴とする永久磁石同期モータの制御装置。
  2. 前記電圧変化量導出手段は、
    前記q軸電圧Vqの一定時間における変化量と、前記d軸電圧Vdの一定時間における変化量とを導出し、
    前記モータパラメータ導出手段は、
    前記第1の方程式と、前記第2の方程式と、前記第3の方程式と、前記第4の方程式と、の4つの方程式に基づいて導出される演算式の演算を行って、前記q軸インダクタンスLqと、前記d軸インダクタンスLdと、前記永久磁石の有効鎖交磁束φmと、前記電機子巻線の巻線抵抗Rと、を導出することを特徴とする請求項1に記載の永久磁石同期モータの制御装置。
  3. 前記モータパラメータ導出手段による導出を行うか否かを判定する行列式条件判定手段を更に有し、
    前記モータパラメータ導出手段は、
    以下の(A)式、(B)式、及び(C)式に基づいて、前記q軸インダクタンスLq、前記d軸インダクタンスLd、前記永久磁石の有効鎖交磁束φm、及び前記電機子巻線の巻線抵抗Rを導出し、
    前記行列式条件判定手段は、
    前記(B)式の行列Aの行列式の絶対値|det(A)|が所定値を上回らない場合に、前記モータパラメータ導出手段による導出を行わないと判定することを特徴とする請求項2に記載の永久磁石同期モータの制御装置。
    Figure 0006197655
  4. 前記永久磁石同期モータの角速度の一定時間における変化量に基づいて、前記モータパラメータ導出手段による導出を行うか否かを判定する角速度条件判定手段を更に有し、
    前記角速度条件判定手段は、
    前記永久磁石同期モータの角速度の一定時間における変化量がゼロである場合と、前記永久磁石同期モータの角速度ωの一定時間における変化量の絶対値が所定値を上回らない場合に、前記モータパラメータ導出手段による導出を行わないと判定することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の永久磁石同期モータの制御装置。
  5. 前記q軸電流Iqの時間変化と前記d軸電流Idの時間変化に基づいて前記モータパラメータ導出手段による導出を行うか否かを判定する電流条件判定手段を更に有し、
    前記電流条件判定手段は、前記q軸電流Iqの時間変化と、前記d軸電流Idの時間変化が、ともに線形変化でない場合に、前記モータパラメータ導出手段による導出を行わないと判定することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の永久磁石同期モータの制御装置。
  6. q軸インダクタンスLqとd軸インダクタンスLdと永久磁石の有効鎖交磁束φmとを用いて、トルク指令に応じたq軸電流Iq及びd軸電流Idの指令値を最大トルク制御に従って導出する電流導出手段を更に有し、
    前記電圧導出手段は、
    前記電流導出手段により導出された、前記q軸電流Iq及び前記d軸電流Idに応じた、q軸電圧Vq及びd軸電圧Vdを導出し、
    前記電流導出手段は、
    前記モータパラメータ導出手段により導出された前記q軸インダクタンスLq、前記d軸インダクタンスLd、及び前記永久磁石の有効鎖交磁束φmを用いて、トルク指令に応じたq軸電流Iq及びd軸電流Idの指令値を最大トルク制御に従って導出することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の永久磁石同期モータの制御装置。
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