JP2019146399A - 誘導機制御装置及び誘導機制御方法 - Google Patents

誘導機制御装置及び誘導機制御方法 Download PDF

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淳貴 吉本
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Abstract

【課題】3相誘導機の回転子が回転している状態で3相誘導機の制御を開始するのに適した技術を提供する。【解決手段】指令角速度特定部111は、有効電力成分を用いて、有効電力成分が目標値に一致するように、一次磁束ベクトルの角速度が追従するべき指令角速度を調節する。目標値は、すべりを閉区間内に収める値である。閉区間は、すべりに対して3相誘導機102のトルクが単調増加する区間である。閉区間の一端でトルクが極大値となる。閉区間の他端でトルクが極小値となる。指令位相特定部112は、指令角速度を用いて一次磁束ベクトルの位相が移動するべき制御周期毎の移動量を特定し、特定された移動量を用いて指令磁束ベクトルの位相である指令位相を特定する。【選択図】図3A

Description

本開示は、誘導機制御装置及び誘導機制御方法に関する。
従来から、3相回転機を磁束制御する技術が提案されている。特許文献1では、そのような技術の一例が提案されている。
特許文献1の技術では、指令角速度を用いて、3相回転機の磁束ベクトルの位相が移動するべき制御周期毎の移動量が特定される。特定された移動量を用いて、指令磁束ベクトルの位相が特定される。指令磁束ベクトルを用いて、3相回転機が制御される。本明細書では、このような制御を、簡易磁束ベクトル制御と称することがある。特許文献1では、簡易磁束ベクトル制御によれば3相回転機の回転速度が低いときの制御性能の低下が防止されると記載されている。
特許文献1の制御装置は、電流センサと、図14に示す制御部300を有している。制御部300は、u,w/α,β変換部301と、一次磁束特定部302と、トルク特定部303と、位相特定部304と、指令位相特定部305と、指令振幅特定部306と、指令磁束特定部307と、α軸磁束偏差特定部308aと、β軸磁束偏差特定部308bと、指令電圧特定部309と、α,β/u,v,w変換部310と、を含んでいる。
制御部300は、α−β座標上において電機子鎖交磁束の振幅と位相を制御する。この制御を通じて、3相回転機の角速度が制御される。
具体的には、電流センサは、3相回転機の電流ベクトルiu,iwを検出する。u,w/α,β変換部301は、電流ベクトルiu,iwを、3相回転機のα−β座標上の電流ベクトルiα,iβに変換する。一次磁束特定部302は、電流ベクトルiα,iβと指令電圧ベクトルvα *,vβ *から、3相回転機の一次磁束ベクトルを推定する。以下、推定された一次磁束ベクトルを、推定一次磁束ベクトルψα,ψβと表記することがある。トルク特定部303は、電流ベクトルiα,iβと推定一次磁束ベクトルψα,ψβとから、3相回転機のトルクを推定する。以下、推定されたトルクを推定トルクTeと表記することがある。位相特定部304は、推定一次磁束ベクトルψα,ψβの位相θsを特定する。指令位相特定部305は、指令角速度ωref *と推定トルクTeから、3相回転機の一次磁束ベクトルの位相が移動するべき制御周期毎の移動量Δθを特定する。その後、指令位相特定部305は、移動量Δθと位相θsから、指令位相θs *を特定する。指令振幅特定部306は、指令振幅|ψs *|を特定する。指令磁束特定部307は、指令位相θs *と指令振幅|ψs *|とから、指令磁束ベクトルψα *,ψβ *を特定する。α軸磁束偏差特定部308a及びβ軸磁束偏差特定部308bは、指令磁束ベクトルψα *,ψβ *と推定一次磁束ベクトルψα,ψβの差分である磁束偏差Δψα,Δψβを求める。指令電圧特定部309は、電流ベクトルiα,iβと磁束偏差Δψα,Δψβから、指令電圧ベクトルvα *,vβ *を特定する。α,β/u,v,w変換部310は、指令電圧ベクトルvα *,vβ *を、指令電圧ベクトルvu *,vv *,vw *に変換する。3相回転機に、指令電圧ベクトルvu *,vv *,vw *に追従する電圧ベクトルが印加される。このようにして、3相回転機が駆動される。
特開2016−100994号公報 特開2018−014814号公報
新中新二:「瞬時速度推定同伴の最小次元D因子磁束状態オブザーバを用いた誘導モータのセンサレスベクトル制御」、電気学会論文誌D、Vol.135、No.3、pp.299−307、(2015)
本発明者らの検討によれば、特許文献1の技術には、3相回転機として3相誘導機を用いる場合において、改善の余地がある。具体的には、3相誘導機の回転子が回転している状態で3相誘導機の制御を開始する場合において、改善の余地がある。
本開示は、
3相誘導機の一次磁束ベクトルが指令磁束ベクトルに追従するように、インバータを用いて前記3相誘導機に電圧ベクトルを印加する誘導機制御装置であって、
前記電圧ベクトルと検出された前記3相誘導機の電流ベクトルとを用いて有効電力成分を特定する有効電力成分特定ユニットであって、前記有効電力成分は、第1条件を満たすパラメータであり、(I)前記第1条件は前記3相誘導機のすべりに応じて前記有効電力成分が変化するという条件である、有効電力成分特定ユニットと、
前記有効電力成分を用いて、前記有効電力成分が目標値に一致するように、前記一次磁束ベクトルの角速度が追従するべき指令角速度を調節する指令角速度特定部であって、前記目標値は、前記すべりを閉区間内に収める値であり、前記閉区間は前記すべりに対して前記3相誘導機のトルクが単調増加する区間であり、前記閉区間の一端で前記トルクが極大値となり、前記閉区間の他端で前記トルクが極小値となる、指令角速度特定部と、
前記指令角速度を用いて前記一次磁束ベクトルの位相が移動するべき制御周期毎の移動量を特定し、特定された前記移動量を用いて前記指令磁束ベクトルの位相である指令位相を特定する指令位相特定部と、を備えた、誘導機制御装置を提供する。
本開示に係る技術は、3相誘導機の回転子が回転している状態で3相誘導機の制御を開始するのに適している。
図1は、3相誘導機、インバータ及び誘導機制御装置のブロック図である。 図2Aは、dq座標系の説明図である。 図2Bは、αβ座標系の説明図である。 図3Aは、実施形態1に係る誘導機制御部のブロック図である。 図3Bは、実施形態1に係る誘導機制御部のブロック図である。 図3Cは、実施形態1に係る誘導機制御部のブロック図である。 図3Dは、実施形態1に係る誘導機制御部のブロック図である。 図4Aは、有効電力特定部のブロック図である。 図4Bは、トルク特定部のブロック図である。 図4Cは、すべり角速度特定部のブロック図である。 図4Dは、トルク角特定部のブロック図である。 図5は、指令角速度特定部のブロック図である。 図6は、一般座標系に基づく誘導機の等価回路の説明図である。 図7は、回転子が停止している場合の誘導機の等価回路の説明図である。 図8は、すべりと電流の関係を説明するための図である。 図9は、PWMインバータの構成図である。 図10Aは、実施形態1に係る誘導機制御装置の効果を説明するための図である。 図10Bは、実施形態1に係る誘導機制御装置の効果を説明するための図である。 図10Cは、実施形態1に係る誘導機制御装置の効果を説明するための図である。 図11Aは、制御方法を示すフロー図である。 図11Bは、制御方法を示すフロー図である。 図12は、変形例1に係る指令角速度特定部のブロック図である。 図13Aは、実施形態2に係る誘導機制御部のブロック図である。 図13Bは、実施形態2に係る誘導機制御部のブロック図である。 図13Cは、実施形態2に係る誘導機制御部のブロック図である。 図13Dは、実施形態2に係る誘導機制御部のブロック図である。 図14は、特許文献1の誘導機制御装置のブロック図である。 図15Aは、従来技術の誘導機制御装置の課題を説明するための図である。 図15Bは、従来技術の誘導機制御装置の課題を説明するための図である。
(本開示の基礎となった知見)
以下では、3相誘導機のすべりという用語及び3相誘導機の速度制御という用語を用いることがある。3相誘導機のすべりは、3相誘導機のすべり角速度を指令角速度で割った値である。3相誘導機のすべり角速度は、3相誘導機の指令角速度から回転子の角速度を引いた値である。3相誘導機の速度制御は、3相誘導機の回転子の角速度の制御であって3相誘導機のすべりに対してトルクが単調増加する範囲にすべりが収まった状態で行われる制御を指す。
図14の制御部300では、指令角速度を調節することにより、任意の指令位相を与えることができる。3相回転機が3相誘導機である場合、指令位相が与えられると、3相誘導機ですべりが発生する。すべりにより、トルクが発生する。トルクは、3相誘導機の回転子の角速度を、指令角速度付近に引き込むことができる。このようにして、3相誘導機の速度制御が実現される。ここで、「指令角速度付近に引き込む」は、3相誘導機が速度制御された状態に移行することを意とした表現であり、3相誘導機のすべりが極めて小さいことを表していると限定的に解釈されるべきものではない。
ところで、3相誘導機の回転子は、フリーランしたり、外部負荷によって回転させられたりすることがある。このような場合、誘導機制御装置が3相誘導機の回転子角速度を把握するのは容易ではない。このため、3相誘導機の速度制御を素早く開始することは、必ずしも容易ではない。以下、この点について、図15A及び15Bを参照しながら具体的に説明する。
指令角速度を、3相誘導機の制御開始時においてゼロに設定し、時間経過とともに上昇させるとする。また、制御開始時において回転子がある角速度で回転しているとする。この場合、図15Aに示すように、指令角速度が回転子角速度にある程度近づいた後に、回転子角速度が指令角速度付近に引き込まれる。これは、すべりが十分に小さくない場合には、回転子角速度を指令角速度付近に引き込むのに必要なトルクを確保できないためである。図15Aの例では、3相誘導機の速度制御が開始されるまでに、時間がかかっている。
指令角速度を、3相誘導機の制御開始時において正の値に設定し、その正の値に維持するとする。また、3相誘導機の回転子角速度は、制御開始時において上記正の値よりも低く、時間経過とともに上昇するとする。この場合、図15Bに示すように、回転子角速度が指令角速度にある程度近づいた後に、回転子角速度が指令角速度付近に引き込まれる。図15Bの例でも、3相誘導機の速度制御が開始されるまでに、時間がかかっている。
図15A及び図15Bから理解されるように、制御開始時の指令角速度と回転子角速度の差及びこれらの角速度の変化の仕方によっては、3相誘導機の速度制御が開始されるまでに時間がかかる。この時間は、回転子のイナーシャが大きい場合には、特に長くなり易い。
そこで、本発明者らは、3相誘導機の回転子が回転している場合に、3相誘導機の速度制御を素早く開始するのに適した技術を検討した。
(本開示に係る一態様の概要)
本開示の第1態様に係る誘導機制御装置は、
3相誘導機の一次磁束ベクトルが指令磁束ベクトルに追従するように、インバータを用いて前記3相誘導機に電圧ベクトルを印加する誘導機制御装置であって、
前記電圧ベクトルと検出された前記3相誘導機の電流ベクトルを用いて有効電力成分を特定する有効電力成分特定ユニットであって、前記有効電力成分は、第1条件と第2条件と第3条件と第4条件と第5条件を満たすパラメータであり、(I)前記第1条件は前記3相誘導機のすべりに応じて前記有効電力成分が変化するという条件であり、(II)前記第2条件は前記すべりの符号が切り替わると前記有効電力成分の符号が切り替わるという条件であり、(III)前記第3条件は前記すべりがゼロを跨ぐ閉区間にあるときに前記すべりに対して前記有効電力成分が単調増加するという条件であり、(VI)前記第4条件は前記閉区間の一端で前記有効電力成分が極大値となるという条件であり、(V)前記第5条件は前記閉区間の他端で前記有効電力成分が極小値となるという条件であり、前記閉区間は前記すべりに対して前記3相誘導機のトルクが単調増加する区間であり、前記一端で前記トルクが極大値となり、前記他端で前記トルクが極小値となる、有効電力成分特定ユニットと、
前記有効電力成分を用いて、前記有効電力成分が前記すべりに対して単調増加するゼロを跨ぐ領域内に収まるように、前記一次磁束ベクトルの角速度が追従するべき指令角速度を調節する指令角速度特定部と、
前記指令角速度を用いて前記一次磁束ベクトルの位相が移動するべき制御周期毎の移動量を特定し、特定された前記移動量を用いて前記指令磁束ベクトルの位相である指令位相を特定する指令位相特定部と、を備えている。
第1態様の誘導機制御装置は、3相誘導機の回転子が回転している場合に、3相誘導機の速度制御を素早く開始するのに適している。具体的には、上述のように、3相誘導機の回転子は、フリーランしたり、外部負荷によって回転させられたりすることがある。この場合、回転子の角速度が分からないことが多い。しかし、第1態様の誘導機制御装置によれば、指令角速度が適切に調節される。これにより、3相誘導機のすべりを素早く小さくできる。このため、3相誘導機の速度制御を素早く開始できる。
本開示の第2態様において、例えば、第1態様に係る誘導機制御装置では、前記有効電力成分は、前記3相誘導機の(A)トルク又は(B)有効電力である。
第2態様の有効電力成分は、第1態様の有効電力成分の具体例である。
本開示の第3態様に係る誘導機制御装置は、
3相誘導機の一次磁束ベクトルが指令磁束ベクトルに追従するように、インバータを用いて前記3相誘導機に電圧ベクトルを印加する誘導機制御装置であって、
前記電圧ベクトルと検出された前記3相誘導機の電流ベクトルとを用いて有効電力成分を特定する有効電力成分特定ユニットであって、前記有効電力成分は、第1条件を満たすパラメータであり、(I)前記第1条件は前記3相誘導機のすべりに応じて前記有効電力成分が変化するという条件である、有効電力成分特定ユニットと、
前記有効電力成分を用いて、前記有効電力成分が目標値に一致するように、前記一次磁束ベクトルの角速度が追従するべき指令角速度を調節する指令角速度特定部であって、前記目標値は、前記すべりを閉区間内に収める値であり、前記閉区間は前記すべりに対して前記3相誘導機のトルクが単調増加する区間であり、前記閉区間の一端で前記トルクが極大値となり、前記閉区間の他端で前記トルクが極小値となる、指令角速度特定部と、
前記指令角速度を用いて前記一次磁束ベクトルの位相が移動するべき制御周期毎の移動量を特定し、特定された前記移動量を用いて前記指令磁束ベクトルの位相である指令位相を特定する指令位相特定部と、を備えている。
第3態様によれば、第1態様と同様、3相誘導機の速度制御を素早く開始できる。
本開示の第4態様において、例えば、第3態様に係る誘導機制御装置では、前記有効電力成分は前記3相誘導機の(A)トルク、(B)有効電力、(C)すべり角速度又は(D)トルク角である。
第4態様の有効電力成分は、第3態様の有効電力成分の具体例である。
本開示の第5態様において、例えば、第1〜第4態様のいずれか1つに係る誘導機制御装置では、前記指令角速度特定部は、前記有効電力成分がゼロになるように、前記指令角速度を調節する。
ゼロは、3相誘導機の動作ポイントを3相誘導機の速度制御を実現可能なポイントに移行させるための有効電力成分の目標値の具体例である。
本開示の第6態様において、例えば、第1〜第5態様のいずれか1つに係る誘導機制御装置では、前記指令角速度特定部は、前記指令角速度の初期値を前記3相誘導機の回転子の定格角速度に設定し、前記指令角速度を前記定格角速度から低下させていく。
3相誘導機の回転子の角速度が不明であるときには、3相誘導機の制御開始時における3相誘導機の回転子の角速度は、回転子の定格角速度よりも小さい場合が多い。その場合、第6態様のように、指令角速度を上記定格角速度から低下させていくと、指令角速度が回転子角速度を下回ることを回避できる。このようにすれば、すべりが十分に小さくなり3相誘導機の速度制御が開始されるまでの期間において、有効電力成分を正の値に維持できる。このようにすれば、上記期間において、3相誘導機の運転を力行運転に維持できる。
上記期間において3相誘導機の運転を力行運転に維持できることには、種々の利点がある。例えば、インバータは、回生機能を持たない又は回生可能容量が小さい場合がある。そのような場合に、3相誘導機の回生運転がなされると、インバータの動作に不具合が生じたり、インバータの保護機能が働いてインバータの動作が停止したりして、誘導機制御装置による3相誘導機の制御に支障が生じることがある。上記期間においてそのような支障が生じると、3相誘導機の速度制御を素早く開始することは困難である。しかし、第6態様によれば、上記期間において3相誘導機の運転を力行運転に維持できる。このため、第6態様は、3相誘導機の速度制御を素早く開始するのに適している。例えば、インバータが回生機能を持たない場合又は回生可能容量が小さい場合であっても、3相誘導機の回転子がフリーランしたり外部負荷によって回転させられたりしている状態から3相誘導機が速度制御された状態へと素早く移行できる。
本開示の第7態様において、例えば、第1〜第6態様のいずれか1つに係る誘導機制御装置では、前記インバータは、前記電流ベクトルの振幅が過電流閾値以上に達すると、前記3相誘導機への前記電圧ベクトルの印加を停止し、前記誘導機制御装置は、前記指令磁束ベクトルの振幅である指令振幅を特定する指令振幅特定部を備え、前記指令振幅の初期値は、前記3相誘導機の電機子抵抗による電圧降下がゼロであると仮定したときに、計算上、前記すべりが1で前記指令角速度が前記3相誘導機の回転子の定格角速度である場合に前記電流ベクトルの振幅を制限値にする値である。ここで、前記制限値は、前記過電流閾値未満の値である。
3相誘導機を流れる電流には、すべりに対する依存性がある。具体的には、3相誘導機では、回転子の回転数がゼロですべりが1であるときに、最も大きい電流が流れる。この点、第7態様では、指令磁束ベクトルの振幅である指令振幅の初期値を、すべりが1の場合を想定したものにする。このため、第7態様は、過電流によりインバータから3相誘導機への電圧ベクトルの印加が停止することを防止するのに適している。このことは、3相誘導機の速度制御を素早く開始する観点から有利である。例えば、第6態様のように指令角速度を変化させる場合には、3相誘導機が速度制御されるまでの期間において、すべりが大きい値をとることがある。しかし、第7態様は、そのようなすべりが大きい期間において過電流が発生するのを防止するのに適している。従って、第7態様によれば、第6態様のように指令角速度を変化させる場合であっても、3相誘導機の速度制御を素早く開始できる。
本開示の第8態様において、例えば、第1〜第7態様のいずれか1つに係る誘導機制御装置では、前記有効電力成分特定ユニットは、負荷電流特定部を有し、前記負荷電流特定部は、検出された前記電流ベクトルを用いて、前記3相誘導機の固定子電流ベクトルから前記3相誘導機の鉄損電流ベクトルを差し引いたベクトルである負荷電流ベクトルを特定し、前記有効電力成分特定ユニットは、前記負荷電流ベクトルを用いて前記有効電力成分を特定する。
3相誘導機の回転子の角速度が大きいときには、3相誘導機の鉄損の割合が大きい。この点、固定子電流ベクトルではなく負荷電流ベクトルを用いれば、鉄損を考慮して有効電力成分を特定できる。このため、第8態様によれば、回転子角速度が大きい場合であっても、精度よく有効電力成分を特定できる。このことは、指令角速度の精度のよい特定を可能とする。このことは、3相誘導機の速度制御を素早く開始する観点から有利である。
本開示の第9態様に係る誘導機制御方法は、
3相誘導機の一次磁束ベクトルが指令磁束ベクトルに追従するように、インバータを用いて前記3相誘導機に電圧ベクトルを印加する誘導機制御方法であって、
前記電圧ベクトルと検出された前記3相誘導機の電流ベクトルを用いて有効電力成分を特定することと、ここで、前記有効電力成分は、第1条件と第2条件と第3条件と第4条件と第5条件を満たすパラメータであり、(I)前記第1条件は前記3相誘導機のすべりに応じて前記有効電力成分が変化するという条件であり、(II)前記第2条件は前記すべりの符号が切り替わると前記有効電力成分の符号が切り替わるという条件であり、(III)前記第3条件は前記すべりがゼロを跨ぐ閉区間にあるときに前記すべりに対して前記有効電力成分が単調増加するという条件であり、(VI)前記第4条件は前記閉区間の一端で前記有効電力成分が極大値となるという条件であり、(V)前記第5条件は前記閉区間の他端で前記有効電力成分が極小値となるという条件であり、前記閉区間は前記すべりに対して前記3相誘導機のトルクが単調増加する区間であり、前記一端で前記トルクが極大値となり、前記他端で前記トルクが極小値となる;
前記有効電力成分を用いて、前記有効電力成分が前記すべりに対して単調増加するゼロを跨ぐ領域内に収まるように、前記一次磁束ベクトルの角速度が追従するべき指令角速度を調節することと;
前記指令角速度を用いて前記一次磁束ベクトルの位相が移動するべき制御周期毎の移動量を特定し、特定された前記移動量を用いて前記指令磁束ベクトルの位相である指令位相を特定することと、を備えている。
第9態様によれば、第1態様と同じ効果が得られる。
本開示の第10態様に係る誘導機制御方法は、
3相誘導機の一次磁束ベクトルが指令磁束ベクトルに追従するように、インバータを用いて前記3相誘導機に電圧ベクトルを印加する誘導機制御方法であって、
前記電圧ベクトルと検出された前記3相誘導機の電流ベクトルとを用いて有効電力成分を特定することと、ここで、前記有効電力成分は、第1条件を満たすパラメータであり、(I)前記第1条件は前記3相誘導機のすべりに応じて前記有効電力成分が変化するという条件である;
前記有効電力成分を用いて、前記有効電力成分が目標値に一致するように、前記一次磁束ベクトルの角速度が追従するべき指令角速度を調節することと、ここで、前記目標値は、前記すべりを閉区間内に収める値であり、前記閉区間は前記すべりに対して前記3相誘導機のトルクが単調増加する区間であり、前記閉区間の一端で前記トルクが極大値となり、前記閉区間の他端で前記トルクが極小値となる;
前記指令角速度を用いて前記一次磁束ベクトルの位相が移動するべき制御周期毎の移動量を特定し、特定された前記移動量を用いて前記指令磁束ベクトルの位相である指令位相を特定することと、を備えている。
第10態様によれば、第3態様と同じ効果が得られる。
誘導機制御装置の技術は、誘導機制御方法に適用できる。誘導機制御方法の技術は、誘導機制御装置に適用できる。
本開示の第11態様に係るコンピュータプログラムは、第9態様又は第10態様の誘導機制御方法を実行するための命令を含む。
本開示の第12態様に係るメモリは、第11態様のコンピュータプログラムが格納された、コンピュータによる読み取りが可能なメモリである。
本開示の第13態様に係るプロセッサは、第11態様のコンピュータプログラムを実行する。
本開示の第14態様に係る制御システムは、
第11態様のコンピュータプログラムが格納された、コンピュータによる読み取りが可能なメモリと、
前記コンピュータプログラムを実行するプロセッサと、を備える。
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1に、実施形態1に係る誘導機制御装置100を示す。誘導機制御装置100は、第1電流センサ105a、第2電流センサ105b、誘導機制御部101及びデューティ生成部103を含んでいる。誘導機制御装置100は、インバータ104及び3相誘導機102に接続され得る。
3相誘導機102は、回転子と、固定子とを有している。固定子は、3相分の電機子巻線を有している。以下では、3相誘導機102のU相に対応する電機子巻線を、U相巻線と称することがある。3相誘導機102のV相に対応する電機子巻線を、V相巻線と称することがある。3相誘導機102のW相に対応する電機子巻線を、W相巻線と称することがある。
誘導機制御部101は、3相誘導機102が所望の指令角速度での駆動を実現するための構成を有している。また、誘導機制御部101は、3相誘導機102の速度・位置センサレス運転を実行するように構成されている。速度・位置センサレス運転は、エンコーダ、レゾルバ等の位置センサを用いない運転である。磁束ベクトルは、3相誘導機102に印加されている3相交流座標上の電機子鎖交磁束ベクトルと、この電機子鎖交磁束を座標変換することにより得た磁束ベクトルの両方を含む概念である。同様に、電流ベクトルは、3相誘導機102を流れている3相交流座標上の電流ベクトルと、この電流ベクトルを座標変換することにより得た電流ベクトルの両方を含む概念である。同様に、電圧ベクトルは、3相誘導機102に印加されている3相交流座標上の電圧ベクトルと、この電圧ベクトルを座標変換することにより得た電圧ベクトルの両方を含む概念である。本明細書では、「振幅」は、単に大きさ(絶対値)を指す場合がある。
誘導機制御装置100の一部又は全部の要素は、DSP(Digital Signal Processor)又はマイクロコンピュータにおいて実行される制御アプリケーションによって提供され得る。DSP又はマイクロコンピュータは、コア、メモリ、A/D変換回路及び通信ポート等の周辺装置を含んでいてもよい。また、誘導機制御装置100の一部又は全部の要素は、論理回路によって構成されていてもよい。
(誘導機制御装置100を用いた制御の概要)
図1を参照しながら、誘導機制御装置100を用いた制御の概要を説明する。電流センサ105a,105bによって、相電流iu,iwが検出される。誘導機制御部101によって、相電流iu,iwから、指令電圧ベクトルvu *,vv *,vw *が生成される。指令電圧ベクトルvu *,vv *,vw *の各成分は、それぞれ3相交流座標上のU相電圧、V相電圧及びW相電圧に対応する。デューティ生成部103によって、指令電圧ベクトルvu *,vv *,vw *から、デューティDu,Dv,Dwが生成される。インバータ104によって、デューティDu,Dv,Dwから、3相誘導機102に印加するべき電圧ベクトルvu,vv,vwが生成される。後述するように、誘導機制御装置100内で、指令角速度ωref *が特定される。指令角速度ωref *は、3相誘導機102の一次磁束ベクトルの角速度が追従するべき角速度を表す。3相誘導機102は、一次磁束ベクトルの角速度が指令角速度ωref *に追従するように制御される。
図2Aに示すdq座標系は、回転座標系である。d軸及びq軸は、回転子磁束ベクトルの角速度と同じ角速度で回転する。回転子磁束ベクトルは、二次磁束ベクトルとも称される。図2Aでは、正規化二次磁束ψ2nが図示されている。正規化二次磁束ψ2nは、d軸、q軸及び回転子磁束ベクトルと同じ角速度で回転する。図2Aの反時計回り方向が、位相の進み方向である。d軸は、回転子磁束ベクトルの方向に延びる軸として設定されている。q軸は、d軸を進み方向に90度回転させた軸として設定されている。U軸は、U相巻線に対応する。V軸は、V相巻線に対応する。W軸は、W相巻線に対応する。U軸、V軸及びW軸は、回転子が回転しても、回転しない。つまり、U軸、V軸及びW軸は、固定軸である。
(誘導機制御部101について)
図3Aに、誘導機制御部101の一例である誘導機制御部101aを示す。誘導機制御部101aは、3相2相座標変換部106a、一次磁束特定部108、有効電力成分特定部110、指令角速度特定部111、指令位相特定部112、指令振幅特定部113、指令磁束特定部114、磁束偏差特定部140、指令電圧特定部115及び2相3相座標変換部106bを含んでいる。
本実施形態では、3相2相座標変換部106aは、u,w/α,β変換部である。以下では、u,w/α,β変換部106aという表記を用いることがある。ただし、3相2相座標変換部106aとして、任意の3相2相座標変換部を用いることができる。本実施形態では、2相3相座標変換部106bは、α,β/u,v,w変換部である。以下では、α,β/u,v,w変換部106bという表記を用いることがある。ただし、2相3相座標変換部106bとして、任意の2相3相座標変換部を用いることができる。
誘導機制御部101aでは、u,w/α,β変換部106aによって、相電流iu,iwが、軸電流iα,iβに変換される。軸電流iα,iβは、3相誘導機102のα−β座標上におけるα軸電流iα及びβ軸電流iβをまとめて記載したものである。相電流iu,iw及び軸電流iα,iβは電流ベクトルである。このため、相電流iu,iw及び軸電流iα,iβをそれぞれ電流ベクトルiu,iw及び電流ベクトルiα,iβと称することができる。具体的には、これらの電流ベクトルは、固定子電流ベクトルである。一次磁束特定部108によって、指令軸電圧vα *,vβ *及び軸電流iα,iβから、3相誘導機102の一次磁束ベクトルが推定される。以下、推定された一次磁束ベクトルを推定一次磁束ベクトルψsと表記することがある。推定一次磁束ベクトルψsのα軸成分及びβ軸成分をそれぞれ推定磁束ψα及び推定磁束ψβと記載する。推定磁束ベクトルψsの振幅を|ψs|と記載する。軸指令電圧vα *,vβ *は、次の制御サイクルにおいて3相誘導機102に印加される電圧ベクトルを規定する。有効電力成分特定部110によって、3相誘導機102の有効電力成分が推定される。以下、推定された有効電力成分を推定有効電力成分Xと表記することがある。指令角速度特定部111によって、推定有効電力成分Xから、指令回転子角速度指令ωref *が特定される。指令位相特定部112よって、指令角速度ωref *から、指令位相θs *が特定される。指令振幅特定部113によって、指令振幅|ψs *|が特定される。指令磁束特定部114によって、指令位相θs *及び指令振幅|ψs *|から、指令磁束ベクトルψs *が特定される。指令磁束ベクトルψs *のα軸成分及びβ軸成分を、それぞれα軸指令磁束ψα *及びβ軸指令磁束ψβ *と記載する。磁束偏差特定部140によって、α軸指令磁束ψα *と推定一次磁束ψαとの偏差(磁束偏差Δψα=ψα *−ψα)が求められる。磁束偏差特定部140によって、β軸指令磁束ψβ *と推定磁束ψβとの偏差(磁束偏差Δψβ=ψβ *−ψβ)が求められる。指令電圧特定部115によって、磁束偏差Δψα,Δψβ及び軸電流iα,iβから、指令軸電圧vα *,vβ *が特定される。指令軸電圧vα *,vβ *は、3相誘導機102のα−β座標上におけるα軸指令電圧vα *及びβ軸指令電圧vβ *をまとめて記載したものである。指令軸電圧vα *,vβ *は電圧ベクトルであるので、指令軸電圧vα *,vβ *を指令電圧ベクトルvα *,vβ *と称することができる。α,β/u,v,w変換部106bによって、指令軸電圧vα *,vβ *が、指令電圧ベクトルvu *,vv *,vw *に変換される。
このようなフィードバック制御により、3相誘導機102の一次磁束ベクトルが指令磁束ベクトルψs *に追従するように、インバータ104を介して3相誘導機102に電圧ベクトルが印加される。本実施形態では、指令角速度特定部111において、3相誘導機102の回転子角速度ω2nを指令角速度ωref *付近に引き込むことが可能となるように、指令角速度ωref *が特定される。このため、3相誘導機102の速度制御を素早く開始できる。
本明細書では、軸電流iα,iβは、実際に3相誘導機102を流れる電流ではなく、情報として伝達される電流値を意味する。指令軸電圧vα *,vβ *、推定一次磁束ψs、有効電力成分X、指令角速度ωref *、指令位相θs *、指令振幅|ψs *|、指令磁束ベクトルψs *、指令電圧ベクトルvu *,vv *,vw *等も同様である。
本実施形態の制御に関する各構成要素について、以下で説明する。
(第1電流センサ105a、第2電流センサ105b)
第1電流センサ105a及び第2電流センサ105bは、3相誘導機102の相電流iu,iwを検出する。図1に示す第1電流センサ105a及び第2電流センサ105bとして、公知の電流センサを用いることができる。本実施形態では、第1電流センサ105aは、u相を流れる相電流iuを測定するように設けられている。第2電流センサ105bは、w相を流れる相電流iwを測定するように設けられている。ただし、第1電流センサ105a及び第2電流センサ105bは、u相及びw相の2相以外の組み合わせの2相の電流を測定するように設けられていてもよい。以下では、第1電流センサ105a及び第2電流センサ105bの組み合わせを電流検出部と称することがある。電流検出部は、電流ベクトルを検出する。
(u,w/α,β変換部106a)
図3Aに示すu,w/α,β変換部106aは、相電流iu,iwを軸電流iα,iβに変換する。具体的に、u,w/α,β変換部106aは、式(1−1)及び(1−2)により、相電流iu,iwを軸電流iα,iβに変換して、軸電流iα,iβを出力する。
Figure 2019146399
Figure 2019146399
(一次磁束特定部108)
一次磁束特定部108は、3相誘導機102の一次磁束ベクトルを推定する。これにより、推定一次磁束ベクトルψα,ψβが特定される。具体的には、一次磁束特定部108は、軸電流iα,iβ及び指令軸電圧vα *,vβ *から、推定一次磁束ベクトルψα,ψβを求める。より具体的には、一次磁束特定部108は、式(1−3)及び(1−4)を用いて、推定一次磁束ψα,ψβを求める。式(1−3)及び(1−4)におけるψα|t=0、ψβ|t=0は、それぞれ推定磁束ψα,ψβの初期値である。式(1−3)及び(1−4)におけるRaは、3相誘導機102の固定子抵抗である。本実施形態では、式(1−3)及び(1−4)における演算のために必要となる積分器は離散系で構成されている。
Figure 2019146399
Figure 2019146399
推定一次磁束ψsの特定の際に、指令軸電圧vαβ *に代えて、検出された3相誘導機102の電圧ベクトル(例えば2相電圧vαβ)を用いることもできる。すなわち、式(1−3)の「vα *」を「vα」に置き換え、式(1−4)の「vβ *」を「vβ」に置き換えることができる。具体的には、一次磁束特定部108は、3相誘導機102に印加されている電圧ベクトルの検出値を3相2相変換させて得た2相電圧(例えば2相電圧vαβ)を用いて推定一次磁束ψsを特定するものであってもよい。これらの点は、後述の推定有効電力Paの特定に際しても同様である。
(有効電力成分特定部110)
有効電力成分特定部110は、3相誘導機102の有効電力成分を推定する。これにより、推定有効電力成分Xが特定される。
図3Aに示す例では、3相誘導機102の有効電力成分は、3相誘導機102の有効電力である。有効電力成分特定部110は、有効電力特定部110aである。図4Aに示すように、有効電力特定部110aは、検出された電流ベクトルiα,iβと指令電圧ベクトルvα *,vβ *とを用いて、有効電力を推定する。これにより、推定有効電力Paが特定される。具体的には、有効電力特定部110aは、式(1−5)を用いて、推定有効電力Paを特定する。
Figure 2019146399
本実施形態の第1の別例では、3相誘導機102の有効電力成分は、3相誘導機102のトルクである。この別例では、誘導機制御部101として、図3Bに示す誘導機制御部101bが用いられている。また、有効電力成分特定部110として、図4Bに示すトルク特定部110bが用いられている。トルク特定部110bは、検出された電流ベクトルiα,iβと推定一次磁束ベクトルψα,ψβとを用いて、トルクを推定する。これにより、推定トルクTeが特定される。具体的には、トルク特定部110bは、式(1−6)を用いて、推定トルクTeを特定する。Npは、3相誘導機102の極対数である。
Figure 2019146399
本実施形態の第2の別例では、3相誘導機102の有効電力成分は、3相誘導機102のすべり角速度である。
第2の別例では、誘導機制御部101として、図3Cに示す誘導機制御部101cが用いられている。誘導機制御部101cは、二次磁束特定部109を備えている。二次磁束特定部109は、推定一次磁束ベクトルψα,ψβと検出された電流ベクトルiα,iβとを用いて、3相誘導機102の正規化二次磁束ベクトルを推定する。これにより、推定正規化二次磁束ベクトルψ2nが特定される。推定正規化二次磁束ベクトルψ2nのα軸成分及びβ軸成分をそれぞれ推定正規化二次磁束ψ2nα及び推定正規化二次磁束ψ2nβと記載する。具体的には、二次磁束特定部109は、式(1−7)を用いて、推定正規化二次磁束ベクトルψ2nα,ψ2nβを特定する。式(1−7)におけるl1taは、3相誘導機102の正規化電機子反作用磁束である。l1tは、3相誘導機102の固定子総合漏れインダクタンスである。iaは、電流ベクトルiα,iβをまとめて記載したものである。本実施形態では、この例では、式(1−7)における演算のために必要となる積分器は離散系で構成されている。
Figure 2019146399
また、第2の別例では、有効電力成分特定部110として、図4Cに示すすべり角速度特定部110cが用いられている。すべり角速度特定部110cは、すべり角速度を推定する。これにより、推定すべり角速度ωsが特定される。推定すべり角速度ωsは、式(1−8)又は(1−9)を用いて特定できる。式(1−8)又は(1−9)と式(1−6)とを合わせて考慮することにより、推定すべり角速度ωsを電流ベクトルiα,iβと推定一次磁束ベクトルψα,ψβと推定正規化二次磁束ベクトルψ2nα,ψ2nβを用いて特定できることが分かる。実際に、この例のすべり角速度特定部110cは、電流ベクトルiα,iβと推定一次磁束ベクトルψα,ψβと推定正規化二次磁束ベクトルψ2nα,ψ2nβを用いて、すべり角速度を推定する。これにより、推定すべり角速度ωsが特定される。具体的には、この例のすべり角速度特定部110cは、式(1−10)を用いて、推定すべり角速度ωsを特定する。R2は、3相誘導機102の二次抵抗である。Mは、3相誘導機102の相互インダクタンスである。L2は、3相誘導機102の回転子インダクタンスである。R2nは、3相誘導機102の正規化二次抵抗である。
Figure 2019146399
本実施形態の第3の別例では、3相誘導機102の有効電力成分は、3相誘導機102のトルク角である。
この別例では、誘導機制御部101として、図3Dに示す誘導機制御部101dが用いられている。誘導機制御部101dは、上述の二次磁束特定部109を備えている。
また、第3の別例では、有効電力成分特定部110として、図4Dに示すトルク角特定部110dが用いられている。トルク角特定部110dは、推定一次磁束ベクトルψα,ψβと推定正規化二次磁束ベクトルψ2nα,ψ2nβを用いて、トルク角を推定する。これにより、推定トルク角δが特定される。具体的には、トルク角特定部110dは、式(1−11)を用いて、推定トルク角δを特定する。
Figure 2019146399
なお、図3Bにおいて、図3Aと同様の動作をする要素には、同じ参照符号を付し、その説明を省略している。この点は、図3C及び図3Dについても同様である。
(指令角速度特定部111)
指令角速度特定部111は、有効電力成分Xから、指令角速度ωref *を特定する。指令角速度特定部111の一例である指令角速度特定部111aを、図5に示す。指令角速度特定部111aは、目標値付与部125と、有効電力成分偏差演算部121と、PI補償器122と、初期角速度特定部123と、指令角速度演算部124と、を有している。指令角速度特定部111aは、離散系で構成されている。
(目標値付与部125)
目標値付与部125は、有効電力成分の目標値を有している。本実施形態では、目標値は定数であり、具体的にはゼロである。これにより、有効電力成分を所望の目標値に調節することができる。なお、目標値は、ゼロでなくてもよい。例えば、目標値を正の値に設定することにより、3相誘導機102の回生運転を回避し易くなる。
(有効電力成分偏差演算部121)
有効電力成分偏差演算部121は、目標値付与部125が有する目標値と推定有効電力成分Xの値を取得し、これらの偏差ΔXを求める。図5の例では、偏差ΔXは、目標値から有効電力成分Xの値を引いた値である。有効電力偏差演算部121としては、公知の演算子を用いることができる。
(PI補償器122)
PI補償器122は、偏差ΔXがゼロになるように、指令角速度の補正量Δωrefを特定する。具体的には、PI補償器122は、式(1−12)を用いて補正量Δωrefを特定する。式(1−12)におけるKiPは比例ゲインである。KiIは積分ゲインである。本実施形態では、式(1−12)における演算のために必要となる積分器は、離散系で構成されている。
Figure 2019146399
(初期角速度特定部123)
初期角速度特定部123は、指令角速度の初期値ωref1を特定する。初期値ωref1は、所望の値であり得る。本実施形態では、初期値ωref1は、3相誘導機102の回転子の定格角速度ωrateである。
(指令角速度演算部124)
指令角速度演算部124は、初期値ωref1と補正量Δωrefを取得し、指令角速度ωref *を求める。図5の例では、指令角速度ωref *は、初期値ωref1と補正量Δωrefの合計である。指令角速度演算部124としては公知の演算子を用いることができる。
図3Aの例及び図3Bに示す第1の別例では、一次磁束特定部108及び有効電力成分特定部110は、有効電力成分特定ユニット150を構成している。具体的には、図3Aの例では、一次磁束特定部108及び有効電力特定部110aは、有効電力成分特定ユニット150を構成している。第1の別例では、一次磁束特定部108及びトルク特定部110bは、有効電力成分特定ユニット150を構成している。図3C及び図3Dに示す第2の別例及び3の別例では、一次磁束特定部108、二次磁束特定部109及び有効電力成分特定部110は、有効電力成分特定ユニット150を構成している。具体的には、第2の別例では、一次磁束特定部108、二次磁束特定部109及びすべり角速度特定部110cは、有効電力成分特定ユニット150を構成している。第3の別例では、一次磁束特定部108、二次磁束特定部109及びトルク角特定部110dは、有効電力成分特定ユニット150を構成している。図3A〜3Dの有効電力成分特定ユニット150は、検出された3相誘導機102の電流ベクトルiα,iβを用いて有効電力成分Xを特定する。
(指令位相特定部112)
指令位相特定部112は、指令角速度ωref *を用いて、指令位相θs *を特定する。指令位相θs *は、指令磁束ベクトルψs *の位相である。本実施形態では、指令位相特定部112は、指令角速度ωref *を積分することによって、指令位相θs *を求める。具体的には、本実施形態では、指令位相特定部112は、離散系で構成されている。このため、指令角速度ωref *を積分することは、指令角速度ωref *と制御周期Tsとの積ωref *sを積算することを意味する。積ωref *sは、一次磁束ベクトルの位相が移動するべき制御周期Ts毎の移動量である。つまり、指令位相特定部112は、移動量ωref *sを特定し、特定された移動量ωref *sを用いて、指令位相θs *を特定する。具体的に、指令位相特定部112は式(1−13)により、指令位相θs *を求める。
Figure 2019146399
(指令振幅特定部113)
指令振幅特定部113は、3相誘導機102の運転状態に合わせて指令振幅|ψs *|を特定する。以下、本実施形態における指令振幅|ψs *|の導出方法について説明する。
非特許文献1から理解されるように、誘導機の一般座標系(より具体的には、任意の速度ωγで回転するγδ一般座標系)での数学モデルは、式(1−14)及び(1−15)で表される。また、式(1−16A)及び(1−16B)の関係が成り立つ。Mは、相互インダクタンスである。L1は、固定子インダクタンスである。L2は、回転子インダクタンスである。Raは、固定子抵抗である。R2は、回転子抵抗である。Mnは、正規化相互インダクタンスである。R2nは、正規化回転子抵抗である。l1tは、固定子総合漏れインダクタンスである。W2は、回転子逆時定数である。回転子逆時定数は、回転子時定数の逆数である。ψ2は、回転子磁束である。ψ2は、二次磁束とも称される。ψ2nは、正規化回転子磁束である。ψ2nは、正規化二次磁束とも称される。vは、固定子電圧である。iは、固定子電流である。ω1は、固定子磁束角速度である。ω2nは、回転子速度である。Npは、極対数である。Iは、2×2単位行列である。Jは、2×2交代行列である。D(s,ωγ)は、D因子である。sは、微分演算子d/dtである。本明細書で用いる二次磁束ψ2と正規化二次磁束ψ2nは、方向が同じで振幅が異なるが、本質的に二次(ロータ)側に生じる磁束として定義される。
Figure 2019146399
式(1−14)及び(1−15)より、誘導電動機の等価回路は図6のように表すことができる。ここで、一次電流が最大となる条件すなわちすべり=1においては、等価回路は図7のようになる。このとき、回路のインピーダンスは式(1−17A)のように表すことができる。図6のiLは、式(1−17B)のように表すことができる。i2nは、式(1−17C)のように表すことができる。ifは、式(1−17D)のように表すことができる。
Figure 2019146399
指令電圧ベクトルの振幅をVrefとすると、すべり=1の時に誘導機に流れる電流ベクトルの振幅|i|は式(1−18)のように表すことができる。式(1−18)のV1は固定子電圧の相電圧の実効値である。
Figure 2019146399
インバータは、過電流に対する保護機能を有している場合がある。具体的には、インバータでは、電流の過電流閾値が設定されており、自身を流れる電流の振幅が過電流閾値以上に達すると、自身から3相誘導機102への電圧供給を停止する場合がある。本実施形態では、そのようにして電圧供給が停止されるのを防止できるように、指令振幅|ψs *|の初期値を設定する。具体的には、式(1−18)が成立するという条件で、指令角速度ωref *が定格角速度ωrateであり電流ベクトルの振幅|i|が制限値Irateである場合のVrefを求める。つまり、すべりが1であり指令角速度ωref *が定格角速度ωrateであり振幅|i|が制限値Irateである場合のVrefを求める。ここで、制限値Irateは、過電流閾値未満の値である。制限値Irateは、例えば、インバータを流れる電流ベクトルの振幅の定格値以下の値であり、本実施形態では、インバータを流れる電流ベクトルの振幅の定格値である。さらに、3相誘導機102の電機子抵抗による電圧降下の影響が十分に小さいと仮定すると、指令電圧と指令角速度の関係を併せて考慮することにより、上記の場合の指令振幅|ψs *|は、式(1−19)のように近似することができる。
Figure 2019146399
図8に、すべり−電流曲線G1と、すべり−電流曲線G2と、を示す。すべり−電流曲線G1は、式(1−19)の指令振幅|ψs *|よりも大きい値を指令振幅特定部113の指令振幅|ψs *|として採用した場合における、3相誘導機102のすべりと電流ベクトルの振幅との関係を示す。すべり−電流曲線G2は、式(1−19)の指令振幅|ψs *|を指令振幅特定部113の指令振幅|ψs *|として採用した場合における、3相誘導機102のすべりと電流ベクトルの振幅との関係を示す。曲線G1及びG2は、計算から得られたものである。曲線G1は、すべりが大きい領域において、電流ベクトルの振幅が大きいことを示している。これに対し、曲線G2は、すべりが大きい領域においても、電流ベクトルの振幅が抑えられていることを示している。
本実施形態では、インバータ104は、過電流に対する保護機能を有している。具体的には、インバータ104は、自身を過電流閾値以上の振幅の電流が流れると、自身から3相誘導機102への電圧供給を停止する。図8では、電流ベクトルの振幅は、曲線G1に従って推移する場合には、すべりが大きい領域で過電流閾値を超えている。一方、図8では、電流ベクトルの振幅は、曲線G2に従って推移する場合には、すべりが大きい領域でも制限値を超えていない。当然ながら、その場合には、電流ベクトルの振幅は、過電流閾値(>制限値)を超えていない。曲線G1及び曲線G2は、式(1−19)に基づいて指令振幅|ψs *|を設定することが、過電流による3相誘導機102への電圧供給停止を回避する観点から有利であることを表している。
以上を考慮し、本実施形態では、指令振幅特定部113の指令振幅|ψs *|の初期値を、式(1−19)の指令振幅|ψs *|にしている。これにより、過電流によりインバータ104の動作が停止するおそれが低減する。このことは、3相誘導機102の速度制御を素早く開始する観点から有利である。
(指令磁束特定部114)
図3Aに戻って、指令磁束特定部114は、制御サイクル毎に、指令位相θs *及び指令振幅|ψs *|を用いて、指令磁束ベクトルψs *を特定する。特定された指令磁束ベクトルψs *は、次の制御サイクルにおいて3相誘導機102に印加される一次磁束ベクトルを規定する。具体的に、式(1−20)及び(1−21)を用いて、指令磁束ベクトルψs *を求める。指令磁束ψα *は、指令磁束ベクトルψs *のα軸成分である。指令磁束ψβ *は、指令磁束ベクトルψs *のβ軸成分である。
Figure 2019146399
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なお、指令振幅特定部113、指令位相特定部112及び指令磁束特定部114は、1つのまとまった演算部を構成していてもよい。
(磁束偏差特定部140)
磁束偏差特定部140は、指令磁束ψα *と推定磁束ψαを取得し、これらの偏差(磁束偏差Δψα:ψα *−ψα)を求める。また、磁束偏差特定部140は、指令磁束ψβ *と推定磁束ψβを取得し、これらの偏差(磁束偏差Δψβ:ψβ *−ψβ)を求める。磁束偏差特定部140としては、公知の演算子を用いることができる。
(指令電圧特定部115)
指令電圧特定部115は、制御サイクル毎に、指令軸電圧(指令電圧ベクトル)vα *,vβ *を特定する。特定された指令軸電圧vα *,vβ *は、次の制御サイクルにおいて3相誘導機102に印加される電圧ベクトルを規定する。具体的には、指令電圧特定部115は、磁束偏差Δψα,Δψβ及び軸電流iα,iβから、指令軸電圧vα *,vβ *を求める。より具体的には、指令電圧特定部115は、式(1−22)を用いてα軸指令電圧vα *を求め、式(1−23)を用いてβ軸指令電圧vβ *を求める。
Figure 2019146399
Figure 2019146399
(α,β/u,v,w変換部106b)
α,β/u,v,w変換部106bは、指令軸電圧vα *,vβ *を、指令電圧ベクトルvu *,vv *,vw *に変換する。具体的に、α,β/u,v,w変換部106bは、式(1−24)により、指令軸電圧vα *,vβ *を指令電圧ベクトルvu *,vv *,vw *に変換して、指令電圧ベクトルvu *,vv *,vw *を出力する。
Figure 2019146399
(デューティ生成部103)
図1に示すデューティ生成部103は、指令電圧ベクトルvu *,vv *,vw *から、デューティDu,Dv,Dwを生成する。本実施形態では、デューティ生成部103は、指令電圧ベクトルvu *,vv *,vw *の各成分を、各相のデューティDu,Dv,Dwに変換する。デューティDu,Dv,Dwの生成方法としては、一般的な電圧形PWMインバータに用いられる方法を用いることができる。例えば、デューティDu,Dv,Dwは、指令電圧ベクトルvu *,vv *,vw *を、直流電源118(図9)の電圧値Vdcの半分の値で除すことにより求めてもよい。この場合、デューティDuは、2×vu */Vdcである。デューティDvは、2×vv */Vdcである。デューティDwは、2×vw */Vdcである。デューティ生成部103は、デューティDu,Dv,Dwを出力する。
(インバータ104)
本実施形態では、インバータ104は、PWMインバータである。図9に示すように、PWMインバータ104は、スイッチング素子119a,119b,119c,119d,119e,119f及び還流ダイオード120a,120b,120c,120d,120e,120fが対になった変換回路、ベースドライバ116、平滑コンデンサ117及び直流電源118を含む。直流電源118は、ダイオードブリッジ等によって整流された出力を表す。
PWMインバータ104は、PWM制御によって3相誘導機102に電圧ベクトルを印加する。具体的には、3相誘導機102への給電は、スイッチング素子119a〜119fを介して、直流電源118から行われる。より具体的には、まず、デューティDu,Dv,Dwがベースドライバ116に入力される。次に、デューティDu,Dv,Dwがスイッチング素子119a〜119fを電気的に駆動するためのドライブ信号に変換される。次に、ドライブ信号に従って各スイッチング素子119a〜119fが動作する。
本実施形態では、PWMインバータ104は、スイッチング素子119a〜119fを用いた3相スイッチング回路である。スイッチング素子119a〜119fとしては、例えば、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)及びIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)が挙げられる。
本実施形態の誘導機制御装置100は、PMWインバータ104を用いて、電圧ベクトルを3相誘導機102に印加する。具体的には、誘導機制御装置100は、PMWインバータ104を用いて、前の制御サイクルにおいて特定された現在の制御サイクル用の指令電圧ベクトルを平均値とする電圧ベクトルを3相誘導機102に印加する。
本実施形態における3相誘導機102は、例えば、かご型誘導電動機である。
(本実施形態の効果)
以下、本実施形態の効果について、3相誘導機102のすべりとトルクとの関係について言及しつつ、説明する。
図10Aに示すように、3相誘導機102のすべりが正のときは、3相誘導機102のトルクは正である。すべりがゼロのときは、トルクはゼロである。すべりが負のときは、トルクは負である。トルクが正であることは、3相誘導機102の力行運転がなされることを意味する。トルクが負であることは、3相誘導機102の回生運転がなされることを意味する。
図10Aに示すように、すべりが1に近いとき、トルクは、ゼロに近い正の値をとる。この状態からすべりが減少すると、トルクが増加し、すべりが正の値s1となったときにトルクが正の極大値をとる。すべりがs1から減少してゼロになると、トルクがゼロになる。すべりがゼロから減少して負の値s2となったときにトルクが負の極小値をとる。すべりがs2から減少して−1に近づくと、トルクはゼロに近い負の値となる。なお、すべりがs1のときのトルク及びすべりがs2のときのトルクは、脱調トルクと呼ばれることがある。
図10Aに示すように、すべりがs2とs1の間の閉区間にあるときには、すべりに対してトルクが単調増加する。すべりがこの区間にあるときには、3相誘導機102の回転子の角速度を指令角速度付近に引き込むことができる。つまり、3相誘導機102を速度制御できる。
図10Bを用いて、比較形態における、電流及びトルクの時間変化を説明する。この比較形態では、指令角速度を、回転子角速度よりも大きい値から回転子角速度よりも小さい値まで単調減少させる。この比較形態では、説明の便宜上、回転子角速度が一定に維持されると仮定する。現実には、3相誘導機102に電流を無制限に流せない状況がある。そのような状況においては、指令角速度の変化が速い場合、回転子のイナーシャが大きい場合、回転子が外部負荷によって回転させられている場合等には、回転子角速度が指令角速度の変化に合わせて変化できない場合がある。
図10Bに示すように、指令角速度が回転子角速度よりも大きい値から減少していくと、トルクは、ゼロに近い正の値から増加し、正の極大値となり、ゼロを跨いで減少し、負の極小値となり、その後、増加してゼロに近い負の値に収束する。図10Bから理解されるように、回転子角速度は、指令角速度付近に引き込まれていない。
次に、図10Cを用いて、本実施形態における、電流及びトルクの時間変化を説明する。図10Cにおいても、図10Bと同様、説明の便宜上、回転子角速度が一定に維持されると仮定する。
図5の例では、指令角速度特定部111aによって、トルクがすべりに対して単調増加する領域に収まるように、指令角速度が調節される。具体的には、指令角速度特定部111aによって、トルクをこの領域に収めることができるトルクの目標値を定め、トルクがその目標値に一致するように指令角速度が調節される。具体的には、図5の例では、目標値はゼロである。この調節により、指令角速度ωref *は、図10Cに示すように、回転子角速度よりも大きい値から低下する。この調節により、トルクは、増加し、極大値となり、その後減少する。図10Aを用いた先の説明から理解されるように、トルクが極大値から低下したときに、3相誘導機102の制御が速度制御に移行する。3相誘導機102が速度制御された状態おいては、回転子角速度は、指令角速度ωref *付近に引き込まれた状態で推移する。
図10Cでは、有効電力成分がトルクである場合について説明したが、有効電力成分が有効電力、すべり角速度、トルク角等である場合にも、同様の制御が可能である。具体的には、当該有効電力成分の目標値を、トルクがすべりに対して単調増加する領域に収めることができる値に定めることができる。そして、その目標値に当該有効電力成分が一致するように指令角速度ωref *を調節できる。そのようにすれば、3相誘導機102の速度制御を素早く開始することができる。
なお、3相誘導機102の有効電力も、トルクと同様のすべり依存性を有する。有効電力とすべりとの関係をグラフ化すると、図10Aに示すすべり−トルク曲線と同様の形状の、すべり−有効電力曲線が得られる。具体的には、すべり−有効電力曲線は、すべり−トルク曲線と同様、すべりが1に近いとき、有効電力は、ゼロに近い正の値をとる。この状態からすべりが減少すると、有効電力が増加し、すべりが正の値s1となったときに有効電力が正の極大値をとる。すべりがs1から減少してゼロになると、有効電力がゼロになる。すべりがゼロから減少して負の値s2となったときに有効電力が負の極小値をとる。すべりがs2から減少して−1に近づくと、有効電力はゼロに近い負の値となる。
3相誘導機102のすべり角速度も、すべりに対する依存性を有する。また、すべり角速度は、すべりが負から正に変化すると負から正にするものであり、この点でもトルク及び有効電力と共通している。ただし、すべり角速度とすべりとの関係をグラフ化して得られるすべり−すべり角速度は、図10Aに示すすべり−トルク曲線とは異なる形状を有する。具体的には、すべり−すべり角速度では、すべりがs1のときにすべり角速度が極値をとることがなく、すべりがs2のときにすべり角速度が極値をとることがない。しかし、計算により、すべりをs2とs1の間の閉区間に収めるためのすべり角速度の範囲を求めることはできる。すべり角速度をそのような範囲に調節することは可能であり、そのような調節により、トルクの値をすべりに対して単調増加する領域に収めることができる。つまり、そのような調節により、3相誘導機102の動作ポイントを、3相誘導機102の速度制御を行えるポイントへと移行させることができる。このため、有効電力成分としてすべり角速度を用いる場合であっても、3相誘導機102の速度制御を素早く開始することができる。この点は、有効電力成分としてトルク角を用いる場合についても同様である。
以上のように、本実施形態では、有効電力成分特定部110において、指令角速度の初期値ωref1を適切に調節することにより、有効電力成分を、トルクがすべりに対して単調増加する領域に収めることができる。これにより、3相誘導機102の角速度が不明な場合であっても、3相誘導機102のすべりを素早く小さくでき、3相誘導機102の速度制御を素早く開始できる。
なお、3相誘導機102の仕様等にもよるが、3相誘導機102の速度制御が行われているときの3相誘導機102のすべりは、例えば、−0.03〜0.03である。
以上、まとめると、本実施形態では、誘導機制御装置100は、3相誘導機102の一次磁束ベクトルが指令磁束ベクトルに追従するように、インバータ104を用いて3相誘導機102に電圧ベクトルを印加する。誘導機制御装置100は、有効電力成分特定ユニット150と、指令角速度特定部111と、指令位相特定部112と、を備えている。有効電力成分特定ユニット150は、電圧ベクトルと検出された3相誘導機102の電流ベクトルを用いて有効電力成分を特定する。有効電力成分は、第1条件と第2条件と第3条件と第4条件と第5条件を満たすパラメータである。(I)第1条件は、3相誘導機102のすべりに応じて有効電力成分が変化するという条件である。(II)第2条件は、すべりの符号が切り替わると有効電力成分の符号が切り替わるという条件である。(III)第3条件は、すべりがゼロを跨ぐ閉区間にあるときにすべりに対して有効電力成分が単調増加するという条件である。(VI)第4条件は、閉区間の一端で有効電力成分が極大値となるという条件である。(V)第5条件は、閉区間の他端で有効電力成分が極小値となるという条件である。閉区間は、すべりに対して3相誘導機102のトルクが単調増加する区間である。上記一端でトルクが極大値となる。上記他端でトルクが極小値となる。指令角速度特定部111は、有効電力成分を用いて、有効電力成分がすべりに対して単調増加するゼロを跨ぐ領域内に収まるように、一次磁束ベクトルの角速度が追従するべき指令角速度ωref *を調節する。指令位相特定部112は、指令角速度ωref *を用いて一次磁束ベクトルの位相が移動するべき制御周期毎の移動量ωref *sを特定し、特定された移動量ωref *sを用いて指令磁束ベクトルの位相である指令位相を特定する。本実施形態の誘導機制御装置100は、3相誘導機102の回転子が回転している場合に、3相誘導機102の速度制御を素早く開始するのに適している。具体的には、上述のように、3相誘導機102の回転子は、フリーランしたり、外部負荷によって回転させられたりすることがある。この場合、回転子の角速度が分からないことが多い。しかし、本実施形態の誘導機制御装置100によれば、指令角速度ωref *が適切に調節される。これにより、3相誘導機102のすべりを素早く小さくできる。このため、3相誘導機102の速度制御を素早く開始できる。
本実施形態は、3相誘導機102の一次磁束ベクトルが指令磁束ベクトルに追従するように、インバータ104を用いて3相誘導機102に電圧ベクトルを印加する誘導機制御方法を開示していると捉えることもできる。具体的に、この方法では、図11Aに示すステップS11〜S13が順に実施される。ステップS11は、電圧ベクトルと検出された3相誘導機102の電流ベクトルを用いて有効電力成分を特定するステップである。有効電力成分は、第1条件と第2条件と第3条件と第4条件と第5条件を満たすパラメータである。(I)第1条件は、3相誘導機102のすべりに応じて有効電力成分が変化するという条件である。(II)第2条件は、すべりの符号が切り替わると有効電力成分の符号が切り替わるという条件である。(III)第3条件は、すべりがゼロを跨ぐ閉区間にあるときにすべりに対して有効電力成分が単調増加するという条件である。(VI)第4条件は、閉区間の一端で有効電力成分が極大値となるという条件である。(V)第5条件は、閉区間の他端で有効電力成分が極小値となるという条件である。閉区間は、すべりに対して3相誘導機102のトルクが単調増加する区間である。上記一端でトルクが極大値となる。上記他端でトルクが極小値となる。ステップS12は、有効電力成分を用いて、有効電力成分がすべりに対して単調増加するゼロを跨ぐ領域内に収まるように、一次磁束ベクトルの角速度が追従するべき指令角速度ωref *を調節するステップである。ステップS13は、指令角速度ωref *を用いて一次磁束ベクトルの位相が移動するべき制御周期毎の移動量ωref *sを特定し、特定された移動量ωref *sを用いて指令磁束ベクトルの位相である指令位相を特定するステップである。
第1条件と第2条件と第3条件と第4条件と第5条件を満たす有効電力成分として、3相誘導機102の(A)トルク又は(B)有効電力が挙げられる。ただし、有効電力成分の具体例は、これらに限定されない。
別の観点から、本実施形態では、誘導機制御装置100は、3相誘導機102の一次磁束ベクトルが指令磁束ベクトルに追従するように、インバータ104を用いて3相誘導機102に電圧ベクトルを印加する。誘導機制御装置100は、有効電力成分特定ユニット150と、指令角速度特定部111と、指令位相特定部112と、を備えている。有効電力成分特定ユニット150は、電圧ベクトルと検出された3相誘導機102の電流ベクトルとを用いて有効電力成分を特定する。有効電力成分は、第1条件を満たすパラメータである。(I)第1条件は、3相誘導機102のすべりに応じて有効電力成分が変化するという条件である。指令角速度特定部111は、有効電力成分を用いて、有効電力成分が目標値に一致するように、一次磁束ベクトルの角速度が追従するべき指令角速度ωref *を調節する。目標値は、すべりを閉区間内に収める値である。閉区間は、すべりに対して3相誘導機102のトルクが単調増加する区間である。閉区間の一端でトルクが極大値となる。閉区間の他端でトルクが極小値となる。指令位相特定部112は、指令角速度ωref *を用いて一次磁束ベクトルの位相が移動するべき制御周期毎の移動量ωref *sを特定し、特定された移動量ωref *sを用いて指令磁束ベクトルの位相である指令位相を特定する。
本実施形態は、3相誘導機102の一次磁束ベクトルが指令磁束ベクトルに追従するように、インバータ104を用いて3相誘導機102に電圧ベクトルを印加する誘導機制御方法を開示していると捉えることもできる。具体的に、この方法では、図11Bに示すステップS21〜S23が順に実施される。ステップS21は、電圧ベクトルと検出された3相誘導機102の電流ベクトルとを用いて有効電力成分を特定するステップである。有効電力成分は、第1条件を満たすパラメータである。(I)第1条件は、3相誘導機102のすべりに応じて有効電力成分が変化するという条件である。ステップS22は、有効電力成分を用いて、有効電力成分が目標値に一致するように、一次磁束ベクトルの角速度が追従するべき指令角速度ωref *を調節するステップである。目標値は、すべりを閉区間内に収める値である。閉区間は、すべりに対して3相誘導機102のトルクが単調増加する区間である。閉区間の一端でトルクが極大値となる。閉区間の他端でトルクが極小値となる。ステップS23は、指令角速度ωref *を用いて一次磁束ベクトルの位相が移動するべき制御周期毎の移動量ωref *sを特定し、特定された移動量ωref *sを用いて指令磁束ベクトルの位相である指令位相を特定するステップである。
第1条件を満たす有効電力成分として、3相誘導機102の(A)トルク、(B)有効電力、(C)すべり角速度又は(D)トルク角である。ただし、有効電力成分の具体例は、これらに限定されない。
具体的には、本実施形態では、指令角速度特定部111は、有効電力成分がゼロになるように、指令角速度ωref *を調節する。
具体的には、本実施形態では、指令角速度特定部111は、指令角速度ωref *の初期値を3相誘導機102の回転子の定格角速度ωrateに設定し、指令角速度ωref *を定格角速度ωrateから低下させていく。3相誘導機102の回転子の角速度が不明であるときには、3相誘導機102の制御開始時における3相誘導機102の回転子の角速度は、回転子の定格角速度ωrateよりも小さい場合が多い。その場合、本実施形態のように、指令角速度ωref *を定格角速度ωrateから低下させていくと、指令角速度ωref *が回転子角速度を下回ることを回避できる。このようにすれば、すべりが十分に小さくなり3相誘導機102の速度制御が開始されるまでの期間において、有効電力成分を正の値に維持できる。このようにすれば、上記期間において、3相誘導機102の運転を力行運転に維持できる。
上記期間において3相誘導機102の運転を力行運転に維持できることには、種々の利点がある。例えば、インバータは、回生機能を持たない又は回生可能容量が小さい場合がある。そのような場合に、3相誘導機102の回生運転がなされると、インバータの動作に不具合が生じたり、インバータの保護機能が働いてインバータの動作が停止したりして、誘導機制御装置100による3相誘導機102の制御に支障が生じることがある。上記期間においてそのような支障が生じると、3相誘導機102の速度制御を素早く開始することは困難である。しかし、本実施形態によれば、上記期間において3相誘導機102の運転を力行運転に維持できる。このため、本実施形態は、3相誘導機102の速度制御を素早く開始するのに適している。例えば、インバータが回生機能を持たない場合又は回生可能容量が小さい場合であっても、3相誘導機102の回転子がフリーランしたり外部負荷によって回転させられたりしている状態から3相誘導機102が速度制御された状態へと素早く移行できる。
具体的には、本実施形態では、インバータ104は、電流ベクトルの振幅が過電流閾値以上に達すると、3相誘導機102への電圧ベクトルの印加を停止する。誘導機制御装置100は、指令磁束ベクトルの振幅である指令振幅|ψs *|を特定する指令振幅特定部112を備えている。指令振幅|ψs *|の初期値は、3相誘導機102の電機子抵抗による電圧降下がゼロであると仮定したときに、計算上、すべりが1で指令角速度ωref *が3相誘導機102の回転子の定格角速度ωrateである場合に電流ベクトルの振幅を制限値にする値である。ここで、制限値は、過電流閾値未満の値である。制限値は、例えば、インバータ104を流れる電流ベクトルの振幅の定格値(インバータ104の定格電流値と称することもできる)以下の値であり、本実施形態では、インバータ104を流れる電流ベクトルの振幅の定格値である。3相誘導機102を流れる電流には、すべりに対する依存性がある。具体的には、3相誘導機102では、回転子の回転数がゼロですべりが1であるときに、最も大きい電流が流れる。この点、本実施形態では、指令磁束ベクトルの振幅である指令振幅|ψs *|の初期値を、すべりが1の場合を想定したものにする。このため、本実施形態は、過電流によりインバータ104から3相誘導機102への電圧ベクトルの印加が停止することを防止するのに適している。このことは、3相誘導機102の速度制御を素早く開始する観点から有利である。例えば、指令角速度ωref *を定格値から減少させる場合には、3相誘導機が速度制御されるまでの期間において、すべりが大きい値をとることがある。しかし、本実施形態は、そのようなすべりが大きい期間において過電流が発生するのを防止するのに適している。従って、本実施形態によれば、指令角速度ωref *を定格値から減少させる場合であっても、3相誘導機102の速度制御を素早く開始できる。3相誘導機102の回転子が停止した状態においても、インバータに過電流が流れることを回避できる。
3相誘導機102の速度制御に移行するまでの期間において、継続して、指令振幅|ψs *|を、3相誘導機102の電機子抵抗による電圧降下がゼロであると仮定したときに、計算上、すべりが1で指令角速度ωref *が3相誘導機102の回転子の定格角速度ωrateである場合に電流ベクトルの振幅を制限値あるいは制限値未満にする値にしてもよい。
(変形例1)
以下、実施形態1の変形例1について説明する。変形例1では、図5の指令角速度特定部111aが、図12の指令角速度特定部111bに変更されている。指令角速度特定部111bは、ゼロクロス判定部130と指令角速度生成器131を有している。
(ゼロクロス判定部130)
ゼロクロス判定部130は、有効電力成分特定部110で特定された推定有効電力成分Xがゼロクロスした場合に判定信号を指令角速度生成器131に送る。例えば、判定信号は値1の信号であり、推定有効電力成分Xがゼロクロスしていないときにはゼロクロス判定部130は値0を指令角速度生成器131に送る。
(指令角速度生成器131)
指令角速度生成器131は、指令角速度ωref *を生成する。この例では、指令角速度生成器131は、指令角速度ωref *を初期値ωref1から任意に変化させる。指令角速度生成器131は、ゼロクロス判定部130より判定信号が送られた時点の指令角速度ωref *が3相誘導機102の回転子角速度に一致していると判断する。この判断がなされた後には、指令角速度生成器131は指令角速度ωref *の時間変化を穏やかにする又は指令角速度ωref *を一定値に維持し、この状態で3相誘導機102の速度制御が行われる。
変形例1においても、指令角速度ωref *の初期値ωref1を定格角速度ωrateに設定し、指令角速度ωref *を定格角速度ωrateから低下させることができる。これにより、指令角速度ωref *が回転子角速度を下回ることを回避できる。
変形例1の指令角速度特定部111bでは、指令角速度ωref *を振ることによって指令角速度ωref *の値を3相誘導機102の回転子角速度と同じ値にするという動作が行われる。この動作は、回転子角速度の推定に相当する。指令角速度特定部111bは、回転子角速度を推定し、その後、その推定値と同じ値の指令角速度ωref *を出力できる。指令角速度特定部111bは、このようなフィードフォワードによる指令角速度ωref *の調節を行うことができる点で、フィードバックによる指令角速度ωref *の調節を行う指令角速度特定部111aとは相違する。3相誘導機102の動作状況にもよるが、この相違により、3相誘導機102の速度制御への移行の早さに差が生じることはあり得る。しかし、いずれの方式によっても、従来方式に比べて3相誘導機102の速度制御を素早く開始できる。
(変形例2)
上述の指令位相特定部112は、指令角速度ωref *を積分することによって、指令位相θs *を求める。しかし、指令位相θs *の特定の仕方は、これに限定されない。変形例2の誘導機制御装置は、位相特定部を有する。位相特定部は、推定一次磁束ベクトルψα,ψβの位相を推定する。これにより、一次磁束ベクトルの推定位相θsが特定される。そして、変形例2の指令位相特定部112は、推定位相θsに指令角速度ωref *を加算することによって、指令位相θs *を求める。
(実施形態2)
以下、実施形態2の誘導機制御装置200について説明する。なお、実施形態2では、実施形態1と同様の部分については同一符号を付し、説明を省略することがある。
誘導機制御装置200は、実施形態1の誘導機制御部101に代えて、誘導機制御部201を備えている。誘導機制御部201は、誘導機制御部101とは異なり、負荷電流特定部210を有している。誘導機制御部201では、有効電力成分特定ユニット150の構成要素に負荷電流特定部210が加えられた有効電力成分特定ユニット250が構成されている。
図13Aに、誘導機制御部201の一例である誘導機制御部201aを示す。図13Bに、誘導機制御部201の第1の別例である誘導機制御部201bを示す。図13Cに、誘導機制御部201の第2の別例である誘導機制御部201cを示す。図13Dに、誘導機制御部201の第3の別例である誘導機制御部201dを示す。
(負荷電流特定部210)
負荷電流特定部210は、電流ベクトルiαβと、指令電圧ベクトルvαβ *と、鉄損抵抗Rcと、を用いて、負荷電流ベクトルiLαβを特定する。以下では、負荷電流ベクトルiLαβのα軸成分を負荷電流iと表記することがある。負荷電流ベクトルiLαβのβ軸成分を負荷電流iと表記することがある。
電流ベクトルiαβは、固定子電流ベクトルである。負荷電流ベクトルは、固定子電流ベクトルから鉄損電流ベクトルを差し引いたベクトルである。負荷電流ベクトルiLαβは、3相誘導機102の固定子から回転子へ伝達されるエネルギーに対する固定子鉄損の割合に応じて変化する。負荷電流ベクトルの詳細については、特許文献2等を参照されたい。
具体的には、負荷電流特定部210は、式(2−1)及び(2−2)を用いて、負荷電流ベクトルiLαβを特定する。式(2−1)及び(2−2)におけるRaは、3相誘導機102の1相当たりの固定子抵抗である。Rcは、3相誘導機102の1相あたりの鉄損抵抗である。式(2−3)に示すように、鉄損抵抗は、一次磁束ベクトルの角速度ω1fに依存した式で表される。本実施形態では、鉄損抵抗Rcは、一次磁束ベクトルの角速度ω1fが大きくなればなるほど大きくなる。式(2−3)におけるRc0は、渦電流損を示す調整用の抵抗値である。Rc1は、ヒステリシス損を示す調整用の抵抗値である。これらの抵抗値Rc0及びRc1は、鉄損抵抗を同定する際に用いられる。式(2−1)〜(2−3)から理解されるように、本実施形態の負荷電流特定部210は、一次磁束ベクトルの角速度ω1fに応じて変化する鉄損抵抗Rcと、固定子電流ベクトルiαβと、指令電圧ベクトルvαβ *とから、負荷電流ベクトルiLαβを特定する。
Figure 2019146399
一次磁束ベクトルの角速度ω1fに代えて、同角速度と同じである別の物理量の角速度を用いることもできる。要するに、鉄損抵抗は、推定された一次磁束ベクトルの角速度と同じである基準角速度を用いて特定され得る。基準角速度としては、一次磁束ベクトルの角速度ω1f、推定正規化二次磁束ψ2nの角速度、指令電圧ベクトルの角速度及び固定子電流ベクトルiαβの角速度が例示される。本実施形態の負荷電流ベクトルiLαβは、基準角速度、固定子電流ベクトルiαβ及び指令電圧ベクトルvαβ *の関数である。
負荷電流ベクトルiLαβの特定の際に、指令電圧ベクトルvαβ *に代えて、検出された3相誘導機102の電圧ベクトルvαβを用いることもできる。すなわち、式(2−1)の「vα *」を「vα」に置き換え、式(2−2)の「vβ *」を「vβ」に置き換えることができる。具体的には、負荷電流特定部210は、3相誘導機102に印加されている電圧ベクトルの検出値を3相2相変換させて得た2相電圧(例えば2相電圧vαβ)を用いて負荷電流iLαβを特定するものであってもよい。
実施形態2では、有効電力成分特定ユニット250は、負荷電流ベクトルiLαβを用いて推定有効電力成分Xを特定する。
図13Aの例では、図3Aの例と同様、3相誘導機102の有効電力成分は3相誘導機102の有効電力であり、有効電力成分特定部110は有効電力特定部110aである。ただし、図13Aの例では、推定有効電力Paの特定に、負荷電流ベクトルi,iを用いる。この点で、図13Aの有効電力特定部110aは、図3Aの有効電力特定部110aと異なる。つまり、図13Aの有効電力特定部110aは、負荷電流ベクトルi,iと指令電圧ベクトルvα *,vβ *とを用いて、推定有効電力Paを特定する。具体的には、図13Aの有効電力特定部110aは、式(1−5)に代えて式(2−4)を用いることによって、推定有効電力Paを特定する。
Figure 2019146399
図13Bに示す第1の別例では、図3Bの例と同様、3相誘導機102の有効電力成分は3相誘導機102のトルクであり、有効電力成分特定部110はトルク特定部110bである。ただし、図13Bの例では、推定トルクTeの特定に、負荷電流ベクトルi,iを用いる。この点で、図13Bのトルク特定部110bは、図3Bのトルク特定部110bと異なる。つまり、図13Bのトルク特定部110bは、負荷電流ベクトルi,iと推定一次磁束ベクトルψα,ψβとを用いて、推定トルクTeを特定する。具体的には、図13Bのトルク特定部110bは、式(1−6)に代えて式(2−5)を用いることによって、推定トルクTeを特定する。
Figure 2019146399
図13Cに示す第2の別例では、図3Cの例と同様、3相誘導機102の有効電力成分は3相誘導機102のすべり角速度であり、有効電力成分特定部110はすべり角速度特定部110cである。また、図13Cに示す第2の別例では、図3Cの例と同様、二次磁束特定部109が正規化二次磁束ベクトルを推定する。ただし、図13Cの例では、推定正規化二次磁束ベクトルψ2nの特定及び推定すべり角速度ωsの特定に、負荷電流ベクトルi,iを用いる。この点で、図13Cの二次磁束特定部109及びすべり角速度特定部110cは、図3Cの二次磁束特定部109及びすべり角速度特定部110cと異なる。つまり、図13Cの二次磁束特定部109は、推定一次磁束ベクトルψα,ψβと負荷電流ベクトルi,iとを用いて、推定正規化二次磁束ベクトルψ2nを特定する。具体的には、図13Cの二次磁束特定部109は、式(1−7)に代えて式(2−6)を用いることによって、推定正規化二次磁束ベクトルψ2nを特定する。また、図13Cのすべり角速度特定部110cは、負荷電流ベクトルi,iと推定一次磁束ベクトルψα,ψβと推定正規化二次磁束ベクトルψ2nα,ψ2nβを用いて推定すべり角速度ωsを特定する。具体的には、図13Cのすべり角速度特定部110cは、式(1−10)に代えて式(2−9)を用いることによって、推定すべり角速度ωsを特定する。
Figure 2019146399
Figure 2019146399
図13Dに示す第3の別例では、図3Dの例と同様、3相誘導機102の有効電力成分は3相誘導機102のトルク角であり、有効電力成分特定部110はトルク角特定部110dである。ただし、図13Dの例では、図13Cの例と同様にして、推定正規化二次磁束ベクトルψ2nが特定される。図13Dのトルク角特定部110dは、このようにして特定された推定正規化二次磁束ベクトルψ2nを図3の例の推定正規化二次磁束ベクトルψ2nに代えて用いることによって、推定トルク角δを特定する。
以上、まとめると、本実施形態では、誘導機制御装置200は、有効電力成分特定ユニット250は、負荷電流特定部210を有する。負荷電流特定部210は、検出された電流ベクトルを用いて、3相誘導機102の固定子電流ベクトルから3相誘導機102の鉄損電流ベクトルを差し引いたベクトルである負荷電流ベクトルを特定する。有効電力成分特定ユニット250は、負荷電流ベクトルを用いて有効電力成分を特定する。3相誘導機102の回転子の角速度が大きいときには、3相誘導機102の鉄損の割合が大きい。この点、固定子電流ベクトルではなく負荷電流ベクトルを用いれば、鉄損を考慮して有効電力成分を特定できる。このため、本実施形態によれば、回転子角速度が大きい場合であっても、精度よく有効電力成分を特定できる。このことは、指令角速度ωref *の精度のよい特定を可能とする。このことは、3相誘導機102の速度制御を素早く開始する観点から有利である。
なお、図13C及び13Dの例においては、有効電力成分特定部110及び二次磁束特定部109の一方で固定子電流ベクトルiαβを用い、他方で負荷電流ベクトルiLαβを用いることもできる。
本開示に係る技術は、かご型誘導機等の3相誘導機に適用できる。具体的には、本開示に係る技術は、冷暖房装置又は給湯機に使用されたヒートポンプ式冷凍装置、ファン、ブロア等の制御装置に適用できる。
100,200 誘導機制御装置
101,101a,101b,101c,101d,201,201a,201b,201c,201d 誘導機制御部
102 3相誘導機
103 デューティ生成部
104 インバータ
105a 第1電流センサ
105b 第2電流センサ
106a 3相2相座標変換部
106b 2相3相座標変換部
108 一次磁束特定部
109 二次磁束特定部
110 有効電力成分特定部
110a 有効電力特定部
110b トルク特定部
110c すべり角速度特定部
110d トルク角特定部
111,111a,111b 指令角速度特定部
112 指令位相特定部
113 指令振幅特定部
114 指令磁束特定部
115 指令電圧特定部
116 ベースドライバ
117 平滑コンデンサ
118 直流電源
119a〜119f スイッチング素子
120a〜120f 還流ダイオード
121 有効電力成分偏差演算部
122 PI補償器
123 初期角速度特定部
124 指令角速度演算部
125 目標値付与部
130 ゼロクロス判定部
131 指令角速度生成器
140 磁束偏差特定部
150,250 有効電力成分特定ユニット
210 負荷電流特定部

Claims (10)

  1. 3相誘導機の一次磁束ベクトルが指令磁束ベクトルに追従するように、インバータを用いて前記3相誘導機に電圧ベクトルを印加する誘導機制御装置であって、
    前記電圧ベクトルと検出された前記3相誘導機の電流ベクトルを用いて有効電力成分を特定する有効電力成分特定ユニットであって、前記有効電力成分は、第1条件と第2条件と第3条件と第4条件と第5条件を満たすパラメータであり、(I)前記第1条件は前記3相誘導機のすべりに応じて前記有効電力成分が変化するという条件であり、(II)前記第2条件は前記すべりの符号が切り替わると前記有効電力成分の符号が切り替わるという条件であり、(III)前記第3条件は前記すべりがゼロを跨ぐ閉区間にあるときに前記すべりに対して前記有効電力成分が単調増加するという条件であり、(VI)前記第4条件は前記閉区間の一端で前記有効電力成分が極大値となるという条件であり、(V)前記第5条件は前記閉区間の他端で前記有効電力成分が極小値となるという条件であり、前記閉区間は前記すべりに対して前記3相誘導機のトルクが単調増加する区間であり、前記一端で前記トルクが極大値となり、前記他端で前記トルクが極小値となる、有効電力成分特定ユニットと、
    前記有効電力成分を用いて、前記有効電力成分が前記すべりに対して単調増加するゼロを跨ぐ領域内に収まるように、前記一次磁束ベクトルの角速度が追従するべき指令角速度を調節する指令角速度特定部と、
    前記指令角速度を用いて前記一次磁束ベクトルの位相が移動するべき制御周期毎の移動量を特定し、特定された前記移動量を用いて前記指令磁束ベクトルの位相である指令位相を特定する指令位相特定部と、を備えた、誘導機制御装置。
  2. 前記有効電力成分は、前記3相誘導機の(A)トルク又は(B)有効電力である、請求項1に記載の誘導機制御装置。
  3. 3相誘導機の一次磁束ベクトルが指令磁束ベクトルに追従するように、インバータを用いて前記3相誘導機に電圧ベクトルを印加する誘導機制御装置であって、
    前記電圧ベクトルと検出された前記3相誘導機の電流ベクトルとを用いて有効電力成分を特定する有効電力成分特定ユニットであって、前記有効電力成分は、第1条件を満たすパラメータであり、(I)前記第1条件は前記3相誘導機のすべりに応じて前記有効電力成分が変化するという条件である、有効電力成分特定ユニットと、
    前記有効電力成分を用いて、前記有効電力成分が目標値に一致するように、前記一次磁束ベクトルの角速度が追従するべき指令角速度を調節する指令角速度特定部であって、前記目標値は、前記すべりを閉区間内に収める値であり、前記閉区間は前記すべりに対して前記3相誘導機のトルクが単調増加する区間であり、前記閉区間の一端で前記トルクが極大値となり、前記閉区間の他端で前記トルクが極小値となる、指令角速度特定部と、
    前記指令角速度を用いて前記一次磁束ベクトルの位相が移動するべき制御周期毎の移動量を特定し、特定された前記移動量を用いて前記指令磁束ベクトルの位相である指令位相を特定する指令位相特定部と、を備えた、誘導機制御装置。
  4. 前記有効電力成分は前記3相誘導機の(A)トルク、(B)有効電力、(C)すべり角速度又は(D)トルク角である、請求項3に記載の誘導機制御装置。
  5. 前記指令角速度特定部は、前記有効電力成分がゼロになるように、前記指令角速度を調節する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の誘導機制御装置。
  6. 前記指令角速度特定部は、前記指令角速度の初期値を前記3相誘導機の回転子の定格角速度に設定し、前記指令角速度を前記定格角速度から低下させていく、請求項1〜5のいずれか一項に記載の誘導機制御装置。
  7. 前記インバータは、前記電流ベクトルの振幅が過電流閾値以上に達すると、前記3相誘導機への前記電圧ベクトルの印加を停止し、
    前記誘導機制御装置は、前記指令磁束ベクトルの振幅である指令振幅を特定する指令振幅特定部を備え、
    前記指令振幅の初期値は、前記3相誘導機の電機子抵抗による電圧降下がゼロであると仮定したときに、計算上、前記すべりが1で前記指令角速度が前記3相誘導機の回転子の定格角速度である場合に前記電流ベクトルの振幅を制限値にする値である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の誘導機制御装置。
    ここで、前記制限値は、前記過電流閾値未満の値である。
  8. 前記有効電力成分特定ユニットは、負荷電流特定部を有し、
    前記負荷電流特定部は、検出された前記電流ベクトルを用いて、前記3相誘導機の固定子電流ベクトルから前記3相誘導機の鉄損電流ベクトルを差し引いたベクトルである負荷電流ベクトルを特定し、
    前記有効電力成分特定ユニットは、前記負荷電流ベクトルを用いて前記有効電力成分を特定する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の誘導機制御装置。
  9. 3相誘導機の一次磁束ベクトルが指令磁束ベクトルに追従するように、インバータを用いて前記3相誘導機に電圧ベクトルを印加する誘導機制御方法であって、
    前記電圧ベクトルと検出された前記3相誘導機の電流ベクトルを用いて有効電力成分を特定することと、ここで、前記有効電力成分は、第1条件と第2条件と第3条件と第4条件と第5条件を満たすパラメータであり、(I)前記第1条件は前記3相誘導機のすべりに応じて前記有効電力成分が変化するという条件であり、(II)前記第2条件は前記すべりの符号が切り替わると前記有効電力成分の符号が切り替わるという条件であり、(III)前記第3条件は前記すべりがゼロを跨ぐ閉区間にあるときに前記すべりに対して前記有効電力成分が単調増加するという条件であり、(VI)前記第4条件は前記閉区間の一端で前記有効電力成分が極大値となるという条件であり、(V)前記第5条件は前記閉区間の他端で前記有効電力成分が極小値となるという条件であり、前記閉区間は前記すべりに対して前記3相誘導機のトルクが単調増加する区間であり、前記一端で前記トルクが極大値となり、前記他端で前記トルクが極小値となる;
    前記有効電力成分を用いて、前記有効電力成分が前記すべりに対して単調増加するゼロを跨ぐ領域内に収まるように、前記一次磁束ベクトルの角速度が追従するべき指令角速度を調節することと;
    前記指令角速度を用いて前記一次磁束ベクトルの位相が移動するべき制御周期毎の移動量を特定し、特定された前記移動量を用いて前記指令磁束ベクトルの位相である指令位相を特定することと、を備えた、誘導機制御方法。
  10. 3相誘導機の一次磁束ベクトルが指令磁束ベクトルに追従するように、インバータを用いて前記3相誘導機に電圧ベクトルを印加する誘導機制御方法であって、
    前記電圧ベクトルと検出された前記3相誘導機の電流ベクトルとを用いて有効電力成分を特定することと、ここで、前記有効電力成分は、第1条件を満たすパラメータであり、(I)前記第1条件は前記3相誘導機のすべりに応じて前記有効電力成分が変化するという条件である;
    前記有効電力成分を用いて、前記有効電力成分が目標値に一致するように、前記一次磁束ベクトルの角速度が追従するべき指令角速度を調節することと、ここで、前記目標値は、前記すべりを閉区間内に収める値であり、前記閉区間は前記すべりに対して前記3相誘導機のトルクが単調増加する区間であり、前記閉区間の一端で前記トルクが極大値となり、前記閉区間の他端で前記トルクが極小値となる;
    前記指令角速度を用いて前記一次磁束ベクトルの位相が移動するべき制御周期毎の移動量を特定し、特定された前記移動量を用いて前記指令磁束ベクトルの位相である指令位相を特定することと、を備えた、誘導機制御方法。
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