JP2008182881A - 同期モータの制御装置 - Google Patents

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哲也 松山
Keizo Matsui
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Abstract

【課題】モータ定数を迅速かつ高精度に同定する機能を有した同期モータの制御装置を提供する。
【解決手段】同期モータの回転子を所定位置に引き込むとともに、d軸の電流指令として直流電流指令id*を設定し、q軸の電流指令iq*をゼロに設定する。直流電流指令id*と検出電流idとの偏差にモータ定数を同定するための同定信号idM*を重畳する。q軸についても同様に、電流指令iq*と検出電流iqとの偏差に同定信号iqM*を重畳する。同定信号idM*,iqM*が重畳された形の電流指令を電流制御手段に与える。電流制御手段の出力である電圧指令Vd*,Vq*に基づく電圧情報と、検出電流id,iqに基づく電流情報と、回転子の静止位置に基づく位置情報とを用い、同期モータと当該制御装置を含む系のモデルに含まれるパラメータを逐次推定し、推定されたパラメータからモータ定数を求める。
【選択図】図1

Description

本発明は、同期モータの制御装置に関し、特に、モータ定数の自動計測技術に関する。
同期モータは、回転子の位置に応じて適切に電流をベクトル制御することにより、制御性および効率を向上させることができる。ベクトル制御を行うには、インダクタンスや電機子抵抗のようなモータ定数が必要である。一般に、同期モータのモータ定数には設計値が使用されるが、実際値と設計値との間には誤差がある。こうした誤差は、トルク制御精度や応答性に大きく影響する。モータ定数の誤差の問題は、エアコンや冷蔵庫等の圧縮機の駆動に用いられる同期モータのように、構造上位置センサを取り付けることが困難な同期モータの制御、すなわち、センサレス制御を行う場合に特に顕著となる。したがって、同期モータのモータ定数を停止時に同定し、同定したモータ定数を制御に利用する技術が提案されている。
上記提案の一例として、特許文献1に示すようなモータ定数同定方法がある。特許文献1には、以下のような方法が開示されている。
1つめの方法では、まず、モータを停止状態とし、d軸(q軸)電流指令としてステップ指令を電流コントローラに入力する。電流コントローラは、ステップ指令とd軸(q軸)電流検出値の偏差に対応したd軸(q軸)電圧指令を作成する。次に、d軸(q軸)電圧指令から一次抵抗での電圧ドロップ分を減算して得られる電圧値を、決められた時間積分する。得られた電圧積分値を、vd_sum(vq_sum)とする。さらに、積分開始時の電流検出値に対する積分終了時の電流検出値の変化量をΔid(Δiq)とする。そして、Δid,Δiqとvd_sum,vq_sumとから、d軸とq軸のインダクタンス比((vq_sum/vd_sum)・(Δid/Δiq))を求める。求めたインダクタンス比に既知のd軸インダクタンスLdを乗じ、q軸インダクタンスLqを求める。
2つめの方法では、まず、電流コントローラに適当なd軸電流指令を与えて回転子を一定の位相に引き込んで停止させ、予め設定された周波数および振幅を持つ交流をq軸電流指令として電流コントローラに入力する。定常状態となるまで待機後、電流コントローラが作成するq軸電圧指令の振幅とq軸電流検出値の振幅とからq軸インピーダンスを求める。q軸インピーダンスと既知の一次抵抗Rとからリアクタンス成分を求め、これをq軸電流指令の角周波数で除してq軸インダクタンスLqを求める。
また、上記提案の他の例として、非特許文献1に示すような方法がある。非特許文献1に開示されている方法では、周波数応答を利用する。まず、正弦波d軸(q軸)電圧指令を各軸に印加し、その際に電機子巻線に流れるd軸(q軸)電流を検出する。次に、検出されたd軸(q軸)の正弦波電流を簡易フーリエ変換する。さらに、簡易フーリエ変換によって得た電流情報をフィルタリングして直流成分を取り出す。そして、取り出した直流成分から、一次抵抗とインダクタンスとを求める。また、回路の並列、直列の換算関係を利用することで、両軸のインダクタンスLd,Lqを求めることができる。
特開2001−352800号公報 李、岩路、遠藤、能登原:「永久磁石同期モータのインダクタンス・オートチューニング」平成17年電気学会産業応用部門大会予稿、2005.8.1-105
ただし、特許文献1に開示されている方法の1つめは、d軸インダクタンスが既知であることが前提になっており、使い勝手が悪い。特許文献1に開示されている方法の2つめも、d軸インダクタンスおよびq軸インダクタンスの同定を同時に行うことへの言及はないうえ、交流のq軸電流指令を電流コントローラに入力後、定常状態となるまで待機することが必要であり(同文献の例では2秒)、短時間での同定完了が期待できない。
また、非特許文献1に開示されている方法は、得られた正弦波電流に対して、簡易フーリエ変換後、LPF(ローパスフィルタ)によりフィルタリングする必要があるため、同定に比較的長時間を必要とする。同文献の実験結果によれば、同定開始から両軸の同定完了までに2秒以上必要であり、同定開始時における回転子の位置決め時間を合わせると、およそ3秒が必要となる。また、q軸電流が大きくなるとそれに応じて大きな回転トルクが発生し、そのトルク発生による回転子の振動や位置ずれによって、モータ定数の同定精度が低下するという問題もある。
そこで、本発明は、d軸およびq軸に関するモータ定数を迅速かつ高精度に同定する機能を有した同期モータの制御装置を提供することを課題とする。
すなわち、本発明は、
電流指令に検出電流が追従するように、電流指令と検出電流との偏差に対応した電圧指令を演算し、出力する電流制御手段と、
電圧指令を反映した3相交流電圧が与えられる同期モータの相電流を検出する電流検出部と、
電流検出部によって検出された相電流をd−q回転座標上の検出電流id,iqに変換する2軸電流変換手段と、
同期モータのモータ定数を同定するための手段であって、(A)モータ定数を同定する処理の開始に応じて、同期モータの回転子を所定位置に引き込むとともに、d軸に所定の直流電流指令id*を設定し、q軸の電流指令iq*をゼロに設定し、上記処理の実行期間中はそれらの電流指令id*,iq*を保持する手段と、(B)直流電流指令id*または直流電流指令id*と検出電流idとの偏差にモータ定数を同定するためのd軸同定信号idM*を重畳し、電流指令iq*または電流指令iq*と検出電流iqとの偏差にq軸同定信号iqM*を重畳するとともに、それら同定信号idM*,iqM*が重畳された電流指令を電流制御手段に与える手段と、(C)電流制御手段の出力である電圧指令Vd*,Vq*に基づく電圧情報と、検出電流id,iqに基づく電流情報と、回転子の静止位置に基づく位置情報とを用いて、同期モータと当該制御装置を含む系のモデルに含まれるパラメータを逐次推定し、推定されたパラメータからd軸およびq軸に関するモータ定数を求める手段と、を含む同定手段と、
を備えた、同期モータの制御装置を提供する。
他の側面において、本発明は、
同期モータの相電流を検出する電流検出部と、
電流検出部によって検出された相電流をd−q回転座標上の検出電流id,iqに変換する2軸電流変換手段と、
同期モータのモータ定数を同定するための手段であって、(a)モータ定数を同定する処理の開始に応じて、同期モータの回転子を所定位置に固定するために、d軸に所定の直流電圧指令Vd*を設定し、q軸の電圧指令Vq*をゼロに設定し、上記処理の実行期間中はそれらの電圧指令Vd*,Vq*を保持する手段と、(b)直流電圧指令Vd*にモータ定数を同定するためのd軸同定信号VdM*を重畳し、電圧指令Vd**として出力し、電圧指令Vq*にモータ定数を同定するためのq軸同定信号VqM*を重畳し、電圧指令Vq**として出力する電圧指令出力手段と、(c)電圧指令出力手段の出力である電圧指令Vd**,Vq**に基づく電圧情報と、検出電流id,iqに基づく電流情報と、回転子の静止位置に基づく位置情報とを用いて、同期モータと当該制御装置を含む系のモデルに含まれるパラメータを逐次推定し、推定されたパラメータからd軸およびq軸に関するモータ定数を求める手段と、を含む同定手段と、
を備えた、同期モータの制御装置を提供する。
上記本発明によれば、同期モータの停止時において、d軸とq軸の両軸に同定信号を重畳し、電圧・電流情報と回転子の位置情報とを用いてパラメータ推定値を逐次求め、パラメータ推定値からd軸およびq軸に関するモータ定数を求める。d軸およびq軸に関するモータ定数を逐次同定する手法によれば、d軸に関するモータ定数とq軸に関するモータ定数とを順番に同定する場合に比して、効率的かつ迅速な同定が可能である。さらに、d軸に直流電流を流しつつq軸の同定信号を与えるので、q軸の同定信号によって発生する回転成分に起因する振動を小さくすることができ、ひいてはモータ定数を高精度に同定することが可能となる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、本実施形態にかかる同期モータの制御装置の構成図である。図1に示すように、同期モータの制御装置100は、駆動手段104、2個の電流センサ105a,105b(電流検出部)、2軸電流変換手段106、回転子位置・回転数推定手段107、正弦波電圧出力手段109、電流制御手段110、電流指令作成手段111、回転数制御手段112および同定手段103を備えている。
駆動手段104は、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)やIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)のようなスイッチング素子を用いた3相スイッチング回路でありうる。上述した他の手段は、DSP(Distal Signal Processor)またはマイクロコンピュータにおいて実行される制御アプリケーションによって提供されうる。DSPまたはマイクロコンピュータは、コア、メモリ、A/D変換回路および通信ポートのような周辺装置を含んでいてもよい。もちろん、上述した他の手段の一部が論理回路によって構成されていてもよい。
制御対象の同期モータ102は、例えば、永久磁石同期モータである。本実施形態では、特に、埋込磁石同期モータ(IPMSM:Interior Permanent Magnet Synchronous Motor)を想定している。埋込磁石同期モータは、d軸インダクタンスLdとq軸インダクタンスLqとが相違する突極性(一般には、Lq>Ldの逆突極性)を有し、マグネットトルクに加えてリラクタンストルクも利用できるので、極めて高い駆動効率を達成できる。
なお、本実施形態では、ホール素子やレゾルバのような位置センサを使用することなく回転子の位置を推定し、同期モータ102の制御を行う、いわゆるセンサレス制御を想定している。センサレス制御の分野においては、制御装置100が認識する同期モータ102のd軸をγ軸、q軸をδ軸と表記することが一般的であるが、本明細書においては、dq表記とγδ表記を区別せずに用いることとする。
同期モータ102の駆動時における制御装置100の動作の概要を説明する。図1に示すように、外部より与えられる目標回転数ω*の情報に基づいて、回転数制御手段112により電流指令I*(トルク指令)が作成され、電流指令作成手段111によりdq軸における電流指令id*,iq*が作成される。電流センサ105a,105bによって得られた相電流iu,ivは、2軸電流変換手段106によりdq座標上の検出電流id,iqに変換される。検出電流id,iqと、電流指令id*,iq*との偏差に基づき、電流制御手段110は、電圧指令Vd*,Vq*を作成する。電圧指令Vd*,Vq*に基づき、正弦波電圧出力手段109が出力デューティを決定し、駆動手段104が出力デューティに基づいた3相交流電圧を同期モータ102に出力する。このようにして、同期モータ102は、実回転数ωが目標回転数ω*に追従するように制御が行われる。
図2は、図1に示す同期モータの制御装置100の駆動手段104の構成図である。この駆動手段104は、スイッチング素子113a,113b,113c,113d,113e,113fおよび還流ダイオード114a,114b,114c,114d,114e,114fが対になった変換回路、ベースドライバ116、平滑コンデンサ117および直流電源118を含む。同期モータ102への給電は、スイッチング素子113a〜113fを介して、直流電源118から行われる。直流電源118は、例えば、ダイオードブリッジなどによって整流された出力に相当する。正弦波電圧出力手段109によって作成されたスイッチングパターン信号(出力デューティ)は、ベースドライバ116によってスイッチング素子113a〜113fを電気的に駆動するためのドライブ信号に変換され、これらのドライブ信号にしたがって各スイッチング素子113a〜113fが動作する。
同期モータ102の駆動時における制御装置100の動作について具体的に説明する。まず、外部より与えられる目標回転数ω*を実現するように、現在の回転数ω(後述する推定回転数ωm)との偏差から電流指令I*が、(1)式を用いて回転数制御手段112により演算される。演算方法としては、一般的なPI制御方式による。
*=Gpω×(ω*−ω)+Giω×Σ(ω*−ω) (1)
ここで、Gpω,Giωはそれぞれ速度制御比例ゲインと積分ゲイン、ωは回転数、ω*は目標回転数、I*は電流指令を表す。
さらに、電流指令I*を用い、電流指令作成手段111は、d軸電流指令id*およびq軸電流指令iq*を下記(2)(3)式により演算する。
id*=I*×−sin(β) (2)
iq*=I*×cos(β) (3)
ここで、βは電流位相である。
一方、電流センサ105a,105bにより検出された同期モータ102の相電流iu,ivは、(4)式に基づき、2軸電流変換手段106により、同期モータ102のマグネットトルクに寄与するq軸検出電流iqと、それに直交するd軸検出電流idの2軸電流に変換される。
Figure 2008182881
ここで、θは回転子位置(推定磁極位置)である。
そして、電流制御手段110は、与えられた電流指令id*,iq*と、検出電流id,iqを用いて、(5)(6)式により電流指令id*,iq*に検出電流id,iqが追従するように制御演算を行い、出力電圧Vd*,Vq*を求める。
Vd*=Gpd×(id*−id)+Gid×Σ(id*−id) (5)
Vq*=Gpq×(iq*−iq)+Giq×Σ(iq*−iq) (6)
ここで、Gpd,Gidはそれぞれd軸電流制御比例ゲインと積分ゲイン、Gpq,Giqはそれぞれq軸電流制御比例ゲインと積分ゲインである。
次に、2方向の出力電圧Vd*,Vq*から、出力波形が正弦波となるように3相の出力電圧vu,vv,vwが、回転子位置θを用いて、下記(7)式で示される一般的な2相3相変換により求められる。
Figure 2008182881
ここで、vu,vv,vwはそれぞれU相、V相、W相の電圧、θは回転子位置である。
さらに、正弦波電圧出力手段109は、出力電圧Vd*,Vq*と、回転子位置・回転数推定手段107により推定された回転子位置の情報とに基づいて、同期モータ102を駆動するための出力デューティ(PWM信号)を駆動手段104に与える。
そして、駆動手段104は、その出力デューティに従って、U相、V相、W相の電圧を出力する。これにより、同期モータ107が目標とする回転数(速度)にて駆動される。つまり、駆動手段104のスイッチング素子113a〜113fのスイッチングパターンを、電流センサ105a,105bから得られる同期モータ102の電流情報と、同期モータ102の推定された磁極位置の情報と、同期モータ102の推定された回転数の情報と、外部から与えられる目標回転数の情報とから決定する。
次に、回転子位置・回転数推定手段107の動作について説明する。まず、電流センサ105a,105bにより検出された電流から、各相の巻線に流れる相電流(iu,iv,iw)が得られる。また、正弦波電圧出力手段109により得られる電圧指令により、各相の巻線に印加される相電圧(vu,vv,vw)が求められる。これらの値から、下記(8)(9)(10)式の演算により、各相の巻線に誘起される誘起電圧値eu,ev,ewが求められる。
eu=vu−R・iu−L・d(iu)/dt (8)
ev=vv−R・iv−L・d(iv)/dt (9)
ew=vw−R・iw−L・d(iw)/dt (10)
ここで、Rは抵抗、Lはインダクタンスである。d(iu)/dt,d(iv)/dt,d(iw)/dtはそれぞれiu,iv,iwの時間微分である。
次に、演算した誘起電圧値eu,ev,ewから、回転子位置θと回転数ωmを推定する。これは、当該駆動装置100が認識している推定角度θmを誘起電圧の誤差を用いて補正することにより、真値に収束させて、回転子位置θを推定する方法である。また、推定角度θmから、回転数ωmも推定する。まず、各相の誘起電圧基準値(eum,evm,ewm)を以下の式で求める。
eum=em・sin(θm+βT) (11)
evm=em・sin(θm+βT−120°) (12)
ewm=em・sin(θm+βT−240°) (13)
ここで、誘起電圧振幅値emは、誘起電圧値eu,ev,ewの振幅値に一致する。
このようにして求めた誘起電圧値と誘起電圧基準値との偏差εを作成する。すなわち、下記(14)式のように、各相の誘起電圧推定値esから各相の誘起電圧基準値esmを減算したものを偏差εにする。
ε=es−esm (14)
ここで、sは相(u/v/w)を表す。そして、この偏差εが0になれば、推定角度θmが真値になる。例えば、PI演算で偏差εを収斂する方法で、推定角度θmの真値を回転子位置θ(推定磁極位置)として求める。また、推定角度θmの変動値を演算することにより、回転数ωmを推定することができる。
以上のような同期モータの制御装置100の構成とその動作により、同期モータ102を制御することができる。
次に、同定手段103の動作について説明する。図3は、同期モータ102のモータ定数を求めるためのアプリケーションとしての同定手段103が行う処理の流れを示すフローチャートである。図3に示す同定処理は、同期モータ102の起動命令が与えられた場合に行うことができ、当該同定処理で求めたモータ定数を用い、同期モータ102の駆動を行うができる。起動命令には、一時停止状態からの再起動も含まれる。同定するべきモータ定数は、例えば、d軸インダクタンスLdおよびq軸インダクタンスLqである。
図3に示す処理を開始すると、まず、回転子が静止した状態でモータ定数の同定を行なうために、回転子を所定位置に引き込んで固定する(S101)。回転子を所定位置に引き込んで固定するために、d軸に与える電流指令として所定の直流電流指令id*を設定し、q軸の電流指令iq*をゼロに設定する(q軸に電流を流さない旨の指令を設定する)。そして、同定処理の実行期間中は、回転子が動かないように、これらの電流指令id*,iq*を保持する(手段(A))。このときの電流指令id*,iq*の設定は、同定手段103が行うようにしてもよいし、電流指令作成手段111が行うようにしてもよい。つまり、上記手段(A)の機能を、図1に示す電流指令作成手段111が担っていてもよい。
例えば、U相にIa、V相に−Ia/2、W相に−Ia/2の直流が流れるように電流指令id*,iq*を設定する。この場合は、電機子巻線のU相の位置をθ=0の基準位置として扱うことができる。もちろん、回転子を固定する位置は特に限定されない。また、同定処理の実行期間中は、当該ステップ(S101)における電流指令id*,iq*を継続して与え続けるので、回転子が静止したかどうかを確かめたり、回転子が静止するまでの時間を確保したりする必要もない。
回転子の位置が決定すると、d軸の直流電流指令id*を印加したまま、同定信号の重畳を開始する(S102)。すなわち、図1に示すように、d軸の直流電流指令id*と検出電流idとの偏差に、モータ定数を同定するための同定信号idM*を重畳する。同様に、q軸の電流指令iq*と検出電流iqとの偏差に同定信号iqM*を重畳する。そして、それら同定信号idM*,iqM*を重畳した形の電流指令を電流制御手段110に与える(手段(B))。目標値応答特性と外乱応答特性(同定信号)の両者は独立であるため、同定信号idM*,iqM*を電流指令id*,iq*に重畳してもよい。同定信号idM*,iqM*は、例えば、M系列信号のような2値信号が好適であり、その大きさ(振幅)としては、定格電流の1%程度でよい。
後述するように、d軸インダクタンスLdをd軸の電圧方程式に基づいて求め、q軸インダクタンスLqをq軸の電圧方程式に基づいて求めるため、同定信号idM*,iqM*の信号パターンに制約はない。したがって、d軸同定信号idM*とq軸同定信号iqM*の振幅、位相および周波数が一致していなくてもよい。ただし、同期モータ102の振動を極力小さくして同定精度を高めるという観点から、d軸同定信号idM*とq軸同定信号iqM*の振幅、位相および周波数を同一に設定するのが好ましい。
q軸に同定信号iqM*を与えると、この同定信号iqM*によって同期モータ102にマグネットトルクが発生する。マグネットトルクによって回転子の位置が変化すると、同定精度が低下するので好ましくない。したがって、本実施形態では、同定信号iqM*によって同期モータ102に発生するマグネットトルクの一部または全部が、リラクタンストルクによって打ち消される電流位相βを実現するように、d軸直流電流指令id*および同定信号idM*,iqM*を定めている。これにより、回転子の振動や変位を極力抑えることができ、モータ定数の同定精度を高めることが可能となる。この点については、後でもう一度詳しく説明する。
図3のフローチャートに戻って説明を続ける。同定信号idM*,iqM*の重畳を開始後、同定手段103はd軸に関して、電流制御手段110からd軸電圧指令Vd*、2軸電流変換手段106から検出電流idを所定のサンプリング周期Tsで取得する。そして、d軸電圧指令Vd*、検出電流id、回転速度(ω=0)および回転子位置(θ=0)を用い、d軸インダクタンスLdの逐次同定を行う。さらに、同定手段103はq軸に関しても、電流制御手段110からq軸電圧指令Vq*、2軸電流変換手段106から検出電流iqを所定のサンプリング周期Tsで取得する。そして、q軸電圧指令Vq*、検出電流id、回転速度(ω=0)および回転子位置(θ=0)を用い、q軸インダクタンスの逐次同定を行う。すなわち、d軸インダクタンスの逐次同定とq軸インダクタンスの逐次同定とを並行して実施する。このような同定方法は、d軸インダクタンスの同定が終了した後に、q軸インダクタンスの同定を行う方法に比べて、能率的である。
インダクタンスLd,Lqの同定方法について詳しく説明する。本実施形態では、同期モータ102と当該制御装置100を含む系のモデルとして、線形回帰モデルを導入し、この線形回帰モデルに含まれるパラメータを逐次最小二乗法により推定し、推定したパラメータ(パラメータ推定値)からモータ定数を求める(手段(C))。逐次最小二乗法によれば、全ての測定値をサンプリングした後でパラメータ推定値を求める一括処理同定法に比べて能率的である。上記系のモデルは、以下のようにして、永久磁石同期モータの電圧方程式から導くことができる。
一般的に、永久磁石同期モータの電圧方程式は(15)式によって与えられる。(15)式において、Raは電機子巻線抵抗、ψaは永久磁石による電機子鎖交磁束、pは微分演算子を表す。
Figure 2008182881
(15)式の電圧方程式を差分方程式に変換して整理すると、dq軸における電圧方程式は(16)(17)式で表される。
Figure 2008182881
本実施形態では、モータ定数を同定する処理の期間中、回転子が静止状態であるため、ω=0である。また、d軸においてはd軸インダクタンスLd、q軸においてはq軸インダクタンスLqを求めるため、上記(16)(17)式を以下の(18)(19)式のように変形する。
Figure 2008182881
(18)(19)式は、左辺を出力Y(k)、右辺の括弧内をデータベクトルZ(k)、右辺の(Ts/Ld)および(Ts/Lq)をパラメータΘ(k)として含む線形回帰モデルY(k)=Θ(k)Z(k)として扱うことができる(Ts:サンプリング周期、k:サンプリング回数)。なお、“Θ(k)”は、推定値であることを表すハットマークが省略されている。
次に、d軸インダクタンスLd、q軸インダクタンスLqを求めるために、本実施形態では、上記の線形回帰モデルに逐次最小二乗法を適用する。逐次最小二乗法については、例えば、足立修一、「MATLABによる制御のためのシステム同定」、東京電機大学出版社などの文献に詳しく説明されている。(20)(21)式に逐次型最小二乗法の一般式を示す。(20)式において、Θ(k)は、時刻kにおけるパラメータ推定値である。また、(20)式の右辺第二項の括弧外は、現在の予測誤差をパラメータ推定値の更新にどのくらい影響させるかを決定するゲインである。(20)(21)式において、P(k)は共分散行列、λは忘却要素を表す。
Figure 2008182881
上述したように、d軸におけるパラメータΘ(k)、出力Y(k)、データベクトルZ(k)は、(18)式を用い、以下に示す(22a)(23a)(24a)式のように表される。同様に、q軸におけるパラメータΘ(k)、出力Y(k)、データベクトルZ(k)は、(19)式を用い、以下に示す(22b)(23b)(24b)式のように表される。
Figure 2008182881
同定手段103は、決められたサンプリング周期Tsごとに電圧情報としての電圧指令Vd*、および電流情報としての検出電流idを取得し、これら電圧・電流情報を用いて出力Y(k)およびデータベクトルZ(k)を求め、(20)(21)式に基づく逐次パラメータ推定を行う。サンプリング周期Tsは、電圧指令Vd*を作成する制御周期と一致させるとよい。もしくは、電圧指令Vd*を作成する制御周期よりも大きく設定することができる。なお、本実施形態では、データベクトルZ(k)を与える必要があるので、モータ抵抗Raが既知であることが前提になっている。
このような演算をサンプリング周期Tsが経過する毎に繰り返し実行すると、推定されたパラメータΘ(k)はある一定値に収束していく。適正な時点でパラメータ推定を終了し、(22a)式の関係を用いることにより、d軸インダクタンスLdを求めることができる。さらに、d軸のパラメータ推定と並行して、q軸についてもパラメータΘ(k)を逐次推定することにより、q軸インダクタンスLqを求めることができる。このように、d軸に関する逐次パラメータ推定により、モータ定数としてのd軸インダクタンスLdを求め、q軸に関する逐次パラメータ推定により、モータ定数としてのq軸インダクタンスLqを求める。d軸に関する逐次パラメータ推定とq軸に関する逐次パラメータ推定とは、並行して実施される。このようにすれば、d軸インダクタンスLdとq軸インダクタンスLqを順番に同定する方法よりも、同定処理に費やされる時間を大幅に短縮することができる。
(20)式による逐次演算の実行回数k(=サンプリング回数)は、予め定められていてもよいし、ある収束条件を満足した場合に逐次演算を終了するようにしてもよい。そのような収束条件としては、例えば、k番目に推定したパラメータΘ(k)から求まるd軸インダクタンスLdkと、(k−1)番目に推定したパラメータΘ(kー1)から求まるd軸インダクタンスLdk-1との偏差が予め定めた範囲内に収まることでありうる。言い換えれば、(k−1)番目の推定パラメータΘ(kー1)を、k番目のデータで修正する(20)式の右辺第二項が十分に小さくなれば、収束条件を満足するものとする。このようにすれば、余分な演算を行わずに済むので、同定処理に費やされる時間の短縮に有利である。
図3のフローチャートに戻って説明を行う。上述した逐次パラメータ推定アルゴリズムにより、d軸インダクタンスLdおよびq軸インダクタンスLqの逐次演算(S104)を行い、所望のモータ定数(Ld,Lq)が得られると、これらを記憶部(例えばDSPに内蔵されたRAM)に保存し逐次演算を終了する(S105)。その後、dq軸両軸への同定信号の重畳を終了し(S106)、直流電流指令id*も終了する(S107)。
図4は、d軸インダクタンスLdとq軸インダクタンスLqをシミュレーションで求めたときの結果を示す。シミュレーションは、ザ・マスワークス社製simulink(登録商標)を用いて行った。初期条件は、Θ(0)=0、P(0)=γIとした(ただし、γは任意の正定数(例えば103〜104)、Iは単位行列)。また、忘却要素λ=0.97〜0.995とした。サンプリング周期Tsは約100μsecとした。同定を開始すると、ある一定値にLd,Lqが収束し、d軸インダクタンスLdとq軸インダクタンスLqを適切に同定できていることがわかる。Ld,Lqが収束するまでに要する時間は、条件にもよるが、100msec以内である(図4の横軸は1目盛で1秒)。また、同定した値が誤差等を含む場合においても、テーブル等による補正を行うことで、より確実にモータ定数を求めることができる。
図5Aは、永久磁石同期モータのd−q回転座標系を示す。d軸は回転子のN極の磁極位置を示し、q軸はd軸よりも電気角で90°進んだ位置と定義される。また、q軸から電流Iaの電流ベクトルへの進み角をβとし、電流位相と呼ぶ。一般に、同期モータは電流位相βを変更することにより、最適な駆動状態で制御できる。図5Aの例のように、通常の駆動時では、同期モータに負のd軸電流を流し最適な電流ベクトルとなるよう電流位相βを選択している。
これに対し、上述した同定処理においては、正のd軸直流電流を流すようにしている。正のd軸直流電流を流すことによって、同定時に生じうる回転子のトルク振動成分が減少する理由について、図5Bおよび図6を用いて詳細に説明する。
永久磁石同期モータのトルクは電流と磁束の外積により求めることができるため、一般的なトルク式は(25)式で表される。
Figure 2008182881
このとき以下の(26)(27)式が成り立つ。
Figure 2008182881
ここで、Ψaは電気子鎖交磁束、Ldはd軸インダクタンス、Lqはq軸インダクタンス、Pnは極対数である。また、(25)式の右辺第1項はマグネットトルク、第2項はリラクタンストルクである。表面磁石同期モータ(SPMSM:Surface Permanent Magnet Synchronous Motor)では、Ld=Lqなので、(25)式の右辺第2項がゼロとなる。同期リラクタンスモータ(SynRM:Synchronous Reluctance Motor)では、Ψa=0なので、(25)式の右辺第1項がゼロとなる。埋込磁石同期モータ(IPMSM)では、Ld≠LqかつΨa≠0なので、総合トルクは、マグネットトルクとリラクタンストルクとの和になる。図6に(25)式に基づいて電流Ia一定時における電流位相βとマグネットトルク、リラクタンストルク、それらを加算した総合トルクの関係を示す。
いま、図6に示すような特性を有するIPMSMのモータ定数を同定する際に、同定信号として(28)式のような2値のq軸電流指令を数十ms程度の周期で与えるとする。
Figure 2008182881
トルクへの影響が大きいq軸のみに注目すると、2値のq軸電流指令によって図6の電流位相βが0[deg]となり、q軸電流iqによるマグネットトルクが最大となる位相でトルクが発生する。本実施形態でq軸に与える同定信号iqM*の振幅IMは、定格のおよそ1%程度とするが、トルク/電流の値が大きいため無視できない振動が生じる。
そこで、同定信号iqM*を与えることによってq軸に流れるq軸電流iqよりも大きい正のd軸直流電流idが流れるように、d軸の直流電流指令id*を与える。すると、電流ベクトルIaは電流位相βがマイナスとなる方向へ移動する。ここで、直流のd軸電流idがq軸電流iqよりも十分に大きい場合には、電流位相βは−90[deg]付近へ移動する。図6から分かるように、電流位相βが概ね−45°〜−135°の領域では、マグネットトルクの一部または全部がリラクタンストルクで打ち消され、総合トルクが小さくなる。そのため、q軸電流に起因するトルク/電流を小さくすることができ、発生する振動が小さくなる。
すなわち、図5Bに示すように、十分に大きいd軸電流idが流れるように直流電流指令id*を与えることにより、電流位相βの変化を例えば−70°〜−110°の範囲に収めることができ、総合トルクの変動幅を小さくすることができる。なお、本実施形態では、d軸にも同定信号idM*を重畳するので、d軸電流idについても、その同定信号idM*を反映したものとなる。
図7Aにd軸直流電流指令がない場合、図7Bにd軸電流指令がある場合について、同定信号であるq軸電流を与えたときに生じる発生トルクのシミュレーション結果を示す。図7Aおよび図7Bの両シミュレーションにおいて、与えたq軸電流指令(同定信号iqM*)の振幅IMは等しい。d軸直流電流指令id*には、同定信号の振幅IMのおよそ10倍程度の大きさ(振幅)を与えた。この結果より、d軸電流指令がある場合は、ない場合よりも発生トルクが小さくなっていることがわかる。これに伴い振動の影響が小さくなることがわかる。
以上、本実施形態についての詳細な説明から明らかなように、本発明は次の効果を奏する。本発明によれば、同期モータの停止時において、d軸とq軸のモータ定数を同時に同定することができる。さらに、d軸に直流電流を流すことによって、同定信号であるq軸電流指令により発生する回転トルクの影響を小さくすることができ、発生する振動を小さくすることができる。発生トルクによる位置ずれが小さくなるため、モータ定数の同定精度も向上する。
(第2実施形態)
以下、本発明の同期モータの制御装置の別の実施形態について説明する。第2実施形態の構成は、図1に示す第1実施形態と共通であるが、同定手段103におけるモータ定数の導出式が第1実施形態とは異なる。
第1実施形態では、インダクタンスLd,Lqを同定するために(16)(17)式を(18)(19)式のように変形したが、モータ抵抗Raを推定する場合は、(16)(17)式を(29)(30)式のように変形することができる。
Figure 2008182881
d軸におけるパラメータΘ(k)、出力Y(k)、データベクトルZ(k)は、(29)式を用い、以下に示す(301a)(302a)(303a)式のように表すことができる。q軸におけるパラメータΘ(k)、出力Y(k)、データベクトルZ(k)は、(19)式を用い、以下に示す(301b)(302b)(303b)式のように表すことができる。
Figure 2008182881
ここで、第1実施形態と同様に(20)(21)式に示す逐次最小二乗法の一般式を利用して演算すると、モータ抵抗Raを同定することができる。すなわち、(301a)(302a)(303a)(301b)(302b)(303b)式によれば、d軸に関する逐次パラメータ推定により、モータ定数としてのd軸インダクタンスLdを求め、q軸に関する逐次パラメータ推定により、モータ定数としてのモータ抵抗Raを求めることができる。あるいは、d軸に関する逐次パラメータ推定により、モータ定数としてのモータ抵抗Raを求め、q軸に関する逐次パラメータ推定により、モータ定数としてのq軸インダクタンスLqを求めることができる。d軸に関する逐次パラメータ推定とq軸に関する逐次パラメータ推定とは、並行して実施される。このようにすれば、インダクタンスLd,Lqと、モータ抵抗Raとを順番に同定する場合に比べ、同定処理に費やされる時間を短縮することができる。
さらに、d軸インダクタンスLd、q軸インダクタンスLqおよびモータ抵抗Raの三者を同定する場合には、(16)(17)式を(31)(32)式のように変形すればよい。
Figure 2008182881
d軸におけるパラメータΘ(k)、出力Y(k)、データベクトルZ(k)は、(31)式を用い、以下に示す(311a)(312a)(313a)式のように表すことができる。q軸におけるパラメータΘ(k)、出力Y(k)、データベクトルZ(k)は、(32)式を用い、以下に示す(311b)(312b)(313b)式のように表すことができる。これらの式によれば、d軸に関する逐次パラメータ推定により、モータ定数としてのd軸インダクタンスLdおよびモータ抵抗Raの少なくとも一方を求め、q軸に関する逐次パラメータ推定により、モータ定数としてのq軸インダクタンスLqおよびモータ抵抗Raの少なくとも一方を求めることができる。d軸に関する逐次パラメータ推定とq軸に関する逐次パラメータ推定とは、並行して実施される。モータ抵抗Raについては、d軸の逐次パラメータ推定で求めることもできるし、q軸の逐次パラメータ推定で求めることもできる。
Figure 2008182881
以上に示した式(22)(23)(24)、(301)(302)(303)、(311)(312)(313)に記載した組み合わせを利用することで、任意のモータ定数を同定することができる。
(第3実施形態)
以下、本発明の同期モータの制御装置の別の実施形態について説明する。第3実施形態は、同定手段103において同定されたモータ定数をモータの制御に利用可能としたものである。
図8は、第3実施形態における同期モータの制御装置の構成図である。この同期モータの制御装置200は、同定手段103によって得られたモータ定数を記憶する記憶部115をさらに備えている。記憶部115は、DSPまたはマイクロコンピュータに内蔵のRAM(Random Access Memory)のような半導体メモリであってもよいし、磁気ディスク装置のようなストレージであってもよい。記憶部115に保存されたモータ定数は、同期モータ102を駆動する際に必要に応じて読み出され、電流指令作成手段111、電流制御手段110、回転子位置・回転数推定手段107に与えることができる。各手段111,110,107に与えられたモータ定数は、各制御ゲインや制御定数の作成に用いることができる。
例えば、同定手段103によって、第1実施形態の(18)(19)式によって得られたd軸インダクタンスLdおよびq軸インダクタンスLqを、電流制御手段110におけるd軸電流制御比例ゲインGpd、d軸電流制御積分ゲインGid、q軸電流制御比例ゲインGpqおよびq軸電流制御積分ゲインGiqの設定に用いることができる。言い換えれば、同定したインダクタンスLd,Lqを用いてゲインを調整することができる。また、同期モータ102の駆動時において、記憶部115に記憶されたモータ定数を回転子位置・回転数推定手段107に与えることにより、回転中の回転子の位置を推定するための演算に利用することができる。具体的には、記憶部115に記憶されたインダクタンスLd,Lqを読み出し、(8)(9)(10)式の演算でこれを利用することができる。同定手段103で得られたモータ定数を用いることで、より高精度かつ信頼性の高いモータ制御を行うことが可能となる。
(第4実施形態)
以下、本発明の同期モータの制御装置の別の実施形態について説明する。第4実施形態の構成は、図1に示す第1実施形態の構成と基本的には同じである。相違点は、d軸(制御装置100の持つ回転子の永久磁石方向)に与える直流電流指令id*を、回転子の位置決めを行なう直流電流と共通化する点である。第1実施形態で説明した同定処理は、回転子を所定位置に引き込んで固定するステップを含むので、このステップによる固定位置を回転子の初期位置として認識し、同期モータ102の駆動を開始する。
圧縮機のように、位置センサを取り付けることのできない設置環境においても、同期モータである以上、起動時から回転子の位置を把握しておく必要がある。したがって、起動時には、回転子を任意の位置へ引き込むことが不可欠である。例えば、特開2004−328850号公報に記載されているように、デッドポイントを回避するために複数回の位置決め電流を印加し、任意の位置に回転子引き込む方法が知られている。
本実施形態では、同期モータ102の起動時において複数回加える位置決め電流のうち、最後の位置決め電流をd軸直流電流指令id*とし、所定の位置に回転子を固定する。第1実施形態で説明したように、例えば、電機子巻線のU相の位置をθ=0の基準位置とすることができる。同定手段103による同定処理の終了後、回転子位置・回転数推定手段は、同定手段103による同定処理の終了後、該同定処理における回転子の静止位置を同期モータ102の起動を行うための基準位置として認識し、正弦波電圧出力手段109や2軸電流変換手段106に与える。このように、本実施形態によれば、同期モータ102を起動するために必要な位置決めのステップを、同定処理においてロータを所定位置に静止および固定するステップに兼用することができる。同定処理の終了後、ロータの位置決めを再度行う必要がないので、位置決め〜同定〜起動までに費やされる時間を短縮することができる。
(第5実施形態)
図9は、本実施形態にかかる同期モータの制御装置300の構成図である。制御装置300は、電圧指令作成手段116、正弦波電圧出力手段109、駆動手段104、電流センサ105a,105b、同期モータ102、2軸電流変換手段106および同定手段103を備えている。図9には、モータ定数の同定処理に必要な構成のみを示している。モータ定数を同定した後は、図1に示す構成によって、同期モータ102の制御を行うことができる。その場合における、正弦波電圧出力手段109、駆動手段104、電流センサ105a,105b、同期モータ102および2軸電流変換手段106の動作は、先の実施形態で説明した通りである。
モータ定数を同定するための同定処理も第1実施形態から第4実施形態に説明したのと概ね同じ手順で行なうことができる。ただし、本実施形態は、電流指令id*,iq*に同定信号を重畳することに代えて、電圧指令Vd*,Vq*に同定信号VdM*,VqM*を重畳する点で第1実施形態と異なる。モータ定数を同定する処理の実行時において、第1実施形態で説明した電流制御系(電流指令作成手段や電流制御手段)の機能を停止し、電流フィードバック制御を行なわない。
電圧指令作成手段119が作成するd軸電圧指令Vd*は、d軸に直流電圧を印加すべき旨の電圧指令であり、q軸電圧指令Vq*は、q軸にゼロレベルの電圧を印加すべき旨の電圧指令(つまりq軸には電圧を印加しない指令)である。なお、電圧指令作成手段119は、同定手段103に含まれるものであってもよい。図9に示すように、同定信号VdM*,VqM*は、電圧指令作成手段119によって作成された電圧指令Vd*,Vq*に重畳される。逐次パラメータ推定に用いられる入力情報としての電流情報は、検出電流id,iqであり、第1実施形態と同じである。一方、逐次パラメータ推定に用いられる入力情報としての電圧情報は、電圧指令Vd*,Vq*に上記同定信号VdM*,VqM*を重畳した電圧指令Vd**,Vq**である。
図9に示す構成によってモータ定数の同定を行う場合、電流制御系を省略することができる。図1に示すシステムにおいては、同期モータ102に流れる電流が電流指令I*に一致するように、電流制御系によって電圧指令を作成し、駆動手段104(インバータ)によって3相交流電圧を出力する。ただし、電流指令I*に精度よく一致した電流は流れず、僅かな誤差が不可避的に生ずる。このような誤差が同定精度に影響を及ぼす。これに対し、本実施形態のように、電圧指令Vd*,Vq*自体に同定信号VdM*,VqM*を重畳することで、同定手段103の取得する電圧情報が正確な同定信号を含むこととなるので、より精度の高い同定結果が得られる。
図10は、本実施形態によるモータ定数の同定処理のフローチャートである。同定するべきモータ定数は、例えば、d軸インダクタンスLdおよびq軸インダクタンスLqである。まず、回転子が静止した状態でモータ定数の同定を行なうために、回転子を所定位置に引き込んで固定する(手段(a):S201)。なお、このステップ(S201)は、図3のフローチャートを参照して説明したステップ(S101)と同じ内容のステップであってもよい。すなわち、S201のステップは、第1実施形態で説明した構成(図1参照)によって行える。
回転子の位置の決定後、S201の処理で出力していたd軸直流電圧指令Vd*を保持した状態で、モータ制御モデルを図9に示す本実施形態のものに切り替える。そして、d軸直流電圧指令Vd*に同定信号VdM*を重畳する処理を開始する(手段(b):S202)。つまり、S201のステップにおいて、回転子を所定位置に引き込むために、実際に同期モータ102に流れる電流が、予め設定された電流指令値になるように制御し、そのときの電圧値を以降のステップにそのまま引き継ぐ。こうすることで、電流フィードバックを行わない状態においても、回転子を同じ位置で停止させることができる。
d軸直流電圧指令Vdに同定信号VdM*を重畳する処理とともに、q軸電圧指令Vq*に同定信号VqM*を重畳する処理を開始する。同定信号VdM*,VqM*は、例えば、M系列信号のような2値信号が好適であり、その大きさ(振幅)としては、定格電流の1%程度が流れるような電圧値でよい。また、前述したように、同定信号VdM*とVqM*の信号パターンに制約はない。第1実施形態で説明したように、同期モータ102の振動を極力小さくして同定精度を高めるという観点から、d軸同定信号VdM*とq軸同定信号VqM*の振幅、位相および周波数を同一に設定するのが好ましい。
また、q軸同定信号VqM*によってq軸に印加されるq軸電圧よりも大きい正の電圧がd軸に印加されるようにd軸直流電圧指令Vd*を設定することによって、同定処理の実行時に生じうる回転子のトルク振動成分を減少させ、同定精度を高めることができる。この効果については、第1実施形態で説明した通りである。
同定手段103は、d軸に関して、電圧指令作成手段116によって保持されたd軸直流電圧指令Vd*に同定信号VdM*を重畳して得たd軸電圧指令Vd**と、2軸電流変換手段106からの検出電流idとを、所定のサンプリング周期Tsで取得する。そして、d軸電圧指令Vd**、検出電流id、回転速度(ω=0)および回転子位置(θ=0)を用い、d軸インダクタンスLdの逐次同定を行う。さらに、同定手段103は、q軸に関して、電圧指令作成手段116によって保持されたq軸電圧指令Vq*に同定信号VqM*を重畳して得たq軸電圧指令Vq**と、2軸電流変換手段106からの検出電流iqとを、所定のサンプリング周期Tsで取得する。そして、q軸電圧指令Vq*、検出電流id、回転速度(ω=0)および回転子位置(θ=0)を用い、q軸インダクタンスの逐次同定を行う(手段(c):S203)。
すなわち、d軸インダクタンスの逐次同定と、q軸インダクタンスの逐次同定とを並行して実施する。このような同定方法は、d軸インダクタンスの同定が終了した後に、q軸インダクタンスの同定を行う方法に比べて、能率的である。なお、本実施形態では、d軸インダクタンスおよびq軸インダクタンスを同定しているが、第1実施形態から第3実施形態で説明した方法によってモータ抵抗Raを同定することもできる。
先の実施形態で説明した逐次パラメータ推定アルゴリズムにより、d軸インダクタンスLdおよびq軸インダクタンスLqの逐次演算(S204)を行い、所望のモータ定数(Ld,Lq)が得られると、これらを記憶部(例えばDSPに内蔵されたRAM)に保存し逐次演算を終了する(S205)。その後、dq軸両軸への同定信号の重畳を終了し(S206)、直流電圧指令Vd*の作成および出力も終了する(S207)。その後、システムの構成を図9に示す構成から図1等に示す構成に切り替える。これにより、同定したモータ定数を用いて、同期モータ102の駆動制御を直ちに実行できるようになる。
(第6実施形態)
図11は、本実施形態にかかる同期モータの制御装置400の構成図である。本実施形態の構成は、図9に示す第5実施形態のブロック図と基本的には同じであるが、同定手段103において、d軸またはq軸のモータ定数のみが同定されるという点で第5実施形態と異なる。
図11に示すように、本実施形態では、電圧指令作成手段119が作成する電圧指令Vd*,Vq*のうち、q軸電圧指令Vq*のみに同定信号VqM*を重畳している。すなわち、d軸同定信号VdM*をゼロレベルとする。同定手段103は、d軸の電圧情報として、電圧指令作成手段119が作成する直流電圧指令Vd*をサンプリングすることとなる。なお、本実施形態においてはq軸のみに同定信号VqM*を重畳し、q軸におけるモータ定数(q軸インダクタンスLq)を同定しているが、d軸のみとしても同じことである。すなわち、q軸同定信号VqM*をゼロレベルとし、d軸に関する逐次パラメータ推定のみにより、d軸に関するモータ定数(d軸インダクタンスLd)を同定してもよい。
以上、第1実施形態から第6実施形態においては、IPMSMを制御する例で説明したが、本発明はIPMSMの制御装置に限定されるものではない。本発明は、SPMSMやSynRMのような他の同期モータの制御装置にも採用しうる。
本発明の同期モータの制御装置は、dq軸のモータ定数を同時に推定することができ、さらに、d軸に直流電流を流すことによって、発生する回転成分に起因する振動を小さくすることができ、信頼性の高いシステムを実現する。したがって、冷暖房装置や給湯機などのヒートポンプ式冷凍装置に用いられる同期モータの制御装置として有用である。
本発明による第1実施形態の同期モータの制御装置の構成図 本発明による第1実施形態の駆動手段の構成図 本発明による第1実施形態のモータ定数を同定する処理のフローチャート 本発明による第1実施形態の同定結果を示すシミュレーション図 永久磁石型同期電動機の電流ベクトル図 本実施形態で得られる効果を説明するための電流ベクトル図 IPMSMの電流位相に対するトルク特性を示す図 d軸直流電流指令がない場合の発生トルクのシミュレーション図 d軸直流電流指令がある場合の発生トルクのシミュレーション図 本発明による第3実施形態の同期モータの制御装置の構成図 本発明による第5実施形態の同期モータの制御装置の構成図 第5実施形態によるモータ定数を同定する処理フローチャート 本発明による第6実施形態の同期モータの制御装置の構成図
符号の説明
100,200,300,400 同期モータの制御装置
102 同期モータ
103 同定手段
104 駆動手段
105a,105b 電流センサ
106 2軸電流変換手段
107 回転子位置・回転数推定手段
109 正弦波電圧出力手段
110 電流制御手段
111 電流指令作成手段
112 回転数制御手段
113a〜113f スイッチング素子
114a〜114f 還流ダイオード
115 記憶部
116 ベースドライバ
117 平滑コンデンサ
118 直流電源
119 電圧指令作成手段

Claims (16)

  1. 電流指令に検出電流が追従するように、前記電流指令と前記検出電流との偏差に対応した電圧指令を演算し、出力する電流制御手段と、
    前記電圧指令を反映した3相交流電圧が与えられる同期モータの相電流を検出する電流検出部と、
    前記電流検出部によって検出された相電流をd−q回転座標上の検出電流id,iqに変換する2軸電流変換手段と、
    前記同期モータのモータ定数を同定するための手段であって、(A)前記モータ定数を同定する処理の開始に応じて、前記同期モータの回転子を所定位置に引き込むとともに、d軸に所定の直流電流指令id*を設定し、q軸の電流指令iq*をゼロに設定し、前記処理の実行期間中はそれらの電流指令id*,iq*を保持する手段と、(B)前記直流電流指令id*または前記直流電流指令id*と前記検出電流idとの偏差に前記モータ定数を同定するためのd軸同定信号idM*を重畳し、前記電流指令iq*または前記電流指令iq*と前記検出電流iqとの偏差にq軸同定信号iqM*を重畳するとともに、それら同定信号idM*,iqM*が重畳された電流指令を前記電流制御手段に与える手段と、(C)前記電流制御手段の出力である前記電圧指令Vd*,Vq*に基づく電圧情報と、前記検出電流id,iqに基づく電流情報と、前記回転子の静止位置に基づく位置情報とを用いて、前記同期モータと当該制御装置を含む系のモデルに含まれるパラメータを逐次推定し、推定された前記パラメータからd軸およびq軸に関する前記モータ定数を求める手段と、を含む同定手段と、
    を備えた、同期モータの制御装置。
  2. 前記系のモデルとして線形回帰モデルが定められ、
    前記手段(C)は、前記線形回帰モデルに含まれる前記パラメータを逐次最小二乗法により推定する、請求項1に記載の同期モータの制御装置。
  3. 前記手段(C)は、d軸に関する逐次パラメータ推定により、前記モータ定数としてのd軸インダクタンスLdを求め、前記d軸に関する逐次パラメータ推定と並行して実施されるq軸に関する逐次パラメータ推定により、前記モータ定数としてのq軸インダクタンスLqを求める、請求項1に記載の同期モータの制御装置。
  4. 前記手段(C)は、d軸に関する逐次パラメータ推定により、前記モータ定数としてのd軸インダクタンスLdを求め、前記d軸に関する逐次パラメータ推定と並行して実施されるq軸に関する逐次パラメータ推定により、前記モータ定数としてのモータ抵抗Raを求める、請求項1に記載の同期モータの制御装置。
  5. 前記手段(C)は、d軸に関する逐次パラメータ推定により、前記モータ定数としてのモータ抵抗Raを求め、前記d軸に関する逐次パラメータ推定と並行して実施されるq軸に関する逐次パラメータ推定により、前記モータ定数としてのq軸インダクタンスLqを求める、請求項1に記載の同期モータの制御装置。
  6. 前記手段(C)は、d軸に関する逐次パラメータ推定により、前記モータ定数としてのd軸インダクタンスLdおよびモータ抵抗Raの少なくとも一方を求める一方、前記d軸に関する逐次パラメータ推定と並行して実施されるq軸に関する逐次パラメータ推定により、前記モータ定数としてのq軸インダクタンスLqおよびモータ抵抗Raの少なくとも一方を求める、請求項1に記載の同期モータの制御装置。
  7. 前記同期モータが埋込磁石同期モータであり、
    前記同定信号iqM*によって前記埋込磁石同期モータに発生するマグネットトルクの一部または全部が、リラクタンストルクによって打ち消される電流位相βを実現するように、前記直流電流指令id*および前記同定信号idM*,iqM*が定められている、請求項1に記載の同期モータの制御装置。
  8. 前記手段(A)は、前記q軸同定信号iqM*によってq軸に流れるq軸電流よりも大きい正のd軸直流電流が流れるように、d軸の前記直流電流指令id*を与える、請求項7に記載の同期モータの制御装置。
  9. 前記同定手段により求めた前記モータ定数を記憶する記憶部をさらに備えた、請求項1に記載の同期モータの制御装置。
  10. 前記記憶部に記憶された前記モータ定数を回転中の前記回転子の位置を推定するための演算に利用する回転子位置推定手段をさらに備えた、請求項9に記載の同期モータの制御装置。
  11. 前記回転子位置推定手段は、前記同定手段による前記処理の終了後、前記処理における前記回転子の静止位置を前記同期モータの起動を行うための基準位置として認識する、請求項10に記載の同期モータの制御装置。
  12. 同期モータの相電流を検出する電流検出部と、
    前記電流検出部によって検出された相電流をd−q回転座標上の検出電流id,iqに変換する2軸電流変換手段と、
    前記同期モータのモータ定数を同定するための手段であって、(a)前記モータ定数を同定する処理の開始に応じて、前記同期モータの回転子を所定位置に固定するために、d軸に所定の直流電圧指令Vd*を設定し、q軸の電圧指令Vq*をゼロに設定し、前記処理の実行期間中はそれらの電圧指令Vd*,Vq*を保持する手段と、(b)前記直流電圧指令Vd*に前記モータ定数を同定するためのd軸同定信号VdM*を重畳して電圧指令Vd**として出力し、前記電圧指令Vq*に前記モータ定数を同定するためのq軸同定信号VqM*を重畳して電圧指令Vq**として出力する手段と、(c)前記電圧指令Vd**,Vq**に基づく電圧情報と、前記検出電流id,iqに基づく電流情報と、前記回転子の静止位置に基づく位置情報とを用いて、前記同期モータと当該制御装置を含む系のモデルに含まれるパラメータを逐次推定し、推定された前記パラメータからd軸およびq軸に関する前記モータ定数を求める手段と、を含む同定手段と、
    を備えた、同期モータの制御装置。
  13. 前記手段(b)は、前記d軸同定信号VdM*をゼロレベルとすることにより、q軸に関する逐次パラメータ推定のみにより、q軸に関する前記モータ定数を求める、請求項12に記載の同期モータの制御装置。
  14. 前記手段(b)は、前記d軸同定信号VdM*をゼロレベルとすることにより、q軸に関する逐次パラメータ推定のみにより、前記モータ定数としてq軸インダクタンスを求める、請求項12に記載の同期モータの制御装置。
  15. 前記手段(b)は、前記q軸同定信号VqM*をゼロレベルとすることにより、d軸に関する逐次パラメータ推定のみにより、前記d軸に関するモータ定数を求める、請求項12に記載の同期モータの制御装置。
  16. 前記手段(a)は、前記q軸同定信号VqM*によってq軸に加わるq軸電圧よりも大きい正のd軸直流電圧指令Vd*を設定する、請求項12に記載の同期モータの制御装置。
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