JP2006035036A - 油性薬剤含有粒子 - Google Patents

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Abstract

【課題】 常温において水への分散性が良好である油性薬剤含有粒子の提供。
【解決手段】 水溶性固体マトリックス中に、油性薬剤が油滴として分散された状態で包含されている薬剤含有粒子であって、更に水中でカチオン性を示す乳化物質を含む油性薬剤含有粒子。
【選択図】 なし

Description

本発明は、油性薬剤含有粒子及びその製造方法に関する
近年、油性薬剤の利用分野は非常に広く、化学品から、食品、医薬品、化粧品、洗浄剤と多岐にわたる。また、油性薬剤の製品形態としては、食用油のようにそれ自体が製品となるものもあれば、連続相を水相とした乳化液とすることで、水への分散性を付与したもの等の製品形態が知られている。しかし、乳化液状の製品は、多量の水を含むため、膨大な保存スペースが必要となること、重くなること、保存安定性の維持が困難であること等の課題がある。そこで、貯蔵性に優れる固体状の製品形態でありながら、使用時に水に溶解すれば、容易に油性薬剤の分散液となる油性薬剤含有粒子が望まれていた。
そのような取り組みとして、特許文献1には、水溶性固体マトリックスを溶解した水中で対象となる油性薬剤を乳化し、それを乾燥することで油性薬剤を油滴状に保持し、冷水に溶解した際には、微細な油滴状態の水性分散液となる、油性薬剤含有粒子を得る方法が開示されている。
特開2004-123540号公報
本発明は、水への溶解度が低く、水溶液として取り扱うことが困難な油性薬剤を添加する際、冷水に添加攪拌するだけで使用でき、乳化液もしくは分散液の状態での安定性が高く、性能面でも油性薬剤の効果が最も引き出しうるように油滴の界面状態が制御された油性薬剤含有粒子、及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は、水溶性固体マトリックスを溶解させた水中で対象となる油性薬剤を乳化させて得た乳化液において、乳化物質の存在する油滴界面の状態は、乳化液の安定性のみでなく、油性薬剤の分散液を利用する場合の対象物への吸着や効果発現にも影響するため、この観点からの粒子設計が必要となることに着目して研究を行い、特定の乳化物質を併用することで上記した課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
本発明は、課題の解決手段として、水溶性固体マトリックス中に、油性薬剤が油滴として分散された状態で包含されている薬剤含有粒子であって、更に水中でカチオン性を示す乳化物質を含む油性薬剤含有粒子を提供する。
また本発明は、他の課題の解決手段として、上記の油性薬剤含有粒子の製造方法であって、油性薬剤をその融点以上の温度で処理し、体積基準平均0.01〜50μmの油滴径になるように乳化させてO/W型乳化液を得た後、乾燥する油性薬剤含有粒子の製造方法を提供する。
また本発明は、他の課題の別の解決手段として、上記の油性薬剤含有粒子の製造方法であって、水溶性固体マトリックス形成剤及び水中でカチオン性を示す乳化物質を油性薬剤の融点以上の温度の水に溶解させる工程、油性薬剤を添加し、油性薬剤を乳化して、体積基準平均0.01〜50μmの油滴径を含むO/W型乳化液を得る工程、並びに乳化液を油性薬剤の融点以上の温度で乾燥する工程を有する油性薬剤含有粒子の製造方法を提供する。
本発明における乳化物質とは、水中において油性薬剤を乳化させる作用を有するものを意味する。
本発明の油性薬剤含有粒子は、水への溶解度が低い油性薬剤を含有しているにも拘わらず、水への分散性が良好である。また、水中でカチオン性を示す物質を用いていることから、水中での分散安定性が高く、対象物への静電吸着により、対象物に対して薬剤の効果をより高く発揮することができる。
<油性薬剤含有粒子>
本発明の油性薬剤含有粒子は、水溶性固体マトリックス中に、油性薬剤が油滴として分散された状態で包含されているものであり、油性薬剤と共に水中でカチオン性を示す乳化物質を含む。
水溶性固体マトリックスは、油滴(油性薬剤)を包み込むと共に、油性薬剤含有粒子の皮膜も形成している。油滴(油性薬剤)は、水溶性固体マトリックス内に包み込まれているものであるが、一部が皮膜に露出していても良い。油滴(油性薬剤)は、水溶性固体マトリックス中で移動しないように固定された状態で存在していることが望ましい。油滴は、水中でカチオン性を示す物質も含んでいる。なお、製造時の乾燥処理により、粒子中(例えば、粒子中心部付近)に中空部が存在するものも含まれる。
油性薬剤含有粒子の形状は特に制限されるものではなく、球形のほか、不定形でも良く、所望形状に成形することもできる。
油滴径は、体積基準平均で0.01〜50μmが好ましく、0.05〜30μmがより好ましく、0.1〜10μmが更に好ましい。体積基準平均は、堀場製作所製LA-910を用いた光散乱法により測定されるものである。
油滴径を50μm以下とすることで、乳化液の状態や水に溶かした際の分散性が高められ、使用場面で、対象物に吸着する場合にも、大きな塊として存在せず、その性能を対象物に均一に作用させることができる。油滴径を0.01μm以上にすることで、乳化物質の使用量を減少させることができること、汎用乳化機で乳化できること等の製造上の利点が得られる。
油滴径は、製造時における乳化液での油滴径と、使用する際における乾燥粒子の再分散時の油滴径が一致していること(即ち、再分散時の油滴径/乳化液中の油滴径、の式から求められる値が1又はそれに近似していること)が、乳化液及び乾燥時の乳化状態が安定であり、カプセル化状態〔水溶性固体マトリックス中に油滴(油性薬剤)が分散、包含されている状態〕が良好な粒子が得られていることを示しており、性能のバラツキや、乾燥粉がベタツキによる生産性低下等の問題が無く、有利である。
油性薬剤含有粒子の平均粒径は、10〜3000μmが好ましく、50〜1000μmがより好ましく、100〜500μmが更に好ましい。平均粒径が10μm以上では、粒子表面に露出する油滴の割合が小さく、冷水分散性が良いので好ましい。また、平均粒径が3000μm以下では、汎用乾燥設備を使用できるので、生産性が良いので好ましい。更に、乾燥方法に噴霧乾燥法を用いる場合には、設備制約上、500μm以下にすることが望ましい。なお、この平均粒径の測定方法は、後述する油性薬剤含有粒子の平均粒径の測定法による。
以下、油性薬剤含有粒子を構成する各成分について説明する。
(水溶性固体マトリックス)
水溶性固体マトリックスを形成する成分(水溶性固体マトリックス形成剤)としては、グルコース、果糖、乳糖、麦芽糖、蔗糖等の水溶性糖類、デキストリン、マルトデキストリン、シクロデキストリン等の加水分解デンプン、オクテニルコハク酸デンプン等の加工デンプン、ゼラチン、寒天、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルアルコール等が挙げられる。これらは、油性薬剤含有粒子の保存時における変質や吸湿を抑制する等の目的で、末端修飾等の加工が施されたものであっても良い。
これらの中でも、緻密な構造の水性固体マトリックスが得られるため、マルトデキストリン、シクロデキストリン、等のデンプン類が好ましい。ここで緻密な構造とは、水性固体マトリックス中に空隙が存在するが、空隙径が小さいもの(微細な空隙)であるような構造を意味する。
(油性薬剤)
油性薬剤は、水への溶解度が小さく、水に溶解して使用することが困難なものであれば良い。食用油,香料,化粧料用油剤,製紙用薬剤としての使用が好適な例であり、中でも、化粧料油剤や製紙用薬剤等の、油性薬剤を何らかの対象物に吸着させることを目的とする場合には、最も好的な実施形態である。
ここで、油性薬剤とは、10質量%濃度になるように水に添加・攪拌した後(途中で100℃以下に加温しても良い)、20℃に維持した場合に均一透明にならないものと定義する。
また、油性薬剤は、常温液体もしくは、100℃以下の温度で流動点(融点)を持つものが好ましい。
油性薬剤は、下記(i)〜(viii)からなる群より選ばれる1種以上の化合物が好ましく、サイズ性能の点から、20℃で固体のものが好ましい。固体は、融点以下の状態にあるもの、或いは融点を超える状態であっても、流動性を持たないか、著しく流動性が低下した状態にあるものを意味する。
(i)オルガノポリシロキサン化合物
25℃の粘度が10〜1,000,000mPa・sのメチルポリシロキサン、グリフィン法によるHLBが1〜14のポリオキシエチレンメチルポリシロキサン共重合体、HLBが1〜14のポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体などが挙げられる。
(ii)アミン化合物、(iii)アミン酸塩化合物、(iv)4級アンモニウム化合物、(v)イミダゾール化合物
下記一般式(b)〜(j)で示される化合物などが挙げられる。なお、アミン酸塩はイオン化したものも、イオン化してないものも含む。
Figure 2006035036
〔式中、
Y,Y:互いに同一又は相異なって、水素原子、R、RCO-、-(AO)-COR又は-(AO)-H
AO:炭素数2〜4のアルキレンオキシド
Y:水素原子又は-COR
Figure 2006035036
R:炭素数8〜35のアルキル基、アルケニル基又はβ−ヒドロキシアルキル基である
R,R,R,R:炭素数7〜35のアルキル基、アルケニル基又はβ−ヒドロキシアルキル基
R,R:水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基
R,R:炭素数1〜3のアルキル基
R10:水素原子又はR
n:1〜20の数で平均モル数
X:陰イオン〕
(vi)炭化水素化合物
ワックス、パラフィン、ポリエチレンなどが挙げられる。
(vii)アルコール化合物
炭素数6〜22の直鎖又は分岐鎖の1価アルコール、多価アルコール、又はこれらの炭素数2〜4のオキシアルキレン基付加物等が挙げられる。更に、前記アルコールの末端の一部又は全部にアルキル基が付加されたエーテル化合物も含まれる。
多価アルコールは、エーテル基を含んでいてもよい総炭素数2〜24の2〜14価アルコールが好ましく、2〜8価アルコールがより好ましく、3〜6価アルコールが特に好ましい。
2価アルコールとしては、エーテル基を含んでいてもよい総炭素数2〜10のもの、例えばプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ジブチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。
3価以上のアルコールとしては、エーテル基を有していてもよい総炭素数3〜24のアルコールで、1分子中の総水酸基数/総炭素数=0.4〜1であるもの、例えばグリセリン、ポリグリセリン(平均縮合度2〜5)、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、アラビトール、ソルビトール、スタキオース、エリトリット、アラビット、マンニット、グルコース、ショ糖などが挙げられる。
より好ましくはエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、エーテル基を有していてもよい総炭素数3〜12のアルコールで、1分子中の水酸基数/総炭素数=0.5〜1である3価以上のアルコールである。特に好ましくはグリセリン、ポリグリセリン(平均縮合度2〜4)、ペンタエリスリトールである。
エーテル化合物としては、グリセリルエーテル化合物等が挙げられ、下記一般式(a)で示される化合物が好ましい。
Figure 2006035036
(式中、Rは炭素数8〜35のアルキル基、アルケニル基又はβ−ヒドロキシアルキル基である。)
(viii)分子内にカルボニル基とアルキル基を有する化合物
脂肪酸、脂肪酸とアルコールのエステル、脂肪酸アミド、脂肪酸アミドアミン、又はこれらの炭素数2〜4のオキシアルキレン基付加物、ロジン、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸などが挙げられる。
脂肪酸は、炭素数1〜24、好ましくは炭素数10〜22の脂肪酸が挙げられ、飽和、不飽和、直鎖、分岐鎖の何れでもよく、特に直鎖脂肪酸が好ましい。更に好ましくは、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸であり、特にステアリン酸が好ましい。
アルコールの具体例としては、(vii)アルコール化合物において例示したものが挙げられる。
これらのエステルは、公知のエステル化反応及びアルキレンオキシド付加反応により、得ることができる。例えば、脂肪酸と多価アルコールの混合物に、要すればエステル化触媒を添加し、150〜250℃で反応させることによりエステルが得られ、更にアルカリ触媒などの存在下に炭素数2〜4のアルキレンオキシドを付加することにより、アルキレンオキシド付加エステルが得られる。また、脂肪酸あるいは多価アルコールにアルキレンオキシドを付加後、エステル化してもよい。更に、脂肪酸にアルキレンオキシド付加のみを行って得られる場合もある。
このエステルのエステル平均置換度は、好ましくは1モルの多価アルコール当たり、アルコール中のOHが10〜95当量%置換されたものであり、特に好ましくは1モルの多価アルコール当たり1〜2モルのエステル基を有するものである。
アルキレンオキシド付加エステルを用いる場合、アルキレンオキシド(AO)の平均付加モル数は、エステル1モル当たり平均で0モル超12モル未満であり、0.1〜6モルが好ましい。なお、エチレングリコールなどのようにAO基となり得る多価アルコールを使用した場合においては、それらもAO基の数に算入する。アルキレンオキシドは、エチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)が好ましい。これらはEO、POの単独あるいはEOとPOの混合の何れでもよい。本発明では、AO基を含まない多価アルコールと脂肪酸のエステルを用いることが特に好ましい。
特にグリセリン、ポリグリセリン(平均縮合度2〜4)、ペンタエリスリトールから選ばれるアルコールとステアリン酸とのエステル化合物が好ましい。
(水中でカチオン性を有する乳化物質)
水中でカチオン性を有する乳化物質は、油性薬剤を乳化できる物質であれば良く、一般的な乳化剤のほか、乳化状態(互いに溶解しにくい2種の液体において、一方が連続相、他方が微粒子となって分散相を形成し、比較的安定な系を形成している状態を示す)を形成させ得る物質であれば良い。水中でカチオン性を有する乳化物質としては、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、保護コロイド能や界面活性能により乳化する、カチオン性を有する高分子物質等が挙げられる。
陽イオン界面活性剤としては、アルキルアミン塩、4級アンモニウム塩等が挙げられ、両性界面活性剤としては、アルキルベタイン、アミンオキサイド等が挙げられる。
カチオン性を有する高分子物質としては、カチオン化セルロース等のセルロース系のもの;カチオン化澱粉、等のデンプン系のもの、カチオン基とアルキル基を1分子中に備えた合成ポリマー、等が挙げられる。これらの中でも、カチオン基とアルキル基を1分子中に備えた合成ポリマーは、油性薬剤の特性に合わせたカチオン基/アルキル基の比率や分子量に調整することで、乳化液や乳化液の乾燥過程での安定性を向上することができるので好ましい。
本発明においては、本発明の課題を解決できる範囲において、水中でカチオン性を有する乳化物質以外の他の乳化物質を併用することができるが、乳化物質全量中、カチオン性を有する乳化物質の含有量は10質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましく、実質的に100質量%であることが特に好ましい。なお、水中でカチオン性を有する乳化物質を単独で使用した場合であっても、製造設備等の関係から、微量の他の乳化物質が混入していることは排除されない。
他の乳化物質(水中でカチオン性を示さない乳化物質)としては、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンエーテル等の非イオン界面活性剤、アラビアガム、グアーガム、キサンタンガム、ポリビニルアルコール、アルキル澱粉、メチルセルロース等の高分子物質等が挙げられる。但し、水中でアニオン性を示す乳化物質は、カチオン性乳化物質とコンプレックスを形成し、乳化を不安定にすることから、使用しないことが好ましい。
(その他の成分)
本発明の油性薬剤含有粒子には、水中での乳化安定性を損なわない種類及び量の他の成分、例えば分散剤、着色物質、溶剤、無機塩等が含まれていても良い。
(各成分の含有量)
油性薬剤含有粒子中の水溶性固体マトリックスの含有量は、製造コストを抑制する観点、油性薬剤の分散性を高める観点から、5〜90質量%が好ましく、10〜70質量%がより好ましく、20〜50質量%が更に好ましい。
油性薬剤含有粒子中の油性薬剤の含有量は、製造コストを抑制する観点、油性薬剤の分散性を高める観点から、10〜95質量%が好ましく、30〜90質量%がより好ましく、50〜80質量%が更に好ましい。
油性薬剤含有粒子中に含む乳化物質の含有量は、油性薬剤の種類や量、目的とする油滴径等に応じて調整されるが、0.1〜30質量%が好ましく、0.5〜20質量%がより好ましく、1〜10質量%が更に好ましい。
但し、加工デンプン等には、マトリックス形成能と乳化作用を併せ持つ物質もあり、その場合には、合計量で上記範囲内であることが好ましい。
<油性薬剤含有粒子の製造方法>
本発明の油性薬剤含有粒子の製造方法を工程ごとに説明する。以下の各工程は、それぞれ独立した工程でも良いし、2以上の工程を連続した1つの工程にしても良い。更に、必要に応じて、適宜他の工程を付加することができる。
最初の工程において、水溶性固体マトリックス形成剤と水中でカチオン性を有する乳化物質を油性薬剤の融点以上に温度調整された水に溶解させた後に、続く工程において油性薬剤を添加して、体積基準平均0.01〜50μmの油滴径を含むO/W型乳化液を得る。
なお、最初の工程において、水溶性固体マトリックス形成剤を油性薬剤の融点以上に温度調整された水に溶解させた後、続く工程において、前工程で得られた水溶性固体マトリックス形成剤の水溶液に油性薬剤及び水中でカチオン性を有する乳化物質を添加し、油性薬剤を乳化して、体積基準平均0.01〜50μmの油滴径を含むO/W型乳化液を得る方法でも良い。
水の配合量は、乳化液全量中、好ましくは20〜80質量%、より好ましくは25〜70質量%、更に好ましくは30〜60質量%である。水の配合量が20質量%以上では、乳化物質が十分に機能するので、安定な乳化液が得られる。水の配合量が80質量%以下では、乾燥工程で除去する水分量が少ないので、生産性が向上する。
これらの工程の処理は、油性薬剤を安定にかつ所望の油滴径(体積基準平均で0.01〜50μm)になるように乳化・分散させるため、静止型乳化・分散機、ホモミキサー等の攪拌型乳化機、ホモジナイザー等の高圧乳化機、ラインミキサーを使用することが好ましい。
乳化液のpHは、乳化物質のカチオン性を高めるため酸性(pH7未満)(固形分濃度10%水溶液,25℃)であることが好ましく、より好ましくはpH2〜6、更に好ましくはpH3〜5である。
カチオン性を有する乳化物質が吸着した油滴の電荷状態は、乳化液中の水素イオンや、水酸イオンの濃度の影響を受けて変化するため、pHが上記範囲内であると、乳化液の安定性が向上する。また、乾燥中は水分が減少することで、濃度が上がり、これらイオン濃度も上昇するため、乳化液はpHの影響を受けにくいことも考えられるが、乳化液のpHが上記範囲内であると、乾燥時の安定性も向上し、油滴の固定化レベル(乳化液からの油滴径の変化)の変化を抑制できる(油滴の固定化レベルが高くなる)ので好ましい。
pHの調整方法としては、製造原料となる各成分由来の酸成分により、乳化液が酸性となっても良いし、乳化液調製工程において、酸を添加混合することで調整しても良い。そのような酸の例としては、硫酸,塩酸,炭酸,リン酸,コハク酸,フマル酸等が挙げられる。
次の工程において、前工程で得られた乳化物を乾燥する。この工程の乾燥温度は、目的とする油性薬剤含有粒子の融点以上にすることで、乾燥工程での油滴の凝集を抑制する。具体的には、100〜250℃の範囲内で乾燥処理することが望ましい。
このように油性薬剤の融点以上の温度で乾燥することにより、油性薬剤が油滴の状態を保ったまま水溶性固体マトリックス中に分散・固定化される。このため、粒子化後、融点以下で保存したり、使用時に、融点以下で水に溶解させた場合にも、凝集物が生じにくい。
乾燥法としては、噴霧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥、ベルト乾燥、棚乾燥、ドラム乾燥等を適用できるが、これらの乾燥法の中でも生産性等の面から噴霧乾燥法が好ましい。
その後、得られた油性薬剤含有粒子を目的により2次加工することもできる。例えば、篩い分けによる微粉、粗粉の除去、造粒又は粉砕操作による粒径の調整、形状の加工、顔料及び染料による着色、安定性向上等を目的としたコーティング等の処理を付加することもできる。また、他原料と混合して最終製品として好ましい組成物とすることもできる。
本発明の油性薬剤含有粒子は、光沢性,耐水性等の機能の付与、サイズ性,剛度等の品質の向上、生産性の向上を目的として各種製紙用薬剤、対象物への香り付け効率向上、保存安定性の向上等を目的とした食品や洗浄剤用途の香料、肌への吸着及び浸透力の向上、保存安定性の向上を目的とした化粧品用や薬剤等に適用できる。
(1)使用成分
(水溶性固体マトリックス形成剤)
パインデックス#2:松谷化学工業(株)製のマルトデキストリン
(油性薬剤)
嵩高剤A:ペンタエリスリトールステアレート,エステル平均置換度45当量%,融点約50℃、パルプ表面に吸着することで、パルプ表面を疎水化し、紙のボリュームを上げ、書籍の軽量化,パルプ使用量の削減を可能とする薬剤
(水中でカチオン性を有する乳化物質)
カチオンポリマー1:ラウリルメタクリレート/ジメチルアミノエチルメタクリレートのメチルクロライド四級化物=15モル%/85モル%で重合された合成ポリマー
カチオンポリマー2:ステアリルメタクリレート/ジメチルアミノエチルメタクリレートのジエチル硫酸四級化物=2/98モル%の比率で重合された合成ポリマー
カチオンポリマー3:ベヘニルメタクリレート/ジメチルアミノエチルメタクリレートのジエチル硫酸四級化物=2/98モル%の比率で重合された合成ポリマー
(2)評価方法
(2-1)乳化液
(乳化液中の油滴径;体積基準平均)
堀場製作所製LA-910を用いた光散乱法により測定した。
(乳化液のpH)
調製直後の乳化液を攪拌中の常温の水に添加し、固形分濃度10%に調整した。得られた液の入った容器を密閉状態で温水槽に漬け、液温を25℃に調整した。この液のpHを、(株)堀場製作所製のpHメーターF−52を用いて測定した。
(2-2)油性薬剤含有粒子
(Kett水分)
Kett水分計で測定した乾燥減量を示す。測定条件は、(株)ケット科学研究所製の赤外線水分計FD-240-2、試料2g、105℃、30secAUTO(30秒間質量変化が無くなったら終了)。
(平均粒径)
噴霧乾燥により得られた粉末を、JIS K-3362に規定された乾式篩分法にて測定した際の質量基準平均粒径を平均粒径とした。
(冷水分散性)
2Lビーカーに20℃の水900gを仕込み、4枚平羽根攪拌翼を用いてボルテックスの最深部が500mlの目盛になるように攪拌しながら試料100gを投入し、30分後の状態を目視で観察すると共に、油滴径の測定(堀場製作所製LA-910を用いた光散乱法)を行った。
(2-3)抄紙評価
(剤有り姿添加率)
パルプに対する薬剤の添加質量%を示す。有り姿とは、主基剤の含有量は考慮せず、薬剤(本発明の油性薬剤含有粒子)の添加量を示している。
(嵩向上率)
嵩高剤Aによる嵩向上効果を、下記条件にて抄紙した紙の緊度を測定することにより求めた。
嵩向上率(%)=〔(試料無添加品の緊度)/(試料添加品の緊度)−1〕×100
抄紙法:1質量%のLBKPパルプスラリーを、抄紙後のシートの坪量が80g/m
なるように量りとり、攪拌下、硫酸アルミニウム0.5%(対パルプ量)、カチオン化澱粉としてCato302(日本エヌエスシー(株)製)0.3%、AKDサイズ剤としてサイリーン−94(花王(株)製)0.2%、軽質炭酸カルシウムとしてホワイトンPC(白石工業(株)製)15%を順次添加した後、パルプ濃度0.5%に希釈した。
更に実施例の製紙用薬剤粒子を、水に希釈して又はそのまま、攪拌下、室温(20-25℃)にて添加し(表1に示す分散濃度)、歩留まり剤としてパーコール47(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)0.015質量%を添加した。
これを丸型タッピー抄紙機にて150メッシュワイヤーで抄紙し、湿紙を得た後、湿紙の両面を各2枚ずつのアドバンテック製No.26丸型濾紙で挟み、3.5kg/cmで5分間プレスし、鏡面ドライヤーを用いて105℃で2分間乾燥した。乾燥されたシートを、23℃、50%RHの条件で1日間調湿した後、表1に示す各項目の測定をした。
緊度:紙の坪量(g/m)と厚み(μm)を測定し、次式:坪量/厚みにより、緊度(g/m)を求める。緊度は、絶対値が小さいほど嵩が高く、緊度の0.02の差は有意差として十分に認識されるものである。
(オイルスポット判定法)
目視にて、紙に油滴状の汚れの有無を観察した。
実施例1〜4
表1に示す各成分(各成分合計50%及び水50%の合計で各200kg)を用い、以下に示す方法で油性薬剤含有粒子を得た。
300Lジャケット付配合槽に水を仕込み、攪拌下でカチオンポリマーを投入し、続いてパインデックス#2を投入し、ジャケットに85℃の温水を入れ、液温を75℃以上まで上げた。
嵩高剤A(融点約50℃)を投入し、(リン酸を投入する場合は、更にリン酸を投入し、)30分間混合した後、分散君((株)フジキン製の静止型分散機)に、分散機での圧力損失が0.9MPaとなる流速で通液し、約1時間循環乳化することで乳化液を得た。得られた液の一部を常温の水中に攪拌下で投入することで急冷し、油滴径測定用サンプルとした。
得られた乳化液を70℃以上に保持したまま、塔径3.2mの並流式噴霧乾燥塔に供給し、噴霧機には1流体圧力ノズル(スプレーイングシステムスジャパン(株)製SSTX-3(オリフィス径φ0.86mm)を用い、噴霧圧力1.8MPa,送風温度175℃の条件で噴霧,乾燥し、塔下部排出口から乾燥粉を得た。各測定結果を表1に示す。
Figure 2006035036
実施例1と2、実施例3と4の比較で、乳化物質であるカチオン化ポリマーの種類により、カプセル化レベルや、嵩向上率が変化しており、これらの結果から、油性薬剤含有粒子中の油滴の界面状態が制御された(即ち、界面に乳化物質が存在することで、乳化液及び乾燥時の乳化状態が安定で、カプセル化状態が良好に維持されていることを意味する)ことが確認された。その結果、得られた油性薬剤含有粒子を水に溶解、分散させて得られた分散液中の油滴の界面状態は、乳化物質の存在により、油性薬剤の効果が最も引き出しうるような状態にあるため、製紙用薬剤粒子として適用した場合には、高い抄紙効果が発揮された。
また、実施例2と3の比較で、乳化液のpHを3〜5に調整することにより、カプセル化レベルが向上できることが判り、乳化物質として水中でカチオン性を示す乳化物質を用いた場合における、乳化液pH調整の重要性が確認された。

Claims (6)

  1. 水溶性固体マトリックス中に、油性薬剤が油滴として分散された状態で包含されている薬剤含有粒子であって、更に水中でカチオン性を示す乳化物質を含む油性薬剤含有粒子。
  2. 請求項1記載の油性薬剤含有粒子の製造方法であって、油性薬剤をその融点以上の温度で処理し、体積基準平均0.01〜50μmの油滴径になるように乳化させてO/W型乳化液を得た後、乾燥する油性薬剤含有粒子の製造方法。
  3. 請求項1記載の油性薬剤含有粒子の製造方法であって、
    水溶性固体マトリックス形成剤及び水中でカチオン性を示す乳化物質を油性薬剤の融点以上の温度の水に溶解させる工程、
    油性薬剤を添加し、油性薬剤を乳化して、体積基準平均0.01〜50μmの油滴径を含むO/W型乳化液を得る工程、並びに
    乳化液を油性薬剤の融点以上の温度で乾燥する工程を有する油性薬剤含有粒子の製造方法。
  4. 乾燥前の乳化液のpHが酸性である請求項2又は3記載の油性薬剤含有粒子の製造方法。
  5. 乾燥工程前の乳化液のpHが2〜6(固形分濃度10%水溶液,25℃)である請求項2〜4のいずれかに記載の油性薬剤含有粒子の製造方法。
  6. 乾燥方法が噴霧乾燥法である請求項2〜5のいずれかに記載の油性薬剤含有粒子の製造方法。
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