JP4446688B2 - 多相電流供給回路及びその制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明はインバータ技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
平滑コンデンサの容量を著しく小さくし、しかも力率改善用リアクトルを用いず、単相交流電源から多相交流電流を得る技術が、例えば特許文献1乃至3及び非特許文献1乃至2に開示されている。この技術においては多相交流電流を出力するインバータに対して、単相交流電源のほぼ2倍の周波数で大きく脈動する直流電圧が印加されるものの、当該インバータにおけるスイッチングを適切に制御することにより、多相交流電流を出力できる。かかるスイッチング制御をここでは単相コンデンサレスインバータ制御と称する。
【0003】
単相コンデンサレスインバータ制御では、平滑コンデンサを小型化でき、しかもリアクトルをも必要としないので、整流回路及びインバータを含む回路の全体を小型化し、コストダウンを招来する。非特許文献2には、小さな容量の平滑コンデンサの両端電圧の最大値が最小値の2倍以上であれば、力率に鑑みて実用上問題ないことが示されている。
【0004】
上述の通り、単相コンデンサレスインバータ制御では、インバータに与えられる直流電圧が単相交流電源のほぼ2倍の周波数で大きく脈動する。従って当該インバータから得られる多相交流電流を用いてモータ、例えば埋め込み永久磁石同期モータに定常回転を行わせるためには、この脈動に応じて界磁を制御する必要がある。
【0005】
図3は脈動に応じた界磁の制御を示す概念図である。モータ内部に確立した主磁束方向をd軸と、これに対して位相的に90°進んだq軸とを座標軸に採用している。永久磁石のd軸方向の磁束に比例するモータ逆起電圧定数φaと、回転角速度(電気角の角速度)ωeとの積により、d軸に対して90°位相が進んだq軸方向の電圧ωeφaが決定する。インバータ出力電圧は、入力電圧が脈動することにより、その絶対値が例えばVlim'からVlim”へと変動する。これに対して、インバータの出力電流のうち、d軸方向の磁束電流(いわゆるd軸電流)及びq軸の電流成分たるトルク電流(いわゆるq軸電流)はそれぞれid',iq'からid",iq"へと変動する。d軸のモータインダクタンスLd及びq軸のモータインダクタンスLqを導入すると、これらに基づいて生じる電圧は、それぞれωeLdid',ωeLqiq'(入力電圧の絶対値がVlim'の場合)又はωeLdid”,ωeLqiq”(入力電圧の絶対値がVlim”の場合)となる。インバータから得られる出力電圧は入力電圧によって定まる値(Vlim'やVlim”)を超えることはできない。よってインバータが最も効率よく機能する場合には、インバータの出力電圧V',V”はそれぞれVlim',Vlim”に対応して示される電圧制限円まで原点から延びるベクトルとして表される。
【0006】
よってインバータの出力電圧V'の位相θ'は出力電圧V”の位相θ”よりも進むことになる。単相コンデンサレスインバータ制御では、このようなインバータの出力電圧の位相差を得るために、d軸電流の大きさは、回転数に関わらず絶えず変動している。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−051589号公報
【特許文献2】
特開2002−223599号公報
【特許文献3】
特開2002−354826号公報
【非特許文献1】
芳賀仁、高橋勲「IPMモータの弱め界磁を利用した高力率インバータ制御法」、平成13年電気学会全国大会4−009(平成13年3月)、第1214頁
【非特許文献2】
高橋勲「高入力力率のダイオード整流回路を持つPMモータのインバータ制御法」、平成12年電気学会全国大会4−149(平成12年3月)、第1591頁
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、電圧制限円が脈動しない一般的な界磁制御においては、電流の位相を進めてd軸電流の大きさを増大させ、回転角速度を増大させる、いわゆる弱め界磁が行われている。図4は弱め界磁の有無が、回転数とトルクとの関係に与える影響を示すグラフである。弱め界磁を採用することにより、同一トルクに対して大きな回転数を得ることができることが知られている。
【0009】
そこで本発明は、単相コンデンサレスインバータ制御において、インバータに与えられる入力電圧の脈動に応じて定常回転を行うための界磁制御のみならず、回転数を増大させるための界磁制御をも行う技術を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明のうち請求項1にかかるものは多相電流供給回路であって、交流電圧の全波整流を行うダイオード群(2)と、前記ダイオード群の出力を受けるコンデンサ(C)を有する平滑回路(3)と、前記平滑回路(3)の出力を受け、多相の交流電流(iu,iv,iw)を出力するインバータ(4)と、前記インバータの出力電圧(v o )の時間平均値(V o )を前記交流電圧の周期の半分(T)についての時間平均によって求める第1の平均化処理回路(611)と、前記平滑回路の出力電圧(v dc )の時間平均値(V o _ max )を前記交流電圧の周期の半分(T)についての時間平均によって求める第2の平均化処理回路(601,602)と、前記インバータの前記出力電圧の前記時間平均値(V o )に対して前記平滑回路の前記出力電圧の時間平均値(V o _ max )を用いてフィードバックすることによって前記交流電流(i u ,i v ,i w )の位相を設定する電流位相指令(β * )を生成する界磁制御部(68)とを備える。前記平滑回路の前記出力電圧は前記交流電圧の2倍の周波数で脈動する。そして前記インバータの前記出力電圧の前記時間平均値(Vo)及び、前記平滑回路(3)の前記出力電圧(vdc)の前記時間平均値(Vo_max)に基づいて生成される制御信号(Tu,Tv,Tw)によって、前記インバータのスイッチングが制御される。
【0013】
この発明のうち請求項2にかかるものは、請求項1記載の多相電流供給回路であって、前記制御信号のキャリア周期(Tc)中におけるインバータ(4)の各相の前記スイッチングのオン時間(τu,τv,τw)と、前記平滑回路(3)の出力電圧(vdc)とに基づいて、各相についての前記インバータの前記出力電圧(vu,vv,vw)を求める相電圧演算回路(606)と、前記各相についての前記インバータの前記出力電圧(vu,vv,vw)を合成した電圧の絶対値(vo)を求める合成回路(609,610)とを更に備える。そして、前記第1の平均化処理回路(611)は、前記絶対値の、前記交流電圧の周期の半分についての時間平均を求めることにより、前記インバータの前記出力電圧の前記時間平均値(Vo)を求める。
【0014】
この発明のうち請求項3にかかるものは、請求項1乃至請求項2のいずれか一つに記載の多相電流供給回路であって、前記インバータ(4)の前記出力電圧の前記時間平均値(Vo)と、前記平滑回路(3)の前記出力電圧(vdc)の前記時間平均値(Vo_max)との差を求める減算回路(603)と、前記減算回路の結果に対して比例・積分演算を行う演算回路(604)と、前記演算回路の結果を上限値と下限値との間に制限して前記電流位相指令(β*)を求めるリミッタ(605)とを更に備える。
【0015】
この発明のうち請求項4にかかるものは多相電流供給回路の制御方法であって、交流電圧の全波整流を行うダイオード群(2)と、前記ダイオード群の出力を受けるコンデンサ(C)を有する平滑回路(3)と、前記平滑回路(3)の出力を受け、多相の交流電流(iu,iv,iw)を出力するインバータ(4)と、前記インバータ(4)のスイッチングを制御する制御信号(Tu,Tv,Tw)を生成する制御回路(6)とを備える多相電流供給回路において、前記平滑回路の前記出力電圧は前記交流電圧の2倍の周波数で脈動し、前記インバータ(4)の前記出力電圧(v 0 )の前記時間平均値(V o )及び前記平滑回路(3)の前記出力電圧(v dc )の前記時間平均値(V o _ max )のいずれも、前記交流電圧の周期の半分についての時間平均によって求め、前記インバータの前記出力電圧の前記時間平均値(V o )に対して前記平滑回路の前記出力電圧の時間平均値(V o _ max )を用いてフィードバックすることによって前記交流電流(i u ,i v ,i w )の位相を設定する電流位相指令(β * )を生成し、前記インバータの出力電圧の時間平均値(Vo)及び、前記平滑回路(3)の出力電圧(vdc)の時間平均値(Vo_max)に基づいて前記制御信号を生成する。
【0018】
この発明のうち請求項5にかかるものは、請求項4記載の多相電流供給回路の制御方法であって、前記制御信号のキャリア周期(Tc)中におけるインバータ(4)の各相の前記スイッチングのオン時間(τu,τv,τw)と、前記平滑回路(3)の出力電圧(vdc)とに基づいて、各相についての前記インバータの前記出力電圧(vu,vv,vw)を求め、前記各相についての前記インバータの前記出力電圧(vu,vv,vw)を合成した電圧の絶対値(vo)を求め、前記絶対値の、前記交流電圧の前記の半分についての時間平均を求めることにより、前記インバータの前記出力電圧の前記時間平均値(Vo)が求められる。
【0019】
この発明のうち請求項6にかかるものは、請求項4乃至請求項5のいずれか一つに記載の多相電流供給回路の制御方法であって、前記インバータ(4)の前記出力電圧の前記時間平均値(Vo)と、前記平滑回路(3)の前記出力電圧(vdc)の前記時間平均値(Vo_max)との差に対して比例・積分演算を行い、その結果を上限値と下限値との間に制限して前記電流位相指令(β*)を求める。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施の形態にかかる駆動装置を示す回路図である。当該駆動装置は駆動部たるモータ5と、これに多相電流を供給する多相電流供給回路を備えている。
【0021】
多相電流供給回路はダイオードブリッジ2、平滑回路3、インバータ4、制御回路6を備えている。ダイオードブリッジ2には単相交流の電源1が接続され、単相交流電圧が供給される。ダイオードブリッジ2はこの単相交流電圧を全波整流して平滑回路3に入力する。平滑回路3は平滑コンデンサCを有しており、平滑コンデンサCの両端にダイオードブリッジ2から得られた全波整流後の電圧が印加される。平滑コンデンサCの両端電圧を整流電圧vdcとして表す。単相コンデンサレスインバータ制御では、平滑コンデンサCを小さく、具体的には数十μF程度に設定する。よって上述のように、整流電圧vdcは電源1から供給される単相交流電圧のほぼ2倍の周波数で脈動する。
【0022】
インバータ4はコンデンサCと並列に接続され、整流電圧vdcがインバータ4の入力電圧となる。インバータ4は三相の電流iu,iv,iwをモータ5に供給する。電流iu,iv,iwはそれぞれU相、V相、W相に対応する。
【0023】
インバータ4は、いずれも平滑コンデンサCの一端に接続されるコレクタを有する3個のトランジスタ(アッパーアーム側トランジスタ)と、いずれも平滑コンデンサCの他端に接続されるエミッタを有する3個のトランジスタ(ローワーアーム側トランジスタ)とを備えている。アッパーアーム側トランジスタのそれぞれは、ローワーアーム側トランジスタのそれぞれと相毎に対をなす。対を形成するアッパーアーム側トランジスタのエミッタと、ローワーアーム側トランジスタのコレクタとは共通に接続され、その接続点から電流iu,iv,iwが出力される。アッパーアーム側トランジスタ及びローワーアーム側トランジスタのそれぞれは、制御回路6からのスイッチング信号Tu、Tv、Twに基づいてオン/オフが制御される。スイッチング信号Tu、Tv、TwはそれぞれU相、V相、W相に対応する。
【0024】
なお、モータ5からの回生電流を流すため、アッパーアーム側トランジスタ及びローワーアーム側トランジスタのそれぞれに対して、エミッタに接続されたアノードと、コレクタに接続されたカソードとを有するフリーホイールダイオードが設けられている。
【0025】
制御回路6は電流iu,iv,iw及びモータ5の回転子の回転角(機械角)θm、並びに交流電圧VSの位相角θi及びインバータ4に入力する整流電圧vdcを入力する。これらの諸量は周知の技術を用いて検出することができる。制御回路6にはモータ5の回転角速度(機械角の角速度)の指令値ωm *も入力する。そしてこれらの値に基づいて、スイッチング信号Tu、Tv、Twを後述する計算に基づいて生成する。
【0026】
制御回路6は、位置・速度演算部61、d−q座標変換部62、速度制御演算部63、指令電流演算部64、電流制御演算部65、PWM(Pulse Width Modulation)演算部66、PWMタイマ部67、弱め界磁制御部68を備えており、それぞれ下記の計算を実行する機能を有している。
【0027】
位置・速度演算部61はモータ5の回転子の機械角θmに基づいて、モータ5の回転子の回転角(電気角)θeと回転角速度(電気角の角速度ω e と機械角の角速度ω m )を求めて出力する。d−q座標変換部62は電流iu,iv,iwとモータ5の電気角θeとから、式(1)に基づいてd軸電流id及びq軸電流iqを求める。
【0028】
【数1】
【0029】
速度制御演算部63はモータ5の機械角の角速度の指令値ωm *と機械角の角速度ω m に基づいて比例・積分演算(PI演算)を行ってモータ電流指令im *を出力する。更に指令電流演算部64はモータ電流指令im *と、弱め界磁制御部68から得られる電流位相指令β*と、位相角θiとを入力し、式(2)に基づいてd軸電流指令id *及びq軸電流iq *を出力する。これらは単相交流電圧の2倍の周波数のリップルで大きく変動する。電流位相指令β*は電流iu,iv,iwの位相を設定する因子である。
【0030】
【数2】
【0031】
電流制御演算部65は、d軸電流id及びq軸電流iq並びにd軸電流指令id *及びq軸電流iq *を入力し、式(3)に基づいてd軸電圧指令vd *及びq軸電圧指令vq *を出力する。但し、式(3)においてKd,Kqはそれぞれd軸及びq軸の比例ゲインである。
【0032】
【数3】
【0033】
PWM演算部66は、電気角θe並びにd軸電圧指令vd *及びq軸電圧指令vq *を入力し、式(4)に基づいて各相電圧指令vu *,vv *,vw *を生成する。
【0034】
【数4】
【0035】
更に、PWM演算部66は整流電圧vdcも入力し、これと各相電圧指令vu *,vv *,vw *とを用いて、式(5)に基づいて、各相のアッパーアーム側トランジスタのオン時間τj(j=u,v,w)を求める。但し式(5)において、キャリア周期Tcを導入した。またオン時間τjがTcを越える場合にはその値を強制的にTcにし、オン時間τjが0未満となる場合にはその値を強制的に0にする。
【0036】
【数5】
【0037】
PWMタイマ部67はオン時間τu,τv,τwをキャリア周期Tc毎に記憶し、記憶された時間に応答して各相トランジスタをオン・オフする制御信号Tu,Tv,Twをインバータ4に与える。
【0038】
図2は弱め界磁制御部68の構成を例示するブロック図である。弱め界磁制御部68は整流電圧vdc及びオン時間τu,τv,τwに基づいて電流位相指令β*を計算する。単相コンデンサレスインバータ制御では、整流電圧vdc及びd軸電流指令id *及びq軸電流iq *が単相交流電圧の2倍の周波数のリップルで大きく変動する。よってインバータ4の入力電圧と出力電圧とに基づいて界磁制御を行う場合、時間平均値、より具体的には単相交流電圧の周期2Tの半分Tについての平均値を用いれば、入力電圧及び出力電圧についての適切な平均値を評価することになる。よってこれらの時間平均値を用いて界磁制御に必要な位相差を計算する。
【0039】
弱め界磁制御部68は、最大電圧演算部681、出力電圧演算部682、電流位相指令演算部683を有しており、これらは下記の計算を行う。
【0040】
最大電圧演算部681は、整流電圧vdcに基づいて出力電圧上限値Vo_maxを求める。具体的には式(6)によってインバータ線間電圧の波高値の時間平均値Vdcを求め、インバータの線間電圧実効値の最大値Vo_maxを式(7)により算出する。従来から公知のように、整流電圧vdcが一定値Vdcであれば、Vdc/√2がインバータ出力電圧実効値の最大値となる。単相コンデンサレスインバータでは整流電圧vdcが電源周波数のほぼ2倍の周波数で脈動するが、その場合においても整流電圧vdcを時間平均した値Vdcを用いれば、インバータ出力電圧実効値はVdc/√2でほぼ最大値となることを実験で確認した。従ってインバータ4の出力電圧の平均値は出力電圧上限値Vo_maxを超えることはない。
【0041】
【数6】
【0042】
【数7】
【0043】
例えば最大電圧演算部681は、平均化処理回路601及び乗算回路602を有しており、それぞれ式(6)、(7)の計算に対応した処理を行う。即ち平均化処理回路601は整流電圧vdcに基づいて波高値の平均値Vdcを求め、乗算回路602は波高値の平均値Vdcに基づいて出力電圧上限値Vo_maxを求める。乗算回路602の乗数kは1/√2に設定される。
【0044】
出力電圧演算部682はインバータ4から得られる出力電圧の平均値Voを求める。具体的には式(8)に則って、実効的な出力電圧voの、単相交流電圧の周期2Tの半分Tについての平均値を求める。
【0045】
【数8】
【0046】
但し、実効的な出力電圧voは二相電圧vα,vβから式(9)に則って求められる。
【0047】
【数9】
【0048】
二相電圧vα,vβは三相電圧vu,vv,vwから式(10)に則って求められる。つまり、実効的な出力電圧voは三相電圧vu,vv,vwを合成した電圧の絶対値として把握できる。
【0049】
【数10】
【0050】
三相電圧vu,vv,vwは整流電圧vdc、オン時間τu,τv,τw、キャリア周期Tcから式(11)に則って求められる。
【0051】
【数11】
【0052】
式(10)においてすでに波高値から実効値への変換が含まれているので、出力電圧の平均値Voについては√2で除す必要はない。
【0053】
例えば出力電圧演算部682は、相電圧演算回路606、三相/二相変換回路609、絶対値算出回路610、平均化処理回路611を有している。相電圧演算回路606には整流電圧vdc、オン時間τu,τv,τwを入力する。そして式(11)に則って三相電圧vu,vv,vwが求められる。三相/二相変換回路609には三相電圧vu,vv,vwが入力し、式(10)に則って二相電圧vα,vβが求められる。絶対値算出回路610には二相電圧vα,vβが入力し、式(9)に則って実効的な出力電圧voが求められる。平均化処理回路611には実効的な出力電圧voが入力し、式(8)に則って出力電圧の平均値Voが求められる。
【0054】
電流位相指令演算部683は減算回路603、PI演算回路604、リミッタ605を備えている。減算回路603は出力電圧の平均値Voから出力電圧上限値Vo_maxを減じ、その結果がPI演算回路604に入力される。PI演算回路604において比例・積分計算が行われることにより電流位相が求められるが、その結果はリミッタ605によって所定の上限値と下限値との間に制限された後に電流位相指令β*として出力される。
【0055】
減算回路603が設けられることにより、インバータ線間電圧の最大値を、現在の出力線間電圧が超えた場合に、電流位相指令β*を増大させ、その結果、d軸電流が永久磁石磁束による起電圧を小さくする方向に増大し、インバータ電圧を減少させる。
【0056】
リミッタ605が設けられることにより、電流位相指令β*が小さくなりすぎてトルク電流比が悪化することや、電流位相指令β*が大きくなりすぎてトルクが低下することを防止できる。
【0057】
減算回路603の機能により、出力電圧の平均値Voに対して出力電圧上限値Vo_maxを用いたフィードバックが掛けられる。電流位相指令β*は式(2)〜(5),(8)〜(10)に示されるように出力電圧の平均値Voを制御する一方、式(6),(7)に示されるように出力電圧上限値Vo_maxは電流位相指令β*に依存しない。
【0058】
以上のことから、本実施の形態によれば、インバータ4への入力電圧を有効に利用しつつ、単相コンデンサレスインバータ制御を行う交流電流iu,iv,iwをインバータ4から出力することができる。
【0059】
ところで、上記の計算において、整流電圧vdcの検出において誤差が生じた場合を考察する。整流電圧vdcをその真値vdcチルダ(チルダは数式においては記号の上部に「〜」を乗せて表される。また他の諸量に関しても、チルダが付された記号を用いることにより、チルダが付されていない場合の当該記号が示す諸量の真値を示す)及び誤差率εを用いて表すと、式(12)のように表すことができる。
【0060】
【数12】
【0061】
そこで式(12)を用いて式(6)を書き換えると、式(13)のように計算される。
【0062】
【数13】
【0063】
よって式(7)も式(14)のように計算される。
【0064】
【数14】
【0065】
また式(11)も式(15)のように計算される。
【0066】
【数15】
【0067】
よって式(10),(9),(8)はそれぞれ式(16),(17),(18)のように計算される。
【0068】
【数16】
【0069】
【数17】
【0070】
【数18】
【0071】
上述のようにフィードバックが掛かるので、理想的にフィードバックが掛かった状態では式(19)が成立する。
【0072】
【数19】
【0073】
式(19)に式(14),(18)を代入することにより、式(20)が得られる。
【0074】
【数20】
【0075】
式(20)は理想的にフィードバックが掛かった状態では誤差率εの大きさによらず、出力電圧上限値Vo_maxと出力電圧の平均値Voの真値について理想的にフィードバックが掛かっていることを示している。よって当該フィードバックは、整流電圧vdcの検出における誤差の影響を受けにくいことが判る。これは出力電圧上限値Vo_max及び出力電圧の平均値Voのいずれも同じ整流電圧vdcに基づいて求められることに由来する。
【0076】
【発明の効果】
この発明の請求項1にかかる多相電流供給回路及び請求項4にかかる多相電流供給回路の制御方法によれば、コンデンサ(C)の容量を小さくして単相コンデンサレスインバータ制御を行う際でも、平滑回路の出力を効率よく使用する交流電流をインバータから出力することができる。
【0077】
そして平滑回路(3)の出力電圧(vdc)の時間平均値(Vo_max)と等しくなるまでインバータの出力電圧の時間平均値(Vo)を大きくすることができる。
【0078】
そして単相コンデンサレスインバータ制御において交流電圧の2倍の周期で大きく脈動する平滑回路(3)の出力電圧(vdc)の平均値を適切に評価することができる。
【0079】
この発明の請求項2にかかる多相電流供給回路及び請求項5にかかる多相電流供給回路の制御方法によれば、多相で交流電流(iu,iv,iw)を出力するインバータ(4)の出力電圧の、時間平均を求めることができる。また平滑回路(3)の出力電圧(vdc)の時間平均値(Vo_max)とインバータの出力電圧の時間平均値(Vo)のいずれもが、平滑回路(3)の出力電圧(vdc)に基づいて求められるので、理想的にフィードバックが掛かった状態では平滑回路(3)の出力電圧(vdc)の検出における誤差の影響を受けにくい。
【0080】
この発明の請求項3にかかる多相電流供給回路及び請求項6にかかる多相電流供給回路の制御方法によれば、電流位相指令が小さくなりすぎてトルク電流比が悪化することや、電流位相指令が大きくなりすぎてトルクが低下することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかる駆動装置を示す回路図である。
【図2】本発明の実施の形態の構成を例示するブロック図である。
【図3】従来の技術を示す概念図である。
【図4】従来の技術を示すグラフである。
【符号の説明】
1 電源
2 ダイオードブリッジ
3 平滑回路
4 インバータ
601,611 平均化処理回路
606 相電圧演算回路
609 三相/二相変換回路
610 絶対値算出回路
681 最大電圧演算部
682 出力電圧演算部
683 電流位相指令演算部
C コンデンサ
iu,iv,iw 交流電流
Tu,Tv,Tw スイッチング信号
β* 電流位相指令
Claims (6)
- 交流電圧の全波整流を行うダイオード群(2)と、
前記ダイオード群の出力を受けるコンデンサ(C)を有する平滑回路(3)と、
前記平滑回路(3)の出力を受け、多相の交流電流(iu,iv,iw)を出力するインバータ(4)と、
前記インバータの出力電圧(v o )の時間平均値(V o )を前記交流電圧の周期の半分(T)についての時間平均によって求める第1の平均化処理回路(611)と、
前記平滑回路の出力電圧(v dc )の時間平均値 (V o _ max )を前記交流電圧の周期の半分(T)についての時間平均によって求める第2の平均化処理回路(601,602)と、
前記インバータの前記出力電圧の前記時間平均値(V o )に対して前記平滑回路の前記出力電圧の時間平均値(V o _ max )を用いてフィードバックすることによって前記交流電流(i u ,i v ,i w )の位相を設定する電流位相指令(β * )を生成する界磁制御部(68)と
を備え、
前記平滑回路の前記出力電圧は前記交流電圧の2倍の周波数で脈動し、
前記インバータの前記出力電圧の前記時間平均値(Vo)及び、前記平滑回路(3)の前記出力電圧(vdc)の前記時間平均値 (Vo_max)に基づいて生成される制御信号(Tu,Tv,Tw)によって、前記インバータのスイッチングが制御される多相電流供給回路。 - 前記制御信号のキャリア周期(Tc)中におけるインバータ(4)の各相の前記スイッチングのオン時間(τu,τv,τw)と、前記平滑回路(3)の出力電圧(vdc)とに基づいて、各相についての前記インバータの前記出力電圧(vu,vv,vw)を求める相電圧演算回路(606)と、
前記各相についての前記インバータの前記出力電圧(vu,vv,vw)を合成した電圧の絶対値(vo)を求める合成回路(609,610)と
を更に備え、
前記第1の平均化処理回路(611)は、前記絶対値の、前記交流電圧の前記周期の半分についての時間平均を求めることにより、前記インバータの前記出力電圧の前記時間平均値(Vo)を求める、請求項1記載の多相電流供給回路。 - 前記インバータ(4)の前記出力電圧の前記時間平均値(Vo)と、前記平滑回路(3)の前記出力電圧(vdc)の前記時間平均値(Vo_max)との差を求める減算回路(603)と、
前記減算回路の結果に対して比例・積分演算を行う演算回路(604)と、
前記演算回路の結果を上限値と下限値との間に制限して前記電流位相指令(β*)を求めるリミッタ(605)と
を更に備える、請求項1乃至請求項2のいずれか一つに記載の多相電流供給回路。 - 交流電圧の全波整流を行うダイオード群(2)と、
前記ダイオード群の出力を受けるコンデンサ(C)を有する平滑回路(3)と、
前記平滑回路(3)の出力を受け、多相の交流電流(iu,iv,iw)を出力するインバータ(4)と、
前記インバータ(4)のスイッチングを制御する制御信号(Tu,Tv,Tw)を生成する制御回路(6)と
を備える多相電流供給回路において、
前記平滑回路の前記出力電圧は前記交流電圧の2倍の周波数で脈動し、
前記インバータ(4)の前記出力電圧(v 0 )の前記時間平均値(V o )及び前記平滑回路(3)の前記出力電圧(v dc )の前記時間平均値(V o _ max )のいずれも、前記交流電圧の周期の半分についての時間平均によって求め、
前記インバータの前記出力電圧の前記時間平均値(V o )に対して前記平滑回路の前記出力電圧の時間平均値(V o _ max )を用いてフィードバックすることによって前記交流電流(i u ,i v ,i w )の位相を設定する電流位相指令(β * )を生成し、
前記インバータの出力電圧の時間平均値(Vo)及び、前記平滑回路(3)の出力電圧(vdc)の時間平均値(Vo_max)に基づいて前記制御信号を生成する多相電流供給回路の制御方法。 - 前記制御信号のキャリア周期(Tc)中におけるインバータ(4)の各相の前記スイッチングのオン時間(τu,τv,τw)と、前記平滑回路(3)の出力電圧(vdc)とに基づいて、各相についての前記インバータの前記出力電圧(vu,vv,vw)を求め、
前記各相についての前記インバータの前記出力電圧(vu,vv,vw)を合成した電圧の絶対値(vo)を求め、
前記絶対値の、前記交流電圧の前記周期の半分についての時間平均を求めることにより、前記インバータの前記出力電圧の前記時間平均値(Vo)が求められる、請求項4記載の多相電流供給回路の制御方法。 - 前記インバータ(4)の前記出力電圧の前記時間平均値(Vo)と、前記平滑回路(3)の前記出力電圧(vdc)の前記時間平均値(Vo_max)との差に対して比例・積分演算を行い、その結果を上限値と下限値との間に制限して前記電流位相指令(β*)を求める、請求項4乃至請求項5のいずれか一つに記載の多相電流供給回路の制御方法。
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