JP6197365B2 - パワーモジュール、及び熱インターフェース板の製造方法 - Google Patents
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Description
そこで、発熱部品と冷却器との間に反りや熱変形を吸収して密着性を向上させるための熱インターフェースを介装することが行われている。熱インターフェースは、発熱部品と冷却器とをろう付けする場合等に比べると、熱処理が不要で組立が容易であり、部品間の熱膨張係数差から生じる熱応力による部品の変形を抑制できる。
しかし、樹脂シートは、熱抵抗が高く、熱伝達性能に限界がある。また、熱伝導性グリースを用いる場合には、ヒートサイクルを長期間にわたって受けた場合に、ポンプアウト現象により、熱伝導性グリースに含まれるオイルが発熱部品と冷却器との間から流れ出し、熱伝導性グリースが乾燥して劣化することにより熱抵抗の増加を招くことがある。
例えば特許文献1では、熱インターフェースとして、多孔性金属組織にシリコンゴムやウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂等の弾性樹脂を充填した放熱シートが提案されている。この放熱シートは弾性樹脂を充填していることから、金属骨格部分が塑性変形しても弾性樹脂の弾性回復力が金属骨格を塑性変形させるので、放熱シートの形状が元に戻り、伝熱面に空気層が生じることなく、放熱シートとしての性能を良好に保てることが記載されている。
さらに、特許文献3には、金属製の細線と樹脂製の細線とを織合わせた熱インターフェースが開示されている。熱は、熱伝導性の高い金属性細線を通して伝えられるため、熱抵抗を小さく保つことができるとともに、この金属製の細線に柔軟性の高い樹脂製の細線を織合わせていることから、柔軟性に優れる熱インターフェースを形成できることが記載されている。
また、この熱インターフェース板の突起部には、厚み方向に弾性変形可能な樹脂体が備えられており、その弾性力によって突起部を発熱側部材又は冷却側部材に追従させることができる。このため、これらの接触界面に生じる接触抵抗を低減させることができ、発熱側部材から生じる熱を冷却側部材に円滑に伝えることができる。
さらに、樹脂体により突起部に弾性力を付加することができるので、発熱側部材と冷却側部材との間で熱伸縮に差が生じても、これらの部材と突起部との接触状態を維持することができ、熱伝達性能を良好に保つことができる。
また、金属板自体にばね性を必要としないことから、金属板に純Alや純Cu等の高熱伝導率の金属を使用することが可能であり、熱インターフェース板の熱伝導性を高めることができる。
さらに、熱インターフェース板は、金属板を変形させた突起部及び穴部と樹脂体との簡単な構成により形成することが可能である。
この場合、突起部が押圧された際に、穴部に接触することがなく収容されるため、樹脂体により付加される突起部のばね性を良好に発揮させることができる。
三層クラッド材を用いた場合、AlがCuの両面に配置されることから、発熱側部材又
は冷却側部材にAlが押圧接触されることになる。Alは塑性変形し易い金属であるため、発熱側部材又は冷却側部材と接触することでその形状に沿って変形し、これらの部材と熱インターフェース板との接触面積を増加させることができ、接触抵抗をより一層低減させることができる。
図1は、インバータ等の発熱側部材20と、冷却器等の冷却側部材30との間に、本実施形態の熱インターフェース板10を介在させた冷却システム100を示している。発熱側部材20と冷却側部材30とは、図示はしないが、例えば、ねじ止めにより機械的に固定される。
また、特に純Alや純Cu等の高熱伝導率の金属を使用することにより、熱伝導性をより高めることができる。さらに、金属板11の表面にはブラスト処理が施されており、その表面粗さ(算術平均粗さRa)が0.2μm以上1.0μm以下となるように形成されている。
突起部12は、図2に示すように、金属板11にV字状の切り込みを形成し、その切り込みの内側部分を金属板11の一方の面の上方(図2(b)では上側)に向けて切起こすことにより形成された舌片部により構成されている。また、穴部13は、突起部12を切起こした後の切り込みの内側に形成された空所により構成され、突起部12の外形よりも大きく形成されている。そして、突起部12の先端部12aはV字状の切り込みの内側部分を切起こすのと同時に曲げられ、金属板11の表面と略平行に設けられる。
樹脂体16には、例えばエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂等が好適に用いられる。
(樹脂体形成工程)
まず、金属板11の一部に樹脂を点状に塗布して硬化させることにより、金属板11の表面に樹脂体を形成する。
(プレス加工工程)
次に、金属板11上の樹脂体16の形成部を避けてV字状の切り込みを形成し、その切り込み部分を厚み方向に切起こすことにより舌片部からなる突起部12を形成するとともに、その突起部12を切起こした後の空所により構成される穴部13とを形成する。
(エッチング工程)
上記のプレス加工工程において突起部12を形成した後に、穴部13にエッチング処理を施して、突起部12の外周縁及び穴部13の内周縁を侵食させ、穴部13を突起部12の外形よりも大きくなるように形成する。
また、熱インターフェース板10Aの突起部12には、厚み方向に弾性変形可能な樹脂体16が設けられていることから、その弾性力によって突起部12を発熱側部材20に追従させることができる。これにより、熱インターフェース板10Aと発熱側部材20及び冷却側部材30との間に多数の接触点が形成されるため、発熱側部材20及び冷却側部材30に熱インターフェース板10Aを全面にわたって接触させることができる。したがって、熱インターフェース板10Aと発熱側部材20との接触界面に生じる接触抵抗を低減させることができ、発熱側部材20から生じる熱を、熱インターフェース板10Aを介して冷却側部材30に円滑に伝えることができる。
また、金属板11自体にばね性を必要としないことから、金属板11に純Alや純Cu等の高熱伝導率の金属を使用することが可能であり、熱インターフェース板10Aの熱伝導性を高めることができる。
さらに、穴部13を、突起部12の外形よりも大きく形成しているので、突起部12が押圧された際に、穴部13に接触することがなく収容され、突起部12のばね性を良好に発揮させることができる。
また、金属板11の表面粗さを0.2μm以上1.0μm以下に設定していることから、金属板11と樹脂体16との密着性を高めることができ、樹脂体16を金属板11の所望の位置に良好に保持することができ、突起部12に対する樹脂体16の弾性力を確実に発揮させることができる。
図4に示す第3実施形態の熱インターフェース板10Cは、一方向に立ち上げた突起部12Aを縦に一列に並べて配置するとともに、他方向に立ち上げた突起部12Bを突起部12Aの列に隣接して配置する構成とされ、突起部12Aの表面と突起部12Bの表面にそれぞれ点状に樹脂体16が設けられている。
また、図5に示す第4実施形態の熱インターフェース板10Dは、一方向に立ち上げた突起部12Aを横一列に並べ、他方向に立ち上げた突起部12Bを突起部12Aの列に隣接して並べられ、突起部12A,12Bが交互に逆方向に突出して形成され、これら突起部12A,12Bの表面にそれぞれ点状に樹脂体16が設けられている。
さらに、図6に示す第5実施形態の熱インターフェース板10Eは、一方向に立ち上げた突起部12Aと、他方向に立ち上げた突起部12Bとを、隣合う突起部12A,12Bが異なる方向に突出するように互い違いに並べられて形成され、突起部12A,12Bの表面にそれぞれ点状に樹脂体16が設けられている。
また、図8に示す第7実施形態の熱インターフェース板10Gのように、金属板11の一部を切起こした突起部12の先端を折返して、突起部12で樹脂体16を覆う構成とすることもできる。
そして、このように構成された熱インターフェース板10Hは、図9(b)に示すように、ダイス穴61よりも寸法が大きいパンチ62により金属板11に半抜き加工を施すことにより、金属板11の一部を厚み方向に立ち上げて変形させた突起部14を形成するとともに、その突起部14の裏面に穴部15を形成することにより製造される。
また、樹脂体16は、本実施形態のように金属板11の表面に点状に塗布して形成する他、図10に示すように、突起部12を跨ぐようにしてライン状に塗布して形成することも可能である。
絶縁基板を有するパワーモジュールは、例えば、窒化アルミニウム、アルミナ、窒化珪素等のセラミックスからなる絶縁基板の一方の面に銅又はアルミニウムからなる回路層と、他方の面に銅又はアルミニウムからなる金属層を有し、回路層上に半導体素子が搭載され、金属層に金属板が接合され、金属層側に冷却器(冷却側部材)が配設される構成である。この構成の場合、本発明の熱インターフェース板を金属板と冷却器の間に介装することによって、半導体素子から発生する熱を、絶縁基板を介して、効率よく冷却器へ伝達することが可能である。
図2に示すように、30mm×15mmの金属板に複数のV字状の切り込みを形成し、その切り込み部分を厚み方向に切起こすことにより舌片部からなる突起部12を形成して、その突起部12に樹脂を塗布することにより樹脂体16を形成した熱インターフェース板の試料(実施例1〜16)を複数作製した。各試料の詳細を、表1に示す。
各試料の金属板11には、表1記載の材料を用い、金属板11の表面にはブラスト処理を施し、表面粗さ(算術平均粗さRa)が0.2μm以上1.0μm以下となるように形成した。そして、金属板11の全面にほぼ均等に突起部12を形成した。また、突起部12の高さhは、板厚tの金属板11の表面から0.1mm突出する高さに形成した。
樹脂体16を構成する樹脂には、表1に示すように、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂を用いた。
また、表1の「加工密度」は、金属板11に形成される1mm2当たりの突起部の個数を示している。
また、従来例として、グリースを介して発熱側部材20と冷却側部材30とをねじ止めした冷却システムを構成した。
そして、図1に示すように、これらの冷却システムの発熱側部材20の上面中央の8mmφの加熱部に熱源40を与え、周囲を断熱材(図示略)で覆った状態で、発熱側部材20の加熱面21の温度を測定した。測定は、熱源40を50W、周囲温度を25℃に設定した環境で行った。
結果を表1に示す。
また、実施例1〜7は、いずれも5N‐Cuの金属板及び樹脂A(エポキシ樹脂)を用いて熱インターフェース板を構成したが、突起部の加工密度が高い程、加熱面の温度を低くすることができ、良好な放熱特性を得られることがわかった。
11 金属板
12,12A,12B,14 突起部
12a 先端部
13,15 穴部
16 樹脂体
20 発熱側部材
30 冷却側部材
40 熱源
61 ダイス穴
62 パンチ
100 冷却システム
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- セラミックスからなる絶縁基板の一方の面に銅又はアルミニウムからなる回路層、他方の面に銅又はアルミニウムからなる金属層を有し、前記回路層上に半導体素子が搭載され、前記金属層側に冷却器が熱インターフェース板を介装して設けられてなるパワーモジュールであって、
前記熱インターフェース板は、金属板の一部を厚み方向に立ち上げて変形させることにより形成された複数の突起部と、該突起部が前記金属層側又は前記冷却器の少なくともいずれかと接触して厚み方向に押圧された際に収容可能な穴部と、前記突起部に備えられ厚み方向に弾性変形可能な樹脂体とを有し、前記穴部は、前記突起部の外形よりも大きく形成され、前記突起部が前記穴部に押し込まれていることを特徴とするパワーモジュール。 - 前記突起部は、前記金属板に切り込みを形成し、その切り込みの内側部分を切起こすことにより形成された舌片部により構成され、前記穴部は前記舌片部を切起こした後の切り込みの内側に形成された空所により構成されていることを特徴とする請求項1記載のパワーモジュール。
- 前記金属板は、Cu、Al又はCuの両面にAlが積層された三層クラッド材により形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のパワーモジュール。
- 金属板の一部に樹脂を塗布して樹脂体を形成する樹脂体形成工程と、前記金属板に切り込みを形成し、その切り込み部分を厚み方向に切起こすことにより舌片部からなる突起部及び該突起部を切起こした後の空所により構成される穴部を形成するプレス加工工程と、前記穴部をエッチングして該穴部を前記突起部の外形よりも大きく形成するエッチング工程とを有することを特徴とする熱インターフェース板の製造方法。
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