JP6195297B2 - 衛生薄葉紙 - Google Patents
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Description
ポリシロキサン類を含有する処理剤に、更にグリセリン等の多価アルコールを併用することも提案されている(特許文献2参照)。多価アルコールを併用することにより、柔軟性が更に改善するとされている。
処理剤にポリシロキサン類を用いるこれらの提案では、各種のポリシロキサンを用いることができるとしているが、アミノ変性ポリジオルガノシロキサン、いわゆるアミノ変性シリコーンを用いることが好ましいとしており、通常、アミノ変性シリコーンが用いられている。アミノ変性シリコーンを用いて繊維製品や紙を処理する場合には、含有するアミノ基により、経時で黄変するという問題やアミノ変性シリコーン特有の臭気のあることが知られており、アミノ変性シリコーンを用いて処理されたティシュペーパーやトイレットペーパーについても貯蔵中の黄変、臭気の点で改善の余地があった。
ポリシロキサン類を含有する処理剤を用いることに関する提案では、溶剤にポリシロキサン類を他の成分と共に溶解して、ウェブ表面に塗布する方法が好ましいとされている。このような溶剤型の処理剤では、作業環境の悪化や環境負荷物質となる懸念があり、溶剤を含まない処理剤が求められていた。
このようなアミノ変性シリコーンを含有する溶剤型の処理剤の問題点を解決するために、ポリジメチルシロキサンのエマルジョンを用いることが考えられるが、衛生薄葉紙用の処理剤では、柔軟性のためにアルコール類や多価アルコール類を併用することが多く、このような化合物の存在下では、ポリジメチルシロキサンのエマルジョンは安定性に劣るという問題があった。
(1)本発明は、(A)グリセリンと、(B)ポリジメチルシロキサンエマルジョンとからなる処理剤を付着させてなる衛生薄葉紙であって、(B)ポリジメチルシロキサンエマルジョンが、(B1)ポリジメチルシロキサン、(B2)界面活性剤としてアニオン界面活性剤、(B3)多価アルコール、(B4)水とからなることを特徴とする衛生薄葉紙である。
(R1R2R3SiO1/2)a(R4R5SiO2/2)b(R6SiO3/2)c (1)
で表される。
式中、R1〜R6は、同一または異なっていてよく、水素原子、炭素数1〜30の非置換の一価炭化水素基、または水酸基、アルコキシ基であって、70%以上がメチル基、a、b、cは、各ユニットのモル数の割合を表し、a+b+c=1、0<a≦0.67、0.2≦b<1、0≦c≦0.33である。
(B1)成分のポリジメチルシロキサンは、直線状の分子構造を有するもの(一般式(1)のc=0)であり、R1〜R6が、すべてメチル基であるものが、シリコーン特有の感触付与の点で好ましいが、R1の一部又は全部が、水酸基、若しくはアルコキシであってもよい。
上記のようなポリジメチルシロキサンの25℃での粘度としては、10〜100000mPa・sが好ましく、更に好ましくは、100〜20000mPa・sであるが、粘度が前記の範囲にある限り、粘度が異なる2種以上のポリジメチルシロキサンの混合物であってもよい。粘度が10mPa・sより低いと、しっとりとした風合いを得るのが困難となり、また100000mPa・s以上では、エマルジョン化することが困難となる。
ポリジメチルシロキサンエマルジョン100重量部中ポリジメチルシロキサンは30〜60重量部である。30重量部より少ない場合、感触付与効果が低くなり、60重量部より多い場合、ポリジメチルシロキサンエマルジョンの粘度が高くなりすぎて取り扱いが困難となる。
一般にアミノ変性シリコーンを用いる場合には、(B3)多価アルコールがある場合でも、エマルジョンは比較的安定である点で本発明のポリジメチルシロキサンエマルジョンと相違する。
(B2)界面活性剤として、更にノニオン界面活性剤を併用することにより、ポリジメチルシロキサンエマルジョンの微粒子化が良好となり、更に処理剤の泡立ちやすさを抑えることができる。
アニオン界面活性剤としては、例えばカルボキシレート基、スルフェート基またはホスフェート基などの水可溶化アニオン性基と、C12−18のアルコキシ基、アシル基、又はこれらのポリオキシエチレンエーテル、などの親油性基からなり、水可溶化アニオン性基はアルカリ金属、アンモニウムまたはアルカノールアンモニウムの塩となっているものを用いることができる。具体的には、化粧品や医薬部外品の原料として使用実績が多く安全性が十分確認された、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸トリエタノールアンモ二ウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアンモ二ウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウムなどが好ましい。
ノニオン界面活性剤としては、上記アニオン界面活性剤と同様に化粧品や医薬部外品の原料として使用実績が多く安全性が十分確認された、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド等の非イオン性界面活性剤が好ましい。
(B2)の界面活性剤がアニオン界面活性剤である場合には、(B)ポリジメチルシロキサンエマルジョン100重量部中0.5〜15.0重量部であり、0.5重量部より少ないと、処理剤中でのジメチルシロキサンの分散安定化が困難となり、15.0重量部より多い場合、処理剤が泡立ち安くなる。アニオン界面活性剤と併用するノニオン界面活性剤は、ポリジメチルシロキサンエマルジョン100重量部中0.5−15.0重量部である。
多価アルコールの好ましい配合量は、ポリジメチルシロキサンエマルジョン100重量部中5〜49重量部である。5重量部より少ない場合、グリセリンにポリジメチルシロキサンエマルジョンを添加する際にエマルジョン粒子が凝集、析出し、均一になるのが困難である。また、49重量部以上の場合は、ジメチルシロキサンエマルジョンを製造する際に、微細な粒子径を有するエマルジョンを得ることが困難となる。
水溶性高分子としては、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、キサンタンガムなどの水溶性多糖類や、カルボマーとして知られる水溶性アクリル樹脂があげられる。好ましくは、水溶性多糖類であり、好ましい配合量は、(B)ポリジメチルシロキサンエマルジョン100重量部中0.005〜0.8重量部である。
0.005重量部以下では、上記の水溶性高分子の効果を得ることが難しく、0.8重量部以上では、ポリジメチルシロキサンエマルジョン並びに、処理剤の粘度が高くなり、混合作業性や、処理剤の塗布が困難となる。
処理剤の塗工量は、処理剤中に含まれる水分以外の成分の塗工量(重量)とする。例えば、処理剤の水分以外の成分の濃度が80重量%であり、原紙1.0g当たりの処理剤の水分を含む塗工量(重量)が0.15gの場合、処理剤の水分以外の成分の塗工量(重量)は0.12gとなり、処理剤の水分以外の成分の塗工量(%)は12重量%となる。塗工量は6〜40重量%、好ましくは10〜37重量%、より好ましくは20〜30重量%である。塗工量が上記範囲未満であると、薄葉紙のハンドフィール(しっとり感)が劣る場合がある。塗工量が上記範囲以上であると、薄葉紙の強度が弱くなって塗工性が劣る場合がある。
処理剤の水分以外の成分の濃度は65〜90重量%、好ましくは70〜90重量%、より好ましくは75〜90重量%である。処理剤の水分以外の成分の濃度が上記範囲未満であると、処理剤の水分が高くなり過ぎて、ハンドフィールが劣る場合がある。処理剤の水分以外の成分の濃度が上記範囲以上であると、処理剤の粘度が高くなり、処理剤が塗工しにくくなり、塗工速度を遅くしなければならず、操業性が低下する場合がある。なお、処理剤塗工量は、処理剤の成分の濃度を適宜調整して、目標とする塗工量に合わせることができるものである。
処理剤に配合するシリコーンエマルジョンの配合量は0.05〜5.0重量%、好ましくは0.2〜5.0重量%、より好ましくは0.2〜3.0重量%である。シリコーンエマルジョンの配合量が上記範囲未満であると、ハンドフィールの滑らか感が劣る場合がある。シリコーンエマルジョンの配合量が上記範囲以上であると、薄葉紙の吸水度が劣る(遅くなる)場合があったり、処理剤の粘度が高くなって塗工性が劣る場合がある。
なお、本処理剤に、鉱物油、流動パラフィン、動物ワックス、植物ワックス、鉱物ワックス、石油ワックス等の天然ワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、カスターワックス、ポリエチレンワックス及びポリプロピレンワックス、各種シリコーン等の合成ワックスを配合することもできる。また、本発明の処理剤は、本発明の目的を損なわない範囲で、衛生薄葉紙の処理薬剤として用いられる他の化合物を併用することができる。このような他の処理薬剤として、エチレングライコール,ポリエチレングライコール,ジエチレングライコール,トリエチレングライコール,プロピレングライコール,ペンタエリトリオール,ソルビトール,マンニトール,ブドウ糖,蔗糖,果糖,をあげることができる。これらの一種を単独で使用しても良いし、その二種以上を併用することもできる。
粘度は、25℃での測定値である。
各実施例、比較例記載の方法で作成したポリジメチルシロキサンエマルジョンの粒子径をマルバーン社製、ゼータサイザー ナノ ZS90で測定した。
各実施例、比較例記載の方法で作成したポリジメチルシロキサンエマルジョンを40℃条件下静置し、クリーミング、分離、オイル浮き等の有無を評価した。
各実施例、比較例記載の方法で作成したポリジメチルシロキサンエマルジョンを85%グリセリン水溶液100重量部に対し、2重量部添加し、手撹拌で混合するときの分散、溶解状態を評価した。
各実施例、比較例記載の方法で作成したポリジメチルシロキサンエマルジョンを85%グリセリン水溶液100重量部に対し、2重量部、並びに4重量部添加し、手撹拌で混合し、処理剤を調製し、室温、40℃、50℃で油滴浮き、分離などの有無を評価した。
粘度350mPa・sであるジメチルポリシロキサン50.0重量部、更に、エチレンオキシド付加数が8モルで、プロピレンオキシド付加数が2モルであるポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル(化粧品表示名称;PPG-2 ラウレス‐8)3.0重量部と、エチレンオキシド付加数が3モルであるポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン塩(化粧品表示名称;ラウレス硫酸TEA)2.0重量部と精製水35重量部を、IKA製、ウルトラタラックスT50ベーシック シャフトジェネレーターG45G 2500rpmにて、10分攪拌し、更にグリセリンを10重量部添加し10分攪拌することにより、実施例1のポリジメチルシロキサンエマルジョンを調製した。撹拌機を備えた調薬タンクに、調製したポリジメチルシロキサンエマルジョン1.5重量部、グリセリン60.0重量部、ソルビトール38.5重量部を添加し、25℃にて30分撹拌後、冷却し、処理剤を得た。得られた処理剤について、ティシュペーパー(パルプ:晒化学パルプ、1枚の坪量14g/m2)2枚一組に対して、処理剤が表1で示す塗工量(紙の乾燥重量に対する各成分の合計重量)となるように実際の印刷機を用いて塗工し、温度23℃、湿度50%RHの条件下で24時間風乾させることで、実施例1の衛生薄葉紙を得た。
ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン塩(化粧品表示名称;ラウレス硫酸TEA)2.0に続き、キサンタンガム0.1重量部を添加したことを除いては、実施例1と同じ方法でポリジメチルシロキサンエマルジョン及び処理剤を作成し、実施例1と同様の方法で衛生薄葉紙を得た。
キサンタンガムをカルボキシメチルセルロースに代えたこと以外は、実施例2と同じ方法でポリジメチルシロキサンエマルジョン及び処理剤を作成し、実施例1と同様の方法で衛生薄葉紙を得た。
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル(化粧品表示名称;PPG−2ラウレス−8)を用いず、更にポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン塩(化粧品表示名称;ラウレス硫酸TEA)に代えて、ラウリル硫酸アンモニウム塩を5.0重量部としたこと以外は、実施例2と同じ方法で、ポリジメチルシロキサンエマルジョン及び処理剤を作成し、実施例1と同様の方法で衛生薄葉紙を得た。
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル(化粧品表示名称;PPG−2ラウレス−8)を用いず、ラウリル硫酸アンモニウム塩を5.0重量部としたこと以外は、実施例2と同じ方法で、ポリジメチルシロキサンエマルジョン及び処理剤を作成し、実施例1と同様の方法で衛生薄葉紙を得た。
粘度350mPa・sのジメチルポリシロキサンを粘度10mPa・sと粘度300000mPa・sのジメチルポリシロキサンを1対1の重量比で混合し、混合後の粘度を17000mPa・sとしたジメチルポリシロキサンに代えたこと以外は、実施例2と同じ方法でポリジメチルシロキサンエマルジョン及び処理剤を作成し、実施例1と同様の方法で衛生薄葉紙を得た。
実施例2のポリジメチルシロキサンエマルジョンの配合量を変えた処理剤を作成し、また、適宜塗工量を変えて、実施例1と同様の方法で衛生薄葉紙を得た。
グリセリン10重量部を水に代えたこと以外は、実施例2と同じ方法で、ポリジメチルシロキサンエマルジョン及び処理剤を作成し、実施例1と同様の方法で衛生薄葉紙を得た。
粘度5mPa・sであるジメチルポリシロキサンを用いたこと以外は、実施例2と同じ方法で、ポリジメチルシロキサンエマルジョン及び処理剤を作成し、エマルジョンの乳化性が悪かったため、処理剤は作成しなかった。
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル(化粧品表示名称;PPG−2ラウレス−8)3.0重量部を全量、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン塩に代えたこと以外は、実施例2と同じ方法で、ポリジメチルシロキサンエマルジョン及び処理剤を作成し、グリセリン中への分散性が悪かったので、処理剤は作成しなかった。
粘度300000mPa・sであるジメチルポリシロキサンを用いたこと以外は、実施例2と同じ方法で、ポリジメチルシロキサンエマルジョン及び処理剤を作成し、エマルジョンの乳化性が悪かったため、処理剤は作成しなかった。
実施例1〜14、比較例1の衛生薄葉紙を日本工業規格JIS S 3104−1992の吸水度に従って測定した。測定結果を表1、2にまとめる。
なお、衛生薄葉紙として使用する際の拭き取る効果を良好にするため吸水度が用紙2枚重ねで0.1〜5.0秒の範囲にあることが好ましい。
実施例1〜14、比較例1の衛生薄葉紙のハンドフィール(しっとり感、滑らか感)を2枚握り官能性評価を行った。モニター20名が、ティシュー1組(2枚)を手で触り、良い・悪いを評価した。良いと評価した人数から、◎〇△×を評価した。
◎(19〜20名)
〇(15〜18名)
△(12〜15名)
×(12名未満)
拭き取り性(鼻かみ時の使用性)モニター20名が、ティシュー1組(2枚)を用いて鼻をかみ、鼻水の拭き取り性および破れにくさについて、良い・悪いを評価した。良いと評価した人数から、◎〇△×を評価した。
◎(19〜20名)
〇(15〜18名)
△(12〜15名)
×(12名未満)
実施例1〜14、比較例1の処理剤を用いて塗工し、塗工時の操業性を評価した。
◎(1日の操業で停止回数0回)
〇(1日の操業で停止回数1回)
△(1日の操業で停止回数2〜3回)
×(1日の操業で停止回数4回以上)
評価結果を表1、2にまとめる。
比較例1は、グリセリン中への分散性が悪く、処理剤の安定性も悪かった。また、比較例1を用いて調薬した処理剤を用いて塗工した場合、塗工時の操業性やハンドフィール(滑らか感)が悪い評価であった。比較例2、比較例4は、エマルジョン乳化性が悪かったこと、比較例3はグリセリン中への分散性が悪かったことから、塗工は行わなかった。
Claims (6)
- (A)グリセリンと、(B)ポリジメチルシロキサンエマルジョンとからなる処理剤を付着させてなる衛生薄葉紙であって、(B)ポリジメチルシロキサンエマルジョンが、(B1)25℃の粘度が10mPa・s以上、100000mPa・s未満であるポリジメチルシロキサン、(B2)界面活性剤としてアニオン界面活性剤、(B3)多価アルコール、(B4)水とからなることを特徴とする衛生薄葉紙。
- (B)ポリジメチルシロキサンエマルジョンの(B2)界面活性剤が、更に(B5)ノニオン界面活性剤を含む請求項1に記載の衛生薄葉紙。
- (B)ポリジメチルシロキサンエマルジョンが、(B6)水溶性高分子を更に含有する請求項1または請求項2に記載の衛生薄葉紙。
- 前記処理剤を含有する紙の1枚当たりの坪量が10〜45g/m2であり、吸水度(JIS S 3104−1992)が2枚重ねで0.1〜5.0秒であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の衛生薄葉紙。
- 前記処理剤が紙に対して、処理剤の水分以外の成分の塗工量が6〜40重量%であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の衛生薄葉紙。
- 前記処理剤中のポリジメチルシロキサンエマルジョンの配合量が、0.05〜7.0重量%であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の衛生薄葉紙。
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